第161回本会議・第12回景品表示法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会 合同会議 議事録

日時

2014年5月28日(水)11:02~13:06

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【消費者委員会委員】
河上委員長、石戸谷委員長代理、阿久澤委員、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、山本委員、唯根委員
【専門調査会委員】
小早川座長、白石座長代理、鹿野委員、川出委員、長田委員、増田委員、宮城委員
【説明者】
消費者庁 川口審議官 、菅久審議官、黒田課徴金制度検討室長、加納消費者制度課長
【オブザーバー】
国民生活センター 丹野理事
【事務局】
黒木事務局長、井内審議官、金児企画官、稲生参事官補佐

議事次第

  1. 開会
  2. 被害回復の在り方について(2)
  3. 取りまとめに向けた検討
  4. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○金児企画官 本日は皆様お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会第161回本会議・第12回景品表示法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会合同会議」を開催します。

本日は所用により、本会議委員の橋本委員が御欠席との連絡をいただいております。
本日の配付資料でございますけれども、資料1から資料4、参考資料1から参考資料3までございます。不足がございましたら、事務局へお声がけをお願いいたします。

それでは、小早川座長に議事進行をお願いいたします。


≪2.被害回復の在り方について(2)≫

○小早川座長 皆さん、おはようございます。

それでは、本日の議事に入ります前に、前回と前々回、委員から出されました意見につきまして、事務局から確認をお願いします。

○稲生参事官補佐 資料1に前々回の経済団体からのヒアリング等における主な意見、資料2に前回の事業者団体からのヒアリング等における主な意見を整理しております。御確認をお願いいたします。

以上です。

○小早川座長 それでは、本日は、まず、4月16日に議論しました被害回復の在り方に関して引き続き検討することにします。消費者庁から資料の提出をいただいておりますので、説明をお願いします。説明時間は10分程度でよろしくお願いします。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 それでは、お手元の資料3をごらんください。クリップで2つありますので、まず外していただいて、別紙のほうからごらんになっていただければと思います。

これまでの議論をもとにいたしましたイメージ図を簡単につくっております。「課徴金納付命令までの基本的な手続の流れ」ということで、措置命令が行われてから、今日議論を深めていただきたい部分は真ん中あたりの点線で囲っている部分なのですけれども、消費者庁が返金等の期限や返金等の報告期限を告知いたしまして、事業者から返金の実施状況等の報告を受けるということで、その課徴金の額が確定した上で事前通知をし、所要の手続を経て課徴金納付命令に持っていくというような流れでございますが、控除する額の確認のあたりについての論点を今日は深めていただければと思っております。

では、お手元の資料3をごらんになっていただければと思いますが、さらにその中で大きく分けますと、目次にありますように、課徴金から控除する自主的返金についての考え方と寄附について、大きく2つでございます。

2ページのほうに飛びますが、「控除対象としての返金の範囲」ということですけれども、前回まで議論いただいた中で、この辺をどうするのか、範囲をどうするのかということとか、民事訴訟により被害回復がされた場合の控除をどうすべきかという御意見を踏まえて整理しております。

控除の対象となる返金の対象を課徴金の対象に限定するのかどうかという話でございますが、企業が返金しようとするものと景表法上の裏がとれて措置命令した部分が必ずしも一致しない場合もありますので、そのような場合にどう考えるのかということです。

課徴金額の算定方法は今のところ売上高に一定の率を乗じたものということを考えておりますけれども、返金の際には一々そのように計算しないで売り上げをそのまま返している場合がありますので、その辺との関係をどうするのか。

手段・方法ですけれども、特に消費者ごとに変わらないように、ここは平等性というものを非常に原則として考えたいと思っております。あと、現金以外での対応ということについて言えば、その事業者が提供する商品や役務に関するクーポン等、いわゆる囲い込み的な要素がある場合はさすがにちょっと対象外とすべきではないかということですけれども、逆に言うと、換金性があるようなものであれば、必ずしも現金でなければいけないということではなくてもいいのではないかと考えております。

返金のタイミングということですけれども、ここで全体として共通しているのは、あくまで返金という場合に我々が考えたいのは、自主性という考え方と消費者の被害者ごとの平等性、この2つの大きな原則はしっかり取り入れていきたいと考えております。

3ページに行きますと、返金の対象を限定するかどうかについて論点を整理しております。実際に自主性ということを重んじれば、制度がどのようになるにもかかわらず返金してほしいということではあるのですけれども、一定の制度をつくると、それに合わせて最低限やればいいやという事業者が出てくるような場合、どのように考えるのかということだと思うのですが、それぞれメリット、デメリットがございます。限定しないほうがどんどん自主的な取り組みが促されるということでありますし、逆に限定すれば、控除対象と課徴金の対象が金額としては同じなので非常にやりやすい面もあるのかもしれません。

考え方としては、やはり自主性ということから考えれば、余り変に控除する部分について比率などを考えるよりも、しっかり返している部分については広く控除の対象として認めるべきではないかということだと思うのですが、一番最後にあるのですけれども、さすがに余り関係ないもの、何でも返せばいいではないかとはならないだろうということで、実際当該の事案に関係すると認められるようなものについては広く認めるというような考え方でどうかということでございます。

4ページについて申しますと、これは金額のことなのですけれども、先ほどは実際の対象と商品・役務の種類のことですが、金額についても、そもそも課徴金というのは比率なので、売り上げそのものを返していれば、当然すぐに返した額のほうが課徴金予定額よりも上回る可能性が高いということです。

これについてもそれぞれ考え方、5ページに限定する場合のメリット・デメリット、限定しない場合のメリット・デメリットということで、限定すれば、先ほどから申し上げているように課徴金額の計算率と整合しているということなのですけれども、やはり限定しない場合のほうが自主的返金を促進させ得るだろうというようなことで、自主性ということを重んじるのであれば、別に一々代金に課徴金算定率を乗じた額に控除額を限定する必要はないのではないかということで今のところ考えております。

6ページに書いてあることは、そういったことでいろいろなバリエーションが考えられるということなので、控除対象として適正かどうかという部分を判断するに当たってしっかり説明していただく必要があるということでございます。

あと、民事訴訟の判決の場合ということも議論としてありましたけれども、実際には課徴金納付命令までに判決が確定しているということは余り考えられないと我々は考えているのですが、この場合、やはり自主的に返金を行おうとしていたかどうかという部分を重視したいと考えておりまして、そういう中でさらに裁判が起きて確定したような場合には、当然控除の対象としていいのだろうと。ただ、その場合においても、対象となっている消費者の間での平等性というものは確保するような形で額の調整といいますか、支払ったお金が全部100%控除額として認められない場合もあり得る。つまり、一部しか返していない人が消費者の中にいた場合には、一部しか返してもらっていない人を基準に、実際にその企業がお金を返した部分を控除との関係では調整する必要があるのではないかと考えております。

次に、7ページは寄附との関係で前回までにどういう議論があったかを紹介しております。寄附についてはある程度必要という意見もいただきましたが、自主的返金の手間を省くために安易に寄附に流れることの懸念という御意見もいただきましたし、オプションとしてはあり得るだろうけれども、被害回復として機能するのかどうかというような御意見もいただいたということでございます。

