食品ワーキング・グループ(第4回)

日時

平成27年5月12日(火)13:29~15:02

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
阿久澤座長、夏目座長代理
【参考人】
木原記念横浜生命科学振興財団 大野委員
女子栄養大学 山田委員

議事次第

  1. 開会
  2. 特定保健用食品に関するヒアリング
    大野 泰雄 委員
    消費者委員会新開発食品評価第一調査会座長、(公財)木原記念横浜生命科学振興財団理事長
    山田 和彦 委員
    消費者委員会新開発食品評価第二調査会座長、女子栄養大学栄養学部教授
  3. 閉会

配布資料(資料は全てPDF形式となります。)

議事録

≪1.開会≫

○大貫参事官 本日は皆様、お忙しいところをお集まりいただきありがとうございます。

ただいまから、「消費者委員会食品ワーキング・グループ」第4回会合を開催します。

本日は所用により、唯根委員が御欠席となっております。

議事に入る前に、配付資料の確認をさせていただきます。お配りしております資料は、配付資料一覧のとおりでございます。不足の資料がありましたら、事務局へお申しつけください。

本日も多くの傍聴の方がお越しいただいておりますので、御発言の際は、マイクに近づいて御発言いただきますようお願いいたします。

それでは、阿久澤座長に議事進行をお願いいたします。

○阿久澤座長 よろしくお願いいたします。

本日の会議は、公開で行います。議事録についても、後日公開することとします。

それでは、本日の議題に入ります。

本日は、特定保健用食品に関する課題についてヒアリングを行います。大野先生、山田先生におかれましては、お忙しいところ御出席いただき、ありがとうございます。

消費者委員会では、特定保健用食品の表示許可について、新開発食品調査部会及び新開発食品調査会で、個別品目の審議を行っております。トクホは制度発足から20年以上となりますが、近年、この審議過程で審議を行う委員から、広告・表示や制度などについて、さまざまな課題があるとの指摘が出されるようになっています。

このような状況を受け、食品ワーキング・グループでは、特定保健用食品に関する課題を整理するためのヒアリングを行うことといたしました。

本日は、資料1として、事務局に調査部会や調査会などで出された意見をまとめてもらっております。資料1に記載された事例を初めとする諸問題について、新開発食品評価第一調査会座長の大野先生、第二調査会座長の山田先生から順次、御意見をいただき、その後、意見交換をお願いしたいと思います。また、第2次消費者委員会で第一調査会座長を務められた寺本先生からも御意見をいただいており、資料2としてお配りしております。

それでは、ヒアリングに移りたいと思いますが、まず、資料2の寺本先生の御意見を簡単に紹介させていただきます。

資料2に沿って紹介させていただきますが、広告や表示に関する御意見としては、効果を確認した臨床試験の条件を消費者に認知させずに、効果だけをうたって、誤認につながっているようなことはないかという懸念や、「疾患のある方が使うものではありません」というような、明確な表現が必要ではないかといった御意見をいただいております。

制度及び運用については、再許可品に関して、最初の許可がなされた時点から社会情勢や科学的知見が変化していても、既許可品であるということで許可されてしまうことについて懸念を示され、表示許可の更新制検討も必要ではないかといった御意見をいただきました。

3点目としまして、利用環境については、トクホ製品がどれだけ国民の健康に実際に貢献しているのか実態調査が必要ではないかといった御意見をいただいております。

最後に、トクホの位置づけについては、国民の安全や健康をどのように保つかが前提になることが望ましく、経済効果の方向にばかり偏ると消費者にトクホに対する疑念が生じて、「いわゆる健康食品」との差別化も難しくなるのではないかといった御意見をいただいております。

以上です。

それでは、続きまして、大野先生から御意見を頂戴したいと思います。恐縮ですが15分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

≪2.特定保健用食品に関するヒアリング≫

○大野委員 第一調査会の座長を務めさせていただいております、大野です。

きょうは、私がこのトクホに関与してから常々思っていることを言わせていただこうと思っています。非常に技術的なところが多くて、大局的なことは申し上げられないのですけれども、御容赦ください。

私の印象では、トクホ出現以前は、健康食品として根拠のないものとか、根拠があっても薄いもの、そういったものが出回っているということで、消費者を誤解させるところが多かったと思っています。ただ、トクホの制度の導入によって野放し状態よりも良くなるということを期待して、協力してきたところでございます。

トクホが導入されたことの結果として、少なくとも安全性に関しては安心できる状況になったと考えています。ただ、有効性の面については、問題が残っているのではないか。それから、マスコミによる広告とか、消費者の理解とか、そういったものでは問題が残っていると思っています。

また、トクホが導入されたにもかかわらず、「いわゆる健康食品」すなわち行政による保証がないものが現在でも多く存在している、販売されている。また、(いわゆる健康食品の)中には科学的にとんでもない宣伝も行われているということが残念だと思っているところです。

一方、世の中を見てみると、健康食品関係の業界団体が独自にGMPによる品質保証の制度をつくったりとか、また安全性について自主点検をやったりとか、そういう自主規制が進んできたと思っています。そういうところの活動はおおむね信頼できると思っています。

しかし、見てみると、幾つもの業界団体があるというところが消費者にとってわかりにくい。また、規制の上でもわかりにくい、規制しにくいというような状況になっているのではないかと思っています。

それから、トクホの役割と調査会、部会での審議に関して、今までトクホは食生活の改善が図られ、健康の維持増進に寄与することが期待できるものであることとされておりますので、これに沿って審議されてきたはずでございますが、必ずしも審査を担当していた者として、自信をもってそう言えないというところもございます。

一方、機能性表示食品制度が4月1日より始まって、国の承認を得なくても、国に届けるだけで企業の責任で機能性表示が可能になったということでございますので、これを機会にトクホのあり方を考え直すのは良いことだと思っています。

有効性について自信がないと申し上げましたけれども、人での有効性を示すためには当然、薬理学的な根拠が非臨床試験で証明されていなくてはいけませんし、非臨床試験の結果が薬理作用だけではなくて、薬物動態学的、薬力学的、また臨床での有効性、そういった面で十分に臨床での有効性を示唆する上で妥当なものではなくてはならないと考えています。

ただ、トクホは医薬品と異なって、それほど強い作用を示してはいけないというものでありますので、有効性の程度は消費者にとって有益であると推定できる程度のもので良いということで、審査をしてきました。ただ、実際のところはそういう弱いところを証明するというのは難しいという場合があると理解しています。

