第32回 消費者安全専門調査会 議事録

日時

2017年6月22日(木)14:00から14:59

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
山本座長、藤田座長代理、相澤専門委員、村田専門委員
【消費者委員会担当委員】
河上委員長、大森委員、樋口委員
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、丸山参事官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 第31回消費者安全専門調査会における議論の整理
  3. 報告書骨子(案)について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1. 開会≫

○山本座長 それでは、ただ今から第32回「消費者安全専門調査会」を開催いたします。

配付資料の確認を事務局からお願いします。

○友行企画官 議事次第の配付資料の下のところにありますように、資料1と資料2の2つでございます。御確認をお願いいたします。


≪2. 第31回消費者安全専門調査会における議論の整理≫

○山本座長 それでは、最初の議題は「第31回消費者安全専門調査会における議論の整理」です。

事務局から10分程度で説明をお願いします。

○友行企画官 それでは、資料1を御覧いただけますでしょうか。「第31回消費者安全専門調査会における議論の整理」ということでございますが、まず、最初のところからでございますけれども、「入力」のところから始まりまして、番号の1のところでございますが、事故情報データバンクで欠損が見られるデータのうち「年月日」などは、すぐにでも入力を必須とすることができるのではないかというような御意見がございました。

2のところでございますが、この情報を入力したら、こうした分析ができるというメリットを示すことが重要ではないかというような御意見がございました。

4のところでございますが、入力項目を統一するのであれば、入力を必須とする項目について、入力しないと(入力)作業が終了しないというような技術的なサポートも必要ではないかという御意見もございました。

6のところでございますが、現時点、「事故内容」の分類区分において「その他」が4割を占めているが、「その他」の割合が多過ぎるのではないか、何らか対応が必要ではないかという御意見もございました。

「分析」のところでございますけれども、1のところでございますが、テキストマイニング等の分析技術は、分析すべき事故の絞り込みに有用であるけれども、絞り込んだ後は人の目で丁寧に見ていくことが必要であるという御意見もございました。

2のところでございますが、事故情報の分析に当たっては、事故情報に詳しい方に参加していただくと、有益な分析ができると思うというような研究者の方の御意見がございました。

おめくりいただきまして、3のところでございますけれども、事故情報データバンクは、例えばカテゴリーなどがもっと整理されている方が、研究者としては分析しやすい。目的が絞られていてよいデータだとは思いますけれども、もう少し整理されていると、研究者としては分析しやすいといった御意見もございました。

5のところでございますけれども、実際にこういった分析ができるかどうかということについて、市販の分析ソフトでも実務の人が使っているケースがあるので、ある程度分析は可能ではないかという御意見がありました。

7のところでございますけれども、「医療機関ネットワーク」においても収集されているデータがありまして、それについては情報に偏りがないと思われる。「医療機関ネットワーク」の情報も合わせて分析するとよいのではないかといったような御意見がございました。

「活用」のところに参りまして、1でございますけれども、事故情報データバンクに蓄積されたデータをどのように扱うかについては、いろいろな方向性があると思う。そのため、参画機関、関係する人などが集まって、お互いにどのように情報を活用するのかといったことについて協議を行った上で、新しい分析発信の方法について考えていくのがよいのではないかというような御意見がございました。

2のところでございますけれども、研究目的と適切な目的をもって利用の申請をした人には利用を認めるような仕組みができるとよいのではないかというような御意見がございました。

3のところでは、事故情報データバンクに集められたデータを消費者に還流することを意識して、消費者への情報の還流がルーチン化できるようになるとよいのではないかというような御意見がございました。

5のところでございますが、前回の発表の中でございました「事故の簡潔表現モデル」は非常に分かりやすいという御意見がございました。

「周知」の1のところでございますけれども、周知すべき事故の絞り込みは、分析技術を活用していって、絞り込んだ後は人が目で見て行う。そういったことが重要ではないかという御意見がございました。

また、事故情報の周知については、年代によって事故の内容が異なるので、例えばバスで起こっている事故であれば、バス会社に協力してもらうことも考えられたり、事故ごとにどういうパターンがあるのか分析して、事故に遭いそうな人に周知していくのがよいのではないかといったような御意見もございました。

「アンケート」のところの1でございますけれども、アンケート結果からは、テレビから情報を得る方が多いということを受けて、ただ単にテレビだけに情報を流せばよいということではないだろうというような御意見もございました。