まず、自主的返金との関係については8ページに考え方を整理しておりまして、やはり我々としては、控除していくということで言えば、被害回復という考え方からすれば、消費者への返金を原則としたいということで、寄附というオプションを設けるにしても、あくまでそれは補充的なものとした上で検討していきたいと考えております。

では、その補充性を担保するにはどうすればいいのかということについて、幾つかその手段をオプションといいますか、考え方を整理しております。例えば(1)にありますとおり、控除する場合の率について一定の差を設ける。つまり、返金についてはその分をそのまま認めるけれども、寄附の場合だったら、対象先は絞っているにしても、実際の寄附の半分、50%を金額的には認めないで、返金で返したほうが当然企業にとっては控除額がふえることになるような仕組みを設けるとか、あとは、寄附を行える期間を限定する方法を考えているのですけれども、いろいろ検討して、今の段階では、消費者庁がある程度ここの部分で寄附妥当性、相当性というか、我々として控除すべき寄附かどうかということについては個別事案に即して判断するというようなことでないとなかなか難しいのかなと思っています。

ただ、問題点としては、そういうことをすると時間がかかってしまうというデメリットはあるのですけれども、今のところそういうことを考えておりますので、ここで何かもしもいい知恵があれば、ぜひ御提案いただきたいと考えております。

最後に、寄附先ということなのですけれども、これについていろいろ御指摘をいただいております。例えば中立的な機関をプール先として、そこのプール先にたまった資金について逆に消費者団体等からの申請に基づいてお金を出していくような仕組みとか、一定の指定法人とかいうことです。そういった場合には、しっかりと寄附先が適切かチェックする必要があるというような御意見をいただいております。

これについては引き続き詰めていく必要があるのかなと思っておりますが、現段階で考えているのは、ある程度絞る必要があるのではないかということと、目的を被害回復ということに限定していく必要があるのではないかということ。あと、実際に行われた寄附のお金が何にでも使えればいいということではないというか、使途についての管理、透明性を確保する必要がありますし、また、そういうものに反して使われた場合には、監督措置等のサンクションを定める必要があるのではないかと。寄附制度をやるにしても、何にでも使えるつかみ金というような感じではなくて、やはり法の目的に沿ったような形のものにしないと、なかなか納得の得られるような制度にならないのではないかと考えております。

以上、簡単ではございますが、説明を終わります。

○小早川座長 ありがとうございました。

それでは、今の御説明を踏まえて議論をしたいと思います。御説明にありましたように、問題の形としては、一つは自主的返金、もう一つは寄附、この2つを分けて前のほうから検討するのが筋かと思います。そこで、まず、今の資料3の1~6ページの自主的返金の部分です。対象、金額、手続、あるいは民事訴訟との関係など、論点が出されていますが、これについて御意見を出していただければと思います。時間は20分程度を目途と考えております。

それでは、御意見のある方はお願いいたします。

宮城委員、どうぞ。

○宮城委員 まず自主的返金についての進め方として、論点が4つ挙げられているのですが、これは一緒に全部一度にやってしまうということですか。効率的に考えると一つ一つやっていったほうがいいかもしれないけれども、ただ、時間が20分ということですか。それだとちょっと時間がかかってしまう。

○小早川座長 そうですね。前のほうから順番にということでいかがでしょうか。

○宮城委員 レジュメで言うと、2ページで見ていきますと、マル1対象の点からすると、まず課徴金対象について、表示期間の問題と商品・役務の範囲の問題があるかと思うのですけれども、表示期間については余りうるさいことを言っても一々認定が大変だなと。返す側としてもそこの確認がちょっと大変かもしれないし、余りうるさいことを言わなくても、同じ商品・役務であれば、つまり課徴金対象となった期間は3年になるのか、4年になるのか、5年になるのかわかりませんが、大体の場合はそれで賄えるとは思うのですけれども、それを超えた分で、消費者としては、同じ商品で返してもらったり返してもらわなかったりするのはおかしいではないかという話になるやもしれず、同じ商品・役務であれば。ただ、いつまでもということも、ちょっと悩ましいところはありますけれども、基本的に期間としては絞らなくてもいいのではないかと。

あとは、商品・役務の対象、課徴金対象となった商品・役務の範囲での問題というと、具体的に言うと型番が違ったり、色が違ったり、どうするのだみたいな。色違いは余り気にする必要はなくて、同じ商品・役務であればいいかと思うのですけれども、これについてはある程度考える必要があって、同じ不当表示で問題となっているところの範囲についての消費者の認識のずれをどうするか。ちょっと悩ましいのですけれども、形式的にやるためには、課徴金対象となった商品・役務に厳密にやるというのが早いのかもしれないですけれども、ちょっと微妙なケースも出てくるかもしれないです。その辺になってくると、ガイドラインでもなかなか決めにくいなと。実際にケースが出てこないと判断がつかないところですが、基本的な考えとしては、商品・役務の範囲については課徴金対象となったものとすべきだけれども、その微妙なものをどうするかという問題がある。ごめんなさい、そこをどうするということは、今いい知恵が浮かびません。

○小早川座長 おっしゃられたことは、商品そのものと、それから、それについての表示ですね。ほぼ同じ商品を長年にわたって販売している、そのうちのある期間、これも長年にわたって、同じような問題のある表示をしているというときに、その範囲内ではいいだろうと。同じ商品でも、あるときから問題のある表示に切りかわったのであれば、そこから、ということで。

○宮城委員 表示が変わったという問題もありますし、もう一つは、課徴金の対象期間が限定されるということになると、その対象期間から外れた分の表示の分はどうするのかという問題です。

○小早川座長 そうです。課徴金の対象とされる商品と表示、それからその期間、これは最低限の範囲ですね。先ほど御説明のあったように、行政がこれは間違いないと認定できたものということになります。そこから少しはみ出したものをどうするかということですね。

ほか、いかがでしょうか。川出委員、どうぞ。

○川出委員 消費者庁に質問ですが、仮に社会的に一体性があると認められる返金を控除対象に含める場合、手続の流れのイメージ図の真ん中あたりにある、消費者庁からの告知の中に、返金等の期限や返金等の報告期限のほかに、控除対象となる返金の内容も含まれることになるのでしょうか。例えば、型番が違う商品についての返金も控除対象になるといった告知がされることになるのか、それとも、どのような返金が社会的に一体性があるものとして控除の対象となるのかは、消費者庁側で課徴金納付命令を出す際に、事後的に判断するということになるのでしょうか。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 まだ余り細かい話はこれからなのですけれども、告知の段階といよりは、最後はどこまで認めるかという話なので、措置命令というのは基本的にはここまで対象だということで、その段階ではいつまでにやってくださいと言うということだと思います。あとは報告が来たときに、一体性があるかどうかという部分で、どこまで認めるかということではないかと思っています。

つまり、我々の考え方は、むしろ制度で示しておくということだと思うのです。こういう制度ですよということなので、かつ、そもそも返金というのは自主性の話なので、逆にそうしろという話でもないということですから、こういう期限があり、報告をした上で、報告の中を見て一体性があるかどうかということについて判断することになると思います。あらかじめ一体性があるのはここまでですよとこちらが示すというよりは、当然制度として今ここで議論した上でつくっておけば、あとはどこまで認められるかという部分を企業が出してきたものについて我々が判断していくことになるのではないかと思います。

