第6回 消費者委員会 議事録

日時

2009年11月16日(月)10:00~12:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
松本委員長、池田委員、川戸委員、櫻井委員、佐野委員、下谷内委員、田島委員、中村委員、日和佐委員、山口委員

【説明者】
信州大学 樋口教授
東京都…清宮消費生活部長、大野調査担当課長、松元特別機動調査担当副参事、各務消費生活総合センター相談課長

【事務局】
齊藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.地方消費者行政の充実に関するヒアリング
 ○ 信州大学 樋口一清 教授
 ○ 東京都
  ・清宮眞知子 消費生活部長
  ・大野正隆 調査担当課長
  ・松元嗣子 特別機動調査担当副参事
  ・各務豊 東京都消費生活総合センター相談課長
3.自由討議
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:14KB)
【資料1】 地方消費者行政の充実について (樋口一清教授配布資料)(PDF形式:36KB)
「高齢者見守りハンドブック~製品安全版」(長野県作成) (樋口一清教授配布資料)(PDF形式:563KB)
【資料2】 東京都の消費生活行政について (東京都配布資料)(PDF形式:233KB)
【参考資料】 消費者委員会委員の任命について (PDF形式:14KB)


≪1.開 会≫

○原事務局長 おはようございます。本日は皆様お忙しいところお集まりいただきました。月曜日の朝の開催というのも大変御迷惑をおかけしておりまして、傍聴の方々はもっと30分も早くお越しになっていらっしゃるので、しばらくこういうような状態が続くことを大変申し訳なく思っております。
それでは、始めたいと思いますけれども、今日から新しく委員として、弁護士の山口広先生に加わっていただくことになりましたので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。第1回目の委員会の9月1日も委員の皆さんに一言ごあいさつをいただきましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

○山口委員 弁護士の山口と申します。よろしくお願いいたします。
本当に消費者庁消費者委員会ができてよかったなと思っておりまして、これからは一弁護士として、消費者委員会は何をやっているんだ、もっとしっかりしろと外から批判しようと思って手ぐすねを引いておりましたところ、お前が委員になれということになり、とんでもないことになったなと大変緊張しております。できる範囲のことを細々とやっていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
経歴としてはこの20年間、一貫して霊感商法の被害者の救済と被害の根絶のために交渉訴訟をずっと担当してまいりました。これからも被害者救済の一弁護士としてやっていこうと思っておりましたけれども、こういう立ち位置になりまして戸惑っております。御指導よろしくお願いいたします。

○原事務局長 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、ここで普通だったらカメラの退室をお願いしますと言うんですが、今日はカメラが来ていなくて、福島大臣は今、国民生活センターの視察に行かれているようで、多分そちらに行かれたんだと思いますけれども、是非注目を集めるような議論を消費者委員会でもしていきたいと思います。カメラの撮影も申し訳ございませんが、ここまでとさせていただけたらと思います。

(報道機関関係者退室)

≪2.地方消費者行政の充実に関するヒアリング≫

○原事務局長 それでは、会議を始めたいと思います。

○松本委員長 おはようございます。それでは、議題に入りたいと思います。本日は地方消費者行政の充実について議論を行いたいと思っております。今回、次回と地方消費者行政の実態に詳しい方からヒアリングを行い、12月に入りましたらヒアリングを踏まえた検討を行って、福島大臣からの要請にお応えできるようにしたいと考えております。
本日は信州大学の樋口教授と、東京都の清宮部長を始め、担当の方々にお越しいただいております。
樋口教授は消費経済学という分野を専攻されており、消費者問題に精通されておられますが、長野県の消費生活条例検討委員会の委員長として県の消費生活条例の制定に携われるなど、地方の消費者行政にも尽力をなさっておられます。本日はそのような知見を御披露いただき、地方消費者行政について議論を行いたいと思います。
また、東京都は特定商取引法の執行に際して東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、静岡県の5都県で連携をして業務を行っておられます。そのような自治体間の連携も含めた法執行の体制についてお話をお伺いしたいと思っております。また、商品テストにも精力的に取り組んでおられますので、商品テスト業務の体制についてもお話を伺って議論をしていきたいと思っております。
それでは、まず樋口教授より御説明をお願いいたします。