2のところでございますが、若い人、20代以下の人もテレビの割合が意外と高いという印象を受けたという御意見もございました。

おめくりいただきまして、「その他」のところでございますけれども、1のところでは、事故情報データバンクの情報を充実させる作業と事故情報データバンクに集約された情報を周知する作業はいずれも重要であって、全てを消費者庁が行うのは大変である。コスト面も考えて取り組むべきではないかといった御意見もございました。

3のところでございますが、データを実際に見ていただいた感想として、「女性」の割合が「男性」の倍以上となっており、違和感を持った。バイアスがかかっているのではないかといった御意見もございました。

以上でございます。

○山本座長 それでは、ただ今の説明の内容につきまして、御質問、御意見のある方は、お願いします。

よろしいでしょうか。

≪3.報告書骨子(案)について≫

○山本座長 それでは、続いての議題「報告書骨子(案)について」です。

本専門調査会は、1月から開催をし、これまで消費者庁における事故情報の活用等に関する取組、事故情報の公開、諸外国における事故情報の活用等についてなどのテーマを取り上げて議論してまいりました。

また、前回の専門調査会では、各委員から事故情報の分析の試行の結果や暮らしの事故に関するアンケートの結果について報告をいただいております。

今般、事務局においてこれらの審議内容を踏まえた報告書の骨子について案を作成したとのことですので、事務局から説明をしていただき、委員の皆様に質疑をいただきたいと思います。

それでは、20分程度でお願いいたします。

○友行企画官 資料2でございます。「消費者安全専門調査会報告書 骨子(案)」としておりまして、「~事故情報の活用等の在り方について~」という見出しをつけております。

最初のところでございますが、「はじめに」のところで問題意識を整理してと考えております。

中身の構成でございますが、第1から第5と分かれております。最初の第1のところでございますけれども、ここは「行政機関等における事故情報の活用等」ということでございまして、現時点、どのように事故情報が収集されていたり、それから、集まってきた事故情報に基づいて公表や注意喚起が行われていたり、消費者庁やNITE、国民生活センターにおいて事故原因の調査を行っておりますので、どういった形で行われているのかということ。4につきましては「事業者における事故情報に関する取組」ということで、事故情報を集めて分析しているのは、事業者においても行われているということだと思いますので、その辺り、書けることを書いてはどうかと思っておりまして、第1のところでは、現状事故情報をどのように活用しているかということを整理するという構成にしております。

第2のところでございますけれども、ここがこの報告書の中心となるところでございまして、まず「事故の未然防止等のための事故情報の更なる活用に向けた分析」という題名にしておりますが、まず1のところでは「専門委員における分析」と置いております。ポツのところ、これはそれぞれの先生方から発表していただいた順番に並べております。「事故情報の流れから見た効果的な仕組みの構築」をまず初めに置きまして、それから「事故情報データの品質向上に向けて」というところ、「事故情報の活用等のあり方について 言語解析技術」というのは前回の相澤専門委員の御発表を念頭に置いたものでございます。「事故情報データ分析」というのは市瀬専門委員の御報告を念頭に置いたものでございます。「データ分析」というのは西田専門委員の御報告のことでございます。ここの表題につきましては、この後変わる可能性がございます。それぞれの専門委員の先生方から、前回はパワーポイントの資料で御発表いただきましたけれども、そのパワーポイントの資料だけではなくて、先生方からワード文書で、御発表の内容ですとか、御発表の際にお使いいただきました分析の目的や技法ですとか、手法ですとか、そういったものを整理していただいたペーパーを御用意していただいておりますので、そういったものをここで整理してまとめたいと思っております。

専門委員の分析に続きまして、おめくりいただきまして、「事業者による分析」とここでは置いておりますけれども、ここは専門調査会の中で民間の事業者から分析をしていただいた回がございますけれども、そのときに発表していた内容をまとめたいと思っております。このときの民間事業者の発表は、委員の先生たちには、これまで消費者庁に集まってきている19万件というデータを全てお渡しして分析していただいたのですけれども、ここの「事業者による分析」につきましては、1年間の2万7,000件程度のデータをお渡ししております。限られたデータではありますけれども、テキストマイニングを使って自由記述の部分を分析するとどのような結果が得られるかですとか、限られた情報ですが、事故情報の活用等においてSNSをどのように活用していくことが可能かということで、あのときは自転車の事故ということをテーマにしてツイッターを拾ってみて、どのような事故情報を取ることができるか、それを分析にどう活用できるかというようなプレゼンをしていただきましたので、そのことを整理してはどうかということ。その民間事業者からテキストマイニングやSNSを事故情報分析に活用する際の留意点ということについて幾つか指摘をいただきましたので、そこも整理してはどうかと思っております。

