第9回 消費者委員会 議事録

日時

2009年12月8日(火)10:00~12:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松本委員長、中村委員長代理、池田委員、川戸委員、櫻井委員、佐野委員、
下谷内委員、田島委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
東京都地域消費者団体連絡会…寺田元代表委員、奥田代表委員
消費者庁…羽藤審議官

【事務局】
齋藤審議官、
原事務局長、前田参事官補佐

議事次第

1.開会
2.地方消費者行政の充実について
○ヒアリング
  ・東京都地域消費者団体連絡会 寺田かつ子 元代表委員
  ・東京都地域消費者団体連絡会 奥田明子 代表委員
○事務局からの調査報告
○地方消費者行政の充実強化に向けて
3.消費者情報ダイヤルの情報の公表について
4.個人情報保護専門調査会設置・運営規定(案)
5.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 東京都地域消費者団体連絡会関連資料 【資料2】 地方消費者行政の実態調査報告書 【資料3】 地方消費者行政の充実強化に向けて (PDF形式:22KB)
【資料4】 消費者情報ダイヤルの情報の公表について (PDF形式:166KB)
【資料5】 個人情報保護専門調査会設置・運営規程(案)関連資料

≪1.開 会≫

○原事務局長 おはようございます。それでは、第9回「消費者委員会」を開催したいと思います。
カメラの方は申し訳ございませんが、ここまでとしていただけたらと思います。

(報道機関関係者退室)

○原事務局長 それでは、委員長、よろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、本日は第9回ということになりますが「消費者委員会」を開催させていただきます。

≪2.地方消費者行政の充実について ― (1) ヒアリング≫

○松本委員長 本日は、地方消費者行政の活性化について、外部の方からのヒアリングや事務局による地方実態調査報告を行った上で、委員会としての考え方について議論を行いたいと思います。
今回は、東京都地域消費者団体連絡会の寺田かつ子元代表委員と、奥田明子現代表委員にお越しいただいております。お二人は、日本の消費者行政の草創期から消費者運動に携わって来られ、東京都地域消費者団体連絡会を立ち上げられるなど、地元密着型の消費者運動で活躍されてきました。
本日は、これまでの活動についてお話をいただくとともに、地域の消費者運動の現状等についてお話を伺いたいと思います。
それでは、まず、寺田かつ子元代表委員から御説明をお願いいたします。

○寺田元代表委員 おはようございます。私たちは東京都の消費者団体として生まれたわけですが、戦争中に大きくなりまして、平和のありがたさというものを大切に思っております。
これは体験からということなんですが、PTAですとか、婦人学級、生活学校といったところで学びまして、しっかりと生きるための知恵を身に付けた後、運動に入ったということになるのではないかと思います。
消費者保護基本法の制定で、東京都の消費者行政も力が入ってまいりました。消費者リーダー養成講座もたびたび開かれまして、今は亡き正田彬先生が「消費者よ手をつなげ」とたびたび呼びかけてくださり、若かった私たちがこれに応じました。各区・市に「消費者の会」が生まれました。そのリーダーたちが集まり、一体どう会を動かせばいいのかと話し合いをいたしました。
そこで、東京都地域消費者団体連絡会が生まれたのです。調査をしたり、話し合いをしたり、意見を述べたり、行動もいたしました。デモもやりました。市民の呼びかけ、展示、あらゆることをやってまいったのでございます。
行政の方ですが、現在、協働とよく言われます。初めは行政が導いてくれることが多く、また、場所も東京都にも消費者センターが本署と新宿、池袋、渋谷、立川などに支部がありまして、自由に使わせていただきました。会合を持ち、話し合い、展示をし、いろいろと活用させていただいたのです。
指導者も紹介していただきました。私たちは、知事室にも、国会にも足を運びました。有楽町ー霞が関に定期券が欲しいねというような仲間もおりました。きっちりと私たちの要望を書面で伝えていきました。消費者生活対策審議会の委員にもしていただき、大学の先生方に交じって、私たちは要望を伝えることもできました。
そうしているうちに、国より早く消費者生活条例中の8条に、申し立てをした場合には必ずお答えがいただけるという条文を入れることができました。私たちは、たびたびこれを使わせていただきました。
一方、業者との関わりですが、私たちは地域に根差した会があり、一緒に動くことができます。行政のみならず、企業、事業者が実際に動いてくださらないと改革はできません。都内各地の調査をしたり、話し合ったり、事業者の方々ともたびたびお話し合いを持ちました。
スーパーチェック、表示とか包装等について、スーパーでどのようにされているかという調査もいたしましたし、その結果を持ってお話し合いをいたしました。 私たちの調査の末、今では事業者が完全に製造物責任を果たして、再生してくださっているのが、あの白い発泡スチロールのトレーです。
今、大切に思っていることは、振り返ってみますと、40年余りいろいろな運動を繰り広げてきましたが、今、本当に消費者にとって安心・安全な消費生活が行われているでしょうか。消費者庁も生まれましたが、これからです。私たちの要望をしっかりとお伝えしていきたいと思っております。そして、それにはしっかりとした消費者を育てるための消費者教育が必要で、今こそと考えております。
現状は余り変わってはいません。少し手を緩めると表示の不完全なもの、不安な食品・添加物もなくなってはいません。それらがまた頭をもたげてくるのです。消費者庁がしっかりと、消費者の権利をお守りください。私たちが安心して生活できるためには、小さいときから健全な消費者を育てなければと思います。それには学校教育の中でも消費者教育をしっかりと取り上げていっていただきたいということです。
消費者委員会の先生方とはこれからもたびたび私たちとの話し合いを持っていただきたいと思います。御一緒に話し合いその手だてを考えていいきたいと思いますので、その辺はよろしくお願いしたいと思います。
行政、企業、消費者がともに話し合い、正しい消費生活の場をつくりたいと思います。新しい消費者庁が、しっかりとその任務を果たしてくださるために、私たちもできるだけのお手伝いをさせていただきたいと思っております。
昨日新聞を見ておりましたら、ごらんになったと思うんですけれども、「訪問販売お断り」こんなシールを各行政辺りでもつくっております。これが水戸黄門の印籠のように、これが出ているから入ってこないというふうに私たちも考えておりませんけれども、これは一つの意思表示だと思っております。私たちはこう思っているんですよということを知らせるためにも、こういうものを行政がつくってくれたのを私たちは張り付けたりしているわけです。
自治体が困惑しているということがここには出ておりますけれども、そういうものであるということを考えていただければというふうに思うわけです。私たちは、今までいろいろな運動をやってまいりました。その中で、展示もいたしましたし、調査もいたしました。そういったことは私たちができることはやっていきたい。これからもそうしていきたいと思っております。ところが、私たちのあとをついでくれる若い人たちがなかなか育ってこないというところもありますので、先ほどもお願いしたように消費者教育というものを進めていただいて、そういう人たちを育てていただければというふうに思っております。
私たちは余り力を持っているわけではありませんけれども、たくさんの足があります。私たちの会は各区や市に根をおろしておりますところがたくさんありますので、その辺で、ほかの大きい団体の方たちとも一緒になって、これからも私たちの消費者運動をできるだけ進めていければというふうに思っております。大きい団体と御一緒に今まではよくいろんな活動をやりました。有楽町の辺でもいろいろ拡声器で声を伝えたこともありました。デモ行進もやりました。一般の方たちが、そういったことによって、消費者が何を考えているか。こういうことは大事にしなければいけないんだということに気が付いてくださるということが大事だろうと思いますし、それは、一般の消費者だけでなく、企業の方も、そして、行政の方も御一緒にお考えいただけることではないかと思います。
私たちはこれからもできる限りいろんな活動をしていきたいと思っておりますので、先生方もどうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。
私の話は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、奥田代表委員より御説明をお願いいたします。

○奥田代表委員 続きまして、今の寺田さんの話の具体的な紹介になるんですが、私たちの団体、東京都地域消費者団体連絡会は、安全の権利こそすべてに優先、みんなの力で知ろう・叫ぼう・行動しようというモットーを掲げて、一応運動していることになっているんですが、日頃は私たち消費者団体連絡会というのは、情報の交換会のような形と、資料にございます2番の活動状況の1~9番のために追われている状況です。
本当は、例えば、その他随時問題とかを勉強していかなければいけないんですけれども、なかなかほとんど素人の集団ですから、例えば放射線照射食品は怖いねとか、遺伝子組換え食品は気味が悪いねという、怖いねとか気味が悪いねという状況からなかなか脱し得ないので、ほかの方を説得することに欠ける。それは重々わかっているんですけれども、専門家の方の説明がなかなか理解できない。それと、怖いね、気味悪いねとすり合わせるところが大事ではないかと思いそこの勉強をするところに主な時間をとられていると思います。
寺田さんからも出ました、だんだん組織が弱体化していることがまず問題です。どうしても、女性の団体に限りませんけれども、こういう団体が一つできて10年、20年とやってくると、その仲間にそとからはなかなか加わりにくいようです。いろいろな仲間が入ってきても、もう10年、20年とみんな仲良くやっていると、なかなかそこになじみにくいという環境があるようです。ですから、新しい団体をどんどんつくっていただいて、私たちは古い団体で、新しい団体は新しい団体でまたやっていくという形でどんどんつくっていかない限り、消費者団体というのは滅亡するのではないかと思っています。
私たちは、最初のできたころから東京都に支えられて、事務所とか事務局を持たずにやってきました。事務職員を置きませんし、事務所も借りませんから、経済的には何もかからないので強みではあるんですけれども、すごく不便で大変なことでもあります。東京都の消費者センタ-を利用できると言うことで、とても助かっています。
4番目に書いてあります。最後の提言とか要望なんですけれども、消費者教育というのは、市民、消費者を教育するのではなく勿論それも一番大事なんですけれども、東京都であれば、都の職員とか、私が住んでいる西東京市であれば西東京市の職員をまずきっちり教育していただきたいと思うことがあります。というのは、一緒にいろいろなことをやりたいと思っても、職員はそういう市民運動的な考え方ではありませんから、なかなか協働といっても一緒にはやれないわけです。お金さえ出せばいいだろうとか、場所を貸せばいいだろうとか、例えば私たちが文化的、娯楽的なことを含めているわけではなくて、そういう公民館的な活動と同じ形に思っていますから、場所だけ与えておけば勝手にやっているだろうと。でも、消費者運動というのは勝手にやっても本質が伝わっていかないわけです。
例えば資料1-3の2ページ目に、最初に書いてある蛍光染料というのがございますが、私たちの先輩方の運動で、蛍光染料を乳幼児の衣料には使わないでほしいという、運動のが受け入れられて、乳幼児の肌着とかには、蛍光染料は使われていないんです。ですけれども、赤ちゃんを育てているお母さんには消費者教育がありませんから、蛍光染料を使った合成洗剤がありますが、そういうものでどんどん赤ちゃんの肌着を洗えば蛍光染料は移っていきます。そういう消費者教育がなされていないわけです。
消費者教育というのはただ単にいいものを食べようとかそういったことではなくて、世の中の仕組みはどうなっているか。あるいは消費者団体がどういうふうに苦労してきたか。そういったところも酌み取って、それが実現されるような形で教育されたらいいと思います。
それから、自治体の方で市民のためにいろいろないい情報があるんですけれども、そういったものが本当に市民に1人ずつ手渡されているかということがあります。
例えば、ちょっと東京都には申し上げないんですけれども、こういう大切な資料だから、都民1人ずつに渡したいという資料があったんです。東京都の方はこれを新聞の折り込みチラシと一緒に入れました。今の折り込みチラシの状況を知らないんです。新聞が来て折り込みチラシが入っていても、チラシだけどんと捨ててしまうわけです。ですから、これが届いたか届かないかということは全然問題ではなくて、配ったよという事実だけがある。そういうふうに、やったよと言われたことと、市民にとってやられたよということとは違うということを認識していただきたいと思います。
あとは、消費者センターも予算が制約されてきまして、テストとか、そういった情報の収集のカバーとかいったことに関してはなかなか予算が回ってこないように思います。私たち消費者団体としては、そういったところが非常に重要なところでなので、そういったところにも目を配っていただきたいと思います。
あと、今、申しました情報が欲しい市民に届かないときには、そういう大事な問題を扱っている市民団体があると思うんです。そういったところを活用して、ちゃんと届くようなことができないかとか、消費者団体に限らず、そういう市民団体を活用していくことを考えて頂けると、お互いにうまくいくのではと思っています。
以上で説明を終わります。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまのお二人の御説明につきまして、御質問、御意見がございましたらお出しください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 どうも御苦労様です。今いろいろ歴史のある貴重なお話をいただいたんですが、これからの消費者団体を、先ほどおっしゃったように、新しい仲間が古いところに入りにくいとすれば、新しい団体をどんどん作った方がいいという御提案だったんですが、皆さん方は自分たちで作られた経験があるんですが、新しい団体をつくるときのポイントとか秘訣のようなものは何かありますか。

