第28回 消費者安全専門調査会 議事録

日時

2017年3月6日(月)14:00から16:05

場所

消費者委員会会議室

出席者

【委員】
山本座長、藤田座長代理、相澤専門委員、市瀬専門委員、西田専門委員、村田専門委員
【消費者委員会担当委員】
大森委員、長田委員、樋口委員
【説明者】
東京大学 宍戸教授
独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部 宮本部長
独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部安全支援課 米山課長
【事務局】
黒木事務局長、福島審議官、友行企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 第27回消費者安全専門調査会議論の整理
  3. 消費者事故情報の公開について
  4. 独立行政法人日本スポーツ振興センターの取組
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○山本座長 おそろいですので、始めます。

皆様、本日はお忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただ今から第28回「消費者安全専門調査会」を開催いたします。

まず、配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

○友行企画官 配付資料は配付資料一覧のとおりでございまして、資料1から資料3までと、参考資料1から参考資料3までとなっております。不足がございましたら、事務局までお願いいたします。


≪2.第27回消費者安全専門調査会議論の整理≫

○山本座長 それでは、最初の議題は「第27回消費者安全専門調査会議論の整理」からです。

事務局から、10分程度で説明をお願いいたします。

○友行企画官 それでは、資料1を御覧いただけますでしょうか。

前回の専門調査会におきます議論の整理といたしまして、1ページ目、2ページ目という形で整理しております。項目といたしましては「情報発信」「注意喚起」「事故情報に関する分析の試行」「海外」「その他」という形で分けております。

まず「情報発信」のところでございますけれども、最初のところでは、子ども安全メールなどの情報発信のツールにつきまして、どこまで周知されているのかという評価は大事と思う。登録件数が子供全体の数からすると少ないので、周知が進むような方法を考える必要があるのではないかというような御議論がございました。

ターゲティング広告が行われていると思うが、事故情報に関する注意喚起についても、特定の層にターゲットを合わせて情報発信をする必要があるのではないかというような御議論がございました。

情報を得る手段として、新聞、ネットニュースなど多様なチャンネルがある中で、どういうチャンネルから情報を得ているのか分析して、効果の高そうなところから周知をすることもいいのではないかというような御議論がございました。

事故情報に関する周知がどのくらい届いているか、そういった調査がなされるべきではないかというような御議論もございました。

それと、消費者庁が行っている事故情報に関する定期公表へのアクセス数について、アクセス数を分析することによって、その数が多かったものについては、どういった理由なのかが分かると、情報発信の評価や促進につなげるための情報手段として有効なのではないかというようなお話がございました。

それから、消費者庁が記者発表した事故について、発表後、原因が次第に明らかになっていくものもあるかと思うが、そういう場合は、同じ事象については、事故の分析や原因究明の状態の変化を踏まえた記者発表をするということが重要ではないかというような御議論がございました。

次に「注意喚起」のところでございますが、ニュースリリースを出すだけではなくて、例えば、すぐに事業者が印刷して利用できるようなポスターなども行政側で準備することも効果的ではないかというような御議論がございました。

子供の事故に関しては子供番組の直後に、高齢者事故については高齢者の見る番組の直後に行うといったことが効果的ではないかというような御議論もございました。

消費者庁のほか、国民生活センター、経産省、製品評価技術基盤機構などでも行っているので、全体的にどのような取組が行われているのかについて幅広に見たほうがいいのではないかというような御議論がございました。

2ページ目「事故情報に関する分析の試行」のことにつきましては、専門委員がそれぞれ独立して行った研究成果を出し合う機会を設けていただきたい。

専門委員が意見交換する場を設けていただきたい。

ワークショップを開催していただいて、事故情報に関する情報伝達がどのようにすれば上手くいくのか参加者に種出しなどをお願いしたいというような御議論がございました。

「海外」に関することにつきましては、OECDの啓発キャンペーンなどにつきまして「ブラインド等窓カバーのひもの安全性」に関する国際啓発キャンペーンについては、家庭での注意喚起も大切であるが、こういうものを販売しないなどの国際ルールが入るとよいのではないかといった御意見もございました。

海外で起こっていることは、日本でも必ず起きてくる可能性があるので、国際的に取組が進められているものについては、日本でも起こる可能性がある。そういった意味から、海外との情報交換が非常に大事かと思うというような御意見がございました。

各国の法制度や環境等が異なるので、ほかの国が取り組んだら自国も同じように取り組むというほど簡単ではないことは分かるけれども、事故などの情報共有はもう少し進んでもよいのではないかというような御意見もございました。

外国での事故に関して、日本でも同じようなことが起きていないか、また、日本でリコールする必要がないかなどについて、フットワークよく動ける体制を希望したいといったような意見もございました。

最後のところに、事故情報データバンクの中には、事故の発生状況、原因等が書いてあり、消費者庁のニュースリリースの文書の中には、予防方法や事故に遭った人が具体的に何をしたらよいかという情報も含まれている。これらの情報を統合するといった取組はどうか。それから、ニュースリリースに該当する事故と事故情報データバンクシステムのリンクの設定があれば有用ではないかといった意見が「その他」としてございました。

以上でございます。

○山本座長 ありがとうございました。

ただ今の説明の内容につきまして、質問あるいは意見のある方はお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、また適宜、今日の会議以降の会議の御意見を取りまとめて、このように事務局に蓄積をしていっていただくことにいたします。

≪3.消費者事故情報の公開について≫

○山本座長 続きまして「消費者事故情報の公開について」というテーマで進めてまいります。

消費者庁では、集約した消費者事故情報を事故情報データバンクで公開するなど、情報の公開に関する取組を行っております。消費者事故に関する情報の公開は、消費者事故の未然防止、拡大防止に資すると、もちろん一方では考えられるわけでして、可能な限り公開をすべきだという考え方があるわけですが、ただ、他方におきまして、氏名など個人が特定される情報につきましては、基本的に公開すべきではなく、公開に当たって慎重な配慮をしなくてはいけないということがあります。

本日は憲法学を専門とされております東京大学大学院法学政治学研究科の宍戸教授にお越しをいただいております。

宍戸教授は、最近の情報技術の発展の中で、情報の利活用の在り方と、しかし、他方で個人情報の保護など、情報の公開によって害される利益をどのように保護するかという問題に関して、積極的にいろいろな場で発言をされている方です。

宍戸教授に本日はお越しいただきまして、情報の公開に当たって考慮すべき点などについて、お話をいただきたいと思います。この会議でもオープンデータ化のテーマが取り上げられておりますので、特にその点についてお話を伺いたいと思います。

それでは、よろしくお願いいたします。

○東京大学宍戸教授 御紹介にあずかりました東京大学の宍戸でございます。

私、必ずしも消費者事故情報あるいは事故データバンクシステムについて、専門的な知見を有しているわけではございませんけれども、御指名でございますので、これまでオープンデータあるいは個人情報保護について若干勉強してきた観点から、消費者事故情報の公開について、この間考えてきたことをまとめてお話しさせていただき、委員の先生方の御議論に供することができればと考えております。

お手元の資料2「消費者事故情報の公開について」、こちらのパワーポイントの資料に基づいて御報告をさせていただきます。

では、まず1枚おめくりいただきたいと思います。消費者事故情報の公開というものが、およそ一般的な情報の開示の仕組みの中でどのように位置付けられるかというそもそも論でございます。ごく簡単に申し上げますと、行政情報一般につきましては、国民、あるいはこの場で言いますと消費者の知る権利と、自由な情報流通を確保するということが必要な観点かと存じます。

公的部門につきましては、情報の公開あるいは情報の提供、更に統計データの作成公開といった仕組みがございますし、より大きく申しますと、民間部門に表現の自由を保障するであるとか、あるいは、逆に政府が企業に情報の開示や表示を義務付けるといったことも消費者の知る権利あるいは自由な情報流通を確保するための一つの施策ということになろうかと思います。

他方、この間、公的部門の保有するデータを、いわゆるオープン化していく、オープンデータ化を進めるべきだという取組が政府全体で進んでいるところでございます。そこにおきましては、効果的、効率的な行政を進める、あるいは官の保有するデータをオープン化することによって、それを基にして、新規ビジネスが創出される。そして、何よりも重要なこととして、そのオープン化されたデータを基にして、市民が様々な形で行政に参加する、あるいは協働するということが期待されて、こうした政策が進められているわけでございます。

また、狭義のオープンデータ化そのものではございませんけれども、個人情報保護法制が改正されまして、民間部門で申しますと匿名加工情報、あるいは公的部門につきましては非識別加工情報制度が導入されまして、保有する情報を加工して、ビッグデータとして利活用するということを目指す、そういった政策の一つということになります。

もう一枚おめくりいただきますと、このオープンデータ化あるいは広い意味での公的な部門の保有する情報を、民の保有する情報と一緒に使っていくということを掲げました官民データ活用推進基本法が昨年末成立いたしましたので、その関連する条文を上げてあるところでございます。そこにいろいろ書いてございますけれども、例えば目的規定では、多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用するという観点から、官民データ活用を推進するということでございますが、他方で、例えば3条を御覧いただきますと、その際に個人及び法人の権利利益を保護しつつ情報の円滑な流通の確保を図るという、そのデータのオープン化あるいは利活用の推進と権利利益の保護のバランスの難しさがこの基本法においても示されているところでございます。

1枚おめくりいただきたいと思います。以上が一般論でございましたけれども、貴調査会で御議論いただいている消費者事故情報の公表、そして、それを巡る課題について申し上げたいと思います。

委員の先生方、よく御承知のとおり、消費者安全法におきましては、12条あるいは38条等の規定により、また、任意の行政の活動ということになろうかと思いますが、様々な形で消費者庁が公的部門の把握した事故情報をデータバンク等を通じて集約し、そして、それを分析し、注意喚起等をするという形で公表することを行っております。これはもともと山本座長が論文にお書きになっていることでございますが、「開かれた情報の場」としての消費者庁の機能ということから見ても、当然であろうかと思いますし、また、消費者安全法ができたときの参議院消費者問題特別委員会の附帯決議におきましても、事故情報のライフサイクルが公表を前提としているということが言えようかと思います。

