第162回本会議・第13回景品表示法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会 合同会議 議事録

日時

2014年6月10日(火)13:00~14:05

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【消費者委員会委員】
河上委員長、石戸谷委員長代理、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
【専門調査会委員】
小早川座長、白石座長代理、川出委員、増田委員、宮城委員
【説明者】
消費者庁 川口審議官 、菅久審議官、黒田課徴金制度検討室長、加納消費者制度課長
【オブザーバー】
国民生活センター 丹野理事
【事務局】
黒木事務局長、井内審議官、大貫参事官、金児企画官、稲生参事官補佐

議事次第

  1. 開会
  2. 不当景品類及び不当表示防止法上の不当表示規制の実効性を確保するための課徴金制度の導入等の違反行為に対する措置の在り方について(答申)(案)」の検討
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○金児企画官 本日は、皆様お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会第162回本会議・第13回景品表示法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会 合同会議」を開催します。

本日は、所用により本会議委員の阿久澤委員、専門調査会委員の鹿野委員、長田委員が御欠席との御連絡をいただいております。

本日の配布資料でございますけれども、資料1が答申(案)。それから、参考資料として、その概要でございます。御確認いただければと思います。

それでは、小早川座長に議事進行をお願いいたします。


≪2.「不当景品類及び不当表示防止法上の不当表示規制の実効性を確保するための課徴金制度の導入等の違反行為に対する措置の在り方について(答申)(案)」の検討≫

○小早川座長 それでは、皆様よろしくお願いいたします。

本日は、これまでの議論を取りまとめて、この合同会議における答申(案)を固めたいと思います。前回議論していただいた被害回復のあり方等を加えて、その上、さらに取りまとめ案に対する委員からの御意見も踏まえて修正された案が、本日、資料1として配布されております。

そこで、まずこの案につきまして事務局から説明していただき、その後、委員の皆さんから御意見をいただいて、本合同会議における最終的な答申(案)とする内容を確定したいと思います。

では、まず事務局から御説明をお願いいたします。

○稲生参事官補佐 それでは、案につきまして簡単に御説明させていただきます。前回、5月28日に素案を資料としてお配りしておりますけれども、そこから変わったところを中心に御紹介させていただきます。

冒頭の部分についてはほとんど変わりがございませんので、4ページ目から参ります。「課徴金賦課の要件」の「対象事案」のところでございますけれども、「マル1対象行為」の横に「4」と脚注番号が振ってございます。こちらにつきましては、もともと素案の段階では「マル2主観的要素」のところで「ウ 複数の表示主体に対する課徴金の賦課について」という項目を設けて記載しておりましたが、これを「対象行為」の脚注に移したものでございます。

続きまして、5ページの真ん中より少し下の「エ その他」というところで、「課徴金賦課の対象行為に該当するか否かについては、必要に応じ、要件該当性についての判断基準の明確化を図るなどの取組を実施することにより、事業者に無用の萎縮効果を与えないように配慮すべきである」とありますけれども、これにつきましては、もともと「ア」の優良誤認表示・有利誤認表示の脚注にありました記述を本文に移したものでございます。

続きまして、7ページ「マル3規模基準」に関しまして、「マル4除斥期間」のすぐ上のあたりの「事業者への影響」との記述に脚注の「10」を付してございます。こちらは、委員の御指摘を踏まえて追記したものでございまして、内容としましては、課徴金額の算定方法について、「平成20年改正法案では対象商品・役務の売上額を基準としており、これに倣えば、裾切りは、企業規模ではなく、対象商品・役務の売上規模によってなされることになる」というものでございます。

続きまして、「課徴金額の算定」ですけれども、「マル1基本的な考え方」として、8ページに行きますが、「その算定方法については」の段落で、委員の御指摘を踏まえまして、「平成20年改正法案において、事業者単位の営業利益率を参考に算定率を定め、これを違反行為の対象となった商品・役務の売上額に乗じることとされていたところ」の次に、「当時の結論にとらわれることなく、」という記述を追加しております。

それから、その次の「マル2加算・減算・減免措置」は、新たに追記したところでございます。加算措置については、「違反行為の抑止効果を高めるものとして、積極的な検討に値する」「今後の制度設計において、過去の措置命令事案…等を踏まえてその必要性を検証しつつ、検討が行われるべきである」という結論としております。

また、減算・減免措置につきましても、違反行為者に対して自主申告を促すことによって、不当表示を早期に発見して被害拡大を防止するといった効果がありますので、「検討する価値を有する」という結論としております。