○寺田元代表委員 やはりその前の消費者教育ということになるのではないかと思います。私たちも都における消費者教育が盛んに行われまして、みんなで一生懸命やらなければいけないなという気分にさせられていったというところから始まったのではないかと思います。
そのころいろんな危ない添加物だとか、そういう事件等もありましたけれども、今もそういうことはありますね。そういうものをうまくとらえて、そこでみんなやらなければいけないということを教えていくということではないかと思います。
もう一つは、小学校のころからそういう気分を持って育てていきたいということもあります。

○中村委員長代理 ありがとうございました。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 どうもありがとうございました。今年、もう発足40年ということですが、主婦連とはいろいろ御一緒に活動をしてきました。「安全の権利こそすべてが優先にする」ということとか、「みんなの力で知ろう、活動しよう」というスローガンで取り組まれてきました。消費者から見た欠陥展は、私も何度か拝見させていただきました。本当に地道な長い活動に敬意を表したいと思います。
お聞きしたいんですけれども、東京都条例の8条のことを、寺田さんがお触れになりました。この8条があってよかったと思われる点とか、また、東京だけではなくて、国のレベルにこういう制度があったらいいのではないかと思われるか、その点をお聞きしたいのと。
奥田さんが行政との協働ということをお話しになりましたけれども、その中で何かいい例がありましたら教えてください。この2つをお願いします。

○寺田元代表委員 8条ですが、ちょっと挙げる事例がないんですけれども、東京都にこうしてほしいということを言いますね。だけど言いっ放しでお答えが返ってこなければこちらはがどうすることもできないわけですが、これはこういうふうにしました、という答えがちゃんと返ってくるということが、その条例で約束されているわけです。だから私たちがこうしてほしいということを、例えば、この添加物は中止したいんだけれどもといった場合に、これはやめてくださいというふうな条例をつくってくださるとか、そういうことが端的に行われれば私たちの運動の成果となると思います。ちょっと事例が挙げられなくてごめんなさい。 あと、国で、そういう法律があれば、それは大変効き目が大きいと思います。

○奥田代表委員 協働の場というのはなかなかないんです。今のところ市民生活展とか、都で言えば月間というのが一応協働という形になっていると思います。でも、職員の方は、どちらかというと、自分の仕事なのかとか、手を出すべきか出さないべきかに迷いがあるような末端の職員と接するわけです。権限がない方が多いので、自分の頭で考えて行動しようという職員は、なかなかいらっしゃらないというか、そういうことは多分止められているのではないかと思うんです。職員の規範の中に、勝手に動いてはいけないということがあるのかなと。何に基づいて職員は動くのかというところが私たちはすごく疑問なんですけれども、協働する場合には、目的があって、それに消費者団体も行政も企業も、みんな一緒にそれをその目的を達成しましょうということなんですが、その目的が下手したら違うのかなというふうに思ったりすることもありますから、なかなか協働というのはどういう意味かというのがまだお互いに理解できていないのではないかと思いますので、成功例というのはなかなかよくわかりません。
例えば、生活展については、都は月間でやっていますけれども、各地区はそれぞれ独立してやっているわけです。私たちの団体は各地区の人たちが来ていますから、お互いにその地区がどうやってやっているかという話し合いをすると、地区によって全然違う。ただお金を出したらいいだけとか、職員も一緒にやっているところとか、お金も出さないし何もしないというところは、もうそういうことをやらなくてもいいというところもあるし、さまざまですね。お答えになりませんけれども。

○佐野委員 ありがとうございました。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 ありがとうございました。長い歴史の中で、私どももいろいろ関わらせていただきました。先ほど中村委員も質問されましたが、新しい団体をつくるということなんですが、一番最後のページを拝見いたしますと、都地消連に入ってらっしゃるのは、23区の中で12だけなんですね。ほかの団体がどのようになっているのか。
それから、これ以外のところでも、地方自治体の担当課があって、それぞれに育成しているところもあるやに伺っていますが、23区だけではなく、地域の中でどのように担当課が動いているのか。全然興味がないような職員もだんだん多くなってきているかとは思いますけれども、ほかの地域の方と未加入の方、そういうものに関してもっとどうしたら積極的に働きかけができるかということをお伺いしたいと思います。
確かに予算もないし、行政の考え方にも関わるかとは思いますが、何か考えられるものがありましたら教えてください。

○奥田代表委員 例えば今お手元に配っていませんけれども、毎年10月5日にレジ袋ノーデイという日がありまして、レジ袋辞退調査というのを全都でやりたいと思っています。私たちの団体のある区だけでは、都を半分カバーできないわけです。ないところについては、例えば練馬とか中野とかという具合に、ある団体に働きかけて、一緒に調査しませんかという形でやっていただいて、あわよくば本当はうちの連絡会に入ってほしいんだけれどもというところまではいかないんですけれども、できるだけ何かやるときには声をかけて、一緒にやりましょうという形で、今ある私たちの区には入っていないところには働きかけています。
今時の新しい団体というのは、単体の目的が多いんです。私たちは何でもかんでもやってしまおうという団体ですと、単体の仲間というのはそういうところには入りにくい。例えばレジ袋だけだったら協力する。例えばパッケージの調査だけだったら協力する。そういう形になって、1から10まで一緒にやろうというわけにはなかなかいきません。それが今の現状です。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 どうもありがとうございました。身近な問題を着実に取り上げてこられた実績は、改めてすばらしい報告だったと思います。
伺いたいのは、事務局、それから事務所も持たないでやっていらしたということなんですけれども、今、正直に申しますと、消費者団体は人的にも財政的にも非常に厳しい状況にあって、なかなかうまく運営していけないという状況で、消費者団体に頑張っていただきたい時代が来たにもかかわらずというところがあるんですけれども、消費者団体に対して、何らかの行政からの支援というものが考えられるとしたならば、どのような形が一番よいというようにお考えになってらっしゃるかお聞かせください。

○奥田代表委員 4年ほど前に、レジ袋の調査で韓国に10人足らずで行ったんです。そのときに、韓国の消費者庁の方がお話ししてくれましたのは、韓国ではレジ袋はデポジットになっているそうですが、例えば日本円で4円ぐらいのデポジットなんだそうです。
ところが、5割以上は返ってこない。そのお金が浮くわけです。そういうものを消費者団体の支援に回していますという説明だったんです。うらやましいわねという話をして帰ってきたんですけれども、やはり支援と言われても、お金をほいとあげると言われたら、正直に受け取っていいものかどうかというのは、ちょっと考えますね。
そういうひも付きではないものは幾らでも欲しいとは思いますけれども、なかなかそういうものは転がっていませんで、私たちは、例えば農水省の調査をやって、皆さんに、例えば50人やっていただいて、1人が2万円か3万円の謝金が出たら、そこから1割ぴんはねする形で、ちょっと言葉は悪いですけれども、そういうものを会費にしています。都の審議会等の謝金についても、同じです。

○日和佐委員 ありがとうございました。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 最後に団体への支援で、組織からの提案・要望とあるんですけれども、項目は書いてあるんですけれども、これは具体的にはどういうことをしてほしいということですか。

○奥田代表委員 私たちは、ほとんど素人の仲間ばかりなんです。ですからデータを集めようにもそれが信頼できるデータかどうかというのはなかなか厳しいものがありまして、今はネットで集めれば幾らでもデータは集まるですけれども、それを実証する能力がないわけです。だから、そういった相談する相手を自治体で紹介していただけるとか、あるいは例えばテストですけれども、8条の申し出で、例えばこの照射食品をテストしてくださいと言ったとしても予算がないからだめという形でなかなか8条の申し出も、中身によりけりなんです。
例えばこれが怪しいからテストしてほしいと思ったときに、消費者センターにクレームとして申し立てるよりないかなと。でも、それをやってもらえるかどうかというのは、ちょっと保証の限りではないわけです。そういうバックアップしていただけるような支援がいただきたいと思っております。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
それでは、寺田元代表委員、奥田代表委員におかれましては、お忙しい中、委員会の審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
本日のお二人の発言等も踏まえまして、消費者委員会にて更に検討を深めていきたいと思います。

≪2.地方消費者行政の充実について ― (2) 事務局からの調査報告≫

○松本委員長 この地方消費者行政の問題につきましては、これまで委員会の事務局の方でも調査を行っておりますので、本日はその調査結果について事務局から報告をしていただきたいと思います。

