第3回 栄養表示に関する調査会 議事録

日時

2014年3月12日(水)14:00~16:43

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
渋谷座長、迫座長代理、池原委員、板倉委員、河野委員
【オブザーバー】
阿久澤委員、夏目委員、栗山委員、立石委員
【説明者】
消費者庁 竹田食品表示企画課長、平山企画官、谷口課長補佐、塩澤食品表示調査官
【事務局】
小田事務局長、大貫参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 栄養表示の対象食品について
  3. 各栄養成分の分析方法及び「誤差の許容範囲」の考え方について
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○大貫参事官 それでは、定刻になりましたので、開始させていただきます。本日は、皆様お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
「栄養表示に関する調査会」を開始させていただく前に、阿久澤食品表示部会長から御提案があります。阿久澤部会長、お願いいたします。

○阿久澤委員 本日は、調査会にはオブザーバーとして参加させていただきますが、開始前に消費者委員会委員としての立場で若干お時間をいただきましてお話させていただきたいと思います。
今回、立石委員からトランス脂肪酸の義務表示を求める意見書が提出されております。このトランス脂肪酸については、食品安全委員会の評価書も出されており、健康に対する影響があることは科学的にも明らかにされていると私自身、考えております。その取り扱いについて、私自身もさらに科学的な知見に基づいて十分に検討する必要があると考えております。
一方、この調査会では、栄養表示の対象成分については既に一定の取りまとめがなされておりまして、議事内容は栄養表示の対象の食品及び事業者等の議題に移っているところです。今後もたくさんの議題を審議していく必要があります。そこで、消費者委員会の了解が得られることが前提ですけれども、消費者委員会本会議に食品安全のリスク管理について検討するワーキンググループを設けて科学的な知見を確認しながら、消費者基本計画に示されたトランス脂肪酸と飽和脂肪酸などを含めた食品のリスク管理の状況について、フォローアップとして検討を進めたいと考えております。食品安全のリスク管理だけではなく、食育なども含めた幅広い検討が必要と考えております。
このため今回、立石委員から提出いただいた意見書につきましては、私のほうに預からせていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○大貫参事官 ありがとうございました。
それでは、ただいまから「栄養表示に関する調査会」第3回会合を開催します。
本日は、宮地委員は所用により御欠席ですが、過半数に達しており、定足数を満たしております。なお、オブザーバーとして、消費者委員会本委員会からは、阿久澤委員、夏目委員、食品表示部会からは、栗山委員、立石委員が参加されております。
議事に入る前に、配布資料の確認をさせていただきます。今、お配りしております資料は、配布資料一覧のとおりですが、鬼武委員のコメントペーパーを追加配布資料ということでお配りしております。
不足の資料がありましたら、事務局へお申しつけいただければと思います。
本日も多くの傍聴の方がお越しいただいておりますので、御発言の際はマイクに近づいて御発言いただきますようお願いいたします。
それでは、澁谷座長に議事進行をお願いいたします。

○澁谷座長 本日は、消費者庁から竹田食品表示企画課長に御出席をいただく予定ですが、30分ほどおくれて御出席ということで伺っております。
なお、本日の会議は公開で行います。議事録についても、後日公開することとしております。
カメラの方は、所定の位置にお戻りいただきますようにお願いいたします。
それでは、本日の議題に入ります。
本日は、「栄養表示の対象食品について」、「各栄養成分の分析法及び『誤差の許容範囲』の考え方について」を議題として取り上げます。
それでは、議事次第をごらんください。第2の「栄養表示の対象食品について」議論に入りたいと思います。
消費者庁から資料の説明をお願いいたします。

≪2.栄養表示の対象食品について≫

○塩澤食品表示調査官 消費者庁食品表示企画課の塩澤でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、お手元の資料1から御説明させていただきます。「栄養表示の対象食品について」という資料になっておりまして、2ページ目に、1月22日に行われました第2回栄養表示に関する調査会における整理として、対象食品に関するまとめを記載させていただいております。
まず、基本方針ということで、第2回調査会で御了承いただいた内容でございますけれども、1点目、原則として予め包装された全ての加工食品と添加物について栄養成分の量及び熱量の表示を義務とするが、表示義務を免除する食品を規定する。
2点目といたしまして、栄養成分の量及び熱量の表示義務が免除された場合であっても、任意に栄養表示をしようとする場合、表示義務がかかる食品と同様の方法により表示しなければならないこととする。
3点目といたしまして、業者間取引の取扱いについては、「生鮮食品・業務用食品の表示に関する調査会」の議論を踏まえまして、整合性を取る必要があるということを基本方針として挙げさせていただいております。
そこで、本日は、次に挙げております食品における栄養成分の量及び熱量の表示の取扱いについて御議論いただきたく思います。
まず、1つ目でございますが、加工食品の原材料として使用される食品。
次に、製造者と販売者が同一で、同一の施設内、敷地内で製造販売する食品。以下「製造場所で直接販売される食品」とさせていただきます。
第3に、設備を設けてその場で飲食させる食品。
第4に、学校給食や病院給食等への販売に供する食品ということで、以上の点につきまして御議論いただきたく思います。
それでは、3ページ目に入ります。加工食品の原材料として使用される食品についてでございます。
まず背景でございますが、加工食品の原材料として使用される加工食品(以下「業務用加工食品」という。)につきましては、合理的な推定により栄養成分の量及び熱量の表示は可能と考えられます。ただし、業務用加工食品は一般消費者に直接使用されるものではないことから、表示義務の必要性は低い。こちらについては、第2回の栄養表示調査会でも示していただいているとおりです。
次に、業務用加工食品の栄養成分の量及び熱量の表示につきましても、2月19日に行われました第2回「生鮮食品・業務用食品の表示に関する調査会」におきまして、以下の考え方を示しております。
その考え方とは、すなわち、一般消費者向けの食品に栄養表示を行う場合、計算だけでなく、最終製品を分析することにより栄養成分の量及び熱量の数値を表示する場合もある。したがって、最終製品の表示のために、必ずしも業務用食品への栄養成分の量及び熱量の表示を義務として課す必要があるわけではないという考え方でございます。
この考え方を踏まえまして、新基準(案)として、第2回生鮮食品・業務用食品の表示に関する調査会で示した考え方に基づき、業務用加工食品については、栄養成分の量及び熱量の表示を義務としないということを御提案させていただきたく思います。
それでは、4ページ目に参ります。こちらは、製造場所で直接販売される食品についてという資料でございます。
背景でありますが、現行の栄養表示基準では、予め容器包装され製造場所で直接販売される食品に任意に栄養表示をしようとする場合、栄養表示基準の適用対象となります。
これについての考え方(案)でございますが、容器包装され製造場所で直接販売される場合、食品を摂取する際の安全性に関する表示事項は、義務表示とし、自主的かつ合理的な食品選択に関する表示事項は、任意表示とする。これについては、2月28日に行われました第3回「加工食品の表示に関する調査会」でもお示しさせていただいております。詳しくは、5ページ目以降の資料にもお示ししておりますので、適宜御参照いただければと思います。
考え方(案)の2つ目といたしまして、栄養表示は、自主的かつ合理的な食品選択に関する表示事項であると考えられることから、栄養成分の量及び熱量の表示を義務としないということをお示しさせていただきました。
これらを踏まえまして、新基準(案)でございますが、製造場所で直接販売される食品については、栄養成分の量及び熱量の表示を義務としないということで御提案させていただきたく思います。
続きまして6ページ目は、設備を設けてその場で飲食させる食品についてという資料でございます。
まず、背景ですが、現行の栄養表示基準では、レストラン等の設備を設けてその場で飲食させる場合の例外規定は設けてございません。
これについての考え方(案)でございますが、設備を設けてその場で飲食させる場合は、食品表示以外の手段による情報取得の可能性は高いため、消費者にとって食品表示の必要性は低く、事業者の実行可能性も低いことから、原則、食品表示基準の適用対象とはしない(ただし、生食用牛肉のリスク表示についてのみ適用対象。)。以上のことは、第3回「加工食品の表示に関する調査会」で当方より示させていただいております。
2番目でございますが、設備を設けてその場で飲食させる食品については、注文等に応じて、販売する食品の調理過程や盛り付け等が異なり、同一のメニューでも使用される原材料や内容量等にばらつきが生じる等の理由のため、それぞれの食品ごとに栄養表示を付すことは困難と考えております。
これらを踏まえまして、新基準(案)でございますが、設備を設けてその場で飲食させる食品については、栄養成分の量及び熱量の表示の適用対象とはしないということで御提案させていただきたいと思っております。
次に、8ページ目に移らせていただきます。こちらにお示ししておりますのは、学校給食や病院給食等への販売に供する食品についての考え方や新基準(案)でございます。
まず、背景でございますが、現行の栄養表示基準では、販売に供する食品のうち、専ら食品衛生法第4条第8項に規定する営業者が購入し、又は使用するものについては、栄養表示基準は適用されないこととされております。
他方、学校給食や病院給食等への販売に供する食品につきましては、学校及び病院等はこの営業者ではございませんので、栄養表示基準が適用されることとなっております。
学校給食や病院給食等への販売に供する加工食品であって、容器包装のまま提供される食品、例えば特注のパンとかカップゼリー等が該当すると思いますけれども、これらの食品につきましては、今回、整理が必要であるという状況でございます。
これらに対しての考え方(案)でございますけれども、学校給食や病院給食等への販売に供する食品は、管理栄養士や栄養士等の専門職種によって栄養管理がなされた献立に使用されるものであり、このような献立は通例、喫食者が自由に選択する性質のものではございませんので、仮にその栄養成分の量及び熱量の表示を義務付けたとしても、喫食者の献立選択に資するとはいえないのではないかと思っております。このため栄養成分の量及び熱量の表示を義務とする必要性は低いと考えております。
これらを踏まえまして、新基準(案)でございますが、学校給食や病院給食等への販売に供する食品につきましては、栄養成分の量及び熱量の表示を義務としないということを御提案させていただきたく思います。
最後に、参考資料でございますけれども、9ページ目、栄養表示の対象食品。これは、第2回、第3回調査会のまとめということで、簡単な早見表をつけさせていただいております。
新基準(案)でありますけれども、義務となる食品は、加工食品と添加物。生鮮食品は、除外である。加工食品と添加物のところに「*1」がついておりますけれども、下に注として載せております。以下に該当する食品は表示義務を免除するということで、栄養上、意味のない食品、加工食品の原材料として使用される食品、酒類、小包装食品、極短期間でレシピが変更される食品、製造場所で直接販売される食品、学校給食や病院給食等への販売に供する食品等を挙げさせていただいております。
任意のものについては、加工食品であっても、生鮮食品であっても、添加物であっても、新基準の規定に従って書いていただくものということで、表として整理させていただいております。
資料1の説明は、以上で終わらせていただきます。

○澁谷座長 ありがとうございました。
ただいま御説明いただきましたが、論点が幾つか分かれておりますので、議論を整理して順次御審議をお願いしたいと思います。まず、加工食品の原材料として使用される食品、次に製造所で直接販売される食品、そして設備を設けてその場で飲食させる食品、最後に学校給食や病院給食という順で御審議をいただきたいと思います。
まず初めに、加工食品の原材料として使用される食品について、委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。最初のところに戻っていただきまして、3ページをごらんください。ここから御意見をいただきたいと思います。
板倉委員、いかがでしょうか。

○板倉委員 加工食品について正確な表示をする場合に、生鮮食品から計算値で出していくという場合は問題ないと思うのですけれども、計算値で表示しなくてはいけなくて、しかも既に加工された食品を使って献立を立てる場合に、その情報がどういう形できちんと表示すべき方々に届けられるかによって問題になる場合があるのではないかと考えておりますけれども、実際に私自身はこういう立場にございませんので、それはやっていらっしゃることをよく御存じの迫先生のほうが御適任だと思いますので、それについて御意見をお聞きしたいと思っております。

○澁谷座長 池原委員、どうでしょうか。

○池原委員 今、言われたお話の回答をいたします。これまでも言いましたとおり、川下の事業者からそういった要請があった場合には、川上の事業者は要請のあった必要な情報についてはきちんと提供していくということを事実やっておりますし、意識としてもそういうものを強く持っておりますので、そこはきっちりとやり方も含めて任せていただくのがいいかなと思います。そういったことで、義務化しなければいけないという特別な事情というのは、今、存在していないと考えておりますので、この結論がよいのではないかと思います。
以上です。

○澁谷座長 表示としてではなくて、情報としてきちんと伝達しているということですね。

○池原委員 はい。情報伝達というのが主題ですので、それはいろいろなやり方があると思います。容器包装にきちんと表示するというのは、その中の一つにすぎないと思いますので、そこを義務化しなければいけないという特別な要因というか、背景は存在しないと思っています。

○澁谷座長 ありがとうございます。
河野委員、いかがでしょう。

○河野委員 私も、加工食品の原材料として使用される食品に関しましては、情報が正しく伝わるということが一番大事だと思っております。原材料がどんな形状で納入されるかわかりませんが、容器包装に必ず書かなければならない、そこで義務化するということではなく、情報を正しく伝えるということが担保されれば、それで結構だと考えております。

