第30回 食品表示部会 議事録

日時

2014年7月25日(金)9:59~12:19

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
阿久澤部会長、夏目部会長代理、安達委員、池原委員、石川委員、板倉委員、宇理須委員、鬼武委員、栗山委員、河野委員、迫委員、立石委員、宮地委員
【説明者】
消費者庁 岡田審議官、竹田食品表示企画課長、石丸課長補佐、船田課長補佐、岩城課長補佐
【事務局】
黒木事務局長、井内審議官、大貫参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 「遺伝子組換え食品に関する品質表示基準」の一部改正について
  3. 「乳等表示基準府令」の一部改正について
  4. その他
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○大貫参事官 それでは、出席者の皆様がおそろいですので、開始させていただきます。

本日は、皆様お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会食品表示部会」第30回会合を開催します。

本日は、池戸委員、春日委員、澁谷委員は所用により御欠席ですが、過半数に達しており、定足数を満たしております。

議事に入ります前に、配布資料の確認をさせていただきます。

お配りしております資料でございますが、配布資料一覧のとおり、メインの資料は資料1-1、1-2、資料2。あと、参考資料といたしまして、1-1から3までお配りしております。このほか、委員提出資料といたしまして、追加配布資料1が立石委員の提出資料、追加配布資料2が鬼武委員の提出資料になります。委員提出の資料についても議論に御活用いただくようお願いいたします。

不足の資料がございましたら、事務局のほうにお申しつけください。

本日も多くの傍聴の方がお越しいただいておりますので、御発言の際はマイクに近づいて御発言いただきますよう、お願いいたします。

それでは、阿久澤部会長に議事進行をお願いいたします。

○阿久澤部会長 皆さん、おはようございます。

本日は、消費者庁から岡田審議官、竹田食品表示企画課長に御出席いただいております。

なお、本日の会議は公開で行います。議事録につきましても、後日公開することとします。

本日の議題に入る前に、7月8日の第165回消費者委員会本会議において決定いたしました「下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせ」について御報告させていただきます。参考資料3をごらんください。

消費者委員会は、自ら調査審議して建議する、あるいは諮問に応じて調査審議する、また消費者の声を行政に届ける外部機能を果たすという役割があり、これらの役割を今後も果たし、また円滑にその機能を発揮していくためには、議論の整理や検討作業を効率的に進める仕組みとして、部会・専門調査会等の下部組織の活用が欠かせません。食品表示部会のように、これまでも多くの下部組織が設置され、活用されてきたところですが、その運用の在り方について具体的なルールが乏しく、また共通認識の整理も不十分であるのではないかということで、今後の円滑な委員会運営のため、今回、下部組織全般について、その運用の在り方について申し合わせを作成することになりました。

食品表示部会には設置・運営規程が定められていますが、この申し合わせはその規定の解釈指針として活用されるものとなります。具体的な内容につきましては、事務局から説明をお願いいたします。

○大貫参事官 まず、1.会議参加者の位置づけ・役割といたしまして、会議に属すべき構成員、オブザーバー、参考人について整理しております。

次に、2.議長の権限等として、議長は、会議を主宰し、会議における調査審議が公正かつ円滑に進行するよう努めるもの等、整理しております。

続いて、3.議論の進め方についてです。設置・運営規程には明記されていない事項ですので、順に御説明いたします。

(1)合議制の機関において調査審議することの意義というものは、知見を有する者として指名された構成員の方々が一堂に会して議論していただくことで多様な意見を反映させることが可能になる点にあることに鑑み、議論のために自らの意見を陳述する場合は、原則として会議の場において口頭で行っていただくものとしております。

ただし、欠席をされる方がいらっしゃると思いますので、そのような方につきましては、(2)議長たるべき者に申し出てその承認を得た場合は、事前に自らの意見を記載した書面を会議に提出することができるとしております。

さらに(3)でございますが、どうしても会議時間の制約で議論のための時間が足りない等の事情により、例外的に書面のやりとり、あるいは電子メールのやりとり等で議論を補う必要がある場合は、議長たるべき者は、全ての構成員の方々に対して、均等に書面提出の機会を確保するよう努めなければならないとし、(4)そのような形で議論がされた場合には、会議の公開基準に準じて、その議論の内容を公開するとしております。

次に、4.資料の提出についてでございます。

(1)ですが、構成員等及び参考人の方々は、その識見に基づいて、調査審議事項に関する資料であって、その調査審議に資すると判断するものを、提出者の氏名を明示して会議に提出することができるとしております。

(2)ですが、その提出に当たりましては、遅くともその会議が開催される24時間前までに事前に提供いただくこととし、(3)として、やむを得ない事情でその期限までに資料が提出できない場合には、議長たるべき者にその事由を説明して、議長たるべき者が期限後の提出を認めた場合に提出できるものといたします。

さらに例外的な場合ですが、(4)として、議長たるべき者は、そのような資料が審議事項と無関係であると判断する場合、または消費者委員会の品位を損なうと認められる等の特段の事情がある場合には、資料の提出を認めないことができるとしております。

事務局からの説明は以上でございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。これまでも食品表示部会設置・運営規程に沿って運営してきております。今後は、この申し合わせにも沿った運営に当たりたいと考えております。委員の皆様、御理解、御協力のほど、よろしくお願いいたします。

なお、御説明した内容についての質疑応答につきましては、立石委員からの意見書も含めまして、本日の議事の最後で取り扱わせていただきます。

それでは、本日の議題に入らせていただきます。これまで本部会では、食品表示法の食品表示基準案について議論してきましたが、本日は、現行法令の改正に関する審議になります。案件として、「『遺伝子組換え食品に関する品質表示基準』の一部改正について」、及び「『乳等表示基準府令』の一部改正について」を議題として取り上げ、この順で議論していきたいと思います。

まず、「『遺伝子組換え食品に関する品質表示基準』の一部改正について」、議論に入りたいと思います。

こちらの資料の御説明を消費者庁からお願いいたします。

≪2.「遺伝子組換え食品に関する品質表示基準」の一部改正について≫

○船田課長補佐 おはようございます。食品表示企画課の船田でございます。私のほうから、1つ目の議題の遺伝子組換えに関する御説明を申し上げます。

資料といたしまして、資料1-1が今回、主に御説明する資料になりますけれども、資料1-2としまして、新旧対照表をつけております。それと、参考資料1-1として、これまで基準を改正するときには消費者庁から消費者委員会に諮問する形になっておりますので、その諮問書の写しをつけております。参考資料1-2が、この諮問について、消費者庁のほうで7月23日にプレスしたものの写しをつけております。さらに、参考資料1-3としまして、遺伝子組換え食品の安全審査ですとか表示の基準を策定するに当たってのフロー図を参考までにおつけしております。

あと、遺伝子組換え食品の基準と食品安全委員会の評価書を参考としまして、各委員の机上に配布しております。

まず、資料1-1の2ページ目をごらんください。そこに経緯という形で書いてありますけれども、今回、遺伝子組換え農産物であります「ステアリドン酸産生大豆MON87769系統」が開発されております。当該農産物については、先ほど申しましたように食品安全委員会の安全性評価がなされております。安全性評価の結果につきましては、先ほど申しましたように、机上に配布した評価書になります。厚いので内容までは触れませんけれども、6月24日に評価書が出ているという形でございます。その評価書の中で、このステアリドン酸産生大豆でございますが、人の健康を損なうおそれはないという形で判断されているということでございます。

経過としまして、下の安全性評価のところに少し書いてありますけれども、平成23年7月に厚生労働省から食品安全委員会へ、この食品健康影響評価というものを要請しております。それから、先月、平成26年6月、食品安全委員会から厚生労働省へ評価の結果が返されております。

なお、その下の※印で、厚生労働省が認可リストへ掲載予定という形で書いてあるのですけれども、昨日、厚生労働省がこの「ステアリドン酸産生大豆MON87769系統」を厚生労働省の認可リストに載せております。したがいまして、現在、そこに大豆15種類と書いてありますけれども、1つふえて、大豆が16種類になって、とうもろこしが198種類が国内で流通できる形でございます。

ちょっと戻りますけれども、当該大豆は代謝系が改善されまして、特定の栄養成分を高めた形質が付与されるということです。要は、従来の大豆では産生されないステアリドン酸を遺伝子組換えによりまして産生させたものという形になります。ステアリドン酸はn-3系脂肪酸の一種で、人や動物が摂取すると、その一部が体内において、EPAやDHA、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸の略称になりますが、変わることが知られております。EPAとかDHAというのは、皆さんもよく御存じのように健康によいとされるものでございます。

当該大豆ですけれども、従来、大豆の組成にはないステアリドン酸を新たにつくり出すことになります。そこに「遺伝子組換えに関する表示に係る加工食品品質表示基準第7条」云々と書いてありますが、要は、遺伝子組換え食品に関する品質表示基準第2条に、遺伝子組換えに関する表示が必要な「特定遺伝子組換え農産物」というものが定義づけられていまして、注意書きで下に書いてありますけれども、組換えDNA技術を用いて生産されたことにより、組成、栄養価等が通常の農産物と著しく異なる農産物という形で定義づけられています。

今回のステアリドン酸産生大豆も形質が変えられているということで、これに該当することになります。今回、同遺伝子組換え表示基準の中の一部を改正することを今回提案するものです。

めくっていただいて、3ページになります。現行の遺伝子組換え食品の品質表示基準の抜粋をそこにお示ししております。

第2条において、先ほど申しました特定遺伝子組換え農産物の定義が書いてあります。

第3条で、その表示の方法が規定されています。1項と2項がちょっと略されているのですけれども、最初が加工食品、後段が農産物という形で、今回の大豆ですけれども、主に用途としては油に使われると聞いております。そうすると、1項の対象農産物を原材料とする加工食品に該当する形になります。

別表3、その下に書いてありますように、現行、形質としては、高オレイン酸と高リシンの2つが定められております。高オレイン酸は対象農産物としては大豆、高リシンのほうはとうもろこしです。今回、ステアリドン酸については、ここの対象農産物の大豆のほうにこの形質が加えられるということになります。

ページをめくっていただきまして、高オレイン酸と高リシンですけれども、それぞれ平成13年と平成19年に表示の基準が定められております。この表示の必要性といいますか、資料には書いていないのですけれども、ここで簡単に御説明しますと、遺伝子組換え食品というのは、御存じのように安全性が確認されれば流通させることができます。逆に言うと、安全性が確認されなければ流通できない形になります。遺伝子組換え食品の品質表示基準というものは、こうした安全性が確認され、流通されている食品について消費者に情報提供することを目的とした基準です。

過去の経緯からしますと、平成9年から平成11年に、遺伝子組換えの品質表示基準ができる前ですけれども、基準ができるまでの経緯としまして、農林水産省で食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会というものを開催していました。おおむね2年かけて、遺伝子組換えの表示はどうあるべきかというものを検討しておりました。平成11年8月にその部会から報告書が出されております。

その中で、高オレイン酸大豆とか高リシンとうもろこしのように組成、栄養素、用途等に関して、従来の食品と同等でない遺伝子組換え農産物を原材料とする加工食品については、消費者の商品選択上、重要な情報であり、実効性のある情報提供を行うために義務表示とすべきということが記載されており、現行の遺伝子組換え品質表示基準があることになります。この報告書の考え方に基づきまして、これまで遺伝子組換えの表示というものが義務づけられているという経緯になります。