それから、「課徴金の賦課手続」に参ります。9ページの真ん中あたりでございます。ここでなお書きを追加しております。内容としては、執行に関し、186回国会に提出され、先日、6月6日に成立した改正法案における行政の監視指導体制強化策を踏まえて、「国と都道府県との役割分担・連携についても更に検討する必要があるとの指摘がなされた」というものです。

そして、最後に、「被害回復の在り方」のところですが、ここは全て新しく追記したところでございます。

まず、「被害回復の仕組み及びその手法」というところで、「不当表示事案における被害回復が困難であること、また、景品表示法への課徴金制度導入について、被害者救済制度の総合的な検討を実施する際にあわせて検討することが適切であるとされ、平成20年改正法案が廃案となった経緯等に鑑みれば、課徴金制度の制度設計において、消費者の被害回復を促進する仕組みを導入すべきである」。

「その手法としては、課徴金納付命令に際し、違反行為者がとった消費者への返金等の自主的対応を勘案して、課徴金額から一定額を控除する制度を採用すべきである」。その理由としましては、「本来、課徴金により剥奪すべき違反行為者の不当な利得は被害者に還元されるべきものであるところ、違反行為者が得た不当利得を自ら消費者に還元した場合に、これを課徴金の賦課に当たって考慮することとすれば、課徴金制度の抑止効果を維持しつつ、被害回復を促進できると考えられる」ということを挙げております。

続きまして、その控除制度の内容についてでございますけれども、まず、「マル1消費者への返金」。これにつきましては、「違反行為者の手元に残る不当な利得の出捐者である対象商品・役務の購入等をした消費者への返金を原則とするべきである」としております。

控除の対象とすべき返金の範囲につきましては、その段落の3行目で、「課徴金の対象とされた表示行為に係るものに限定せず、それと社会通念上一体と考えられる返金もその対象とすべきである」としております。

また、控除額については、「返金額全額を控除対象とすべきである」としております。

「なお」から始まる4行を飛ばしまして、その次の「また」のところですが、「適正かつ平等に行われた返金を控除の対象とすべきである」といったことも記載しております。

続きまして、「マル2寄附」に参ります。控除を認めるべき「自主的対応」として、消費者への返金に加えて、寄附の仕組みを設けるか否かということでございますけれども、実際上、不当表示の有無以外の要素、例えば対象商品や役務の特性、販売形態とか被害金額等によって、消費者への返金が困難である場合も少なくないと考えられますので、事業者間の公平の観点から考えても、「違反行為者の得た不当利得の消費者に対する還元の一形態として、これを認めるべきである」という結論としております。

ただし、その次の「もっとも」のところですけれども、「寄附は、あくまでも消費者への返金を補完するものと位置付けるべきである」ということで、「また」の段落に参りますが、寄附先や寄附金の使途については、その3行目、「控除制度は消費者の被害回復を促進するための仕組みであることを踏まえ、限定的に定められるべきである」としております。

前回お示しした素案からの主な変更点は以上でございます。

○小早川座長 どうもありがとうございました。

それでは、ただいま説明がありました案について御意見がございましたら御発言をお願いします。宮城委員、どうぞ。

○宮城委員 不実証広告規制のところですが、事前に見せていただいたときには気がつかなかったのですが、5ページの「したがって」の段落の4行目ですが、不実証広告について「合理的根拠資料の提出がなければ課徴金を賦課することができることとした上で」。これは、別に裁量的にできるとしている趣旨ではないのだろうと思いますが、見方によると裁量みたいに見えてしまうので、どうなのでしょう。この表現でいいのかどうかがちょっと気になっただけなのですが。

○小早川座長 きょうは、もう文言を確定する段階ですので、一つ一つ片をつけていきたいと思いますが、今の点は事務局はいかがでしょうか。

○稲生参事官補佐 事務局としては、裁量を認めるという趣旨でこのような記述としたわけではございませんけれども、そのような疑義が生じるとお思いの方が多いのでしょうか。

○小早川座長 意味をわかりやすくするためには、「賦課することとした上で」あるいは「賦課するものとした上で」でもいいのではないか。条文に書くとすれば「することができる」になるのだろうとは思いますが。

今の点、ほかに御意見ありますか。事務局、いかがでしょう。

○稲生参事官補佐 座長の御提案に従って書きかえたいと思います。

○小早川座長 「賦課することとした上で」。これは、ことさら覊束としての強い意味を持たせるということではなくて、ですが。それでよろしいでしょうか。では、「こととした上で」。