そういうことで、なかなか有効性について、本当にこれが社会に出回ったときに役に立っているのかどうかということに対して、自信のないところもあったというところが正直なところです。

また、先ほど申し上げましたけれども、4月1日から始まった機能性表示食品制度の中では、必ずしも臨床試験が必要ないというようなことが新聞で報道されていました。これはどういうことかよくわからなかったのですけれども、お伺いすると、関与成分の臨床試験については論文としてきちっと公表されている必要があるということでございますが、それぞれの製品ごとには必ずしも必要ないということを伺いました。

ただ、医薬品のときに、ジェネリックが本当に効いているかどうかというのは社会的に大きな問題になりましたけれども、それが先発品と同等の作用を持つということを示すためには、薬物動態学的にジェネリックが先発品と同じような性質を持っているということを示すことが必要なわけです。

トクホの場合にも同じ関与成分のもので臨床的な有効性が示されたと言っても、実際にそれをほかの製品でやった場合に同じように吸収されるかどうか。ほかのものがまじっている状態で同じように作用を及ぼすか。そういったことがわからないのではないかと思います。

私どもの感覚から言えば、医薬品ですと、臨床試験段階で大体9割ぐらい落ちてしまうのです。非臨床でこれは有効だ、人に絶対うまく効くはずだと思って大金をかけて臨床試験に入っても、9割ぐらいが臨床試験段階での有効性や安全性の問題からドロップアウトしてしまうということを伺っています。

そういう大きなリスクがあるということがありますので、製品について臨床試験なしでOKというのは怖いと思っています。

それから、トクホに関しては統計的有意差ということが重視されていて、統計的な有意差がつけば承認しなくてはいけないのではないかというような雰囲気がございます。ただ、統計的な有意差がついたといっても、統計的な解析の仕方にはいろいろあって、解析の仕方によっては臨床的な意味合いがないとか、非常に差が少ないような状況でも有意差がつくということもあります。最近では、paired t‐testで解析してみて、摂取前と比較して差があったということで、摂取後の値そのものを対照群と比較・解析すると有意差がなくても、認められていることが多いわけです。paired t‐testだと、一方向に動きさえすれば、どんなに作用が少なくても有意差はついてしまうのです。

そういった解析方法で有意差がついたというだけでもって、承認せざるを得ないというのは非常につらいところでございます。ですから、作用が本当に臨床的な意味があるかどうか、栄養学的、生理学的に意味があるかどうかということを重視してやっていくべきと思っています。

安全性については、食品安全委員会がきちっと評価してくださっているので安心しています。

それから、私はきょう申し上げたい一番大きなところは、提出されたデータの信頼性がわからないということです。医薬品については、皆さん御存知のようにGLPとかGCPといった規制がかかっていて、申請されたデータの信頼性が確保されているわけです。ところが、トクホの場合にはそのようなものがございません。申請されたデータが本当なのかどうかということを疑問に思うところがございます。

これから新制度の上で科学論文を重視するということで、査読つきの雑誌に論文を出すということが勧められていくわけですけれども、皆さん御存じのように、理研でSTAP細胞の信頼性について大きな問題になりました。そういったことは最近、初めて起こったということだけではなくて、昔からそういうことはあったのです。私自身でもそういう経験をして、科学雑誌の校閲をしていてサイエンティフィックにあり得ないようなデータを出してきて、それをリジェクトしたことがございます。内分泌攪乱物質が社会的に大きな問題になったときに、『サイエンス』に出たデータも、これはびっくりしたのですけれども、クロルデンがほかの環境汚染物質と一緒に作用することによって、作用が1,000倍ぐらい強くなるというような論文がございました。このようなはずがないと思いましたけれども、そういう可能性が示されたということで社会的に大きな問題になって、国際的にも内分泌かく乱化学物質に対する研究をやらなくてはいけないという大きなきっかけになったと思っています。それ一つだけではないですけれども、私としてはそれが大きなきっかけの一つになったと思っています。ただ、その論文に過ちがあったということがその後で示されて、著者によって取り下げられたということがございます。

企業が作成した論文というものは当然もともとバイアスがかかっているわけです。その論文のデータをそのまま信じるわけにはいかないのです。特に論文ですと、詳しい実験条件などが書いていないわけです。実際に出たデータが全部掲載されているということも、必ずしもないわけです。嘘はつかないにしても論文の論理を進める上で必要なものを選んで載せるというのが通常の科学者の行為だと思っています。

ですから、論文だけで本当に有効性なり安全性を判断するというのは危険だと思っています。そういう信頼性確保のためのGLPなりGCPのようなデータをもとに、また、そのもとで作成された試験計画書とか最終報告書、そういったものには全部の実験条件と全部のデータが載っていますので、そういったものに基づいて判断すべきだと思っています。

まとめますと、今回の機能性表示の緩和を機会に、有効性が曖昧なものについては、行政がお墨つきを与えるようなことはやめたほうがいいと思っています。今後は信頼性の高いデータに基づいて、臨床的な有意性が明確なもののみをトクホとして承認するべきだろうと。国として保証を与えるわけですので、その重みというのは非常に大きいと思うのです。そういったものを保証するためには、やはり信頼できるデータに基づいて、有効性が明確かつ意味のあるものについて承認していくということが必要なのではないかと思っています。

そういうことになると、今までの過去に承認したものと差が出てくるかもしれませんけれども、こういう機会に、これからはそうするのだという宣言をしてやっていくことが必要ではないかと思っています。

今後、この機能性表示食品制度のもとでは、公開された情報のもとで消費者が自己責任で選択するということになると思いますけれども、それには消費者教育も必要でしょうが、幾ら教育しても個人が科学論文を読んで本当に問題となることを判断するのは無理だと思っています。そういうことでは,消費者団体とかがそういうデータを集めて整理するとか、国立健康・栄養研究所でそういう情報を公表するとか、適切な情報を業界が流すとか、そういったものが非常に重要になってくると思っています。

以上です。

○阿久澤座長 どうもありがとうございました。

次に、山田先生の御意見をお願いいたします。同じく15分程度でお願いしたいと思います。

○山田委員 これまでの大野先生あるいは寺本先生の御意見等にも含まれる、随分重なるところもあると思います。

私は、ここ半年くらいの間に、特定保健用食品に関するいろいろな不備だったりそごがおかしくなってきたというのは、やはり第一にダイエタリーサプリメントを導入するから、いやが応でも機能性表示食品を短い間につくり上げてしまった、これと特定保健用食品との類似性や違いが明確でなく、大変困った問題だというのが第一番だと思っています。