ちょっともとに戻りますけれども、4ページの下に表示例が書いてあります。高オレイン酸の場合と高リシンの表示例が書いてあります。左がどちらかというと加工食品、右側が生鮮に近いものという形になるのでしょうか。例えば食用大豆油に高オレイン酸遺伝子組換えの大豆を使った場合には、左の表示例のように食用大豆油と書いて、括弧して、使った大豆は高オレイン酸遺伝子組換えである旨を書くという形になります。高リシンも同様に、とうもろこしを原材料としている食品であれば、「とうもろこし(高リシン遺伝子組換え)」という表示をしていただく形になります。

ただ、これまで国内でそれぞれ高オレイン酸なり高リシンの遺伝子組換えのものが流通した実績がないので、この表示がされた商品は今まで流通したことはないということでございます。

めくっていただいて、5ページですけれども、高オレイン酸と高リシンが基準で定められたときの状況について一覧にしてみました。

高オレイン酸大豆のほうですけれども、特徴としましては、大豆の中のオレイン酸の割合が増加しています。ただ、オレイン酸の増加に伴いまして、リノール酸とかパルミチン酸の割合が減少している形になります。高リシンも、とうもろこしの中のリシンが増加しているということです。

用途としましては、高オレイン酸のほうは食用油、高リシンのほうは飼料に使われるということですけれども、今のところ、そういった製品はない状況です。

それぞれ安全性評価が終了した日が違っております。高オレイン酸のほうは平成13年3月30日、高リシンのほうは平成19年3月23日。その大体半年後、遺伝子組換え食品に関する品質表示基準として盛り込まれている状況でございます。

表示事項は、先ほど御説明したとおりでございます。

めくっていただいて、6ページ目、ステアリドン酸の大豆の産生メカニズムを簡単に御説明した図になります。今回、このステアリドン酸産生のメカニズムですけれども、組換えDNA技術を用いまして、従来の大豆では産生されないステアリドン酸を産生させることになります。

脂肪酸合成経路というものが書いてあります。通常は、この黒い矢印の経路に沿って合成が進むのですけれども、ステアリドン酸は通常の合成経路ではなくて、赤の矢印ですけれども、組換えによって新たな経路をつくりまして、まずリノール酸からα-リノレン酸を合成させて、その後にステアリドン酸を合成させる仕組みでございます。

脂肪酸組成の割合の表を下に書いてあります。リノール酸は従来の大豆ですと55%ですが、リノール酸からさらにリノレン酸を合成させて、さらにステアリドン酸をつくることから、割合が減っていくのです。今回、ステアリドン酸産生大豆の場合に、新たにステアリドン酸とガンマ-リノレン酸の2種類が出てくる形になります。ステアリドン酸を産生させることが目的ですけれども、ガンマ-リノレン酸も産生するということでございます。

めくっていただいて、7ページになります。今回、別表3の形質の欄に追加すべき事項の内容ですけれども、考え方としまして、そこに1から4まで書いております。先ほど御説明しましたように、ステアリドン酸産生大豆ですけれども、従来の大豆と比較しましてステアリドン酸とガンマ-リノレン酸が新たに産生されリノール酸が減少しているという状況でございます。

2番目ですけれども、ここでステアリドン酸産生大豆の表示に際しまして、「前記1」というのは、ステアリドン酸とかリノレン酸が産生されリノール酸が減っているという形質の変化を全て表示させるべきかどうかというのが、1つ問題となってくるということでございます。

3番で、従来の大豆と異なる形質を全て表示するとすれば、表示すべき表示例ということでお示ししたのですけれども、例えば「大豆(ステアリドン酸産生・ガンマ-リノレン酸産生・低リノール酸遺伝子組換え)」のような形で表示させるのかどうかということになります。

4番で、これまで高オレイン酸など、減少したものについては特段表示していません。特色ある形質の部分だけをもって表示してもらっております。高オレイン酸大豆は「高オレイン酸遺伝子組換え」、高リシンとうもろこしは「高リシン遺伝子組換え」と表示することをこれまで基準に定めてきました。

今回のステアリドン酸産生ですけれども、従来の考え方を踏襲するのかどうかですけれども、消費者庁としましては、下の改正案に書いてありますように、ステアリドン酸産生大豆の表示の方法といたしまして、高オレイン酸大豆、高リシンとうもろこしの表示の方法にならいまして、厚生労働省の認可リストの名称に「ステアリドン酸産生」としか書かれていませんので、「ステアリドン酸産生遺伝子組換え」としてはどうでしょうかというのが今回の御提案になります。

以上が私からの御説明になります。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。ただいま資料1-1に沿って御説明いただきましたが、1-2も含めて委員の皆様から御意見を。資料1-2も御説明いただけますか。

○船田課長補佐 すみません、資料1-2のほうを御説明しますと、これまでいろいろな基準改正のときに新旧対照表をつけておりますので、今回も同様におつけしました。

裏側、2ページ目の下の改正案の対象農産物、大豆の形質に、「高オレイン酸」に加えて「ステアリドン酸産生」という用語を加えたいということになります。

以上でございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

それでは、資料1-1と1-2につきまして委員の皆様から御意見ございましたら、お願いいたします。どうぞ。

○板倉委員 高オレイン酸とかステアリドン酸というのは油の成分なわけですけれども、主成分が脱脂された場合にも、つまり脱脂大豆のようなものを使った場合にも、2の「第1号に掲げるものを主な原材料とするもの」ということで読んで、表示義務が出てくると考えてよろしいのでしょうか。

○阿久澤部会長 消費者庁、お願いします。

○船田課長補佐 脱脂されてしまった場合、今の基準の中では除くという形になっています。要は、検証のしようがなくなるということです。今の遺伝子組換えの表示基準は、基本としてDNAが残っているものを義務対象としていますということですけれども、脱脂等されて検出できないものについては表示の対象外になるという形で、基準の中にも一応書いてあります。

○板倉委員 でも、脱脂大豆ですとDNAは残ったままになっていますね。

○船田課長補佐 製品として油になれば残らないですけれども、脱脂大豆だけを売るときには、当然そこは対象になるということです。そういった場合があるかどうかですが。

○板倉委員 実際には流通されていないので、過剰な心配なのかもしれませんけれども、普通、油の場合には、油としてとった後も、しょうゆの場合はDNAがなくなるでしょうけれども、何かの形で使うということはあり得るので、その場合にどう読んだらいいかだけ教えていただければありがたいと思って、御質問しました。

○阿久澤部会長 よろしくお願いします。

○船田課長補佐 その形質が残るということであれば、当然その対象となるということです。

○阿久澤部会長 どうぞ、立石委員。

○立石委員 遺伝子組換え表示の問題については、今回の食品表示基準案の検討からは外され、先送りされたわけです。別途検討するということで、食品表示基準を優先させたということの中で、なぜこのステアリドン酸については、こういうふうに基準を改正してまでやらなければならないのか。というのは、高リシンと高オレイン酸については、全く流通していないわけです。では、なぜこのことを目的として、こういう改正をしなければならないのかということについてお聞かせいただきたい。私が言いたいのは、日本の油業界もしくは事業者の方からそういう要請があったのかどうか。こういったステアリドン酸の大豆を扱いたいという要請があったのか。もしくは、海外からどうしてもこれを許可しろという強い圧力があって、この話になったのか。

現在、流通していないことだし、日本でこれから遺伝子組換え表示についてはまだ議論の途上の中で、このことをあえて議論して枠に組み込むことについて理由を聞きたいです。

○阿久澤部会長 回答をお願いいたします。

○船田課長補佐 安全性については消費者庁が云々言うところではないので、厚生労働省が食品安全委員会に諮問して答申されれば流通できるという今のルールでございます。企業から圧力がかかっているとか、そういう話は私は全然存じておりません。

今回、繰り返しになってしまいますけれども、厚生労働省に種子メーカーが申請を出しまして、食品安全委員会に厚生労働省が安全の確認を諮問したという形でございます。そこで、食品安全委員会が今回のこの大豆については安全ですという形で流通、言ってみればゴーサインが出ているところでございます。厚生労働省が認可した、先ほど言いました大豆16種、とうもろこし198種については、実際には流通していないのかもしれませんけれども、流通できるという状況であって、消費者庁としましては、そこに消費者への情報提供という観点から、流通する可能性があるのであれば、表示の基準はあくまで必要ではないかというスタンスでございます。

新法にも、遺伝子組換えの基準は当然入っているのですけれども、それを待っていたのでは、流通しないかもしれないけれども、ルールとして現在、厚生労働省が認可した種子が流通する可能性がゼロではないということであれば、早急に措置しなければならないということで、今回、御提案しているということでございます。これは、あくまで行政側としましては、基準がないところで流通をそのまま放置しておくことはできないというスタンスでございます。

○阿久澤部会長 納得されましたか。

○立石委員 私どもも穀物を輸入している事業者ですからわかっていますけれども、我が国に来ているのは圧倒的に不分別です。不分別というのは、遺伝子組換えとNON-GMOを分けていないのです。ですから、場合によっては、高オレイン酸とかステアリドン酸が入っていても不分別だからわからない。IPハンドリングされた、圃場からきちんと分別管理されたものについては、これはステアリドン酸大豆とか高オレイン酸大豆が入ってきた場合には、表示をして売ることが義務づけられるということであって、そのことを目的としない、今、そのような事業者がいない中で、そのことをやる意味があるのかというのが1つ、非常に大きい。

それから、これからの議論になるのでしょうけれども、油とかしょうゆは遺伝子組換えされたDNAが検出されないから、今、遺伝子組換え表示についての表示義務がないですね。ところが、みそとか豆腐は組換え遺伝子が検出されるから遺伝子組換え表示が義務づけられる。今回、私が疑問に思ったのは、高オレイン酸大豆とか高リシンとうもろこしはDNAは検出されないけれども、形質上の変化があるということでメリット表示ですね。人間にとってプラスの情報については表示しましょうということだけれども、問題は害虫抵抗性とか除草剤についての耐性があるものについては、人間にとってプラスじゃない情報については表示されないということは、形質上は同じなのです。ところが、一方で人間にとってプラスとなる情報だけが表示義務が出る。遺伝子組換えですよということが表示される。

油についても、害虫抵抗性とか除草剤耐性といったことについて、もしあれば書くべきだと思います。必要な情報が提供されることが、今回、消費者の権利となったときに、遺伝子組換えであるということを油業界は公表されているわけです。全部遺伝子組換えですよと言っているわけだから、だったら書きなさいと。しょうゆについても同じですけれども、そういうことについて本来は議論すべきなのです。遺伝子組換え表示について、なぜかというと、EUはほとんど全て対象になっている。ところが、日本は特定の品目だけ外されている。しょうゆとか油は書かなくていいわけですから。

高オレイン酸とかステアリドン酸という、人にとってプラスの形質が出る場合の情報だけを書くということは、情報として非常におかしいのではないか。必要な情報が提供されるということは、そういった遺伝子組換えであることの情報を必要とされる人がいる以上、そのことをきちんと表示すべきでしょうということを、本来はここできちんと議論した上で、このステアリドン酸についても決めるというのが正常なプロセスだと私は考えるのですけれども、いかがですか。

○阿久澤部会長 課長、お願いいたします。

○竹田食品表示企画課長 おっしゃられる御意見は、積み残しの課題として、一つのテーマとしてこれから俎上に上がる問題でございますので、それはそれということでございます。

先ほど船田が申し上げましたように、遺伝子組換えの食品についての表示ルールは現に走っているわけでございますので、そこで流通する可能性があるものについてはきちんと網をかけるというのが行政のあるべき対応だと我々は考えております。