○小早川座長 ちなみに、措置命令も含めて、処分の事前手続で告知をする場合に、型番なり何なりはどこまで特定するのですかね。

○消費者庁菅久審議官 措置命令では結局、今でもそうですけれども、表示物、この表示が不当表示だということで特定しますので、つまり、いつからこういう表示を行って、この商品について不当表示ですよということを出すことになりますから、表示されているものは基本的に直接の対象ということに多分なるのだと思います。

今想定しているのは、措置命令とか事前手続を行う前から企業の方は自主的に対応しているだろうということでございますので、そこでは最終的に措置命令の対象が何になるかわからない状態で、ある程度広く返している可能性もあるだろうと。したがって、措置命令が出た後に事業者の方が、実は我々は措置命令の範囲外のここまでを返したのだけれども、これも減額してくれということで報告が来る。それをどこまでの範囲が最終的に認められるかということなのだと思います。

○小早川座長 なるほど。

ほかにいかがでしょうか。

夏目委員。

○夏目委員 確認ですけれども、今の消費者庁の話ですと、告知をした内容はもう特定した内容だから、そして、それに対して報告を受けたときにはそれ以外のものが入ってくるので、告知をしたものと報告を受けたものの中身を検討して、さらに告知をした内容以外のものが入ってくる可能性があるというお答えだと判断してよろしいのでしょうか。

○消費者庁菅久審議官 告知はあくまで返金の期限とか報告の期限を出すということで、措置命令の対象というのは措置命令で出ていますので、措置命令を出した際に、課徴金納付命令に向けて返金の報告等の期限について、あわせて発表するということになるかと思います。

そのときに、繰り返しになりますが、措置命令を出すとか事前手続をする前から事業者の方は消費者に対する返金という対応をしていることが前提にされておりますので、結果的に、例えば2年間だろうと思っていたら1年半だった、前の半年間はもう返したので、この分も減額してくださいというのが報告として出てくる。それを最終的な課徴金額に反映するかどうかというのが次の判断になってくるということだと思います。

○小早川座長 時間も限られていますので、このへんでちょっと整理ですが、要するに、措置命令の対象になったその表示行為というのは特定されているわけで、いわばそこをピン止めして、それと同種の行為について返金が行われた場合をどういったものまで広げて課徴金の算定にカウントするかということでしょう。資料に出された答えは、結局、行政において一定の返金行為として「社会的に一体性がある」と認められるものかどうか、その範囲で線引きするのだということですね。「社会的に」というのは、「社会通念上」ということかもしれません。いずれにせよ大変抽象的ではあるのですが、どのように具体化するのかはともかく、考え方の方向としてこういうことでよろしいかどうかということだと思うのです。

そこで一応次へ行きたいと思うのですが。今の点の御発言でしょうか、ではお2方、岩田委員、それから齋藤委員。

○岩田委員 マル1も含めて、自主的返金、全体についてなのですけれども、事務局のペーパーにありますように、社会的に一体性があると認められると思われる返金を控除対象に含めるという基本的な考え方でよろしいと思います。企業の返金の実態をよく見ていただいて、やはりそれを考慮したルールにしていただきたいと思うのです。課徴金の算定は算定比率を掛けますし、除斥期間があったり、裾切りを決めたり、算定対象期間を限定したりすると思うのですが、企業の返金の実態はそういうこととは関係なく、返金コストをいかにミニマムに抑えるかということと、被害に遭った消費者の皆さんの納得をいかに得られるかという、そのバランスのぎりぎりのところで企業は決めると思いますので、実態は課徴金の算定対象とはずれるのが普通であって、ですけれども、それは社会的には一体性があるというのが普通だと思いますので、御提案のことでよろしいかと思います。

特に次の議題で、寄附もある条件のもとで認めようということでありますので、自主的な返還を進めるということが大事であって、その範囲をぎりぎり課徴金の算定対象と合わせるということは、寄附を一方で認めるということとのバランスを考えても余り適当ではないと思います。

1つ大事なことは、事務局もおっしゃっていましたけれども、自主的な返金といっても、一部の人だけ返金する、例えば返金申し出期間を限定して、ある金額を内々に会社のほうで持っていて、それに到達するともうそこで早目に締め切りにするといったような、そういう形で一部の方たちに払った返金を控除するというのはいかがかなと思います。ですから、しっかり告知をして、申し出期間もしっかりとって、できるだけ返金の努力をして、そして、返金したものについては原則として控除対象に認めるという方向でお願いしたいと思います。

○小早川座長 今の最後の点は、2ページで言うと「マル3手段・方法」のところでの、対象範囲の切り方ということになるかと思います。では、次に齋藤委員。

○齋藤委員 私も同じような意見を持っていましたが、1つ消費者庁のほうに質問したいのですけれども、この金額をどうやって特定するかというところです。一番極端な例を説明するとわかると思うのですけれども。

○小早川座長 これは、マル2の点ですか。

○齋藤委員 マル2もそうですね。その対象をどうするかということです。

○小早川座長 そうですか。それでは、もうそろそろマル1に限らず全体でよろしいかと思いますので、どうぞ。

○齋藤委員 一番極端な例を挙げるとわかりやすいと思うのですが、メーカーが流通段階を経て消費者に販売するということで、メーカーからは出荷された、流通段階でとまっている、消費者には1台だけ売れたと、あとは全部流通在庫があるとしたときに、どのような金額計算をされるかということをお伺いしたいと思います。

○消費者庁加納消費者制度課長 齋藤委員の御質問は、今の説明において、まず課徴金額をどう算定するかという話と、メーカーが自主返金をしたときの返金の額を算定することと、本当は2段階ありますけれども、どちらに御関心があるということでしょうか。

○齋藤委員 メーカーのほうはメーカーが自分で恐らく自主的に判断すると思うので、課徴金を計算するときの対象金額です。

○消費者庁加納消費者制度課長 そうしますと、まずメーカーに対する課徴金額をどうやって算定するかと、メーカーの売上額を基準に算定するということだと思います。

○齋藤委員 そうすると、売れていない、消費者には渡っていない段階でも、表示したら、もう表示したということをもって課徴金を納付させるということですか。

○消費者庁加納消費者制度課長 一般消費者に対しての表示となっているかどうかというのは当然前提になると思います。

○小早川座長 よろしいでしょうか。

それでは、マル1に関しては、一個の返金行為として社会通念上一体と見られるものはどこまでかということで線引きをするのだという御提案で、ほぼ御異論はないと考えられます。これについてもなお御意見があればまたお出しいただいていいですが、それ以外の、金額の算定方法、手段・方法についての要件、返金の時期の問題、それらを含めて御意見があれば。

宮城委員。

○宮城委員 まず、マル2の金額の点ですが、消費者庁が示してくださった範囲としては、課徴金率ではなくて全体でよいのではないかということかと思います。確かにそうやることは簡便であるし、一々課徴金率を掛けてということでどうなのかというところはある。ただ、この場合の問題は、当然ながらそれで一部の消費者に対してだけ先に早い者勝ちにならないかと。そうなると不平等が生じてしまう、そこをどう考えるかというところがありますが、それについては、5ページのほうを見ますと、事実上自主返金ということになれば、そういった線引きをしないで返すことになるのではないかと。