2番目は、ノンアルコールビールの問題です。これに対して、産業界の中同士でも、あるいは一般の消費者同士の中でも、学識経験者の中でも、きちっとしたコンセンサスがない。国として、あるいは食生活をどう持っていこうかというような全体的な厚生労働省、農林水産省あるいは内閣府、全体として食事とはどうするのかといったコンセンサスを非常に得られていないというのが大問題だと思っています。ですから、どうにでもなるかもしれない、よく見えないという状況にあると考えています。

広告に関してですけれども、私たちは、これまで広告については表現の自由があるので、審査の中でも少なくともコンサルタントではないという気持ちで仕事をしてまいりました。どのように言ったらいいですかと言われても、それはあなたたちがあなたたちの見識で考えるのでしょうという形で指摘事項をやりとりしていました。ですから、比較的自由だと思います。これはもう十何年来、表現の自由、行動の自由というのは大切にすべきだろうということは、やはりそう思います。

また、ある時期、健康増進法の中での32条でしたか、著しく誤認を与えるような表現はやめようということで、広告と食品の表示の表面に書いてあるラベルは同一だという考えでいました。ですが、いつの間にか広告のものとラベルに書いてあるものは違って、比較的自由にいいのだということになっていますけれども、コーデックスの議論の中でいろいろなことを言ったときには、日本側としては、広告というのはフードラベリングの一部だと考えているというように答えていました。それが、現在のこの広告が余りにも広く動いたために、そごが出ているのではないかと考えています。

制度的には、機能性表示食品が出てきた、あるいはダイエタリーサプリメントで来たものが、日本でも栄養機能食品が少し拡大されましたけれども、それに対してきちんと見守る仕組みが存在していない。表示だけではありますけれども、例えばアメリカのODS、Office of Dietary Supplement、あれにはものすごい予算が出て、大変な力があって、人もいて、それでもアメリカ国民の食生活なり健康なりがうまくいかない。彼らが特別、日本で言ういわゆる漢方薬といいますか、生薬のことを余り制度的に持っていないですから、それがダイエタリーサプリメントという形で、いわゆるボタニカルというようなことでいくので、そのいわゆるレギュレーションというものも必要なのでしょうけれども、日本ではそれに当たるようなものというのは何人で仕事をしているのでしょうか。もう100対1ぐらいの世界ではないかと思います。

また、近年はEFSAの問題にしても、最初は小さかったですけれども、EFSAというのはどんどん大きくなっている。ヨーロッパ連合でなっていく、かなり力を持っている中で、日本の消費者庁の表示に関するレギュレーションのスタッフは、皆さんものすごく頑張ってやっているとは思いますけれども、やはり限界が大きいと思います。それは上手な形で民間とのコラボレーションをやれればいいのかなとは思います。

それから、特定保健用食品というのは特別用途食品の一部ですが、国立健康・栄養研究所の中にもそのウエブサイトがきちっとあります。しかしながら、国立健康・栄養研究所が基本的に物理的には独立ですけれども、制度的には合併しました。その後、(特定保健用食品を除く)特別用途食品のウエブサイトは完全にふさがれました。私たちが一番頑張って、病気の方たち、それに近い方たちに知ってほしいウエブサイトはないのです。そのようなことが起ころうなどというのはとんでもない時代です。データもいっぱい載せたつもりですけれども、本当に残念な状況になっていると思います。

もう一つ制度的に言えるのは、機能性表示食品というのに、もしヒト介入試験をやろうとすれば、UMINの登録制が必要ということですけれども、基本的には特定保健用食品に関してはUMINの登録制は必須ではありません。何回かその問題は、平成15年あたりだったでしょうか、あるいはその後で議論が出てきましたけれども、例えば経費の面からとか、医薬品並みになるからそういうものはここではというようなことで立ち消えになったものであります。そういう意味では、この制度及び運用についても、トクホのことでもUMIN登録制でやるべきはでないかということは今後考えなくてはいけないことだろうと思います。

また、資料1にも書いてありますように、私たちがいっぱい時間をとって議論をして許可したもので、販売されているものがどんどんふえてきています。消費者庁も全部それをつかんでいないと思われます。一体どこに出回って、一体誰が何をどの程度使っているかさえよく見えないという状況です。明確にもう販売終了したのでしたら、例えば青汁製品のようなもの、ガムの類い、ドリンクの類いで、次から次に香料を変えて、若干の関与成分を変えて、新しい名前がどんどん変わっている。一体どれが動いているのだといったことも、一切私たちはわからない。これは制度的に大変むちゃくちゃな話だと思っています。

あとは、よく私たちにも、また実際に使っている方あるいは相談をされる方々に、この特定保健用食品の関与成分とほかの食品成分が混合されて、その製品として売られているのですから、この食品をとったらどのようなことが期待されるかとか、あるいは例えばバイオマーカーのようなものが動くのだろうかといった尋ねられ方をしても、多くの方が答えられません。それはやはり情報公開が進んでいないということだと思っています。

もちろん、企業の権益、非常に研究をされて、特許の問題もあるでしょうし、そのような努力というものはやはり守られなければならないのですが、それを守るのと同時に、いわゆる適切な情報公開はすべきだと考えています。

それから、位置づけについてですけれども、私は従来からよく言っていますが、トクホの位置づけというと自分の食事を見返す一つの反省材料になる、この食品をとることによって期待もするのですけれども、私の食生活とはどうなのだろうということを考える一つだと思う分にはいいかと思います。そのときにどのように変わるかということを期待させるような食品群であってほしいと思っています。これから今以上によくするためにはどのような仕組みにしたらよいかは、まだ案はないですけれども、いろいろな制度が入りまじっているので、これから考えなくてはいけないことだろうと思います。

また、医薬部外品と特定保健用食品。片や安全性やいろいろな検査をすごくなされている部分と、もちろん特定保健用食品もされているのですけれども、境目が見えない。医薬部外品でいろいろなビタミン剤をいっぱい飲んで疲労回復。特定保健用食品では疲労回復という項目は一切なされていませんし、今後もどうメルクマールをとったらいいのかもわかりません。そのような境目のところを誰も言おうとしない。また、ちょっときついかもしれないですけれども、国も考えようとしていないと思います。

医薬部外品を全部医薬品にしたほうがいいと私は思っています。そして、ダイエタリーサプリメントもいっぱい導入して、それはずっと先の話ですけれども、最終的にはトクホをなくしてもいいのではないか、それで、一般の方々がある成分をとって期待をするというものが非常に明確になるような世界が出ればいいのかなと思います。