○阿久澤部会長 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 別の観点からいいでしょうか。

今回提案いただいている表示の件で、ステアリドン酸産生遺伝子組換えという表示の案については、リノレン酸も生成されますけれども、海外でもそうですし、日本もそうでしょうけれども、主要な目的がステアリドン酸産生であるということであれば、消費者庁の提案に賛成いたします。

1つお聞きしたいのは、こういう形で不飽和の油が多いということを書く場合に、栄養表示として上乗せして、当該の物質と脂肪酸の中身についても書くかどうか、後で確認したいということが1点でございます。

それから、先ほども議論になっていましたけれども、遺伝子組換え作物について、日本では法律上は安全性が確認されたものが流通されないといけないことになっていまして、そういう点からいくと、今回、モンサント社が提案されたものについては、食品の分野では厚生労働省と食品安全委員会と、表示としては消費者委員会にかかって、3年間かかって関係省庁で審議を経た上で、今回出てきているものであって、一方では、同じく飼料としても混入する可能性がある関係から、同じ時期に平成23年、2011年に農林水産大臣のほうから、農業資材審議会の飼料分科会で議論は既に終了しております。そこで安全性の確認を2回してまして、最終的には答申として飼料としての安全性についても確認されているということです。

海外と安全性評価の仕方が違うにしても、日本としては食品の分野での安全性と、飼料としての安全性の確認をされている。これは海外では、カナダではヘルスカナダとCFIAで飼料と食品ということの2重に安全性確認されており、アメリカとEFSAは安全性の評価は飼料も食品も同じ分野でやっています。繰り返しになりますが、カナダと日本が同じような手続き(食品と飼料は別の機関)で、リスク評価およびリスク管理を行っています。

それから、安全性の中身について、今回、トランス酸の量について、食品安全委員会のほうで摂取される量も確認されているという評価書を見ましたので、そういう点からしても、最終的には今回、消費者庁の提案する表示の点については賛成いたします。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

立石委員。

○立石委員 不分別という表示が今、日本で認められているわけです。不分別ということは何が入ってもいいわけでして、安全性評価云々と関係なしに遺伝子組換え作物が入ってきても防御できないのです。現場で不分別ということは、全く分けていないわけです。ですから、ステアリドン酸を特別扱いすることについて、これは分別管理されたものがステアリドン酸大豆として、出てくる場合についてはそうかもわからない。ただし、流通の中で入っている可能性がありますよということについて、日本ではそういう表示を認めているわけだから、そういうことについては全く安全ですよと言い切れるかどうかわからないのです。そういうことを本当は議論すべきじゃないですか。

例えば、5%まで意図せざる混入というのが日本は認められていますけれども、EUの場合は0.9%とか、そういった議論を本当は早く始めないといけないときに、こういった議論に入るということが、私はどうも理解できない。

○阿久澤部会長 迫委員、どうぞ。

○迫委員 この食品表示部会のマターは、安全性が確認されて、厚生労働省で既にリストに挙げられたものについての表示をどうするかということを今、議論しようとしているわけです。遺伝子組換え食品に係る本論の議論というのはまた別の場面でされるべきものであって、今やらなければいけないことは、この表示をどうするのかを決定することだと思います。そういう意味で、既に承認されているものについて、表示のルールがないままに動いていくということは、消費者にとって全くメリットのないことでありますので、早急にこの提案のような形で進めていくべきだと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 河野委員。

○河野委員 私も、今の迫委員の御意見に賛成です。遺伝子組換え表示のあり方というのは、特に加工食品に関して言うと、なかなか議論があるところですけれども、そのことに関して言いますと、食品表示法で丁寧に後から議論することになっています。本日の議題は、ステアリドン酸産生大豆をどういうふうな形で表示するかということで、そのことに注力して議論すべきだと思います。

○阿久澤部会長 立石委員。

○立石委員 であれば、高オレイン酸大豆の基準によって法律が改正されたのが平成13年です。今、12年たって一個も入っていない。全く入っていない。要するに、過去の時点で入っても来ないものについて議論してしまった。それから、高リシンについても同じですね。ですから、入っても来ないものについて議論してしまって、いつでも入れますよということにして、12年たって全く入ってこない。であれば、本来、優先順位として大事なのは、国会の附帯決議にもあったように、遺伝子組換え表示についてはやるということが決まっているわけだから、それからやってもおかしくないのではないかということです。入ってこないわけだから、この改正はしばらく待ってください。

直近、この一、二年で入ってくることが想定されたり、業界団体からの強い要望があったり。私どもは穀物を扱っていますけれども、そういう話は全く聞きません。ぜひやりたいとか、そういう話があれば別です。私どもも穀物を扱っている団体ですから、よくわかっていますけれども、そういう話がない中でこのことをやるということは、アメリカのモンサント社から強力な圧力があって、ぜひそのことを申請させてくれということでやっているのだったら、そのことだけなのではないかと思います。

ですから、まず必要なのは、遺伝子組換え表示全般の議論を早く始めて、日本の遺伝子組換え表示をどうするのですかという中に、こういった問題も入れ込んでいく。プラス表示だけをするのではなしに、マイナス表示のことが新しい法律ができて必要な情報が提供されるという消費者の今の目線に遺伝子組換え表示が合っているのかという議論があって初めて、私は本来検討されるべきだと思います。

○阿久澤部会長 立石委員からの質問、意見、また河野委員からも意見があったかと思いますけれども、遺伝子組換えの問題につきましては、食品表示基準策定のめどがついたら、優先順位を決めて、ほかのものも含めて審議して、その基準を決めていくことになっているわけです。その辺のスケジュールについては、基準案策定のときにも立石委員から質問があったときに、優先順位を決めてやっていくということで、その準備はしているという御回答があったかと思います。

そういった意味でも、もうちょっとスケジュール感を明確にできるのではないかと思いますが、その辺を示していただければ、立石委員も多分納得いただけるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○竹田食品表示企画課長 何をいつからというのを具体的に申し上げるような段階では、まだないということでございます。それは、消費者庁の中で意思決定して、検討には随時着手してまいりますけれども、現時点で何を何年何月からと申し上げる段階にはございません。その点は御理解いただきたいと思います。いずれにせよ、消費者基本計画において、今、部会長がおっしゃったように、消費者庁としてやりなさいということが書いてございますので、その趣旨にのっとって、これから検討に順次着手してまいります。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○鬼武委員 すみません、先程の質問についてです。栄養表示は、当該の物質だけを書くのですか、それとも不飽和と飽和脂肪酸とか、今回提案の大豆はまだ市場に出ていないのでわからないのだけれども、そういうものもどこまで書かせるような形になるのですか。当該のものだけとなるのでしょうか。

○船田課長補佐 現行の栄養表示基準の適用の範囲ですけれども、栄養表示の基準等の取り扱いについて平成8年に出た中に、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律に基づく表示は除外しますという形になっています。よって、今回、ステアリドン酸産生について栄養表示を求めるということではありません。

○鬼武委員 必要ないとの理解でよろしいですか。

○船田課長補佐 ただ、そこは任意での表示になりますので。

○鬼武委員 市場に出ていないものを議論するのも何だけれども、結局、これをメインとしてコンセプトとして出すのだったら、多分、当該の商品というのは、分析したものとか、何らかの形で表記されると思うのだけれども、そういうときに基本的な栄養表示が必要とか。逆に言えば、例外ではなくてもそういう網かけが栄養表示としては必要な気がしたのだけれども、もし今回できないならいいけれども、その辺の栄養表示との関係の整理はどうなっているのか、伺いたかったのです。

○船田課長補佐 栄養成分の強調表示をすれば、それは栄養表示の基準の対象にはなります。

○鬼武委員 私の質問は大豆のステアリドン酸産生と強調するのであれば、そうした場合に不飽和脂肪酸という量を書くのではないですか。

○阿久澤部会長 迫委員、どうぞ。

○迫委員 現状の中では、先ほどおっしゃったJAS法関係の原材料として表示されるもの。例えば、ビタミンCとか、そういうものが原材料として入っている場合には、表示は任意ですから、してもいいのですけれども、しなきゃいけないというものでもないと。

今の話ですけれども、EPAとかDHAというものを強調表示として出したときには、確実にその表示が必要になりますけれども、このステアリドン酸について直接的に表示しなければいけないというものではないだろうと思います。現状ではそういう形です。これから先どうなるかは、また別の問題です。

○鬼武委員 私は整理してほしいと思うけれども、出す側はそうやって強調なり、そういうコンセプトでするのだろうから、それと栄養表示のことを整理しておかないと混乱すると思います。市場に出回る商品としては、前駆体ということで書けないなら書けないでいいかもしれないけれども、消費者への情報提供としては整理しないといけないような気がします。

○阿久澤部会長 板倉委員。

○板倉委員 鬼武委員とまたちょっと違う観点ですけれども、例えば脱脂大豆を使って、括弧書きでこういうことを書かれてしまうと、逆に消費者が勘違いしてしまう。脱脂大豆の後ろにステアリドン酸大豆組換えと書かれると、その言葉でかえって誤解というか、勘違いしてしまうという部分も、きちんと整理しておいていただかないと、さっきの質問との関係もありますけれども、余計な誤解も生じます。

強調表示としてステアリドン酸が前に出てくるときは、それなりの裏づけが必要になるのは考えていただくのが当然だと思います。それ以外にもわざと表に出して誤解を招くようにして、これは原材料の一部なのだから、別にそれは強調ではないと言われてしまうと困るというのが、消費者側からはあります。

○阿久澤部会長 池原委員、どうぞ。

○池原委員 1つ質問ですけれども、このステアリドン酸産生大豆が、昨日、リストに載って、きょうから流通する可能性が出てくるに当たって、この大豆に関する特性について、消費者・国民に対して内容を広く周知するような活動というのは、具体的にどこかされることになっているのでしょうか。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○船田課長補佐 周知活動といいますか、厚生労働省が何かしらするということは聞いておりません。リストに載せて、それをホームページ上で公表することが周知というのか、わからないところですが、消費者庁として、このステアリドン酸産生大豆について、今後何らか周知していくのかということについては、ちょっと検討させていただきたいと思いますけれども、今、流通してよいことになっているということについては、プレスリリースはしますけれども、周知ということは特段やっていない状況でございます。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○夏目部会長代理 立石委員がおっしゃっているような本来的な議論を別途の枠においてすることについて、私自身も割り切れない思いはありますけれども、それぞれの委員が御発言されたように、この場は表示について議論する場であることを考えますと、今までの特定遺伝子組換え農産物でありました2種類のものについては、現在まで流通実態がないということがございますけれども、きょう議論していただいているステアリドン酸産生大豆につきましては、流通しないという保障はどこにもないわけでして、むしろ機能性を訴える食品としては、今までの2つの特定遺伝子組換え農産物より、はるかに流通する可能性は高いだろうと私自身は考えております。

そういう意味から、きちんと表示基準をつくって、手にとる消費者にお伝えすることが必要ではないかなと感じております。例えば、鬼武委員や、ほかの委員からも出ました栄養表示の部分は、また別途検討する場があってもいいかなと思いますけれども、きょうのところは、御提示いただいた方向で表示基準をまずつくるということが早急に求められているだろうと思っております。