ほかに。では、続けてどうぞ。

○宮城委員 同じ5ページの真ん中あたりの「なお」の段落ですが、ちょっと意味がとりにくい。「違反行為者に対してその補完のため特段の時間的猶予を付与する必要はない」ということは、これはつまりどう読めばいいのか。いや、何となくわかるのだけれども、扱いとしては、実際問題としては、時間的猶予を付与する必要はないと言っているのは、これは措置命令が出るまでのことを言っているのですか。そういう趣旨と理解すればいいのですか。

○小早川座長 ここは、いろいろな議論を踏まえてこうなっているのだと思いますが、事務局の御理解は。

○稲生参事官補佐 ここは、特に措置命令が出るまでに限る趣旨ではなくて、課徴金制度の制度設計として、合理的根拠資料を補完するために通常よりも長く期間をとる必要はないという趣旨で記載したところでございます。いろいろ御意見をいただきまして、今、このような表現となっておりますけれども、よりわかりやすい表現がありましたら、御意見をいただければ助かります。

○宮城委員 つまり、段階の問題として、まず資料が出るか出ないかで、一定期間、15日間で措置命令が出て、そして課徴金についても措置命令が出た後で、さらに期間を置くのですかね。だから、ここで言っている時間的猶予というのは3段階あって、措置命令があって、課徴金納付命令があって、そしてそれを争う取消訴訟の段階があって、そのどれのことを言っているのかよくわからないということなのですけれどもね。

○小早川座長 菅久審議官。

○消費者庁菅久審議官 消費者委員会ではないので、私が補足するのもどうかとは思いますけれども、措置命令まではこれまでと変わらないわけですから、これは今の手続が全く変わらないという前提で議論したと思います。合理的根拠を出すように求めて、それが出せなければ、具体的にはその後、弁明の機会の付与という手続を経た上で措置命令が出る。その後は、今回の議論にありましたような控除とか、そういうものを入れた上で課徴金納付命令を出すのですが、ここで言っているのは、つまり資料は持っていないのだけれども、もう一回実験しますから半年待ってくださいということを認める必要はないという意味で書いているということだと思います。

○宮城委員 そうすると、理解としては、措置命令が出て、その後課徴金納付命令を出すまでの期間、そんなに置いておく考えはない。そういうふうに理解したらいいでしょうか。

○小早川座長 それでよろしいでしょうか。今、菅久さんから発言があったように、裏には、後づけの実験を認めるかどうかという議論があって、それはだめでしょうというのが一つの前提ですね。その上で、持っているものを出す、出さないというだけの話なのだから、そんなに時間をかける必要はないだろう。措置命令の後、その次に課徴金納付命令が来るとしても、その間に特別の考慮で期間を延ばす必要はないだろうということですね。

白石座長代理。

○白石座長代理 そうすると、「なお」の段落の「処分」というのを、前々段落の表現に合わせて「賦課処分」または「課徴金納付命令」でもいいと思いますけれども、そのようにすれば明確になるのではないでしょうか。

○小早川座長 それは、宮城委員もよろしいですね。

○宮城委員 私もそのように今、申し上げようと思っていたところです。

○小早川座長 そうですか。では、宮城委員も今の白石座長代理と同じ御意見ですが、それでよろしいでしょうか。

○白石座長代理 確認ですけれども、「なお」の段落には「処分」が2個ありますので、2個とも「賦課処分」にする必要がありますね。

○小早川座長 そうですね。事務局、よろしいですか。

○稲生参事官補佐 それでは、「なお」の段落の2カ所の「処分」を「賦課処分」に変えさせていただきます。

○小早川座長 はい。

では、ほかの点、いかがでしょうか。宮城委員、どうぞ。

○宮城委員 同じく5ページのその他のところですが、この内容については私も岩田委員と同じ意見で、なるべくできる限りの範囲で明確化の努力はすべきであるということについては賛成です。ただ、ちょっと危惧されるのが、この点について明確化というのは、事業者団体からの要求が、どの団体からも一致してヒアリングとかでも出ているところで、この点が必要以上にひとり歩きするのもよくないなと。

だから、今から大きな文言の変更は入れられないのでしょうが、例えば基本的な性格の確認がどこかに、今さらですけれども、先に申し上げておけばよかったのですけれども、依然に消費者庁がおっしゃっていたとおり、基本的な景表法の性格としては、業法規制のような表示の義務づけの話ではなくて、単純に不当な表示・広告の内容と商品・役務の内容を客観的に比較するだけのことで、一般常識に照らして現場で見ていただいたほうが確実なので、実はそんなに不明確な事例は少ないだろうとは思っているのです。だから、基本的性格が表示の義務づけとは違いますよという説明は、例えば注記なりで入れておくことはできないのかという。二、三行で足りるのかなという感じです。