○澁谷座長 迫委員、いかがでしょうか。

○迫座長代理 同様の考え方でございます。業務用の食品を事業者さんが使われるとき、多分仕様書とか何らかの栄養成分等につきましても、原材料の配合等につきましても、規格をつくって、それをお示しして、それに対して対応していただくという形になっていくのではないかと思っております。そういたしますと、そこの中で双方向でのやりとりができるのではないか。そういう意味では、情報提供の仕組みというところと、その質というものが非常に重要になってくるのではないかと思っております。ですから、情報提供はもう既にやっていただいているという池原委員からのお話がございましたけれども、実際の運用に当たりましては、その辺についてQ&Aでお示しいただくとか、何らかの措置をとっていただくことが必要なことではないかと思っております。
以上です。

○澁谷座長 ありがとうございました。
皆さん、これについては。

○立石委員 オブザーバー、発言してよろしいですか。

○澁谷座長 どうぞ。

○立石委員 私は反対です。義務化すべきだと思います。私どもは、中小の小さい事業者です。私は、ある冷凍食品メーカーの役員をやっていますけれども、きちんと情報が伝わってくるとは考えていません。今は、情報伝達の義務は外食とかレストランに課されていませんから、きちんと出してこない事業者は多くいます。ですから、配合表をもらって初めてつくる場合と、栄養成分については、きちんと計測値もしくは分析値を事前に出してもらうか、どちらかですけれども、そのどちらも企業秘密とかと称して出してこないところがある。大手に対してはきちんと出されますけれども、私どもみたいな中小の小さいところに対して非常に冷たい。情報開示を拒む業者はたくさんおられます。
そうすると、何が言いたいかといいますと、最終的に消費者が知りたい情報について正確に情報伝達ができないということが実際に起こっているわけです。ですから、そういうことで簡単に業務用の義務化をなぜ外す。私はよくわからないのは、全て義務化を外すとなっているわけです。現実は、多くは義務化同然でやっているのだけれども、中にそういう方がいらっしゃる。それを盾にとってきちんと伝達してこない。情報を出してこない。そういう方が実際におられる以上は、消費者の方に正しい情報が伝達できない実態がある以上は、義務化すべきだというのが私の考えです。

○澁谷座長 ありがとうございました。
今、調査会のメンバーの皆さんからは、表示を義務としないということで、情報伝達の部分は必ず必要だろうと思います。表示と情報伝達というのは、ちょっと分けて考えたほうがいいかなと思いますので、ここの部分については、今、御発言がございましたけれども、情報伝達が確実に行われるということが必要だということがあった上で、この表示という問題については、調査会の委員の皆さんは、これは義務としないということでよろしいでしょうか。板倉委員、よろしいですか。

○板倉委員 容器包装に表示を義務化するということは、しなくていいと思います。ただし、この議論自体がどちらの話で進んでいるのかがよくわかりません。情報を必ず提供すべきということが義務か、どうすればできるのかわからないところがございまして、そこについては立石委員がおっしゃっているように、川上から流れてこないといけないということがあったり、あと力関係によりまして、流したくないということで流さない業者さんがあった場合には、当然川下の業者さんがお困りになることが起きると思います。ですから、それをどう担保していくかということをぜひ考えていただかないといけないのではないかと思います。

○澁谷座長 3ページの下に書かれておりますけれども、第2回生鮮食品・業務用食品の表示に関する調査会で示した考え方に基づき、業務用加工食品については、栄養成分の量及び熱量の表示を義務としないという方向で、皆さん御了解をいただけるということ。ただし、情報の伝達ということは別の問題で、これは何らかの担保されるべきことであろうと思いますので、このことについてはちょっとテークノートしていただければと思います。
はい。

○立石委員 原材料の情報伝達が義務化されていない以上、配合比を出せと言っても現実的に出せないわけです。そうすると、前提条件として情報伝達の義務化をするというのがあって初めて義務化を外すというのがあってもいいけれども、もしそのことが担保されない以上は義務化すべきだと思います。そうしないと情報が伝わってこないわけだから。そういう前提をまずきちんと整理した上で、義務化を外すということであれば了解しますけれども、そうでなかったら義務化を外すということは避けるべきだと思います。そうしないと、適切な情報を消費者の方に提供できないおそれがあるということです。

○澁谷座長 ありがとうございました。
次に進みたいと思います。4ページをごらんください。製造場所で直接販売される食品について、皆さんの御意見を頂戴したいと思います。河野委員、いかがでしょうか。

○河野委員 これは本当に消費者目線なのですけれども、幾つか申し上げたいことがございます。
1点目は、最近の傾向としまして、インストアで販売される惣菜とかお弁当が消費者の側に非常に使われている。特に、1食丸ごとそれで済ませてしまうという現状がございます。それと、これは自主的かつ合理的な食品選択に関する表示事項とまとめられておりますが、ロングスパン、非常に長いスパンで考えたときに、栄養表示が私たちの健康に非常に資するとすると、生活習慣病を予防するところにも非常に貢献してくれると思うのですが、長い目で見たときに生命の安全性を担保するという視点から、今の食の現状を考えても、この栄養表示の情報というのは非常に大事だと考えております。
もう一点、食の売られている現状から考えますと、外部で包装されて持ち込まれて販売しているものと、インストアで容器包装に入れて販売しているものが同じ売り場で混在しているような状況で、私たちが売り場に行っても、どちらがどちらなのかわからない。手にとったときに、片方のサンドイッチには全て栄養表示がしっかりとなされていて、こちら側で手にとったホットドッグには何一つ書かれていないことに対して、消費者が戸惑うことが現場で考えられます。当然のことながら、お弁当に関してもそういうふうに思います。
それから、価格の次にカロリー表示というのは、お弁当等を手にとるときに非常に私たちが知りたい情報であるということもございます。そこで、できればそういう現状を考えていただいて、かつこの後に協議になると思いますが、栄養成分表示に関しましては、プラスマイナスといいましょうか、多少の許容範囲が認められている。プラスマイナス20%程度。それは、あくまでも状況にもよるので、これは推定値でありますという消費者にも誤認を与えないような表示も可能だと私は理解しておりますので、さまざまなことを考えますと、できましたらこの機会にいわゆるインストアで提供される容器包装されたものに関しましては、義務化という方向が可能かどうか、ぜひ御検討いただきたいと私自身は思っております。
この後、この法律が施行されるまで、栄養表示が完全に施行されるまでには猶予期間もあると思いますので、その間にデータベースを整えるとか環境整備のほうにもぜひ力を入れていただいて、生活習慣病予防といいましょうか、本当に国民の健康に資するという意味で、このあたりの再考をお願いしたいと思っております。

○澁谷座長 ありがとうございました。ということだと、義務としないというよりは、少し義務化に向けて環境整備や条件を整えていくのがよいのではないかということですね。

○河野委員 はい。売り場が非常に混乱するというか、外部から入っているものと、そうではないものが消費者からはなかなか区別がつきにくいというところがあると思います。

○澁谷座長 ありがとうございました。
板倉委員、いかがでしょう。

○板倉委員 私も河野委員の意見に賛成です。消費者は、インストアとか、既に包装したものと比較しながら選ぶということがあるわけですから、そのときに情報がないと選びにくいということがあります。
それから、消費者の声として、食塩分とか脂については非常に気にされる方が多いわけですから、それは表示がないとなかなか判断がつかないという意味でも、最終的に生活習慣病という意味では、ある意味非常に安全性に影響してくるということも含めて、河野委員の意見に賛成したいと思っております。

○澁谷座長 ありがとうございます。
池原委員、どうでしょう。

○池原委員 おっしゃることはよくわかります。ただ、これもおっしゃったとおりだと思うのですけれども、現場での実行可能性というものが、どの程度あるのかというのは、時間をかけてきっちり検証した上で決めていかなければならないと思います。今のお話、とりあえず栄養表示ということですが、栄養表示でできるということであれば、次に、次にということも当然考えていかないといけないと思いますので、しっかりと検証するというのが何よりも大切かなと思います。

○澁谷座長 そうしますと、池原委員としては義務化したほうがいいだろうということでしょうか。

○池原委員 義務化してしまうと、できていないものについては廃棄とか、要は売ることができなくなってしまうというところもありますので、慎重に考えていくべきだと思います。今のお話も、義務化というのが目的ではなく、そこに表示があることが目的なのですよね。だから、義務化しなくても、本当に何となくできていって、世の中として大分それが実行されているという状況になるのであれば、あえて義務化までしてしまうかというと、そこはまた慎重に考える必要があるのではないかと思います。

○澁谷座長 御意見としては、義務としないと言い切ってしまうということではなくて、まだ少し考える余地があるのではないかということですかね。
どうぞ。

○立石委員 この前の業務用の調査会のときの話とは違い、今回は、栄養成分に関してだけは義務化しようということで、選択に関する情報でいえば、原材料表示については、インストアで販売される惣菜、弁当では義務化の方向になっていないですね。だから、河野委員が言われたのは栄養成分表示については義務化しなさいということであれば、原材料表示についても義務化すべきということと同じことだと思うのですけれども、その点はよろしいのですか。栄養成分表示は必要な情報です、原材料表示は必要じゃないですよということなら、お店の方に聞いたら答えられるということで、今、原材料表示は免除されているわけです。だけれども、現実問題は、前から言っていますけれども、インストア加工を私どもはさんざんやっていますけれども、情報が川上から伝わってこないものがかなりある。
その中で、配合表もわからないで、栄養成分についての情報伝達も来ない中で、インストアの人間にやれと言われてもできっこないです。だから、言っているように、情報伝達をきちんと前提としてやった上で初めてできることだし、栄養成分表示だけ義務化するのでなしに、そうであれば、原材料表示だって義務化すべきなのです。そこのところがどうもバランスが悪いから、よくわからなくなっています。

○澁谷座長 ありがとうございます。
迫委員、どうぞ。

○迫座長代理 まず、栄養成分表示の意味について少しお話をさせていただこうと思っております。日本の人口が1億2,000万人、そのうち高血圧症の患者さんの推定値ですけれども、4,000万人を超えていると言われております。糖尿病の患者さんが2,000万人を超えている。こういう状況で、1億2,000万というのはゼロ歳児から含めての話でございますので、生活習慣病の発症年齢40歳で考えると、40歳以上の方が大体7,000万人いらっしゃる。そのうちの4,000万人が高血圧症である。それから、2,000万人が糖尿病である。つまり、60%近く、または30%近くの方々が何らかの生活習慣病を有している、またそれに向かっている途中である。高齢化の中ではどんどんふえていくだろうということが想定されています。
高血圧についても糖尿病についても、どちらもエネルギーの総量、たんぱく質の量、脂質の量、食塩の量という栄養成分をどの程度摂取しているかということが非常に大きな問題になってまいります。それから、高齢者の中では低栄養の問題がかなりございます。これは、在宅療養されている方々の過半数が低栄養だというお話も出ているくらいでございまして、そこの中ではエネルギーの総量とたんぱく質の総量がどれだけとれているか、ここが非常に重要になってくるわけであります。
そういう観点から、この栄養成分表示の意味合いというものをもう一度考えたときに、これは健康リスクに対して対応するべきもの。つまり、安全性の表示と言われる消費期限の問題とかアレルギー表示の問題は、短期的にすぐに命にかかわる問題でございます。しかし、日々食べ続けてきた食品の栄養量がどういうふうに影響してくるかといえば、これは中長期的なリスク。これは一元化検討会のときにもそういうお話をさせていただきましたけれども、単なる食品の選択に資するための情報提供ということではなくて、中長期リスクを回避するための情報である。そういうふうに明確に位置づけるべきだと思っております。
そういう観点から考えていったときに、今回の販売実態、いわゆる容器包装されて製造場所で直接販売される場合というものと、業務用食品というものの区別ということをもう一度考えていきたいと思っております。業務用食品というのは、消費者に直接手渡されるものではないだろうということであります。ですから、最終的に表示を、責任を持って行う人がきちんと情報を集めて、そして表示していただければ、それが信頼されているかどうかというところの担保を行政としてきちんとしていただく、これが非常に重要だと思います。
しかし、容器包装され、製造場所で直接販売される場合というのは、消費者に対して直接販売されるのです。そういう意味では、業務用食品とは全くジャンルの違うものじゃないかと思っております。具体にスーパーで製造されている弁当ということが出てきておりますけれども、それでは、いわゆるほかほか弁当のお店を持っていらして、そこでお弁当に詰めて提供する。これはどうなのだろうか。こういうものも全部外れるのだろうか。お刺身みたいに、その場でぱっと材料が変わってしまうようなものを全部やれという話ではなくて、献立が既に決まっているということは、確実に栄養価の計算は終了しております。そういうものについて、外してしまって本当にいいのだろうか。
もう一つ、製造小売の関係では、例えば容器包装に入ったお豆腐は、製造所で製造して店頭でそのまま消費者に渡す食品になります。これは全部外れてしまっていいのでしょうか、これはこのジャンルに入るのでしょうかというところが不明な部分でもあります。
そういうことも考えていきますと、容器包装されて消費者に直接店頭で陳列して売られる弁当であったり、食品というものは、消費者に対して安全性の確保にかかわる情報がきちんと提供されるべきだと思っております。ただ、賞味期限、消費期限の情報とは若干質の違いがありますので、栄養表示は計算値も含めて、さまざまな方法論はとられていいのではないかと思いますし、また少なくともレシピのあるもの、配合割合のあるものについて、計算もできないような商品が出回ること自体が既に危ない状況でございますし、そういうことは事業者さんとしてはあり得ないだろうと思っております。
以上です。