○樋口教授 樋口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今日は若干時間にゆとりがあると聞きましたので、少しいろいろ経験も踏まえてお話ししたいと思いますが、今、委員長からも御紹介いただきましたけれども、私はここ数年、消費生活条例の制定、その条例の執行等について、長野県といろいろ議論をしながら取組みを進めているところでございます。消費者委員会の皆様は大変お忙しい中と思いますが、私の方からまず地方の実情について、やや総論的になるかもしれませんけれども、お話をしたいと思います。
最初に一言申し上げますと、消費者庁ができました。消費者委員会もできましたけれども、地方はまだ変わっていないと私は思っています。「まだ」というのを一応付けておきたいと思います。
皆さん御案内のとおりでございますが、予算はかつて1995年には200億円のレベルにあったわけですが、2008年には109億円に減額しています。これを、今回、地方消費者行政については執行停止分がありますが、230億円の基金で支援をするということでございます。
ただ、重要な点が1つ抜けているのではないか。その間、予算が減っていく過程で大きな構造変化が起きておりまして、体制が縮小し人員が削減をされている。あるいは相談員の方の環境が厳しくなっているという構造変化の部分というのは、実は基金でお金を積んだだけでは一朝一夕にはもとに戻らないわけでありまして、地方消費者行政についてこれからどういう形で変化した構造を更に変化をさせていくのかということが、一番重要な点ではないかと考えております。
後でまたいろいろ申し上げますけれども、その一例として申し上げますと、例えば業務の委託ということがございます。これにはいろいろ御意見もあろうかと思いますが、これも構造変化の一環ではないかと思います。また、相談員の方の処遇が変わってきております。そういった点をどう考えていくのかというのが重要な点かと思います。
資料の説明に入る前に、非常に私が気がかりな点を3つほど申し上げたいと思います。
まず地方の消費者行政と言われたんですが、地方という概念で一くくりにしていただきたくないと思います。長野県のとまでは申し上げないけれども、長野を含めまして大都市圏ではない地域というのがございます。そういう中で特に市町村は非常に難しい状況でございまして、消費者行政と言われても、そう簡単に対応ができない状況にございます。ここにどういう知恵を出していくのかというのが1番目の問題でございます。
2つ目は、実は物事には大変時間がかかるということを申し上げたい。私自身、条例の制定のために市民ネットワークも参加いたしましたけれども、条例の制定の委員長の仕事もいたしましたが、消費生活条例はもう御案内のとおりでございまして、兵庫県で条例ができたのが1974年でございますが、最後の条例である私どもの長野県の条例ができたのは2008年ですから、実に34年経っております。
行政処分も私は大変思い入れがあるんですが、特商法に基づく最初の都道府県の行政処分は東京都さんだったと思いますけれども、1998年です。2009年に私ども長野県でもこの10月に、ついに行政処分の事例が出ました。私が個人的に数えたところでは、現在時点でまだ43県しか行政処分という体制に移っていないということであります。
よく私は冗談で言うんですが、残りの4県は非常に平和で何もないすばらしいところなのか。そんなことはないはずでありまして、そうしますとそれにも12年の歳月がかかっていまして、この先何年かかるかわからないわけでありまして、実は大変行政の変革には時間がかかる。予算だけではなくて行政の構造を変えてしまったものを、もとに戻していくのは大変なことではないかと思っております。
3番目に、そういうことを考えますと実は地方の消費者行政だけで問題をすべて解決するということは、大変難しいということでございまして、例えば消費者行政以外の行政とどう連携をしていくのか、これも非常に重要なポイントかと思います。それから、実は行政だけではなくて地域の方々とどう連携をしていくのかということも、併せて考えていく必要があるのではないか。この3点について私は冒頭にあえて申し上げたいと思います。
ヒアリングの御指名をいただきましてから地域の皆様ともいろいろ話をしたんですが、十分に議論をする時間がございませんでした。ただ皆様と話している中で、やはりまず基本としてこの3つを特にお願いをしたいと思います。
早速でございますが、資料に沿ってもう少し細かいことを申し上げたいと思いますけれども、資料の1ページ、私どもは最後の条例ということで、いいところ取りをしようということで、各県ともいろいろ連携をしながら、各県の皆様とも情報交換をしながら条例の内容を検討していったわけですが、その中で幾つかポイントがございます。
1.の②に書いてございますけれども、消費者被害、特に高齢者の方とか地域でお一人でおられる方とか、長野県の場合は過疎がかなり進んでおりますから、そういう中でどうやって機動的、迅速な被害救済をしていくのかということでございまして、立証責任の転換とか、不当な取引行為を57の類型、57の類型の中には「準ずる行為」という概念を入れまして、悪徳商法の蔓延に対して対応していくという行政側の条例に関しての規定の強化もいたしました。
その上で1つ申し上げたいのは、長野県の消費生活センターに長野県の本庁の行政機能を移しました。そこで業者の指導、立入検査、行政処分を含めてワンストップサービスをできるようにしようということです。地方版消費者庁というのは適当ではないかもしれませんが、時節柄そういう言葉を付けてみましたけれども、実はここのポイントはセンターに本庁を移したということでありまして、本庁にセンターを移したということではないんです。要するに現場というのは非常に重要だと思いますが、地方行政としても現場の消費生活センターの所長さんと行政の管理職が同一人物でありまして、現場で常々被害相談を受けながら行政処分を含めた行政に取り組むという体制に、長野県の場合はいたしました。
ちなみに、全国で見ますと最近は実はこれは必ずしもいいことではなくて、体制縮小の一環として消費生活センターと行政の本庁の機能が一本化される例が非常に増えておりまして、私なりに調べたところでは、完全に1本化しているところが10県、行政の一部になったところが7県ぐらいあると聞いております。
その中身を更に見ていきますと、私の立場ですとそれを網羅的に調べてもらうというのもなかなか難しいので、わずかな情報ではありますが、例えば委託という形を入れているケースが結構多いんです。委託については消費者団体、NPO法人との協働ということで、新しいやり方として社会的な注目も集めているわけですけれども、私はちょっと気がかりなことがございます。
実はこの委員会で是非お願いをしたい点なんですが、私個人ではなかなか調べきれないんですけれども、委託が始まった背景はいろいろございまして、各県では委託のための委員会をつくって十分議論を積んで委託に踏み切っているわけですけれども、委託をした後は徐々に委託費が削られるとか、委託先で相談員の方の環境が、これまでの相談員の方の環境よりも厳しくなるということが予想されるわけでございます。
一部にはそういう話も聞こえてくるわけでございまして、ただ、私どもはあまくでも民間人でございますので、なかなかそういったことの調査は難しいんですが、一部では消費者団体もそういったことをいろいろ調査しておられるようです。
委託は今後かなり増えていく可能性があると思います。もはや47都道府県のうち私の知るところでも20近くがそうなっているわけでありますし、今回の基金では更に相談員の養成に関しては委託という規定が入っているかと思いますが、更に増えていく可能性がありますので、委託の実態、特に相談員の方の処遇といったことを含めたものを是非、これは私からのお願いですが、委員会なり消費者庁で実態把握をしていただいて、そして対応をしていかないと、この変わってしまった構造の中でなかなかうまくいかないのではないか。これがうまくできればプラスの側面もあろうかと思います。協働ということが更に広がっていく可能性があろうかと思います。
同じように、私はセンターを本庁に、本庁をセンターにということを申しましたが、これもやり方いかんだと思うんです。実は行政も縮小の一環として本庁の一部にただセンターを置いた、あるいは本庁の管理職がセンターの所長を兼ねているというだけであれば、何の意味もないんです。長野県の場合は、これまで長野消費者生活センターがあった場所に管理職以下全員を移しました。そこに唯一の意味がありまして、隣に県の庁舎があるんですが、そちらに移ったのでは何の意味もない。
これもなかなか統計とか数字ではわからない実態でございまして、こういった点も新しく変化してきた1つの方向ですので、実態を是非調べていただいて、それを踏まえて1つの方向性を国全体として出していただかないと、正直言って行政改革が非常に進んでいる折ですから、委託をし、消費者団体との協働という名前の下に、実際には予算をどんどん切り詰めていくということが起こることがあり得る、懸念される。ですから、そういうことになる前に是非手を打っていただきたいと思うわけでございます。
少し話が長引きましたけれども、3番目でございますが、私どもの条例で特に力を入れたのは製品安全の関係でございます。これはどういうことかと申しますと、皆様のお手元にパンフレットを用意しました。「高齢者見守りハンドブック製品安全版」というものでございます。
これは別に長野県だけがこういう見守りハンドブックをつくっているわけではございません。消費者庁の前身でございます内閣府の国民生活局で、悪質商法見守りハンドブックなど雛形を示されて、それを各県が利用しているわけでございます。この雛形というのは非常に重要だと思いますので、今後も是非広報費を削らないでいただきたいと思うわけですが、それをベースにして長野県では製品安全版のハンドブックというものをつくりました。
これの一番最後のページを開いていただきますと「高齢者の消費者トラブル防止事業のフローチャート」というものがございまして、実は県の消費者関係の部局だけではなくて、市町村、民生委員、ケアマネージャー、ヘルパーさん、いろいろな立場の方が、高齢者の方の製品安全に関する相談に対応し、見守りに参加する形が描かれています。特にこの資料の最初を見ていただくと、長野県は全国の中でも有数の高齢県だということから始まっているんですが、その高齢者の方に対して製品安全の情報をきちっと伝えていくためには、実は地域を挙げて取り組まないとだめなのではないかということで、こういうチャートが書いてございます。
このネットワークを私どもとしては広げていきたいと思っているわけでございまして、これも一見、簡単なことのようなんですが、国に縦割りの行政があるように、地方もなかなか行政間の協力というのは難しいわけでございまして、長野県では県庁内に12の関係部局の連絡会議をつくりまして、常時そこで連携をとりながら、市町村あるいは民生委員の方に情報が行くようにと考えているわけでございます。
実はこの製品の安全の問題というのは大変深刻な問題でございます。製品事故情報報告・公表制度という制度が経済産業省で発足しまして、現在は消費者庁が共管で、ホームページを見ますと毎日いろんな事故情報が掲載されているわけでございますけれども、その中にリコール情報がございます。リコール情報は自主的なリコールを含めて、この新しい制度が2年ほど前に発足しましてから80件以上あるわけです。
ですが、それだけのリコールの情報がホームページに掲載されていまして、ホームページですから例えば一般の高齢者の方が消費者庁なり経済産業省のホームページを日常的に見ることは、非常に技術的にも難しいですし、そういう習慣もないわけでございます。県の担当者でさえ、あるいは市町村の担当者でさえ毎日そのホームページをチェックするのは非常に難しいわけでございまして、そうするとそこにリコールの情報だけではなく、事故の情報が膨大なものが出ています。この情報をどうやって地域の方々に伝えるかというのが、非常に大きなポイントではないかと私どもは条例制定の際、議論いたしました。
現在はその実行に取り組んでいるんですが、非常に難しい実態がございます。実は重大事故の1割強がリコール情報が出ているものに関する事故なんです。より正確に言えば、重大事故として届出があったものの件数の中で見て1割強ですけれども、現在はそういう実態になっています。つまり、リコールをかけているにもかかわらず、その情報が国民の皆様にきちんと伝わらず、その結果また事故に遭ってしまう。その理由はいろいろあろうかと思いますけれども、そういう深刻な事態が起きているわけであります。
行政に質問をすれば「きちんと公表しています。企業からも報告を受けてホームページに公表しています。」ということに尽きるのかもしれません。形式的にはそれでクリアされるかもしれませんが、その公表した膨大な情報をどうやって一人ひとりの消費者に伝えるのかという社会的なシステムを構築しなければ、公表することの意味は半減してしまうのではないかと思うわけでございまして、是非この点についても御検討いただきたいと思います。
製品事故情報報告・公表制度というのは消費生活用製品に限られていますが、消費者庁の場合には安全情報については更に膨大なものがございます。その膨大な情報をホームページに公表するだけでなく、是非全国の地方の消費者行政に適切に情報提供をしていただいて、それが最終的に例えば高齢者の方がきちんと目に触れるようにしていただかなければ、全く意味がないわけでありまして、そういうことがどのような形で可能なのかということについて、これは技術的な側面もあろうかと思います、メーカーの協力も必要なのかもしれませんし、いろいろなことが必要になってくるわけですが、是非御検討いただければと思います。
そういうことで、条例をつくって長野県としてもいろいろな取組みをしていますし、この取組みは全国に共通する部分もあるのではないかと思っておりますが、現在の消費者行政について私どもとして感じていることを若干申し上げますと、1つはワンストップサービスというのが非常に重要だと言われておりますけれども、特に行政に携わる方が現場の感覚を持っていただきたいということであります。ちょっと私は心配しておりますが、参議院で消費者庁ができるときにも御意見を申し上げたんですが、単純なことなんですけれども、消費者相談室を消費者庁の中に是非つくっていただきたい。直接消費者の方の相談を受けていただきたい。国民生活センターで相談をするということではなくて、消費者庁そのものが駆け込み寺になっていただきたいと、私は個人的に考えております。
いつも、そういう主張をしているんですが、必ずしも理解が得られないんですけれども、経済産業省では消費者相談室というのが昭和50年からできたと思います。農林水産省でも消費者相談室があります。行政に携わる者は直接やはり消費者の方の声を聞くという場面で仕事をしていかなければいけないのではないかと思います。地方の場合も消費生活センターと消費者行政の間に透き間ができてしまうということは、大きな問題だと今まで認識されていましたので、長野県の場合も消費生活センターに行政が移っていただいたわけでありまして、これは強制するようなものではありませんが、是非御検討いただけたらと思うわけでございます。
2ページ目、先ほど申し上げましたように、都道府県と市町村では状況が大分違うということでありますが、例えば相談員の実態ということにつきまして、私どもで調査をした長野県の事例を少し御紹介したいと思います。
3ページの参考3をごらんください。長野県には消費生活センターが県は5か所、市は2か所ということなんですが、実はその中で苦情相談ですけれども、相談員1人当たりの相談件数は全国で一番多いのではないかと推定しております。実は県内の相談件数は計算できるんですが、私どもには全国の資料がないので、1回だけ県から条例検討委員会に資料を出していただいたのですが、それが後で問題となったようです。委員会に県が出した資料は、比較のため他県の資料が入っている。他県の資料は他県の了解を得なければいけないということで、二度と委員会に出していただけなくなったんですが、そのときの資料では1人当たりの相談件数が全国で一番多い。1年間で相談件数は993件という資料が出ております。
市町村の実態についてですが、3ページの(参考3)2.をごらんいただきたいんですけれども、これは今年、長野県の消費者団体が、県内に80の市町村がございますが、75の自治体について調査をいたしました。
4ページにその結果が出ておりますが、相談窓口の設置状況ですけれども、これも是非お考えいただきたいんですが、80の市町村となりますとそれぞれに専任を置くことは現実的ではございません。専任の方がほかの仕事をしないということはできないわけでありまして、そこで相談員未設置の部分というのは結構数字が高くなっておりまして、相談窓口未設置は69%、相談員未設置は85%でございます。
まずそもそも相談員は長野県の市町村では全体で18人。これは団体の調査でありまして自治体側の調査ではありませんが、団体の調査では回答をいただいた75市町村で18人。そのうち有資格者はお二人です。全相協の相談員の平成20年度試験の合格者の県別の構成を拝見する機会がありましたが、長野県で合格者は1人なんです。アドバイザーの方も30年間で非常に限られた人数です。100人いかなかったと思います。そういう状況ですから、そもそも消費者問題の専門家という方も地域にはほとんどおられないという状況であります。
消費者への情報提供はどういう形でやっているのかというのは、済みません、今年は調査がなくて去年の調査になりますけれども、ここに御案内のように有線、無線、防災無線等を使う、広報誌を使う、パンフレットの配布、回覧板などでございます。また、地域の関係者との連携状況でありますが、福祉関係の連携が非常に多くなっておりまして、警察、介護、弁護士会、司法書士会、センター、学校、商工関係というところと連携をするという実態でございます。
結論から申し上げますと、個々の市町村において消費者行政を本格的に実施するというのはなかなか大変です。そこで例えば広域連合とか一部事務組合という議論もございますが、いずれにしても市町村の立場に立ちますと、どの程度、どういう基準でそういったことをやっていったらいいのかということが、必ずしも明確ではないんです。そういう考え方もあるし、一部の県ではそういう取組みもしておられるという話は聞きますが、そのモデルを是非示していただければ。人口比率でという議論もありますが、余り単純なモデルでない方がいいのではないかと思います。むしろ地域の協力関係を含めた成功事例を含めたソフトなモデルを、国として示していただくことが重要ではないかなと思います。
実態上は専門家はほとんどいないという状況でございますが、やはり消費者問題の例えば消費者相談に当たる方については、専門的な知識が必要なわけでございまして、この辺りのネックをどう解消していくのかということについても、工夫が必要ではないかと思います。
若干時間が限られているので2ページ(3)をごらんいただきたいんですが、実は消費生活アドバイザーはこれまで30年間人材養成をしてまいりまして、1万2,300人ぐらいの方が資格を取得しております。消費生活コンサルタント、消費生活専門相談員の方を合わせますと現時点で2万人弱の方がおられるわけでございます。
地域にどのくらいおられるか、大都市圏以外にどのくらいおられるかというと、かなり数が少なくなる。私なりに大ざっぱに計算をしますと、どこまで大都市圏ととるかとか、合格した後に引越しをしてしまっているかもしれないとか、いろんな事情はありますが、5,000人のオーダーでは地方にもそういう専門家がおられるのではないかと見ておりまして、そういう方々にとりあえず是非御活躍をいただく必要があるのではないか。
特に例えばアドバイザーの場合ですと30年前からやっていますので、最初の合格者の方はかなりシニアになっている可能性もあります。企業の中におられた方などもリタイアをしている場合もあるのではないかと思います。そういう幅広い方々に御協力をいただくことが非常に重要ではないか。そういう意味で私は2番目にあえて書いておきましたが、NACS、全相協と、2つそういう専門家の団体があるんですが、この際一緒にやってはどうか、連携をしたらどうかと思うわけでございます。
連携の仕方はいろいろあると思いますが、地域にとってみればアドバイザーであるか専門相談員であるかという以前の問題がそもそも重要でありまして、絶対数でそういう方がおられない。ACAPのOBの方々も結構だと思いますが、とにかくそういうことに携わられた方々が地域で協力できるためのワンストップサービスを、消費者団体の方で是非していただきたいと思うわけでございます。
もう一つは、大学をうまく使えないだろうかということでありまして、これは私も自ら何とかと思ってやっておりまして、信州大学の中でも取り組んでいるんですが、大学には若い力もたくさんありますし、消費生活センターと連携をして大学をハブ化していく。私も何年か消費生活センターと連携をさせていただいて、学生と一緒にいろいろ調査などをした経験もございます。国民生活センターさんの方に行って、その報告をしたりしたこともありますが、実は現実には消費生活センターは忙し過ぎる。私は松本に住んでおりましたので松本の消費生活センターに電話をしても1日中つながらない。結局携帯電話の番号を教えてもらって学生は連絡をとっていた。電話がつながらないぐらい地域の相談が集まっているということでございます。
時間がオーバーしてしまいましたので、本日、最後に申し上げたいことは、消費者行政だけ取り出して、しかも現在の数字だけ取り出して議論していただきたくないなと思うわけでございまして、地域全体が協力できるような体制というのを考えていく必要があるのではないかという点です。
実はこの場に来る前に1週間ほど時間がありましたので、いろんな方と意見交換をしておりましたら、長野県のある消費生活センターの元所長さんから一言ぽつりとありました。地方消費者行政を陽の当たる場所に是非してほしいということでありまして、言い得て妙だなと思ったんですが、是非地方消費者行政、特に市町村の行政を陽が当たるような形にしていただきたいということが、私からのお願いでございます。少し長くなりました。