次に、第3のところでございますけれども、「事故情報の公開について」ということで、事故情報を含めまして、いろいろな情報については全体としては公開していくという流れがあると思いますので、ここのところでは「事故情報の公開について」ということで「行政機関における情報の公開の流れ」、個人情報保護法制の改正の話ですとか、官民データ活用推進基本法でどのようにまとめられているかですとか、実際に消費者庁において事故情報の公開はこう行われているというようなことを整理するというように置いております。

2のところでは、事故情報をオープンすることによって、消費者にとってどのようなメリットがあるか、事業者にとってどのようなメリットがあるかということを整理して置きたいと思っております。

3のところでは、事故情報をオープンにするといった大きな流れで、オープンにするといった場合に留意点があるだろうということで、ここでは7点ぐらい整理しております。行政機関は個人情報保護法でどういう規定が置かれているかですとか、消費者に関する情報をオープンにすることになりますので、消費者のプライバシーの問題についてはどう考えたらいいか。事業者情報を公開することにもなる場合があると思いますので、そういったときの留意点。あとは「ローデータの公開」ということで原データに近い情報を公開することもある可能性もございますので、そういった場合に留意する点。「情報の収集・集約段階」というのは情報を公開するということを前提において情報を集める、入力項目ですとかシステム的なことをどう考えていくかということの視点が大事だということを指摘するといったこと。「事故情報の利用に関するルール」というところでは、事故情報を一遍に全部公開するのではなくて、その利用を制限して、例えば研究機関などに出すといった場合に、どのようなルールを設定していくかといった観点。最後の「事故情報の公開による責任等」ということについては、公開することに伴う責任をどう考えていくか、整理していくかということで、全体としては公開の方に持っていくことがあると思われますが、その際、オープン化における留意点としては、こういうことがあるでしょうということをここで整理してはどうかと考えております。

第4は「海外における事故情報の分析・活用等」というところでございまして、これも専門調査会の中で御発表していただいたところがございますが、アメリカを中心に、アメリカでは事故情報をどう集めていて公開しているかということを整理してはどうかと思っております。専門調査会の中で、アメリカではNEISSというシステムが中心となっておりまして、これは病院から取ってきた情報が中心ですよというお話があったり、あと、このNEISSのデータの利用がとても活発になっている背景には、コード化が進んでいるといったことで利用しやすい形で公開しているということの指摘もありましたので、そういったことを整理して紹介する形にしております。

分量が少ないかもしれませんが「欧州連合」、ヨーロッパの例についても少しここで整理してはどうかと思っております。

第5のところが最後のところでございますけれども、第2のところを中心にしてでございますが、第2のところと第3のところと第4のところを受けまして、この安全専門調査会としての「事故情報の更なる活用に向けた提言」とまとめてはどうかと考えております。

大きな柱としては、1の「事故情報データの品質の向上」というところと2の「新たなデータ分析の活用」というところと、3の「事故情報を伝達する新たな仕組みの構築」というところと、4の「事故情報の公開の促進」というところでございます。

こういうように柱を大きく立てておりまして、例えば中に盛り込む事項としてはどういうことかということで考えられることといたしましては、前回大分御議論いただきましたけれども「事故情報データの品質の向上」というところにつきましては、例えば欠損値への対応といった話ですとか、入力項目の整理といった部分ですとか、データ入力者のスキルの向上の話。欠損値を埋めるということにつきましては、入力フォーマットを大分工夫する技術的支援ということも考えられるといった話もございましたので、そういった部分を盛り込むといったことでございます。あとは、もし仮に品質の向上ということを実際に検討することになった場合には、事故情報データバンクは現在多くの参画機関と協力してデータを入れていただいておりますので、それらの参画機関との連携ですとか、情報交換ですとか、そういったことが重要であるという視点も大事だということが1のところでは重要なことではないかと考えております。

2の「新たなデータ分析の活用」というところにつきましては、ここは実際に現行、解析技術ですとか、テキストマイニングですとか、そういった技術を使って先生方から御発表をいただきましたので、その先生方がお使いになった分析技術ということを今後活用したり、応用していくことが重要ではないかといった視点。それから、前回実際に先生方からいろいろな分析結果というものを御披露していただきまして、子供に頻発する事故ですとか、年代別に多い事故ですとか、件数は少ないけれども、一度起きると重傷化する事故の事例として品目を挙げていただいたり、そうした実際の事故の事例につきまして、そこからまた更に調査で深掘りしていくですとか、そういった視点も需要ではないかということを、この2のところでは指摘します。あとは、民間事業者などにおいてSNSを活用した事故分析事例というものも紹介していただきましたので、そういった視点も必要ではないかということも2のところで盛り込めればいいなと考えております。