また、消費者安全専門調査会の報告書におきましては、詳細は立ち入りませんけれども、これまでも事故情報の公表について、それを積極的に進めるべきであるというような論点が既に議論されてきたところでございます。こうした経緯を踏まえまして、政府全体のオープンデータ化の進展も考え合わせますと、消費者事故情報について、更に今後公開を深化させていくべきではないかというのが、ひとまず私が考えているところでございます。

もちろん、これまで事故情報データバンクがございます。また、それの利用実績がどれほどのものかということについても、費用対効果の観点からも御議論はあろうかと思いますが、利用実績が少ないからこれ以上公開しなくていいということではなくて、むしろ、そうではあれば、より利用しやすいものにするということをまずは考えていかれてはいかがかというのが1番目でございます。

次に4ページでございますが、大きな柱の2といたしまして、事故情報のオープン化のメリットについて、簡単に整理をさせていただきたいと存じます。既存の消費者安全法上の公表制度と事故情報のオープン化は、事故被害の拡大防止でありますとか、消費者に対する注意喚起、一般的な国民の啓発といった点で、そもそも連続性を有するものと考えます。

併せて、データバンク等に集約されている事故情報をオープン化することが、まずは、恐らく事業者にとってもメリットがあろうかという点でございます。事故の当事者であります企業にありましては、リコールなどに至る前の製品改良あるいはサービスの改良の契機ということになろうかと思います。また、当事者でない企業にとりましても、例えば他社の同種の製品が問題を消費者の利用上起こしているということを把握するということは、自社の同種製品の顧客に対する注意喚起などの取組につながるだろうと思います。

こうしたことは、ISO26000:2010(社会的責任に関する手引)における企業の消費者の安全衛生の保護でありますとか、消費者に対する支援といったソフトロー上の課題の遵守の促進に、ひいては、消費者の利益にもつながるものと考えられます。

1枚おめくりください。併せまして、事故情報の公開による、先ほどオープンデータ化との関連で申しました、消費者等の参加というメリットについても考えおきいただきたいと存じます。

公的部門の事故情報は、消費者庁に現在集約されているところでございます。そして、それが多過ぎる、仮に消費者庁において分析体制が不十分であるということがあったとしても、公開された情報を消費者団体でありますとか研究者等が分析して、それを公表する、様々な形で活用するということが消費者保護に資するということが、期待されるところであります。

また、このような事故情報が公開されている、そして、その公開された情報を分析して、消費者でありますとか、事業者に提供するといったようなビジネスの登場も期待されるのではないか。オープンデータ化一般のメリットでございますが、そのように考えられます。

また、私の話の一番最後にも若干出てきますが、事故情報データバンクの公開が進むということになりますと、消費者もそうですし、事業者も含めて、様々なアクターが情報を、直接、間接に提供する、そういったインセンティブも高まるということになろうかと思います。そのことは、事故情報のプラットフォームとしての消費者庁の機能あるいは役割の拡大ということにもつながろうかと思います。

そして、また、これもオープンデータ化一般の機能でございますが、このような事故情報データバンクの公開は、消費者行政それ自体の透明性、あるいは消費者行政が対応十分だったか、不十分だったかといったことを外部によってチェックする、外部の目からチェックするための前提を作り出す、そういった可能性を高めるといった機能があるものと考えております。

以上、これまで消費者事故情報のオープン化のメリットについてお話をしてきましたので、以降、残された時間で、スライドの6枚目からですけれども、事故情報のオープン化の留意点及び課題について若干申し上げたいと思います。

まず、そもそも事故情報の公表につきましては、これまで2009年の「消費者事故情報公表の法的論点の整理」で、そこに挙げられた7つの課題、項目が分析され、そして、それも踏まえまして「生命・身体事故等に係る消費者事故情報等の公表に関する基本要領」が策定されているところでございます。ここにおきましては、一般的には、公表による利益、例えば公表に係る被害の重大性でありますとか、被害のおそれといったような事柄と、他方で、事故が製品に由来するものかどうかといった因果関係が必ずしもよく分からない。そういった中での公表による事業者の不利益でありますとか、逆に消費者の不安感といったものをバランシングする。そして、その際に、時系列でありますとか重大性によって、類型的に事故情報の公表について一定の指針を示されたものと理解しております。

これが前提でございますが、1枚おめくりいただきたいと思います。更に一層の、公表の前提になっておりました事故情報、ローデータの公開を含むようなオープン化につきましては、それがまずそもそも公表制度を含むような消費者行政との関係でどのように位置付けるべきかということが一つの課題でございます。オープン化が消費者行政の実効性を損なわないよう配慮が必要だということは、言うまでもないことでございます。ただし、そこで消費者行政の実効性がどのように損なわれるかというと、差し当たり3点ぐらいあるのかなと考えられます。

1つ目は、公開を恐れて消費者のプライバシーの問題あるいは事業者の営業秘密、風評被害の問題ということから、直接、間接に消費者庁に情報が集まってこなくなるという問題が考えられます。他方で、事故の当事者となった消費者の、他の消費者が同じ事故に遭わないようにという思いを伝えるといったような側面もオープン化にはあるということも指摘できようかと思います。

また、公的部門等から事故情報データバンクへ情報を送る、集約するということについての支障が、オープン化によって起きるのではないかといった問題も考えられますが、ここにつきましては、必ずしも消費者庁が全ての情報を一元的に集約するというのではなく、基本的には集約するのですが、様々な情報が複数のデータベースに、細かい部分、周辺部分などにある。その連携によって、結果として様々なアクターが事故情報を分析・利活用しやすくなれば、消費者保護の目的は達成できるのではないか、というようにも考えられます。

最後に、ローデータあるいは事故情報が様々な形で外に出ていく。また、様々な第三者がそれを分析して消費者に訴えかけるということによって、消費者庁の分析あるいは情報提供等が、消費者に上手く届かなくなる、情報過多になる、そういった恐れも考えられます。しかし、これも公開により、消費者庁以外の第三者が参加して事故情報を多様に分析・利活用することのメリットは、両立させられるのではないかというように考えられます。

総じて言えば、オープン化による消費者行政の実効性という観点から、これ以上オープン化すべきではないと考えるのではなく、オープン化による利益と不利益のバランスを具体的に分析していただく必要性があるではないかと考えております。

以下、具体的に論点を4つほど申し上げたいと思いますが、スライドの8ページを御覧ください。まず、情報の収集・集約段階での課題でございますけれども、そもそもでございますが、事故の原因や因果関係が未解明であったり、分析が不十分であったり、あるいは、まだ情報としては意味を持たないといった段階でも、データを公開して、第三者の分析に資する、供するということには一定の意義があることは、これまで繰り返し申し上げてきたことです。

そうしたことを踏まえますと、一般に最近オープンデータ・バイデザインということが言われますけれども、そのような情報の公開を見据えてデータを入力するあるいは集約する段階で、例えば余り必要以上に余計なことは書かないとか、不正確なことは入れないとか、逆に重要な項目はしっかり書き込む、そして、後で公開する、しないの整理を行うときに簡単にできるようにするといったような、入力項目、方法を含めた在り方について検討が必要かと思います。

それから、セキュリティーの確保は言うまでもないことでございますが、もう一点申し上げたいのは、データバンクに質の高い、正確性の高い情報が集まるように工夫するということは、今後公開を考える上で必要かと思います。

例えば、公開に先立って、事故の原因とされるような製品を供給した企業に、一定の反論の機会を保障するでありますとか、逆に、企業が情報提供を行うその貢献度に応じて、データベースの閲覧できる範囲、項目などを拡大するといったようなやり方で、企業もそうですし、消費者もそうですが、様々な形でより質の高い情報が集まってくるような工夫が考えられようかと思います。

もう一枚おめくりください。課題のうち一番大きいのは、先ほど座長からも御指摘がありました個人情報及びプライバシーとの関係でございます。消費者庁を含む行政機関につきましては、一般に行個法と呼んでおります行政機関個人情報保護法が規律するところでございます。民間については情報の利活用ですが、行政については行政の適正円滑な運営とプライバシー等の利益を調整するという観点から行個法は作られております。

具体的には、個人情報に該当するものについては、その利用、提供等に一定の規律がかかる。これが基本的な枠組みでございます。その出発点となります個人情報の定義でございますが、これは「当該情報に含まれる氏名生年月日その他の記述等……により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)」としております。すなわち、氏名でありますとか生年月日、住所が含まれている情報は、それ自体個人情報として法的規律の対象でございますが、逆に、この氏名、生年月日、住所を含まない、あるいはそれらを削除しても、他の情報と照合して特定の個人を識別できるものは、それも個人情報であるという点に、基本的なことですが、注意を喚起しておきたいと思います。

また、近時の行個法改正におきましては、いわゆる要配慮個人情報が定義されました。ここにおいては機微性の高い個人情報について、行政機関に特段の取り扱いの注意を求めるものでございます。

ここで問題になります事故情報について言いますと、それが病歴でありますとか、被害者の犯罪被害に関わる場合には、これは慎重な取り扱いが必要だということが、法の精神からも言えようかと思います。

更に、1枚おめくりいただきたいと思います。このような個人情報に該当するもの、行政機関の保有個人情報という類型に当たる個人情報につきましては、原則といたしまして、利用目的以外の利用・提供は禁止されるということになっております。そもそも、公表、公開するという目的で行政が取得し利用するということは、この原則との関係でできるわけですけれども、そのような行政目的でなければ、一切保有個人情報を公表、公開できないのかというと、そうではございません。法では、そこに8条あるいは9条といった形で例外規定が様々設けられております。ここで問題になる規定といたしましては、3つだろうと思います。

1つ目、1.でございますが、個別の法令に基づいて個人情報を提供する場合でございます。

2つ目、2.のマル1ですけれども、本人の同意を得て提供する場合でございます。

3つ目、2.のマル4ですけれども、これは行政機関等以外の者へ提供する場合でありますが、3つ箱が並んでいますが、一番下の「特別の理由」がある。非常に公益性が高いという理由で個人情報を外部に行政機関が提供するということもできる。このように、行政機関個人情報保護法は、個人の保護と公益的な行政機関の活動との間のバランスを多段階的に設定する。このような法律になっているということでございます。

1枚おめくりいただきたいと思います。貴調査会で御議論いただいている事故情報につきましては、この一般的な行個法の枠組みを踏まえた上で、更に、次のような点が問題になろうかと思います。