それからもう一つ、表現として栄養機能食品の場合には比較的、前にも何回かいろいろなところで話しているのですが、文章をやはり2文章にしたほうが良いと思います。今の特定保健用食品はこの食品を食べればどういうことになりますという表現ですけれども、この食品には、例えばある関与成分が入っています、この関与する成分にはこのような効果が示されています、というような、2つの文章の構成に変えていったほうが、広告にしても宣伝にしても、一般の人々にはわかりやすい表現だろうと思います。

直接、この水を飲めば元気になるというようなことよりも、これには水が入っている。水を飲めば元気になる。そのような表現でやったほうが、例えば水でもたくさんの種類のものが出ていますし、そのようなことで、これは何とか水だからいいというようなよくわからない論理がたくさん通っているような気がします。そのようなことが、現在の特定保健用食品の位置づけが、多くのほかの食品群がふえたときに、しっかりしたものになるのだろうと考えています。

少し長くなりましたけれども、私からは以上のようなコメントをいたします。

○阿久澤座長 どうもありがとうございました。

それでは、意見交換に移りたいと思いますけれども、何かもし、今の報告に質問等ございましたら。どなたかございますか。

○夏目座長代理 大野先生、山田先生、御説明ありがとうございました。

とても専門的なお話が多くて、一般の消費者である私にはわかりにくいものがあったのが正直なところでございますけれども、まず一つは、大野先生のほうからお話が出されました、トクホの審査のときのデータの話が出てまいりました。提出されてくるデータの信頼性がなかなか確保されていなくて、時間もかかるし疑問に思うところもあるというようなお話だったと思うのです。

昨日の規制改革会議でもって、トクホの審査を迅速化するために、産業部会で6月に向けて報告書をまとめるという話が出てきました。そこでもやはり審査の迅速性ということが求められておりますし、それはここの調査部会や消費者委員会の中でも、トクホの審査についてこのままでいいとは考えているわけではなくて、できるだけ迅速性というのは求められるのだろうというところでは異論がないわけでございます。とは言いましても、その迅速性といいますか、おくれる理由の一つに、提出されたデータの信頼性という問題がかかわっているのではないかということを今、大野先生の御意見から推察させていただいたわけですが、その辺のところはどうなのでございましょうか。

山田先生はそのお話がなかったので、また山田先生からもお話を聞かせていただければと思います。

○大野委員 表現が悪かったのかもしれませんけれども、データの信頼性を理由として審査に時間がかかるとか、おくれるとか、全くそういうことはございません。

単に、自分がその判断の根拠にしているデータが、本当にこれでいいのかという気持ちが心にあって、審査しているということだけです。

○夏目座長代理 少し私の理解が足りなかったのかもしれませんけれども、もともと出されてきた審査のためのデータが最初に消費者庁に出されてきて、消費者庁でその出されたデータを見たときに、例えば足りないものがある、不備があるというようなことがまずそこの一段階にあってというようなお話だったのかと思ったのですけれども、そうではないわけですか。

○大野委員 それとは違います。

○阿久澤座長 今のそれに関連して、例えば申請側の得たデータの条件が、今度は消費者が摂取する条件と必ずしも一致しないというケースも含めて、信頼性が得にくいと考えてよろしいですか。

○大野委員 状況によっていろいろあると思いますけれども、そういう摂取条件が実際と違うのではないかということは、判断するための根拠が論文だけではわからないことが多いのです。単に摂取したというだけで、試験計画書を見ると、どのような時間帯にどのように食べるとか細かいことも書いてあるのです。それを見ないと実際のところはわからない。

ただ、それが書いてあっても、今度はそれが本当だったかどうか、そこが確信を持って判断することができないということです。

○阿久澤座長 ありがとうございます。

この件に関して山田先生、いかがでしょうか。

○山田委員 申請者側から、やはり早くスケジュールが本当にきちっといけばいいというのはあると思うのですけれども、まず保健所に出されたとき、来たときには、消費者庁である程度チェックされていると思います。ここの部分が足りない、あるいは問題がある、こういう方面にわたっての新しい健康強調表示というのはかなり難しいとか、そのようなことがある程度申請者側と消費者庁側で問答があって、それから私たちのところに上がってくると考えています。

私たちのところに来た場合には、もちろん指摘事項を出します。指摘事項が、かなり初期からもう一度考えないとこの健康強調表示には耐えられないといったときには、自然と長くなる。それを一生懸命繰り返して、やはり2年、3年、数年やって、指摘事項をクリアした場合もありますし、もうこれは難しいということで、もう審査しないということも何回か、私自身も出した覚えがあります。

そういうことから、どの程度を迅速性ということかは私にはよくわかりません。わからないといいますか、具体的にはつかみにくい話ですけれども、今までの経験では、多分1年半から2年といったところが多いのではないでしょうか。現在は年に4回やっています。その前はずっと昔ですけれども2回程度だった。数が多くなったので読むほうも大変ですし、お互いに指摘を出したり読んだりする、判断も当初から見ればある部分は厳しくなっているでしょうけれども、ある部分は大変簡略になっていると考えています。

ですから、早いほうがもちろんいいに決まっていますが、迅速性を強めるために判断基準を下げるということはつらいことだろうと考えています。そういう意味から、10年くらい前にはいくつかの規格基準型とか、(条件付きトクホといった、)かもしれないというような、表現が若干やわらかなものに変わっていったというところがありますが、申請者側としては、余りはっきりしないけれども、なる可能性もありますというようなやわらかい表現だと、やはり販売等にインパクトがないから、そこには出さないというようなもので、本来的な特定保健を皆さんにと願うので、試験も細かに長く難しくなるということだろうと思っています。

○大野委員 よろしいですか。今、審査の迅速化というお話が出ましたので、それについて私が思っていることを述べさせていただきたいと思います。私は調査会の座長をやっていまして、そういう調査会そのものが余り効率的に運営されていないと思っているところがございます。

私自身、非常に反省していて、少しずつ変えたいと思っているのです。どういうところが非効率的かと言うと、まずこの調査会の委員の中で分担が決められていないのです。全員が全てをチェックしなければいけないのです。そうなると、非常に大変なのです。委員に対して大変な仕事をお願いしているということです。しかし、そのようなことを言っても、実際に全部を見るということは不可能なのです。実際のところは、それぞれの先生方の専門に応じて見ているわけです。