以上でございます。

○阿久澤部会長 立石委員。

○立石委員 夏目委員のおっしゃることはよくわかりますし、これを決めたところで何ら問題ないのだけれども、多くの消費者の方が今、表示義務がないわけですから、食用大豆は遺伝子組換えでないと思い込んでいる。ところが、これが出た途端。私は、メーカー側にとって、高オレイン酸遺伝子組換え大豆ですよということを明言してまで売ろうという誘因があるのかどうか、非常に疑問だと思います。というのは、御存じのとおり、納豆とか豆腐とかみそは遺伝子組換えでないという表示を書いているものが圧倒的に多いわけでありまして、それじゃないとほとんど売れないという状況の中で、わざわざ遺伝子組換えですよということを書いて、このことを売る必然性、誘因が私は働かないと思う。

だからこそ、今、言っているようなことで、なぜ特別に油とかしょうゆは書かなくていいのか。ヨーロッパは、全ての食品が対象になっているにもかかわらず、日本だけそういった特別な状況があるのかという話を早くしないと、消費者から見て混乱するのではないか。わかりにくいと言われているわけです。遺伝子組換え表示を、こちらは書いて、こちらは書かない。遺伝子組換え作物を原料に使っていると書けばいいのではないかと私は思うのですけれども、そういうことをまず議論しないと混乱しますよと言っているのです。

○阿久澤部会長 石川委員、どうぞ。

○石川委員 議論が2つの方向性で。大きな土俵の問題と。土俵の中で既に決まっている高オレイン酸等の流れの中で、今回のステアリドン酸産生の大豆の表示を策定する、それを、どうすべきかという点についての2つの流れがあると思います。いずれも表示の規制の問題でして、安全が確認されたものを表示するのは当たり前の話で、危険なものを表示せよというルールをつくろうとしているわけではないので、その安全云々という話は既に前提としてあるとして。表示のルールとして大枠がおかしいから、小さい個別の表示ルールを決めるのは問題だという立石さんの意見は真っ当な話ではあるのですけれども、大枠の話を今、するのは、なかなか大変だという皆さんの意見も私はわかります。

その意味で言うと、個別の消費者庁の提案についての意見は取りまとめをするとしても、国会の附帯決議のように速やかに大枠の問題に取り組むべしという意見をつけ加えるという形で進めると。ここの部会の議論の仕方としては、提案を受けて審議する形になっていますけれども、土俵づくりについても積極的に次々行きましょうと。

既に7月7日付けで、食品表示基準案という形で300ページを超える府令案が出ているわけでして、そこから多少の変更があったとしても、大枠も大体決まっている状況にあるように見えますので、次のテーマに入れる状況に来ているのではないかという点も踏まえて、附帯決議の遺伝子組換えの大きな枠組みについての表示ルールの見直しということを、この部会として提案する形でされてはどうかと思います。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○鬼武委員 表示のルールについては、先ほど申し上げたとおり、私の意見は特段ありません。むしろ、日本の中で、今、ステアリドン酸というのはいろいろな食品からとるのでしょうけれども、今後、もしこういう大豆由来の製品が市場に出た場合に、ステアリドン酸をとる量が従来と違ってくるということで、EFSAのレポートを見ると一番よくわかるのですけれども、EFSAでは、むしろそういう市場に出た場合にマーケティングとして、リアリスティックな摂取量のことをきちんとウォッチしなさいと記載されています。

むしろ、EFSAのような視点が重要であって、日本の場合も、これは厚生労働省に伝えていただければいいのでしょうけれども、こういうものが出た場合に、日本の食生活の中でステアリドン酸をとる量が従来と違った場合、安全性については、EPAとかDHAの前躯体になるということでプラスのことと考えているのでしょうけれども、そういう摂取量もしくは曝露量というものが、実際に市場に出た場合には必要だと思いますので、それはここの審議には直接関係ありませんけれども、むしろ厚生労働省なり食品安全委員会のほうで今後ウォッチする事項として、私としては、附帯事項として意見を持っております。

以上です。

○阿久澤部会長 池原委員。

○池原委員 私も、表示のルールといたしましては、本日から流通の可能性があるということであれば、それは遅いぐらいで、きっちり定めないといけないと思います。必須だと思います。また、それに当たって、先ほど伺いましたけれども、ステアリドン酸産生というものが表示される可能性があるのであれば、それが何物なのだということを広く国民・消費者の方に積極的にお知らせするというのは、私は必須ではないかと思いますので、ぜひそれは消費者庁に御検討いただきたいと思います。

以上です。

○阿久澤部会長 それでは、意見も出尽くしたと思います。附帯事項として、今後、遺伝子組換えの表示基準について、早急に検討するということをつけ加えたらどうかという御意見もありますが、これについてはいかがでしょうか。はい。

○板倉委員 私は賛成です。この場というのは、諮問機関ということで消費者庁から提案されることを議論するだけではない場だと理解しておりますので、私たち部会の委員がそういうことについて、先に検討したいと思われる委員が多ければ、当然先に進められても構わないのではないかと思います。ただし、ここの委員もそれぞれいろいろなお考えをお持ちでしょうから、どの委員がどういうお考えかというのはきちんと問われてから、お決めいただければと思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

それでは、部会の意見として、附帯事項として付記させていただいた上で、本日御提案いただいた改正案、表示基準案については次の手続に進むということでよろしいでしょうか。はい。では、これにつきましては異議がないということですので、ありがとうございました。

それと、きょう、遺伝子組換えの基準につきまして、意見あるいは課題等もいろいろ出てきていますので、その辺をぜひ参考に、大枠を決める準備のほうを進めていただければと思います。食品表示企画課のほうから、今後の手続きについて。

○船田課長補佐 いろいろ御意見いただきまして、それも踏まえまして、次の手続に進むわけですけれども、手続的には表示基準の改正の場合ですと、ここで了承を得られた後、こちらのほうでパブリックコメントとWTOへの通報をやります。その結果を、この部会でまた諮らせていただくことになりますので、よろしくお願いいたします。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

次に進みます。「『乳等表示基準府令』の一部改正について」、議論に入りたいと思いますが、資料の御説明を消費者庁のほうからお願いいたします。

≪3.「乳等表示基準府令」の一部改正について≫

○岩城課長補佐 食品表示企画課の岩城でございます。引き続きまして、私のほうから「『乳等表示基準府令』の一部改正について」ということで御説明させていただきます。資料といたしましては、資料2と、あと、先ほども話がありましたとおり、諮問書ということで、参考資料2-1で、裏面に新旧対照表がついております。参考資料2-2ということで、今回、食品表示部会に諮問しましたというプレスリリース。また、参考資料2-3といたしまして、ことしの4月に厚生労働省の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会の資料の抜粋をつけさせていただいております。

それでは、私のほうから、資料2について御説明いたします。

ページをめくっていただきまして、2ページ目、目次ですけれども、1、2、3に書いてあります見直し案につきまして、今回御提案させていただきたいと思います。

ページをめくっていただきまして、3ページ目になりますけれども、ナチュラルチーズの成分規格の設定に伴う表示基準の見直しについてですけれども、まず、ナチュラルチーズの成分規格設定の経緯でございます。

病原微生物でありますリステリア・モノサイトゲネスにつきましては、平成19年7月にコーデックスにおいて「食品中のリステリア・モノサイトゲネスの管理における食品衛生の一般原則の適用に関するガイドライン」が採択されております。そこで、我が国におきましては、リステリアの汚染実態調査が行われまして、当該調査の結果を踏まえて、平成23年2月に厚生労働省薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会において、我が国のリステリア・モノサイトゲネスに係る規制についての検討が行われております。

これらの審議結果を受けまして、厚生労働省から食品中のリステリアに係る食品健康影響評価を食品安全委員会に要請いたしまして、その食品健康影響評価結果に基づきましてナチュラルチーズのリステリアの規格基準の設定について、下の黄色い枠にありますけれども、「ナチュラルチーズ(ソフト及びセミハードのものに限る。)の成分規格として、リステリア・モノサイトゲネスについては、国際的に設定されている100cfu/g以下(ただし、LMは加熱すると死滅することから、容器包装に入れた後加熱殺菌したものや飲食の際に加熱を要するものは除外)」という規格基準の設定につきまして、上の3ポツに戻りますけれども、厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会に諮問されたところでございます。

この規格基準の設定に伴いまして、次の4ページ目、ナチュラルチーズの表示基準見直し(案)ですけれども、厚生労働省において、ナチュラルチーズ(ソフト及びセミハードのものに限る。)の規格基準が設定されることに伴いまして、当該食品に規格基準が適用されるか否かを判断するための表示といたしまして、下の青枠に示しておりますけれども、「ナチュラルチーズ(ソフト及びセミハードのものに限る。)であって、容器包装に入れた後加熱殺菌したもの又は飲食に供する際に加熱を要するものにあっては、加熱殺菌した旨又は加熱を要する旨」を新たに「乳等表示基準府令」に追加するという見直し(案)を御提案させていただきたいと思っております。

対象となりますソフト及びセミハードの定義につきましては、下の黄色い枠に参考として示しておりますけれども、コーデックスのナチュラルチーズの一般規格にいう識別語の定義を満たすものということになっております。具体的には、その下に数式が書いてありますけれども、チーズから脂肪の重量を引いたものの水分のパーセンテージをMFFBと呼んでおりまして、この値がソフトの場合だと67%以上、セミハードの場合は54~69%と定められておりまして、これをもとにソフト、セミハードを判断することになっております。

続きまして、5ページ、2つ目といたしまして、発酵後に殺菌する発酵乳の表示の見直しになります。

まず、発酵乳につきましては、食品衛生法第11条第1項に基づきまして、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」によりまして規格基準が定められております。乳等省令におきましては、発酵乳の成分規格といたしまして乳酸菌数又は酵母数は1ml当たり1,000万以上と定められております。

これを踏まえまして、次の発酵乳の規格基準の見直しの経緯になります。発酵後に殺菌した発酵乳は、加熱によりまして乳酸菌数又は酵母数が成分規格を満たさないということで、「発酵乳」ではなくて「乳等を主要原料とする食品」に現行では分類されております。一方で、発酵後に殺菌した乳酸菌飲料につきましては、成分規格のうち、乳酸菌数又は酵母数につきましては、適用除外という規定がありまして、発酵後に殺菌された乳酸菌飲料につきましては、乳酸菌数又は酵母数の成分規格に関係なく乳製品として取り扱われておりまして、発酵乳と乳酸菌飲料で齟齬が生じているということがございます。

また、発酵後殺菌した発酵乳は、国際的には発酵乳の範疇に含められているということになっております。

以上のことから、実態に即した規格基準となるよう、発酵後に殺菌した発酵乳につきましても、発酵乳の成分規格のうち、乳酸菌数又は酵母数につきましては、適用除外とする見直しが必要であるということから、乳等省令の改正といたしまして、厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会に、発酵後に殺菌した発酵乳についても、成分規格のうち、乳酸菌数又は酵母数の適用除外とすることを諮問されております。

この規格基準の見直しを踏まえまして、次の6ページですけれども、発酵乳の表示基準の見直し(案)として、厚生労働省において、発酵後に殺菌した発酵乳について、成分規格のうち、乳酸菌数又は酵母数について、適用除外とする見直しが行われることから、発酵乳を表示基準に加えまして、殺菌した発酵乳及び乳酸菌飲料にあっては、その旨を乳等表示基準府令に追加するという2つ目の見直し(案)を御提案させていただきたいと考えております。

下に表がありますけれども、現状では発酵後に殺菌した発酵乳につきましては、表の一番右側にありますように、乳等を主要原料とする食品に分類されておりました。黄色い部分にあります乳酸菌飲料につきましては、種類別の後に殺菌という表示を行うことで、乳製品の範疇に入っておりました。今回、ピンクの部分になりますけれども、発酵乳についても乳酸菌・酵母数の除外規定を設けまして、乳製品に分類されるという見直しでございます。