第1は、被害を受けた消費者の方のプライバシーの問題をどのように考えるか。とりわけ、医療機関ネットワークから提供されたものについては、一層の注意が必要であるということが言えようかと思います。

また、特殊な事故の場合、氏名等を削除したとしても、そして、公開したとしても、報道等により不特定多数の者が公開された情報と照合あるいは推知することができる場合があります。だから、直ちに個人情報になる、ならないといった問題がございますが、そこは措くといたしましても、やはり注意が必要であるということは指摘できようかと思います。

他方、事故の日時、場所、利用方法などの詳細な項目が記載されていなければ、それを公開したとしても事故情報としての分析・利活用に無意味な場合もあるということになろうかと思います。

したがいまして、事故情報のオープン化に当たりましては、まず、氏名等を削除する。これが第1段階でございますが、その分析・利活用の有用性と個人特定のリスク等を、まず、それぞれ類型的に判断し、かつ、それぞれを類型的に衡量した上で、一定のものについては、これは本人の同意を取得した上で公開するとか、あるいは、公開の利益が個人情報ないしプライバシーの利益に優越する、あるいは優越しないということを、情報の内容等から類型的に判断した上で、公開、非公開を類型的に決める。あるいは、更に加工を行って特定のリスクを低減させるといったようなやり方で公開する、しない、あるいは利用範囲を限定した形での公開をするということが考えられようかと思います。

もう一枚おめくりください。その特定のリスクの低減につきましては、先ほど御紹介しました、非識別加工情報あるいは匿名加工情報の制度における議論が参考になろうかと考えております。

ここでは、もともとの個人情報を加工して、誰が本人であるかということを復元できないようにした個人情報を、本人同意なく第三者に提供することができる。これが今回の個人情報保護法制改正の一つの目玉でございましたけれども、その匿名加工のやり方について、5つの段階を踏んで検討すべきだというのが、施行規則あるいは委員会のガイドライン等で示されているものでございます。

このうち、事故情報の公開との関係で問題になりますのは、例えばマル1でございますが、特定の個人を識別することが、それ単体としてできる記述をまず削除する。削除するといいましても、氏名、住所を削除するというだけでなく、一般化する、あるいは丸めるといったこともあろうかと思います。

マル2マル3は飛ばしまして、マル4でございますが、特異な記述です。社会通念上特異な、例えば症例数の少ない病歴であるとか、身長2メートルでありますとか、年齢110歳とかといったような情報について、トップコーディングあるいはボトムコーディングを行うということ。

そして、最後にマル5に、委員会のガイドライン等におきましては、個人情報のデータベース等の性質を踏まえたその他の措置が挙げられております。これが実は、一番難しいのでございますが、事故情報データバンクについて言いますと、商品情報、品番でありますとか色などについて、これを加工していってしまうと、恐らく公開の意味がないということになろうかと思います。したがって、ここは余り削らない、あるいは丸めなくていいのではないかと思いますが、むしろ気を付けるべきは、それを公開したときの、参照リスクの問題でございます。つまり、公開されて、それを見た不特定多数者が、それと突合できるような参照情報をどれだけ簡単に入手できるかとか、あるいは、マッチングが簡単にできてしまうというようなことがあるかないということを評価した上で、匿名加工すべきというのが、委員会のガイドライン等で指摘されているところでございます。

直ちに匿名加工情報そのものではございませんけれども、事故情報のオープン化については、こういった、とりわけ最後の参照リスクを評価した上で、一定の加工を行った公開が今後課題になるのではないかと考えております。

既にいただいた時間を超過しておりますので、残った論点はごく簡単に申し上げたいと思います。

スライドの13ページでございますが、公開の方法につきましては、この種のオープンデータについては、著作権等の関係がございます。既にデータバンクシステムにおいても著作権について一定の記述がありますが、これは現在の政府標準利用規約のように、利用についても一定のルールを示すといったようなことも考えられるのではないか。あるいは、公開といっても、フルオープンだけではなくて、あらかじめ要件を定める、あるいは個別事例ごとの判断などにより、一定の範囲の人に一定の目的で事故情報を見せるといった方法も考えられるのではないか。

ここで問題になる事故情報は、場合によりましては、事業者にとってネガティブ情報に当たり得るということでございますので、一定期間経過後の閲覧制限でありますとか、あるいは利用者への注意喚起も考えられるのではないか、いろいろな公開の方法はあり得るのではないかということでございます。

14ページ目でございます。公開による責任でございますが、事故情報を公開して、事業者ないし消費者本人等について、何かプライバシー侵害や営業利益の侵害等があった場合に国が責任に問われるのかどうか、こういった問題でございます。この点につきましては、判例上、公表の目的、方法、結果などの観点からいろいろ考える、比較衡量するということになっていますが、併せて、先ほど申し上げました行政機関個人情報保護法あるいは情報公開法等の精神からしますと、何のために事故情報を公開するのか、そして、それによってどのような公益が実現されるのか。こういった観点からの議論も必要と一般に言われているところでございます。

そのことを踏まえますと、事故情報の公開につきましては、消費者庁が公開するとして、消費者庁と利用者の間での責任分界点を明確にする必要があろうかと思います。

また、いつまでも事故情報がもう既に改善されたのにずっと残っていて、それが使われるということが、企業の側にとって不利益であるという場合には、その企業の対応等の状況変化に対して情報を受け付けるなどして、事故情報を更新することが望まれるのではないかと考えております。

いただいた時間を超過いたしましたが、私からのプレゼンテーションは以上でございます。御清聴ありがとうございました。

○山本座長 ありがとうございました。

初めに20分でお願いしますと申し上げなくてはいけなかったのですけれども、こちらから20分とお願いをしておりまして、若干それよりは長くなりましたが、非常にポイントを押さえて短い時間の間に説明をいただきまして、私たちもこれで頭が非常に整理できたのではないかと思います。

それでは、ただ今の説明の内容につきまして、御質問あるいは御意見のある方、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。かなり盛りだくさんの御説明だったのですが、特にどこからというのも余り適切でないかと思いますので、どの点からでも結構ですけれども、いかがでしょうか。

せっかくの機会ですので、何でも結構です。

藤田座長代理、お願いします。

○藤田座長代理 一つ御質問なのですけれども、データをオープン化することについてメリットは、とても大きなものがあるのかなと認識しています。そのときに、先ほども少し触れられていたのですけれども、その事業者に対する不利益みたいな観点からいって、起きたことに対する原因の究明がなされていないような段階で公開することにも一定の意義があるだろうというお話がありました。そのときに、原因の究明と、よくありがちな責任の追及みたいな話が、オープン化した場合に両面生じてくると思うのですけれども、これは何か考え方などというのは、あったりするのでしょうか。

○山本座長 宍戸教授、お願いします。

○東京大学宍戸教授 御質問ありがとうございます。

こういう、一般に事故情報等の公開をして、プロアクティブにといいますか、いろいろ世の中をよくしていこうということと、むしろ逆に、過去の問題に遡及して責任を追及するということとの関係で、情報公開に逆に事業者等が消極的になるといった問題は、先生、よく御承知のとおり、医療などで深刻な形で現れる問題だろうと思います。

まず、ここで、消費者事故情報に限って、若干私が考えていることを申し上げたいと思います。

そもそもここで公開されている情報は、専らその製品のせいでこういう問題が起きたということを必ずしも特定するものではなくて、この製品をこういうように利用したら、あるいはこういう条件で、こういうことが起きましたという以上のものでは、それ自体としてはない。ある意味で評価のようなものが直ちに含まれていない、事故情報の生のものを公開するというのが第一ではないかと思います。したがって、そこにおいて、直ちに事業者の責任追及に必ずしも直結するわけではない。もちろんつながっていく場合もあるかと思いますが、そこはいろいろなものが含まれているのだろうと思います。

したがって、事故情報が公開されたことによって、本当は事業者のせいでないのに、あたかも事業者のせいとなるというような、いわば風評リスクのような問題は、当然考えられると思います。しかし、それはもともと現在の消費者安全法の消費者庁による注意喚起等の仕組みの中で、一定程度織り込み済みの問題なのではないかと考えられます。

もちろん、現実に情報を明らかにしていった結果、事業者の問題であるということになった場合には、これは消費者庁の権限発動を含む様々な責任追及は、当然あり得ることだろうと思います。しかし、それを抜きにしても、繰り返しになりますが、消費者安全法でありますとか、製品に関する法律とかは、まずもって情報を消費者庁に一元的に集める。そして、それによって対策を打っていくということを基本的な法の仕組みとして事業者に義務付けているわけであり、その意味で、事故情報をこれ以上公開することによって、御指摘のような責任追及と原因の究明といった問題についてのバランスを、今までに比べて大きく崩すというものではないのだと私は理解しています。やり方次第だと思います。

○藤田座長代理 ありがとうございます。

○山本座長 よろしいでしょうか。その点について、更に何かございますでしょうか。あるいは、他の点でも結構ですけれども、いかがでしょうか。

それでは、私から一つよろしいでしょうか。例えば11ページの一番下のところで、公開をする場合に利用範囲を制限するという御指摘がありまして、あるいは、他のところでもところどころにそういった御指摘があったかと思います。もっと端的なところですと、あるいは8ページの、企業の情報提供の貢献度に応じてデータベースの閲覧の範囲を拡大するとか、しばしばこういう御指摘がございまして、確かに現実の問題を考えた場合に、全部のデータを、全範囲の人に公開するというのはなかなか難しいところがあるだろうと。一定の範囲の人に、このぐらいの情報、このレベルの情報まで提供するとか、そういうように、ある程度段階づけて考えていくことは、現実的には必要だろうなと思うのですが、その場合に特に注意すべきことというのは、何かございますでしょうか。

例えば、こういう制限の仕方をするとまずいとか、あるいは、8ページですと、企業の情報提供の貢献度に応じてということですけれども、これは、企業が積極的な協力をしたような場合であれば、その企業に対しては特別に情報を少し多目に出すというようなことかと思うのです。例えばそういうことがどこまで許されるのか、あるいは、どういう条件の下で許されるのかとか、情報を部分的に特定の主体にだけオープンにするという場合に、条件の付け方等々で特に気を付ける点というのは何かございますでしょうか。