○松本委員長 ありがとうございました。御経験を踏まえてさまざまな御提言をいただいたと思います。
それでは、ただいまの樋口教授の御説明につきまして、どうぞ御質問、御意見をお出しください。中村委員、どうぞ。

○中村委員 今、たくさん地方に課題があることを御説明いただきまして、大体実情はわかりましたけれども、それをどういうふうにこれからたくさんの課題を、一遍にはできないので時間をかけて推進していくための体制づくりというのがまず必要なのではないか。先般も予算委員会で福島大臣が、各地方に地方消費者行政の推進本部を設置するようにと発言されておりまして、今朝もNHKのニュースでその報道がされていたようです。
今、私が聞いているところでは群馬、兵庫、静岡辺りにはそういう地方本部があるけれども、長野はまだないやに聞いておりますが、先ほどおっしゃったように県単位だけでつくってはいけないので、そこに市町村の関係者も入れて本当に県全体としての地方消費者行政のボトムアップのために、どういう取組みが必要なのかという辺りの推進体制が是非必要だと思うので、長野ではその辺はどういう状況になっているのか、今後そういうものをおつくりになる計画等がおありなのか、その辺を伺いたいのですが。

○樋口教授 まず私は行政の立場ではありませんので、長野県がどうお考えになっているかは私からはわからないんですけれども、まず私の立場から申し上げると、本部というのもいいんですが、行政がおやりになることは非常にプラスだと思いますけれども、最初に申し上げたように実は大変時間がかかる話でありまして、もし地方の消費者行政をきちっとやっていくのであれば、現場でしっかりした取組みがなされることが一番重要だと思います。
そうすると私がお願いをしたいのは、勿論本部は大切だと思いますが、モデルを示していただきたい。例えばこれから議論を進めていく中で、消費者相談員の方で、これはときどき報道でも出てきますし、私どもにも聞こえてくるんですけれども、頑張っておられる方がいる。頑張っておられる方が例えば市町村の現場で相談をしていて、例えば多重債務で頑張っておられる方もいます。あるいは先ほど言ったように福祉の関係と連携をしておられる方もいます。そういうモデルを国がきちっと全国にメッセージを流していただくことが、1つは重要ではないか。
私どもはどうも横並び一律というのは余りよくないような気がしまして、消費者庁のヒアリングなら横並び一律で行政でしっかりとやってほしいところでありますが、これは消費者委員会ということで私の立場から言わせていただければ、言うなれば消費者行政の成功事例、現場での成功事例というのをいろいろ聞いていただいて、そしてそれを全国に発信していただくことを是非お願いをしたい。
そういったことが一方でないと本部機能だけでは。47都道府県かなりしっかりやっていると思いますが、都道府県だけがやっても市町村は実は戸惑うばかりというところが結構ありまして、予算が多少きているので、市町村としてのプランで広報費を使おうかとか、相談員を場合によると短期間雇用しようかとか、ただ、単独ではなかなかできないしということで、皆さん非常に困っていると思うんです。ですから、行政体制としての組織の充実は勿論必要だと思いますが、その前に実態をしっかり変えていく必要があるのかなと。
気運はかなり高まっているのではないかと思います。委託を通じて消費者団体の方々がいろいろ取り組んでおられるところもありますし、全国的にはこの消費者庁以降の一連の動きの中では、皆さん取組みを強化したいという気持ちがありますので、私の立場から言うと行政の枠にとらわれずに、そういう成功モデルをいろいろ、広めていただければと思います。どうやってそれを普及させるかというやり方については私は知恵がないんですが、そういったものを話題として取り上げて、その情報を是非伝えるようなことをお考えいただければと思います。

○中村委員 済みません、ちょっと言葉足らずだったのですが、私もイメージしているのは県だけでつくれと言っているのではなくて、条例制定のときも消費者団体とか弁護士会とか、そういうところと御一緒におやりになったと思うんですけれども、そういう形のモデルを一番最近条例制定をやられた長野だからまだ熱気が残っていると思うので、地方推進本部をつくるにしてもモデルとして消費者団体や相談員や弁護士会なども含めて、行政の皆さんと一緒の推進本部みたいなものができないかなと何となくイメージとして考えているのですが。

○樋口教授 私はいつも歯に衣着せぬというか、勝手に発言をするので怒られてしまうのかもしれませんが、本部という言葉が余り好きではないんです。おっしゃるとおりでそういう動きは今ありまして、私どもはネットワークをつくっておりまして、私もその世話役の1人なんですけれども、地域の関係者が集まってポスト条例制定でそういうものに取り組んでおります。そういう取組みは私どもの方は余りまだ十分とは言えませんが、恐らく全国では大変よい取組みをしておられる方々はたくさんいるのではないかと思うんです。
ただ、行政も実はしょっちゅう呼んで話をしてもらったり、我々も行政のところへ行って話をしたりということもやっています。ちょっと気になったのは、その本部なるものがそういう取組みとの間でどういう関係になるのかというのが、私自身は不勉強でよくわからないものですから。そこをうまく持ち味を出せれば本部というのも非常に意味があると思いますし、そういう意味では全国にネットワークがあるのではないかと思うんです。
ですから、そういう方々とうまく今までの積み上げを生かすような形でやっていただけないか。積み上げを生かすということで言うと、もう一つ私は意見がありまして、行政そのものも各省庁の縦割り行政と言っていますけれども、各省庁の行政の中でも消費者問題というのはずっと取扱ってきているわけでありまして、そういった積み上げも生かしていただきたいし、地域での積み上げも是非生かしていただきたい。それを更に一歩進めるような形で取組みをお願いしたいと思います。

○松本委員長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 消費者相談ですけれど、基本的には地域で解決をしていくという方針でさまざまな仕組みができていて、今回できます消費者ホットラインも結果的には地域にいくという仕組みになっているんですが、あえて消費者本庁に消費者相談室を設けるという意味合いについて、もう少し詳しくお話をしていただきたい。消費者側にとってみれば、どちらに相談したらいいのか、消費者庁に相談した方が解決が早くつくのではないかという、変な誤解も生じはしないかという懸念があるんですけれども、いかがでしょうか。

○樋口教授 行政の体制というのは、こんなことを私が言うのもちょっとはばかられるのですが、余り論理的に単純な形にしない方がいいのではないかと私は個人的に思っていまして、要するにフラットな体制づくりの方がいいのではないかと思っていまして、特に消費者庁に相談室をと言ったのは、現場感覚を大臣以下に失ってほしくない。これは経済産業省でも消費者相談室は消費者担当総括課の近くにありまして、何が起きているのか常に国民生活センターの統計を見るのでなくて、現場で相談員の方と廊下で立ち話をしてでも情報がキャッチできるわけです。そういう現場を直接把握する機能を行政は常に持っていなければいけない。特に消費者行政は、ということです。
行政の種類にもよると思うんですが、消費者行政はフラットな組織づくりをして、是非現場感覚を忘れないようにしていただきたい。そうでなければ一人ひとりの消費者の方の要望に対して、本当に応えることはできないのではないかというのが私の個人的な意見です。
では消費者はどうすればいいかということなんですが、現にそうやってきたわけですけれども、消費者はどこでも便利なところに行けばいいのではないかと私は思います。一番いけないのは消費者庁に陳情に来たら、これは消費生活センターが窓口だから、あなたは何々県の消費生活センターに行ってくださいと、わざわざ旅費をかけてきたのに、あるいはたまたまそこを通りかかったときに、ちょっと消費者庁に意見を言いたいという方がたくさんいると思うんです。これは現に日本の行政はそうやってきたわけですから、十分できるということです。
国民生活センターでも一時期、国民生活センター自体の相談機能について検討されたことがあるようですけれども、私はそれは絶対維持すべきだと考えておりまして、そういう現場感覚を行政が持つことが、行政の今後の進め方にプラスに働くのではないかというのが私の意見です。本庁の人は当然消費者の相談に答えられるはずです。長官も部長も審議官も個別の相談に精通しているはずですから、時間がある限りは答えられるはずでありまして、ただいろいろお忙しい業務もあると思いますが、それでいいのではないかなと私は思います。それはちょっと組織論を無視した議論です。

○松本委員長 基本的なことをお伺いしたいんですが、樋口教授の言っておられる相談機能というのは、紛争のあっせん解決まで含めた意味で言っておられるのか、それとも消費者からの要望を一方的に聞くということで言っておられるのか。この違いはかなり重要です。