その下に※マークで示しておりますけれども、現行では殺菌した乳酸菌にあっては、その旨をそれぞれの種類別の表示に併記することを通知で指導しておりますので、発酵乳も同様の扱いとして、種類別の後に「(殺菌)」という表示を通知で示していきたいと考えております。

続きまして、7ページの低温で発酵した発酵乳次及び乳酸菌飲料の表示についてということですけれども、低温で発酵した製品の乳酸菌数の測定法の見直しになります。

背景といたしましては、一般的な発酵乳に用いられている乳酸菌の増殖の至適温度は、35度から40度であります。そのため、乳等省令の中に示されております乳酸菌数の測定法におきましては、「35度から37度までの温度で72時間培養する」ことと定められております。

一方で、培養の至適温度が20度から30度の乳酸菌を発酵に用いるカスピ海ヨーグルトとか北欧のビーリなどの伝統的な発酵乳製品の製造も現在行われてきておるところでございます。

そこで、伝統的発酵乳の製造に用いられます、至適温度が25度前後の低温で培養される乳酸菌を用いた発酵乳につきましては、現行の乳等省令で定められた培養温度が35度から37度と、高い温度での測定方法では、乳酸菌数が適切に測定されないということがございまして、発酵乳の成分規格を満たさない結果となっております。

このため、成分規格に適合するようにするために、国内で販売されている、このような伝統的な発酵乳の製造におきましては、36度前後で増殖する一般的な乳酸菌も加えて製造されておりまして、結果的に本来求められている製品の製造をすることができないという状況になっております。

そこで、次のページになりますけれども、発酵に使用する乳酸菌の至適温度を考慮した測定法であるべきことから、乳等省令で定められた測定方法を改正し、「製造時の発酵温度が25度前後の製品にあっては、24度から26度」を追加する。

また、乳酸菌飲料についても、今後、同様の伝統的な乳酸菌を用いた製品の製造が考えられることから、乳酸菌飲料も対象にするという見直しが行われるところで、今回、厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会に、低温で発酵した製品の乳酸菌数の測定法の見直しについて諮問されたところでございます。

この乳酸菌数の測定方法の見直しを踏まえまして、発酵乳の表示基準の見直し(案)ということですけれども、厚生労働省において、発酵乳及び乳酸菌飲料について、低温で発酵した製品の乳酸菌数の測定法が設定されることに伴いまして、低温で発酵した製品であるかを判断するための表示といたしまして、今回、「発酵乳又は乳酸菌飲料であって、製造時の発酵温度が摂氏25度前後のものにあっては、その旨」という表示基準を新たに「乳等表示基準府令」に追加するという御提案になります。

その下に一覧表をつけておりますけれども、今回、この見直しが行われれば、発酵乳、乳酸菌飲料の表示に、例ですけれども、低温発酵という表示をさせるということになります。

次のページが、以上説明した表示基準の見直し(案)を示した乳等表示基準府令になります。表示の第3条第2項の三の乳製品の中に、それぞれナチュラルチーズ、発酵乳の表示基準をこのように見直しを行うということでございます。

この案で御承認いただきましたら、先ほど話ししましたように、パブリックコメント、WTO/SPS通報を行いまして意見を聞きまして、その意見に基づきまして、再度、食品表示部会にかけて乳等表示基準府令の改正を行うことになります。その後に食品表示基準への移行をすることを考えております。

次のページ、10ページ目がタイムスケジュール(案)ということですけれども、まず、左側の消費者庁ですけれども、発酵乳、ナチュラルチーズの表示基準の見直しですけれども、今回の食品表示部会におきまして承認いただければ、予定ですけれども、8月にパブリックコメント等を行い、これも予定ですけれども、9月に再度、食品表示部会に諮りまして、年内に府令の改正を行う予定としております。

一方の厚生労働省につきましては、発酵乳の規格基準につきましては、既に6月にパブリックコメントを実施しているところだと聞いております。ナチュラルチーズにつきましては、これからパブリックコメントをするということを聞いております。いずれにしても、厚生労働省におきましても省令改正を年内に行う予定となっておりますので、厚生労働省と調整しながら進めていきたいと考えております。

最後に、11ページに参考ということで、乳等表示基準府令の新旧対照表をつけております。改正案の赤字で示してありますけれども、今回、このような改正をしたいということの御提案でございます。

私のほうからは以上でございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

ただいまの資料2について、皆さんから御意見ございましたら、お願いいたします。鬼武委員。

○鬼武委員 表示の案について、少し確認したいことがあります。

1つは、低温で発酵した乳酸菌ですけれども、7ページで伝統的発酵乳というのがあって、伝統的発酵乳というのは至適温度が二十五、六度ということでいいでしょうか。それと、その後に提案されている、今回は伝統的発酵乳のことを読みかえて低温発酵ということで、表示としてはしたいという御提案でしょうかというのが1点目です。

それから、これは消費者委員会のマターであるかどうかわかりませんけれども、発酵乳の場合は乳酸菌数が1,000万以上というのは表示されていないのでしたか。

○阿久澤部会長 されていないですね。

○鬼武委員 わかりました。では、これはここのマターじゃないのかもしれませんけれども、今度から分析法が二十五、六度で培養してやる場合に1,000万というのは確認できることがもう既にやられているかというか、それがないと表示する意味がないと思うので、そこの部分を確認したいということです。

以上です。

○阿久澤部会長 お願いします。

○岩城課長補佐 まず、低温発酵の至適温度ですけれども、厚生労働省の乳等省令の基準では、先ほど説明したとおり、培養温度が25度前後の製品にあっては24度から26度となっております。

また、次の表示の方法ですけれども、先ほども言いましたように、今回、例示として低温発酵という書き方をしていますけれども、乳酸菌飲料の通知を参考に、種類別の後に低温発酵だと判断できる表示であればいいと考えておりますので、実際の発酵温度とか低温発酵など、通知等で示していきたいと考えております。

○阿久澤部会長 はい。

○鬼武委員 伝統的発酵乳を読みかえて、今回、表示としては低温発酵ということで提案したいという趣旨でいいのですね。伝統的発酵というのはどういう意味か、具体的に定義されていないのでわからないのだけれども、その関係で今回は、従来の発酵した温度と違うタイプのものが出てきて、ここは表示部会なので、表示するやり方としては、低温発酵という表記で提案したいというのが1つ目です。

あと、温度帯について実際に1,000万というのは厚生労働省のマターかもしれない。それは聞いてもらったらいいのだけれども、それできちんと菌数も確認できるのですね。そうしないと、低温でも1,000万以上ないと発酵乳と呼ばないわけでしょう。その辺が定義としてできるのですかということです。その2点を確認したい。

○岩城課長補佐 その点は、実際に成分規格で定められるわけですので、問題はないと思います。

○阿久澤部会長 ある意味、これは非常に大きい問題でして、これからは、25度前後を低温発酵と、認識する。それでいいのかということですね。

○鬼武委員 気になったのは、実際に商品として、それが確認できているのかの点に疑問が残っています。

○阿久澤部会長 25度前後ということですので、何度までを低温発酵と呼べるか。24から26と書いていますが、府令のほうでは25度前後ということですね。ですから、とり方としてはどの辺までを低温発酵という新たな言葉として、温度との一致がとれるのかということですね。これは非常に大きな問題かなと私は思います。

○岩城課長補佐 乳等省令で温度が24度から26度と定められておりますので、表示基準につきましては、規格基準に基づく表示でございますので、その数値を準用すればいいと考えております。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○迫委員 今の関連でちょっと質問です。私はここの低温発酵は一つの例示と考えていたのですが、「製造時の発酵温度が摂氏二十五度前後のものにあっては、その旨」ということなので、低温発酵という例示もあってもいいですけれども、25度前後とか、24から26度とか、そういう温度帯を明確に書くということも含めて、幾つかの表示方法があると。そして、それを通知、その他Q&A等でお示しいただくという形かということで考えていたのですが、その辺はいかがなのでしょうか。

○阿久澤部会長 はい。

○岩城課長補佐 私どももそのような考えで、通知で示すことを考えております。

○阿久澤部会長 はい、板倉委員。

○板倉委員 ナチュラルチーズのほうについてですけれども、11ページで、「容器包装に入れた後加熱殺菌したもの又は飲食に供する際に加熱を要するものにあっては、加熱殺菌した旨又は加熱を要する旨」という書き方になっていて、こちらのほうについては具体的な例示がないわけですね。以前から、凍結前加熱の有無も含めてですけれども、消費者にとって非常にわかりにくいところがありますので、この部分についてはまとめて、また整理していただくことが必要なのではないかという気がしています。
ナチュラルチーズも、加熱の表示の義務のあるものと加熱の表示の義務のないものがあるわけですね。ですから、その辺も含めて、どうすれば消費者にとって誤解がないものになるかについては、ぜひ一度、場を設けて議論をお願いしたいと思います。

このものに関して言えば、加熱殺菌しないと場合によっては食中毒が起きることもありますし、実際に輸入されたもので回収という問題も25年にはあったようですので、そういう意味で、加熱しないと食べられないことがはっきりわかることは非常に重要なことだろうとは思っております。

○阿久澤部会長 関連で、この目的はリステリア菌を死滅させるということですので、それで「加熱殺菌した旨又は加熱」ということなのですが、そうすると、この加熱というのは、板倉委員の質問とも重なるかと思いますが、何度ぐらいの温度領域を指すのか。加熱ですから、チーズの場合、40度ぐらいから溶けた形での利用は可能かと思いますけれども、リステリア菌はそこでは死滅しない。そういうことが起こりはしないかと心配するのですが。はい、立石委員。

○立石委員 このリステリア・モノサイトゲネスの改定ですね。これは、従来は輸入であれば陰性でないとだめだという理由でもって入ってこられなかったことが、100cfu/gまではいいですよと緩和されたことと。あわせて、加熱という表示をすれば陰性でなく菌数は幾らでも構いませんよ。どんなにリステリア菌が多くても構いませんよということでチーズが入ってくるということです。

ということは、消費者の衛生に関するリスクが極めてふえるということです。今までは、このリステリア菌によってどのぐらいリスクがあったのかとか、この表示の部会では関係ないかもしれませんけれども、実は私はこのことが非常に気になっていまして、誰がこのことをわざわざ緩和して進めようとしているのか。どなたがこのことを厚生労働省に働きかけて、わざわざリスクの高い状態にするということをもくろもうとしているのかということが、まず非常に気になるところです。

というのは、先ほど配られた参考資料2-3を見ても、(2)食品健康影響評価結果概要のマル4に書いてあります。「免疫機能が低下している感受性集団は健常者集団よりもLM感染症のリスクが200倍高い」ということは、弱者にとって、このリステリア菌について極めて危険な状態ですよということを書いてあると私は読んだのだけれども、そういった中で、コーデックスの基準がどうのとあるけれども、コーデックスは食品の製造・輸送等に当たり6度を越えないようにと書いているけれども、日本のチルド輸送は6度を担保していないですね。10度以下となっているわけですから、そういった現状を踏まえて、こういった菌が一旦増殖を始めたらどれぐらいふえていくかわかりませんけれども、ふえ続ける。