○東京大学宍戸教授 御質問ありがとうございます。

何だか口頭試問を受けているような気がいたしますけれども、それはさておきまして、基本的には、あえて大上段に憲法論で申しますと、平等原則の問題が一応あり得るということだと思います。つまり、ある同じような条件を持っている事業者ないし申請者に対して、ある一定の人には見せる、ある一定の人には見せない、あるいは、ある一定の人には深く見せる、ある一定の人にはここまでしか見せないということは、大上段に言えば、法の下の平等との関係が問題になり得るところでございます。

しかし、結局法の下の平等というのは、合理的な差別的取扱いは許されるということでございまして、結局この局面における合理性というのは、この事故情報を公開する、あるいはその前提として集めるということの関係での合目的性に結局のところ収れんしていくのではないかというのが、私の印象でございます。したがって、そこから先は、かなりの部分、政策判断といいますか、結局何のために消費者事故情報を公開して、それによって、一般の世の中にあるいは様々なアクターに分析を促していくか、あるいはそれによって消費者保護を達成していくかということの制度設計であって、私は絶対にこうでなければいけないというような限定はそれほどないのではないか、常識的に作ればいいのではないかと考えております。

ただ、一点申し上げるべきことがあるとすれば、事故情報を一定の範囲の人に公開し、それを受け取った人がどう使うかとの関係で、例えば明らかに企業に対してダメージを、悪意を持って与えるというような人、非常に悪意のある、あるいは濫用的な利用者であるということが分かるような人に対しては、利用させないといったようなことはあるでしょう。その延長でいけば、事故情報を公開しますけれども、特に深い情報を公開しますが、その際には、こういうルールに従って、例えばポジティブなやり方では、あなたの分析した結果はパブリックドメインとして提供してくださいというような附款を付する。逆に、分析したときに、必ずしも因果関係が特定されていないのに、あたかもデータバンクの情報によって因果関係が特定されたかのような書きぶりをすることはやめてくださいといったような条件を付して、一定の範囲の人に公開するといったようなやり方で、公開等の範囲をできるだけ広げつつ、かつ、先ほどから繰り返し申し上げているような事故情報の公開という仕組みを阻害しない、その仕組みをより高めるようにするといったことを両立させる。そういった条件の付け方というところで、バランスをとるということもあるのではないかと考えております。

お答えになっているか分かりませんが、以上でございます。

○山本座長 ありがとうございました。

非常に整理してお答えいただいたのではないかと思います。

そのほかに、あるいは今の点でもございますでしょうか。

もう一つ、私からお伺いしたいのですが、13ページの一番下のところで、情報を公開する期間の問題ですね。これは確かに最近も「忘れられる権利」などもございましたし、非常に微妙な難しい問題だと思うのです。消費者事故情報の場合も、一方で、今までその場その場で情報を出してきて、気を付けてくださいということを言ってきたのだけれども、実は、よくよく見ると、過去に遡ってそういうことがあったということがありまして、もう少し長期的に事故の情報を分析して、あるいはそれを蓄積して公開していく必要があるのではないかということが、一方であるのです。

他方で、確かに御指摘のように、あるいは最近議論になっているように、余り昔のことに遡って事細かに公表するということになると、これは企業等にとって、過剰な不利益になる可能性もあるわけで、そのあたりのバランスのとり方といいますか、どういうようにそのあたりは考えていったらいいのかということが私もよく分からないのですが、何か宍戸さんのほうでお考えがありましたら、お聞かせいただきたいのですが。

○東京大学宍戸教授 御質問ありがとうございます。

この問題も大変難しい問題だろうと思いますが、ポイントは2点あるのかなと思います。

1点目は、まずもって公開するときもそうですし、あるいは公開を受けた方が利活用する場合も、分析する場合もそうですが、メタデータがはっきりしている、そのメタデータから切り離さないということだろうと思います。これは何年前の何という型番について起きた事故であるということがはっきりしている。そうでないと、その後の改善があったのか、あるいは、その後のバージョンの製品については、もう既にその問題に手当てがされているのか、されていないのかを、ごちゃごちゃにして議論がなされてしまうということがあると思います。重要なことは、メタデータがはっきりしている、そして、そのメタデータとひも付けた形での利活用というか、分析を、いわばルールとするということが、一点ではないかと思います。

2点目は、今、座長御指摘のとおり、ずっとさかのぼってデータというものをとっておいて分析するということが、最後はできなければいけないだろうというのは、私もそのとおりだと思います。他方、それをむやみやたらと公表する、遡って公表するということが、事業者にとって、非常に風評被害に遭う不利益をもたらすといったようなことも事実だろうと思います。

そうしますと、一つは、一定の期間が過ぎたものについては公表をしない。あるいは、特定の研究者のような方に見せて分析してもらうという場合も、そこは一定の守秘義務のようなものを課した形で、契約を結ぶような形で分析を行わせる形にするということが一つ。

もう一つは、これも何度か私は申し上げたことですけれども、事業者の方に反論を許す。事業者の方が、その過去のものについては、もう十分手当てできましたというのであれば、その手当てしたということを情報提供していただいて、何年何月の事故について公開するときには、それがくっついてくる。実は、この事故の備考として、事業者からこういうことについてはいつもう直しましたという報告がありましたという特記をちゃんとつけて、それを見られるようにする。そういった手当てが考えられるのではないかと思います。

雑ぱくですが、以上です。

○山本座長 ありがとうございます。

いろいろ条件を考える必要があるということですかね。メタデータの点は、確かに非常に重要な点だと思います。

そのほかにございますでしょうか。

西田専門委員、お願いします。

○西田専門委員 いろいろな解説、ありがとうございました。

説明がひょっとしてあったかもしれないのですけれども、基本的には公開ではないものを公開するということで、それが利益と不利益のバランスという話があったのですけれども、私の印象で言うと、非公開であるがゆえの不利益はすごくあって、そこがかなり圧倒的に大きい印象を持っていて、むしろ、こういう事故データみたいなものに関しては公開が前提で、どういうバリアがあるというか、逆のロジックというか、何かそっち側のほうが印象としては合っているような感じはしているのです。今、議論になっている事業者名が特定できるかどうかという、どこまで精緻に出すかという議論はあるのですけれども、基本的には、前提がオープンということが合っている分野なのかと思います。

質問というのは、そういう非公開であるがゆえの不利益みたいなものに関する、何か考え方、ガイドライン、法律というか、そういうものはあるのですか。

○東京大学宍戸教授 御質問ありがとうございます。

まず、私も事故情報の公開はできるだけオープンにしたらいいと思っているのですが、原則公開で例外的に非公開だというのは、恐らく難しいのかなと。何故かと申しますと、事故の当事者になられた消費者の方の思いが、このようなものは公開してくれという方もいれば、そうでない方もいるだろうということがございます。その事故、特に場合によっては消費者の方の利用がまずかった場合もあるかと思いますので、そういったことをいろいろ考えますと、できるだけ現状よりもオープン化を進めたほうがいいだろうと思いますが、必ずしも原則オープンで例外的に非公開というのは、議論としては厳しいのかなと。逆に、原則非公開で、例外的に公開すべきだというものでもないだろうというように、イーブンに、イコールフッティングで議論を進めたらいいのかなと思っております。

その上で、非公開の理由として、これまで事業者の話が質疑の中で出てきましたけれども、繰り返しますが、消費者の事故に遭われた方の不利益の問題、あるいはプライバシーの問題が一つ大きくありまして、それについて、先ほど若干申し上げましたが、個人情報保護法あるいは非識別加工情報制度を手かがりに、消費者の方に被害ができるだけ、プライバシー上の問題ができるだけ起きないような運用を様々考えたらよろしいのではないかということを申し上げたということでございます。

○山本座長 ありがとうございます。

確かに、消費者の被害に遭われた方自身が余り公表を望まれないという場合もあって、特に東京ですと、余りその辺は分からないかと思いますけれども、もっと地方ですと、割と簡単に消費者が特定されてしまうということもあったりして、なかなか微妙な問題が確かにあるのですね。

もう一つは、情報の信憑性の問題であるとか、特に、原因が不明な場合などに情報をどう出すかというあたりに、確かに微妙な問題はいろいろあるのかなと思います。確かに、御指摘のように、前提として情報を公開することによるメリットというのは、これは非常に大きい。そこは宍戸さんも特に4ページ、5ページあたりのところで御指摘されていますけれども、事故の被害の拡大の防止であるとか、それによって原因究明が更に進んでいくとか、いろいろメリットがあろうかと。それはあるということを前提にして、ただ、気を付けなくてはいけない点がどこかという形で、恐らく議論を進めていくことになるのだろうと思います。

そのほかに、今の点でも、あるいはそのほかの点でも、ございますでしょうか。

長田委員、お願いします。

○長田委員 ありがとうございます。

今の被害を受けた消費者の側のプライバシー保護という問題は本当に非常に重い課題だと思っていて、私ども消費者団体も、事故データベースの情報は公開してほしいということで、何度か運動もしたことがあります。

その中で、今、山本先生もおっしゃったように、非常に個人が特定されやすいということが問題になっています。このデータベースの、もともとのデータを誰が報告しているのかというところにも関わってくると思うのですけれども、事業者さんが一つは義務として、自分の製品がその事故のそばにあっただけでも報告はされています。だから、場合によっては、ストーブにしろ、ガステーブルにしろ、火が点いていなかったということも含めて、オンにはなっていなかったけれどもということで報告されている方々も大勢いらっしゃると私は認識しています。

そういうものと、それから、センターに相談がいったもののデータが、全然性格がまず違うものがあって、かつ、どの程度使っていたのかとか、そのときの使用状況も非常に明確に書いてあるものから、分からないで終わっているものまであると思うのですけれども、それらを、先ほど先生がおっしゃっていた加工して出していくときに、もともとのデータの詳細度が全然違うものに、一体ルールが当てはめられるのかというのが、私の中では課題になっています。

もう一つは、国交省がやっていらっしゃる車の情報などは、むしろユーザーがどんどん書き込んでいくものがそのまま公開されているようなことになっていて、その辺のところとのルールの違いみたいなものはどうなのかなということが、もしおわかりでしたら教えてください。