○樋口教授 あっせん解決までです。例えば通産省の相談室でもあっせん解決まで、そして弁護士の方とも相談をして解決をするということをやってきていますし、それぞれの地方支分部局でも同じことをやっているわけです。ですから、そういう機能を基本的に持つべきだという意見です。

○松本委員長 わかりました。下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 長野県の条例制定に関しまして、最後の県として私どもは非常に喜んでおりますし、過程の中でいろんなことを検討されまして、消費生活センターに本庁が移行したことに対しても非常に私どもは嬉しく思っています。
1点お伺いしたいのは、2ページの「人材養成の重要性」というところでございます。ここにおいては私どもの全国消費生活相談協会とも連携協力ということで、それはできることはやらせていただきたいと思っております。
それに関しまして3ページの参考3も含めてなんですが、県のセンターが5か所ありまして、専任相談員が配置されているところが14か所ということと、4ページ「相談窓口の設置状況」を見ますと、これは市町村のことでありますが、その中においても相談員が非常に少ないということがよくわかるんですけれども、専任職員という言葉を使われているんですが、以前私が長野県に呼ばれて伺いましたときに、こんなにたくさん専任相談員さんがいらっしゃらなかったと思うんです。ほとんどが土木課だとか観光課と兼任の方が非常に多かったものですので、これは条例制定とともに増えたということなんでしょうか。
それと、兼任の方でそこには相談員がいらっしゃらないということで、積極的にいろんなクーリングオフの書き方だとか、法律についてお勉強されたり、実際の事例の取扱いについて御自分たちが自らやらなくてはいけないということで勉強会、研修会を開かれておりました。そのときに感じたものと人数的に少ないものですから、兼任の方はどのようになっているのかということと、この専任の数字というのは条例制定後変わったのでしょうか。お伺いしたいと思います。

○樋口教授 御質問のとおりでありまして、その10名のとなりに町村1名と書いてありますが、これが実態です。10名というのは実は統計上は長野市等がセンターを設けているので、それが市町村の方に分類されているということで数字が大きくなっていますけれども、恐らく以前ごらんになったものと実態はほとんど変わっていないと思います。毎年調査をしていますが、回答をいただいていない市町村も若干あるんですけれども、専任はほとんどいない。町村で1名というところが実態だと思います。
兼任の方ですけれども、兼任の職員の方は回答数とも関係があるんですが、町村で言いますと兼任が71名で、回答をいただいたのは56市町村ですから、各町村に大体平均で1名強という感じだと思います。市の方はそういうことで長野市等が入っていますので少し違うということと、市の場合は今回予算をいただいて消費生活センターを設立する動きが出ていまして、大きな市の場合にはそういう体制づくりがある程度できるという状況ではあると思います。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 いろいろお話ありがとうございました。地方版消費者庁というのは私は大賛成でありまして、是非いろんなところでできたらと思っています。
お伺いしたいのは、いろいろ困っていることがあるとか、いろんないい例をあげていくということになりますと、地方からの発信が非常に重要になります。長野県として、例えば消費者庁に政策改善をしろとか、こういうことをやってほしいとか、要望を出されていらっしゃるのか。
もう一つお伺いしたいのが、消費者自身も声を上げていかなければ、なかなか実態は変わらない。その条例の中できちんとした申出制度のような形で消費者の声を聞くということが、どこかで検討しているかをお伺いしたいと思います。

○樋口教授 済みません、もう一度2番目を聞かせてください。

○佐野委員 2番目はやはり消費者自身が声を上げていかなければならない。消費者からの申出制度みたいな、消費者が声を上げれば、どこかで受け止めてくれるような制度があるかどうかをお伺いしたいです。

○樋口委員 県レベルでという意味ですね。

○佐野委員 はい。

○樋口委員 長野県の全体の動きについて私が把握しているわけではありませんから、私が勝手なことを言うと県の方から怒られてしまうかもしれませんが、今のこの消費者行政の中で特に私どもが大変だと思っているのは安全の問題でありまして、私が仄聞するところでは、要するに消費者取引についてはかなりいろんな制度ができたんですけれども、先ほど言ったように例えば高齢者の方にリコール情報をどうやって伝えるかについては、なかなか状況がきちっとできていない。
長野県の方から全国の都道府県の担当者会議の場で、この安全の話について最後に条例を制定したということもあって呼びかけをして、各都道府県でも是非検討してほしいという経緯があったと聞いています。私自身もこの安全の問題というのをどう取扱っていくのか、取引と併せて安全についても消費者行政の重要な柱だと思いますので、是非御検討いただきたい。
特に消費者庁がどういう役割を果たすかということなんですが、ここに来る前に県の方にも伺って話を聞いたんですけれども、やはり消費者庁は情報が集約される場所ではあるんですが、実際には安全については問題解決してくれなければ困るわけで、そこについてきちっと各省庁に対して働きかけをして、問題解決をした上でリコール情報なり何なりを流さないといけないので、そのプロセスを是非しっかり確立していただきたいという御要望もありました。
情報を消費者庁にどんどん送っているということなんですが、送ってどうなるのかというと要するに回答は来ないということなんです。送ったらこういうふうに問題解決がされました。ついては都道府県から周知徹底してくださいということであれば、情報を伝える意味があるんですが、情報が集約されて、先ほどのホームページではありませんけれども、何らかの形でそれが定期的に出るだけでは余り意味がないのではないかということでございます。
私どもの意見の申出は、先ほど言ったように長野県消費生活センターは非常にしきいが低いので、センターの所長さんが行政の責任者でもありますから、私どもがそこに行って、そこで直接話をするということで、私どものネットワークの中にも消費者団体の方は入っていますので、定期的にいろいろ要望をしています。

○佐野委員 国からは返事がなかったということですが、私も国から返事がないということを何とかしたいなと思っています。県民の方が話し合いをして要望をしたとき、県からの返事はあるんでしょうか。

○樋口教授 それはその場で室長さんを囲んでミーティングをしますので、返事ができるものは返事をいただいております。ただ、行政としてなかなか地方の行政だけでは解決できない問題というのも多いわけですから、そういったことを別にすれば、私どもから直接要望したことに関してはかなり実現をしていただいて、実はセンターに本庁機能を移すということも、これは要望によってやっていただいたことでありまして、行政の方からそうしろということではなくて、私どもが要望したことによってそういうふうに行政が動いていただいた。
それから、悪質商法については警察関係の方に担当していただいて、行政処分をするに当たってそういったところのネットワークも組んでほしいということも、これも私どもは要望によって行政の方で取り上げていただいたということです。また、日々の細かいトラブルについてもセンターで相談業務以外に、そういう制度的なことに関しても要望をしています。
やはり機構、定員、予算といったところについてはそう簡単ではないわけでして、勿論増員をしていただきたいとか、夜間休日の相談であるとか、いろいろ要望があるわけですが、そういったところについては是非国の方でお考えいただいて、仕組みづくりをしていただきたい。つまり、これまで長年にわたって構造変化が起きてしまっているので、消費者部局だけではその構造を動かすことが難しいというのが今の状況ではないかなと思います。

○松本委員長 櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 詳細なお話ありがとうございました。非常に情熱的だなと伺っておったのでございますけれども、ちょっと法律論というか条例論でお伺いしたいと思います。今日のペーパーの1.①の要綱行政から条例に基づく行政へというのは言及されなかったように思いましたが、消費者の権利の明確化ということが①に書いてあるんですけれども、その条例化したことの意味をどうとらえておられているのかという点についてお伺いします。
法律論から言うと、別に例えば行政主導的なものであれば要綱でやろうと条例でやろうと、条例に乗っかったから行政主導の効力が強化されるというわけではありませんで、余り意味がないと思いますが、そうすると一般的に考えると政治的な意味合いとか、あるいは行政的な組織の体制が整備されるとか、そんな意味合いがあるのかなと思われるところで、その点についてどのように理解されておられるのかお伺いしたい。
仮に今回条例化されて、しかもこれは一番最後の条例ということで、そうすると一応一番進んでいる条例ということになるのでしょうが、そうするとかなりいろいろ課題はあるのではないかとむしろ思いましたけれども、条例でないとできないことについて、どのくらい意識されたのかという点についてお伺いしたいと思います。
2点目は、例えば追い出し屋対策が最近問題になっていて、法律はどうしても後追いになってしまいますので、自治体のメリットは身近で余り被害が大きくないような段階で事実的な措置ができる。こういうものは自治体マターとして動くのかなと思っておりますけれども、そうすると包括条項みたいなものが本当は条例にあるとよくて、そういう新しい問題についてこの条例だとどう対応することになるか、あるいは、できないのかという点について、問題意識があればお伺いしたいと思っております。
以上2点でございます。よろしくお願いします。

○樋口教授 まず条例の制定をした意味ですけれども、今までは要綱がございまして、昭和51年から県が自らの行政の中のルールとして要綱を定めて要綱行政をしてきたわけですけれども、条例を制定することによって議会で審議をして透明性の高い手続に移行した。したがって、今後は消費者行政について議会の場で議論していくことができるということでありまして、条例にかなり詳細に書いてありますので、きちんと県の行政について監督をしていくことができます。
それから、条例の中に消費生活審議会、消費者被害救済委員会という2つの委員会の規定を置きました。これも極めて重要だと私どもは思っておりまして、基本計画をつくるという議論もあったんですが、国の基本計画とは性質が違うだろう。私どもとしては基本計画ではなくて、毎年審議会の場で県から行政の状況について報告をしていただき、方針についても出していただいて、審議会の場で議論をしていこうということでございまして、審議会も条例に根拠を置いております。
被害救済委員会も、これまではそういった組織はございませんでしたが、条例において設置を決めまして設置をいたしました。
追い出し屋対策については条例の中に57の不当な取引行為というのを決めておりまして、これは条例から規則に下ろして決めておりまして、その中で現在行われているものについては、不当な行為についてはほとんど類型化したつもりでおります。それを活用していこうというのが条例の今の形でございます。

○櫻井委員 ちょっと専門的なことになりますけれども、条例の条文をいただいているんですが、例えば42条がありまして、県民は消費者の権利が侵害され、あるいは侵害されるおそれがあるときには、知事に対して適当な措置を講ずることを申し出ることができるという条文があって、これは東京都にも類似のものがあります。だけれども、東京都の場合ですと被害救済委員会というのをセットにされていて一歩進んでいると思うんですが、あえて長野県の場合はそういう体制的なことを落として条文化されているように見えます。消費者行政全体という点では今後重要で、ここが足りないところなんです。
つまり行政に対してどういう措置をとらせるかということについて、後押しするような仕組みというのが全体的に希薄なので非常に重要な条文であり、知財関係あるいは関税関係ですとか、アングロサクソン的な仕組みとしてはこういうのはあって、これから動かすという仕組みの1つであると思うんですが、そこについてわざわざ載せているのに、東京都の例にならわなかったというのはどういうことなのかという点についてお尋ねしたいです。