分担が決まっていないから、調査会ではなかなか系統立てて審議ができないのです。それは座長の責任なのですけれども、そういうところで議論が同じ委員会の中で繰り返したりとか重複したり、場合によっては抜けてしまうとか、そういうことがございます。調査会の運営の仕方を改善していく必要があるのではないかと思っています。

一方、既に承認された関与成分と同じ関与成分が出てきたときに、同じように調査会で審議する必要があるのかどうかという問題があると思います。場合によっては、例えば香料がちょっと変わっただけとか、色がちょっと変わっただけとか、そういうものも調査会に上がってくるわけです。そういったものはほとんど問題ない。さらに審議する必要もないのではないかと思います。

そういったものは事務局(消費者庁)に審査をお願いするという方法もあるのではないかと思います。どこまで事務局(消費者庁)にお願いするか、判断できるかどうかという線引きの問題がありますけれども、かなりのところをお任せしてもいいかと思っています。

新規成分と、製品が従来のものから大きくかわっているとか、そういったものについては調査会に上げて、また部会で審議していただく。場合によっては調査会だけで判断でいいとか、そういうものもあってもいいかと思っています。

○阿久澤座長 ありがとうございます。

今、審査の迅速性と、データの信頼性のところから迅速性の話になってきたわけですけれども、その2つとはちょっと関係がないのだという大野先生のお話ですが、例えば大野先生のお話の中で、信頼性の高いもののみを許可するというお話があって、これはある意味、今のお話の中の審査の手順といいますか視点など、その辺を工夫することによって、迅速に信頼性の高いものが洗い出せる審査ができるのではないかと、考えますが、どうなのでしょうか。信頼性の高いもののみを許可するというのは、その審査の手順、視点を変えるというようなことを意味するということでよろしいでしょうか。

○大野委員 私はデータの信頼性とは別に、生理的な意義、栄養学的な意義とか、有効性が本当に臨床的に意義があるもの、そういったものを許可すべきと考えています。作用が余り強いと医薬品になってしまうのでまたまずいのですけれども、単に統計的な差が出たというだけではなくて、そういった意義のあるものを許可するということにしないと、先ほど山田先生のほうからちょっと出ましたけれども、トクホの存在意義がなくなってしまうと思っています。

逆に、それができないのでしたら、もう機能性表示と余り変わらないので、安全性に関して自主点検もやっているし、トクホというものは廃止してもいいのではないかという気持ちもあります。

○阿久澤座長 ありがとうございます。

今の意見、よろしいですか。

○夏目座長代理 ありがとうございます。

先ほど、山田先生のほうから、トクホと機能性表示食品、さらに医薬部外品という話が出てきまして、それぞれどこに類似性があって、違いはどこなのかというところがやはり明確でなくなってきているのではないかというお話があったように思います。

トクホの位置づけにかかわってくると思いますけれども、機能性表示食品制度が4月1日から始まったことによって、トクホの位置づけを確かなものにしていくためにはどのようなことが、先ほど大野先生からも、有効性がきっちり示されるものに絞っていけばいいのではないかというようなお話もあったかと思うのですが、私ども一般消費者から見ますと、トクホ商品というのは、消費者庁つまり国がある意味保証している、お墨つきを与えている食品なので、一般の食品とは違って効能はあるのだと思うわけです。ですけれども、新たに機能性表示食品制度が始まったことによって、機能性表示食品のほうにも効能は一定程度あるのだと思うわけです。

そうすると、トクホの意味合いというのがさらにどういう付加価値を持ってくるのかというところが、一層見えにくくなってしまったというのが正直なところです。それはもちろん、消費者自身が自主責任で選択する時代ですから、きちんと情報を、消費者庁のウエブサイトに出ているような、機能性表示食品のこういう効能があって、こういうものなのだということを読み解く力がつけばいいのですけれども、あれを見ただけではとても難しいというのが正直なところなのです。

やはり、それは消費者にも自主責任で選択する力をつけるための方策というのが片方で求められると同時に、企業なりそういったところの情報提供というものも求められてくると思うのですけれども、消費者としてはトクホと機能性表示食品、または医薬部外品をどのように判断していけばいいのかというのは一層難しくなってきて、さらにその枠にはまらない、いわゆる健康食品も全然減っていないわけです。

そういう社会になっているということの中で、消費者はどのようにしていけばいいのか、とても今迷っているというのが正直なところです。

○阿久澤座長 山田先生。

○山田委員 同じような気持ちを私自身も持っているのですけれども、まだ機能性表示食品制度といいますか、そういうものが世の中に申請はされているでしょうけれども、出回ってきて消費者の方がそれを手にして、どちらをとろうかということにまさに入ろうとしている段階だろうと考えています。

保健機能食品という、消費者の方々は皆よくわからない世界でしょうけれども、保健機能食品というものの中に特定保健用食品というものと、いわゆるビタミン、ミネラルが入る栄養機能食品というものがあって、そしてもう一つ機能性表示食品というものも入ってきました。3つ入ってきました。

国は全然認めないと言ってはいても、ちゃんと仕組みの中に入っているのですから、みんな認めている食品なのです。ただ、データが一番多いのは、やはり栄養機能食品。ビタミン、ミネラルの類いだと思います。その次に特定保健用食品。これからのものはデータとしては一番少ないのだろうと思います。ただ、情報公開で全部の申請書を9割方か、よほどその申請者の得意な部分を大っぴらにするところは守られなければならないと思うので、そこはオープンになるでしょうけれども、データとしては栄養機能食品があって、次に特定保健用食品。ただ、特定保健用食品の残念なところは、情報公開が非常に少ない。ただ製品が存在しているだけということに問題があるので、本当に一般の栄養のことについて詳しくない方がどなたかに尋ねたいといったときに、尋ねられた側は答えられないというのが特定保健用食品の弱点だと思います。

機能性表示食品は恐らく、データがあるのだから読めば答えられる。それをただ情報公開するだけではなくて、読み解いて易しくアレンジしながら、これから消費者庁なりが、パンフレットをつくったり、データベースをつくってオープンにするかどうか知りませんけれども、そういうことがあれば、医師だったり薬剤師さん、栄養士さんたち、興味のある方はそれを勉学して、一般の消費者に伝えていくということは可能ですし、そういう人材が多くの団体で養成はされているようですが、そこの皆さんがより情報の公開、中身の普及、解説ということができるような状況に持っていくことが大変重要になってくると思います。