それは一応納得のいく理屈ではあるのですけれども、ただ、全業者がそう対応するかというところはちょっと危惧されるところがあって、確かに普通にまじめにやっていこうという事業者であれば、今後の信頼のためにも全て返そうという話になるとは思うのですけれども、他方において、非常に悪質で、できるだけ損失は抑えて逃げたいと考えると、何%になるかわかりませんが、課徴金に相当するものしか返さないという対応になるのかなと。悪質であればあるほどその懸念が出てくるのかなというところが心配であります。ごめんなさい、そこ止まりなのですけれども、そういう懸念があります。

○小早川座長 そこは、もう一つの「マル3手段・方法」のところで、平等性が担保できるような方法をあらかじめ定めた上でそれに従って返金をするのでないとだめですよと、あるいは、だめですよとまでは言わなくても、そこに着目しますよということなのでしょうね。おっしゃられたように、課徴金算定率3%か5%か10%か知りませんが、その限度で、うまくといいますか、何か偏った方法で返金をしてそれで課徴金全額を免れてしまおうというようなものは、何とか抑えなければいけないわけですが、そこは工夫のしようかなと。そんな理解でよろしいですか。消費者庁のほうは。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 そういう理解なのですけれども、今回は控除制度を使って何とかうまく自主返金を促そうということではあるのですが、基本的には課徴金と自主返金というのは、別に完全に連動しているような話ではないので、あくまで措置命令になったら課徴金の対象になってしまいますということなのですけれども、その場合に別途自主的な返金をやっていれば、この条件に合えば、しっかり控除することもあるということなので、そういうことで逆に無理に返金をさせようというものでもなければ、それに合わせた形でやってもらうことも考えていないので、そういうことで御理解いただくような仕組みにしていかなければいけないと思っております。

○小早川座長 委員の方々はいかがでしょうか。

川出委員。

○川出委員 宮城委員がご指摘になったように、控除額を限定しない場合には、一部の消費者にだけ返金して、そこで打ちどめということが起きるのではないかという懸念は確かにあります。他方で、この制度のイメージは、先ほどの手続の流れ図にもありますように、自主的返金をすれば課徴金から控除されるので,事業者が自主的返金をするというよりも、課徴金を課されるかどうかとは別に、事業者は自主的に返金をしており、その場合には、その分を課徴金から控除するというものだと思います。つまり、事業者側の意識として、まずは自主的返金をするというイメージだと思いますので、そうだとすれば、一部の消費者だけに自主的に返金して、そこで打ちどめにするというようなことは事実上はほとんど起きないのではないかと思います。 その上で、さらに、5ページの最後のところに書かれていますように、意図的に一部の消費者にだけ返金したというような場合には、消費者庁側で、個別にそれは控除対象として認めないという措置をとり得ることにしておけば、制度的にも、全額を控除対象とすることによる弊害を防ぐことができます。そうであれば、なるべく自主的な返金を促すという観点から、とりあえず全額を控除対象としたうえで、個別に弊害が生じる事案においては、消費者庁側で対応するという枠組みの制度でよいのではないかと思います。

○小早川座長 それでは、今の点、あるいは自主的返金に関するほかの論点でも結構ですけれども、何か。

唯根委員、どうぞ。

○唯根委員 2ページに「クーポン券等」ということで明記されているのですが、消費者庁さんから換金性の高いというような御説明がありましたけれども、ここで使っていらっしゃる「クーポン券」というのは定義がございますでしょうか。というのは、クーポンとかポイントに関しては、消費者被害としての問題性を指摘されるケースが多いので、このように明記されること自体で消費者や事業者の皆さんがいろいろなイメージを抱かれていると困りますので、そこに点について伺いたいです。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 確かにいろいろ広い概念なのですけれども、言いたいのは、自己の供給する商品・役務にしか使えないようなポイントとか、そういうものはさすがに、それで返したからといって、それを課徴金から控除しますということにはならないでしょうということをまずは言いたいということでございます。

ただ、現金だけに本当に限るのかということについて言えば、今かなり、いわゆるプリペイドカードみたいな話とかがいろいろあって、換金性といいますか、ほかでも使えるといいますか、ほぼ現金と同じように使えるもので返すということもあり得る。必ずしもキャッシュではない場合もあるということなので、キャッシュでないとだめだということでもないのではないかということをここでは提案しているということです。

○小早川座長 いかがでしょうか、唯根委員。

○唯根委員 それであれば、それこそプリペイドカードのようにきちんと定義されている表現になさっておいていただいてほうがいいと思いますが、いかがでしょうか。

○小早川座長 宮城委員。

○宮城委員 私もクーポン券のところが気になっていたのですが、消費者の側の気持ちになって考えると、クーポン券とかポイントをもらったとしても、おっしゃるとおり、その業者とか関連業者しか使えないという話であると、消費者にとってはその業者はもう信用できないから、それではもらってもしようがないということも起きると思うのです。あるいはクーポンとかということではなくて代替品をもってみたいなものもあるかもしれないですけれども、そこはまだちょっと広いかな。だから、要は消費者にとって選択肢があればいいのではないかという気もしております。基本はやはり現金で自主返金かなと思われます。ただ、その消費者が、選択の問題として、クーポンとかポイントでもらえるならそれはそれでいいよと考えるならば、それはそれで。だから、オプションとしてそういうものは認めてもいいでしょうというような形であれば、おかしくはないかなという気がしております。

○小早川座長 黒田参事官。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 ちょっと誤解がないように申し上げたいのは、別にそういうやり方で返金してはいけないと言っているわけではなくて、課徴金から控除する場合に認めるかどうかということを言っているわけです。別に返金の仕方をどうするかということまで消費者庁が限定しようというつもりではなく、課徴金から控除する場合の返し方としてはそういうことで我々は考えたいけれども、企業のほうがどういう形で返金されるかについてまで、消費者庁がここでとやかく言うつもりはないということについては御理解いただければと思います。

○小早川座長 それでも、例えば、「松」を、うそを言って売りましたが、かわりに我が社の「梅」を差し上げます、それがお嫌なら返金しますというやり方で、「梅」を渡して消費者が満足したというのは、これは課徴金の控除にカウントされるか。

○消費者庁菅久審議官 もちろん細かいことはまだこれからなのですけれども、基本的には、大前提は、これは課徴金ですから、課徴金は国庫に入るべきものでございますね。だから、払うべきお金なのだけれども、それを自主的に返していれば、その分は対応すれば控除しましょうですから、国庫に入るべきお金が自社の売り上げに回ってしまうようなものを認めていいのかということなのだと思っております。代替品を渡すというのはある意味自社の宣伝でもありますので、それを国庫に納めるべきお金から減らしていいか。減らすのであれば、ここにあるような現金ないしそれと同等のもので返すのだったら、それは課徴金から控除しましょうと。細かいことは今後でございますけれども、基本的にそのような発想でこの辺は書いているということかと思います。

○小早川座長 その辺はわかりました。具体的な判断の仕方については、まだこれから詰めるということですね。

そうすると、この資料2ページの「囲い込みの要素がある」ということを一般的、抽象的な基準として考えるということは、それでいいのでしょうか。差し当たり、今日の御意見の出方はそういうことであるということで。ほかに何か。