○山本座長 宍戸教授、お願いします。

○東京大学宍戸教授 御質問ありがとうございます。

御指摘のとおり、情報がPIO-NETもそうでしょうし、消費者の方が入力されるものもそうでしょうし、あるいは行政機関から吸い上げられるものもそうでしょう。そこの中には、恐らく非常に情報の詳細度とか、粒度とか、正確性とか、記述の癖とか、いろいろなものがあるだろうと思います。

したがいまして、恐らく一定の公開を進めていくべきだというスタンスをとった後、次に問題になるのが、私の資料の8ページに若干書かせていただいたところですけれども、一つは、できるだけ入力の方式をそろえる。データとして集める段階でそろえる。ただ、特に消費者の方が直接に情報を上げるといった場合には、必ずしもそうでないだろうといった場合には、消費者から上がってきた情報の中でも、かなり情報がそろっているものとそろっていないものを仕分けして、そろっていないものはオープンには適さない。そろっているものについて、将来的にAIなどにやらせたらいいと思いますが、一定の整理を行った上で、そろえた上で出すといった作業を、今度、情報のライフサイクルの中でしっかりやっていく。入力あるいは取得の局面、あるいは集約の局面というところで、オープンデータ・バイデザインの発想でやっていくということが、まず一つ必要かと思います。

それから、最後に上げられました国交省の車の車両事故の件ですけれども、あれは非常に詳細なものだと私も思いますが、あの前提になっているのは、車の運転者は、免許を得て、講習も定期的に受けて、車について一定の理解があるわけです。それに対して、ガスヒーターを使うことについての免許とか講習みたいなものは、ない。

したがって、これはかなりの部分、製品と顧客といいますか、ユーザーの間の関係性とがどこまでしっかり組み立てられているかどうか、それによっても大分違うのかなと思います。そういったものであれば、つまり、ユーザーがよく物を知っているということであれば、一般的にその製品事故について詳しい情報が上がってくることが期待されるし、そうでない、一般にみんなが使うもので、そして、特段の利用の見知も要求されていないものについては、多分、有象無象のデータが出てくるだろう。有象無象のデータが出てくることに、それ自体に意味がありますので、それ自体、一定程度オープン化することに意味はあると思いますが、その際には、ただ、特に使い方という観点では、一定の加工をした上でのオープン化であるとか、一定の範囲を絞るといったような工夫が必要になってくると考えられます。

差し当たり、以上です。

○山本座長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。

その点について、あるいはそのほかの点について、いかがでしょうか。

今の問題は、確かに情報の、もちろん公表の段階でもそうですけれども、分析をする段階でも、いろいろな出どころの情報があるという特性に注意しなくてはいけないということが一つにはあり、もう一つには、ただ、できるだけ後でその情報を分析したり、あるいは公表したりすることも考えて、それがやりやすいような形で、ある程度そろえられるところはそろえていくという工夫が必要なのではないかということかと思います。あるいは、確かに自動車の場合にあれだけ詳細な情報が出てきて、それをそのまま公開するというのは、今、宍戸さんが言われたように、自動車のユーザーの特性があるのでしょうね。ですから、先ほど医療事故の医療情報の場合などのときに気を付けなくてはいけないというようなお話もありましたけれども、それぞれの商品あるいはサービスの特性みたいなものも考えていく必要があるのでしょうね。

他にございますでしょうか。

せっかくの機会ですから、事務局のほうからでも結構ですけれども、何かありますか。よろしいですか。

どうも今日はありがとうございました。宍戸さんとは、先ほど、口頭試問になっていると言われましたけれども、むしろ、研究会では私のほうがいつもいろいろ教えていただいていて、今日もいろいろ教えていただいて、大変勉強になりました。この問題は、最近の情報技術の発展の中で、一方で、情報を積極的に利活用していかなくてはいけない。まさに、ここでの議論もそういう方向での議論なわけです。

他方で、それによって非常に決定的なダメージを受けられる方が生じる可能性があるというのも確かですので、そこをどういうように考えていくのか。これは制度的にも、あるいは技術的にも考えていかなくてはいけない大きな問題だと思います。この場でどれだけ詰めた提案ができるかどうか、恐らく決定的な解答はなかなか出せない問題だと思いますけれども、この場でもできるだけそういった問題について考え方を示すことができればと思います。そういったことを考えるに当たって、今日の宍戸さんのプレゼンテーションは非常に参考になりました。どうも本当にお忙しい中、ありがとうございました。

それでは、宍戸教授におかれましては、本日はこれで御退席ということになっていますか。どうも本当にありがとうございました。

○東京大学宍戸教授 失礼いたします。

(東京大学宍戸教授退席)

(独立行政法人日本スポーツ振興センター着席)

≪4.独立行政法人日本スポーツ振興センターの取組≫

○山本座長 続きましての議題は「独立行政法人日本スポーツ振興センターの取組」についてです。

日本スポーツ振興センターは、同センターと学校の設置者との契約により、学校の管理下における児童・生徒等の災害に対して、災害共済給付に取り組まれております。また、学校安全支援業務として、災害共済給付の実施によって得られる災害事故情報を活用して、事例統計データの整理、分析及び調査研究や、その成果を学校関係者等に分かりやすく提供することによって、学校における事故防止のための取組の支援についても取り組まれております。

本日は、日本スポーツ振興センターから、センターのお取組について、御説明をお願いしたいと思います。非常に資料もたくさん用意をしていただきまして、どうもありがとうございます。それにも関わらず、時間は20分程度とお願いをしておりますが、どうかよろしくお願いいたします。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部宮本部長 今、御紹介をいただきました、日本スポーツ振興センター学校安全部部長の宮本と申します。本日はこういった私どもの取組を紹介する時間をいただきまして、本当にありがとうございます。

今回、私どもの全体像が分かっていただけるように、お手元にガイドを用意させていただきましたので、これに基づきまして、簡単に御説明をさせていただきます。

それと、今回のそちら様からのテーマとしても、うちのほうの学校事故事例検索データベースというシステム、公開しているシステムでございますけれども、これを実際に今回ここで見ていただく機会を作っていただいておりますので、実務を見ていただきながら、本センター取組というものを発表させていただければと思っております。

簡単に概要だけ整理させていただきますと、3ページに災害共済給付に関する業務というものが書いてございますけれども、本センターの災害共済給付事業というのは、昭和35年に発足いたしまして、今、57年が経過したところという形でございます。これは学校現場におきまして、スタートは保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校といったようなところで、特色としては、学校種を問わない。また、国公私立全部問わないという形で、皆さん、加盟していただいて、学校の責任であるとか、生徒間の事故でございますので、生徒同士の責任があるとか、指導の責任がないとか、そういった問題に関わらず給付をしていこうということで、制度のスタートをさせていただいてございます。

9ページでございますけれども、データの状況という形で紹介させていただきますと、27年度、昨年度加盟が1,700万人に加入していただいている。正確には1,690万人が入っているというところで、(7)でグラフが書いてございますけれども、義務教育、小学校、中学校はほぼ100%の加入、高等学校、高専についても、ほぼ100%近い加入がありまして、全体でも95%以上の方が入っているといった状況でございます。

ここで、学校のほうで事故が起こって、データを上げていただくわけですけれども、昨年が110万件近い事故が起こっておりまして、それに対する給付というのが、1か月だけで済まないことは結構ございますので、210万件の給付を行っている。その事故の状況等については、今、システム化してございますので、そのデータが非常にたまって、それを活用して学校安全支援に活用していこうということが、今回の趣旨でございます。

では、本題に入りまして、うちの担当の学校安全支援課長の米山から、今回のテーマのほう、データベースのほうを説明させていただきますので、よろしくお願いします。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部安全支援課米山課長 御紹介にあずかりました、学校安全部支援課長の米山と申します。よろしくお願いします。

早速なのですけれども、先ほど宍戸先生からお話を伺いまして、私たち、その中に当てはまることがいっぱいありました。それから、これからもう一度改めて考え直さなければならないなと思ったことが随所にございました。また、このような機会をいただいて、感謝しております。ありがとうございました。

では、早速説明させていただきます。まず、このガイドブックの3ページが、部長が今、説明しましたけれども、先ほど申し上げましたように、いわゆる学校でけがをしたときに保険が下りるみたいな、お金がもらえるみたいなイメージを皆さんお持ちだと思うのですけれども、まさしくその事業をやっております。

5ページ、もともとこの制度自体は、事故のデータが100万件たまっているということが結果論なのですけれども、そうではなくて、そもそも先ほど言いましたように、事故が起きたとき、この表を見ていただきたいのですけれども、右の上に災害が発生しました、つまり、子供がけがをしました。そして、医療機関に行きます。その医療の書類、ちゃんと様式が決まっているのですけれども、その様式を学校に出して、学校が、それから、教育委員会がまたまとめてくださる。そして、それをうちのスポーツ振興センターに出していただければ、審査をした後で、事故を起こしたお子様たちに給付のお金が下りるという制度の仕組みです。

9ページ、まさしく部長が言ったように、全体で18歳以下の子供で95.7%が加入しているということなので、給付という、支払い行為で数字はたまってくるのですけれども、データとしては、とても有意義な、統計的にも信頼できるデータが固まっている、いつもたまっているという現状でございます。

その横の10ページを見ていただくと分かるのですけれども、加入者数、もちろん少子化と言われているので、一番上の加入者数はどんどん下がっている、負傷・疾病の発生件数ももちろん下がっているのですけれども、なぜか医療費は横ばい。この負傷・疾病発生件数というのは、例えば骨折をしてしまうと2か月、3か月治療がかかる。2番目の表は、そういう意味では骨折、けがの件数です。3番目に関すると、それを3か月利用すると3回というカウントになって、200万件と上の100万件との差が出るような数字でございます。

続きまして、15ページ、そこで今までさんざん申し上げましたように、給付をするとデータが副産物でたまってきたような事業でございます。このポンチ絵を見ていただきたいのですけれども、この給付業務、要するに、けがをしたときに、データが、全国大体7万3,000の学校から約110万件、毎年上がってきます。それが、今、データが入ってきますので、それを大きな2つの分類にできております。