○澁谷座長 ありがとうございました。
板倉委員、何か追加の御発言はありますか。

○板倉委員 今のところありません。

○澁谷座長 はい。

○立石委員 今、迫委員は、栄養表示は安全性に関する情報と言われたのですね。トランス脂肪酸は、まさにその最たるものだと思います。まさに健康リスクが言われている中であれば、当然のごとく意見はあると思うのだけれども、前回逆のことを言われたのです。だから、よくわからないのは、その辺を終始一貫して安全性だと言われるのであれば、トランス脂肪酸も当然のごとく義務表示すべきだと論を切るべきだと思うのだけれども、何かちぐはぐなところを私は感じるのです。

○迫座長代理 トランス脂肪酸の場合には、私は否定するものではございません。情報としては、あればあったでこしたことはないと思っております。ただし、その場合に飽和脂肪酸、脂肪の総量、こういうものがその前の段階として表示としては確実に必要なものだ。トランス脂肪酸だけを唯一取り上げて議論するべきものではなくて、脂肪全体の構成の中で考えていくべきものですし、代替として使われていくというか、トランス脂肪酸を減少させようとしたときには飽和脂肪酸が増加する。それは、いわゆる心疾患等、循環器疾患等のリスクになっていくということも考えあわせれば、どちらかということではないだろう。
さらに、正確な情報が計算値等で得られないデータを全ての食品に対して義務化するとなると、これは膨大な分析費用等々がかかってくる。それを事業者も消費者も必要だということで義務として容認するかどうかというところでは、現在、そこまでいっていないだろう。今後の方向性として検討することはあるかもしれないけれども、現在の段階ではそこまでの負担をかけるというところまでの合意には至っていないのではないかということでお話をさせていただいているつもりでございます。

○澁谷座長 そこまでにしたいと思います。
どうぞ。

○平山企画官 いろいろと御意見いただきましてありがとうございました。
資料の5ページをごらんいただきたいと思います。これは、第3回加工食品調査会でお示しした資料でございます。池原委員から御発言がございましたけれども、上の表の右側、(2)事業者の実行可能性ということを入れております。加工食品調査会の場で私のほうから御説明申し上げましたけれども、そこは2つあるだろうと考えます。
左側のほうは、計画的につくられ、事業者にパッケージされるものですので、ほかのところであらかじめ、例えば、きょうはサンドイッチをつくろうということでつくってパッケージされたものがスーパーに届けられる。こういうものは、あらかじめ計画的に販売するということがありますので、表示はしやすい。ただ、右側にありますように、例えば、店頭のお弁当というのは、その日に入ってきた食材を使ったり、天候とかでメニューを考えるということがございますので、きょう、たまたま宮地委員、お休みですけれども、実際にそういう事業をされている方の御意見などを伺った上で、本当にそこができるかどうかも踏まえながら、慎重な御検討が要るのかなと思っている次第でございます。
つけ加えさせていただきました。

○澁谷座長 ありがとうございました。今、5ページの御説明を少しいただきました。新基準(案)では「義務としない」と言い切っているわけですが、今、調査会の皆さんの御意見は、「義務としない」と言い切るには、少し問題があるのではないか。ただ、義務とするということは「ねばならない」わけですから、全くそれ以外のものはだめとなるわけですね。そうしますと、例えば皆さんのニュアンスから言うと、義務とするというふうにすぐにはならないかもしれないけれども、推奨の段階とか、義務を目指していくとか、何かそういうニュアンスを感じるのですけれども、いかがでしょうか。どうぞ。

○迫座長代理 先ほど御説明いただいたように、実行可能性という意味では、非常に幅の広いものがここには入ってくるだろうと思っております。先ほどのお弁当を例にとりますと、お弁当というのは、御飯があって、おかずがあって、ある程度パターンが決まっています。その中で、これはすごく変な例かもしれませんが、アジフライが足りなくなってしまったからタイの煮つけが入ってきたということは、あるかもしれないけれども、例としては非常に少ないものだと思います。
同じような例ですけれども、バックヤードでつくっていただいている刺身が、ブリの刺身を入れていたのだけれども、足りなくなったからタイになった。そうすると、分量にもよりますけれども、150?ぐらいのエネルギー量の減になってくるわけです。それを、刺身をつくっているそこでやるのはちょっと無理だろう。これはよくわかります。だけれども、弁当という決まったパターンの中でつくられているものまで、バックヤードでつくられるからということで全部対象外にすることになってくると、この実行可能性の中での高い食品というものが相当数あるのではないかと思われますので、この辺まで削ってはいけないのではないか。
そういう意味では、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、ほか弁の弁当は確実にメニューが決まっていて、分量も決まっていて、それに合わせた形で、主食の分量が大盛りとか小盛りとかあるかもしれませんけれども、それに合わせて提供されている。ですから、これの表示の計算ができないということはあり得ないし、考えられない。メニューがあれば5分もあれば確実に計算できます。ですから、それをその場でやれとは言いませんけれども、その情報は必ずあるはずなので、できるはずなので、そこまでこのジャンルの中で外してしまうのは行き過ぎじゃないか。
ましてや、自分のところでつくられているお豆腐をパッケージに入れて販売していても、自分の製造所でつくって、お店で消費者に直接販売しているから対象外だとなると、これはちょっと筋が違うのではないか、ほかの商品との整合性がとれなくなるのではないかという意味で、限りなく義務化に近い形の中で、本当にお刺身のような生鮮物であってバックヤードでつくるようなもの、パッケージするようなものだけは外すぐらいの形が望ましいのではないかと思っております。

○澁谷座長 ありがとうございました。
どうぞ。

○池原委員 もう一つ大事な視点は、義務化していない理由の大きなところで、資料の5ページにも書いてありますけれども、製造等した者に食品の情報を確認することができる、カロリー計算する人がそこにいるので、その人に聞けば答えてくれるし、ポップの掲示によってもお伝えすることができる。情報伝達というのが目的で、そのための手段というのは容器包装に表示する以外にもあるよねということで、トータルとして、ここはそういった視点も含めて、義務化までは必要ないのではないか、という判断がここではされていると思います。ので、そういったところも含めて、きっちりと実行可能性も含めて考えていかなければならないと思います。

○澁谷座長 どうぞ。

○迫座長代理 まさにおっしゃるとおりだと思っております。実行可能性を考えていったときに、既に栄養成分表示については、現行表示についても計算値で全て表示ができると実行可能性を非常に高めてきている。それは、あらゆる消費者の手にわたる商品に対して、基本的な情報はきちんと伝えていくという意味合いから、既に手をつけてきているわけであります。ですから、そういう状況の中で、先ほど申し上げましたように栄養価の計算ができない。これは、専門職がいれば全てものはできますし、パソコンのソフト等でもできますし、いろいろな形で対応できるような時代になってきています。
それから、そこに栄養士がいるかどうか。全ての売り場に専門職がいて、栄養量を計算したものが示せるかと言われると、それは不可能でしょう。栄養成分表示というのは、計算されたもののデータがあって初めて見えるものですので、人から人へ伝えることができる。これは何を使っていますかという質問に対して答えられるもののレベルとは、レベルが違うだろうと思っております。

○澁谷座長 はい。

○立石委員 中間加工品という存在を忘れられているのです。中間加工品みたいなものが実際にはインストアに来て、それで我々は弁当をつくっているのですけれども、そういう中間加工品について配合比率がきちんと明らかにされていない限りは、計算値がとれないのです。重量割合がわかればわかるけれども、そういったことの情報開示の義務がないわけですから、来ないわけです。そこをまず考えない限りは、では、分析しろと言われるのですか。義務化ということは、結局は正しい表示をするということは、情報開示されていない限り、最終ラベル発行者が責任を負わなきゃいかないわけですから、分析をかけなきゃいけない。一点一点、2万とか3万かけて分析して、それで弁当を売るということになるのです。
ですから、私、何度も言っていますように、前提条件をきちんと整理する。要するに、情報がきちんと伝達されることがない限り、インストアで確実にやれと言われたら非常にコストがかかってやることになります。今、言ったように中間加工品は出してこないわけですから、調味料もその例だし、いろいろな情報がきちんと伝達されてこない今の実態を踏まえた中で、そんなことをやれというのは、実行可能性の面ではかなり酷です。

○澁谷座長 ありがとうございます。
それでは、4ページの下の案では「義務としない」と一言書いてありますけれども、皆さんの御意見では、これはもう少し考える余地があるのではないか。直ちに義務としないという判断をするよりは、将来にわたってどうかという視点で、推奨とか、義務化に向けたもう少し詳細な検討が必要ではないか。実行可能性とか環境の整備の状況など、あるいは5ページにありましたような表の中でも必要性の高いものもあるだろうということで、ここのところにつきましては直ちに義務としないということではなくて、少し考える余地が必要だという方向で、言い切りではない、そういうニュアンスがあるということでまとめさせていただきたいと思います。お願いいたします。
次に、設備を設けてその場で飲食させる食品について御検討いただきます。6ページをごらんください。各委員からの御意見をいただきたいと思います。板倉委員、いかがでしょうか。

○板倉委員 私は、ちょっと判断しかねております。

○澁谷座長 では、皆さんの御意見を聞いてから。
池原委員、いかがでしょうか。

○池原委員 大きな方向としては、新基準(案)のとおりで、適用対象とはしないというのが適切ではないかと思います。先ほどとよく似た話だと思うのですけれども、基本的にこれは調理現場もある中で容器包装されたものということですけれども、具体的にその内容についてよく知っている方がそこにおられるので、情報伝達はそういった方から直接聞くということで十分に対応できるだろうというのが大きな考え方だと思います。要は、そこが本当にそういうことなのかということに、この判断は尽きるのかもしれませんが、私は基本的にそういう人がそこにいるのであれば、情報伝達は十分可能ではないかと考えます。

○澁谷座長 ありがとうございます。
河野委員、いかがでしょうか。

○河野委員 先ほどインストア食品に関しましては、できれば再考をお願いしたいとしたのですけれども、条件整備が整えばと思いますけれども、これは非常に実行性を考えるとさまざまな状況が考えられますので、義務といいましょうか、そういった方向が適切かどうかは私も判断しかねます。ですから、今回事務局から提示されました適用対象とはしないということで、心ある方は、当然のことながらいろいろなところで消費者に対して情報提供しようという、事業者さんの消費者に対するコミュニケーションのとり方というのはあると思いますので、ここは義務というところからは外れてもいいかなと考えております。

○澁谷座長 ありがとうございました。
迫委員、いかがでしょうか。

○迫座長代理 ここの部分を2つに分けて考えたらどうかと思っております。7ページの例示の中で、レストランで提供される食事、会社の食堂で提供される食事という2つのものが書いてあります。会社の社員食堂等で提供される食事というのは、ほぼ毎日食べているもので、日常の生活習慣病等々に関する影響は非常に大きなものがあります。しかし、これにつきましては、既に健康増進法の給食施設に対する栄養指導の中で喫食者に対する情報提供もきちんと言われておりますし、そういう管理も報告等を都道府県に出すことになっておりますので、この社員食堂の例示をここに出すのはちょっと違うのかなと思っております。
そういう意味で、これを外していただいた上で、レストランで提供される食事について考えてみると、これは毎日そのレストランで食事するというより、ある意味では楽しみの要素、生活の中でのQOLを高める要素ではないだろうか。家庭の中に毎日持ち込まれる、常に食べている食品とは、またちょっと違いがあるのではないか。そういう意味で、外食についての栄養成分表示は、あるにこしたことはないけれども、そこは楽しみの要素ということを考えれば、義務化というところまでしなくてはいいのではないか。
最近では、外食についても栄養成分表示がかなり進んでおりますので、表示をするときには適正にしていただくという、任意の中でやっていただければいいかなと思っておりますし、表示する場合は表示の手法はきちんと従っていただく必要はあるだろうと思いますけれども、義務化ということでは必要はないだろうと思っています。ですから、栄養表示の適用対象とはしないという書きぶりがどうかなということは、ちょっと気になっているところでございます。栄養成分について表示する場合は、基準にのっとっていただくことが当然必要でしょう。だけれども、義務的なものである必要はないだろうと思います。
以上です。

○澁谷座長 そうしますと、例えば、この「適用対象とはしない」という表現がどんな表現だったら適当になるのでしょうか。

○迫座長代理 逆に、この「適用対象とはしない」というのをどういうふうな意味で書かれているのかということを確認させていただければと思います。

○澁谷座長 では、事務局のほうで「適用対象とはしない」という意味合いを少し御説明いただけますか。

○平山企画官 3ページ、4ページで「義務とはしない」ということは、義務とはしないのですけれども、適用の対象には入るという意味で、任意の表示があった場合にはルールに従っていただく。6ページは、まさに適用から外れるということでございますので、仮に、任意で表示があって、表示基準に従っていなくてもペナルティーは課さないということでございますので、全く適用から外れるという趣旨でございます。