そうしたら、こういった方々に影響があるということを、安全委員会は流通面も含めて検証されたかどうかわかりませんけれども、我々は流通をやっている人間だから、そこが非常に気になるところです。そういうことを、今回あえて、このリステリアについてやることについて、私は正直言って理解できないし、なぜやるのか。基準を緩和してまで認める必要があるのか。なぜ緩和してまで、流通面で温度帯が担保されていない中で、このことをやっていくことについて説明いただきたいと思います。どなたがこれを今、推進しようとしているのですか。

○阿久澤部会長 消費者庁、お願いします。

○岩城課長補佐 まず、安全評価の部分につきましては、厚生労働省と食品安全委員会で議論が行われております。評価書を見ますと、リステリアの食中毒というのはかなり多量の菌を摂取しなければ発症しないということが1つありまして、健常者であれば、10,000の菌を摂取しても症状が出ないという報告があります。

あと、先ほど流通の話がありましたけれども、リステリアについては検査のみで安全性を確保するのではなくて、製造現場の衛生管理の徹底でありますとか、先ほど言った流通時の温度管理、あとは使用する添加物等によって十分管理ができるということで、今回、100個以下という基準が示されていると思います。また、輸入もされていますので、国際基準も考慮されていると思います。

また、保存基準につきましては、厚生労働省としては定めておりませんが、今後、通知等で事業者に対して指導していくこととされております。

○阿久澤部会長 はい。

○立石委員 今、輸入品について、恐らく非関税障壁的な圧力があって、初めてこのことを緩和してくれということで基準の見直しをやったと私は理解している。というのは、過去に厚生労働省の汚染実態検査を見ても、輸入品からはリステリア菌は見つかっているのだけれども、国内産のチーズからは見つかっていないのです。そういったことで言えば、今はそういったものを陰性しかだめだということで、輸入品をはね飛ばしているわけです。それを、今回はゼロじゃなしに100までいいですよ。

それから、加熱という表示をしたらいいですよ。加熱ということが、実際に今の日本の消費者の中に浸透しているのですか。チーズを加熱して食べるという習慣について、本当にあるのかどうか。実際に表に加熱とあっても、生で食べられますよと書いてあるチーズもあるわけです。そういった今の表示全般について、消費者が選ぶときに加熱ということについて、生でも食べられますよと書いてある実態を踏まえて考えたときに、このことを認めてよろしいのですかと。ちゃんとした流通の担保、10度以下というチルド流通がある中で、6度というコーデックス基準を担保できない実態を踏まえたときに、このことをあえて認めることを私は全然考えられない。必要ないと思います。

あえて日本の食の安全基準を緩めていくことについて、なぜ食品安全委員会とか厚生労働省はそこに対して手を貸していくのか。輸入業者の強い圧力があって、その後ろには海外からの圧力があるのかもしれないけれども、そういったものについて日本の食の安全性を脅かすことについて、私は全然納得できません。

○阿久澤部会長 板倉委員。

○板倉委員 ここは表示の話だけの議論になると思うので、立石委員の御懸念はよくわかるのですけれども、認可されてしまう場合に表示としてどうあるべきかということですが、私が心配しているのは、低温で冷蔵庫でもふえるということを消費者が余り認識していないということなのです。チーズというのは割合と長持ちするものですから、家に持って帰ってから食べるまでの間、冷蔵庫に入れておいて、その間にふえてきたときに、本当に加熱して食べなきゃいけないという認識を持っていただいて、食中毒を防ぐためにどういう表示が必要かというのも考える必要があると思っています。

ですから、十分加熱しなきゃいけないということもわかるようにしなきゃいけませんし、当然、加熱むらがあるような電子レンジといったものの場合も問題があるだろうと思います。冷蔵庫に入れておいてもふえるという認識まで、表示で何か示すようなことがなければ、消費者教育不足という意味でも問題は起きると考えております。特に、日本では余り死亡例は聞いたことがないですけれども、海外ではこのリステリア菌でも死亡している方が数あると聞いていますので、非常に心配しております。

○阿久澤部会長 ほか、ございますか。はい。

○鬼武委員 別の点でコメントペーパーも出したのですけれども、1つは、ナチュラルチーズの今回の表示基準の見直しの中で、国際基準のコーデックスの規格基準のほうを参照するということだったのですけれども、薬・食審の参考資料2-3でも4種類あるチーズということで、現行のコーデックスの一般原則に書かれている4つのものと、今回お示しいただいた2つのもの、その辺の整合性はどうなっているのかというのをお尋ねします。今日お示しできなければ整理していただきたいということが1つ目の点です。

それから、WTO通報する場合には、従前、“ナチュラル”ということがナチュラルミネラルウオーターで国際的には結構議論を呼んで、ナチュラルという言葉自体は非常にセンシティブな言葉だと私は理解していますので、日本が独自にナチュラルチーズと国内で用語としては使っているのでしょうけれども、この使い方は、WTO通報するときには慎重にやらないと、海外からその指摘を受ける可能性がありますので、その点は注意していただきたいのが2点目の意見です。

それと、発酵乳についてもコーデックスの規格がありますので、それを参照していただいて、それと国内の規格ということで、その辺をレファレンスしてもらって、そういう資料もつけていただければと思います。これは要望であります。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

消費者庁、どうぞ。

○岩城課長補佐 まず、ナチュラルチーズの4つのタイプの話ですけれども、現行では日本ではソフトとセミソフトという呼び方をしているのですけれども、コーデックスではソフト、セミハードです。今回、コーデックスに合わせたということですので、その点は問題ないと思います。

あと、WTO通報につきましても、ナチュラルチーズという用語がコーデックスにはないということですけれども、先ほど言いましたソフト、セミハードで諸外国は十分理解できるということで、これも問題ないと考えております。実際に厚生労働省で、パブリックコメントはこれからとのことですけれども、WTO通報は既に前倒しで行っておりまして、これについて特段、諸外国からの意見はないと聞いております。

○阿久澤部会長 立石委員。

○立石委員 ナチュラルヂーズ自体が、いわゆる加熱処理されていないチーズという形で認識されていて、今回、加熱してオーケーですよと表示すること自体が、消費者に本当に一般浸透できるのですか。ナチュラルチーズというのは、私は加熱処理しないで生で食べるというイメージしかないのだけれども、そういうことでいくと、表示ということでこういうことを緩めてしまえば、安全委員会は関係ないわけですから、そういう形で表示に加熱と書けばいいですよと言ってしまえば、そのとおりです。しかし、そのことが守られるかもわからない。

だけれども、実際そのことができるかどうかは別問題だと思うから、本当にそこはできるのですか。皆さん、浸透できるのですか。加熱して食べてくださいよという表示があるチーズが海外からどんどん入ってきたときに、ナチュラルチーズと書いてあって、ピザ用の私などがよく食べているのは加熱と書いてあるけれども、生でも食べられますと書いてあるわけだから、そういった実態の中でそのことが本当に担保できるのですかということを言っているのです。

表示の面でそういったことを知らない消費者が多い中で、できるのですかということを確認したいし、実際、リステリア菌によって、今どのぐらいの患者数が出ているかとか、そういうことがきょうも全然公表されていませんね。重篤な症状も出て、海外では毎年食中毒で問題になっているのを聞いていますし、そういうことについて情報が全然ない中で表示だけ認めなさいということは、私は非常におかしいと思っています。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○岩城課長補佐 まず、食品健康影響評価結果の中で、実際、我が国のリステリアの食中毒で、厚生労働省の食中毒統計にどのぐらい事例があるかというのが示されておりまして、リステリアが食中毒の原因として報告された事例は過去5年間ないという報告があります。ただ、本菌の汚染として、ナチュラルチーズの摂取によって健康被害が起きた集団事例が1件、論文として報告されているということで、リステリアの食中毒については、食品健康影響評価の報告書では、過去に1件あるという報告がされておりまして、結果として、日本ではリステリアの食中毒の発生は少ないという報告となっております。

あと、表示で安全性の確保ができるかということですけれども、先ほどの参考資料2-3にありますように、リステリアにつきましては大量に摂取しなければ食中毒のリスクは低いことと。

あとは、温度管理でありますとか、保存期間の設定とか、これらについては科学的根拠に基づいた設定を厚生労働省のほうで事業者に指導するということと。pH、水分活性、食品添加物の使用で、リステリアについては十分管理可能だという評価結果に基づいて示された基準値であると思います。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

はい。

○立石委員 食品安全確保総合調査というのを見ると、「リステリア症発生の際の報告義務が病院等に課せられないため、正確なデータが得られていません」と書かれていますし、それから、「厚生労働省は病院へのアンケート調査を行い、その結果から我が国では平均して毎年83件のリステリア症が発生していると推計しました」ということ。それから、発生事例の6%が出産に関連するもので、患者は1歳以下もしくは60歳以上が半数以上を占め、致死率は約21%でありと書いてあるのですけれども、これは事実ですか。こういうことが今、言っていることには欠けているのではないかということです。

これは、また捏造とか言われますから確認したいのですけれども、そういうことが安全確保総合調査の資料に出ているのですけれども、間違いないのかということをまず確認したいと思います。

○阿久澤部会長 消費者庁、いかがでしょう。

○岩城課長補佐 詳細は私も確認していませんので、はっきり申し上げられませんけれども、先ほどから申し上げていますように、安全性評価につきましては、厚生労働省と食品安全委員会ですでに実施されたものでありまして、現在、厚生労働省で、このリステリアの規格基準につきましてはパブリックコメントをかけておりますので、安全性についてはそちらで意見を言っていただければいいと考えております。

○阿久澤部会長 どうぞ。

○鬼武委員 ここの部会で議論することではないと思いますけれども、リステリア菌については、食品安全委員会の調査事業で3年間の報告が、今年出るようになっています。それで、海外と日本でリステリア菌の汚染実態も、ヨーロッパのほうでは、従前から言われている生乳を使ったチーズによる中毒が多いのでしょうけれども、日本の場合の汚染実態としては、ready-to-eat食品では、水産加工品とか生ハムみたいなものが多いと記憶しています。

一方で、タイプ別で食品健康影響評価の結果も、国立医薬品食品衛生研究所の研究報告が多分そのうちに出ると思いますので、そこの中で、現状、日本における摂取の問題と食品健康影響評価についての最新のものがもうすぐ出ると思いますので、そこを見ていただければと思います。参考までに発言しました。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

それでは、まだこの後もありますので、この課題につきましては、これでよろしいでしょうか。はい、石川委員。

○石川委員 ナチラュルチーズの特性について、よく理解していないのですけれども、低温で保存しないと菌がふえて問題であるというのであれば。

○板倉委員 低温で保存してもふえるのです。

○石川委員 低温であってもということですと、食品を摂取する上での安全性確保の表示としては、保存方法について何らかの義務を課すことも必要ではないか。加熱を要するというのは調理方法みたいな話ですけれども、その方法についてももうちょっときめ細かく表示ルールを決めるとか、規格基準を現行よりも少し緩やかにするというのであれば、それにあわせて製造・輸送工程についても若干変わるのでしょうけれども、消費者が購入された後の保存管理、調理の方法についても、どれだけよく理解されているのかわからないというお話がありましたので、その点について表示でカバーする部分も多分にあるだろうと思うので、その点についてもう少し検討してみたらどうかと思います。

だから、規格基準に合わせた表示ルールの変更というのは、それはそれとして、それ以外にプラスアルファで、より安全を確保するためのルールを検討されたらどうかと思います。