3のところは「事故情報を伝達する新たな仕組みの構築」というところでございますけれども、こちらは例えば新しい事故情報の公表の仕方ということで、これは藤田専門委員などからも発表のありました新しい公表の仕方でございます。そういったものを発表したりですとか、あとは、体験と参加を促進する仕組みというような、そういった視点も必要ではないかということで、事故情報を文字だけで発表するのではなくてリアルに感じたりとか、そうすることによって事故を未然に防ぐといったことにつなげるといった視点も必要ではないかということをここで指摘してはどうかと考えております。

4のところの「事故情報の公開の促進」のところでは、大きな流れとしては公開だろうけれども、一遍に公開することも考えられますが、段階的に公開していくという在り方ですとか、医療機関の情報については、今、公開されていないのですが、そのことについてどう考えるかといった内容も盛り込んではどうかと考えております。

以上で終わります。

○山本座長 ありがとうございました。

それでは、ただ今の説明の内容につきまして、御質問、御意見のある方はお願いします。

骨子ですので、それほど細かいところまでは今日の段階では議論できませんけれども、大きくこういった論点についても付け加えた方がいいのではないかとか、このような構成は少し分かりにくいのでこう変えた方がいいのではないかとか、いろいろ御意見があるかと思いますので、お願いできればと思いますが、いかがでしょうか。

大森委員、お願いします。

○大森委員 2ページの第3の「事故情報の公開について」の2ですけれども「事故情報のオープン化の意義」というところで「消費者にとっての意義」、「事業者にとっての意義」があるのですけれども、「行政にとっての意義」というのは入れなくていいのでしょうか。行政にとっても二重行政をなくして効率化が図れるとか、フォーマットが整うとか、データがよくなるとか、かなりメリットがあるのではないかと私は思うのですけれども、それが1点目です。

あと、アンケートなどに協力してもらうための工夫みたいなものはどこに入るのでしょうか。外国のように有料でしていただくことを検討するとか、こういうように生かしているという事をアピールして、もっと積極的にアンケートに協力してもらうとか、フォーマットを整えるということと協力される方の意思の向上と、2面お話があったかと思うのですけれども、それはどの辺に入るのでしょうか。その2点、お願いします。

○山本座長 よろしいですか。お願いします。

○友行企画官 「事故情報のオープン化の意義」のところに「行政にとっての意義」を入れるということについては、考えてみたいと思います。

それから、入力に協力してもらうということの工夫ということですね。それも考えてみたいと思います。

○山本座長 ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。

樋口委員、お願いします。

○樋口委員 本専門調査会の目的に関わるところで、私自身は、この専門調査会の議論に参加するまでは、このデータバンクが十分活用されているかどうかということについて、かねてより若干疑問を持っていたところなのですが、専門委員の皆様からいろいろ新しい手法とか、そういったことについても示していただいて、活用の可能性がある程度明らかになってきたかと思うのです。

そこで、幾つか基本的なことをお伺いしたいのですが、まず、この報告書は誰を名宛人にして出すのかということなのです。報告書ですから、別に名宛人はないのかもしれませんが、実際に、例えば消費者庁のデータバンクを担当する人に対するメッセージなのか、それとも、もう少し広いメッセージなのか、そこをまず第一にお伺いしたいのですが、報告書の主たる名宛人はどなたになるのかということなのです。

○友行企画官 主たる名宛人ということになりますと、事故情報データバンクを持っているところでありますので、消費者庁ということになると思います。

○樋口委員 そうすると、恐らく御検討はされていることとは思うのですが、私から若干提案がありまして、事故情報データバンクを活用していくためには、これからこの報告書をぜひフォローアップして具体的な政策の中に反映していただきたいと思うわけなのです。そうしますと、この委員会でもいろいろ議論がありましたが、例えば年齢とか、男性とか女性とか、そういった基本的情報についても必ずしも機関ごとに統一がなされていない。あるいは、データの活用方法やデータの公開の仕方についてもそれぞれ事情があるということなので、専門的な見地を含めて、検討体制を消費者庁を中心にしてぜひ立ち上げていただきたい。この専門調査会をフォローアップした上で、専門調査会の報告書を受けた実務的な検討体制を作っていただく。そうすると、実は、例えば入力の仕方一つとっても大変難しい問題が背後にあると思うのです。入力の仕方を変えるということは予算措置にも絡んできますから、したがって、この検討体制で抽象的に決めてもそう簡単にはいかないわけで、それぞれの機関が、例えば年号の入力の仕方一つとっても、そこを変えるということは全体のシステムを変更することになりますし、そういう意味で、検討体制と併せて予算措置を確保していくような、そういう方向性を実現していただきたい。