○澁谷座長 どうぞ。

○立石委員 飲食は、楽しみで行く人だけじゃなくて、どうしても食べなきゃいかない人もいるのです。その人は安全上の情報は要らないのですかということを、まず私は問いたい。外食に関して言えば、私ども、実は27店舗やっていますけれども、聞かれたら答えられるようにしろというのが基本姿勢です。必要とされる情報を消費者の方が求めてきたときに、情報開示することが事業者の責務なのです。そのことが今、外食はできない。なぜかというと、原材料についての情報伝達の義務化が外れているからです。だから、計算しようと思って計算できないような仕組みの中で、やれということ自体がおかしいし、もし迫委員が言われているようなことがあれば、全部義務化すべきなのです。
だって、飲食ですよ。皆さん、絶対食べなきゃいけないわけですよ。楽しみだけで行っているわけじゃないのです。我々、食べていくためには、そういったところに必ず行かないといけない場面が出てくる。そういうときに、情報はそこにはないのかということになって、非常にバランスが悪いわけです。だから、本来は、外食レストランで栄養表示を行うためには実行可能性という面では非常に厳しいです。間違いなく厳しい。だけれども、少なくともきちんと配合表なりがあれば、お客さんに聞かれたときに答えが出せる。時間がかかるけれども、ちょっと待ってくださいというぐらいの基本姿勢が、私は事業者だったら求められますし、そういうことが担保されるような条件整備が必要なのですよ。
そのためには、原材料に関する情報についてJAS法は外食を伝達の義務を外すというところがどうしても我慢ならないというのは、何度も言っているけれども、そういうことなのです。そこは、きょうは竹田課長いらっしゃいませんけれども、なかなか御理解いただけない。私どもは、末端でやっているからこそわかる話であって、事業者の立場として申し上げているのです。

○澁谷座長 ありがとうございました。
はい。

○迫座長代理 そういう意味で、先ほど消費者庁のほうから説明いただいた「適用対象とはしない」という最後の部分の言葉にこだわりがあるのですけれども、外食そのものが食品表示法の対象外なのかどうかというところの確認と、食品表示法の対象外ということであるならば、それはそれで別で考えるべきものと。現状として、外食の栄養成分表示はいろいろな形で進められておりますので、その中で進めていけばいい話だと思っております。もし外食もこの食品表示法の適用範囲であるということになってくるのであれば、任意の場合にも、例えば表示の方法とか桁数の問題とか、これから出てきますけれども、そういうルールには従っていただかないと、消費者の方は非常に使いづらいものになってしまうだろうということもありますので、ここは「適用対象とはしない」という言葉に最後までこだわりを持たせていただきたいと思っております。
もし食品表示法の範疇に入るのであれば、「義務化はしない」という表現でもいいのではないか。任意表示に対しての何らかの縛りをかけるという意味では、そういう書きぶりもあるのではないかと思います。

○澁谷座長 事務局のほうはどうですか。

○平山企画官 今の御質問につきまして、まず7ページ、一番下をごらんいただきますと、いわゆる生食用の牛肉の表示は、表示基準に入っておりますので、基本的に外食も含めて食品表示法の対象になるということでございます。それで、ここの外食の基準でございますけれども、義務化までは必要ない。ただ、食品表示基準の適用下で任意表示していただくということになると、例えば、あるレストランで親切に表示をつけ、カロリー、たんぱく質等を書いたとしても、それがたまたま間違った場合にはアウト、基準違反になる。そうすると、レストランみたいな事業者の方はどっちにいくかというと、任意でいいなら表示しないということで、ひょっとしたら、今、せっかく表示している方も、仮に、表示違反になった場合にアウトになるぐらいなら表示しないということも起こり得るのではないか、そこは慎重な検討が要るのではないかと思っております。任意の状態になると、つける、つけないの自由がありますので、つけて表示違反になってアウトになるぐらいならつけないとなると、今、外食で取り組まれている表示がなくなるような気がしまして、その辺は慎重に御検討いただきたいと思っております。

○澁谷座長 そうすると、「食品表示法の対象にはしないという考え方」と考えていいのでしょうか。例えば今、ホテルのレストランのいわゆる偽装表示のようなものに対して、少し規制する動きがあるようなのですけれども、今の御説明だと、食品表示法として義務としないという表現よりは、初めから対象ではないから適用対象としないという表現にするというのがいいだろうというのが事務局のお考えでしょうか。

○平山企画官 結果としては、そちらのほうがいい方向に行くのではないかと思っております。

○澁谷座長 河野委員。

○河野委員 今の事務局のお答えですけれども、私も義務化しないということに対して、つまり任意表示でいいと思います。ただ、もし表示する場合、栄養表示のルールが、片や食品表示法で規定されたルールがあり、片や外食になった瞬間に食品表示法に準拠しない表示の仕方が普通に行われることに関して言うと、せっかく今回、食品表示法をこういう形で整理することになっておりますから、外食の方も前向きに栄養表示をしようとする場合は、今回の食品表示法の栄養表示のルールをしっかりと学んでいただいて、それに準拠した形で表示していただく。そのことが最終的に私たち消費者にとってルールは1つなのだと。
ふだんの生活の中で栄養表示に関して十分な知識がない中でも、同じルールにのっとって表示されているということが世の中でしっかり認知されていくという方向にもなると思いますので、義務化はしない。しかも書く場合は、書かなくなるかもしれないので、今の食品表示法に沿わなくてもいいという方向性は、私としてはちょっと理解できないなと思います。

○澁谷座長 板倉委員、どうですか。

○板倉委員 河野委員の意見に賛成なのですけれども、例えば量が変われば栄養価は当然変わってきますから、それについては文章を補足する形で、ルールとしては適用していただくことがあっていいのではないかと思います。
それと、レストランでつくることは非常に難しいというイメージがありますけれども、最近はチェーン店で1食当たり決まっているようなものについては表示が十分可能ですので、そういうものについてはぜひ進めていただきたいと思っていますし、人によっては1日のうち2食を外食に頼る方もいらっしゃるような状況ですので、なるべくなら栄養成分表示が広がるようなことを期待したいと思っております。

○澁谷座長 ありがとうございます。
栗山さん、どうぞ。

○栗山委員 私も河野委員の意見に賛成です。一言。

○澁谷座長 ありがとうございます。
どうぞ。

○立石委員 私どもで原材料を供給している外食メーカーさんはかなりいらっしゃいますけれども、その中では、きちんと計算値を求められてくるところと、分析値を求められてくるところがあって、成分表を必ずお出ししています。その上で表示されているお取引先もあるし、表示しなくてもいつでも答えられるようにしているところもございます。ですから、かなりのところは条件が整っているのです。そういうことだけまず申し上げたい。

○澁谷座長 ありがとうございます。
迫委員、いいですか。

○迫座長代理 結構です。

○澁谷座長 そうしますと、ここは皆さんの御意見では、「適用対象とはしない」というよりは、食品表示法の中で少し考える。表現とすると、例えば「義務としない」という表現になるのかなという気がいたしますけれども、適用対象とはしないと突っぱねないで、もう少し考える余地があってもいいのではないかということだと思いますけれども、事務局のほう、何か補足がありますでしょうか。

○平山企画官 ちょっと繰り返しになりますけれども、今の整理でいくと、適用対象となります。任意になると、仮に、表示違反があった場合にはペナルティーが課されるということになりますので、事業者の方から見ると表示がなかなかしにくくなるのではないかと思います。確かに、表示基準に従って表示していただきたいという考えもあるとは思いますが、任意となりますと、最終的にはペナルティーが課されることになりますので、事業者の方から見るとちょっとつらい状況になるかもしれないと思っております。

○澁谷座長 ありがとうございます。
どうぞ。

○池原委員 ちょっと整理の意味で確認なのですけれども、2ページの基本方針で、生鮮食品というのは、今回の言い方で言うと、適用の対象外になる、という言い方になるのでしたでしょうか。ここも、原則として対象になっているのは、「予め包装された」というのが頭についているのですけれども、予め包装されていないものについては、表現としては適用対象外ということなのでしょうか。そうだとすると、今回、外食というか、設備を設けているところも適用対象外とする表現をすることについては、全体の適用という意味では整合がとれているのではないかと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○澁谷座長 それは、河野委員、いかがですか。

○河野委員 任意で表示するというか、栄養表示を外食の方が何らかの意味で、いろいろ理由があると思いますが、する場合に食品表示の今のルールに従わないというところが、私が非常に気になったところです。そこのところだけ気になっています。

○澁谷座長 ありがとうございます。
迫委員、その点についてどうぞ。

○迫座長代理 今の河野委員の御意見と同様なのですけれども、そういう意味で、先ほど食品表示法の対象になっているのか、なっていないのかということも1つお伺いいたしました。ただ、そういう中で栄養成分表示を既にされている、またはこれからされる予定があるというところが、別のルールでされることは決して望ましいことではないので、完全に適用除外としてしまうかどうかというところは、表現としてはちょっと問題があるだろうと。池原委員がおっしゃったように、予め容器包装にという部分には、かなり関連づいていると思っています。
ですから、真の栄養成分表示については、そこで予め容器包装された加工食品という範疇で判断することになると思いますけれども、外食については、任意で表示する場合にはガイドライン等でそれに準拠していただくということは当然必要になってくるだろうと思いますので、その辺は書きぶり等を工夫していただくことが必要かなと思います。

○澁谷座長 ありがとうございます。
はい。

○立石委員 先ほどから別のルールという話が出てくるけれども、別のルールは我々事業者から言って、ちょっとイメージがわかないです。別のルールで記載するという、カロリーとたんぱく質、たった5項目しか現状ないわけです。それを広げるという方向で動いていない中で、別のルールで記載するというイメージがさっぱりわかないけれども、どんなことを言われているのですか。

○迫座長代理 私ですか。向こうですよね。

○立石委員 いや、河野さんが別のルールと言われているけれども、別のルールというのはよくわからない。

○小田事務局長 それは、さっき消費者庁がそう言ったから。

○立石委員 そうですか。

○迫座長代理 私どもが共通認識しているのは、別のルールは困る。1つのルールにのっとって表示すべきである。ただし、容器包装に入った加工食品であるか否かというところが現行の栄養成分表示の基準の中に入っているわけなので、その言葉がある限り、いわゆる外食については該当しないので、それであっても栄養成分表示のルールにのっとって準拠する形で表示していただくべきということで、1つのルールにしてくださいというお願いをしているわけであります。

○澁谷座長 それでは、少しまとめたいと思いますけれども、ここのところについては、「適用対象とはしない」という表現が少し引っかかるという御意見がございましたけれども、要は、表示を義務化しない、適用にしないという方向は、皆さんいいということでしょうか。ただし、任意にされる場合に、そういったものがコントロールできる方法が何かないと問題だろうということは、皆さん共通の認識だったと思いますので、そこの部分は少しテークノートしておいていただければと思います。
それでは、学校給食や病院給食の食品についてお願いしたいと思います。8ページをごらんください。義務化をしないという案が示されておりますが、これについては板倉委員、いかがでしょうか。

○板倉委員 実情がよくわからないので判断しかねるのですけれども、例えば学校給食の場合は、義務化になっている対象成分だけではなくて、それ以外のことについてもきちんと情報を把握して、子どもたちの将来も含めて、食事も含めて考えながら献立を立ててつくられているのが現状だと思いますので、決められた成分だけの義務化では、逆に言えば使えないのではないかというのが1点あります。
また、病院給食も最近は非常に重要視されるようになってきていますけれども、これにしても実際に献立を立てられる栄養士さんにどういう情報が与えられるかということのほうが重要ですので、それが実際にそのお立場に立っていらっしゃる方が困らないということであれば、このままでもいいですし、そうでなくて、義務化しておかないと困るということであれば、義務化ということが考えられるかと思います。

○澁谷座長 河野委員、いかがでしょう。

○河野委員 私も板倉委員と同様に、現状がどういうふうになっているのか、詳細がわからないので、文章から読み取れるところを申し上げますと、考え方のところに、学校給食、病院給食では、総カロリーも含めて栄養表示というのは非常に重要な情報だと思うのです。そのことが当然、専門家の方がここにいらっしゃいますので、専門家の方が対象者に対して食事を提供する際に困らないという現状が担保されるのであれば、義務化は必要ないのかなと思います。考え方(案)のパラグラフの最後に、「このため栄養成分の量及び熱量の表示を義務とする必要性は低い」と。
これは、実際食べる人に出されるときには、きちんと専門家が計算しているという大前提でこう書かれていると思うのですが、対象者の喫食者にとってみると、栄養成分の量及び熱量の表示というのは非常に重要な情報なので、それが正しくコントロールされるという背景があれば、この形で大丈夫だと思います。専門家の方の御意見を聞きたいと思います。