○樋口教授 42条ですね。「県民は、この条例に規定する措置が講ぜられていないことにより、消費者の権利が侵害され、又は侵害されるおそれのあるときは、知事に対し、その旨を申し出て、適当な措置を講ずることを求めることができる。
2 知事は、前項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その申出の内容が事実であると認めるときは、この条例の規定に基づく措置その他適当な措置を講じなければならない」。
これは申出があった場合には、当然これは審議会にもその情報は報告されるわけでありまして、行政がどういう対応をしたかということについては消費生活審議会という第三者機関の中できちっと把握ができる状況にはなっています。

○櫻井委員 実例はあるんですか。

○樋口教授 審議会が10月にできたばかりですから。

○松本委員長 条例の細かい解釈はここの場でやるにはふさわしくないので、別のところで。

○櫻井委員 考え方の問題ですから、いつも委員長はそのようにおっしゃいますが、消費者委員会は、専門的なことは議論してはいけないのでしょうか。

○松本委員長 専門的なことを議論する場もつくりたいと思います。ただ、恐らくこの本委員会でやるには少し細か過ぎると思います。いずれ地方消費者行政充実のための専門調査会をつくって、より専門的な議論をやっていただきたいと思っております。

○樋口教授 一言だけ申し上げますと、消費者関係の法律にも主務大臣に対する申出規定が入っているんです。先ほど相談室と私が申し上げたのは、主務大臣に消費者は直接申し出することができることになっているわけで、今回消費者庁にも申し出できるようになったわけです。消費者庁に申出するときにはどこに申し出たらいいのか。それはどう処理されるのか。そういう意味で先ほど私は相談室という現場主義の例で申し上げましたけれども、法律上も申出窓口というのが必要なんだと思います。

○櫻井委員 ありがとうございます。

○松本委員長 東京都からの御説明もあり、12時までに終わらなければならないので、ごく簡単にお願いします。

○山口委員 先生が考えられている成功モデルを簡単に御説明いただきたいです。というのは、スーパー公務員、ときどき大変な能力のある地方公務員の方が、多重債務などで頑張っておられるという話をよく聞きます。他方で有能な地方の行政官が、相談員が一生懸命取り組んであっせんまでやっていると、1件にそんな時間をかけていたらほかの件がやれないではないか。あっせんなんかするなという指導をなさる例があるとも聞きます。
予算がたくさんあれば成功例は割と出しやすいと思うんです。だけれども、限られた予算と限られたスタッフの中で、成功例を出したらどうだと先生はおっしゃったんだけれども、どういうイメージのものを先生は成功例とお考えなのか。

○樋口教授 というよりも、国がこれが成功例だと言えば、都道府県にしても市町村にしても、その成功例をやらざるを得なくなる。それを参考にして行政をせざるを得なくなるという意味で、意味があると申し上げたので、成功例はいろいろなケースがあると思います。
そんな特別なスーパー公務員でなくても、例えば民生委員と消費者部局が連携をしている例とか、ただそれを国が出すことによって、今おっしゃったようにあっせんはしないで、どんどん件数の処理をしっかりやってくださいとか、要するに市町村の取組みについてもそうですが、そういう行政的な発想に対して、消費者庁がこういうやり方は非常に重要だと、こういうものが重要だというお墨付きを出していただきたい。そのことによって地方の行政も動きやすいんです。
地方の行政としても、何も相談件数をすべて処理することだけが目的ではないとわかってはいるんですけれども、片方でどれを取捨選択するかということになれば、限られた予算の中ならとにかくすべての電話を受けるということをまずやりましょうということなって、とてもあっせんまではいかない。そういう状況を打破するために1つのテコとして、こういうことが非常に重要だということを国からメッセージを発することによって、「これが重要だ。最終的にじゃあ予算を増やさざるを得ないね。」というふうに、県の他の部局、財政関係の部局なども納得することができると思うんです。
今はそういうものがないので、スーパー公務員というのはある意味で余りいい呼び方ではなくて、特定の個人の方に負担を強いているようなものでありまして、むしろ組織としてはよくない。

○山口委員 ありがとうございました。

○松本委員長 済みません。非常にたくさんの問題提起をしていただきましたので、いろんな点で意見を言いたい委員の方がいらっしゃると思いますけれども、本日はもう一つ東京都から幾つかの例について御説明をお伺いすることになっておりますので、樋口教授のお話はこれぐらいにさせていただきたいと思います。
続きまして、東京都より御説明をお願いいたします。

○清宮部長 東京都の生活文化スポーツ局消費生活部長の清宮でございます。ただいま長野県さんの先進的な最近の取組みのお話を伺いまして、東京都もこういうものをやっているというのをお話したいところでもありますが、今日は悪質事業者の取り締まりに関する取組みと商品テストの状況等について、できるだけ具体的な説明をしてほしいというお話でございましたので、その2点に絞りまして御説明をさせていただきます。
全般の状況を私から説明いたしますが、取り締まりに関する具体的な5都県の連携の取組み等につきまして、私の隣の隣に座っております特別機動調査班のリーダーである松元副参事から補足的な説明を行います。また、商品テストにつきましては本庁で行っている部分とセンターで行っている相談テストとございますので、本庁で行っている部分につきましては直接の所管ではありませんけれども、企画調整課の大野調査担当課長から説明いたします。センターの相談テストにつきましては一番向こう側の各務相談課長から御説明を申し上げます。
説明に入ります前に、地方によってそれぞれ消費者行政の取組みの体制は異なっていると思いますので、御案内とは思いますが、念のため御説明申し上げます。東京都の場合には消費生活総合センターが直接都民に対し相談、教育、資料提供という行政サービスを行う部門として飯田橋にございます。もう一つは私がおります新宿の都庁舎の中にございます消費生活部でございまして、これは現在3課構成で行っています。消費生活の基本計画をつくること、お話がございました条例や審議会について検討すること、国から来てございます基金の活用について行うことを所管しています企画調整課。取引分野の今日お話いたします行政指導、行政処分等を行います取引指導課。商品やサービスの安全対策について本庁機能として考える部門としての生活安全課。この3課で行っているところでございます。
まず、東京都の悪質事業者に対する取り締まりにつきまして、1~4ページの資料に載ってございますが、まずは1ページをご覧ください。
1ページは特商法及び東京都の消費生活条例に基づく不適正取引の取り締まりに関する状況についてとりまとめたものでございます。特商法等によります業務停止等の行政処分は、都民の消費者被害の未然防止のためには、都道府県の知事が自ら行える権能として大変重要なものと思っています。一方で東京は企業も集積し、経済活動も活発なものですから、悪質事業者の新しいトラブルなどが鮮明に端緒として現れやすいとも思われますことから、東京都としても首都圏一緒になりまして、悪質事業者に対する排除を積極的に取り組むことが、全国に対してもプラス効果があるのだろうと考えているところで、かなり積極的に取り組んでいるところです。
取締りの方法につきまして3つのポイントで御説明したいと思いますが、まず1つは実施体制でございます。平成20年度と左上に書いてございますけれども、平成13年度に特別機動調査班を取引指導課の中に設置しました。警視庁からの併任の職員の方、最近はOBの方に入っていただくことによりまして、体制を強化しましたのが平成13年です。20年度には立ち入り調査45件、行政処分30件と行っていますが、右矢印になっていますけれども、21年度には更に2名の体制強化を行いまして、現在は16名体制、6班体制で警視庁OBの方も、ちょうど併任の方を含めて6名いらっしゃいますので、各班1名ずつ警視庁の方が入るという体制で執り行っているところでございます。
行政処分、行政指導等は都内には大体13万件ぐらいの消費者相談が都及び区市町村のセンターに寄せられていますので、その中からこれはという事業者を見つけ、具体的な指導、処分に進めていくためには、やはりマンパワーの人数的な確保と併せて、スキルというものも大変重要なものでございます。そのため、警視庁と連携し、警視庁関係職員の方に入っていただいている中で、例えば立ち入り調査のノウハウを得るなど、効果の高いものとなっています。
一方で行政系の職員につきましては、都庁の中から熱意のある職員の方を得まして、4月には国が行う研修とは別に特商法、割販法、条例、景表法、行政手続等に関する研修を、いろんな弁護士さんと専門家の方の協力を得て東京都独自でも行うことにより、マンパワーの充実を図っているところです。これが実施体制です。
2つ目としましては、どういうふうに処分や指導の端緒となる悪質商法を見つけていくのかというところでは、私たちとしては東京都及び区市町村の消費生活センターとの連携が重要だと思っています。都のセンターには実は年間3万5,000件ぐらいの相談がございまして、一方で区市町村にはその約2.5倍の相談がございますので、都のセンターだけではなく区市町村のセンターからも情報をいただきながら、参考としてPIO-NETの情報も使いながら、これはと思うところを取り締まりに役立てているところです。そういう意味では消費生活センターの相談に寄せられたもののセンサー機能といいますか、そこをうまく活用しながら悪質業者の取り締まりに活かしているものです。
3つ目といたしましては、さまざまな工夫、取組みを行っているところで、御参考までに下に4つの事例、これは20年度に行ったものですが、それを載せさせていただいています。一番左はロコ・ロンドンまがい取引というもので、一番下に書いてございますが、これは19年7月に特商法の指定役務に入りました。新たに指定役務に入りましたので、東京都としてもそれの第一の悪質事業者があれば、そこはやはりしっかりと取締りをしていきたいと考えているものです。
左から2番目は宣伝講習販売業者と書いてございますが、いわゆる催眠商法というもので、大変多く高齢者の方をねらう事業者がございました。同じ類似商法の業者の人にも牽制といいますか、警告という意味合いもございまして、7社一斉に集中処分を行いましたのが左から2番目でございます。
真ん中は浄水器の販売事業者につきまして、これは後ほど説明があると思いますので簡単に申し上げますが、埼玉県と同時に処分を行うのと合わせ、岩手県とも広域連携によりまして同時の処分をとらせたものです。
右側は緊急水道処理業者につきまして、これは取引の仕方によっては特商法の対象になりません。東京都の条例、または各県の条例によりまして禁止命令あるいは勧告等をあわせて使いながら行政処分を行ったものでございます。これも小さく書いてございますが、4都県が同時に行ったものでございます。
以上が1ページでございまして、次に2ページをおめくりください。20年度の特商法、景表法、都条例に関する事業者処分の実績等を載せたものでございます。左上に書いてございますのが不適正取引業者の処分等実績、具体的には特商法と都条例に基づくものでございます。20年度は30件を行いました。なお、括弧書きで書いてございますのが、後ほど御説明いたしますけれども、5都県の連携で行った件数でございます。
右側は20年度の処分一覧が書いてございまして、網かけ部分が同じように5都県の連携で行った事業者等でございます。
左下は特商法と別でございますが、景品表示法に基づく事業者指導の、同じように5都県で連携しました指導及び指示について4事例ございますので、それを併せて載せてございます。特商法と景表法は法の枠組みが異なりますので、各県との連携の仕方もそれぞれ異なるものでございます。したがいまして、必要があればまた後ほど御説明させていただきます。
3ページは今年4月から私どもでスタートしているものですが、一番右端の上に書いてございますけれども、行政処分協力者支援制度に関する検討会で4か月をかけて御検討いただきました。これの発端は消費者の方が行政処分を行うに際しましては、消費者の方の被害に関するお申し出がないと私どもは動けないものですので、その被害の申し出をすることによって、後ほど嫌がらせを受けたり迷惑行為を受けたりすることがないよう、安心して東京都に被害の申し出をしていただきたいという趣旨でつくりました支援の制度でございます。
東京都に御協力いただく方には当初から登録をさせていただき、東京都のいろんな制度を使いながら真ん中の四角の制度のポイントの支援内容に書いてございますけれども、都自らも事業者に警告を発しますが、それで解決しないときには弁護士の方による専門的助言、最後は訴訟等に関する弁護士費用の助成、貸付まで一貫して都民の方を守っていきたいと考えている制度でございます。
以上が悪質商法に関する取締りの全体でございますが、次の5都県の説明に入ります前にもう一件、いわゆる商品テスト関係につきまして、これは5、6ページに資料を付けてございます。
商品テストにつきましては消費生活部の本庁機能として実施してございまして、消費生活総合センターの相談テストは後ほど細かく御説明いたしますが、一件一件の相談処理が、適切にできるようにということでテストを行うものであるのに対しまして、本庁で行っています商品テストは、そういったセンターに寄せられるさまざまな危害、危険の情報の中から都民の安全のためには、この商品群だけはちょっと何かきちんと対応した方がいいだろうと思われるものにつきまして、委託調査等を活用しながら安全対策を検討し、国や関係団体にも要望するほか、都民にも注意を喚起するというものでございます。これについては後ほど直接の担当ではございませんけれども、企画調整課の大野課長から説明いたします。
以上、雑駁ですが、私からの説明は以上にさせていただきます。東京都としましては都及び区市町村のセンターに寄せられる相談が、一件一件きちんと対応されるのも大事でございますが、センターに寄せられた相談が、次の都民の被害の未然防止に役立てるように行政処分あるいは製品の安全に活かし、それをまた都及び区市町村のセンターにお返ししていく中で、また良い対応をしていただけるという、自治体の中で1つのサイクルといいますか、循環できるような情報の流れをつくっていきたいと考えているところでございます。
以上説明いたしましたが、続けて5都県の取り締まりにつきまして松元副参事から御説明いたします。