○阿久澤部会長 そうしますと、今回の提案に対してはこれで良いということでよろしいですか。

○石川委員 規格基準と表示がばらばらのルールになってしまうこと自体がおかしいと思います。それを一つの組織で議論していないので、こういうことになっていると思います。だから、最初の安全規制の問題について、立石さんがおっしゃっているのはそのとおりで、問題という意識があったとしても、それを先に決められて、表示だけ違うルールというわけにはいかないので、その部分は修正というよりも、動かざるを得ないのですが、それ以外の部分でカバーできるものがないかをもうちょっと検討したらどうかという意見です。

○阿久澤部会長 どうぞ、消費者庁。

○岩城課長補佐 それにつきましては、参考資料2-3の裏面になるのですけれども、(3)保存基準のところで、先ほど申し上げましたとおり、下から4行目、また、成分規格の適用は販売時であるが、リステリアの増殖がおきる食品については、保存可能期間は100以下を下回ることを、事業者には科学的な根拠により示す必要があることを通知で指導するというのが厚生労働省の対応になっております。

その下の(4)その他の措置の2つ目の○になりますけれども、先ほど石川委員が言われたようなことで、保管期間の適切な設定は、リステリアのリスク管理に重要なことであるから、食品期限表示の設定については、すでに一般指標として示されている低温細菌残存の有無の評価について徹底が図られるよう消費者庁にも要請するということで、まだここには正式な要請はないのですけれども、上の保存基準の部分と厚労省のほうからは、通知と一緒に示すという方向があるという提案はございますので、そのような要請があった場合には対応していきたいと考えております。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

はい。

○立石委員 ここに書いてある「食品の製造・輸送に当たって、6℃(できれば2℃~4℃)を超えないように」ということは、今、通知で出すと言ったけれども、現実はチルドというのは10度以下なのだから、このことが担保される保障はどこにもないわけですし、分別して出せと、このナチュラルチーズについてはそういうふうに書くとか、そういうことがあって初めて、今、言ったように菌の増殖というのについて担保できるのだけれども、そこはどうなのですか。実際、あとは業者任せですよと。現状の物流の中で言ったら、そんなことがきちんとできるか。私はそうは全然思っていないから、10度以下でやっているということになると、2度から4度が望ましいという中でも、6度以上だったらどんどん増殖していくわけでしょう。

そういうことについて、そこは知りませんよ。あとは業者の問題ですから、ふえたって食品安全委員会も厚生労働省も関係ありませんということであれば、これは非常に無責任だと思うのだけれども、いかがですか。

○阿久澤部会長 消費者庁、いかがですか。

○岩城課長補佐 繰り返しになりますけれども、この基準につきましては厚生労働省、食品安全委員会のほうで、日本の実態調査とか、いろいろなデータを科学的知見に基づいて示されておりまして、また保存基準でありますとか成分規格とか、これらの対応を適切に実施すれば安全性は担保できるという考えに基づいて、規格基準の見直しが行われているものと考えております。

○阿久澤部会長 それでは、多くの御意見をいただき、また、さらなる議論も必要だろうという論点も挙げられました。それらにつきましては諮問として上がってきた際に、そこでの検討ということにもなろうかと思います。ここでは表示基準案として今回御提案いただいた内容については、特に変更するところはないかなと判断しているのですが、最初に御説明があった内容で次の手続に進むということでよろしいでしょうか。

○立石委員 私は、反対です。このナチュラルチーズ表示基準見直しの最初のところについては、リステリア・モノサイトゲネスについては反対です。こういうことをやる必要は全く感じないですし、表示でカバーする必要はないと思います。私は、明確に反対を意思表示します。

○阿久澤部会長 反対の方もあったということも含めた形で手続のほうに進み、また諮問いただいたところでの検討ということになろうかと思います。したがいまして、この後の手続につきましては、冒頭説明していただいた内容でよろしいですか。はい。

それでは、予定しておりました議題は以上ですが、冒頭説明いたしました「下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせ」に関する意見書について、立石委員より御発言をお願いいたします。

≪4.その他≫

○立石委員 質問書ですけれども、これは、本日の協議の中で私が先ほどから申し述べているような、国が考えている考え方、方向性と合わない意見についての排除。要するに、これは表示の議論だから、今、言ったような背景があることを、私はきょう、意見書を出そうと思ったのだけれども、意見書は24時間前までに出してくださいと。それから、それが座長の意に沿わなければ排除できますよということが申し合わせに書かれているわけです。きょうは、私、意見書を出さなかった。だから、全部口頭で言ったのです。私は、このリステリア菌についても、それから最初の遺伝子組換え食品に関する品質表示基準の改正だって出したかったのだけれども、出しても、これは関係ありませんと言ってしまえば排除されるわけです。

これは公的な場で行われているわけだし、私は今までここで発言したことは全部責任を持っていますし、そのことについては、問題があれば、当然のごとくバッシングを受けているわけですよ。マスコミの方も厳しく私を排除しようとして、さまざまなことを書かれますし、誹謗中傷、さまざまこれまでも受けました。でも、それは私が公人で、ここできちんと責任を持って発言する以上、やむを得ないと思っています。でも、そのことを事前に座長の一任で排除できるとするということがあるのかなというのが、私は正直言って疑問に思いました。日本の国でこういった委員会で、公的な場で行われていて、そんなことがあっていいのか。

この申し合わせは、私を多分標的にしているのだろうとマスコミは既に書いています。ということは、私が過去に出したいろいろな意見書とかが意に沿わなかったということであれば、そのことを言っていただきたい。私、意見書をこれまでも幾つか出しています。

食品表示部会で第26回に出しています。これは、「調査会」設置への消費者委員会の対応への質問ということで、河上委員長と阿久澤部会長に出しました。このことは、この場では配られましたけれども、実際に後日のホームページには公開されませんでした。だから、これは多分意に沿わなかったのでしょう。

その後、議事進行に関する「質問書」、第2回栄養表示調査会、それから第3回栄養表示調査会の「トランス脂肪酸に関する意見書」は、ほとんど何も発言もさせてもらえませんでした。

次の第28回食品表示部会の中でも、「義務化の対象成分について」の再検討の提案を出しました。これが対象になるのかどうか確認したいですし、その後、このことを受けて食品安全委員会が、私が説明もしていない中身について、いきなり「消費者委員会食品表示部会及び栄養表示に関する調査会に提出されたトランス脂肪酸に関する立石委員提出資料について」ということで、かなり厳しい、私に対してのバッシングをされました。このことが、今回の申し合わせについて影響があったのかどうかということです。

裏のページを見ていただきたいのですけれども、「議長の権限」。実際にこんなことが申し合わせで退去できる不穏当な言動。今、言っている私のような発言は不穏当な言動なのかどうかわかりませんけれども、そういったことが過去にあったのであれば、そのことを言っていただきたい。立石委員は退出するに値することが、これまで私が言った言動の中であったかどうかということをまず確認させていただきたい。

それから、議長の運営。座長の運営は、第2回栄養表示調査会。これは、ここにいらっしゃった方は皆、わかっていると思いますけれども、あのような理不尽な運営をされる場合の、このことについて対処方法を教えていただきたい。一方的に委員だけを指名して、オブザーバーに発言させない。それから、意見書を出しても取り上げていただけなくて議事を強制打ち切り。こういうことがされているということです。

それから、資料の配布についても、24時間ということを言われていますけれども、前の日の直前に来たりしているわけです。これはこれからどうするのですかということ。

最後に書いているのは、議決に際して、「異議なし」という声がない中にもかかわらず、「『異議なし』の声あり」とか。これは慣行でそういうふうに決められているのかわかりませんけれども、そういったことが実際にあったわけですから、そういうことも含めて意に沿わない。そういうことを書けば、当然意に沿わないわけですね。私は意見書を出しました。そのことは完全に排除されるわけです。

最後に書いているのは、事前配布資料と当日資料が大きく変わるということも現実にあったわけです。それも義務表示であることが突然前の日に変わっていて、委員に連絡がない。こういうことが起こっている調査会があるわけですよ。

そういう事実を踏まえて、今回の申し合わせに対して、私をターゲットにして出されたのかどうかも含めて、今、言ったことについて事務局長からお答えいただきたいと思います。事務局長とは、私が言ってはいけない。申し訳ありません。

○阿久澤部会長 今、意見書の内容について確認させていただきたいという立石委員からの要望ですが、事務局のほうから何かございましたら、お願いいたします。

○黒木事務局長 この申し合わせが取り決められました本会議の場で、委員長からも明言されておられましたけれども、過去の何かとか、特定の下部組織を想定した上で定めたものではないというものでございますので、今の立石委員の御質問に対する回答は、そのようなものではないと。

それから、運営に関する改善の要望等につきましては、必ずしも申し合わせに対するものではないと思いますので、御要望があった旨、委員長あるいはほかの委員の方々にもお伝えさせていただきます。

それから、お示しいただいています追加配布資料の1にも、過去のこれが対象になるのか、あるいは過去のものを想定しているのかという御質問を書いていただいてございますけれども、それにつきましても先ほどのお答えの繰り返しになりますけれども、委員長が特段のものを想定してとか、特定の会議のやりとりを想定してということではないということで明言されておられますので、そういうものではないということになると思います。

具体的にどのような事案が該当するかどうかにつきましては、私が今の時点で判断することではないと思いますので、このような御意見があったことを委員長あるいは委員の方にお伝えしたいと考えております。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

はい。

○立石委員 下部組織という、極めて上から目線の言い方も含めて、私のこれまでの言動に対して、これまでどおりやっても問題ないということでよろしいのですね。

それから、意見書も今までどおり出してよろしいですねということで、意見書についても排除されないと。さまざまなことを出してきていますね。そうしたら、そういうことで理解してよろしいのですね。

○阿久澤部会長 事務局、お願いします。

○黒木事務局長 申し合わせについての今後の運用というものは、まさに議長あるいは議長たるべきものが判断してされることと考えておりますので、今、いいのですねと言われましても、私からお答えするべきことではないと思います。
なお、先ほど立石委員からも、意見について、全部口頭でさせていただきましたという御発言をいただきました。

意見は口頭でということが申し合わせにもあるかと思いますが、その趣旨といたしましては、紙で書いていただいているだけではなかなか頭に入ってこなくて、議論の場に乗りにくいこともあるかと思いますので、せっかく有識者の方々にお集まりいただいておりますので、その場で口頭で皆さんの議論の場として活用していただきたいということで、口頭でということでございます。意見は紙に書いておきましたので読んでくださいということはよろしくないだろうという御判断があったものと思っております。

資料につきましては、必要なものを、皆さん、せっかく有識者の方がお集まりいただいておりますので、御知見で出していただくべきものということで、なるべく出していただきやすいようなルールということで定められたものと承知してございます。それが、基本的には余りに直前の御提出では、一般的に、資料の中に万が一違うものが入っていて確認ができないままに、傍聴人の方もおられるところで配られるという事故があってはいけませんので、最低1日前にはということで書かれているものと思います。

けれども、やむを得ない事情があって、これは半日前しか出せませんということがあれば、その旨を御説明いただいて議長に御了解いただいて出していただいたら良いということで、そういうルールを決めて、なるべく皆さんが迷いなく進めていただけるようにという御配慮で申し合わせがなされたものと理解してございます。

○阿久澤部会長 ありがとうございます。

はい。

○立石委員 今後、座長に強い権限が与えられたわけですね。ですから、座長は何でもできる。だから、第2回栄養表示調査会にあったような横暴な議事が行われても、この人が私の意見書を読まなかったとか、私の発言を強制打ち切りしたということはできるわけですね。これからお墨つきを与えたわけです。こんなことが本当に公的な場で行われる会議でふさわしいのかどうか。