○澁谷座長 はい。

○迫座長代理 学校給食とか病院給食についての実際の運営のされ方とか情報提供のされ方を少し説明させていただいて、お話を進められればと思っています。
学校給食については、かなり厳密に食材等々の管理がされております。そして、献立を作成して、それに対して規格に合った食材が納入されるという形になっておりますので、その栄養成分表については、その情報は確実に相互のやりとりの中で入ってくるという形になろうかと思います。病院給食の場合には、疾病別に既に栄養管理がされておりますし、現在はほとんどの病院において個人別の栄養管理がされております。ですから、その人にとって必要な栄養成分というものが全て計算されておりますし、それについての情報は確実に加工食品を使う場合であっても、そのもとのところにきちんと確認された上で進められているという形でございます。
そういう意味で、ここの部分については、消費者に対してというか、喫食者、つまり学童であったり、入院患者さんであったり、そういう方々の食事に対する情報は確実に提供されるし、その質も担保されているという形でございますので、ここをその前の段階で義務化することは必要ないと思っております。

○澁谷座長 ありがとうございます。
はい。

○立石委員 私どもで実際に学校給食の運営をして、栄養士さんを抱えて実際に供給しています。その現場でも確認したのですけれども、これは当然義務化すべきです。なぜ義務化を外すのかよくわからない。というのは、中間加工品とか複合原材料が入ってくるときに、もしわからなければ、当然測定しなければいけないし、もちろん配合表をきちんと出させるということはやりますけれども、外すという理由がわからない。あればあっただけ、それは当然メリットがあるのです。楽なのです。わざわざ分析をかけなくていいとか、きちんと中身を担保できるということも含めて。もちろん、そのまま鵜のみするわけじゃないですよ。計算する、分析をかけることも含めて厳密にやっていますけれども、外す意味がわからない。事業者がそこを外すことをなぜ容認するのかというのが、よくわからないというのが現場の意見でした。だから、これは義務化すべきだと思います。

○澁谷座長 はい。

○栗山委員 今の話だと、栄養士がいて、学校給食や病院給食はきちんとさかのぼって確認してやっているので、義務化するまでもなく、ちゃんとしているから義務化しなくていいということでしょうか。であれば、変な話ですが、反対に言えば事業者さんとかには義務化しても何の負担もないですね。であれば、わざわざ外さなくてもいいのではないかと思うのですけれども、どうなのでしょう。それの負担が非常に大きいとかだったら、そのバランスを考えなきゃいけない問題かもしれないのですが。済みません、私、アレルギーのことを考えているのですが、そうは言っても、必ずしも情報が伝わっていない部分があるので、義務化するのがそれほど大変でなかったら、ぜひ義務化していただきたいと思います。

○澁谷座長 板倉委員、何かございますか。

○板倉委員 私も、負担がなくて義務化しても困らないのに、あえて義務化しないと言わなくてもいいと思います。
それと、1つわからないのですけれども、3番目の点のところに書いてある「容器包装のまま提供される食品については、別途整理が必要である」というのは、ここの「供する食品」の中には入らないと考えてよろしいのですか。それとも、これも販売に供する食品の一つと考えて議論したほうがいいのでしょうか。そこがよくわからないので、教えていただけるとありがたいです。

○澁谷座長 事務局のほうで追加の説明をお願いできますか。

○塩澤食品表示調査官 今、御指摘の点でございますが、「別途」という言葉が適切でなかったかもしれないですけれども、3点目のところこそ、今回御審議、御議論いただきたいと思っているものでありまして、現行の制度は、1点目に書いておりますとおり、販売に供する食品で、営業者が購入し、使用するものについては適用外となっております。ただし、学校給食の場合については適用となっております。今の栄養表示基準というのは、容器包装に入った食品について適用されますので、例えば、容器包装のまま提供されるような特注のパンとかカップゼリーについて、今回、新基準でどうするかというのを検討していく必要があります。それがまさに今の場でございます。
済みません、先ほどの追加ですけれども、余り負担がかからないようであれば義務にすべきという話が出ていたと思うのですけれども、仮に今、学校給食、病院給食にカップゼリーとかがついていて、そこに栄養表示がなかったとすれば、今後の新基準でこのような食品まで栄養表示が義務化されるとなった場合、そういった食品を学校給食、病院給食に出すと違反ということになってしまうと思うのです。その辺について、いろいろ慎重に考えていく必要があると思っています。学校給食、病院給食にあっては、先ほどからも話が挙がっておりますとおり、既に表示の有無に関係なく、専門職種がしっかりコントロールして厳密な管理のもと出されるという特殊事情がございますので、そのあたりもよく御検討いただきたいと考えております。

○澁谷座長 いかがでしょうか。どうぞ。

○池原委員 これは繰り返し述べていることでございますけれども、先ほどの話で、義務化しても困らないのだったら義務化したらいいのではないかという論理というのは、基本的には私はないのではないかと思います。義務化ですから、義務化することの重みということをしっかりと理解していただいて、必要でないルールというのは定めない。それで何も困るところがないのであれば定めない。特段困って、どうしてもこれは義務化しないと、何か具体的な悪いことが発生するというものに限って、これは義務化していこう、という判断をすべきだと思います。
以上です。

○澁谷座長 ありがとうございました。
板倉委員、どうぞ。

○板倉委員 容器包装のまま提供されるものについて、私も気になりまして、東京都では残渣というのですか、食べ残しても持ち帰りはさせないと聞いたのですけれども、インターネットで検索しましたら、地域によっては、パンなどについて、最近持ち帰りも認めるようになったところもあったりするものですから、その場合に、カップゼリーとか、傷むものは危ないので、衛生上、そういうものはないと思うのですけれども、持って帰ってきた食べ物が、片方は表示があって、片方は表示がないというのは何となくぴんとこない感じがしています。
もっとも、給食の場合に特注とは限らないので、一般的には市販のものが使われることが多いのではないかと思うのですけれども、実情として十分把握できないものですから、これについて何となく迷うところがございます。

○澁谷座長 どうぞ、迫委員。

○迫座長代理 ここの問題で2つお話させていただこうと思っております。
1点は、例えば特注のものについては、仕様書等で栄養成分については規格を当然出した上で、それに沿った形でつくっていただくという作業が事前にございますので、栄養成分についての把握が当然されております。そして、最終的に管理栄養士、栄養士が献立作成の中でそれを使っていくときに、単品で提供するのではなく、食事として提供していく。全体の栄養量として提供していくわけでございます。そういう意味で、個別の「別途整理が必要である」と、この議論はしても、結果としては表示義務を課するところまでは必要ないのではないかということでございます。
最終的に喫食者の方々、子どもさんたちや患者さんたちに提供するものについては、専門職がきちんと責任を持って食品を選択し、その状況に応じて提供していることになりますので、献立表等々での個別の確認で十分だと思っております。

○澁谷座長 ありがとうございました。学校給食や病院給食がこういうふうに取り上げられているのはなぜかといいますと、1つは、全部食べるのが前提なのです。全部食べてどうだという、病院の食事であれば治療の一環ですし、学校給食も全部食べるということが前提でつくられているものです。ですので、喫食者はここから何か選択するということではないわけで、迫委員が今、説明していただきましたけれども、義務としないというのは非常に合理的ではないかと考えますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○立石委員 先ほど言った、現物につけるということについては確かに問題がある。ただ、配合表なりを含めて、事前に規格書とか、そういうものできちんと表示を義務化することは必要だと思います。だから、何も現物ということでなしに、情報として情報開示をするという姿勢。もし情報開示しなければ、こちらがきちんともう一回やり直さなきゃいけない。もちろん、中身については決めていきますけれども、これは教育委員会とかで指定があって、いろいろな要望があるわけです。それに基づいてセッティングしていく中で、どうしても使わざるを得ない食材も出てくる。その中で情報開示されないことがあってはならない。そのときには、きちんと我々は分析をかけなきゃいけないわけです。
そういうことを考えれば、義務化しておいても何も問題はないと私は思う。それを現物につけろとは言っていない。情報がきちんと流れるようにしなさいよと言っているだけです。情報を出してこないことが私は問題だと。

○澁谷座長 栗山委員、どうぞ。

○栗山委員 私の理解が間違っていたのかもしれないのですが、ちょっと教えていただきたい。多分、特注のパンやカップゼリーというのは個別になっているので、個別の情報を張りつけて提供しなきゃいけないというのをどうするかという、ここがメインですと言われたので、そういうことまで私は表示する必要はないと思います。ただ、これが皆さんにはそう読めるかどうかわからないのですが、私はこういうふうに書かれていると、みんなわかっているから表示しなくていいと読んでしまったのですね。そうじゃなくて、きちんと違う方法で表示なり情報提供はされている。そこをすることを義務化すると、読んでもわかるように書いていただけるとありがたかったかなと思います。

○澁谷座長 ありがとうございます。
迫委員。

○迫座長代理 これは、先ほどの業務用食品のところと同じ考え方だと思っております。情報提供の仕組みについては、きちんと担保していただく。これは全てについて必要になってくるかと思っておりますので、情報提供の仕組みをきちんと担保した上で、義務表示とする必要はないだろうという解釈でございます。

○澁谷座長 ありがとうございました。

○栗山委員 理解しました。でも、情報提供のほうを一々書いていただいたほうがいいのかなと。私たちだけが読むわけではないので、共通認識としてはそれが1セットにして説明されることが大事かなと思います。

○澁谷座長 説明がちょっとわかりにくかったかもしれません。

○栗山委員 ありがとうございました。

○澁谷座長 それでは、ここのところは、学校給食や病院給食等への販売に供する食品については、栄養成分の量及び熱量の表示を義務としないということで、皆さんその考え方では御了解いただけるということでまとめさせていただきたいと思います。

○栗山委員 済みません。先ほどから言っているように、情報提供はするということをセットで書いていただけると。お願いしたいと思います。

○澁谷座長 情報提供は、表示とはちょっと別の問題で、重要だということであります。
続きまして、「栄養成分等の分析法等及び『誤差の許容範囲』の考え方について」、消費者庁から資料の御説明のほうをお願いいたします。