○斎藤審議官 それでは、事務局の方で行いました実際調査の報告書を手元にお配りしております。資料2-1、資料2-2、資料2-3、資料2-4までございます。
資料2-1に基づいて御説明をさせていただきたいと思います。
2ページ目「調査の趣旨及び概要」でございます。趣旨のところは飛ばしまして、どういう調査を行ったかということでございますが、そこにありますように相談ネットワーク、情報ネットワーク、関係法執行体制という3つの点に注目をした調査を行いました。
実施期間といたしましては、10月の末から11月の末までということでございます。
実施方法でございますが、実地調査ということで、事務局の職員が10個の府県、5個の市、1つの団体、そこにありますようなところを訪問し、現場の方々あるいは職員の方々からヒアリングをさせていただきました。また、書面調査という形で、全国46道府県及び1,611の市町村に対しまして書面調査を行いました。市町村につきましては、道府県を通じてお答えをいただいたところでございます。なお、東京都につきましては、残念ながら御協力はいただけなかったということでございます。
4ページ目、調査の中身に入りまして、相談ネットワークということで、各地にセンター、窓口が、どの程度設置されているかということを見たものでございます。真ん中の2つの縦にごらんいただきますと、46道府県、18の政令市につきましては、センターが100%設置されております。その下をごらんいただきますと、週にどれだけ開設しているかということで、週5日以上ということで、更に下をごらんいただきますと、土日も開設しているというところがそれぞれ約6割程度ございます。
他方、右端の方をごらんいただきますと、これは1,593市町村の平均値でございますけれども、センターを設置しているところが19%、窓口設置が60%、未設置が16%となっております。その下の方をごらんいただきまして、窓口で土日も開いているところは2%といったところにとどまっております。
1枚戻って3ページ、左上のところにセンター・窓口設置状況となっております。全部まとめますと、センター設置が22%、窓口設置が62%、未設置が16%となっています。この未設置16%につきまして、23年度の末までに窓口等を設置する予定がどうなっているかをお尋ねしたところ、センターを設置する予定というが7%、窓口設置予定というのが62%、設置予定なしというのが31%ということで、23年度末までにはかなり窓口まで考えればかなり設置が進むという先行きが見通せている状況でございます。
では、今の窓口の状況は、どうなっているかということでその下の方をごらんいただきますと、相談員が配置されているところが30%となっております。それ以外のところは相談員なしということで、約7割ございます。相談員はいないというところでは、窓口の対応はどうなっているかといいますと、職員が兼任という形で行っているというところが99%ということでございます。窓口といいましてもなかなか相談員を専属で張りつけるところまでには至っていないということでございます。
5ページ目、相談員とともに行政職員も窓口やセンターに配置されていることが望ましいわけでございますけれども、道府県、政令市におきましては100%専任職員が配置されております。市町村におきましては、右端の上ですが、専任の配置は12%ということで、兼任という形が8割という形になっております。
相談員の方々の年代構成でございますけれども、その下の方をごらんいただきますと、円グラフがございまして、大体40代、50代の年代の方々が、大宗を占めておられます。市町村の方にまいりますと、60代の方が結構なシェアいらっしゃいます。あとマニュアル作成の有無についても、道府県、政令市については作成しているところが半分程度ございますが、市町村になりますと作成しているところは22%という数字でございます。
6ページ目、相談員の処遇についても調査をいたしました。上の方の字で書いてあるところでございますが、道府県、市町村によりまして、非常勤職員等に係わる勤務要綱や条例が異なりまして、任用の形態、勤務時間、勤務日数、具体的な報酬の金額、その支給方法は多種多様でありまして、これはなかなか統計的にきれいな形でお示しすることができなかったものでございますので、ここでは非常に単純な形でお示しをしております。
下の方にございますように、通勤手当か支給されているかいないかというところで見ますと、支給されているというのは47%、支給されていないというのが53%となっております。
時間外勤務手当てが支給されているかどうかという点に関しましては、支給されているというのが24%、支給されていないというのが76%でございます。
また、いわゆる雇止め、通算任用期間の制限があるかないかということに関しましては、あるというのが27%、なしというのが73%ということになっております。
あと上の方の文字で書いてあるところの4つ目のポツのところに、処遇に関する取り組みとして、いろいろ工夫をされているところもございます。これはまた後ほどお時間があるときにでもごらんいただければと思います。
7ページ目、情報ネットワーク関係ということで、商品テストの実施状況等を調べております。左下のグラフでございますが、道府県・政令市、これはその下の注1をごらんいただきますと、46道府県・17政令市についての回答を基に集計したものでございますが、平成20年度に商品テストを実施していないところが13、1~10件が27、11~50件が20ということで、数的にはさほど多いものではないということです。
右下の方をごらんいただきますと、都道府県・政令市における商品テストの実施主体ということで、これはどこが実施しているかということでございますけれども、道府県・政令市自ら実施しているというのが、平成20年度では6割弱となっております。NITEに依頼して行っているというのが、その上の赤いところでございます。それから、国民生活センターはその上の緑色のところで、率的には余り大きなものではございません。
上の文書のところの一番下に括弧書きで説明が書いてございますが、国民生活センターへの商品テストの依頼件数が少ない理由としては、全国で1か所、相模原市のみで実施しているということで、地理的な位置的な面でなかなか難しいということが挙げられておりました。
8ページ目、商品テストの実施体制ということでありますが。左下のグラフをごらんいただきますと、道府県・政令市における商品テストの担当職員数を合計したものでございます。年々少しずつ人数が減っているという状況でございます。
1つの道府県・政令市当たり何人ぐらい担当職員がいらっしゃるのかということを21年度で見たものでございますが、担当職員がいないとお答えになったところが25ございます。1人というところが18、2人というところが9といったような状況でございます。
一番右のところをごらんいただきますと、設備関係の状況でございますが、機器を購入したり更新したりしているのかないのかということをお尋ねしたものでございますが、18年度、19年度、20年度とほとんどしていないというお答えが多かったわけですけれども、21年度は更新等を多少したという県の数が増えております。これは、上の方の御説明にもかいてございますけれども、その多くが地方消費者行政活性化基金の活用を予定しているということでございます。
9ページ目、これはPIO-NETの設置状況を調べたものでございます。左下のグラフをごらんいただきたいと思いますが、更にその下の注1にありますように、46道府県・1,611市町村について、まず、20年度末時点での設置箇所をお尋ねしましたところ、市町村が295、道府県が130ということで、合計しますと425ということになります。
では、23年度末時点でどの程度を設置する意向があるのかということをお尋ねしたところ、市町村において662、道府県において122という結果になっております。単純に伸びで見ますと1.8倍ということで、かなり増えるような見込みがうかがえるところでございます。
真ん中のグラフをごらんいただきますと、市町村における設置状況ということで、都道府県においてはもう設置されておりますので、これから市町村にどれだけ増やしていくかということが問題になるわけですが、市町村におきましてはPIO-NETが設置されているところが17%、残りの83%は未設置ということになりますが、そのうち窓口を週4日以上開設して、PIO-NETの配備基準に達しているところが44%あるということで、この辺りはこれから設置を進めていくことが可能なところであろうということでございます。
右下のグラフは、PIO-NETを設けることでどれだけの相談が、ネットの中に取り込むことができるかということを見ようとしたものでございまして、PIO-NETが未設置のところでどれだけ相談件数があるのかということをお聞きしたところ、これは全体の7%ということで、上の文章のところにもかいてございますが、件数で言いますと6万7,000件、全体の7%ということになりますが、そのくらいのものがPIO-NETがないために拾えていない状況ということになります。
10ページ目、執行体制の関係でございますけれども、特商法にいたしましても、景表法にいたしましても、立入検査をしたり、あるいは取り調べをしたり、調書を取ったりということが必要なわけですが、警察においてそういうノウハウが蓄積されているわけですけれども、こういう警察関係の方をどれだけお使いになっているかということをお尋ねしたわけですが、採用しているというところが全体の約半数の24ございました。更にその内訳を見ますと、現職の警察官が言わば出向という形で来ているところが5、OBの方が非常勤ということで働いているところが19あるという状況でございます。
11ページ目、特商法と景表法の執行状況を見たものでございます。左方が特商法の行政処分の件数で、18年度~20年度の3年間についての件数を取ったものでございます。円グラフをごらんいただきますと、この3年間に処分がゼロというところが20%ございます。1件ないし3件というところが43%、3年間で3件ということは年間に1件ということでございますので、年間1件以下というところが合わせると63%ということであります。他方、10件以上というところも15%ということで、県の数で言いますと左肩の表でありますように、7件ございます。
右肩の方は、景表法の文書による行政指導の件数を見たものでございまして、大体特商法の処分と似たような傾向でございます。0件というところが26%、1件~3件が32%となっております。10件以上も9%ということであります。
12ページ目、これはブロック別に執行状況を見たものでございます。下の棒グラフをごらんいただきますと、やはり関東や近畿といった人口も多く、経済規模も大きなところで行政処分がかなりたくさんなされているわけですけれども、例えば北海道とか四国なども、人口や経済規模に比べると件数的には結構な数が出ております。他方、中国とか九州といったところは、相対的に見ると件数はやや少ないのかなという感じがするわけでございます。
以上が計数的なデータの御説明でございました。
13ページ目、こういう数字で表れるもの以外に、実地調査あるいは書面調査で、皆様から多くの意見・要望をいただいたわけでございます。その全体のものにつきましては、資料2-3という別紙に整理してございます。この13ページは、その中でも、幾つかピックアップしたものでございます。
最初のポツにおきましては、市町村でなかなか人材不足、あるいは相談員の人件費が確保できないということで、窓口の設置が難しい。行政職員も非常に兼務が多くて、業務量が飽和状態といったような実態が述べられておりました。
2つ目、県単独の商品テストを行おうとしましても、職員の確保あるいは専門性の維持、設備機器の確保という点から、かなり困難がある。地方がどのように役割を果たしていくかということを明確にしてほしいという要望がございました。
3つ目、事故情報の一元化ということに関して、市町村においては、安全法による通知の範囲についての制度への理解がまだ十分ではないという御指摘がありました。
4つ目、消費生活センターの相談窓口と法執行業務を同じ場所で行うことにより、相互の連携が図られる。あっせんの解決、事業者指導という両方に効果的な対応が図られている県もあったということでございます。
5つ目、ここでは、予算面の話が書いておりますけれども、予算や人員が削減されている中で、消費者行政について3年という短期間に十分に拡充することは容易ではないという声が聞こえてまいりました。
一番下になりますが、消費者行政活性化の集中強化育成期間については、3年となっておりますが、これを更に延ばして、現場の声も反映して、より広い対象に活用できるようにしてほしいという要望もございました。
最後の14ページ目、そのほか、財政的あるいは人員的に厳しい状況の中でいろいろ地方において工夫を凝らして、問題解決に当たっておられる事例が幾つかあったわけですけれども、そういったものをここで、かなり抽象的な形で並べております。
一番上には、市町村や弁護士等との効果的な連携ということを書いてございますし、3つ目のところでは、消費生活センターを開設すると潜在的な相談を発掘して件数が以前の2倍に増えたということが出ております。
その下のポツでは、広域連合等の行政組織を活用した相談窓口の開設の取組みをされているところもございます。
その2つ下、相談と執行の体制を集約した効果的な業務の実施、これは相談と執行をなるべく近いところでやるということで、相談の解決あるいは執行の強化という両方の効果がねらえるということでございます。
一番下でございますが、消費者行政推進本部を設置して、県庁内の連携を強化するという取り組みもあったわけでございます。
これは幾つかピックアップしたものでございまして、更にそれぞれもう少し詳しい説明は別紙3にございまして、資料2-4にもうちょっと詳しい内容が書いてございます。
資料2-2ということで、A3の縦長の資料、これは道府県・政令市における商品テスト、どういうものをやっているかということを見たものでございます。左肩の黄色いところにありますように、自ら実施した商品テストということでは、クリーニング関係が非常に多いということが読み取れるわけでございます。あとオレンジ色のところは、他のテスト機関と協働で実施したもので、クリーニング以外のものが書いてございます。1つのカテゴリーとしてはクリーニング関係が非常に多いということでございます。青のところは、NITEや国セン等に依頼したものは、どんなものがあるかということを書いてございます。これは御参考までにということでございます。
最後にまとめさせていただきますと、今回かなり文書による調査としては網羅的な調査をいたしまして、3つの点が言えるかと思います。
1つは、相談ネットワークに関しましては、道府県や政令市においてはかなり体制が、センターをつくり専任職員を配置する、窓口も週5日以上開設するという意味で、体制がかなり整ってきておりますが、市町村レベルになりますと、また不十分なところが多い。23年度末には窓口を設置するというところはかなり増えてまいりますけれども、その場合でも、やはり窓口で十分な体制が組めているのかというところでは、まだ一抹の不安が残るというところでございます。
2つ目には、商品テストの関係でございますが、道府県が行っている体制が、人や設備の面でかなり弱くなっているということがうかがえました。今後この位置づけをどういうふうに考えるのか、どういう考えの下に強化していくのかということが問われるだろうと考えられます。
3つ目には、いろいろ法律の執行面で地域によるばらつきが見られたところでございます。本来どこにいるかということで、処分があったりなかったりということがあってはならないわけでありまして、その辺はこれからの取り組みが必要なところかなというふうに感じたところでございます。
最後になりましたが、今回の調査はかなり短い期間で集中的にさせていただきました。その間、各都道府県の担当者の方々には大変お忙しい中御協力をいただきました。この場を借りして、その点感謝を申し上げたいと思います。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。このデータに基づく御意見につきましては、この後で行います委員会としての考え方の整理のところでお出しいただくとして、まず、今の報告についての質問がございましたら、お出しください。
中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 2ページの概要のところで、母数のことを確認しておきたいのですが、まず、書面調査の対象、日本には47都道府県あると思うんですが、46で道府県と書いてあるから東京都が入っていないというのはすぐわかるんですが、1,611の市町村、たしか今、日本の市町村は全部で1,777あって、そのほかに東京都の23区という特別区があって、合計1,800だと思うんですが、これは東京都の特別区も外れているという理解でよろしいんですか。もしそこの23区や東京都が外れているとしたら、どういう理由なのか簡単に説明いただければと思います。