○小早川座長 どなたか、今の点について御意見ありますか。委員長、どうぞ。

○河上委員長 御趣旨はよくわかりますけれども、その点は運用の際に留意していただくということで、会議の席でそのような意見があったということを議事録にとどめるという形でおさめさせていただければありがたいと思います。

○小早川座長 よろしいでしょうか。では、そのようにお願いします。

岩田委員。

○岩田委員 別のことでよろしいでしょうか。

○小早川座長 どうぞ。

○岩田委員 8ページの課徴金額の算定について書かれているところですけれども、上から7行目、「当時の結論にとらわれることなく」と委員長が事前の非公式の調整で入れられたと思いますけれども、この削除をお願いしたいと思います。その1行下に「不当表示の事前抑止のための必要・十分なインセンティブを与えるべく」と書いてありますので、もうここで言い尽くされていると思うのですね。ここでの議論は、20年の改正法案で具体的に示されていた算定率を自動的に採用するということではないと理解しておりますので、それを確認した上で、どの水準が必要・十分かということで御検討いただいたらいいと思います。

その際には、実際の産業界の企業の利益率の実態というのを踏まえるのが一番大事だと思うのですが、「当時の結論にとらわれることなく」と書かれますと、当時の20年改正法案というのは、事業者単位の営業利益率を参考に算定率を定めと書かれておりますので、その考え方自体も否定されているようにも読まれますので、それは不適切だと思います。よろしければ、「当時の結論にとらわれることなく」というのは削除していただければと思います。

○小早川座長 委員長、いかがでしょうか。

○河上委員長 これは、私が調整の段階で入れていただいたものですけれども、基本的には岩田委員おっしゃるように、最後のところの文章が大事なわけです。ただ、当時の結論の中に、一定の数値まで含めて出ておりまして、このまま事態が推移してしまったときに、例えば営業利益率の3%というところが出発点になってしまわないかという危惧がございました。

利益率によって考えるのだということは、下の注のところに書き込んでありますので、そこの部分は恐らく勘違いされることはないと思うのですけれども、独禁法とか、そういう話と違って、今回の問題に関して言うと、著しい利益を前提にして表示しているということでありますから、余り低い額でおさまってしまうということはあり得ない。私は、個人的には30%とか50%ぐらいあっても構わないというつもりでおりました。ですから、小さな数字になってしまわないようにという期待も込めて、こういう文字にいたしました。ただ、そのことが了解済みであるということであれば、あえて残すことにはこだわりません。

○小早川座長 今、言われた、下の注でというのは、前のページですね。

○河上委員長 ええ。「売上額を基準としており(資料2)」というものが。

○小早川座長 注10ですね。

○河上委員長 はい。そこは、それで維持されているのではないかというのが私の理解ではあったのですが。

○小早川座長 つまり、さきほどの文言は削除でよい、しかし、考え方としてはこういうことであるということですが、よろしいでしょうか。

では、ほかの点で。岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 これは確認ですが、そのすぐ下のマル2加算・減算・減免措置という項目があるのですけれども、前半が加算措置について、後半が減算・減免措置について、「また」の前後で分かれていると思いますが、その加算のところについては、「その必要性を検証しつつ、検討が行われるべきである」という書き方なのです。減算・減免のところは「検討する価値を有する」という表現になっていて、これは意見ではなくて、単に確認なのですけれども、加算のところについては、それを実現することの可能性を高く期待していて、減算・減免のほうはちょっと難しいかなと、私はこの文章で理解したのです。

それが反対ということでは決してなくて、クラリファイしたいだけですが、そういうふうに書き分けていると理解してよろしいでしょうか。

○小早川座長 これは、執筆者の御説明を。

○稲生参事官補佐 岩田委員が御指摘のとおり、そのようなニュアンスを持って書いたつもりでございます。

○小早川座長 では、ほかにいかがでしょうか。宮城委員。

○宮城委員 同じ8ページの加算・減算措置の後半、減算・減免措置の部分ですけれども、ここも話が出ていたかと思うのですが、もしこの制度がこの立法過程の中で入れられるとした場合、危惧されるのが、要件を余り甘くしてしまうと、見つかりそうになったら自主申告してしまうということで、安易に減算・減免措置がされてしまうという要件立て。この実現自体がどうかということはわからないのですけれども、もしそれが立法過程で入れられるとした場合に、その要件は慎重に吟味されなければいけないとか、ちょっと釘を刺しておく必要はないのか。