≪3.各栄養成分の分析方法及び「誤差の許容範囲」の考え方について≫

○塩澤食品表示調査官 それでは、資料2-1「栄養成分等の分析方法等及び『誤差の許容範囲』の考え方について」の御説明をさしあげます。
ページをおめくりいただきまして目次のところをごらんいただきますと、大きく2つテーマがあります。栄養成分等の分析方法及び表示単位等について、「誤差の許容範囲」について、以上2題でございます。
それでは、2ページほどおめくりいただきまして4ページに参ります。分析方法についてという資料でございます。
分析方法についての現行制度でございますが、現行の栄養表示基準では、別表第2の第3欄におきまして、栄養成分等の分析方法等を規定しており、その詳細は、「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」の通知で示しております。なお、栄養表示基準別表第2というものは、栄養機能食品又は強調表示の基準のある栄養成分に限って記載されておりまして、その他の栄養成分、例えばカリウム、クロム、セレン等につきましては、通知により運用されております。
ちょっと話が前後してしまうかもしれませんが、資料2-2は「食品表示基準の別表(案)」とありますけれども、先ほど述べました今の栄養表示基準を踏まえた案でございまして、第1欄、第2欄、第3欄というぐあいに、たんぱく質、g(グラム)、分析法を規定しており、現行の栄養表示基準にもこのような表があるということで御認識いただければと思います。
先ほどの資料2-1に戻りますけれども、2点目でございます。栄養成分の量の表示に際し、必ずしも分析を行う必要はないというのが現行の考え方でございます。しかしながら、結果として表示された値が正確な値でなければならないとなっております。なお、一定の値で表示された場合につきましては、先ほどの表、別表第2の第3欄に掲げる方法によって得られた値を基準としまして、その表示値が誤差の許容範囲内にあることとなっております。もう一つの方法として、下限値及び上限値で表示するものもございます。これについては、同じ方法によって得られた値が、表示値、すなわち上下限値の範囲内にあることになっております。
強調表示をしようとする場合には、栄養成分の量や他の食品に比べて強化ないしは低減された量又は割合は、栄養表示基準別表第2の第3欄に掲げる方法によって得ることとなっております。
こういう現行制度でございますけれども、課題といたしまして、強調表示等をせずに含有量を表示する栄養成分につきましても、表示値の正確性を確かめる方法を新基準に規定していく必要があるのではないかというものがあります。
これらを踏まえまして、新基準(案)でございますけれども、栄養表示基準別表第2の第3欄を維持しつつ、上記通知により運用されている栄養成分について追加することを御提案させていただきたく思っております。
具体的には、また資料2-2になりますけれども、例えば2ページ目をごらんいただけますでしょうか。真ん中あたりに、カリウム、クロム、セレンというものが載っておりまして、表示単位、分析方法、そしてプラス50%マイナス20%のような許容範囲をお示ししております。こういったものを新基準に追加していってはどうかという御提案でございます。同様に、こちらの資料の3ページ目にも幾つか栄養成分を載せております。このように新基準の表を改定していきたいということであります。
それでは、再び資料2-1に戻らせていただきます。5ページ目で、表示単位についてであります。
これに関して現行制度でどうなっているかと申しますと、栄養表示基準では、別表第2の第2欄において、栄養成分等の表示単位を規定しております。これも繰り返しになりますけれども、一部の栄養成分、例えばカリウム、クロム、セレン等については記載がない状況であります。
課題でございますけれども、強調表示等をせずに含有量を表示する栄養成分につきましても、一定のルールに基づいた表示をする必要があるのではないかと考えます。
また、「食塩相当量」の表示を義務付けていく場合、現行制度では表示単位が規定されていないという課題もございます。
したがいまして、新基準(案)でありますが、原則として、現行の栄養表示基準別表第2の第2欄を維持してはどうかと考えております。
新たに基準に分析方法を記載する栄養成分につきましては、食事摂取基準の基準値を参考に、表示単位を設定してはどうか。これは先ほど資料2-2でお示ししたとおり、単位をつけるというものであります。
また、「食塩相当量」の表示単位は、栄養指導や栄養施策で用いられる単位である「g(グラム)」としてはどうかということを御提案として挙げさせていただきました。
それでは、資料6ページ目以降、3枚にわたりまして、最小表示の位についてという内容の御説明をさせていただきます。
まず、現行制度でありますが、今の栄養表示基準では、最小表示の位につきましては基準を設けてございません。
これについては、栄養成分の量及び熱量はバラツキがあるものであり、小数点以下の数字が意味を持たない場合があるのではないかという課題があります。
また、収去試験の際、四捨五入を考慮するか否かで、表示値が適切であるか判断が分かれるケースも想定されるという課題もあります。ページの右側に幾つか例を挙げさせていただいております。まず、左側の囲みの中で、表示値が10g/100gの場合は、表示値が10gとなっていても、マル1にお示ししているとおり、これは小数第1位を四捨五入したものの場合、10gという表示値は、実は9.5から10.44何とかgという範囲に値があることを意味しています。また、マル2でございますが、10gとなっていても、実は小数点以下を切り捨てた場合、実際の値は10.99何とかgから10gの範囲にある可能性がある。したがって、単に10gと表示されている場合、設定根拠とした値が10gという値を見ただけでは必ずしもわからないというのが実情としてございます。
また、右側の囲みであります。これは、分析値が仮に9.54g/100gだった場合という例示でございます。分析値が9.54gだった場合、どういう位で表示するかということになってまいります。マル1は9.5gとした場合の例でございますが、最小の値を小数第1位までとする場合、9.54gは9.5gとなり、9.5gを基準にプラスマイナス20%を適用するとなりますと、7.6gから11.4gの幅になってまいります。また、最小表示の位を1の位にすると、9.54gというのは10gとなってまいります。この場合は、8gから12gという幅になりまして、マル1とマル2で許容範囲が異なってくるという問題が実際生じ得るという例示でございます。
続きまして、7ページ目でございます。先ほどのページで述べさせていただいたようなことを踏まえまして、新基準(案)をお示ししております。
新基準(案)としては、以下の原則に従い、最小表示の位を決定してはどうかということでありまして、まず原則ⅰでありますが、栄養素等表示基準値の表示の位に準じるというものであります。8ページをおめくりいただけますでしょうか。8ページ目に載せております表は、各栄養成分と栄養素等表示基準値、最小表示の位(案)についてまとめたものでございます。
現行制度では、この表に載せております栄養成分ごとに栄養素等表示基準値というものが設定されておりまして、例えばエネルギーであれば2,100kcal、たんぱく質であれば75gといった値が食品表示の参考になる値、消費者が何か商品選択するときの参考になる値として、食事摂取基準の値を参考に策定されている値があるのですけれども、これが栄養素等表示基準値です。
再び7ページ目に戻っていただき、次に、原則ⅱでありますけれども、栄養素等表示基準値が設定されていない栄養素も、中にはございます。これらについては、食事摂取基準の基準値を参考に、最小表示の位を設定するという考えでございます。食事摂取基準というのは、皆さん御存じだと思いますけれども、厚生労働大臣が定める食事による栄養摂取量の基準でございます。具体的にページの左側の表として示しております。例えばn-6系脂肪酸、それからn-3系脂肪酸のような不飽和脂肪酸、コレステロール、食物繊維といったものについては、現状、栄養素等表示基準値は設定されてございません。したがって、これらについては、食事摂取基準の基準値を参考に最小表示値を表にお示ししているとおりに設定してはどうかというのが原則ⅱの考え方でございます。
それから、原則ⅲでありますけれども、これら以外の栄養素、例えば糖類等につきましては、その栄養素が包含される栄養成分は、その上位概念として炭水化物というものがありますので、こういったものの最小表示の位に準じてはどうかというものであります。
真ん中の右側の表に、例えば飽和脂肪酸、糖質、糖類を載せておりますけれども、飽和脂肪酸を包含するものとしては脂質があり、脂質が1の位で設定されておりますので、1の位にする。糖質、糖類につきましては、炭水化物に包含されますので、炭水化物の最小表示の位に合わせるといった考え方を原則として挙げさせていただいております。ただし、必要がある場合において、最小表示の位を下げることを妨げるものではないとしたいと思っております。この場合、収去試験を行った場合、表示された値の1個下の位を四捨五入した値を用いることとしたいということであります。
次に、「食塩相当量」についてでありますけれども、上の原則ⅱに基づく最小表示の位は小数第1位でございます。しかし、日本人の過剰摂取による健康影響が懸念される栄養成分(ナトリウム)の表示として、適切な情報提供が必要と思っておりますので、0.1g未満の場合は小数第2位まで表示することとしたいと考えます。
その考え方として、下に「(参考)」として挙げさせていただいております。現行の栄養表示基準では、ナトリウムの量をゼロとすることができる規定が適用される量。これは、栄養的に意味がない量ということなどに基づいて設定しているわけですけれども、ナトリウムの場合は、食品100g当たりmg未満という基準になっております。これを食塩相当量に換算いたしますと、0.0127gとなります。
この食塩相当量の最小表示の位を、仮に一律的に小数第1位といたしますと、栄養的に意味がない量、ナトリウムだとmg未満となりますが、この量と乖離が生ずるケースがございます。例えばナトリウムが17mg/100g入っている食品があったとしますと、この食塩相当量は約0.04gとなりますけれども、これが仮に一律的に小数第1位であらわすことになると0.0gとなってまいりまして、栄養的に意味がないというナトリウム5mgと例示したナトリウム17mgで若干乖離が生じてきてしまいます。したがって、食塩相当量0.1g未満の場合は小数第2位まで表示してはどうかというのを御提案として挙げさせていただいております。
ページをおめくりいただきまして、また話がちょっと前後してしまうのですけれども、主要な栄養素の栄養成分、栄養素等表示基準値、最小表示の位ということで、それぞれ1の位とか小数第1位など挙げさせていただいているのが8ページでございます。なお、ここに挙げさせていただいております栄養素等表示基準値の値につきましては、今、厚労省におきまして、日本人の食事摂取基準2015年版の改定作業が進んでおります。これらの改定の値を踏まえまして、栄養素表示基準値というものについては、この調査会とは別の場で検討してまいりたいと思っております。
以上が最小表示の位についての御説明でございます。
続きまして、「誤差の許容範囲」についてのお話をさせていただきます。
資料の10ページ目をごらんいただけますでしょうか。まずは、合理的な推定に基づく表示値の設定等についてという内容でございます。
背景でありますけれども、「栄養成分表示検討会」や「食品表示一元化検討会」の報告書を受け、消費者庁は、栄養表示の義務化に向けた環境整備として、幅広い食品に栄養表示を付することができるようにするため、現行の栄養表示基準において、以下に示すような2点の改正を行っております。なお、この改正は、昨年9月27日に消費者庁告示第8号としてお示ししております。
内容につきましては、まず第1点目でありますが、合理的な方法に基づく表示値の設定というものであります。これは、栄養成分はさまざまな状況によって含有量のばらつきが大きいということがあります。したがって、個体差が大きい食品などでは誤差が許容範囲に収まることが困難という場合もございます。このような食品を含めて、幅広い食品に栄養表示をすることができるようにすることが重要ですので、誤差の許容範囲の規定を原則的に維持しつつ、合理的な推定により得られた値であれば、その根拠資料を保管の上、表示値として用いることができることとしたというのが改正の1つ目であります。
また、改正の2つ目として、(2)低含有量の場合の誤差の許容範囲の拡大というものも行っております。これは、従来、改正前は、栄養成分の含有量や濃度に関係なく一定の比率で誤差の許容範囲が規定されておりました。しかし、低含有量の場合、誤差の許容範囲の絶対値が極めて小さくなりますので、規定された誤差の許容範囲に収めることが困難な場合がございます。そこで、誤差の許容範囲を拡張することとしたというものであります。これらは、繰り返しになりますけれども、全て既に改正して動いているものでございます。
これらを踏まえまして、新基準(案)でありますが、こういった内容は栄養表示の義務化に向けた環境整備の一環でございますので、新基準においても引き続き継続することで御提案させていただきたいと思っております。
なお、この改正の内容につきまして、11ページ目から12ページ目に参考資料としてつけさせていただいておりますので、こちらは適宜御参照いただければと思います。
続きまして、13ページ、誤差の許容範囲の基準とする値についてという御説明をさせていただきます。
現行制度でありますが、栄養表示基準では、規定された分析方法によって得られた値を基準として誤差の許容範囲を規定しております。
これについて課題でありますけれども、消費者は食品表示を参考に商品選択をしますので、表示値に対して許容範囲が設定されている方が分かりやすいという声もあります。
また、事業者にとっても表示値を基準とする方が合理的であり製品管理がしやすいという御指摘も事実ございます。
これらを受けまして、新基準(案)でありますが、表示値を基準として許容範囲を規定するとしてはどうかと御提案させていただきたく思います。なお、表示値は許容範囲の基準となるものでありまして、意図的に操作されるべきものではございません。そこで、コーデックス委員会の栄養表示ガイドラインに従って、表示を行う製品を代表する製品を分析して得られたデータの加重平均値とすべきであるとしてはどうかということも、あわせてお示しさせていただいております。
次に、14ページ目の説明をさせていただきます。こちらは、「誤差の許容範囲」という用語についての説明でございます。
背景として、現行の栄養表示基準における「誤差の許容範囲」という用語につきまして、栄養成分の含有量に真の値は存在しないことから、表示値と分析値の「差」を「誤差」と表現することは不適当という御指摘がかねてよりございました。なお、コーデックス委員会の栄養表示ガイドラインなど、国際的には“Tolerance limits”という単語が用いられておりまして、“Error”に該当する「誤差」という単語は一般的に使われてはおりません。
また、表示値を基準として許容範囲を設定するとした場合、表示値はその製品を分析して得られた値ではございませんので、表示値との差分を「誤差」と表現することは不適当という考え方もあります。
これらを踏まえまして、新基準(案)でありますけれども、「誤差の許容範囲」という現行の言葉については、「許容差の範囲」と改めてはどうかというのを御提案させていただきたいと思っております。
以上で説明を終わらせていただきます。

○澁谷座長 ありがとうございました。
それでは、また論点が幾つかございますので、こちらのほうも順次審議をお願いしたいと思います。少しピッチを上げていきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
まず、4ページをごらんください。栄養成分等の分析方法及び表示単位について、まず御議論いただきたいと思います。その中で、一番下に新基準(案)とございますが、分析方法について、現状の別表第2の第3欄を維持しつつ、そこに御説明のありました、上記の通知により運用されている成分、先ほどの表の中で下線が引かれていたものがあったかと思いますが、この成分について追加するということでございますが、これについて何か御意見はございますでしょうか。河野委員、どうぞ。

○河野委員 これは非常に専門的なことですので、現状、広くやられていて、しっかりと数値が求められるということであれば、私はこの事務局提案に賛成でございます。
あと、モリブデンに関しては、初回のこの調査会で検討中ということで、今回の資料にも検討中なのですけれども、これは見通しがついていらっしゃるかどうかだけ確認させてください。

○澁谷座長 事務局のほう、いかがでしょうか。

○塩澤食品表示調査官 それにつきましては、また今後の回で詳しく御説明させていただきます。

○澁谷座長 見通しがついているかどうかということでありますが。

○塩澤食品表示調査官 見通しという意味では、ついております。詳しくはまた後ほど。

○澁谷座長 よろしいですか。御意見は、どうぞ。

○池原委員 今回、こういった整理をしていただいて、大変よいと思います。これまで別の通知を確認しなければいけなかったのが、一覧できちんと整理していただいて、これを見て確認できるということで、好ましいと思います。

○澁谷座長 ありがとうございます。
迫委員、いかがですか。

○迫座長代理 この辺は具体的な方法論という形になりますので、問題がなければできるだけ現行を維持するという形が望ましいと思います。

○澁谷座長 ありがとうございます。
それでは、まず分析方法については、4ページに書かれていただいているように、このまま運用を追加するという形でお願いしたいと思います。はい。