一つは、調査研究です。データから読み取れる項目を拾い上げ、例えば、高校生は部活でけが、体育でけが、通学中のけが、どれが一番多いのかなみたいなことを、外部の有識者の先生方と調査研究を行い、事故防止につながる提言を行ってまいりました。ちなみに、これは先ほど部長も申し上げましたが、昭和35年からこの制度があるので、その時代は、もう38年くらいからこの事故の調査研究を行っていまして、このような事故が多い、このような事故が防げるみたいなことは、私たち、冊子としては持っております。それで、毎年のように調査研究や基本統計、いつ、どこで事故が起きたかなどを作成して、現在まで毎年公表しております。

18ページ、先ほど申し上げましたように、共済給付制度で給付をやった事故のデータが、調査研究と、もう一つは情報発信、発信方法です。これに関しては、主にホームページやチラシ、定期刊行物、出向いての講習会や説明会などで行っております。

お手元にどのカードが行っているのか分からないのですけれども、いろいろランダムに持ってきたと思うのですが、これを見ていただくと分かると思うのですけれども、これは月に一度、私たちがJSCの持っている資料、データを基に、A4判でそのまま印刷可能なカードを作成しています。これは有識者によるチェックを受けておりまして、これは1か月に1回、皆さん、いろいろなのですけれども、5月には必ず熱中症、3月、今、出すのですが、小学校1年生の通学中の事故啓蒙のようなものを、簡単に。ターゲットが書いてあるのですけれども、私が持っているのは小学校の中高年向けの熱中症の事故なので、小学校中学年が読めるような、文字を少なくして、デザイナーさんにもかけています。毎月デザイナーさんにもかけて分かりやすく、常に手元に置いておけるようなものを出しております。これは保健室、私たち学校の先生がメーンになるので、保健室の前の掲示板に飾っていただいたり、学校だより、保健だよりみたいなもの、それから、部活の説明会などで毎月のように出して使っております。ちなみに、ホームページに毎月出しております。

16ページ、次に、今回お手元にあるピンクの本、分厚い本なのですけれども、この説明をさせていただきます。

この205ページを御覧いただけますでしょうか。205ページの一番下の左のほうに「準備運動等」の枠の中に、「体操(組体操)」500という数字が出てきたと思うのですけれども、これは平成27年度に、中学校で組体操などで骨折した子供の数を出しております。このように出しておるのですが、簡単に説明するだけなので、その上の「球技」のところの真ん中辺に「バスケットボール」、これが中学校で27年度で一番事故が多かった、2万7,304件と書いてあると思うのです。これは中学校で1年間に延べ2万7,300人の子が骨折をしてしまったという数字です。

ところが、その次の206ページを見ていただくと、これはタイトルがちょっと違うのですけれども、先ほどの「バスケットボール」というのは、体育の授業や球技大会みたいなものなのです。その次に、206ページの一番上のほう、球技の中に「バスケットボール部」というものがあるのですけれども、これは1万5,512件、別になっておりまして、これは部活動でこれだけの事故が起こっている。

今、口だけで説明するのですけれども、ちなみに同じように高校生を見てみると、高校生に対しては、体育の授業では、バスケットがやはり一番事故が、骨折の件数が多いのですが、208ページに書いてあるのですけれども、部活になるとサッカーが一番になるのです。このように明らかに客観的な数字で常にデータを出しておりまして、100万件を常に分析というか、いろいろ項目、パソコン上にシステムで入っていますので、外部にも提供しております。

ちなみに、今のデータのお話なのですけれども、今日は持ってこなかったのですが、25年と26年、同じようなデータを持ってくると、全く同じ傾向なのです。やはりサッカーが、高校の部活では一番骨折が多い。次がバスケット、中学校は男女とも2年間ともバスケットの事故が、骨折が多いというようなものが出ております。

この今の情報は、高校体育連盟や例えば柔道連盟、医学界、大学の研究、その辺の研究機関の方たちに無償で、もちろんホームページで出しておりますので、いつでも同じページで同じ場所が見られるようなことを発信していまして、事故防止に取り組む団体が活用しているようだと聞いております。

最後になりますけれども、これが最後のメーンのといいますか、インターネットの話で、学校事故事例検索データベースの話をさせていただきます。これは今、見ていただいたほうが早いと思うのですけれども、薄い本の19ページを御覧になっていただければと思います。

このデータベースに関しては、毎年消費者庁にもローデータでお送りして、消費者庁さんのほうの事故データベースに入れていただいていると聞いております。ヤフーから入っていきます。「学校事故」と検索していただく。

紙もありますので、この薄い紙の19ページを御覧いただければ、例えばここでいくと、例えば歯のけがはどのようなときに起きているのかしらと思いましたら、まず、学校事故事例検索データベースに入っていただいて、これは古い5,559件なのですけれども、27年度データを追加したので、今、6,000件ほどになっております。これで年度や学校種や発生場所、調べたい条件を選択して、入力して検索すると、瞬時に出てまいります。

「(発表者がパソコン操作で検索画面を表示)」

では、つながりましたので、もう一度簡単に、そのほうが早いと思います。では、まずヤフーではなくてもいいのですけれども、ヤフーで入っていただいて検索しますと、瞬時にトップで出てきます。ここの今、御説明した学校事故事例検索データベースをクリックしてください。

そうすると、この冊子は5,500件なのですけれども、今、6,079件に増やしております。ここをやってみます。皆さん、興味があると思うので、まず「熱中症」で出してみようかなと思います。まず、年度は、平成17年から27年まで入っているのですけれども「指定なし」でも構いません。そして、死亡・障害という区別なのですが、これを「死亡」にクリックしていただく。そうすると、画面が一瞬、ちょっとだけ動くのですけれども、死亡・障害種別というところに「熱中症」があります。それをクリックして、これで検索をかけます。そうすると、26件が出てきまして、これは一番上からさっとだけ見方を御説明すると、平成18年度に、死亡で、熱中症、保育園の4歳児の男の子、もちろん学校、園内、廊下で、保育所で遊び中に、どのような事例でどういうようになったかということを細かく書いてあるものをネットで閲覧できるようになっております。

実は、ここはとても大変で、実際に入力されているデータ、システムに入っているデータは100項目以上あるのです。私たち事務局が整理し公表するのは、そのうち、ここは今、15項目あるのですけれども、15項目なのですね。先ほどの宍戸先生のお話からもそうだったのですけれども、個人情報などを特定されないように配慮して、加工をして、全てそれを行うのに、大体一人で、三、四人でチェックして、3、4か月かかって、ここまでの公表にこぎつけております。とても精査するのに時間がかかるということが現状でございます。

ちなみに、この「学校安全web」のアクセス数なのですけれども、11か月間で470万件ぐらい、このうちの事故データベースのアクセス数は15万件程度でございます。

私たちのほうはマスコミとか、いろいろなところから電話が入ってきます。そうすると、どのような事故、熱中症で何人死亡したのですかなどとよく聞かれるので、常にこのデータベースをお教えして、これはフリー公開していますので、御自分でチェックしてお使いくださいということでアナウンスを重ねた結果、最近マスコミからの問い合わせの電話はとても減りました。

もう時間は過ぎたのですけれども、もしも誰か委員の先生で、死亡・障害で何かあれば、リクエストにお応えして入れてみますけれども、調べたいことなどはございますでしょうか。もう一つぐらい行きますか。

では、やはり死亡ですけれども、一時期はやった柔道、これは今は傷病名で出しているのですが、下を「指定なし」にして、競技種目、そこで「柔道」というものを調べてみたいと思います。そうすると、検索をかけると、今、ほぼ11年間の間に25件、柔道で死亡事故が起きている。それで、中学生や高校生、部活だったり、体育の授業だったりというようなものが一覧で最後まで25件分ばっと出てくるようなことで、皆さんお使いになっております。比較的早く出せるようになっていますので、使い勝手は結構便利なのかなとは思っております。

以上、ちょっと時間を過ぎたのですけれども、私の発表とさせていただきます。

○山本座長 どうもありがとうございました。

災害共済給付事業をされているということで、情報がたくさん集まってきて、その分析をされて、事故予防に役立てているという、そういうサイクルが非常に整備をされていることがよく分かりまして、いろいろ、私たちが今後の議論をするに当たりましても、参考になったのではないかと思います。

それでは、御質問あるいは御意見のある方、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

市瀬専門委員、お願いします。

○市瀬専門委員 どうもありがとうございます。

非常に分析や何かをしっかりしているので、参考にさせていただきたいと思いました。

ちょっと何点か聞きたいのですけれども、今、公表のデータベースというものが6,000件程度で、実際には年間で110万件集めているというようなお話があったかと思うのですけれども、そこのところのデータはどういう基準で選んでいるのかというのと、そのデータを選ぶときに何らかの専門家が入って、一回いろいろな情報などを抜いているという話があったかと思いますけれども、そこら辺に関して、どういった基準でやっているのかというのがありましたら、教えていただきたいと思います。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部宮本部長 説明が足りなかったかと思いますけれども、年間110万件の事故で、平成17年度から電子化させていただいていますので、それの10倍、11倍が、今、保管されてございます。そのうちの6,000件が今、ネット、又はこの携帯のほうでも見られるような、誰でも見られるようなデータベースを構築してございます。選択の仕方というよりは、死亡案件全て、それにプラスして障害を残した事故、治り切れなくて障害が残ってしまったというところで、障害見舞金をお支払いした全件、こちらを17年度から昨年度まで全て載っけているというようなことです。

選択そのほかというものは、聞きづらかったかと思いますけれども、先ほどテキストデータで文章が書いてございますが、あちらについては、学校の現場の体育の先生、又は養護の先生が、こういうところで熱中症が発生しましたというように文章を打ち込んでいただいていますが、余りに名前、学校名、場所等がリアルに書かれているものもたくさんあるものですから、その辺を選択して、一般に分からないようにということで、今、お見せしているのも、確か都道府県等を抜いてあるといったようなところでの、そういった意味での排除、選択という意味でございます。分かりづらくて済みません。恐縮です。