つまり、その要件吟味については、ちょっと文章が浮かびませんけれども、甘くすると措置命令と全く同じようなことになってしまって、見つかりそうになったら、ごめんなさいすればいいということになりかねないので、その辺の留保は要らないのかと思っただけですが。

○小早川座長 御提案は、具体的な歯止めを書き込むという方向ですか。それとも逆に、語尾は「検討する価値を有する」となっていますけれども、実は考慮を要する問題はいろいろあるよというニュアンスを何かの形で入れるということか。

○宮城委員 今ある部分はこのままでいいと思うのですけれども、それの後に、この制度を設ける場合には、その要件立てについて、安易な減免にならないように慎重な吟味を要するとか、一言要らないのかなということです。

○小早川座長 注12にも抑止目的との関係ということは書いてはありますね。

白石座長代理、どうぞ。

○白石座長代理 宮城委員が自主申告制度について危惧されるのはもっともだと思うのですけれども、危惧されている点は、自主申告制度を設計する際には当然考慮すべきものというコンセンサスが、独禁法の経験等によってあると思いますので、この文面でも宮城委員が心配される、見つかりそうになったから申告するということに安易に恩恵を与えないようにするという趣旨が盛り込まれていると考えてよいのではないかと考えます。宮城委員の御発言が議事録に残れば、それで十分配慮されるのではないかと思いますので、いかがでしょうか。

○河上委員長 ほかのことでよろしいですか。

○小早川座長 どうぞ。

○河上委員長 事務局案をチェックする過程でも少し考えさせられたことですけれども、1つは、課徴金として徴収された金銭の帰属先の問題であります。この点については特段の記述がこの報告書の中ではございません。けれども、普通に考えれば、これは直ちに国庫に帰属することになるだろうと考えられるところであります。事業者団体の方からも、そのような強い意見が出ましたけれども、一方では、これを何らかの形で消費者の利益に還元されるような形での制度設計が望ましいのではないかという意見も、相当数あったと記憶しております。

それは、違反事業者の上げた違法な利益というものの原資が、顧客の損失、出捐に由来しているのだということによるものであります。それを配慮した上で、幾つかの制度は手当てされているのですけれども、例えば最後のほうで、中立的な機関に管理される基金のようなものへの寄附が考慮されていることとか、いろいろな点が挙げられているわけですが、場合によって、国によって徴収された金銭も基金に移管して、一元的に管理・運用するというのが、制度的には簡明ではないかという気がいたします。ただ、このことは、課徴金制度というものの本質的な性格を左右するような問題でもあって、そのことを直ちにここで提案するというのは、私は断念いたします。

ですから、答申に文章として残すことはしませんけれども、せめて議事録に書いていただいておいて、今後、いろいろな制度設計をする際に、そういう意見もあるということを考えながら制度設計していただければありがたい。これは修文のお願いではございません。

○小早川座長 この調査会で議論するとすれば、おそらく、最初の段階で時間をとって、そもそも課徴金というのは一体何だということでじっくり議論すべき点なのだろうと思いますが、今回の議論の進め方はそうではなかったので、取り扱いとしては、今、委員長が言われたようなことで、問題点の指摘ということになるかと思います。

ほかにいかがでしょうか。齋藤委員。

○齋藤委員 確認しておきたいと思いますので、書いた方の意図を後でお答えいただければと思います。

4ページの脚注の4の2行目、「現行の不当表示規制の対象は、不当な表示についてその内容の決定に関与した事業者に限られるが、単独であるか複数であるかは問わないものとされている」となっております。この「複数」というのが、川上から川下の縦系列の複数と横に広がる複数と、いろいろあると思うので、それをどう考えたかをお聞かせいただきたい。

というのは、後ろにあった文章が4ページに移っていますので、確認したいということであります。6ページの真ん中あたり、イの上の段落の下から3行目、「違反行為者から、不当表示を意図的に行ったものではなく、かつ、一定の注意義務を尽くしたことについて合理的な反証がなされた場合を、例外的に対象外とすれば足りる」となっています。その部分だけ読み合わせると内容が同じなのかという疑問を持つ読み方をされると思います。前のほうにこれを移した意味がそこにあると思っておりますので、その意図をお伺いしたい。