○阿久澤座長 ありがとうございます。

先ほどもデータの信頼性の担保もそうですが、トクホと機能性表示食品との区別がつきにくいというところにつながってくるし、また今も、健康食品の種類が多い中で区別が非常につきにくいというところで、山田先生は情報公開が非常に乏しいということを指摘されています。先ほどの発言にあったウエブサイトの情報は健康・栄養研究所のほうですか。

○山田委員 国立健康・栄養研究所というのは厚生労働省の下部の研究所ですから、特に特定保健用食品あるいはいわゆる健康食品といわれる幾つかのいろいろな生理活性物質のことについての情報は、精力的にウエブサイトをつくっていますし、民間でもいろいろな団体でそれに類似したサイトというのはつくろうとしていると思います。でも、一応国がかなり関与しているので、信頼性としては大きいほうではないかと思います。

話がまた戻りますけれども、特別用途食品という、私にとってはもっと重要な食品の分野に関してのウエブサイトがシャットアウトしたということ自身が大変残念に思って、きょうのお話とはちょっとずれるかもしれないのですが、あれはどうしてそのようなことになったのかというのが本当に不思議な経緯です。誰も責任を持っていないし、誰も面倒を見ようとしないというのが現状ではないでしょうか。

○阿久澤座長 その辺が疑問だったので、今聞き返してみたのですけれども、情報提供資源としては非常に有効的なものだし、特に特別用途食品ということですので、非常に大事です。

ありがとうございます。

今のわかりにくいというところは、情報提供が乏しいということでよろしいでしょうか。

○夏目座長代理 はい、結構です。

○阿久澤座長 ほかに何か。

どうぞ。

○大野委員 最近、調査会で指摘されたことなのですけれども、例えば難消化性デキストリンというものは、いろいろな食品、トクホ製品に使われています。それが重複してとる可能性があるのではないかということが指摘されました。

考えてみると、本当に多くのものに使われています。ほかの関与成分もそういうものがあるわけです。一つの関与成分がいろいろな製品に使われている。一見全然違うものにも使われているということがあって、消費者の段階でそれが重複して摂取される可能性があるのではないかということが指摘されていました。

確かにそのとおりなので、そういうものをどこかで何とかしなくてはいけない。そういうリスクを排除できるようなことを考えなくてはいけないと思いました。

今は安全性を担保するために、過剰摂取試験をやっております。過剰摂取試験は摂取目安量の大体3~4倍です。いろいろなものに含まれますと、同じ関与成分を1日推奨用量の3、4倍をとる可能性もあるわけです。ですから、安全性が保証されていないレベルまでとってしまう可能性がありますので、その辺を消費者庁としても、これから考えていただきたいと思います。

○阿久澤座長 今のことについては、山田先生何かございますか。よろしいですか。

重複して摂取を避ける仕組みが何とかできないかということだと思います。

○山田委員 一つ一つの製品を審査するときには、この製品についてということで、例えば難消化性デキストリンが今出ましたけれども、同じように幾つかの難消化性のオリゴ糖あるいは糖アルコール、そのようなものをたくさんいろいろな種類、例えばキャンディーから虫歯にならないという糖アルコールをとって、ガムからもとって、清涼飲料水からもとってとすると、意外とおなかがぐるぐるする可能性は強い。

それはもう食べ方の問題だから、それは恐らく申請者側、審査側も気をつけなくてはいけないですけれども、そこは教育するなり、食べ方を知るような機会を多く設けるようにして啓発する。私は特定保健用食品というものは頭で食べるものだと思っています。味などというものではなくて、頭で食べる、飲む食品だと思っていますので、そこはよく考えて、先ほど最初に申しましたように、自分の食生活を見直してください。

ずっと20年かそれまでにあった、いろいろ自由がゆえにレギュレーションがなかった時代で、よくわからない製品がいっぱい出てきて、1つ2つ模範的な製品が出ればほかのものは当てにならないからといって駆逐されるだろうというようなもくろみで始まった部分があると思うのです。それが今、余りにも特定保健用食品というものがふえたので、どれがいかがわしくて、どれが本当らしいという、その判断もつかないような状態になっているのではないかと思います。

そういう意味では、もう一回繰り返し言いますけれども、もう売らなくなったものとか、つくらなくなったものは、即座にリストからどかすべき時代に来ているのではないかと私は思っています。

○阿久澤座長 ありがとうございます。

トクホは頭で考えて食べる食品ですというのは私も同感でして、これは造語ですが、思考食品、思い考えて食べる食品だということをよく言っています。

最後におっしゃいました、いろいろ許可されたものが多くなってきて、その許可品の追跡がされていないということなのですけれども、これは確かに私もそうかと思いまして、販売後、有害情報とか有効性が実際に多分どこにもデータの蓄積がないのではないかと思いますし、また公表される仕組みにもなっていないと思うのです。

そういった仕組みがないことから、トクホが健康増進に資するという評価もある意味できないという状況ではないかと思っています。したがって山田先生のおっしゃるように、許可品の追跡と同時に、このような過去の情報の蓄積、またそれを公表する仕組みというものはぜひつくっていくべきではないかと考えております。

それと関連するかと思いますが、20年たってということなのですが、これも山田先生のほうからお話があって、機能性食品表示の制度ができたことと、またノンアルコールビールの件を例として挙げて、要するに業界内を含めて、食とか食生活全体に対するコンセンサスがどうもきちんととれていないのではないかというような御発言があったかと思いますが、大野先生、突然で申しわけないのですが、その辺につきましてはどのように感じておりますか。

○大野委員 そうですね。申しわけありません。

○阿久澤座長 また思いついたら、お願いできればと思います。

確かに、食とは何か、食品とは何か、例えば表示にもつながると思いますけれども、食品と薬というものを明確にできれば、薬はこのような表示ができますが食品はできないということにもつながるし、表示もある意味わかりやすくなるのではないかと思います。

例えば、医薬品と食品の区別なのですが、これは容易にできなければならないのですけれども、錠剤とかカプセル型の特定保健用食品は非常にわかりにくいですね。ある意味錠剤型、カプセル型の特定保健用食品は食品なのだけれども、形は日々見ている薬と同じような形だということで、そこはやはりはっきりと表示で、「これは食品です」とか、「これは薬ではありません」というような、食品だから薬のような表示をしてはいけないというような規制があるかと思うのですが、最もわかりやすい方法をとれば、それはそのほうがいいのではないかと思います。どのような表示の仕方が、消費者が一番誤認しないで摂取できるのかということを考えれば、そういう規制を考えて、明確な表示の仕方を考えれば良いと思っています。