○山本座長 死亡・障害事例で、災害共済給付がされたものですね。そこで一定の限定がかかっているということかと思います。

もう一つ、専門家の関与についての御質問もあったかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部宮本部長 専門家の関与は、段階的には2段階ありまして、先ほど見ていただいている表でいくと、うちのデータを調査研究していただくといったようなページがあったかと思いますけれども、15ページです。調査研究のほうに、私どもセンターの中には調査研究部門という専門家を置いている部門がございませんので、うちのデータを使って、事故防止のためにやっていただくという委員会を設置しまして、全部の案件をやれるわけでもございませんので、年度計画等を立てていただいて、今年は熱中症のものを研究しようとか、プール事故を今年はやりましょうとか、そういったものの、実際にやるべきものを決めていただくのも、委員会のほうで決めていただく。その中で、また、仮にプール事故であれば水泳の専門家、指導の専門家、統計の専門家等、また、お医者様も含めてチームを組んで、調査研究をやっていくといったようなところで、専門家の先生方、多岐にわたってセレクトしてやらせていただいているというようなことでございます。

また、今、一部ではございますけれども、事故の発生した状況を、実際に現地に行って、サッカー、ゴールポストの状況であるとか、理科室の状況であるとか、そういったものも専門の先生方に行っていただいて、見て、また向こうとの会話というか、調査の中で御意見をいただいて、還元していくというような調査のほうもやらせていただいているといったようなつくりになってございます。

○山本座長 よろしいでしょうか。

西田専門委員は関わっておられるのですか。

○西田専門委員 何年かお世話になっていまして、データをお借りして、分析のお手伝いなどをさせていただいております。

例えば、先ほどの柔道の事故は、2008年からですか、全部お借りして、それで今、報告書を今週早く出してくださいって言われているのですけれども、それでトレンド分析をすると、柔道の場合は大外刈りと背負い投げが死亡事故につながるということで、それが課題になっているのです。2013年ぐらいに、あれは内田さんですか。書籍が出て、結構社会的な課題として認知されたというので、ある意味、強烈な介入がそこで起きたのですけれども、そうすると、トレンド分析すると、2013年からぐっとかなり下がっているという結果は出てきています。だから、その介入というか、ある施策をとったときの評価がどうなっているのかが分析できるような、そういうものになっています。ただ、背負い投げは減っている、大外刈りは減っていないという、今からそれをレポートに書かなければいけないのですけれども、そういう結果が最近出ました。非常にずっと系統立てて集められているので、課題の抽出と、それから、効果、評価に非常役に立つものになっています。

○山本座長 ありがとうございます。

今の点、あるいはその他の点でも結構ですけれども、御質問、御意見、ございますでしょうか。

米山課長、お願いします。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部安全支援課米山課長 西田先生がとてもいいことをおっしゃってくださったのですけれども、実は、先ほどの先生のお話のときに、フォーマットがちゃんとしていればみんなが同じことを書けていいのではないかというようなことを伺ったのですが、実は私たちはちゃんと様式が決まっています。全員同じ様式で同じように書きなさいというような、一応、指示はしているのですけれども、全くそのようには書いてこない方がいっぱいいらして、本当に事故防止という観点で分析するのには、まだまだ私たちはとても課題が多く、100万件を全部チェックし切れないのです。

本当は100万件全部私たちが分析できれば、もっともっと外に出していけるのですけれども、いかんせん今の6,000件、7,000件ぐらいしかチェックし切れていないというのが現状でございます。私たちも、先ほどフォーマットがそろえばもっとちゃんとしたデータが入るとおっしゃっていたのですけれども、なかなか現状、上手くいっていませんということを申し添えようかなと思いました。

○山本座長 長田委員、お願いします。

○長田委員 そのフォーマットに書かれるのは、学校の教員や、部活動の場合、外部だったら外部の方ですか。それとも学校の方ですか。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部安全支援課米山課長 ほぼ学校の養護の先生であったり、部活の先生であったり、副校長先生であったりするパターンが多いです。一応、そのようなことでございます。

○長田委員 分かりました。

○山本座長 ありがとうございます。

他にございますでしょうか。

友行企画官、お願いします。

○友行企画官 先ほど西田専門委員が分析に関わっているというお話があったのですけれども、西田専門委員から提供されている情報は、100項目本当は登録されているうちの公開されている10項目だけなのか、それ以外のデータも提供を受けているのかどうかということについてはどうなのでしょうか。

○西田専門委員 今、提供していただいているのは、共同研究契約を結ばせていただいて、守秘をするという契約の後で、かなり出していただいているのではないかと思います。だから、先ほどおっしゃった死亡と後遺症の残ったというデータだけではなくて、比較的100万件に近いほうのデータも、一応、分析の対象とさせていただいております。

○友行企画官 件数はそのぐらい多くて、出していただいている項目は、一般に公開されている先ほどの10項目だけなのか、それとも、本当は入っている100項目中のうちの。

○西田専門委員 100はないと思います。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部宮本部長 追加させていただきますと、うちのほうは、西田先生だからということではなくて、学校安全のために研究していただいているという個人、団体の皆様から申請を受けまして、もちろん個人情報の部分がたくさんございますので、その辺は注意させていただいておりますけれども、ここには出ていない地域別であるとか、全ての事項について出す準備はさせていただくという形でやってございます。先ほど、調査研究のところで物が足りなかったかもしれませんけれども、うちで設けている委員会の中だけで使っているということではなくて、全国の先生方、研究者の方々から、逆にこういったものが知りたいというように出てますので、中学生だけが欲しい、何々県だけが欲しいとか、そういった意味では、うちにあるデータのほうについては、そういった手続の上で一般公開もさせていただいている状況です。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部安全支援課米山課長 先ほど100項目と言ったのですけれども、システムに入っているのが100項目で、例えば都道府県の1番が北海道みたいなものを入力したりするものもあるので、本当に事故データで使えるとすれば30項目程度ではないかと思います。後はシステム整備上に番号として振っていたりもするものがあったりするものですから、そのうちに、ほぼ北海道が1番だみたいな、1番は要らないので削除していくのですけれども、それ以外のものに関しては、先ほど部長が言いましたように、可能な限り出すようにしております。

○山本座長 友行企画官、お願いします。

○友行企画官 後もう一つお伺いしたいのですけれども、消費者庁に集まってきている事故情報、消費者庁の事故情報データバンクについて、JSCさんは、個別法によらない任意の情報提供ということで、事故情報データバンクは参画機関として情報を提供されていると思うのですけれども、そのときに提供されている情報というのはどういった中身になっているのか。後、件数ですね。公開されているものとの関係で、全く同じものを消費者庁に提供しているのかというあたりはいかがでしょうか。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部安全支援課米山課長 これに関しては、先ほどインターネットで見たデータと全く同じものをお渡ししています。ですから、名前もないし、ある程度の文章も加工、個人情報が分からないようなものをお渡ししています。本当に何年前からか、毎年毎年同じデータです。それはつまり、このデータ、10ページとか20ページにあるものと全く同じものがデータベースで出ているのです。このピンクの本は毎年買えるので、年度別の事故防止の本、先ほどのものは年度ではなくて、いろいろな集計した6,000件の分け方の本というようになっていますので、消費者庁さんに渡しているのは、全くここの部分だけの、何ページを見てもらってもいいのですけれども、例えば42ページなどを御覧になっていただくと、中学校で障害見舞金を支払わなければならないような事故で、体育の保健体育で、跳び箱でこのような事件が起きましたみたいなことは、消費者庁さんにもお渡ししております。

○山本座長 よろしいですか。更にあれば、お願いします。

○友行企画官 分析の体制とか手法ですとか、具体的なやり方なのですけれども、先ほどのお話では、調査研究のところについては、そちらのほうで、そういった部署がないので、外の先生方と、例えばお医者さんですとか、プールの事故だったらプールの専門家ですとか、統計学の専門家の方などとチームを組んでというようなお話だったと思うのですけれども、具体的に更にどのような感じでやっているのか。例えば年間何件ぐらいの何テーマぐらいを扱っていて、何人ぐらいのチーム構成になっていて、その分析の具体的な手法みたいなものについては、どのようなやり方でされているかということについて、可能な範囲でお願いします。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部宮本部長 やり方も事故によって違いますので、見ていただくとすると、17ページを見ていただきますと「平成26年度以前の調査研究」ということで載ってございます。これが最終的にはでき上がりの形でして、もしインターネットに出ればこれが全部開けるので、左の一番上にあるのが「体育活動における熱中症予防」という研究の報告書というものを上げさせていただいております。これがずっとたまっておりまして、25年ぐらいまでは、毎年1テーマないし多くて2テーマというものをやらせていただいて、こういった形で書籍、又は、インターネットのほうは、PDFで全て載ってございますので、ちょっと開けてもらったら委員名簿が出るかと思いますので、見ていただくと出てくるという形になっています。

また、右端の「通学中の事故の現状と事故防止の留意点」ということもやらせていただきましたけれども、このときは、年にこれを一回やらせていただきました。このときは、警察庁のほう、交通事故センター等との連携、また、気象庁の天気の情報を入れて雨の日、嵐の日、帰って溝に落ちて流されたとか、交通事故のほうはこういったときに起こっているとか、その都度委員からこういったテーマ、こういった手法でやりましょうといった御提案を受けた上でやらせていただいている。今、画面に出ているのは、ネット出したものですけれども、これが学校災害防止調査研究委員会の親委員会の15名という形で見ていただくと、医療関係の先生、又は、全国学校安全教育研究会とか、中体連、高体連等も場合によっては入ってくるといったような形で、学校現場でのニーズも吸い上げ、また、それに対して直接調査研究をされている先生方が入ってくる。この下に、またテーマごとに、先ほど申し上げたとおり、プールであれば水連とか、柔道であれば柔道連等も一緒に入っていただいたり、高野連とも一緒にやっていくという形で、競技のほうからの視点というものも取り入れてやっていくといったような形でやっているということです。ぼわっとして恐縮ですけれども、一つ一つその手法を決めて、1年又は1年以上かけて、長いものは2年ぐらい研究をして、こういった小冊子にやって、概要的な提案まで出させていただいているというのが、調査研究のほうになってございます。

簡単で恐縮です。

○山本座長 よろしいですか。

友行企画官、お願いします。

○友行企画官 もう一つ、今、JSCのほうでいろいろこういう形で分析されているということなのですけれども、分析などをされている中で、課題と思われていることと、本当はこういうことをやってみたいのだけれども、なかなか今、そういうことについては検討中ですとか、そういったようなことがもしあれば可能な範囲でお聞かせ願いたいのです。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部宮本部長 データのほう、うちのほうも、ここに集まっている、逆に統計データの扱いについて、統計データの新たな手法等々、私どもも知らないような手法がある、こういうようにかけていったら何かが出てくるかもしれないとか、そういった手法、要するに情報活用のワーキングというものをやらせていただいて、今、いろいろな手法ができるのではないかというところをちょうど研究させていただいているところです。