○齋藤審議官 今の中村委員の御質問でございますけれども、おっしゃるとおり東京都は外れております。それから、東京都下の23区、市町村も外れております。
理由は詳しく追求しておりませんので、よくわからないんですけれども、御協力をほかの道府県と同じようにお願いをしたわけでございますが、結果的には御協力がいただけなかったということで、こちらとしてもそれ以上お願いするだけの特別の権限がないものですから、そこでとどまっているということでございます。(注)ただ、東京都さんには個別のヒアリングでこの委員会の場にも来ていただきまして、御説明していただいておりますので、特に協力したくないとか、そういうことではなかっただろうと思います。詳しい理由はよくわかりません。

○松本委員長 よろしいでしょうか。
山口委員、どうぞ。

○山口委員 9ページのPIO-NETなんですが、特に市町村のレベルで設置されていない市町村が1,000以上あるということになるかと思うんですが、これから設置するに当たって、PIO-NETを市町村に設置する場合、勿論、情報を発信する側の市町村のスタッフがいるいないの問題はあるんですが、やはり相談員がPIO-NETをのぞきながら相談活動をするという意味では、情報を受け取る側の機材の設置だけでも、今の高度化されたネットの配信の仕方だと数十万で設置できるはずだと思うんですが、そこら辺は予算規模とか、どうして設置されないのかとか、その辺がもしわかれば簡単に教えていただければと思います。

○消費者委員会事務局前田参事官補佐 担当の前田ですけれども、予算については、今、確認をしておりますので、後日御連絡申し上げたいと思います。
もう一つ、4日以上というところが、今のセンターの基準になっております。これは、安全法の中で、政令の中で4日以上ということが一応センターの基準になっています。また、国センの方でもPIO-NET設置につきましては、運用上4日以上ということが基準になっております。その4日というのを、どういうふうに見つめていくのかということは、今後の検討の材料になるのかと思っておりますが、その辺り一応、今、物差しの中で整理されている状況で、このような形になっていると認識しております。

○松本委員長 4日以上は開設しているけれども、設置をしていない自治体がかなりあることの理由については、何かお聞きになっていますか。

○前田参事官補佐 この点にもちょっとありますけれども、やはり担当者の方も高齢者の方がいらっしゃるということもありまして、PIO-NETにつきましては、従前から使い勝手といいますか、どのようにというのがいろいろと議論されていると思います。その上では、やはり高齢の方々がPIO-NETを使いなるときに、入力するということがかなり大変だというお話は現場の方ではお伺いしております。

(注)この発言内容については、その後の第10回消費者委員会の冒頭、齋藤審議官より修正発言がなされているのでご参照ください。

≪2.地方消費者行政の充実について ― (3) 地方消費者行政の充実強化に向けて≫

○松本委員長 今の点をどう改善するか等を含めて、次のテーマでございます地方消費者行政の充実強化に向けて、委員会として考え方を今後まとめていく必要があるわけですが、そのとりまとめの現段階の案につきまして、まず、佐野委員から御説明をお願いいたします。

○佐野委員 それでは、資料3の「地方消費者行政の充実強化に向けて」をごらんください。前回、消費者委員会で出された意見を整理しまして、更に検討を重ねました。最終的には、消費者委員8人が検討に参加したわけですが、全員でないために一応「有志」という名前にしてあります。更に検討を重ねて、よいものにしていきたいと思っております。
これは、地方消費者行政の充実強化へ向けた論点案でありまして、私たちはこの論点案を検討するに当たって、幾つかの点を前提にいたしました。
まず1つは、地方自治、地方分権の尊重、その拡大・強化。
2つ目は、地方消費者行政をできるだけ正確に把握すること。
3つ目は、その実態を基に、実情に即した問題や改善案を検討すること。
この3つは、ここでヒアリングをしましたときに、いろいろ提案されたものであります。実態把握については、今、事務局の方からご報告がありましたし、また、消費者庁の方も調査をされているので、もっと実態が明らかになるにつれて私たちの論点も変えていきたいと思っております。
4つ目は、国会でいろいろ検討されたときの附則とか附帯決議、そして更に消費者目線を入れて考えました。消費者基本法は、消費者の権利の尊重と消費者の自立支援を、国と地方自治体の責務としています。また、消費者庁設置法にも同様の規定が任務として記載されておりますので、この論点案を検討するに当たって、消費者の目線、つまり消費者の権利の観点からも取り組みました。
前回は、総論、結論ということでまとめましたが、今回はⅠ、Ⅱとしました。まず、「Ⅰ.地方消費者行政の充実強化の基本的視点」、これを膨らませました。明治以来の産業育成を中心課題とした行政の施策を、消費者重視に転換するという大きな変化の流れの中で、消費者庁と消費者委員会がつくられたわけですが、消費者行政の強化が図られつつとありますけれども、まだまだ地域の問題解決能力を高める必要があります。そのために、地方消費者行政の充実強化は極めて切実な緊急の課題であります。
地方消費者行政活性化基金は、向こう3年間を地方消費者行政の集中育成・強化期間と位置づけておりますけれども、4年目以降はどうするのか。その4年目以降を見通した人材確保等のプランまで示されておりません。
消費者委員会では、地方消費者行政の充実強化がどのようになされるべきかを、平成22年度末をめどに提言し、その実現を図る予定であります。その際、消費者委員会は地方の実態把握をしながら、地方自治を尊重しつつ、地方分権の強化・拡大に向けた今日の議論現状を踏まえて、消費者行政における国と地方の関与・役割分担のあり方を整理して上で、消費者目線から提言する予定であります。
そして「Ⅱ.そのために検討されるべき論点」としまして8つ挙げました。まず第1に、消費者行政における国と地方の関与・役割分担のあり方。消費者行政を取り巻く国と地方の役割と将来の方向性、地方消費者行政を支える財源のあり方はどうするのかということであります。
2番目に、国と地方のネットワーク、この下に1~3が片括弧になっておりますが、これは両括弧の間違いでありますので、左側に括弧を付けてください。国と地方のネットワークで、消費生活センター・消費生活相談窓口の整備のあり方、2番目には隣接県のブロックとか県と市町村、近隣市町村など、地方自治体相互のネットワークをどうするべきか、そして国民生活センターがネットワークに果たす役割とは何か。
3番目に、情報の収集・分析及び情報提供のあり方。情報の収集体制はどうするか。先ほども議論にありましたPIO-NETなどの設置・活用のあり方はどうあるべきか。2番目に、情報の適切な分析のシステム。3番目には、消費者にそれらの情報を迅速・適切に提供するためにはどうするべきか。
4番目に、テストのあり方を挙げました。テストといいましても商品比較テスト・原因究明テスト・自主テストなど、さまざまなテストがありますが、そのテストなどを実施する機能のあり方をどうするべきか考えたいと思います。
最初に、地方消費者行政の施策の中にどう位置づけるのか。2番目には、国民生活センターやNITEなどのテスト機関をどう活用するのか。3番目には、相互のテスト機関の連携・役割分担をどう考えるか。
5番目は、自治体による法執行のあり方です。特定商取引法や景品表示法等を都道府県で適切迅速に執行していくためには、どのような体制づくりが必要か。国の機関との連携・協力体制のあり方はどうあるべきか。更に法執行関連の研修の充実をどう図るか。
6番目は、消費生活相談員制度のあり方です。相談員、相談体制への支援はどうあるべきか。相談員の処遇はどのようにしたらよいのか。相談員の教育・研修・支援のありかはどうあるべきか、などです。
7番目に、消費者、事業者、行政などの協働及び消費者の声を政策決定などに反映させるシステム構築のあり方を挙げました。各地方自治体と消費者団体、市民団体、NPO、事業者団体及び各種専門家、研究機関との連携協力体制をどう構築するか。また、特に消費者被害の情報収集啓発などを行う消費者団体との連携、支援をどうするか。さらに、消費者及び高齢者、障害者、子どもなど、社会的弱者の声を自治体消費者行政に反映させるシステムをどうするか、です。
8番目は、地方消費者行政の充実強化に向けた組織体制と人材育成のあり方。1として、地方消費者行政推進体制はどのような組織がよいか。消費者行政に携わる人材育成及び意欲喚起をどうするか。
ということで、8点にまとめました。
以上です。