ちょっと違うところに行ったかどうかはあれなのですけれども、今の関連でもいいですが、何かほかにございませんか。

○夏目座長代理 やはりトクホ制度ができて20年以上もたっているのに、その蓄積がないとか検証がされていないというのは、制度をつくっただけではある意味片手落ちではないかと思います。

ですから、一度許可をされたトクホ商品であっても、お話が出てきましたように、既に廃止されたものとか、製造を中止したものについては、当然そこは抹消するというような措置がとられるべきだと思いますし、トクホが全て本当にどの程度一般の人たちに健康増進に寄与したかどうかというのは、なかなかデータでとるのは難しいかもしれませんけれども、少なくとも消費者庁が許可をした以上は何らかのデータをとらないと、何のための制度かということが問われるのではないかと私自身は考えております。

ですから、健康増進、食生活改善に資するものだという位置づけがあるのであれば、トクホ商品というものは、食品ですから効き目は薬のように強くないにしても、それはいいものだと。とり方も、先ほど出てきたように、重複して摂取していくとリスクも抱えるけれども、気をつけて摂取していければ健康増進に資するというプラス面もあるし、ほかのいわゆる健康食品とは違って、効能をきちんと、安全性、有効性についても保証しているというような食品であるわけですから、ぜひそこは消費者庁が取り組むかどうかはわかりませんけれども、20年以上もほったらかしという形のものは少しお考えいただく時期かと私は強く思っております。

○阿久澤座長 ありがとうございます。

どうぞ。

○大野委員 先ほどうまくお答えできなかったのですけれども、薬と食品との区別というのは、やはり表示で明確にして、審査の段階でこれは薬だ、食品だ、トクホだというのは明確な基準でやるべきだと思っているのです。あと、それを消費者が誤解しないように表示できちっとするということと、一番誤解しやすいのは宣伝ですね。テレビなり、新聞なり、いろいろな雑誌に載っているのは、本当に薬的に効くような表示が多々あります。いわゆる健康食品のなかには、とんでもない宣伝をしているものを見たことがありますけれども、表示をきちっとするということと、宣伝をきちっと規制するということが必要と思います。

宣伝に関しては、これはうそだとわかるような宣伝もありますね。テレビなどでしょっちゅうやっているような、それを飲むと高い山でも登れるような宣伝がありますね。それはもう、みんな見ている人は、そのようなことができるはずがないとわかっているわけです。それはまだいいと思うのですけれども、曖昧なところでそう思わせるような宣伝が一番危険だと思うのですが、そういうことがあるかと思っています。

それから、制度の検証がないということですけれども、トクホの性質上、有効性について後で確認するというのはなかなか難しいところがあると思います。ただ、それをまじめに研究して、企業とは独立して研究し、成果を論文として出している先生もおられますので、そういうものが出たときには集積して、ある程度たまってチェックしなくてはいけないような状況になったら、消費者庁としてそれを再確認するような、もし今まで消費者委員会としては有効だと言っても、有効でないというデータも中にはあるわけです。そういうものを集めて、なぜ有効ではないという結果が出たのかとか、どういう理由なのかということを考えて、継続してトクホとして認めるか、場合によっては取り消すかということを考える手段にすればいいのではないかと思います。

○阿久澤座長 どうもありがとうございます。

先ほど夏目代理のほうからも制度として20年以上たっているというところの話なのですけれども、例えばそれと関連するかと思うのですが、山田委員のほうから表示、広告のことで、著しく誤認を与える表現はやめるべきだと。それはそのとおりですが、その広告とラベルとの表示の統一であるはずが、異なってきたようだというのは、やはりこれは年を追ってそれは大分違ってきているという印象をお持ちでしょうか。

○山田委員 そうです。そう感じます。

これはちゃんとデータをとって、こう変わったというのは言えないのですけれども、2002、2003年のころ欧米でもいろいろなところでも、日本発のファンクショナルフードというものに大変興味を持って、そして従来は栄養成分表示ぐらいだったのですけれども、やはり栄養の効果のことを食品に書きたいという流れがあったときに、例えばアメリカなどは自由の国ですから、広告とラベリングは全然別の話だという主張をしていたと思います。その当時、栄養機能食品が出てきたころだったと思いますけれども、見直し論議があって、先ほどと同じ著しくということで、日本としては商品の表現に書いてある文言と、テレビあるいはパンフレットに書いてある文言は同一であるという立場を主張した覚えがあります。

ただ、それが今いろいろなレギュレーションの中でどのような経過になっているかは、私はまだ存じ上げないのですけれども、それが乖離してきて、広告は広告でかなりざっくばらんな表現になっているし、保健機能食品以外はざっくばらんになってもいいのかもしれないですが、少なくとも国としてある程度レギュレートする枠をつけた食品に関しては、同一であるという意識は強く持つべきではないかというのが私の意見です。

○阿久澤座長 どうもありがとうございます。

そのほか何かございますか。

○山田委員 話はちょっとずれますけれども、いつも審査会の中で言っていることなのですが、ダブルクレームです。一つの製品の中に2つの関与成分があって、2つのことを言うこと。これは今、許されています。

それから先ほどの、例を出すのはあれですけれども、ある種の食物繊維、ある種のオリゴ糖が血圧にいい、おなかの調子にもいい、脂肪の吸収を抑えるような働きをするといった形で、一つの関与成分がいろいろな作用を持っているときに、今度は、先ほど大野委員が言われたように、このジュースを飲んで、同じものが入っているこの食べ物を食べてとすると、結局同じものを3倍ぐらい食べているということはあり得ることだろうと思います。

それは商品に入っているので、今のところそれをクリアする方法はないのですけれども、消費者にとっては、1つの成分が入っていて、これは2つの作用をやるということは、大変うれしいかもしれないのですが、用心すべきことで、私はいつも反対し続けていますが、今の制度では通っています。

また、前回消費者庁の中でも確認させていただいたのですけれども、異なる機能を持った2つの関与成分を一緒に入れて、2つのクレームを言うことができる。これも制度上は非としないということですから、今後3つも4つも混ぜて、これはおなかの調子にもいい、脂肪の吸収にもうまくならないようになっている。はたまた、虫歯にもならない。このようなマルチクレームが出てくる製品があった場合には、今のところそれを非とできないのですから、そのようなものが出るということは少ないにしても、どのようにして食教育を特定保健用食品という、産業界が開発したいいものを使って健康に寄与するかという本来的なことを考えたような仕組みに少し軌道修正していかないと、よほどわけがわからなくなって、やはり特定保健用食品はないほうがかえっていいのではないか、ほかの食品にすりかえようという時代も来るだろうし、そういう時代がかえっていいのかもしれないとも思えたりしています。