また、一つとしては、今の世の中に、評価も必要だというところで、これだけ出したらどれだけ減ったのだというようなところも、どうやって出したらいいのかなというのが一番難しくて、調査研究と一般のほうで比べるとか、そういったものも可能かなというような御提案を今、いただいて、検討していたり、一人の子供が保育園、幼稚園、小中高まで全部ずっと入っておられると追いかけることも可能ではないかというような統計の使い方もあるのではないかというようなことも、いろいろな先生から、今、御提案いただいている中で、できることからというところです。現在は、重篤な事故、死亡事故等が多いものから、さっき見ていただいたページにあるように、こちらをとりあえず早目に周知啓蒙していこうというところで、今、本当に周知に力を入れてやらせていただいているという状況でございます。

○山本座長 米山課長、お願いします。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部安全支援課米山課長 ちなみに、うまく情報が伝わっていないということも課題だと思うのですけれども、例えばこれなのですが、毎年毎年全部の学校に配っているのです。津々浦々の学校まで。それで、大体これを全部見ていただければ、ほぼほぼいろいろなことが分かるはずなのですけれども、学校現場の先生たちはお忙しいのか、見たことがない、知らないと言われるパターンがあります。この中身の一つ一つです。例えばデータベースがあるのですよ、熱中症予防だったらこういうところを見ていただければ、いろいろな啓蒙、留意点などは出ていますよということは、この冊子を見れば、例として出しているので、学校まで無料で送っているのに、やはり見ていただけていないという課題は残っております。

○山本座長 よろしいですか。

大森委員、お願いします。

○大森委員 保育園から特別支援学校、高校生と、対象がすごく広いのですけれども、質問というか、報告内容自体は全て一緒かどうかというのと、見せていただいているのは、中学校、高校向けですけれども、これは他にも対象者別があるのかどうか、その2点をお願いします。

○山本座長 米山課長、お願いします。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部安全支援課米山課長 幼稚園、小学校、中学校、全部同じ様式のもので書いていただいています。

そして、これなのですけれども、今、ちょうどここのネットの中にあるのですが、幼稚園であれば幼稚園の子向けの、こんな遊び方に気をつけようということでクリックしていただいて、例えば、これは平成29年の2月号なのですけれども、安全な遊び方、危険な遊び方、マル・バツをつけてみましょうみたいなことで、これは幼稚園・保育園対象のものです。このデータ自体も、どこが危ないか、危なくないかということに関しては、西田先生にも御協力いただいたのですが、先ほどの有識者の方が書いてくださった調査研究の固定遊具の事故防止というところの留意点というものがあるのですけれども、その中から、私たちは読んだものをピックアップして、こういうイラストにして、デザインは必ず業者にかけて、見てもらわなければ意味がないということで、外に発信しています。

○山本座長 よろしいですか。

○大森委員 ありがとうございます。

○山本座長 その他にございますでしょうか。

友行企画官、お願いします。

○友行企画官 情報の提供先なのですけれども、このガイドなどは学校に配付されているということだったのですが、それ以外に、例えば学校に置いてある、そういう遊具をつくっているメーカーさんですとか、PTA向けとか、子供会向けとか、親とか、そういった子供に直に行くような別のルートとか、そういうところに出しているということはあるのでしょうか。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部宮本部長 発送自体はしてございませんけれども、この「学校安全web」というところにチラシを、今、つくりまして、全国の学校保健会、医師会、歯科医師会、教員の方々、また、PTA連合会等の会議があったり、こういうセミナーがあるときに、全員にお配りして帰ったら、スマホならぱっと当てると見られるよみたいなところも使って、ここに誘導して使っていただけるように、一生懸命周知のほうはさせていただいております。

また、大体養護の先生が保健だよりというものを、毎月一遍とか、学校によって違うみたいですけれども、持って帰ってねと保護者向けに保健だよりというものを確か作られていて、それを作るときに、うちのこのイラストであるとか、先ほどの事例を入れる。手洗いをすると、ノロ関係予防できるよ、こういう事故があったよと、ここに書いてあるようなものを検索で拾ってやりましょうということだけではなくて、こういう事故がありますよということをつけて、それを貼りつけて保健だより等にしていただいて、お子様を通して、御家庭のほうにも行っているというようには聞いてございます。

○山本座長 よろしいでしょうか。

友行企画官、お願いします。

○友行企画官 活用の研究会とか、評価をどうするのかということについても、最近検討をされ始めたということだったのですけれども、まだ検討中ということなので、余り表に出せないのかもしれないのですが、例えば活用の研究会では、どのような事柄が議論というか、論点になっているかですとか、あと、評価ということについては、例えば具体的に、どのような点で評価の物差しを持ってくるかとか、今、可能な範囲でお願いします。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部宮本部長 評価というのは、相手のある話もあってなかなか厳しいのですけれども、それと、結構長期にわたってみていかないと、去年と今年を比べて給付がそんなに変わっていないということは分かるのですけれども、全体で長いスパンで見ていくと、平成元年から3年くらい、確か4年までが、死亡給付金というのは200件以上を給付している本当に悲しい時代、その前は300件近くあった。それがここ5年間ぐらいは、50件から60件ぐらいにおさまってきている。これをずっと、評価のためにも、長いスパンで見ると率も下がってきているというようなところで評価をしていけたらいいななどということで、死亡者だけであれば、分析できるよねということでやっていくと、こういう話をここでしていいのか分からないですけれども、突然死、心臓系のものが200件以上あっても、半分はそちらだった。その間に、いろいろなこういったところでまた外に対して発信していくことによって、今、心電図の必須化とか、必ずやるのだというようなことも含めて、これが行政にはね返り、最終的に、今、半分、4分の1ぐらいの死亡者になってきているというような、本当に長いスパンで評価を出していかないとちょっと厳しいなというところで、評価のところ、その他にもやり方はあるのではないかというようには言われております。

先ほど、最初の説明で支給件数が減っていないというところもなかなかうちも、何もしていないのではないのということにつながることもあるわけですけれども、中を今、少しずつ分析して、やはりスポーツ、体育の時間、部活の時間が多いということで、一つ一つ事例をここ数年は目、歯などと、局部的なところも踏まえてやっていくことによって、今後もう少し長い目で見ていただくと減ってくるというのができるかなと思っております。明快にこれとこの数字を比較したら評価ですというのは、私どもも例示できないというようなところで、恐縮です。

○山本座長 よろしいですか。

米山課長、お願いします。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部安全支援課米山課長 西田先生たちと一緒に研究はしてはいるのですけれども、例えば新しい課題に関しては、AIと何かが結合を上手くできないかというようなこと。それから、私たちは例えば医学部の先生、教授たちともコラボしているのですけれども、その子が例えば事故に遭った、救急車に運ばれてからのことは大学病院などは分かると。その前、その子が果たして病気があったのか、ないのか、その前に何をしていたのかまでうまく結び付けられればいいみたいな研究、どうなるか、本当に成果は分からないのですけれども、今、そのような研究を一緒にやっておりまして、中間報告のような形しか、先ほど部長が言ったように、評価ができるわけではないのですけれども、これとこれと組み合わせてできるかもしれない、これもできるかもしれないということで、1,000万件ほどデータはたまっているので、正直言ってパソコンで動かすのもすごく大変なのですけれども、そのようなことをしながら、日々研究調査をしております。

○山本座長 問題関心が、この委員会とパラレルなものですね。非常に同じ問題関心で、ただ、具体的にそれだけ取り組まれておられるので、具体的なデータに即して、かなり、そういう研究をされているのではないかと思いますけれども、もう少し詳しくお伺いしたいという感じもしますが、また適宜、少し連絡をとったりして、あるいは委員の先生同士で話をしていただいたりすると、お互いにいろいろ勉強になるのかなと思いました。

そのほか、いかがでしょうか。

先ほど入力の仕方の問題もあって、十分集まってきたデータを生かし切れていない部分が残念ながらあるというお話だったのですが、西田専門委員は、そのあたりの幅広いデータ、100万までいっているか分かりませんけれども、データを実際に分析されたりしていると思うのですが、もっと活用できるのではないかという、そういう感触なのでしょうか。

○西田専門委員 おっしゃるとおりで、課題のところがこの会議のところと似ているところがありまして、できるだけ検討しているのは、自由記述のところは大変なので、それを項目出しをして、選択出しすると、非常に処理がしやすいのではないかということで、そういう検討を内部的にされていますね。それが一つです。

AIというか、そういうものが期待されるところというのは、過去のものに関しては、先ほどのかなり状況の書き込みがあるのですね。ああいうところが分析できない。100万になってくると、とても人でやっていられないということになるので、そのあたりが課題なのかと思います。

データの質に関しては、もちろん、入力の質はあるのですけれども、ほぼ悉皆(しっかい)調査なのです。それがある意味すごい調査だと思っているのですが、日本で起きた、学校で起きたけがはもう全部あるということなのです。なので、その効果、評価に関しては、非常にある意味信頼が、何が効いているのかというのは、その因果関係は難しいのですけれども、減ったかどうかに関しては非常に信頼ができるデータソースなのかと思っています。

○山本座長 ありがとうございます。

その他にございますでしょうか。よろしいでしょうか。

本日は、非常に詳細な御説明をいただきまして、どうもありがとうございました。

取組としては、恐らく一番進んでいるのではないかと思いますけれども、それでも、なお課題が実際にあって、いろいろ御苦労されているという話を伺いまして、私たちも大変、今後議論をしていく上で、参考になりましたし、また、内部でそういった検討もされているということですので、ぜひ今後もいろいろお互いに情報交換等をしていくことができれば、私たちにとっても更に参考になるのではないかと思いますので、今後ともどうかよろしくお願いいたします。

本当に本日はお忙しいところ、審議に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部宮本部長 本当にどうもありがとうございました。

○独立行政法人日本スポーツ振興センター学校安全部安全支援課米山課長 ありがとうございました。


≪5.閉会≫

○山本座長 それでは、本日の議題は以上となります。何か事務局からございますか。特にございませんか。

それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

(以上)