○松本委員長 ありがとうございました。このような形での論点の整理を有志の方々にしていただいたわけですが、これにつきまして、ここで更に御意見をお出しいただいて、次回により完成度の高いものをお出しいただきたいと思います。どうぞ、御意見をお出しください。
池田委員、どうぞ。

○池田委員 今、改めて気が付いたことをまず一つ。2ページの一番上の(1)の171国会審議の状況という言葉は、もう少しきちんとした方がいいと思います。これはだれが見てもわかりませんので。

○松本委員長 これは、今年の通常国会ということですね。

○池田委員 それともう一つ、佐野さんの説明の言葉としては、消費者行政の充実ということで、消費者の自立という言葉が出てきたんですけれども、この地方消費者行政の充実強化に向けてということで、消費者の自立という目的の言葉が一つも出てこないんですね。これは何らかの形で、8番目か総論か何かなんでしょうけれども、やはりそこが一番大事なことではないかと思いますので、それは何かの文章で入っていく必要があると思います。

○松本委員長 そうですね。おっしゃるとおりで、消費者教育、啓発、自立支援といったジャンルがあるわけですが、あえて言えば7に入るのかもしれませんが、7はどちらかというと協働という部分が中心になっているようなので、本日の最初にお話しいただいた東京都の地域の消費者団体のお話ですと、まず、講座等でやる気にさせられて、それで何かしなければいけないということで、何とかつくって動き出したということなんで、そういうよいプロセスといいましょうかサイクルができるような形が必要だと思いますから、うまく今の点をどこかに入れるようにお願いいたします。
櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 私はこの有志の中に入っていないので、この場でコメントをさせていただきたいと思いますけれども、前回のものに比べますと、随分バージョンアップされているという感じがしております。特にⅠの最初の部分の2段落目、地元の生活に密着した行政の充実を図ることが重要というくだりがありまして、確かに消費者行政というのは地方が重要といいますか、そこがコアであるということはそのとおりなので、基本的なトーンは賛同できるというふうに考えております。
その上でなんですが、Ⅱの1のところで、地方自治、地方分権と消費者行政というテーマが挙げられているんですが、ここは少しどうするのかなということが悩ましいところがありまして、今の政権与党が野党だったころに、消費者行政は重要だから国家公務員にしろとか、そんな議論もあったわけで、むしろ分権ではなくて、そうじゃないところで仕組みをつくっていかなければいかないのではないかというような問題意識があり、それから、消費者庁の方で検討されている文章などを見ますと、自治事務なんだけれども国が関与しないとみたいな、やや矛盾に満ちたことが、苦しいながら書いてある。その点、このペーパーですと、そういう悩みは振り捨てて地方分権でいくというようなことなのか、私自身はどちらかというとニュートラルなんですけれども、それでいくのかどうかという基本路線のところは、本質的な議論が必要なのかなというふうに思っています。
もう一つは、2ページ目の5のところなんですが、自治体による法執行のあり方というところで、これは、後で山口委員から御発言があるかもしれませんが、改正特商法の議論とも関係するんだけれども、私から見ると、消費者法分野の法制度はかなり特徴がありまして、特に特定商取引法などを見ると、主務大臣に権限が集中してあるように書いてあるにもかかわらず、包括的に都道府県に権限を委任するようなふわっとした仕組みをとっていまして、何か中央集権的につくっているのか、ふわっとつくっているのか、あるいはいい加減につくっているのかなという感じがします。詰めないままに、非常に議論の密度が低いままに実際の行政を動かしているなという印象が大変強いのです。
そうすると、改正法と条例の関係などにつきましても、条例がどういうふうに法律の下で位置づけられているのか。それから、委任されている公権力の行使の部分というのが、どういうふうに理屈としてとらえたらいいのかという辺りが、多分ほとんどちゃんとした議論がされてないのではないかというふうに強く思うわけです。そのことはかなり実益のある話でして、どこまで条例で書けるのかとか、それから、運用指針を消費者庁の方で出されたということなんだけれども、その運用指針がどういう意味を持っているのかということについては、実は中央省庁が言っていることをいい値でそのまま受け入れる必要は既になくて、それは地方自治法上平成11年度改正以後、国・地方係争処理委員会というものができて、法令の解釈権というのは、一方で自治体が独自に持ち得るという可能性を留保した形で法制度ができているにもかかわらず、自治体の方は全然そういう自覚がなくて、消費者庁がこう言ったからしようがないからこういう通知を出したというような、投げやりな対応をしているという新聞記事をさっきちらっと見ましたけれども、その辺りが、極めて不十分ということで、全体の議論として研修が重要とか、人材育成が重要とか、それはそうなんだけれども、もうちょっと制度的なところをちょっと詰めるとすごく行政の質の飛躍が見込めるところです。多分地方行政に国法をきちんと使いこなせるスキルをもった人がいて、前提の環境整備が整うと地方の対応も全然違ってくるはずなのですが、残念ながらそういう例がない。そういう点について少しでも、風穴が開くような提言が、どういうふうに入れ込むかという問題はありますけれども、私としてはディーテールに寄与したいと思っていまして、そんなところが足りないかなというか、もったいないと思っております。
以上です。

○松本委員長 第1点目に関しましては、まさに櫻井委員がおっしゃったようなことが一番重要だから、1つ目の論点として持ってきているというふうに御理解いただきたいと思います。地方分権を徹底して、財源も移して、すべて地方がやるんだという話から、むしろ国がすべてを担って、均一のサービスをやるんだという両極端の話、これらの中間的な方法とかいろいろあるわけで、そこの部分をきちんと議論した上でないと、これ以下の議論をしても表象的な話になるのではないかという趣旨です。
2つ目の特に法執行において、国の法を、国も執行するし、自治体の執行する、その相互の関係がどうあるべきか、あるいは条例でどこまで規定できて、条例レベルの法執行がどこまでできるのかという論点については、特にここでははっきり打ち出されておりませんので、Ⅱの下の「1.消費者行政における国と地方の関与・役割分担のあり方」の中に、もう一つ項目を立てるか、あるいは「5.自治体による法執行のあり方」のところにもう少し展開するか、どちらかになると思うんですが、櫻井委員の問題意識からいくと、むしろ1.のところの方が適切かなという気がいたします。

○櫻井委員 そうですね。まず、地方分権のテーマということから言うと、消費者問題は、やはり分権的になじむというか、なかなか国のという話にはなりにくい。というのは、危機管理みたいな問題も自治事務になっているような状況ですから、それは行政全体のバランス上そうなっているので、1.については、どういうふうに収めるのかという悩みの部分も含めて出した方がいいかなというふうに考えています。
それから、特商法と条例の関係のようなところは未開拓の分野でして、きちんと精査しないと確定的なことは言えないんですが、見込みとしては、多分消費者庁と違う指針を示すことができるのではないかというふうに思います。やはり中央省庁の所管官庁が言っていることなので、それと違う、自治体の観点から問題をたてることができるんですね。だけども自治体はなかなかそこまでできないものですから、そういうことについて多少でも委員会からサジェストできると、消費者委員会の独自性が出せるのではないかと思いますので、一般論は1.に書いていただくとして、詳細を少し例として挙げられるとすると、5.のところで少し締まった議論ができるのではないかと思うので、そんなふうにされたらいかがかと思います。

○松本委員長 そうしますと、項目立てとしては5.のところに今おっしゃったようなことを1つ新たに付け加えることがいいということですか。

○櫻井委員 1.のところには条例のところに一般論として入れて、もう少し書き下してもいいと思いますけれども、皆さんの問題意識がどうかということにもよるのであれですが、最後まで突っ込んで書いてほしいんです。みんなで頑張ろうみたいなことを書いてもしようがないと思うので、それは5.の最後のところでやるということです。

○松本委員長 ほかに御意見ございませんか。
恐らく一番重要なのは、こういうふうに論点を整理した後、その論点をどういうふうに議論をして、平成22年度末を目途とする委員会としての提言にまとめるかということです。そのための論点、これについては議論が必要だということを次回で最終的に確認をさせていただきたいと思いますので、引き続きこの原案起草担当の委員の皆様におかれましては、ただいまの議論等を踏まえて、より完成度の高いものにしていただきたいと思いますし、文章はまだ整理されていない部分もあるという感じもいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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○松本委員長 それでは、続きまして、現在消費者庁では、消費者庁に対する情報提供や消費者からの一般的な問い合わせを受けるために、消費者情報ダイヤルというものが運用されております。ここにはさまざまな情報が寄せられていますが、消費者庁ではそこに寄せられました情報の公表に関し、その基本的な考え方について検討を進めておられます。本日はその検討内容について。
失礼しました。消費者庁の担当官の方が、まだ、この場に来られておりませんので、申し訳ありませんが、情報ダイヤルの件につきましては後に回させていただきます。

○山口委員 済みませんが、もし時間があれば、先ほど来、話が出ています特商法の施行の問題について1~2分お話しさせていただければと思うんです。
実際は12月1日から特商法の改正が施行されておりますが、その中で、いわゆる不招請勧誘、先ほど寺田さんからもこのシールのことが提起されましたけれども、このシールの効力の問題についてどうも消費者庁あるいは従前の改正法の審議の過程では、このシールを張っているお宅に訪問販売員が行った場合には、直ちに処罰の対象になるとはならぬだろう、いわゆる特商法違反にならぬだろうという解釈の前提で運用されているわけですが、そのことと先ほど櫻井委員がおっしゃった消費者条例などの中には、こういうシールを張ったようなお宅にあえて訪問販売員が行った場合のことについて、やはりこれは条例上は禁止すると。
場合によっては、そういう条例に違反した場合には、悪質な事業者の公表もするというようなことを現実に条例で定めている性格のような例もございます。そこら辺の問題についてどうも運用、条例との関係などについて必ずしも整備されていないようですので、早目に消費者庁の方にも考え方をきちんと問いただした上で、自治体との運用で混乱がないように委員会としても配慮するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○松本委員長 委員の皆さん、特に御意見はございませんか。
それでは、次回、来週の委員会に、消費者庁の方からこの間の経緯について御説明をいただきたいと思います。