○立石委員 1つ質問というか、例えばカリウムのことでお聞きしたいのだけれども。

○澁谷座長 手短にお願いします。

○立石委員 分析方法も書かれているのだけれども、現実的に、カリウムで言えば成人男性の目標数値が1日当たり3,000mgと言われていまして、高血圧予防の観点からということでいくと3,500mgと言われているそうです。そうすると、その差の500mgは16.7%しか枠がない中で、これを見るとプラス50%、マイナス20%ということで、この大きなぶれで果たして予防的観点のこういった指標が示されていることに対して、対応できるのかというのが私、正直素朴な思いがあります。
これは安全性の観点から、そういった必要性のある方がこの数字でやろうとしても、このぶれの中でどうやって目標値に達成するのかなというのが疑問だし、さらに分析方法を考えていると、採取方法とか前処理法といった試験方法をきちんと定めない限り、ぶれが大きいということは、たしか一元化検討会でそういった意見がかなり出ていたと思ったのですけれども、そういうことについて、分析方法だけ示すのではなしに、その前の処理とかといったものをきちんと明確に示さないと、正しい数値が出ないのではないかという心配をするのです。
でないと、この意味は目安だと言われればそれまでだし、ただ、安全・健康に対して、このことについて非常に大事だという方が大勢いらっしゃると先ほども聞いたので、そうであれば、もう少しそういった数値について厳格に、重篤なというか、影響があるものについてはもう少し幅を定めるとか、試験方法だけでもきちんと定めるとか。私、この前、トランス脂肪酸の文献を読んでいたら、同一試料で、同一検査機関で調べても8.75%のぶれがあったと出ていたぐらいだから、相当なぶれがある。それをもし違う分析機関にかけたら、もっとぶれが出るでしょう。だから、ぶれをできるだけ少なくするというのが、我々事業者の責務でありますし、分析をかけていますけれども、そういった分析方法などもきちんと定めるべきじゃないかという意見です。

○澁谷座長 ありがとうございました。事務局のほうで何かなければ先に進みますが。どうぞ。

○塩澤食品表示調査官 ちょっと補足させていただきます。
分析方法につきましては、先ほどの資料2-2に分析方法の名称は書いておりますが、確かにこれだけではわかりませんので、そういう意味で4ページ目に示しております通知というものが、もう既に運用されておりまして、この通知には非常に詳細に分析方法について規定されておりますので、基本的にはこれに従ってやっていただければ特に問題ないというか、迷うことはないと思っております。以上、補足させていただきます。

○立石委員 質問。採取方法とか前処理方法もかなり詳細に全部決まっているのでしたか。

○塩澤食品表示調査官 はい。

○立石委員 では、結構です。

○澁谷座長 それでは、進めます。では、分析方法はそれを前提にいたしまして、5ページの表示単位のところから、また皆さんに御意見をいただきたいと思います。5ページの下に示されていますが、新たな基準に分析方法を記載する栄養成分については、食事摂取基準の基準値を参考に、表示単位を設定するということで、先ほどの資料2-2をごらんいただきながら、またその次に「食塩相当量」の表示についてはどうしたらいいかということで、このあたりについて御意見いただければと思います。
河野委員、いかがでしょうか。

○河野委員 原則、考え方とすると、今はこういう形で行われているので、御提示いただいた新基準(案)にのっとってやっていくのはいいかなと感じておりますが、今回の「食塩相当量」は非常に気になるところでして、これを書くときにgなのですけれども、この後、単位のところがありますね。最小表示の位で、食塩相当量のgというのが一番わかりやすいというか、普通に使われています。違う場所のことを言っているので、ごめんなさい。それがナトリウムから換算されたときに、小数点以下が非常に細かくなったときに、私たちが果たして正しくその情報を受け取れるかどうかというところを、この後のところとあわせて少し皆さんの御意見を伺いたいところです。基本的には、私自身はこれでいいと思います。

○澁谷座長 ありがとうございました。関係もございますので、食塩の部分等につきましては、最小表示の位についてというところなども参考にしていただきまして、8ページくらいまでずっと見ていただいて御意見をいただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
板倉委員、何か資料を出していただいているかと思いますけれども、どうぞ。

○板倉委員 資料を出している部分は、単位そのものではなくて、表示の何桁までとるかという部分です。1つ、頂戴しました資料の11ページでは、改正後の栄養成分について、100g当たり100kcal。それから、たんぱく質2.0gと、小数第1位まで書いてあるわけですけれども、こちらの案を見ますと1の位ということなので、そうすると、ここに書いてあるものは2g、5gという表示になると判断できるのかどうか、確認させていただいてからお話したいと思います。

○澁谷座長 事務局、いかがでしょうか。

○塩澤食品表示調査官 11ページ目の資料を挙げられましたが、済みません、これは現行制度のペーパーでございまして、例えば桁数も含めた新基準(案)ということでおつくりしているものではございません。ちょっとわかりにくくて申しわけないのですけれども、切り離していただきたく思います。

○澁谷座長 11ページは切り離していただいて、8ページまでのところで考えていただいて、新基準(案)ということで御理解いただければ。

○板倉委員 栄養成分表示というのをどういう単位で行うのかというのがはっきりしないのですけれども、100g当たりで示された場合と、1食当たりとか1粒とか、事業者さんの好き好きで示される単位が違ってきた場合、また、その示された単位が消費者が普通に食事するときにとる量とかけ離れていた場合に問題が出てくる可能性があるのではないかというのを、参考資料2でお話したくて書きました。
消費者からすれば、消費者庁でお出しになっていようが、文科省でお出しになっていようが、どこであっても同じ単位でしていただかないと、こちらはこちらで別々に考えるみたいなことになると非常に混乱しやすいと考えられます。実際に農林水産省のサイトには、食品成分表を使った栄養成分計算方法というのができていて、それに当てはめれば計算できるようにもなっていますので、食品成分表というところで考えていただいたほうが、私たちとしてはなじみやすいのではないか。確かに国際的な平準化といったこともあるとは思うのですけれども、ベースになる食品の単位との関係で問題が出てくる場合があるのではないかと危惧しております。

○澁谷座長 ありがとうございました。
池原さん、いかがでしょうか。

○池原委員 まず質問ですけれども、7ページで原則を3つ書いていただいていますが、その1番目、今回、栄養素等表示基準値を採用されたということですが、その考え方みたいなものはございますか。

○塩澤食品表示調査官 栄養素等表示基準値というのは我が国の名称でありまして、コーデックスとか諸外国でも似たような概念の値が存在しております。これはどういう性質のものかといいますと、例えば日本で言うと食事摂取基準において、この栄養素は1日このぐらいとりましょうという値が示されているわけですけれども、実際それを食品表示というところに落とし込んだ場合、その値そのものを書いただけではなかなかわかりにくい場合があるので、食品選択するときの目安として、こういう値が参考になりますよというのを各国、コーデックスでもそうですし、我が国としても用意しているというものであります。
国によって、多少値の出し方、考え方が若干異なる部分はあるのですけれども、ある一定の特殊な年齢層を除いた、大幅な年齢層の人たちの値を加重平均したような値が多くの国で一般的に用いられております。ですので、この栄養素等表示基準値というのは、消費者が食品選びをするときの目安となる値という位置づけでございます。

○池原委員 今の話を確認させていただきますと、摂取基準と成分表というのが大きく2つあるけれども、国際的な考え方としては、摂取基準のほうを採用している。今回もその国際的な考え方に従ったということでよろしいですか。

○塩澤食品表示調査官 国際的な議論などでは、基本的に各国の食事摂取基準のような基準値などを参考に、それを加重平均して求めるという考え方でございまして、それ以上のものとなると各国もいろいろ事情はあるのかなということであります。

○澁谷座長 そこまではよろしいですか。

○池原委員 はい。

○澁谷座長 それでお考えはいかがでしょうか。

○池原委員 次に、念のため確認なのですけれども、事業者の立場で考えますと、基本的に最小表示の位というものについては、先ほどありました各栄養成分の分析方法で分析された具体的な数値を十分に満たすことが必須だと思うのですけれども、それをきちんと担保されているという理解でよろしいでしょうか。

○塩澤食品表示調査官 それは、もう踏まえております。

○池原委員 ということでありましたら、基本的にこの最小表示の位について、新しい基準(案)でよいと思います。

○澁谷座長 ありがとうございます。
迫委員、どうぞ。

○迫座長代理 栄養素等の表示基準値というのは、この食事摂取基準との関連性というところですけれども、私たちが日常的に食べる栄養量、食品を通じてですけれども、そこから摂取する栄養量については、基本的に国としての目標値として定められているものであります。ですから、表示されている栄養成分を見て、それを選ぶときに、本来は一人一人違うのですけれども、この基準値に合わせて見ていく。ですから、それと桁を合わせていくというのは非常に重要な作業だろうと思っております。
最小単位の位に関しては、その下の位を四捨五入する。そして、その数字に持っていくということで考えてよろしいですね。済みません、突然の質問で。

○塩澤食品表示調査官 はい。

○迫座長代理 食品成分表等できちんと担保されている桁数が、これで桁取りがきちんとできるという形ですから、分析では細かい数字が出て当たり前なのですが、計算値でやったときに成分表できちんと計算できて、その最終桁数のところを四捨五入して、この栄養素等の表示基準値に合わせた表示単位に持っていくという形で考えていけば、妥当な数字だと思っております。

○澁谷座長 ありがとうございました。
どうぞ。

○池原委員 今の数値の丸めのところなのですが、これについては今回のペーパーの中に具体的な考え方というか、記載がないと思うのです。今の御質問に対して、イエスとおっしゃいましたけれども、本当にそれでいいのかなというところがあります。例えば、先ほどの栄養摂取基準ではなくて、成分表については、具体的な数値の丸め方の原則というか、方針が書かれてあって、小数点以下のものについては、もちろん一個下の桁を四捨五入するというところなのですけれども、整数については、大きな数字のものについては、違う考え方を原則で採用しているようで、具体的に言いますと、大きいほうから3桁目を四捨五入してその上位2つを有効桁数とする、10未満については小数第1位を四捨五入する、と具体的に定めがある。よって今の話で言うと、整数についても小数第1位を四捨五入するということであれば、その有効桁数が少なくとも成分表と違うことになります。今回の仕組みとして、有効桁数の考え方はそれでいいのかどうかを明らかにしておく必要があるのではないかと思います。その辺、いかがでしょうか。

○塩澤食品表示調査官 昨年の9月の栄養表示基準の改正に伴いまして、合理的な考え方に基づく推定値であれば適切と判断し得るという整理になっておりますので、きちんとしたデータベースに基づいて計算したという場合、その値と、実際に分析した値に若干の乖離があったとしても、今の新しいルールではそういったものも適切と判断することになっておりますので、特段の問題はないと認識しております。

○澁谷座長 丸め方の話と位取りの話とちょっと違うような気がするのですが、迫委員。

○迫座長代理 済みません、先ほど中途半端な発言をいたしました。整数については、そのまま整数の数値を使っていく形になると思いますので、小数点以下1位を出してくるという話ではない。成分表のデータの桁取りに合わせて計算していくという形になると思います。だから、丸めない。

○池原委員 具体的に話をいたしますと、例えばナトリウム、8ページの表で3,500となっておりますね。今の話ですと、小数第1位を四捨五入して整数にするということだとおっしゃっているのですよね。

○迫座長代理 そういう意味じゃありません。ナトリウムは、もう桁取りが整数で、mgの場合には整数で出ていますから、そのままの数字を使っていく。ただ、ナトリウムを食塩に換算していくという次の段階がありますので、そのときに換算した数字は、食塩の桁取りに合わせて1点何gとか、または数字が非常に小さいものについては0.0幾つとか2桁までという形でしていくという形で丸めていくことになるかと思います。済みません、私はそういう理解だという言い方です。成分表とこういう数字を丸めていくというのは、常に栄養価の計算をするときには必ず数字は丸めていきます。
ただ、整数のものを丸めるということはしません。エネルギーにしても、1,855とか、そういう形できちんと出ていきますので、それは丸めません。ただ、小数点以下のものについては、桁取りを幾つまでもおろせます。成分表にはそこまで出ていませんから、それに合わせて数字を出していく。そのままの数字を出すか、またはそれを少し上で丸めるという形はあろうかと思います。今回は、栄養素等の基準値にのっとった値での桁取りにして、いわゆる食育の部分と連動性を保っていこうという形だろうということでの提案だと思っております。

○澁谷座長 よろしいでしょうか。
どうぞ。

○板倉委員 7ページの一番下に、食塩の表示ルールについて、食塩相当量というものを少ない場合については1桁厳しくするという案が出ております。同じように、例えば強調表示されるような成分がほかにもあるわけですけれども、そういうものについての配慮はされないのでしょうか。私などが例に挙げております「無脂肪」という表示なども、実際食塩と同じように非常に強調されますし、しかもわずかであるということを強調していくために、逆に1食当たりとか基本になる食材の量を工夫して少なく見せることも含めてやられる場合がありますので、どうなるのかも含めて御検討いただいたのかどうかを、お聞きしたいと思います。

○澁谷座長 事務局のほうで、今のことについて何か御発言ありますか。

○塩澤食品表示調査官 基本的に、これは強調表示する、しないに関係なく、今度の新基準における栄養表示の数字をどう示すかということの考えでありまして、強調表示のルールについては、また別途議論となります。各委員のお手元に机上配布資料としてありますけれども、今後の検討課題ということで、栄養強調表示についての御議論とか、板倉委員がおっしゃっているような食品の単位ですね、1食分で表示するかどうかといったところは、今後の調査会での御議論の事項でございますので、それとちょっと分けてお考えいただければと思います。