○松元副参事 特定商取引法及び東京都消費生活条例に基づきまして、事業者処分、指導を担当しております副参事の松元と申します。
4ページをどうぞごらんください。「悪質事業者取締りのための5都県連携について」まとめてあります。5都県の悪質事業者対策会議、これは真ん中の枠にありますように16年3月に4都県で発足したものです。この背景を左の方にまとめてありますが、3つほど書いてあります。特定商取引法では都道府県の権限が、その都道府県内での違法行為に限定されているということがまずあります。一方、事業者の活動は交通の便がいいということもありまして、都県境を超えて展開しているという事情があります。
そのために3つ目ですが、1つの自治体が行政処分等の措置を講じましても、同じ事業者が他のところに行って生き延びるということがありまして、消費者被害を拡散させることになってしまう。こういう事情がありまして都では答申、また、他県でも基本計画の中などで自治体間のネットワークづくりの必要性というのが指摘されておりました。
そういうことから16年3月に東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の4都県で、4都県悪質事業者対策会議というものを立ち上げております。これに20年4月に静岡県が参加しまして、現在5都県悪質事業者対策会議となっております。ただ、静岡県は正式には20年4月ですけれども、具体的な連携は18年度から既に同時処分等をやっております。
この会議の具体的協議事項は下に星が4つ書いてありますが、まず悪質事業者に関する情報交換、更にこの中で出てきた問題のある事業者の合同の行政指導、処分の必要な事業者に関する合同立ち入り調査の実施、その後の同時行政処分、これらを行うというのがこの会議の目的でありまして、これを具体的には年1回の課長会と、年6回以上行われます担当者会議というもので進めております。 年1回の課長会は年度の初めに行うということでして、1年間の報告と新年度の方針を確認する。また、この会議には国の地方局である関東経済産業局もオブザーバとして参加しておりまして、国の情報などもいただいております。
その後、年6回以上行われる担当者会議がありまして、そこで具体的に相談の多い事業者の情報を持ち寄りまして、連携する案件を決めて手続を進めることになります。その場合は担当県を定めまして、そこでもってスケジュール調整をし、いつまでに証拠固めをし、いつ立ち入りをし、いつ行政処分に持っていきましょうということをやっております。
具体的な実績は先ほどの2ページに表となってまとまっております。これは東京都の実績が書いてあるわけですが、この実績のうちの何件が5都県との連携であるかという数字になっておりまして、16年3月に発足以来、左上の資料ですが、16年度は9件のうち1件指示をした。これは4都県で住宅リフォームについての指示をしております。17年度に2件行い、18年度に3件、このときに既に静岡県との連携が入って5都県連携になっております。19年度は業務停止を始めまして、このときも年間3件の処分で連携しておりまして、学習教材を売っていた業者3社に対して、5都県で業務停止をかけたものであります。
20年度は業務停止7件、指示1件ということで、これが右の表になっておりまして、たまたまこの表は網かけが消えてしまっていますが、網かけの中の6月23日のフロンティアが5都県で連携しました。11月6日COUSUI、フォーライフは浄水器で埼玉県との連携です。2月23日以降の5件、緊急水道修理なんですけれども、これらは4都県の連携をしております。このような形で20年度はかなり多くの連携ができております。これらは皆、行政処分の案件ですが、これ以外に合同の行政指導を年間10件くらい行っておりまして、今年度は年度前半で10件を超える指導を既に行っております。
このように実績を積んでいるわけですが、4ページに戻りまして、今度は右の方に効果と書いてありますけれども、これは当初目的とした効果ですが、その多くが現実の効果となっております。効果は2つに分けていますが、まず事業者に対する効果としては、ともかく首都圏から悪質な事業者をシャットアウトする。また、そういう仕組みをつくることによって事業者に対する牽制効果をねらっている辺りが事業者に対する効果です。
下の方に消費者・自治体に対するものとしましては4つ書いてありますが、まず一番大きい消費者被害の未然防止、拡大防止を図る。また、自治体における処分能力の向上は既に連携が6年目に入っておりまして、十分に現実のものとなっていると私たちは考えております。3つ目は他の自治体への波及効果を期待するんだということ。更に4つ目は指導や処分の効果的・効率的な実施。先ほどの背景にありましたように1か所から追い出すだけではなくて、根本的に地域全体から排除するという効果が出ていると考えております。
駆け足ですが、以上が5都県連携です。

○大野課長 続きまして、企画調整課の調査担当大野から、5ページをごらんいただきながら、本庁におけます「東京都における商品・サービス等の安全対策について」御説明を申し上げます。
5ページをお開きいただきたいと存じます。資料の上側に少し太い枠で流れをお示ししてございます。ただいま部長からもお話いたしましたとおり、まず本庁における取組みでございますけれども、一番左上にありますとおり、センターはいわゆるセンサー機能を持っておりまして、都内の消費生活相談窓口に入ってまいります危害危険情報が端緒情報となってまいります。
併せまして②にございますように、東京消防庁を始めといたします都の関係部署から、さまざまな情報が入ってまいります。従来から東京都は具体的には私どもの消費生活部に生活安全課という組織がございますが、特に大手町にございます東京消防庁とは定期的に会議をもちまして意見交換をするとともに、担当者同士、言わばフェイス・トゥ・フェイスの関係に立って、日常的に必要な情報の交換をしている仕組みになっているところでございます。
こうした情報につきまして中ほどにございますように分析をいたしまして、必要な場合には商品テストや、また、都としては消費者や事業者の方の代表や学識経験者によって構成されます、商品等安全対策協議会というものを設けてございますけれども、こちらにおいて具体的に調査検討を加えまして、それらの結果を国や事業者の団体などに対して情報提供をし、要望等を行っていくという取組みをしているところでございます。勿論、都民の方にも情報提供をしていくということでございます。
その下側に具体的な事例を、先ほど来の御説明に似たような枠でお示ししてございますけれども、左側3つが平成20年度に取り組みました主な事例について、代表的なものを取り上げているものでございます。
一番左でございますけれども、ベビー用のおやつの安全対策でございます。これはお母さん方が赤ちゃんのかわいさのために、いろんなおやつを離乳食と一緒に間食として与えることがあろうかと思いますが、滅多にないことかと思いますけれども、そうしたおやつが赤ちゃんののどに詰まって窒息しそうになるという事例がまれにはございます。
そこで東京都といたしましてインターネット調査を実施したしましたところ、そうした危険性につきましてヒヤリハットしたという経験をお持ちのお母さん方が5人に1人の割合でいたことがわかりました。しかも97%以上の方が、どこにも相談をしていないという状況が明らかになったところでございます。
こうしたことから、先ほど申し上げました東京都の商品等安全対策協議会で、小児科の医師の方にも情報提供をしていただきながら検討をしてまいりました。その結果、まずお母さん方に対する注意喚起といたしまして、リーフレットを都内の1年間の出生数を若干超えるような、それに見合う13万部ほどつくりまして、乳児検診、3、4か月児検診のときに保健センター等でお配りをする。それから、国の方に要望いたしまして、厚生労働省で母子健康手帳、我が国の母子健康手帳というのは非常に優れた子育ての仕組みとして、海外でも非常に好評でございますけれども、この母子健康手帳の中に今回の東京都の結果でございますベビー用のおやつの注意事項、それから、万が一のどに詰まったときにこうすれば出てきますよというイラストも含めて、追記していただいたところでございます。勿論業界の方にも要望いたしまして、自主基準を作成することにもなってございます。
次に自転車用のヘルメットでございますが、これは平成20年6月に改正道路交通法によりまして、幼児、児童には自転車のヘルメット着用の努力義務の規定が盛り込まれたところでございます。こうしたことから東京都におきまして、幼児用のヘルメットについて商品テストということでいたしたところでございますが、人形を使ったテストとかいろいろやってみたところ、中には衝撃吸収材が十分でないとか、あるいはあごひもの強度が十分ではないといったものも見られたところでございます。
こうしたことから都といたしましては国、経済産業省に対しましてSGマーク付きのヘルメットの一層の普及を図っていただくということを要望するとともに、メーカーが加入する業界団体等に対して、安全なヘルメットの普及促進を図ることを要望したところでございます。
その次でございますが、子ども用の繊維製品に含まれるホルムアルデヒドについてでございます。繊維製品には縮んだりしわにならないようにするために、ホルムアルデヒドを使って加工している製品がございます。家庭用品規制法で規制の対象になっていない、下着でない衣類でありますとか、帽子、髪留めといったものを対象にテストをいたしました。
その結果、比較的安価な髪留めでございますとか、あるいはトレーナーのフロッキープリント、これは例えばミッキーマウスとかクマちゃんのアップリケみたいなものが、アップリケではないんですけれども、細かい毛を繊維に接着させて凹凸のある模様をしている部分でございますが、ここの部分にかなり高濃度のホルムアルデヒドが含まれている事例があった。しかも何回か洗濯をしても完全には落ち切らないことが明らかになりました。
こういったことから、そういうまだなかなか細かいところまで気がつかないところも、東京都としては消費者に注意を喚起していくこととするとともに、国の方にも情報を提供してきたところでございます。 21年度の取組みについてでございますけれども、危害危険情報は左上の方に小さく記載してございますが、センターの相談件数全体は都内では平成20年度は12万5,000件ほどございましたけれども、いわゆる危害危険情報はそのうちの千四百数十件ということで必ずしも多くない。やはりいろいろ調査をしてまいりますと、なかなかヒヤリハットした経験があったとしても、どこにも相談をしないという方が多いということから、東京都としては年間4つのテーマについて、都民の方を対象に都民の危険を未然に防止していくという観点から、積極的に都民の生活の中に入り込んでいって、情報を取りに行くという取組みをしているところでございます。
そのほか、今年度は例えばライターの子どもに対する安全対策、なべぶたの話ですとか、これまでと同様に都民の危険を未然に防止していくという観点から調査を行っているところであります。
執行体制でございますけれども、先ほど東京消防庁との連携について申し上げましたが、新たに東京都の関係でいうと都立産業技術研究センター、東京都健康安全研究センター、これはもとの衛生研究所と言われていたところでございます。それから、国の国民生活センターとも連携を強めながら、一層情報収集の輪をつくり、危害危険情報を集めていくところでございます。執行体制は消費生活部ということで10名でございます。
ちなみに1点だけ、先ほど長野県さんの方からかなり体制的に厳しくなっているとお話にございましたけれども、東京都の場合は若干その趣を異にしてございまして、都市部はおおむねそうかもしれませんが、手元の資料で大変恐縮ではございますけれども、平成15年度に東京都の知事部局の職員定数が約3万2,000であったのが、21年度は2割以上減って2万5,000になっている。一方、その間私ども本庁部門が51名から53名でほぼ横ばいという状況にございます。
これはかつて東京都の場合、物価対策に非常に力を入れてございまして、先ほど部長からもお話がありましたが、いわゆる不適正取引に関する取組みですとか、商品の危険性というものはかなり以前からあったわけでございまして、消費者団体の方々とも十分に協議をしながら東京都として進めているところでございますが、それと併せまして物価対策というのも非常に大きな課題でございまして、1年ちょっと前は原油が値上がりする、あるいは一次産品、特に小麦が上がるということで大きな社会問題にもなってまいりました。
こういった物価問題と物価対策というのは、なかなか都道府県のレベルでは対応が難しいということもございまして、消費者庁の方に取引物価対策課というのができましたので、大いに期待をしているところでございますが、そういった中で消費生活部では10名ということでやっているということでございます。この間ちなみに消費生活相談員は平成15年度が24名で、現在は40名ということで増えている状況にございます。そういう中でやっているということでございます。
引き続き相談テストの方を、センターの方から説明をお願いします。