○山口委員 付言いたしますと、勿論もう皆さん御認識のとおりだと思いますが、現在、訪問販売でターゲットになっているのが昼間自宅にいるお年寄りなんです。このお年寄りがいかに賢くなれといっても、1人で寂しくいるところに訪問販売員が親切を装って行った場合にはなかなかこれを拒否しにくいということで、悪質な事業者のターゲット、いわゆるマーケットになっておりまして、勿論、新聞勧誘のあり方等いろいろな問題もございますので一律にどうこうというのはなかなか難しい部分があると思いますが、あり方も含めて是非委員会でも御議論できればと思います。よろしくお願いします。

○松本委員長 それでは、次回の課題としたいと思いますので、事務局の方でよろしくお願いいたします。

≪3.消費者情報ダイヤルの情報の公表について≫

○松本委員長 それでは、先ほど途中までお話し申し上げた件でございますが、消費者庁の方で消費者情報ダイヤルに寄せられました情報の公表に関して、基本的な考え方について検討を進められておられます。そこで本日はその検討内容につきまして消費者庁より御報告をいただき、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。
それでは、消費者庁の羽藤審議官より御説明をお願いいたします。

○羽藤審議官 ありがとうございます。消費者庁は、大代表の電話番号を03-3507-8800と持っておりますけれども、これに加えまして、2つの法制度、1つは個人情報保護制度の質問ダイヤル。それから、公益通報者保護制度の相談ダイヤル。これらに併せて消費者情報ダイヤルということで03-3507-9999という電話番号を持っております。そしていろいろな外部からの問い合わせに対応しているというのが今の実情でございます。まず最初に、そもそもこういった消費者情報ダイヤルを設計をいたしました経緯、当時の設計の思想ということを御紹介させていただきたいと思います。
これは、消費者情報ダイヤル自身について、外部からのいろいろな問い合わせがあるであろうということを消費者庁発足の前に考えまして、その中には、例えば消費者庁による法執行の端緒となる情報をいかに消費者庁として収集するのか、あるいは消費者庁の所管する法律について問い合わせをどのような形で受け付けるのか、こういった観点から大代表とは別に1つのダイヤル機能を設けることが適切ではないかと考え、そして、このような一つの窓口として用意をしたというのが設計当時の思想でございました。
実際に消費者庁が発足をいたしましてから、ダイヤルには個別の紛争の解決を期待した消費者の方々から多数の相談が実際に寄せられるようになり、結果的には事案によって消費者の方々の期待に反することとなっている。こういう実情にあるということを改めて認識したわけでもございます。そういった消費者の期待を考えていくとともに、消費者庁としての窓口の機能について、消費者情報ダイヤルの役割を再検討して、そして、この機能自身を更に明確化しながら、国民、消費者の方々にお伝えをし、そして実際に私どもの体制の問題も改めて考え直さなければいけないと考えております。
機能をどう見直していくのかということと併せまして、この消費者情報ダイヤルには9月の発足直後には全体として1日に平均約150件寄せられており、今ではこれが少し下がりまして約130件でありますけれども、この130件の一般的な内容についての問い合わせ、あるいは法解釈であるとか、あるいは法執行の端緒となり得るような情報提供というものが日々寄せられておるわけであります。せっかくそのような情報が寄せられているということであれば、こうした情報を、勿論消費者庁を始めとして各省庁の対応の有効な活用という形で促していくことに使っていくこともさることながら、我々として消費者事故の拡大や未然防止といったようなことに役立てていくためにも、こういった情報を公表することで、一定の機能を補完する、あるいは公表することによって、更に関係の省庁の対応も促すという効果を期待できるのではないかと考えております。
これまでは公表するに当たりましては、1枚の紙で、あるいはホームページ上に全体で何件寄せられているのか。そして、それらがそもそも一般的な内容であるのか、法解釈に関するものなのか、情報提供に関するものなのかということを発表してまいりました。今後はこれらについて一定の考え方の中で、具体的にどのようなケースが問われているのか、あるいは消費者庁に寄せられているのかということを、よりわかりやすく工夫をして公表していきたいということを考えております。
そのためには、ダイヤルで受け付けました情報の公表についての基本的な考え方を改めて整理をする必要があるということで、今日お持ちを申し上げております情報の公表についてということでございます。
ただ、今、申しましたように、まず1つには情報ダイヤルの機能のあり方自身を見直していくということを別途並行して進めております。したがいまして、この公表についても、今後のダイヤル自身の機能の見直しによって、また当然寄せられてくる情報の取り扱いの仕方も変えていくことがあり得るということではあります。そういうことでは、まず当面の公表についての考え方という位置づけをここで持っております。
勿論その状況は、例えば消費者ホットラインという形で、これから身近な相談窓口にどのように消費者からの相談を現場でつなげていただくのかというインフラの整備についての取組みを今しておりますので、こういった消費者ホットラインの展開と合わせて考えますれば、消費者情報ダイヤルの機能の見直しをしていくことを併せてやっていくということでありますけれども、こういった中での公表の考え方を、ある意味では、暫定的ではございますけれども、1つの考え方として整理をさせていただいたということであります。
この考え方について、お手許の概要の1枚紙を用意させていただいております。基本的な考え方、そしてダイヤルに寄せられております情報の性質と留意点、その上で定期的な公表をどのように考えていくのかということと、それから、定期的な公表によらない迅速な公表という考え方を整理しております。
一言で申し上げますれば、基本的な考え方としては、今、申しましたように、消費者庁が保有する情報を積極的に公表していくということが大きな要請の下であって、一方で、消費者情報ダイヤルに寄せられる情報は、寄せられた個々の情報の正確性や客観性が必ずしも担保されていないということなので、個別案件ごとにこれを確認する作業もあります。ただ、一部の寄せられてくる方々には、こちらからのアクセスをお断りになる方もおられます。そういう意味では、その正確性や客観性を担保するということについての一部の制約もあります。しかしながら、非常に貴重な生データ、生の情報であるという点にかんがみますれば、事業者あるいは消費者に不当な不利益を生じさせたり、あるいは不安をあおったり、無用の混乱を生じたりしない、そういうケースを類型的にも考えながら、また法執行にも不当な影響を及ぼすことがないといったことにも留意しながら、基本的には公表していくということが考え方のまずベースとしてございます。
その上で、定期的な公表でございますけれども、情報ダイヤルにいろいろな情報が寄せられてくるわけでありますが、一般的な商品、役務名、そして寄せられた概要について、ここにございますように、例えばPIO-NETに登録された件数なども勘案しながら、こういった情報ダイヤルに寄せられている情報について公表していくということを考えております。
また、定期的な公表によらない迅速な公表が求められる場合もあろうということであります。その場合には、それぞれの事案に即しまして、必要性また事業者などに及ぼす影響を総合的に勘案して対応をしていきたいということであります。
これから、実際の運用を改善もいたしまして、積み重ねていくということではありますけれども、冒頭申しましたように、情報ダイヤルのあり方自身の見直しという中で、また、寄せられてくる情報の質にも変化が生じ得ようとも思っております。現時点において、こういった基本的な考え方の中で、消費者庁として持っております情報をできる限り有効に活用していくという観点から、今回この場で公表についての考え方を御報告申し上げながら、そしてこの考え方自身を、メディアの皆さんのお力も借りながら、御理解をいただき、あるいは寄せられる御意見なども含めて、より意味のあるものにしていきたいと考えております。
私からまず説明を申し上げました。

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの基本的考え方につきまして、どうぞ御意見、御質問がおありの方は御発言ください。
佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 3つほど質問させていただきたいんですが、まず、ここの消費者情報ダイヤルに重大と思われる消費者事故の通報というか電話があったときには、ここにカウントするのか、どういう対応を取られるのかということ。
それから、基本的考え方の概要3の定期的公表の(1)に①かつ②と書いてあります。これはハードルが高過ぎるのではないかと思いまして、PIO-NETに登録された直近1か月の件数と直近3か月の月平均件数が過去1年の月平均件数を上回る「または」でいいのではないかと思います。①、②と両方並べる必要があるのかと思うのが1つです。
もう一つは、概要ではない考え方(案)という詳細が書かれているところの一番最後のページの「5 定期的な公表によらない迅速な公表」というところの最後の部分なんですが、「なお」というところがあります。事業者名を公表する場合には、事業者及び消費者の照会等により、内容の再確認を行って、可能な限り公表する情報の正確性の担保に努める。それはそれでいいと思うんですが、その次に書かれているのが「また、公表に際しては」というところで、「当該情報が客観的事実確認を終えたものではない旨等を明示して公表する」とあります。この2つは非常に矛盾していると思うんですが、いかがでしょうか。