そういう意味で、これは一言で言ってしまうとフォローアップなのですけれども、報告書に対するフォローアップの方向性というものをきちんと実務的に構築していただけるということがないと、報告書でせっかく専門委員の先生方からいろいろすばらしいアイデアもいただいたのですが、それがそう簡単には具体化しないのかなと。

特に私が心配していますのは、データバンクというのは様々な機関がデータを持ち寄っている機関なので、消費者庁が決めたからといって直ちに実施することは困難であります。それぞれの機関と調整をして、そして、その入力情報を、例えばコード化するとか、入力情報の中で公開情報をきちんと分類をするとか、入力の仕方を考えるとか、あるいは空白の欄が非常に多いという話がありましたが、その取扱いについてのルールをきちんと決めるとか、これは相当に行政の実務としては重い話だと思います。ですから、専門調査会の報告書の考え方を踏まえてきちんとフォローアップしていただくことが第一だと思います。

もう一つは、それに関連して、実は消費者教育の話は非常に関係が深いなと。大森委員からもお話がありましたけれども、ここでいろいろなことが分かってくると、それが例えば事故を未然に防ぐという話になりますと、これは消費者教育機関であるとか、そういったところとも連携をとって、実際に事故情報について分析して得た結果を、例えば学校教育あるいは消費者団体のいろいろな取組、そういったところに機動的に情報を伝えるという仕組みも必要になってくると思うのです。その意味では、この報告書は大変大きな意義を持つものになり得ると思うのですが、そういうところまで、ぜひ報告書に書ける限界というものがあると思いますけれども、配慮していただいて、最後の提言のところですが、できるだけ具体的に、具体的に書けない場合もあると思いますが、ちょっと踏み込んで議論していただくことに意味があるのではないかと思っております。

○山本座長 いかがですか。

○友行企画官 検討したいと思います。

○山本座長 報告書そのものの性質や報告書の名宛人をどうするという問題は、これは消費者委員会の本委員会の方で十分お考えをいただくべき話かと思いますので、ここで私は何も申し上げません。

報告書の内容として言えば、報告書の最後の第5の部分はデータ処理の流れに沿って書いているのですが、どういうアクターがどのように関わるかという問題がそれぞれについてありますので、その点は示していく必要があるだろうと。1に関しては、先ほど樋口委員が言われましたように、当然それぞれの機関が協議をして、データの品質向上を図っていかなければならない話になりますし、あるいは分析とか公開という部分に関しては、まずは研究機関とか研究者の方に、今回のこの専門調査会自体がそのように多くの専門家の方に関わっていただいたということがあるわけですけれども、今後さらにそれを広げていくというか、継続していく必要があると思います。そのような観点から分析とか公開になるべく多くの専門家、専門機関が関わってもらえるようにしていくといったことを、恐らく入れることになるだろうと思います。

それから、伝達ということに関しては、今、少し言われましたけれども、前回はもう少し体験型のものを考えた方がいいのではないかということも出ましたが、さらに言えば、先ほどお話がありましたように、実際の教育現場などとの連携を考えていくということも必要だと思いますので、恐らく、この第5の部分に関しては、それぞれのどのようなアクターにどう関わってもらうことが有益かということを書き込んでいくことになるのではないかと思います。

何か事務局からございますか。

○友行企画官 今いただいた意見を踏まえて、よく考えたいと思います。

○山本座長 河上委員長、お願いします。

○河上委員長 非常に形式的なところなのですけれども、これは「事故情報の活用等の在り方」と書いてあって、その事故情報の射程がどこかではっきりされていないと、なかなか話が一貫していかない可能性があるので、例えば「消費者安全法に基づく事故情報」「消費生活用製品安全法に基づく事故情報」、それぞれ上にありますね。これは一致しているものなのか、それともずれている可能性があるものなのかがよく分かりません。

それから、これまでもよく問題になったのは、ヒヤリ・ハットのような情報は事故が起きる前の、言ってみれば危ないなとみんなが思ったような情報ですね。そういうように、事故情報とされてこの報告書の中で考えているものの具体的な性格を、最初にどこかではっきりさせておいた方が、その後の叙述にとって大事なのではないかという気がします。