では、山本委員。自主的返金に関してはこの御発言で最後にしたいと思います。

○山本委員 申しわけございません。自主的返金の話は基本的に今までの議論の流れで私も結構ではないかと思います。つまり、被害回復措置がとられることを促進すると。もしそれが正当にとられれば、それは課徴金から控除してもよかろうという政策的判断をするということであれば、その線に沿って考えればよろしいかと思いますので、基本的に被害者に対する回復措置として正当なものであるか、それから、それが正当な手続で、例えば一部の者にしか渡さないとか、そういうことでない限りはよろしいのではないかと思います。

大変申しわけないのですが、私はこれからちょっと出なくてはいけないものですから、少し後の話になってしまうのですが、一言だけよろしいですか。

○小早川座長 どうぞ。

○山本委員 2の自主的対応の部分で8ページから9ページにかけて寄附の扱いが書かれておりまして、私の感じですと、9ページの(3)の寄附先についてのところの限定を厳しくするというのが重要ではないか、あるいは寄附先においてそのお金を使う使途を限定する。例えば基金であれば一番いいのでしょうけれども、あるいは別の経理にするとか、そこのところが重要ではないかと思いまして、8ページのほうの選択肢はなかなかとるのが難しいかなと。

(3)の消費者庁が確認するということなのでしょうけれども、恐らく9ページのほうで限定をかければ、個別に消費者庁が判断する必要はほとんどなくなるだろうと思いますので、どうしても残る個別判断の要素は消費者庁が判断するということでよろしいかと思いますが、なるべく9ページの団体の寄附先と寄附金の使途の限定というところを厳しくしていただければと思います。申しわけございません。

○小早川座長 ありがとうございました。今の最後の御発言は、後のほうの箇所で適切に位置づけて記録に残したいと思います。

それでは、自主的返金のほうで、民事訴訟との関係の点が論点として提示されていますが、これについて何かございますか。

川出委員、どうぞ。

○川出委員 以前にも申し上げたのですが、基本的な考え方としては、民事訴訟において損害賠償を命じられてそれを支払った場合に、それを控除するのは、事業者による自主的な損害回復を促すというこの控除制度の前提と矛盾しますので、認めるべきではないと思います。ただ、その上で、6ページの後半部分に書かれているように、事業者が現に自主的返金を行っているのですが、一部の被害者については民事訴訟を起こしているために自主的返金に応じてもらえないというような場合に、損害賠償を命ずる判決が出て、それを支払ったという事案については、例外的に、その分を課徴金から控除するという制度は十分あり得ると思います。そうした制限をかけるのであれば、控除制度の前提と矛盾しませんので、民事訴訟の判決や和解等に基づく返金を控除の対象とすることも説明がつくと思います。

○小早川座長 6ページの矢印の下の最初のポツですね。自主的返金の実施に当たり周知する等して適切に返金を進めている事業者の場合に、たまたま一部、訴訟の方法で支払いがされたというものも、それに同視し得るものは同視するということですね。よろしいでしょうか。

それでは、時間がちょっと予定より過ぎていますので、次に、寄附のほうに移らせていただきます。こちらについてはいかがでしょうか。先ほど山本委員からは、この方法をとる場合の留意点として、寄附先での資金の使い方についてのチェックが必要だろう、また、そうであれば、事業者からの第1段階の寄附についての行政的なチェックはそれほど必要ないのではないかという趣旨の御意見だったと思います。

では、長田委員。

○長田委員 山本委員の意見に私も賛成です。

寄附先については、かなり限定した形で基金なり、私のイメージとしては、例えばですけれども、消費者支援基金や国民生活センターみたいなところに基金の取り扱いとしてのきちんとした指定を行った上で寄附を受ける。そして、その使途についても、やはり今回、景品表示法に関する課徴金ということですから、1つは消費者の利益の擁護のためというところでも、表示に関するもの、それから、場合によっては事業者の皆さんが表示に関して学び直すための機会をつくるとか、いろいろなことが考えられると思います。

適格消費者団体などの訴訟支援というのも当然被害回復の一つの用途と考えられると思いますし、そういうものを幾つかきちんと例示した形で、使途もある程度明確にしていくということで事業者の皆さんの理解も得られるのではないかと考えています。

○小早川座長 ほかにいかがでしょうか。

宮城委員。

○宮城委員 8ページの寄附の補充性のところですけれども、これについては、そういう順序を設けずに並列的にしてはどうかという意見もあったところですが、もし補充性を設けるということであった場合に、(1)、(2)、(3)のどの方法をとるかということになるかと思うのです。

まず適切ではないのではないかと思えるのは(1)でして、寄附による控除額については一定の割引率を乗じるということになると、何かと不平等が生じる。業種や商品・役務の性質によって顧客を認定しにくい業種というのはいや応なくかなりあるということになって、そうなると寄附を選択せざるを得ないという話になります。そうなると顧客を認定できない、商品がすごく小さいもので顧客を特定しようがないという話になった場合、それが課徴金率しか控除が認められないという話になると、そっちのほうが不利になる。それは制度の平等性からしておかしいのではないかという気がするので、(1)は不適切と考えます。

(2)と(3)はあり得るかなという感じなのですけれども、丁寧にやろうとすると、(3)で消費者庁が一つ一つ状況を見て決定するというのは結論の妥当性からするといいのかもしれないけれども、それも大変だなという感じがする。現場でそれができるというのならば、それはいいのかもわかりません。

要するに問題は、顧客を特定しにくい商品・役務の領域をどうするかというところで、期間で限定することだと、そんなものは期間を設けてもらっても最初からほとんど不可能だというところもあり、そうすると期間を設けることにどういう意味があるのかという気もしております。

ただ、そういった特定しにくいものの中でも、もしかしたら領収書などで私は返してもらったほうがいいという人もいるかもしれないので、私が考えたのは、(2)と(3)は両方ともちょっと捨てがたいところもあって、手続としては一応一定期間返金期間を設け、手続保障的に一定期間は自主返金の期間を設けた上で、それを経た上で(3)で判断するというのが座りがいいのではないかなという気がしました。ちょっと思いつきですけれども。

○小早川座長 補充性ということ自体をどれだけ重く考えるかという点が1つ前提ですね。今の御意見もそれにかかわる話ですが、その辺も含めて。岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 課徴金のそもそもの目的は抑止であると整理をして、その上で副次的に、できれば被害回復の役に立つようにというのがこれまでの議論であると思いますので、寄附というのは、やはり返金を補完するという位置づけをはっきりさせたほうがいいのではないかと思います。

これまでの措置命令の件数などを見ておりますと年間30件とか40件くらいですから、8ページにあります具体的な手続ですけれども、(3)でやれるのではないかなと思いますので、本当にその業種の特性などで返金することが難しいとか、ちゃんと返金をやった後で、返金の広告をしたのだけれども余り人が申し出なかったということがある程度わかれば認めるという(3)でいいのではないかなと思います。