○松本委員長 どうぞ。

○羽藤審議官 まず、情報ダイヤルに寄せられました重大と思われる事故についてですけれども、これまでも案件によっては、その場で相談者に具体的な確認を求めながら、私どもの、例えばそれが消費生活製品安全法あるいは消費者安全法に基づく重大事故という形でとらえるべきものであれば、まず庁内でその情報を共有いたしまして、そして、相談者との関係におきましては、その情報を確認するとともに、寄せられてきている情報についての取り扱いを、その相談者の方自身が考えておられるかということも確認いたしまして、その上で、例えば必要な行政機関からの報告との関係、あるいは実際に消費生活センターにどのような相談をされるのかということのフォローを、当該案件に即しましてやっております。これからもそういった形で対応してまいりたいと思っております。
2番目でございますけれども、これは我々もこの公表についての考え方を整理する過程で、一体どういうふうなことを1つのベンチマーク、考え方の基準としてつくったらいいだろうかということで、これを非常に広くとらえて発表していこうという考え方がいいのか。あるいはやはりある程度定期的な公表というのは、ここにもございますけれども、現状では毎週1回公表しているわけでありますけれども、定期的に1週間で寄せられた情報について、翌々週を目途に公表するということになってまいりますと、その頻度ということは1週間における変化ということにもなってまいりますので、そういうことを考えていきますと、ある程度絞り込みながら発表した方がいいのかということをまず中で議論をいたしました。
それから、事案によっては定期公表によらない、迅速な公表という形で公表していくことによって、そういった警戒的な、あるいは注意喚起を行うということについての案件を、定期的な場面では絞り込みながら迅速な公表ということをしていくこともあるのではないかという議論をいたしました。
結果的には、ここで「かつ」という形にさせていただいているわけでありますけれども、むしろ大事なことは、迅速な公表という形も含めて、これは我々のサイドでどういった事案について、どういうアクションが必要かということを個々の類型ごとに判断をしていく。その際には法執行ということもあるわけですけれども、そういったことをとにかくしっかり、きちんとやることが大事ではないかということでありますので、ここではある程度絞り込んでの発表をしていきながら、ただ、迅速な公表という形で柔軟に補っていく。それから、ここにございますように、原則としてというふうに書いてありますので、そういう意味ではある程度柔軟性を持って判断をしていこうというふうに考えております。
最後の3つ目でございますけれども、これはどういう相談事例について、どのような公表が適切なのかということにつきましては、各委員も御案内のとおり、例えば実際に公表事例をめぐった訴訟での司法的な判断が行われているケースもあります。そういうことを考えていきますと、ここで申し上げます「情報が客観的事実確認を終えた」というのは、極めてしっかりとした真偽というものを確認しているということであって、そういうところまでをこの情報ダイヤルの情報において求めていくということについては、限界があるだろうという意味で、当該情報は客観的事実確認を終えたものではないということは、やはり明示をすることが必要であろうと。
一方で「なお」と書いてある前のところは、注意喚起をしていくという意味合いにおいて、蓋然性、そしてこれは真実らしいということでの注意喚起をする。勿論ここにございますように、事業者及び情報の通知元への照会などといたしておりますので、そういう意味合いにおける発表として、相当であるというふうに言えるだけのものの確認をしながら発表していく、ただしそれは、繰り返しですが、科学的な知見なども含めて、客観的な事実確認を終えたものではないということは併せて付記しておくことが適切であろうということで、考え方の中に織り込んだ次第であります。

○松本委員長 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 個人的な関心なんですけれども、最近は消防庁もそうだし、警察庁もそうですけれども、いろんなよろず相談の電話がやたらとかかってくるために、正当な業務を妨げているという状況があると聞くのですが、それに比べると、この消費者関係のダイヤルは、更に敷居が低いような感じがしまして、全体の情報提供の中で使える情報というのはどれぐらいなのか。正確でなくてもいいので御感触を伺えればと思います。

○羽藤審議官 そうですね。何をもって使えるか、使えないかということも、また判断はいろいろあると思いますが、これは個人的に、毎日ここに寄せられております情報の中で、特にここにございます、情報提供というものを中心として目を通しておりますけれども、それは一般的に、例えばある特定の食品メーカーの電話番号を教えてほしいということが一時期特保をめぐっては寄せられていたこともありました。そういう情報に比べますと、先ほど申しましたように、1日平均約130件ぐらいのものではあるわけでありますけれども、大体その中の3分の1から半分ぐらいは庁内で、あるいは関係各省で事実確認などをしたり、あるいはほかの情報と突き合わせたりするということによって非常に有益なものであろうと考えます法解釈についても、一体私たちの説明なり、あるいは関心として皆さんがどういった関心やお考えをお持ちなのかを把握することに役立っております。今回のケースでいきますと、例えば12月1日から特商法が施行されているということになりますれば、この特商法をめぐっての法解釈についての電話などもございます。
これは細かい話になってまいりますれば、これを担当課につなぐという意味では、勿論、直接担当課にかけてこられる方もおられます。それは正当な業務を妨げるかどうかというお話に該当するかどうかということではないのですが、一義的にこういった情報ダイヤルのところで、そこのさばきをしながらつなぐという作業をやっております。法解釈についての、例えば照会なども、我々のこれからの説明というものを、どういう形で明確にしていくのかという意味でのサジェスチョンにはなっている。こういうふうに考えていきますと、やはり3分の1あるいは半分ぐらいというのは、非常に意味のあるものなんだろうと思います。
勿論、繰り返しですが、どこどこの電話番号を教えてほしいとか、あるいは発足の当初は、この番号にかけると何の意味があるんですかというお問い合わせもありました。ですから、そういうことも含めて考えていきますと、一つ一つの電話にはそれだけの意味、重さもあるんだろうとは思います。

○松本委員長 簡単に、どうぞ。

○佐野委員 一番最後の矛盾していると私が申し上げたところを、今ご説明いただけたようにもう少しわかりやすく、誤解しないような文章で書くことを検討していただけないでしょうか。

○松本委員長 それでは、工夫をお願いします。

○羽藤審議官 わかりました。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 5.の事業者名の公表のところなんですけれども、これは要件として承諾の有無、あってもなくてもというふうに読んでいいのでしょうか。法執行への影響の有無という書き方になっていますね。必ずしも事業者名を承諾がなくても公表する場合があると読んでもいいのですか。

○羽藤審議官 それは、その後にも書いてございますように、「公表によって侵害される権利利益の内容及び程度に比して、得られる利益の内容及び程度が大きいと認められる場合」とございますように、その場合は仮に承諾がない場合であってもというケースも想定しております。

○日和佐委員 ここの判断は非常に難しいと思うんです。具体的にこういうケースはどうなんだろうというケーススタディを日常的にやっておかないと、いざ起こっても、これは非常に判断が難しいと思います。
ちょっとお伺いしたいんですが、事故米の場合はどうなさったでしょうか。あれは残留農薬基準違反ではありましたけれども、製品の原材料として使われてしまっている場合は、非常に量も少なくて、健康に具体的な影響はないということを食品安全委員会は言っておりました。あのような場合はどうなるでしょうか。

○羽藤審議官 事故米のケースについての当てはめを、どのような形でするのかということは、これは消費者情報ダイヤルのような窓口に、どういう形で情報が寄せられるかによって判断をしてまいらなければならないものですから、結論において、例えば今、事故米をめぐって、その取扱いをされた事業者の方々の固有名詞などが公表されておる。その公表に当たっての判断というものが、一定の判断の仕方としてこれまであったということは承知をしておるわけですけれども、一概に事案の性格によって、事業者名の公表についての判断を、今の場合ですと例えば事故米から消費者を守るということにおいて、すべて承諾が得られなくても公表してもいいんだということにもまたならないと思いますし、一方で、ほかの案件などにも比べまして、緊急性であるとか、あるいは注意喚起を促すという意味合いにおいては、その必要な手段において、何に注意をしてくださいという形での公表の仕方があるんだろうと思います。
ですから、なかなか今の御質問をいただきながら、私どもも例えば先般は折り畳みベビーカーのケースがございまして、公表ということについての考え方を、そのときも我々なりに議論をしましてから公表、注意喚起をさせていただいているわけですけれども、個々の案件をこれからから積み重ねていくことによって、どういうふうなケースにおいては、どういう程度までが公表する、あるいはどういう条件の下で公表するということを、またこの場でも御説明をさせていただけるようにしながら、1つの考え方というものを実際のケースを通じて整理をしていきたいと思います。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 やはりここで一番悩ましいポイントは事業者名の公表なんだろうと思うんですが、悩み方が悩み過ぎだと思いまして、勿論それは消費者被害の拡大防止のためにいち早く公表するということが大命題であるわけです。そのためには、事業者名までなければ拡大防止にならないということがいっぱいあって、単に一般名とか抽象的な事業体名を言ってみても、消費者は被害防止につながらない。そういうことをまず認識していただく。
それと片方で、事業者の風評被害等の迷惑というのも勿論考えなければいけない。そのバランスをどこで取るかという工夫なんですが、いい知恵はないかとさっき佐野さんも質問したんですが、実はもういい知恵が一つサンプルでありまして、国土交通省の自動車不具合情報の公表の仕方がまさにそうなんです。あれは、事業者名と型式とか年式とか、要するに車が特定できる要素は全部実名で公表されています。勿論申告した個人、ユーザーの方は個人名までは書かないんですが、年齢とか、何県の人かぐらいは公表しています。そして、どういう不具合があったか、いつごろ発生したかということも明確に事実として書かれます。
これが、なぜ、トヨタとか日産とかべたっと並んでいながら、風評被害とか、そういうことが起こっていないかというと、この自動車不具合情報の一覧の一番冒頭に、「車両の不具合状況については、ユーザーからの申告内容を要約したものですので、申告内容の事実関係については、国土交通省では責任を負いかねます。」それから、「車両不具合情報には、設計・製造に起因するものに限られておらず、整備不良やユーザーの使用ミスなど、他の要因に起因する可能性があるものも含まれます。」こういう注意書きがまず頭にぼんと書いてあるんです。その上で、個別製品名、事業者名、全部実名で出す。こういうパターンを取って、実に成功している。もうこれは5年間続いている制度なんですけれども、全くこれによってある自動車メーカーが風評被害を受けたということはない。
また、通報する消費者の方も、日本の消費者はやはりある程度信用していいと思うんですけれども、インチキな情報を織り交ぜて入れるとか、そういう事実はこの自動車不具合情報にはほとんど報告されておりません。ですから、そういうものをサンプルにすると、もうちょっとすっきりと、本当に事業者名公表の要件が余りにもハードルが多過ぎて、さっき日和佐さんが言ったように、一体だれが判断するのかというところが大変問題で、判断する人もこれでは悩んでしまうということで、こういうハードルをいっぱい設けると消極的にならざるを得ないんです。ですから、国交省がやっているように、大胆に冒頭に注意書きを付けておくことによって、できるだけ実名公表をするという基本的な姿勢でやっていただきたいと思います。

○松本委員長 どうぞ。

○羽藤審議官 基本的な姿勢は消費者の安全・安心を確保できるかということですので、方向性においては、今、中村委員長代理がおっしゃられたとおりだと思っております。ただ一つ、我々が議論した過程において非常に大きく悩みましたのは、今まさしく例を挙げられました、国土交通省での自動車不具合のシステムや制度との関係であります。つまりそれは自動車の不具合という、ある程度特定されて絞り込まれた分野において、それをこういう公表をする場があるという制度、システムの目的というものがある程度そこに明確にされた形で通報者との関係でも示されていて、そういうところに情報が寄せられてきているケースと、消費者情報ダイヤルは、先ほど来申し上げますように、これは一般的な内容、法解釈、情報提供、これは工夫の仕方として、機能をとにかく明示することによって、ここに寄せられてくる情報の性格をあらかじめ制度やシステムの方から示すということをすることも議論としてあり得るわけですけれども、今はまだそれが前提となっていないままでいろいろな情報が寄せられてきているわけであります。
したがって、一定の目的なりシステムの意味というものを示しながら情報を集める、あるいは情報を寄せられることを期待するシステムと、それからオープンな形であって、「消費者情報ダイヤル」という文字どおり、相談であるとか法解釈であるとか情報提供とかいろいろなものがあるわけであります。
今は、いろいろなケースがあって、そういうケースの中で事業者名の公表というものを、ある意味ではこれは風評被害であるとか、事業者や消費者に対する混乱ということもいろいろ考えながら、やや考え込み過ぎたのかもしれませんけれども、いろいろなケースを挙げてこのような整理とさせていただきました。
繰り返しですが、これからのこの機能として、どういう機能に絞っていくのかということも合わせ考えながら、今おっしゃられたような情報が寄せられてくることの取り扱いについて、一定の蓋然性とか、一定の信頼性というものを、むしろ通知をしていただく方にも促しながらシステムの運用を考えていく。そのために、いろいろな積み重ねをしていくという際に、今のお話を十分に踏まえて考えていきたいと思っています。