2つ目ですけれども、「事故情報の収集」のところで、これは大森委員からもお話がありましたが、データ入力を含めた事故情報の作り方というか、その源泉になる部分に掛かる費用といいますか、コストを誰がどういう形で賄っていくのか。特にPIO-NETのデータ入力に関しては、前から消費者委員会としても何らかの公的な費用を出してあげた方がいいのではないかという話は出しておりますが、それ以外にも、アメリカなどの話を聞いていると本当にうらやましいほど情報の買い取りのための資金があるということですけれども、何らかの事故情報の入力についての御褒美のような問題を考えておかないといけないのかなと思いました。

3の「事故原因の調査等」のことなのですけれども、これは最初から万全の原因調査体制というのはほとんど考えることは難しくて、恐らくある程度掘り下げていくと、また考えないといけない問題点が出てくるということで、そのステージごとに、より深い調査のための専門家とか、そういういろいろなツールを使った分析が必要となるのであろうと思いますから、その意味では、段階を追った事故原因調査の必要性があるということをどこかで明らかにしておく必要性があるのかなという気がいたしました。

事故情報の性格にもよるのですけれども、これは生命身体に対する安全性に関わるものだけだったらいいのですが、財産事案の話になると、これをオープン化していくと、恐らく悪質業者にとってもこの規制回避のための知恵を与えるような方向に使われてしまう可能性がないわけでもないので、これは先ほどの事故情報の性質によって決まってくるのであろうと思いますけれども、その辺のオープン化のときの工夫というのも、先ほど来留意点のところでも話が出ておりましたから、これも検討しないといけないのかなという気がいたしました。

雑駁なことばかりですみません。

○山本座長 何か事務局からございますか。

○友行企画官 事故情報の定義というのは、最初にきちんと前のところでするというのは、そうしたいと思います。その際に、最後の話とも関係があるのですけれども、これは生命身体に係る事故でありますので、財産事案というのは基本的には除かれるということであります。ですから、オープンになるときもそういう形になります。

あと2点お話をいただきました収集の費用の話や誰がどのように関わっていくのかとか、大森委員の話とも関係いたします入力のインセンティブのような話というのは、またこの後考えたいと思います。

原因調査のところですけれども、これは現時点で事故調とか、いろいろ体制としてはありますが、今回調査体制としてはあまり焦点を置いておりませんで、分析手法について焦点に置いて検討していただいたようなところがあるのですけれども、どこまで書けるかですが、整理して考えてみたいと思います。

○山本座長 そうですね。事故情報という言葉は法令上どう使われているかとか、いろいろありますけれども、恐らく全体としては比較的漠然と、あまりがちっと定義をしないで使っているのであろうと思います。その辺のことを初めに明らかにした上で、全体の報告書を作成していくということになるのではないかと思います。

入力の際の話は、これはこの専門調査会で議論するのも難しいかと思いますので、それはまた委員会の方でいろいろ御検討いただければと思います。

事故調査との関係で申し上げれば、この場でも何度か注意喚起がされているのですけれども、情報技術をどこまで使えるのかということがあって、今まではそれを十分使っていなかった面があるのではないか、こういう可能性もあるのではないかということをここで検討したのです。他方で、情報技術を使えるといってもそれで万事解決するというわけではなくて、前回も出ましたけれども、特にこういうところに重点を置いてもっと突っ込んだ分析をするといいのではないかという手がかりをまず与えるというところで、情報技術は使える。ただ、そこから先の部分は、これはそれぞれ情報を見ていかなくてはいけないということになりますし、場合によっては、さらに突っ込んで調査を続けるということをしなくてはいけなくなるということかと思いますので、その辺の情報技術をどういう場面でどこまで使えるのかということを明らかにする。あるいは、もう一つは情報の出どころによってその情報の質がいろいろ違うので、情報の出どころによって活用の仕方も変わってくるのではないかという話もありました。その辺の、ここで議論している情報技術がどこまで使えて、そこから先はさらに別の場面で検討していただく、分析を続けていく必要があるという辺りのところは、全体にはっきりと記述する必要があるかと思いました。この場で何度か話としては出ていることですので、それをきちんとまとめて書いていくということではないかと思います。

樋口委員、お願いします。

○樋口委員 情報技術の活用のところで、恐らくデータバンクに情報を提供しているそれぞれの機関では、データ分析が比較的やりやすい状況にあると思いますので、かなり情報技術を活用した分析が行われているのではないかと思っております。

したがって、このデータバンクという形をとったときに、どういう分析技術が特に有効なのか、更なる付加価値を生み出すのかというところについてもある程度説得力が必要だと思うのです。この場合にいきなりこの専門調査会でそのことについて結論を出すというよりは、それぞれの機関の情報分析を担当しておられる方とデータバンク全体について見ておられる方が意見交換をして、そういう中で具体的にSNSをどう使うかとか、テキストマイニングをどうするとか、もう少しかなり専門的な立場において、このデータバンクのトータルの19万のデータを分析にかけることの有効性を明らかにしていく必要があるのではないかと痛感しております。そうでないと、それぞれの機関でやっている情報分析の技術の活用の域を出ないということになってしまうおそれがあるのではないかということは懸念しています。