○各務課長 それでは、恐れ入ります。お手元の6ページをごらんいただきまして、私ども東京都消費生活総合センターにおける相談テスト事業について御説明を申し上げたいと存じます。私は消費生活総合センターの相談課長の各務でございます。よろしくお願いいたします。
私どもは先ほど来、何度か説明がありましたけれども、現在40名の相談員、それから、相談課といたしましては、これをバックアップする専任の職員というのが20名ほどおります。例えば他機関との連絡調整でありますとか、相談のデータベースシステムの管理等々の業務に当たっている者でございます。この中に技術支援係というセクションがございまして、こちらの方がセンターにおける相談テスト事業を担っているものでございます。
都内の相談の状況でございますが、これも先ほどから御説明申し上げておりますけれども、昨年でいきますと私ども都の消費生活総合センターで受け付けた件数が3万5,279件、都内区市町村の窓口で受け付けたものが9万2件、合計で12万5,281件の消費生活相談がございました。都の相談員は昨年度34名でおりましたので、1名当たり1,000件を超える相談を処理しているというのが現状でございます。
この中で相談テスト事業でございますけれども、まず一番上の方をごらんいただきたいんですが、相談の中で都と区市町村の相談窓口どちらの相談であっても、相談テスト事業の対象としております。商品・サービスによる事故あるいは不具合に関する相談が寄せられた場合に、都の技術支援部門には2つ機能がございます。真ん中に行っていただきまして、事故原因等の実際に究明テストを行うというのが1番目、2番目といたしましては、これは相談員に対して商品等に関する技術情報を提供するということで、1つ目は物を調べる、2つ目は情報を提供するということで、各相談窓口を技術的に支援しているということでございます。
こうしたことによりまして、①といたしまして都内の消費生活センターの相談対応能力を向上させて、よりよい相談対応を行うということ。②といたしましてはセンサー機能を更に強化いたしまして、未然防止のための端緒につなげるというところでございます。
執行体制でございますが、左の方に行っていただきまして、現在は技術職員が7名在籍しております。部門といたしましては機械、電気、化学、繊維という4分野の専門の職員でございます。更に下の方でございますけれども、私ども相談員は40名と多うございまして、この40名を10分野の専門グループに分けまして、専門分野別相談対応というものを実施しております。このうち今年、安全・表示グループというものを3名の相談員で新設をしてございます。特に今年の消費者庁設置あるいは消費者安全法の施行に対応するグループでございます。
この技術職員と安全・表示グループの相談員が、緊密に連携をいたしまして、中心となって都内の商品テスト等に係る相談対応能力の向上をもって、消費生活の安全確保につなげているところでございます。
真ん中のところが実績でございます。昨年度私どものセンターで実施いたしました相談テストは122件でございます。そのうち東京都で受け付けた相談に係るテストが44件、区市町村の窓口で受け付けたものが68件という状況でございます。
もう一つ、先ほど技術情報の提供と申し上げましたけれども、②にまいりますが、これが昨年度でいきますと都、区市町村分合わせて856件という実績になっております。相談テストの方はおおむね100件強で推移しておりますが、技術情報の提供はかなり増加傾向にございます。
内容といたしましてはテストの方の内訳をごらんいただきますと、昨年の112件のうち被服品に関するテストが85件ということで、約4分の3を占めてございます。これはクリーニングトラブルに係る原因究明のテストが一番多いという状況でございます。技術情報の提供は衣食住、その他かなりいろいろな分野にわたって幅広く行っております。
事例の方ですが、事例1はステンレス製の物干しがさびてしまった。ステンレス製とうたっているのに何でさびてしまったんだという御相談をいただきましたので、これにつきましては私どものセンターに設置しております蛍光X線分析装置という機械を使いまして、ステンレスというのはクロムという物質の含有割合が10.5%以上とJISで定められているそうでございますが、当該商品についてはこの規格を満たしていないことを確認いたしまして、また、同社の同商品についても確認をいたしましたけれども、たまたま御相談者の方が購入された商品はそれを満たしていなかったことがわかりましたので、これについては事業者との話し合いで、返金処理といった相談結果に結び付けております。
もう一件だけお話させていただきます。事例2でございますけれども、これは1~3歳ぐらいの小さなお子様が使います、足こぎ4輪車が不安定で危険だといった御相談がありました。具体的には乗っておりまして、前にハンドルを持ったまま倒れてしまうといった御相談でございましたので、これは業界基準でございますが、玩具安全基準、ST基準と言うらしいですけれども、こちらに沿って安定性に関する形状測定を実施いたしまして、こちらもやはりこの基準を満たさないということが確認されましたので、事業者に改善の要請をしたというところでございます。
こうした相談テスト等を通じまして、右側の方に行っていただきますが、技術あるいは情報が私どもセンターに蓄積されてまいります。これを都民の皆様に還元する一環で普及啓発を実施しております。1つは一般都民の方を対象といたしました実験実習講座、もう一つは都内の小中学校等の先生を対象といたしました教員講座というものを実施しております。こうしたことを通じて、都民の皆様あるいは学校の生徒さんに消費者としての目を養っていただいて、消費者被害の防止につなげていくということを実施しております。
センターの相談テスト事業につきましては、説明は以上でございます。

○松本委員長 ありがとうございました。予定の終了時間まであと15分程度しか残っておりませんが、どうぞ御質問、御意見をお出しください。櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 資料の4ページですけれども、広域的な対応ということで5都県が連携をするというお話は一番重要なランクの問題だと思うんですが、各5都県で連携すると行政のコストとしては、みんなで一緒にやりましょうねということなので、一番コストがかかるし、苦労が多いし、相手は悪質事業者ですので非常に合理的かつ迅速に対応してこられるということもあって、そういうことからすると行政がぼやぼやしていると逃げてしまうというのがあると思うんですが、ということで非常に重要な行政対応だと思うんだけれども、その辺はうまくいっているという感触なのかどうか。
それから、特商法の事案と理解をしていますが、そうすると地方経産局を使ってやるという方法もあるかと思うんですけれども、そこはどういう区分けになっているのかという点も気になります。消費者庁と直接関係がないかもしれませんが、例えば宅建業法とかだったら免許基準自体が国土交通大臣にある場合もあり、広域的な対応は国がかかわったほうがよいという面もあります。そうすると、その辺は制度的な欠陥なのか、不十分なのかなと思っているんですけれども、コメントをいただければと思います。

○松元副参事 5都県で連携することが効率的かということにつきましては先生のおっしゃるとおりでして、私たちもやりながらそこは感じているところです。例えば20年度は4都県で緊急水道修理の事業者を処分しましたけれども、その業者は大阪の業者だったんです。そういうこともあり4都県で大阪の業者に立ち入りをしました。これはお金の面でも人的にもかなり大変だったんです。
一方でこの事業者を国が処分すれば1回で済む話ですね。だから本当に労力及びお金から考えて効率的かと言ったら、確かにその面はあります。ただ、私たちとしては国が処分するまで待つか、目の前の消費者被害を自分たちで何とか早く対応するか、それを考えてやっている取組みです。
先ほども申しましたが、国が常にオブザーバ参加しておりますので、どの事業者を私たちが処分しようとしているかというのは国はわかっていまして、では国がやってくれますかと言ったときに、今はすぐにはできないという話を確認した上で5都県で対応しております。