○松本委員長 先に池田委員から、どうぞ。

○池田委員 事業者の公表ということについては、非常になかなか難しい問題だと思いますけれども、今の話は、消費者ダイヤルからの情報についての公表のあり方ということでしょう、本来の消費者庁が持っている情報の公表のあり方というのはもっと大きな問題だと思うんです。何もダイヤルだけでは入らないわけですから、そういうことできちんと議論をしてほしいと思います。
消費者ダイヤルというのは、消費者目線で垣根を低くすることが一番大事なことだろうと思いますから、消費者ダイヤルの機能を見直すという面では、それが十分に最初の目的を果たしているのかという視点が最優先ではないかと思います。だから、この公表のあり方で消費者ダイヤルの機能が阻害されるようだと主客転倒だと思いますので、事業者名の公表のあり方というのは、一度私も言いましたけれども、やはりそれぞれの関連者のきちんとした意見の情報を聞いた上で判断してほしいと思っております。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員長代理 ここの公表の判断の材料に、PIO-NETが使われておりますが、国民生活センター自身もPIO-NET等に一定の数の被害情報が入ってきた場合に公表するという情報提供の規程を持っております。それとの整合性とか、今回ここに国民生活センターのことが全然出てこないんだけれども、国センは国センで一定の被害情報が集まったら、ある一定の時期に公表します。消費者庁は消費者庁でまた同じ情報が、PIO-NETを利用すれば同じように数が上がってくるでしょうし、またある時期に発表することになるだろうと思うんですが、ここら辺の整合性をきちっと取っておかないと、国民の間に混乱が起きるのではないかとちょっと心配するんですが、国センとの情報公表の関係について御説明いただきたいと思います。

○羽藤審議官 これは消費者庁ができましてから、情報の公表のみならず、情報の一元化の中で各現場から上がってくるものについての位置づけの1つとして、非常に重要なルートがPIO-NETですので、この扱いについて緊密に連携を深めていこうということを、それぞれいろいろなレベルで今やっております。
そういう中で、例えば法執行ということを考えた場合に、例えば学校教材について注意喚起を広く促していこうといったときには、文部科学省のアクション、あるいは警察当局のアクションということを期待したいケースがあります。こういうケースの公表の材料がPIO-NETということもあるわけでありますので、そういう意味での連携ということを、とにかくしっかりやらなければいけないというふうには考えております。
今日お示ししましたのは、情報ダイヤルに寄せられてきている情報を、どう公表するに当たって取り扱うのかという基本的な考え方であります。そして、具体的にどういった形で公表するのかといったときには、今、御指摘がありましたようにPIO-NETに寄せられてくるものの国センで実際に行っている公表と相まって、効果的に注意喚起、あるいは法執行ということに結び付けられるように、「前向きな調整」という言葉を私どもも国センとの連携の過程では非常に大事なことではないかというふうに議論をしておりますけれども、そういうことの中で、今回の情報ダイヤルに寄せられる情報の公表に当たっても気を付けていきたいと思っております。
下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 情報ダイヤルの公表ということで、今日お話をいただきまして、ありがとうございます。お伺いしたい点は、先ほど来中村委員もおっしゃいましたし、池田委員もおっしゃられましたけれども、やはりこれをつくられたというのは、情報ダイヤルがつくられて、かなりの予算を使って置かれているということは、消費者目線ということが一番最初の問題だったと思うんです。そういたしますと、いろんな情報が寄せられる、それを速やかに提供していくということで、私はこの情報ダイヤルというものをつくられたんだというふうに理解しておりました。
それで、国センとの住み分けなどが非常にわかりにくいという点が1点あります。
それから、先ほどホットラインが展開されるので、それと合わせて考えるということですが、ホットラインは都道府県、市町村においては土日やりますが、国においては国民生活センターが土日・祝日ということで、電話を別に設けてホットラインを展開するわけですね。それは原則助言しかしないということになっているようですが、そうなるとそこのホットラインとの展開と合わせて考えるとおっしゃられましたが、もう来年の中旬から始まるというふうに伺っておりますが、どのような形で連携というか、運用をお考えなのか、そしてこの定期的公表。

○松本委員長 申し訳ありませんが、情報ダイヤルのあり方の議論は今日は予定されておりません。それは公表の問題と並ぶぐらい大きな問題なんですが、今後の課題とさせていただきます。時間もオーバーしておりますし、今日は公表の問題に限っての御議論ということですので、今後また消費者庁の方から情報ダイヤルのあり方について、考え方を御提示いただける機会があると思いますので、そこで御議論をいただきたいと思います。

○下谷内委員 はい。よろしくお願いいたします。

○松本委員長 それでは、ただいま出されました意見を参考にしながら、公表のあり方についてきちっとしたものをつくっていただきたいと思いますし、最後にも指摘されましたように、情報ダイヤルのあり方そのものがやはり問われているということもございますので、それらについての見直しと合わせて公表のあり方についても再度見直しをされるようにお願いをしたいと思います。
ありがとうございました。

≪4.個人情報保護専門調査会設置・運営規定(案)≫

○松本委員長 それでは、最後でありますが、個人情報保護専門調査会の設置・運営規程について審議を行いたいと思います。これは個人情報の適正な取り扱いの確保に関する事項につきまして、専門の方々による調査審議を行うための下部組織を設置しようとするものでございます。
それでは、事務局より御説明をお願いいたします。

○斎藤審議官 時間の関係もありますので、手短に御説明させていただきます。資料5-1でございます。若干経緯的なことから申しますと、先般第7回の消費者委員会におきまして、消費者庁より、個人情報保護法の執行状況について報告がありました。委員会としても、フォローアップを行っていくということになったところでございます。また、福島大臣からも幅広い観点からこの問題については検討してほしいという御指示もいただいております。
従来この個人情報保護法の施行状況等に関しましては、国民生活審議会におきまして、その中で、個人情報保護部会という部会を設けて議論が行われてきた経緯がございます。これが消費者委員会に引き継がれているわけでございまして、消費者委員会としても、その下に下部組織を設けて、今後検討を進めていけるようにしたいということでございます。
資料5-1の規程をごらんいただきたいと思いますが、その第3条、専門調査会の所掌というところをごらんいただきたいと思います。専門調査会は、以下に掲げる委員会の事務に関連する事項について、委員会の求めに応じて調査審議するとしております。その下に1項、2項と書いておりますが、これはその後の設置法をごらんいただきたいと思いますが、資料5-2の消費者庁及び消費者委員会設置法というところの第六条第2項一号の「ヘ」というところでございます。委員会の審議事項として、個人情報の適正な取り扱いの確保に関する重要事項というのがございます。
それから、1枚おめくりいただきまして、個人情報の保護に関する法律という関連条文を掲げております。その第七条で、基本方針について規定がされております。その下の方の第3項をごらんいただきますと、内閣総理大臣は消費者委員会の意見を聞いて、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないと書いてございます。基本方針の案について、消費者委員会として議論をする必要があるということでございます。
そこで、先ほどの第3条のところにお戻りいただきたいと思いますが、今ごらんいただきましたように、第3条の第1項におきましては、設置法の規定を受けたような形で、個人情報の適正な取扱いの確保に関する事項について調査審議することと書いております。その第2項では、先ほどの個人情報保護法の規定を受けた形で、内閣総理大臣が作成する個人情報の保護に関する基本方針の案について調査審議することと規定しております。
この2つが一応法律によって、この委員会に与えられた個人情報に関する事務ということになります。この事務に関連する事項について、委員会の求めに応じて調査審議するということが、この専門調査会の所掌ということになります。
冒頭述べましたように、個人情報保護法のフォローアップ、それから、福島大臣から御指示のあった検討というものを進めていく。その事項につきましては、この第3条の第1項で受けることができるかと思います。
第3条については、以上でございます。
その他、第1条~第9条まで規程しておりますけれども、もう既にこの種の規程としては、かなり定型化してきておりますので、御説明は省略させていただきたいと思います。
以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。このような設置・運営規程(案)に基づきまして、専門調査会を設置するということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○松本委員長 ありがとうございました。それでは、これで御承認いただいたということにいたします。
どうぞ。

○山口委員 1点、とても重要なことがありますので、申し訳ありません。現在、貸金業法の改正問題につきまして、政府部内に貸金業制度に関するプロジェクトチームがつくられて、検討が開始されております。これは、座長が内閣府副大臣の金融担当の大塚さんで、座長代理には内閣府の大島敦さんも入っておられまして、消費者庁もこの問題についてはかなり関わっていると思うんですが、まさに貸金業、特に小売りの金融業についてどういう対処をするべきかということは、消費者委員会としても真剣に取り組むべき問題だと思うんです。これが、いつ、どの段階で審議して、消費者委員会として、あるいはこのプロジェクトチームの考え方について働きかけをしていくのかというタイミングの問題が非常に難しいと思うんですが、是非、この委員会でも取り組んでいただくようにお願いしたいと思います。

○松本委員長 消費者委員会の役割は、消費者庁を始めとした消費者行政の関係機関が、きちんと任務を執行しているかについて監視をし、調査審議をして建議をするというところにあるわけですから、今おっしゃった点は当然消費者委員会の仕事の内容だと思います。ただ、既に消費者庁、金融庁、法務省が、三者でもって議論を始めている中で、消費者委員会が独自の立場で、その議論を無視して何か発言するというのは、とりあえずは適切ではないと思いますので、もう少しその三者の議論の動きを見てから、消費者委員会としてのアクションを考えるという順序になるのではないかと思っております。
そもそも円滑施行のためにどうすべきかということを議論していると伺っておりますので、その内容を一切無視して発言というわけにもいかないのではないかと思います。
ということで、消費者委員会としてもさまざまな問題に関心は持っているんだということを、傍聴の皆様等にも御理解をいただきたいと思います。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。次回の会議は12月14日、来週の月曜日午前10時から行う予定にしております。本日はお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

≪ 閉 会 ≫

(以上)