次の寄附先についてですけれども、今言ったような趣旨ですから、返金を補完するという被害救済を、被害の回復を補完するということですから、なるべくそれに近いところに使途は限定したほうが関係者も納得ができるのではないかなと思います。例えば適格消費者団体の活動のための費用というのはその代表的な例で、いいと思います。ただ、これで寄附される金額がそれほど多額のものとも思われませんので、このために何か指定団体をつくるとか大仰な行政の仕組みをつくるのではなくて、既存の仕組みをうまく利用しながら、消費者被害の回復のために活動しているようなところにそのお金が行くような、なるべくシンプルな組織、簡易な組織でやったほうがいいと思います。

○小早川座長 今、前半のほうで、8ページの(3)の作業は実際にできるのではないかと言われましたが、当該事業者が自主返金の努力をしたかどうかの、その個別のケースにおける評価も入れるということですか。それとも、業種あるいは取引形態によって客観的にこれは返金が難しいだろうというものもあるかと思いますけれども、それはどうか。その辺の目のつけどころを。

○岩田委員 件数が少ないということもありますので、一件一件見ていただいて、社会常識的に返金の努力をある程度やったという確証が得られれば、基本は認めたらよろしいのではないかと思います。

○小早川座長 ほかにいかがでしょうか。

丹野理事、どうぞ。

○国民生活センター丹野理事 名前が挙げられましたので発言します。自主的返金については、今まで不当表示で処分された場合に実際に返金が行われているかどうかのフォローというのがわかりませんで、私、相談事例からそういうことがわからないかなと思って多少ですが取りかかってみたのですが、実際に返金がされているかどうかについては、正直に申し上げてわかりませんでした。

肌感覚で申し上げると、返金されていない事例のほうが多そうな気がいたします。ただ今回こういう形になれば、自主的返金も一定の促進をされるでしょうから、今度は返金のほうにシフトするのだと思いますけれども、そうはいっても返金できないタイプのものもたくさんございますから、そういう意味ではオプションとして寄附というものがあることは意義のあることだと思います。

その中で、皆さんがおっしゃっている寄附先を絞り込み、使途についての管理、透明性の確保というのは基本的に非常に賛成ではありますが、今、国民生活センターの名前を挙げられたのですが、それについてはちょっと持ち帰らせていただかないと。ふさわしいとは思いますが、実務としてワークするかはわかりませんので、そこら辺についてコメントは控えさせていただきたいと思います。

○小早川座長 関係者としてのお立場はちょっと棚に上げて、客観的な情報を頂戴できれば。

夏目委員。

○夏目委員 私も、寄附の補充性については、あくまでもやはり返金が原則で、さらにその上に選択肢として寄附というものも設けられることにつきましては賛成でございます。

手続の(2)、(3)どちらがいいかと言われるとなかなか難しいところで、基本はやはり私は、社会の判断というのも必要でありつつ、社会の判断が及ばない部分については行政がかかわるしかないのかなとは思います。ですけれども、行政がそれにコストと時間をかけるようであってはうまく機能しないというところもちょっと心配されるかなと思います。

寄附先につきまして、ここに書いてあるとおりでございまして、できるだけ業界の御懸念を払拭するような形でつくり上げることが必要だと思います。では、実際にどういうつくりがいいのかというのはこれからの課題だと思いますけれども、やはり受けるところが、ここも非常にコスト、時間がかかるようなつくりというのはなかなか引き受け手がないだろうし難しいのかなとは考えております。

○小早川座長 では、鹿野委員。

○鹿野委員 寄附の補充性についてですけれども、やはり私も返金が実際にできるような事案であれば、まず寄附をするということがよいのではないかと思います。ただ、表示に関しては、実際、顧客が特定できない等を含めて、適正な形での返金というのはおよそ困難であるという場合も多いのではないかと思います。そういうことを考えますと、8ページで示された方法のうち、(3)を基本としながら若干の修正を加える形がよいと思います。(3)のマル1に返金状況報告とう記載があるのですが、返金を実際にやってみましたということを常に絶対条件にするということは、事案によって適さないこともあると思います。つまり、現実的に返金が困難であるという場合がかなりあることを考える必要があると思います。もちろん、場合によっては、返金の試みをしたら一部は適正な返金ができて、だけれども、全てについては難しいという場合もあるでしょうし、あるいはほぼ全額に近く適正な返金ができる場合もあるでしょうが、逆に、およそ適正な返金が難しく、申し出てくださいと言っても、真に被害に遭った人が申し出てくれるような形での返金がなされることが期待しにくいということもあると思います。その事案によって困難さの評価が変わると思います。ですから、(3)を基本として、余りがちがちと返金を前提条件とするようなことはしない、そういう仕組みを考えてはどうかと思います。

次に、寄附先についてですけれども、寄附がそもそも返金を補完するもので、なぜ補完しうるのかというとそれは、寄附先は直接的な被害者というわけではないけれども、広くこれが将来の表示等の問題の解決につながっていくということにあるのではないかと思います。ですから、そのような趣旨に従って、寄附先はやはりある程度絞った方がよいと思いますしり、その際、その寄附先の目的が相応しいこととか、あるいは運営ないし寄附された資金の運用が適切な形で行われることは当然前提になるのではないかと考えております。

以上です。

○小早川座長 それでは、石戸谷委員長代理。

○石戸谷委員長代理 言おうと思っていたのはほとんど今お話が出てしまったので、特につけ加えることもないですけれども、補充性については、前に並立的にという意見も言った手前、補足しておきますと、実務ベースで考えた場合ということでありまして、理念的にまず補充性というものを打ち出すことには全く反対ではありません。理念的に打ち出しながら、かつ、しかしながら、もともとこの分野というのは拡散的な消費者利益なのであって、そもそも損害賠償の請求が困難であると。その理由としては、立証困難性と経済的コストが見合わないという主に2つあると思うのですけれども、この場合は自主的に返金するということなので、経済的コスト云々というのは一応度外視すると、特定性の問題が主なことになると思うのですが、非常にそこが困難だという場合であれば、実務ベースとしては返金といっても実際はなかなか難しいということで、寄附ということが出てくる。

しかし、通販協会などのお話を聞きますと、全部データがあるので返金できますと、そういうところは返金でいい。そういうものではないものについては、非常に実務ベースとしては動きにくいことがあるということなので、そこの切り分けというのは、そんなにややこしくなくシンプルなたてつけで(3)で要件としてざっくりした基準で仕分けられるのではないかと。

そうしますと、(3)と(2)は必ずしも対立するものではなくて、(3)の中に(2)的なものも取り込みつつ、ざっくりした要件で判断するのは十分可能ではないかという気がしますので、(3)ベースで結構ではないかと思います。

寄附先については、今まで議論が出ているようなことで結構だと思います。

○小早川座長 そろそろ区切りを付けたいのですが、どなたかぜひという方があれば。では、宮城委員と高橋委員、手短にお願いいたします。

○高橋委員 私も(2)と(3)をうまくあわせわざで消費者庁が確認、判断という形になろうかと、それが妥当かと思うのです。先ほどから特定性の問題が出ていますけれども、事業者の立場に立つと、返品と引きかえという形でやるのが基本だと思うのですが、返品なしでも認めるかどうかというのが非常に難しいところで、返品となりますとコストも非常にかかるわけですね。着払いにしてもらうとか、また、返金の振り込み手数料とかもろもろがかかるので、以前も出ていますように、やはり寄附のほうがいいかなという形で、すぐ(3)に持ち込まれては困るので、消費者庁としては、あくまでも返品を伴うかどうかも含めて返金を促す期間はやはり設けていただきたいと思います。安易に寄附のほうに流れないような措置をお願いしたいと思います。