というのは、今後この制度を具体的に検討するときには、平成20年、私が何回かここで紹介しましたけれども、事故米の流通事件が想起されると思います。これは数社の流通業者が、食べられないはずの事故米を食用として約400社に流通したというものです。その約400社が公表されて経営不振に陥ったときに、政府は、事故米と知らずに使用した善意の事業者多数に廃棄の経費、売上減少に伴う利益減の補てん、運転資金の借り入れ増に伴う金利負担の増加に対して支援金を交付したわけであります。今回、私どもは、誰に課徴金を課すかという発想でこの全体像を見るのですけれども、このときは誰を支援するかが問題になり、実際に十億円単位の金が出ていると、当時、新聞などが報じております。

今回、これを外形的に、対象行為に当たるか当たらないかというところの脚注に移したことに、それなりの意味があると思うので、その趣旨をお伺いしたい。

もう一つは、4ページの脚注の真ん中あたりに「課徴金を課しても二重取りとなるものではない」と書いています。私は、二重取りでも三重取りでも何重でもありだと思っているのです。サプライチェーンの中の、それに関与した段階の者が全て対象になるのは、これはあり得ることです。この「二重取り」というのは、私の表現では「多重取り」のほうがいいのではないかと思うのです。「多重取り」というのが一般的な用語ではないということであれば「二重取り」ですが、川上と川下の二者に限ったような二重という意味ではないということを確認したいと思います。

○小早川座長 それでは、まずはこの書き方についての説明を事務局から。

○稲生参事官補佐 まず、「複数」というのが川上・川下といった縦の流れの場合と横のつながりの場合のどちらを想定しているかということですが、それはどちらについても言えると思います。不当表示に当たる表示行為に関与した者であれば、それがどういう形態で関与したものであっても不当表示の主体に該当するのだという趣旨で書いたもので、関与の仕方が縦か横かということによって結論が異なるものではございません。

それから、ここでは「内容の決定に関与した事業者に限られる」と書いており、一方で、主観的要素のところでは、原則として対象とした上で例外的な場合だけ対象外とするという書き方をしていることについての御指摘ですけれども、4ページの脚注は、対象行為に当たるかどうかというところですので、こちらの判断が先に来るのではないかと考えております。まず、課徴金賦課の対象行為に当たることが認定された上で、その次に、主観的要素の要件を満たすのかどうかという順番で検討することになると思いますので、私としては矛盾があるとは考えていないのですが、そのように読めるということでしたら、また御意見をいただければと思います。

最後の「二重取り」という表現については、二者に限るという趣旨ではございませんので、確かに、関与している事業者が三つ、四つということになれば、三重取り、四重取りということも想定できるかもしれないと思います。

○小早川座長 それでは、今の点について白石座長代理から。

○白石座長代理 十分に御説明いただきましたので、私からは蛇足ですけれども、今の注4に当たる部分を移動させることを提案したのは私ですので、考えを補足的に申し上げておきたいと思います。

主観的要件について議論するときに、サプライチェーンの川上・川下の問題がよく出てくるわけです。川上・川下の事案を念頭に起きながら主観的要素の議論をしていたところ、複数の者が違反者になることもあるのではないかという問題意識が芽生えて、当初の案では主観的要素のところに複数違反者の場合の課徴金の問題が書かれていたと思います。しかし、複数の者が同じ事件で違反者になるというのは、別に主観的要素の問題がある事案に限らず、主観的要素の意味で真っ黒な複数の者が違反者になることもあるわけです。そうすると、複数違反者の場合の課徴金に関する記述が主観的要素を論じた箇所にあるのは体系的に言って、ちょっと改善の余地があるのではないかという提案をさせていただいたということでございます。それ以上の意味はありません。

そのほかの説明は、先ほど事務局から御説明があったとおりで、私もそのように考えております。

○小早川座長 よろしいでしょうか。二重取りか三重取りかということもありますけれども、それとは別に、これは修正を望むわけではありませんが、「二重取りとなるものではない」とあるのは、二重取りでも別に構わないというように理解してもいいのだろうと思うのです。つまり、一連の過程を含む事案で複数の人から課徴金を取るのは、国庫の側について見れば二重取り、三重取りかもしれないけれども、事業者の側について見れば、ここに書いてあるように、それぞれに利得があって、それぞれに対して抑止のために課徴金を課すのだということなので、本来は、二重取りという言葉自体、使わなくてもよかったかとも思いますが、今、十分御説明があったような趣旨だということで、いかがでしょうか。

ほかに。岩田委員。

○岩田委員 小さいことですが、9ページの5.課徴金の賦課手続の一番最後のなお書きのところです。これは、私の意見で、脚注にそれらしきものがあったのを本文に移していただいたものですが、そのことはありがたく思っております。というのは、先週、関係法律の改正案が成立しまして、これまでは是正命令は国だけが出していたのが、国と都道府県も出せるということになった。この是正命令の国と都道府県の間の連携・調整も非常に大きい課題があると思っております。それにプラス、課徴金の賦課は国だけが持つ権利・責任なのか、都道府県もあわせてなのかというのも、これまでの議論でははっきりしませんでしたし。