○松本委員長 池田委員、どうぞ。

○池田委員 私もこの連携の取組みというのは非常に感心しているんですけれども、2つございまして、1つはコストの負担は具体的にどういうふうにしているのか。もう一つは東京都が先駆的な取組みなんでしょうが、先ほどの長野の話ではないですけれども、他県への連絡というのはどういうふうになっているのか。
もう一つは、根本的に先ほど国がやれば効率的だとおっしゃっていましたけれども、所詮国がやることはみんな後追いだから、国民レベルに立つとやはり基礎自治体を含めて、そういうものが対応していく以外に消費者サイドに寄った行政というのは、ないのではないかと思うんですけれども、その3つについてお願いします。

○松元副参事 まずコストなんですけれども、それぞれの自治体がかかった費用を負担しております。処分はそれぞれの県がそれぞれ処分をしますので、それにかかる費用がそれぞれの県が負担するということで、立ち入りなんかに行くときの旅費等はそれぞれの県が負担しております。
他県との連携なんですが、案件によりましては5都県以外にも声をかけることをやっております。今年度ですけれども、東京都は大阪府と連携して大阪府に本店のある業者で、東京都にも支店のある業者に2都府で連携して処分をしておりまして、5都県でないとやっていないというわけではありません。
確かにお金は地方自治体がやれば処分の数だけ費用はかかっていますけれども、本当に目の前の被害を何とかしたいということで、みんな合意をしてやっているところです。

○松本委員長 佐野委員、どうぞ。

○佐野委員 今の連携の件なんですが、おっしゃったように目の前にある消費者被害をなくすために、是非続けていっていただきたいと思います。御説明の中で都独自の研修をなさっているというお話があったんですが、連携している中でこれは都の職員だけなのか、それとも5都県全員の職員のための研修なのかということを1つ伺いたい。
もう一つは商品サービスの安全対策についてですが、いろいろテストなどをなさって国とか関係団体にいろいろ要望されていらっしゃいます。ここに書いてあるものはほとんど対応してくださったという例なんですけれども、東京都は各省庁に要望書を出されていますが、それはきちんとした答えが返ってくるのかどうかをお聞きしたい。
都条例の中に消費者の申出制度というのがありますけれども、それは現在ではどんな動きがあるのかというのを伺いたいと思います。

○松本委員長 下谷内委員、どうぞ。

○下谷内委員 関連で1つだけにします。執行体制のことでございますが、先ほど長野県さんも1件だけ去年やったということで、0件が4県あるということなんです。東京都では警視庁のOBさんなどといろいろ連携してノウハウを蓄積していらっしゃいますので、それを先ほど佐野委員も言いましたように、どのような形で全国に周知されるのか、何らか別の方法でもってノウハウを研修するようなシステムをお考えなのか、あるいは国にそれを求められるのか、その辺のところをお伺いしたいと思います。

○松元副参事 まず私の方から研修の話ですけれども、私たちは研修を2種類受けておりまして、1つは4月に新しい職員が来たときに、東京都として中で弁護士先生及びその他専門家による研修を1週間ちょっとやっております。それがまず1つあるんですが、もう一つは経済産業省の方で特商法及び割販法なんかの執行研修というのが、全国の職員を対象としてあるわけでして、それはたしか6月くらいに泊り込みの1週間の研修があります。私たちはその両方の研修を受けることによって大体職員の執行能力というのが高まりますので、3年ごとに大体職員が変わるんですけれども、一定レベルが保たれると思っております。
他県の法執行の皆さんも経産省の研修を受けておりますので、大体処分のやり方も統一がとれておりますので、連携する場合にはそれほどの問題は感じておりません。

○大野課長 続いて私の方から国への要望の結果ということでございますけれども、先ほど御説明申し上げました、例えばベビー用のおやつにつきまして母子健康手帳の方に反映していただくということで、全国レベルに私どもの問題提起が記載なされるということで、国の方でも非常によく対応していただいたなと思ってございます。
これに限らず国の方に私どもはいろいろ要望等をさせていただいておりますけれども、できることできないことは当然ございますが、例えばほかの事例では地方消費者行政活性化基金につきまして、昨年来いろいろ国の方にも御意見を申し上げているところでございましたが、例えばメニューごとの上限額があると非常に使いづらいのではないかということを申し上げたところ、そのような方向での改善もなされてきているなど、かなり国の方としてもいろいろ私どもの御意見というものは聞いていただきながら、できるところできないところございますけれども、対応していただいているなという印象は持っているところでございます。
都民の方からの申し出でございますが、佐野先生から今お話がございましたけれども、実は先ほど長野県の先生がお読み上げになった条文が、まさしく私ども東京都の条例の8条でございまして、かつてはいわゆる商品の危険性についていろいろ都民の方から申し出がございましたのですが、最近は取引分野についてもいろいろございまして、昨年の事例でございますけれども、これも先ほど櫻井先生の方から追い出し屋ということでお話がございましたが、家賃保証をめぐるトラブルが非常に社会問題化したところがございまして、実は私どもの条例の8条を使った申し出がございました。
その結果、私どもといたしまして、先ほど先生の方からもその趣旨の話がございましたけれども、なかなか業法だけですと自社物件を賃貸しているところは直接の規制が効かないというところで、消費者契約という点に着目して消費者条例を使って指導を行い、また、関係団体にも注意をする。その過程におきましては、内部的には不動産関係の担当者と全庁的に横串を刺すような格好で検討をして、対策を練ってきたところでございますが、その結果として国の方でも同じような問題意識を持っていたところでありますけれども、私どもの消費者行政、消費生活部長名で行ったいろいろな取組みが、国土交通省の方から全都道府県の住宅政策部門の方に、こういう取組みがあるから参考にするようにといった取組みにつながった例もございまして、取引関係でも活用されてきているという状況でございます。

○松本委員長 中村委員、どうぞ。

○中村委員 先ほど樋口教授から、構造が変化してしまったものをもとに戻すのは大変だというお話がありました。東京都もかつては5つの支所がそれぞれ商品テスト部というのを持っていて、テスト機能を持っていたんです。今は本庁1か所だけです。そういうふうになったものを、東京都がこれから商品テスト部門をもう一回戻すというか、もっと拡大するという計画やお考えはおありなのか、その辺をちょっと伺いたいです。

○清宮部長 今の先生のお話は、かつて5つ、あるいはもう少し多い支所がありまして、そこで消費生活相談そのものも受け、そこにテスト機能を置いていた時代のことからのお話だと思います。
今の東京都は、1つはやはり区市町村の消費生活相談で身近なところで育ってもらいたい。今は全区、全市に消費生活センターあるいは消費生活室ができるようになりまして、そういう意味では東京都では相談機能は飯田橋に集約をしました。
テスト機能は相談とくっ付いているものでございますので、そういう意味ではテスト機能だけを新たに設置するということは私どもは考えはございません。
相談につきましては96%が現在電話相談でございますので、東京都としてはやはり区市町村の身近なところに持ち込まなければいけないもの、あるいは契約書など持ち込まなければいけないというものは、区市町村の消費生活センターでできるだけ受けられるような形で、基金も活用しながら更に活発化していただきたいし、東京都自体は飯田橋のセンターで、各区市町村のセンターにいろんな技術支援等をしていきたいという考えでございます。
ついででございますが、先ほど御質問がありましたノウハウの伝授についてですけれども、他県に対する行政処分のノウハウの伝授は、来ていただければいろいろと御説明を担当からしているはずですが、やはり一緒にやって、一緒に立ち入り、一緒に処分を行う。初めての方が一緒に行うことによりまして、伝授が一番できるものだとは考えます。

○松本委員長 川戸委員、どうぞ。

○川戸委員 関連なんですけれども、逆な方向で前回の委員会のときに、NITEとか国民生活センターでも相談テストをやっていらっしゃるということで、そことのテストなんかでもやはりダブり感があるわけですから、一元化をしたらどうだというのがありましたが、そこら辺はどう考えていますか。

○清宮部長 やはり役割分担といいますか、そもそも今の飯田橋のセンターに相談テスト機能の技術支援係があるのは、相談を受けながら、相談員の人が援助がほしいなというときにすぐできるという機能がございますので、日常的な消費生活相談につきましては、やはり東京都であれば、その場所で受けられる体制がいいのかなとは思っています。
それに対しまして、製品のトラブルも非常に多様化していて、技術的にもかなり高度になっていますので、非常に高い機器を持って全部の自治体が対応することも難しいと思いますから、そういう意味では国センさん、NITEさんの機能と各都道府県の自治体の相談テストの機能とは、役割が異なってくるのかなと考えます。

○松本委員長 ほかに特に御意見、御質問はございませんか。山口委員、どうぞ。

○山口委員 直接のテーマではないんですが、私の相談者から、公開買付の分厚い資料が証券会社から送られてきて、これは何だという相談を受けました。個別の問題を具体的に問題にするつもりは全くありません。要するに三洋の株式をパナソニックが公開買付するという関係で、三洋とパナソニックの考え方を述べられたもので、それ自体は大変結構なことだと思うんですが、何せその説明文がわかりにくいんです。
A4裏表15枚にびっしり書いてありまして、恐らく数万人の個人株主がいると思うんだけれども、おじいさん、おばあさんの株主にはとてもわからないだろうと思うんです。こういうものについての改善等も、やはり消費者委員会でやっていくべきテーマだと思いますので、これまで全く議論されていないように思いますので、これからこういうものも取り上げていただくようにお願いいたします。

○松本委員長 新しい問題提起だと思います。金融庁でも恐らく取り上げるべき課題だと思いますが、消費者委員会としてもどこかで。櫻井委員、どうぞ。

○櫻井委員 先ほど不正確なことを申し上げたので、訂正だけさせていただきたいんですけれども、今の大野課長の御指摘で気がつきましたが、東京都の場合は申出で始まるという8条の事前のものと、救済のところも申出という形になっているので、事前と事後の形で申し出という仕組みがとられていると理解してよろしいわけですね。 長野県の方も苦情処理という位置づけになっているようですが、救済委員会をきちんと置いておられるということで、ただここは苦情処理で知事の付託に応じてという形になっているということで、申し出とは限らないということなるわけですかね。

○樋口教授 苦情処理は苦情処理なんですが、したがって審議会と申し上げたのは、それ以外のことについては審議会がチェックをしていくことになっていますので、そちらの方には必ず入るという趣旨でございます。

○櫻井委員 わかりました。ありがとうございます。

○松本委員長 今日もまた盛りだくさんで、時間どおりに終わらなくて誠に申し訳ございません。本日議論されましたさまざまな点あるいは御指摘を受けました御提言等を踏まえて、消費者委員会として更に検討を深めていきたいと思います。
樋口教授並びに東京都の方々におかれましては、お忙しい中長時間にわたる審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。次回の日程は改めて周知したいと思いますが、次回も引き続き地方の消費者行政の現場に詳しい方からヒアリングを行いたいと思っております。
本日はお忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

≪ 閉 会 ≫

(以上)