○小早川座長 宮城委員。

○宮城委員 1つだけです。

9ページの寄附の一定の目的というところなのですけれども、ここを見ると不当表示に係る消費者の被害を回復するための活動ということになっているのですが、ここはまだ確定したところではないのかもしれないのだけれども、不当表示だけに使途を限定するとちょっと狭いのではないのかなという気がしております。なぜかというと、要は消費者被害を事前に防止するために使うということで、ある程度広く捉えてもいいのではないかという気がしております。

というのは、やはり消費者被害の多いのは不当な勧誘であって、消費者に対して誤った情報を与えて判断を誤らせるという点では不当表示と不当勧誘は同列であって、そういう観点からすると、不当表示、単に表示、広告の問題ではなく、不当な勧誘による被害の抑止の活動ということについても広げていいのではないかと。不当表示だけだと非常に限定された範囲しか使えないことになるので、そこは若干広くしていただきたいなというところがあります。それだけです。

○小早川座長 では、阿久澤委員。

○阿久澤委員 今の一定の目的というところ、ここが非常に重要なことかなと私もずっと感じておりまして、この一定の目的というのは、この制度の趣旨、目的に合ったものと考えればいいのかなと私は感じております。ですから、不当表示の抑止、そしてまた副次的に被害回復に使うということ、それに限定ということでいいのかなと。要するに制度の目的に合ったものに使うということです。

以上です。

○小早川座長 それでは、いろいろ御意見が出ました。基本的には、寄附に関しては自主的返金の補充として位置づけるのが妥当であろうということと、ただし、難しい場合はあるだろうということですね。8ページの案で言うと(3)がいいという御意見が多かったと思いますが、その場合に、さっきの言い方で言うと、この種のケースでは返金は難しかろうねというような客観的基準による考え方、それを中心にしたらいいという御意見も、わりあい多かったようです。他方、それに加えて、ケースごとの事業者の返金の努力、どれだけやっているかということを、どこまで考慮するのかという論点は、やはりあるかと思います。

また、(2)のようなことも含めて、自主的返金を促すような何らかの仕組みを入れ込むということについても、御異論はなかったかと思います。

使い道のほうは、これもいろいろな御意見がありましたが、基本的には、一定の機関ないし団体を寄附先として、その機関ないし団体に適切な使い方をしてもらうということですね。その先、仕組み方をどのように詰めていくかということについては、この段階で特に方向性を絞るのは難しいかと思います。いろいろ御意見があったので参考にしていただいてはどうかと、そういったところでしょうか。

委員長、今までのところで何か。

○河上委員長 結構です。

≪3.取りまとめに向けた検討≫

○小早川座長 それでは、今日はもう一つ重要な点があります。予定よりちょっと時間がオーバーしてしまいまして、事務局から後で叱られそうなのですが、取りまとめに向けた検討に入ります。

資料4に「取りまとめ案」があります。本日は、ただいま御議論いただいた被害回復の在り方に関連する箇所を除いた、要件、手続に関する部分の案について御議論いただいて、次回、全体の取りまとめについて御議論いただくということにしたいと思います。まず、案について事務局から説明していただき、その後、皆様の御意見を頂戴したいと思います。

では、説明をお願いします。

○稲生参事官補佐 資料4でございます。今、座長から御説明がありましたとおり、先ほどまで御議論いただいていた被害回復の在り方に関する論点は次回追記することとしておりますけれども、それ以外の部分について、取りまとめの素案、たたき台のようなものを準備しております。結論を中心に簡単に御説明いたします。

まず2ページでございますが「1.はじめに」とありまして、ここは諮問の経緯、専門調査会を設置したというところから、これまでの調査審議の内容等について、簡単に説明したものでございます。

3ページに参りまして「2.景品表示法に課徴金制度を導入することの必要性」というところで、まず「(1)不当表示による消費者被害の実態」として、全国の消費者生活センター等に寄せられる消費生活相談の件数だけでも年間5万件に上っていることなどを指摘し、さらに「(2)不当表示による消費者被害における被害回復の困難性」ということを指摘しまして、その被害の実態と、被害回復が困難であるといった特性を踏まえて、「(3)課徴金制度導入の必要性」を述べております。4行目の「すなわち」というところですけれども、「消費者による被害回復が困難であることは、不当表示によって得られた売上による不当な利得が不当表示を行った事業者の手元に残ることを意味する。これに対し、現行の措置命令は、違反行為者の不当な利得を剥奪するものではない」といった点を指摘しまして、4ページに入りますが、「したがって、不当表示を事前に抑止するための方策として、現行の措置命令に加え、違反行為者に経済的不利益を賦課し、違反行為に対するインセンティブを削ぐ課徴金制度を導入する必要性は高い」という結論を導いております。

次の「3.課徴金制度を導入する場合における制度の趣旨・目的」については、「消費者の利益擁護のため、不当表示を事前に抑止することにある」としております。平成20年に改正法案が国会提出されたという経緯と、景品表示法が消費者庁に移管されたことに伴って、課徴金制度の導入については消費者庁の発足後に検討することが適切であるということで廃案となった経緯を踏まえて、このような結論を導いたものでございます。

4ページの下のほうから「4.課徴金の賦課要件」に入ります。「(1)対象事案」、「マル1 対象行為」というところで、5ページですけれども、まず「ア 優良誤認表示・有利誤認表示」につきましては、「課徴金賦課の対象とすべきである」としております。

「イ 指定告示に係る表示」につきましては、「現状においてこれを対象とする必要はない」としております。

「ウ 不実証広告規制に係る表示」ですが、これは1行目のところで、まず「課徴金を賦課できるものとする必要性は高い」とした上で、その下の「もっとも」の段落の下のほうですけれども、課徴金は、過去の行為に対して経済的不利益を課してしまう点で措置命令と異なっていることを指摘しまして、「したがって」以下のところで結論ですけれども、課徴金賦課処分において不実証広告規制の手法を取り入れるに当たっては、措置命令との違いを踏まえて、「措置命令に関する第4条第2項とは別に、効果・性能に関する表示について事業者から一定の期間内に合理的根拠資料の提出がなければ課徴金を賦課することができることとした上で、被処分者の正当な利益を保護する観点から、被処分者がその後の訴訟において合理的な資料を提出して不当表示でないことを立証することにより、賦課処分について争うことができることとする手続規定を設けるべき」としております。

「マル2 主観的要素」に参ります。まず「ア 主観的要素の要否」ですけれども、7ページに結論が書いてございます。「したがって」の段落の2行目ですが、「違反行為者に課徴金を賦課すべきと考えられる程度の主観的要素が必要であるとの基本的認識に立ちつつ、不当表示がなされた場合においては原則として課徴金を賦課することとし、違反行為者から、不当表示を意図的に行ったものではなく、かつ、一定の注意義務を尽くしたことについて合理的な反証がなされた場合を、例外的に対象外とすれば足りる」としております。