○小早川座長 それは、議論の対象にはなっていないと思います。

○岩田委員 はい。そうしますと、是正命令の国と都道府県、それから課徴金の賦課はどこがやるのかというのが、これまでの議論ではまだなかったということから、関係者間の役割分担とか連携というのが非常に大事になってくると思いますので、それを本文に上げていただいたのはいいと思うのですけれども、最後に「指摘がなされた」とあります。もちろん指摘があったのですけれども、少数意見とか本筋とは違う発言だったというニュアンスが残りますので、「検討する必要がある」でとめていただければと思います。

○小早川座長 事務局のほうでは、何か特に、強い御意見がありますか。私としては、今、伺っていて、都道府県に課徴金制度についてどれだけの役割を持ってもらうかということはここでは議論されていないので、「検討する必要がある」にすると逆にここでの議論のレベルをちょっと超えるのかなという気もしました。ただ、御発言に対して反論ないし異なる意見があったわけではありません。それなのに、この表現では少数意見のように見えてしまうということですので、私としては、1文字入れて「検討する必要があることの指摘がなされた」ではいかがかと、ちょっとそう考えましたが。

○岩田委員 それで結構です。

○小早川座長 ありがとうございます。

白石座長代理。

○白石座長代理 済みません、今のところを見ていまして、大変細かいことですけれども、成立したなら、もう「案」ではないかもしれないですね。申しわけありません、ついでにお願いします。

○小早川座長 事務局、よろしくお願いします。

○稲生参事官補佐 失礼いたしました。

○小早川座長 ほかにいかがでしょうか。それでは、高橋委員、その次に黒田室長。時間が迫ってきていますので、そのほかにはもうお一方ぐらいが限度だと思います。

○高橋委員 ほかの観点からの意見でありますが、本文2ページ目、課徴金制度を導入することの必要性として記載されている(1)の部分ですけれども、不当表示による消費者被害の実態としては、今さらながら眺めてみますと、資料1のデータというのは少し古目に感じてしまうのではないかと思います。本答申のきっかけになったのは、2013年度に起きたメニューの偽装表示ですけれども、きょう、2014年6月10日付として出すのに際して、この資料が2012年でとどまっている。しかし、2ページの本文では「年々高まっている」という表現になっているのです。ですので、もし可能であれば、2013年度の数字が入れられないかということでございます。

私が承知しているところでは、年報は秋に出るのですけれども、数字そのものは8月に公表されますし、PI0-NETの受け付けは5月末で締め切られていると思うのですね。ですので、速報値でも本文のほうに少し入れられればありがたいと思いますし、もしそれが難しいのであれば、年報の出典資料1に記載することで、古くはないのだと。トレンドとしてもふえているというのを、例えば第3四半期までの数字に関しての前年比とか、何か対応できるのであればお願いしたいと思います。今さらながらのこの時期で申しわけないですが。

○小早川座長 それでは、国民生活センターの丹野理事。

○国民生活センター丹野理事 要請があれば数字は出させていただきますので、よろしくお願いします。

○小早川座長 事務局は、よろしいでしょうか。

○稲生参事官補佐 公表資料としては「消費生活年報2013」が最新のものということで、このような2012年度までの資料となっているのですけれども、これから国センさんにお願いして数字をいただくということになりますと、すぐに修正するというのはちょっと難しくなるのではと危惧しますが、いかがでしょうか。

○国民生活センター丹野理事 すぐにというのは、文字どおりすぐでしょうか。

○稲生参事官補佐 本日取りまとめということを想定した場合に、それが可能かどうかということです。

○小早川座長 河上委員長、どうぞ。

○河上委員長 資料としては、これでとりあえず固めておいて、あと、また補足資料として国センから提出させていただくということで、今回としてはこれで固めていただければありがたいと思います。

○小早川座長 それでは、技術的な制約ということで御容赦いただければと思います。

では、黒田室長、どうぞ。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 済みません、議論に関係ない事実関係の部分で、若干気になる点がございますので、申し上げたいと思います。

3ページの20年の改正法案が廃案となった経緯といいますか、説明したのが消費者庁となっていますので、余計気になるのですけれども、私、廃案と、景表法が移管されたことに伴って性質が変わったという部分に因果関係があると、ここまで説明したつもりはなかったのです。実際に廃案になったのは、また別の要素があったのです。独禁法を出し直したときに、景表法が抜け落ちていたという意味でいえば確かにこの部分は入るのですけれども、この文章だと若干違うのです。