○山本座長 何かございますか。

では、その点もよく留意をして、報告書を作成するようにしたいと思いますが、そのほかの点はいかがでしょうか。

大森委員、お願いします。

○大森委員 直接的には消費者庁宛てというお話、そうだと思うのですけれども、実際、消費者にとってのメリットや事業者にとってのメリットなどもありますし、情報公開を促進していこうというのが根底にあるわけですから、消費者庁は当面の名宛人かもしれないけれども、消費者、事業者も意識して、事故情報というのは個人で持つものではなくて、社会全体の大切な財産だということで、消費者も情報を提供する義務があるし、企業も協力してもらう。そのことによってお互いメリットがあって社会全体がよくなるのだというところを根底に書いていただけたらと思うのです。

○山本座長 いかがでしょうか。

○友行企画官 これはもうちょっと後で整理しようと思うのですけれども、この報告書自体は安全専門調査会として委員会のところにありまして、この報告書自体は本委員会に報告するというステップがあって、その後、委員会としてどうするかというのがまたそこでもう一段階あると思います。この安全専門調査会で議論していただいた中で言えることを整理して報告書の中に盛り込みたいと思いますが、その次のステップとして委員会としてどうするかというのがあるかと思いますので、それはそこで専門調査会として書けることは書き込んでいきたいと思っています。

○山本座長 特に報告書の内容として言うと、オープン化の部分ですかね。そこのところは、先ほど消費者にとっての意義ということも書くということだったわけですけれども、広くこのデータバンクであるとか、情報が誰のためにどのように活用されるかという視点から報告書全体を書くことになると思いますし、とりわけオープン化の部分のところで重点的に記述することになるのではないかと思います。

そのほかにいかがでしょうか。

相澤専門委員、お願いします。

○相澤専門委員 報告書のフォローアップとも関係があるのですが、西田専門委員から事故情報の活用の効果と検証の重要性について繰り返し御指摘があったことと思います。具体的には、ある危険防止キャンペーンをしたときに事故情報がどれくらい減ったかということをデータの上で検証をする、見える化することの重要性ということです。それについて、せっかく重要な点であると思いますので、例えば第2の「データ分析」のところで西田専門委員に触れていただく、あるいは、第5の「事故情報の更なる活用に向けた提言」のところで触れていただくなどしてはどうかと思います。

○山本座長 いかがでしょうか。

○友行企画官 整理して考えたいと思います。

○山本座長 今の御指摘は、西田専門委員がたびたび強調されていた点ですので、もちろん西田専門委員のところには書かれると思いますけれども、それだけでなく、第5のところでも触れていただいて、そのときに使うというだけでなくて、もう少し時間軸を長くとって使う。過去のものを容易に検索するということもそうですけれども、何らかの政策を打ったときに、その効果がどれぐらい出ているかということを検証するためにも使うということができるかと思いますので、その辺は第5でどこかに書くとよろしいかなと思います。

そのほかにいかがでしょうか。

藤田座長代理、お願いします。

○藤田座長代理 第3の情報の公開、オープン化の話と、それから、海外に関わってくることなのですけれども、昨今、製品が海外で作られたものが日本に入ってくることは非常にたくさんありますし、今後もますます増えてくると思います。そのときに、日本の事故の情報だけが日本語で書かれていると、グローバルで分析しようとしたときにとても困ったことが起きます。要は、日本のものだけは外して分析するみたいなことになって、欧米では英語で書かれているものが一般的ですので、時間軸では先かもしれませんけれども、そのことも考慮して英語でのデータベース化と情報発信というものを考えておいた方がいいのではないかと思います。

○山本座長 いかがでしょうか。

○友行企画官 報告書に盛り込むことについて、整理して検討したいと思います。

○山本座長 海外のことが出てきているので、あるいはそこに少し書き込むことはできるかと。例えば第4の「小括」の部分などですね。これはどうも海外のことを伺っていても、あまりまだ体系的に行われているわけではないようなので、時間としてはかなり長期的な課題になるかなと思いますけれども、あるいは、そうはいっても急にばたばたとそういう動きが出てくることもあり得ますので、ぜひ、それは第4の「小括」辺りでしょうか。あるいは第5か、その辺りで整理をして書いておくことが有益かなと思います。