○阿久澤座長 どうもありがとうございます。よろしいですか。 先ほどの私の食品と薬の話なのですけれども、補足させてもらいたいのですが、食品だから薬のような表示ができないということなのですが、例えば用法とか用量に関しての表示は原則トクホでは使わないということだと思うのですけれども、用量については、一日摂取目安量ということで記載するようになっている。これは一つの進歩だと思います。

また、用法についてですが、これは摂取タイミングですね。これは食品だから薬とは違うので、用法を書かないようですけれども、例えば関与成分によっては食後、食前というものも、そういう考え方を食品ではしてはいけないということなのでしょうが、より消費者、利用者に効果的にそれを使ってもらうのであれば、そのようなことも書いてしまったほうが、変に誤解を招かないでわかりやすいという意味からすれば、そのほうがわかりやすいのではないかと思いますし、また、食品だから即効性はないということもきちんと消費者にわからせるような表示をすればいいと思うのです。

ですから、これは1回だけではだめです、一定期間の継続摂取が必要です、というような、食品というものの概念、薬というものの概念をきちんと整理した理解の仕方をしてもらえれば、そこさえつかめば、あとは選択が非常に楽になるというような表示の仕方を、薬や食品として、どのような方法が一番わかりやすいかという表示の仕方を考えていけば良いのではないかと思っています。

○夏目座長代理 今、座長から医薬品と食品の違いがはっきりわかるような表示というのがまず第一という話も出てきましたけれども、今はトクホの話をしていますが、トクホだけではなくて、表示の話というのは、いわゆる健康食品も含めて全体の話だと思うのです。つまり、消費者にとっては何を基準に商品を選択するかといえば、やはり表示、ラベリングであるわけです。

山田先生のお話の中でも、広告、宣伝とラベリングは本来日本でしたら同じだったもののはずが、それが徐々にずれてきていて、いろいろな問題を起こしているというようなお話もあったわけですので、やはり消費者への誤解を与える可能性のある表示、本来でしたら伝えるべき内容が伝わらないような表示でしたら、それは役に立たないわけですから、その表示のあり方については、トクホだけではなくて、健康食品全体についてもう一度きちんと見直す必要があるのではないかということを強く思いました。

特にトクホについては、何度も申し上げましたように、国が許可を与えているわけですから、消費者はトクホというマークをまず見て、健康に資する食品であるというように非常に期待を抱くわけです。本当にそうなのかどうかということが消費者に伝わるような表示。それと、きょうもお話に出てきましたように、2つのクレームが今認められるような状況になっている。さらに、それが2つだけではなくて、もっとふえる可能性もあるかもしれないとか、あの商品でとり、この商品でとり、つまり消費者はいろいろな複数の食品をとっていくわけですから、その中で同じ関与成分を非常に多くとってしまうリスクもあるというようなお話もありましたので、そういうところについても表示で何とかできるような方向性というのは、今後考える必要もあるのかもしれません。

そうすると、表示というのは非常に大きな役割を果たしていると思いますので、今後のトクホも含めて健康食品を考えるときは、きちんと課題を整理していく必要があるのではないかということを強く感じたところでございます。

以上です。

○阿久澤座長 どうもありがとうございます。

いかがでしょうか。そろそろ時間にもなっておりますが、大野委員、山田委員のほうから何かございますか。

○大野委員 私からよろしいですか。

医薬品と食品との区分ということで、トクホでも臨床試験をして差が出たら、それを効能としてうたうという傾向があると思うのです。ただ、そのことが食品としていいのかどうか。これは医薬品のレベルの問題なのではないかと思うこともあるのですけれども、その辺、こういう表現とか、こういう効能でしたらこれは医薬品として扱ってください、このような内容でしたら食品でいいですと、それを明確に示さないとまずいのではないか。

企業が医薬品として開発を進めなくてはいけない効能を、例えば食品として開発を進めてしまって余分な実験をしたり、医薬品としてはそれほどのレベルではないのに、試験を遂行してしまうとかということもあると思うので、できれば、既にあるのかもしれませんけれども、私の勉強不足だけなのかもしれませんが、こういう表現はだめだ、こういう効能はだめだとか、そういうことが明確になればいいのではないかと思います。

○阿久澤座長 確かに、食品でもその関与成分だけを抽出して濃縮すれば、医薬品並みの効果になり得るものは多くあると思うのですけれども、そういう意味でそれを食品として扱うのはかなり危険があると思います。ですから、その辺も一つの問題かと思います。

よろしいでしょうか。山田先生、ほかはもうよろしいですか。時間があれですので、何かもしあれば。

○山田委員 一点だけ。アメリカではダイエタリーサプリメントという、私たちもサプリと言っていますね。これは一体、食品のことを大体イメージしてサプリと言うのですけれども、ヨーロッパではフードサプリメントと言う。

基本的にサプリメントというのはフードでもダイエットでもないのです。何とかかんとか物質なのです。そういう考え方を私たちもとるべきなのか。何とかかんとか物質という、品という字ではなくて、何とか物質というような表現でものを考えることが必要なのかというようなことも時々思ったりします。ちょっとこだわりなのですけれども、サプリメントという意味合いを私たちがとる場合と、消費者がとる場合と、あるいはレギュレーションの方たちがとる場合とでは、なかなか同一ではないような気がしているのです。

以上です。

○阿久澤座長 ありがとうございます。

山田先生がおっしゃられるような形で、医薬品と食品の間に一つ置くというのは、ある意味わかりやすいかと私も感じています。

それでは、時間になりましたので、この辺で終わりにさせていただきたいと思いますが、大野先生、山田先生には、本日は貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございました。非常に有意義な議論であったと思います。特定保健用食品に関するこのようなヒアリングは、本日のみとさせていただき、このヒアリングでお聞きした内容も含めた特定保健用食品に関する諸問題、また、いわゆる健康食品の諸問題に関しまして、食品ワーキング・グループ委員において課題を整理することといたします。

整理の結果は消費者委員会本会議に報告いたしまして、消費者委員会として必要な検討を進めていきたいと思います。

大野先生、山田先生におかれましては、きょうはどうもありがとうございました。

本日の議事は以上です。これで閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございました。

≪3.閉会≫

以上