具体的な修文を言うとすれば、「国会提出されたが、この法案はその後廃案となった」で1回切って、「また」として、最後「適切であるとされた。」にすれば、最小限の修正で趣旨は通じるかなと思います。この書き方だと、廃案と景表法が移管されたということがまるで因果関係があるように読め過ぎてしまうので、そこは事実とは違うのではないかと思います。

○小早川座長 気になるという御趣旨はよくわかりましたが、「また」でうまくつながりますかね。はい、白石さん、どうぞ。

○白石座長代理 競争法体系、消費者法体系という記述は必要なのでしょうか。消費者庁で総合的に検討ということは廃案のときにも言っていたように記憶しておりますので、競争法、消費者法というところを削れば、それでよろしいのではないかという気もしますが、いかがでしょうか。

○消費者庁菅久審議官 廃案になったのは、後で消費者庁で検討するから廃案になったわけではないのです。単に審議されなくて廃案になったということで、その後出し直すときに、まさに先ほど説明しましたとおり、入れなかった理由がこれということでございます。なので、今の文章ですと、深読みし過ぎるかもしれませんが、景品表示法の話があったので廃案になったかのように読めるのも、ちょっと困ったなということでございます。単に事実として廃案になった。さらに次、消費者庁で検討すると単純に続けていただくほうがよろしいのではないかということでございます。

○小早川座長 白石さん、どうぞ。

○白石座長代理 もし、そういうことであれば、その方向で御検討いただければと思います。

○小早川座長 委員長、どうぞ。

○河上委員長 因果関係があるかのような書き方になっているということだけ避けるのであれば、「廃案となった。」にして、「が、これは」を取る。それから、最後の「適切であるとされたことによるものである」という部分を「適切である。」で、後は切ることで対応することでいかがでしょうか。

○小早川座長 それは、黒田さんが最初に言われた修文案の、「また」なしのバージョンですね。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 できれば、「なった。」で、「が、これは」を消す。最後は「あるとされた。」ということでやっていただければ。

○河上委員長 では、それでお願いします。

○小早川座長 ちょっとぶっきらぼうではありますが、無難で、かつ間違いはないですね。

それでは、よろしいでしょうか。きちんと見ていただき、直すべきところを直していただきました。それぞれの点について事務局から確認していただけますか。出された論点は全て処理できていると思いますけれども、さっとお願いします。

○稲生参事官補佐 きょう、修正の御指摘のあった部分を確認させていただきます。

まず、3ページ、今、御指摘のあった部分ですけれども、平成20年改正法案につきまして、「国会提出されたが、この法案はその後廃案となった。」として、これに続く「が、これは、」を削除します。また、この文の末尾を「適切であるとされた。」として、その後の「ことによるものである」を削除します。

次が5ページ、上から4行目、「賦課することができることとした上で」を「賦課することとした上で」とします。

その下のなお書きのところですけれども、ここに「処分」が2カ所ありますが、2つとも「賦課処分」とします。

続きまして、8ページ、「その算定方法については」の段落の3行目、「当時の結論にとらわれることなく、」を削除いたします。

それから、9ページ、「課徴金の賦課手続」の3段落目、「なお、執行に関しては」というところで、「法律案」となっているものの「案」を削除いたします。

それから、その文の末尾について「検討する必要があることの指摘がなされた」と、「こ」という文字を入れます。

以上でよろしいでしょうか。

○小早川座長 よろしいでしょうか。それでは、これでこの合同会議における答申(案)の検討は終了となります。

では、河上委員長、お願いします。

○河上委員長 熱心な議論、どうもありがとうございました。小早川座長、白石座長代理にも、心からお礼申し上げます。

では、ただいま答申(案)をまとめていただきましたので、合同会議終了後、本会議を開催し、消費者委員会としての答申について審議したいと思いますので、本会議の委員の皆様はよろしくお願いいたします。

それから、専門委員の皆様及び丹野理事におかれましても、引き続きオブザーバーとして本会議にも御出席いただければと思います。

○小早川座長 それでは、本日の議事は以上といたします。合同会議ないし専門調査会に関して、事務局から連絡事項はございますか。


≪4.閉会≫

○金児企画官 ありがとうございました。

それでは、引き続きまして第163回本会議を開催いたしますけれども、その前に資料の準備がありますので、14時20分からの開催とさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

(以上)