樋口委員、お願いします。

○樋口委員 それに関連して、ぜひ御検討いただきたいことなのですけれども、日本がイニシアチブをとって例えば国際的なコード化を進めるとか、国際的な事故情報のデータバンクを作るとか、そういったところまでぜひ行政として踏み込んでいただけないだろうか。第一歩は、データを国際的に通用するコード、あるいは英語化するということかと思いますけれども、受け身ではなくてぜひ積極的に、これは名宛人が消費者庁であれば消費者庁が国際的なそういう働き掛けをして取り組んでいただきたい。従来から日本の消費者事故に関する行政はかなりしっかりした体系はあるのですが、こういう言い方がいいのかどうか分かりませんが、ガラパゴスという言葉もあります。日本の国内だけで通用する製品事故に対する対応策ということになってしまいますと国際化に対応できませんので、国際的な基準として確立していただくような働き掛けをしていただきたいと思います。

○山本座長 よろしいですか。

○友行企画官 整理して検討したいと思います。

○山本座長 だんだん話が大きくなって、大変ですけれども、長期的には重要な課題だと思いますので、第4の最後か、あるいは第5の最後あたりで、少し考えましょうかね。

そのほかにいかがでしょうか。

河上委員長、お願いします。

○河上委員長 この第1の3の「事故原因の調査等」のところで「消費者安全調査委員会による事故等原因調査」というのがあります。あそこでもかなり多数の原因の源泉があるようですが、それを最終的にどういう事件を扱って検討調査していくかというプロセスがあって、その中である段階で対象の選定指針というものを持っているらしいのです。公共性だとか、多発性だとか、要配慮者への集中の問題であったり、そういう対象の選定指針というものを作っていらっしゃるようなのですが、それ自体、私は非常に良いことだと思うのですけれども、情報の中にそれに該当するものがちゃんと対応していないとなかなか選定指針が機能しないということもありますので、できればこうした既存の事故原因調査をする機関の対象選定指針とリンクした形で、情報の作り方というか、集め方を考えておく方がいいのかなという気がいたしました。

○山本座長 いかがですか。

○友行企画官 入力項目を整理するといった話の中に、どれを必須項目とするかという話も若干あったと思うのですけれども、そういうものの一つの指針になり得ると思いますので、その辺り、その選定指針というのも確認させていただいて、考えて、また御相談したいと思います。

○山本座長 重要な御指摘ですので、入れるようにしようかと思います。

そのほかにいかがでしょうか。

村田専門委員から何かございますか。

○村田専門委員 新たに何かを追加というお話は、今、各委員から出ていたのをお伺いしてなるほどと思うもので、自分の方から何かをということはないのですけれども、自分としては、分析でデータの欠損が多いとか入力をもっと系統立ててやった方がというのを言いっ放しという感じがします。コストの問題などがあってもともと非常に大きな問題だったというお話もあるので、今までPIO-NETの費用の問題などもあったということでしたら、そういった点も踏まえて、この分析の中ではそういうことが挙がっているけれども、それは解決のためには多くの関係者を巻き込んだ話として今後の対応を検討していかなくてはいけないものだということを明確に示していただければと思います。

○山本座長 よろしいですか。

恐らく先ほどから話が出ていますけれども、当然次のステップがあって、具体的にそれではこれをどう実現していくか。その場面では、もちろんコストがどれぐらい掛かって、それに見合うベネフィットがあるかとか、そういったことも検討するわけですけれども、まずはこういう問題がありますということをはっきりと示すというステップを踏んでおくことは重要なことだと思います。この専門調査会としては、まずそれを明らかにし、こういう問題がありますということを示して、次のステップでそこのところは、コストとの見合いでどうしていきましょうかということを検討していただくということになると思います。どうも御指摘ありがとうございます。

そのほかにいかがでしょうか。ございますか。

よろしいですか。

それでは、本日もたくさん御意見をいただきまして、どんどん宿題が増えていく感じがいたしますけれども、大まかな方向については大体御賛同いただけたのではないかと思いますので、今、御指摘をいただいた点をさらに付け加えていく形で、報告書の本文を作成していくことになります。この点、事務局におきまして修正をしていただいて、報告書の本文を作成していただきたいと思います。

次回が、この本専門調査会の最後の回となる予定です。今後、事務局から報告書骨子の修正及び報告書の本文につきまして、メール等で委員の皆様に御意見を伺い、精査をしていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

続きまして、「その他」ということですが、いかがでしょうか。

○友行企画官 特にありません。


≪4.閉会≫

○山本座長 それでは、本日の議題は以上となります。

お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)