○澁谷座長 ありがとうございました。ここのところでは、今回は基本的な方向として位取りをどうするかということと、単位をどうするかということの方向性をということですので。はい。

○板倉委員 後に議論していただく諸課題等も含めて、議論があるということであれば、そこで解決されるかもしれませんけれども、考え方の基本としては、強調表示だからということではなくて、栄養的に意味がない量だという考え方で強調表示ができるのだろうと思いますので、それとの観点で同じような考え方を持っているかどうか、お聞きした次第ですので、強調表示そのものについて云々言っているわけではないと御理解いただければと思います。

○澁谷座長 ありがとうございます。
どうぞ。

○河野委員 食塩相当量に関して言いますと、ナトリウムはmgで、食塩相当量になるとgになりますから、単位が違ってくる。そこのところで非常に小さい数字になることは間違いないので、その小さい数字を私たち消費者が見誤らないように、少なくとも小数点第2位までは書いていただいて、いわゆる食塩相当のものがそれだけ入っているということで、この表示の方向性というのはありがたいと思います。
それで、7ページで確認なのですけれども、新基準(案)がⅰ、ⅱ、ⅲと書いてあって、表の下に「ただし、必要がある場合において最小単位の位を下げることを妨げるものではない」と。これは、必要がある場合においての具体例を幾つか挙げていただいて、こういう場合、必要があるであろうというところを御教示いただきたいと思います。

○澁谷座長 事務局お願いします。

○塩澤食品表示調査官 例えば、先ほど板倉委員がおっしゃっていましたけれども、1食分の量が極めて小さいような食品は、ざっと丸めてしまうと全部ゼロになってしまう。ただ、事業者さんで、例えば食塩相当量、ナトリウムの量とかを丁寧に表示したいという場合は、どうしても桁数を小さく書かなきゃいけないといったいろいろな事情があると思いますので、基本的に想定されるのは、1食分が少ない食品で栄養成分を書いていくといった場合が該当するかと思います。

○澁谷座長 どうぞ。

○板倉委員 7ページの栄養成分のところで、不飽和脂肪酸については小数第1位になっていて、飽和脂肪酸について1の位になっているのはどうしてなのか、その理由について教えていただけるとありがたいです。

○澁谷座長 事務局、よろしいですか。

○塩澤食品表示調査官 不飽和脂肪酸、n-6系とかn-3系脂肪酸というのは、上の原則のⅱに書いておりますとおり、基本的には食事摂取基準の基準値を参考にするものでありまして、現行、その食事摂取基準が小数第1位の値まで示されているということを踏まえて、これらの不飽和脂肪酸については小数第1位としてはどうかというのを示させていただいております。ただ、飽和脂肪酸につきましては、食事摂取基準でエネルギーに対して何%と幅で示されていることや、不飽和脂肪酸に比べると絶対量が多いという特徴があります。
この飽和脂肪酸が包含されているのは、先ほども申しましたとおり脂質でございまして、脂質というものも1の位で書かれていることなどを踏まえますと、この不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸では位がちょっと違っていてもいいのかなということでお示ししております。

○澁谷座長 よろしいですか。

○板倉委員 説明はわかりましたけれども、実際に表示される場合は、この脂肪酸というのは全て同じように並べられるわけですので、そういうところでは消費者としては疑問を感じることになるのではないかということで心配しております。

○澁谷座長 そのほかいかがでしょうか。
そうしましたら、5ページと7ページを一緒にごらんいただきたいと思います。皆さんの大体の方向性としては、別表の第2の2欄を維持していくということと、新たに分析方法を記載する場合については、食事摂取基準の基準を参考にして表示単位を設定するという方向性はよろしかったかと思います。食塩の相当量の単位についてはgとするということですが、7ページの下を見ていただきますと、非常に少量の場合の例が示されておりますが、こういった表示を第2位までの表示とするということでどうでしょうかということですね。
そして、8ページに最小表示の位という案がございます。原則、栄養素等表示基準の表示の位に準じることでどうかということですね。そして、設定されない栄養素については、食事摂取基準の基準値を参考にして、最小表示の位を決定する。それ以外の栄養素については、その栄養素が包含される栄養成分、例えば糖類であれば炭水化物の最小表示の位に準ずるという大きなルールについて、皆さん、大体御了解いただけたということでよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
そうしましたら、お疲れのところ申しわけありませんが、もう少しですので、お願いいたします。「誤差の許容範囲」について、10ページをごらんください。ここでは、2つのことがございます。合理的な方法に基づく表示値の設定、そして低含有量の場合にその範囲をどうするかということで、これは既に動いているものでございますが、この2点について、新基準のときにどうするかということで皆さんの御意見をいただきたいと思います。
河野委員、いかがでしょうか。

○河野委員 栄養表示義務化に当たって、何らかの基準が必要で、今回、こういうふうに整理されているということですので、これは引き続き、この形で維持していただいていいと思います。

○澁谷座長 ありがとうございます。
板倉委員、いかがでしょうか。

○板倉委員 設定値については、特に私も異存はございません。

○澁谷座長 ありがとうございます。
池原委員、いかがでしょう。

○池原委員 特に中小の事業者にとって必須の仕組みだと思いますので、ぜひ継続していただきたいと思います。

○澁谷座長 ありがとうございます。
迫委員、いかがですか。

○迫座長代理 特にございません。

○澁谷座長 そういたしましたら、10ページ、合理的な方法に基づく表示値の設定、及び低含有量の場合の誤差の許容範囲の拡大というのは、新基準においても引き続き継続するということでお願いしたいと思います。
次に、13ページをごらんください。このことについて、御意見はいかがでしょうか。迫委員、いかがですか。

○迫座長代理 表示値を基準にということで、結構です。

○澁谷座長 ありがとうございます。
池原委員、いかがでしょうか。

○池原委員 そのとおりだと思います。極めて合理的だと思います。
ただ、一番下の※印で、先ほど御説明ありましたけれども、ここの内容で「すべきである」と書かれているのですが、これを今後どうしていくのかということをちょっと確認させていただきたいです。今は、この表示値の算出方法は指定なし、ということで、別に分析しなくてもやり方についてはお任せしますというのが基本的な考え方だと思うのですが、これからはこの「すべきである」ということがどういう扱いになるのでしょうか。

○澁谷座長 これは事務局のほうで。

○塩澤食品表示調査官 おっしゃるとおり、新ルールは合理的な推定であればいいということで、分析値であっても、計算値であっても、適切な方法論に従ってやればいいというものでございます。したがって、この※印で書いてあるところは、あくまでもできれば分析値が望ましいという意味合いであって、分析値じゃないといけないという意味ではございません。もしここが分析値じゃないといけないということになると、新ルールが成立し得なくなりますので、あくまでも望ましいといった位置づけでございます。

○池原委員 済みません、質問は、新ルールのところではなくて、11ページで言うと、改正後の上の仕組みのところです。ここは、表示値の算出方法は指定なしということで、要は、やり方については任せるけれども、結果についてのみ、この幅でないといけないよというルールだと思います。これについて、先ほどの※印を語られているのではないかと思ったのですが、そこはいかがですか。

○澁谷座長 これは現行制度の※印ということで、多分、前のところに戻られて御質問だったと思いますが。

○塩澤食品表示調査官 済みません、ちょっと私の理解が間違っていましたので、訂正させていただきます。11ページの括弧の部分、表示値の算出方法は指定なしというところについて、今まで確かに指定がなかったという状況でございます。これについては、13ページに示しているように、国際的にもコーデックスのガイドラインで示されているということもありますし、1行目ですけれども、そもそも意図的に操作されるべきでないという考えもありますので、これについては表示を行う製品を代表する製品を分析して得られたデータの加重平均を基準とすべきということで示させていただいております。言葉が足りずに申しわけございません。

○澁谷座長 「すべき」とまで言わなくもいいのではないかということですか。

○池原委員 まず意図を確認したかったのですけれども。要は、今のお話ですと、義務というところまでは当然いかなくて、推奨のような感じですか。

○塩澤食品表示調査官 そのとおりです。義務ということではなくて、あくまでも望ましいとか推奨というぐあいでございます。

○池原委員 わかりました。

○澁谷座長 13ページについて、何かほかに御意見。
それでは、13ページの許容範囲の基準とする値については、表示値を基準として許容範囲を規定するという方向性で、皆さん御了解いただいたということでよろしいでしょうか。
ありがとうございました。
最後の14ページ、「誤差の許容範囲」という用語についてでございますが、「誤差」という表現が不当ではないかということで、新しい基準では言葉を改めたほうがいいのではないかという御提案ですが、これについて御意見をいただきたいと思います。
河野委員、どうぞ。

○河野委員 ここに英訳が書いてありますけれども、「Error」と言われると間違っていると受け取られますので、食品の栄養素を表示するときに、条件によって少し値に幅があると私たちが受け取るということにかんがみますと、「許容差の範囲」という今回の御提案でいいと思います。

○澁谷座長 ありがとうございます。
板倉委員、いかがでしょう。

○板倉委員 私も賛成です。

○澁谷座長 例えばほかにこんな言葉はどうだろうか、という御意見はございますか。池原委員、いかがでしょう。

○池原委員 単純に「Tolerance limits」を訳すと、そのLimitsのところは、範囲というよりも限度というのが概念的には近いのかもしれません。ただ、文脈の中でどう使われるかですけれども、特段「限度」にしなければいけないというふうには、そこまでは思いません。

○澁谷座長 鬼武委員のペーパーが出ていますけれども、事務局のほうは、それはよろしいですか。

○塩澤食品表示調査官 鬼武委員のペーパーは、まだいただいたばかりで中身を深く精査できておりませんので、特段の発言は差し控えさせていただきます。

○澁谷座長 はい。
迫委員、いかがでしょうか。

○迫座長代理 鬼武委員は、従前から「誤差」という言葉は不当であるということをおっしゃっていらっしゃいましたので、今回のこの表現を変えていただいたということで御了解いただけるのではないかというのがまず1点目でございます。
それから、私もそういう意味では「誤差」という言葉が今回消えるということで、大変いい表現だと思います。

○澁谷座長 ありがとうございました。
「許容差の範囲」に改めるということでございますが、皆さん、これでわかりやすくなるでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、14ページの用語の変更ですが、「誤差の許容範囲」を「許容差の範囲」に改めるということで皆さんに御賛成いただいたということにしたいと思います。
ほかにはいかがでしょうか。
それでは、全体の取りまとめをさせていただきたいと思います。お手数ですが、もう一度最初の「栄養表示の対象食品について」のペーパーをごらんください。
まず、3ページにつきましては、新基準(案)の業務用加工食品については、栄養成分の量及び熱量の表示を義務としないという方向性ですね。
2つ目の製造場所で直接販売される食品についてですが、ここではさまざまな御意見が出ました。栄養成分の量及び熱量の表示については、この新基準(案)では「義務としない」と書かれておりますが、義務としないと言い切るのではなくて、将来的なことも見据えて推奨といいますか、そちらに近づけていくような方向があるのではないかという御意見が大半であったかと思います。これにつきましては、この基準(案)の「義務としない」というのには少し齟齬がございましたが、方向性としてはそちらのほうを目指すということでまとめさせていただきたいと思います。
次に、6ページをごらんいただいて、設備を設けてその場で飲食させる食品については、これは栄養成分の量及び熱量の表示の適用対象とはしないのですが、情報の提供というのは非常に重要であるのでということの条件がついております。表示としては、適用の対象としないという方向でまとめさせていただきたいと思います。
それから、学校給食について、8ページをごらんください。学校給食や病院給食については、これは義務としないということでまとめさせていただきます。
もう一つの資料2-1をごらんください。「誤差の許容範囲」の考え方については、いずれにつきましても新基準(案)の方向性で皆さん御了解をいただいたということでございます。
以上で議事は終了したいと思いますが、最後に。

○立石委員 今、言われた前提条件。先ほどから何回も言っていますけれども、情報提供がなされるという前提条件がなければ、消費者から求められたときに正しい情報提供ができないですよということを私は事業者の立場で申し上げているわけですから、義務化しないということは、情報伝達が必ずきちんとされることを担保されない限りは、新しい食品表示法に基づいて消費者が求める情報が提供されることが権利と定められた、そこの精神と反することが起こりますよということを最後に申し上げたい。そういうことをきちんと前提条件として入れた上で、こういう決め事をしていかないと何も進みませんよということをもう一度言いたいです。

○澁谷座長 ありがとうございました。
最後に、次回の予定につきまして事務局から御説明を。
先ほどの施設を設けてその場で飲食させるレストラン等のところですが、表示の義務化はしないということでよろしいですか。

○小田事務局長 適用対象としないという案でしたけれども、適用対象としないではなくて、義務化しないという御意見のほうが多かった。

○澁谷座長 多かったということですね。はい。
それでは、次回の日程につきまして事務局からの説明をお願いします。

○大貫参事官 長時間にわたり、ありがとうございました。
次回の栄養表示に関する調査会の日程につきましては、改めて御連絡いたします。

○澁谷座長 それでは、本日はこれにて閉会といたします。長時間にわたりましてありがとうございました。。

≪4.閉会≫

(以上)