先ほどの事務局長の話だと、食品安全委員会が私の資料に対して異議申し立てを行いました。この内容は、私、ほとんど説明していないです。何も説明していませんし、別に説明させていただきたい。私は意見書を出すときは必ず説明しているつもりです。説明させてもらいたいということですが、できるだけ短くと、いつも言われてやっています。でも、わかりやすく、口頭で先ほど言ったようなことを、できれば文書で簡単にまとめて、図なども入れたほうが皆さんわかりやすいでしょうといった配慮を、口頭でやってくださいということとか。我々委員を子ども扱いしているわけですね。

我々もきちんと任命を受けてやっているわけです。そういった委員に対して非常に侮辱的な申し合わせが、本当にこの国のこの委員会のスタイル。何でも大政翼賛会みたいに、行政が国のほうで考えている考え方、方向性に合わない意見というものを排除していきたいということがありありと見えるような。

私のような異分子がいると、今みたいな話が全く先に進まないわけでしょう。反対する、おかしいじゃないかという意向を排除していくことをもくろんでいるのであれば、私は来期は多分選ばれることはないでしょうから、その後、そういう形にこの委員会がなったときに、本当に健全な形の議論の上で物事を決めていくという民主的なスタイルが、そのことで本当に維持されるのですかということを申し上げたいです。

消費者委員会でこのことを決定したときに、このことについて誰も意見を言わなかった。私は動画で見ましたけれども、事務局長が説明して、こういったことについても、本来は消費者委員会とは何なのですかと、ここに書いてあるでしょう。「消費者の意見が直接届く透明性の高い仕組みと消費者庁を含めた各府省庁間の消費者行政全般に対して監視機能を有する、独立した第三者機関としてその役割を果たす」と書いてある。そういったことの下部組織が、プロセスとして役所が決めたことをただただ容認するだけのイエスマン的な審議会にしていいのかということを、今回、そういうことを申し合わせに書いているのですよ。

こんなことは過去にないのです。私、東京都の委員もやりましたし、いろいろなところでやりましたけれども、こんな申し合わせ、初めてですよ。こんな申し合わせをわざわざつくらなければならないということが、本当に健全な消費者委員会のあり方。何のために消費者委員会をつくったのかといったところについて問われていると、非常に思います。

○阿久澤部会長 本部会におきましては、私が議長を今後も務めていくことになるわけですが、冒頭にも述べさせてもらったように、今回、この申し合わせにも沿ったということで、今までそういった細かいよりどころがないまま来たということで、参考にしながら円滑な審議を進めていきたいと考えておりますので、ぜひ皆様も円滑な審議に御協力をお願いできればと思っております。

どうぞ。

○黒木事務局長 立石委員から議長が何でもできるということになるという御指摘がございましたけれども、議長の権限の最初のところに「調査審議が公正かつ円滑に進行するよう努めるものとする」ということが書かれてございますし、一番最初に御発言いただいたときに、座長の意に沿わない資料は全て排除されるとの御指摘もございましたけれども、そのようなことは書かれていなくて、例外的に資料の提出をとめる場合というのは、かなり限定されて書かれています。
ですから、これ以外のときは常に委員の方が御知見に基づいて出していただけるということを担保するためのものであると理解しております。
けれども、今回の申し合わせについて、立石委員はそのように読まれたということでございますので、そのような御意見があったという旨は、委員長及び委員の方々にお伝えしたいと考えてございます。

○立石委員 そうしたら、私が第26回食品表示部会に出した質問書自体は実際に公開されていないのです。これは非常に意に沿わなかったということで、この場で委員の方はお読みになっていますが、そういったことが実際、現実やられているわけです。わざわざ明文化するということですね。私は長くないでしょうけれども、この後もこの部会がずっと続く、消費者委員会が続くのであれば、この後の人たちに対する制約をかけるわけです。阿久澤部会長みたいな非常にフェアな方がいれば問題ないけれども、違う議長が来たときには、この申し合わせによって、いろいろなことを行使できるわけです。場合によっては、私に退出命令できるわけですから。

そういうことが許されていいのですかということですよ。一般的な会議として、いわゆる国のこういった会議の中で、こんなことが本当に正しい姿なのですかということを、私はもう一回消費者委員会に問いただしたいです。そういうことを一般的なルールとして定めることが、これからずっと縛っていくわけですね。このことを盾にとって、誰かが出てきたときに、そのことを行使するわけです。そういうことを認めてしまうということです。

私がいなくなったらいいという問題ではなく、このことがずっと続くわけです。ここにいらっしゃる皆さんだって二、三年でいなくなっちゃうわけだけれども、その後もずっと続いてくことについて束縛をかけるということです。だから、私は問題だと言うのですよ。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

板倉委員、どうぞ。

○板倉委員 私も実際に非常に心配しております。特に新開発食品調査部会は、透明性が高いといえず、ここのように傍聴者がいるわけではありません。今、特に問題ではありませんけれども、その方の人となりによっては、消費者庁から上がってきたものについて反対の意見を言ったところで、問題点を指摘することについて否定されるような権限まで座長がお持ちになるとも読めてしまうものですから。

そういったことが今の方々の人となりを考えれば問題ないことであっても、将来的に起きるという意味で。ほかのこういう検討会、私自身は厚生労働省の審議会とJASの調査会に入っていたことがありますけれども、こういった申し合わせ事項みたいなことが出たことがなかったにもかかわらず、消費者委員会という、消費者サイドからすれば一番フェアであるような立場の委員会から、こういうことが出た。初め、余り詳しく読んでいなかったので、どこまで縛られるかわからなかったのですが、この解釈次第によって幾らでも読み切れるというところが、はっきり言って非常に不安でした。

ですから、自分がこの場では非常によく話をするほうなので、おしゃべりだということで、ほかの方々の発言を妨害してしまうと判断されてしまって意見を抑えられることがないのかどうかも、今までの私自身の発言も含めて、この場でぜひお聞きしたいと思って来たわけです。けれども、具体的にそういうことではなくというお話でしたので、特に消費者委員会の役割というところから、私たちは今までどおり大人として、この場に臨んでいいと解釈させていただきたいと思っております。

○阿久澤部会長 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 申し合わせ事項については、私も事前に読みました。それで、消費者委員会、消費者庁ができて、こういう申し合わせ事項については、当初にこのような運営方針をやったほうがいいという印象を持ちました。

二~三、要望といいますか、発言させていただきます。食品表示部会の下に今回、専門調査会が3つ、栄養と加工と生鮮調査会を設置して、私は調査会を設置する際の委員や座長の選定については、今後は公開性なり透明性を高めてほしいものです。実際に私は、1つの専門調査会は委員だったのですが、ほかの調査会にはオブザーバーとして参加して、発言やコメントペーパーも提出させていただきました。今後はこのような下部組織の調査会に係わる委員などの選定の透明性とか公開性ということが課題としてはあるのではないかなと思っています。

2つ目に、食品表示部会での参考資料ということで、私もコメントペーパーを提出していますが、これは私が発言し切れないことへのフォローする目的ではなく、疑問に思ったことを事前に調べて、それが参考になるだろうということで出していますので、そういう趣旨でいきますと、今後も出すこともあると思いますから、それが妨げにならないという理解でおります。

最後にもう一点ですけれども、私どもは一つ一つの案件について議論したいので、それは事務局のほうのかなりの努力が要ると思いますけれども、消費者委員会の事務局と消費者庁の事務局が、その一つ一つの事案についての適切な資料が公平な形で出て、その中身について議論するような形を、強く望むものであります。

以上です。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

栗山委員。

○栗山委員 この申し合わせ事項に対しては、もちろん円滑な議事をしていくためには必要なことだろうなと思う反面、これがどう運用されるのだろうかということに関しては、若干の懸念を持っております。この消費者委員会における私の立場というのは、消費者の立場をお伝えできればと考えておりますが、同じように、私は厚生労働省と文部科学省の委員会で消費者なり市民なり患者の立場で発言しておりますが、常にたった1人なのです。ほかの方々は、医療職であったり専門職であったりなさる中で、いわゆる科学的知見とか専門的知見を持たない者として発言させていただいておりますので、ある種特殊な発言であったりすることが多々あると自覚しております。

その中で、聞いていただけること、発言の場をいただけることがとても大きな意味を持っていて、委員会自身の方向性が変わったことも経験しております。ですから、もっともだなと思う反面、懸念するところもありますので、この申し合わせがそういう委員の発言を抑えることがないということに使われますことを、ぜひ今後とも担保して運用していただきたいなと思っております。

もちろん、今、思いますに、座長や委員長に対する、どうこうということではございませんが、過去の経験としては、今、あなたが発言したことは、これからの行政に大きく影響しますが、それでもそれを発言なさいますかと、私の発言に対して確認をとられたことがございました。議事録にもあると思います。そういうふうに言われてしまいますと、自分の発言が常にたった1人の発言である者にとっては、とても大きなプレッシャーになります。ぜひこういう委員申し合わせと同時に、言うところの強い権限を持たれた座長や委員長の皆様のとるべき態度、発言する基準というか、申し合わせも公にしていただけたらなと思っております。

ありがとうございました。

○阿久澤部会長 ありがとうございました。

立石委員を初め、今、多くの方々から、この申し合わせに関して貴重な御意見をいただきました。繰り返しになりますが、今後の運営に当たりましては、できるだけ円滑に、できるだけ時間内に終わるような形で努力してまいりますので、よろしくお願いいたします。

本日の議事はこれまでにさせていただきます。

○立石委員 これだけ意見を言っても、申し合わせというのはここで決まりました。要は下部であって、下の組織ではこういった意見があったということも含めて、阿久澤部会長にお願いしたいのは、もう一度消費者委員会で、このことは健全な消費者委員会のあり方として、これでよかったのかということを、私が申し述べたことも含めて伝えていただきたいですし、申し合わせとして、このことを生かしていくのかどうか、最終決定いただきたい。これは最終決定だと言われたら、私は何も言えないですし、これから非常に縮み上がるわけです。座長によっては、意見書を出しても公開もされない。

きょうのこの意見書ですら、私、この部会に出してもらえるかどうかわからなかった。委員会に送っても返事もなくて、いきなりばあっと流れてきたから、取り上げてもらえたことがわかったのですが、これからはそういうことなのです。きょうの意見だって、そぐわないと言われれば、それで終わりです。これは今から適用されるわけです。今、言っているのはそういうことなのですよ。この意見書だって、取り上げてもらえないことだってあり得るのです。私、消費者委員会は本当にそこまで定めているのですかということを確認いただきたい。座長の一存でいろいろなことができる。

では、座長がおかしなことをしたとき、どうするのですかということも決めていただきたい。栄養表示の調査会については、国会で問題になったぐらいですよ。国会議員から質問が出て森大臣が答えているような調査会については、これからどうするのですか。座長の強権な運営の方法を是正していただくということになるのか、そういったことも含めて、両方できちんと考えていただきたいと思います。一方的に座長の権限を強くするだけで終わらせるのは、非常に不公平だと思います。

○阿久澤部会長 ただいまの意見も含めて、きょういただいた意見については、消費者委員会委員長のほうに報告させていただきます。よろしいでしょうか。これで本日の議事は以上ということにさせていただきます。

最後に、次回の日程について事務局から説明をお願いいたします。

○大貫参事官 次回の日程でございますが、改めて御連絡させていただきます。

○阿久澤部会長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

≪5.閉会≫

(以上)