「イ 注意義務の内容」につきましては、ここも「したがって」の段落ですけれども、「課徴金賦課の対象外とされるために事業者が尽くすべき注意義務の内容は、個々の事案における事情を踏まえつつ、当該事業者が表示を行うに当たって求められる注意義務を尽くしているかを、それぞれ考えていくべきである」としております。

「ウ 複数の表示主体に対する課徴金の賦課について」では、「不当表示の主体が複数であると認められる場合には、複数の者が課徴金賦課の対象となると考えるべき」という結論としております。

続いて、8ページに参ります。「マル3 規模基準」につきましては、課徴金の賦課金額が一定額を下回る場合には、「課徴金制度を実効性あらしめるためにも、執行の負担を考慮し、一定の裾切りは必要である」という結論としております。その下のところで、裾切りの基準額につきましては、執行の負担や小規模事業者への配慮を求める事業者の意向等も踏まえつつ、課徴金制度の抑止効果の担保という観点から、「適切な要件設定を検討する必要がある」としております。

「マル4 除斥期間」ですが、これにつきましては、「既存の課徴金制度における除斥期間を参考として、一定の合理的期間を設けるべき」としております。

「(2)課徴金額の算定」ですが、基本的な考え方としては、1段落目の末尾のところで、「事業者の得た不当な利得相当額を基準とすべき」。これをどのように算定するかというと、次の段落に参りまして、「一定の算定式により一律に算定すべき」。その算定方法については、9ページに参りまして、4行目からの段落の末尾のところで、「違反行為者の手元に不当な利得が残らないよう、適切に定めるべき」としております。

「マル2 加算・減算・減免措置」につきましては、今日の被害回復の議論とかかわるところもございますので、次回までに追記することとさせていただきます。

「マル3 対象期間」につきましては、「一定の合理的期間に限定すべき」であって、その期間については、「違反行為の抑止という制度目的を達成するために合理的と考えられる期間を適切に定めるべき」としております。

「(3)裁量性の採否」ですけれども、これは「したがって」の段落で、「現時点において、景品表示法に課徴金制度を導入するに当たり、裁量を認めるような制度設計とはすべきではない」としております。

「5.課徴金の賦課手続」については、10ページに入りまして、まず2行目のところで、「措置命令に係る手続と同様の手続保障を検討すべき」。それから、徴収手続については、「既存の課徴金制度に倣って定められるべき」と記載しております。

「6.被害回復の在り方」につきましては、先ほどの御議論を踏まえて次回追記することとさせていただきます。

簡単ですが、以上です。

○小早川座長 どうもありがとうございました。

今、説明のありました取りまとめ案ですが、最後に触れられましたように、資料4の10ページの最後のところで、「被害回復の在り方」は次回追記するとしています。それから、9ページの「加算・減算・減免措置」も次回に書くということですが、ただ、この「加算・減算・減免措置」は、先ほどの被害回復の観点からの議論と関連する部分のほか、それと必ずしも直結しない部分もあります。初めにその点について御意見をいただいておきたいと思います。

参考資料2をごらんいただきます。後のほうにあると思いますが、先般の「中間整理」の抜粋です。

1つ目の段落の2行目で、加算措置については、立法事実の検証が必要との指摘もあって、設けるか否かは今後の議論の余地を残したという書き方にしておりました。立法事実云々ということは、特に再度の違反行為に関しての問題だったと思います。また、主観的要素について中間整理後に議論をした部分もあります。それらを踏まえて、取りまとめに向けてもう一度加算措置についての皆さんの御意見を確認させていただきたいと思うわけです。

それから、減算・減免措置のほうも、今の参考資料2の3つ目の段落の3行目、「減算・減免措置については」というのがありまして、「自主申告に対するインセンティブを働かせる意味でも積極的に検討すべきとの意見が出された」という記述になっています。これは、被害回復以外の視点での減算・減免ということで、それについても御意見があればお出しいただきたいと思います。

以上の点に関していかがでしょうか。

増田委員、どうぞ。

○増田委員 加算措置に関してですけれども、以前にも申し上げましたが、過去に措置命令を受けて学習することによって、次に違う商品を誇大広告するというようなことがあります。そうした場合は、過去の措置命令によって学習をしていることから故意の行為だと思います。そのようなケースに関しては加算措置をしていただくほうが妥当ではないかなと思っております。

○小早川座長 宮城委員。

○宮城委員 同じくまず加算措置の点でございますけれども、再度の点は今おっしゃられたとおりだと思うのです。ただ、それは認定の問題として、再度と認定するのが全く同じ商品でなければならないのかどうかというような認定上の問題は、細かい点ですけれども、起きてくるだろうと。

それから、ほかに私が入れたらどうかと思っているのは、前半でも申し上げたとおり、不当表示であることの隠蔽工作についてはやはり加算事由としたほうがいいのではないか。代表的なものとしては公益通報のもみ消しだとかがありますけれども、そのほかにも隠蔽の方法はいろいろあるので、そういったものについては加算ということを。ただ、どこまで認定できるかというところは難しいところがあるのですけれども、明らかなものについては少なくとも加算事由としてはどうかと思います。

あとは、やはり独禁法でもあるような首謀者的な、特に上流の事業者で下流の事業者にかなりの拘束力を持っていて、それに下流の事業者として従わざるを得ないというような力関係がある場合です。ただ、それも要件建てが難しいのかもわからないですけれども、実際の規制の効果から考えると、上流の業者で、製造販売元で、あるいはその事業者の規模によって下流の事業者が従わざるを得ないというときは、上流のところで不当表示をストップさせるというところが効果的であろうということなので、つまり、他の事業者に半ば強制して。不明確な要件では困るところがあるかもしれないですけれども、独禁法でも例がないことではないので、不当表示について首謀者的地位にある事業者については加算するというようなことは検討されてもよいのではないかという気がしております。

○小早川座長 ほかにいかがでしょうか。

高橋委員。

○高橋委員 加算については私も以前から意見を申し上げていますけれども、ここに書かれていることの故意、再度、公益通報のもみ消し、これはどれも重要だと思うのですが、再度の違反行為に関しては、私は同じ商品か否かを問わず、その事業者が不当表示を行ったのであれば対象とすべきだと思います。措置命令等を受けた場合、あるいは課徴金の対象となった場合には、コンプライアンス体制をきちんと築くはずなのですけれども、それが形だけで機能していなかったという場合に、やはりまた同じようなことが別の商品・サービスで出てくるということだと思いますので、事業者単位で考えるのが妥当だと思います。

○小早川座長 齋藤委員。

○齋藤委員 最近、企業の合併とかグループ経営などがたくさんありますが、そのときにたくさんの商品を扱っている事業者があるわけですけれども、大体商品ごとに独立した運営をやっています。コンプライアンス体制は同じようなことをつくってやっていますけれども、違う事業上でまたしでかす。ところが、コンプライアンスはきっちりやっていたのだけれども出てしまったというようなときにも同じかというと、そのときには、やはりコンプライアンスをどこまでやっていたかということがかなり評価されるべきではないかなという気もいたします。 それから、私が一番悪質だと思うのは、ぜひ何とかしてほしいと思うのは、経理の帳票がないと主張するやからが必ずあらわれると思うのです。事故米のときにも帳票がないからどこに売ったかわからないというようなことで最後までまかり通っていました。こういうことが許されてはいけないので、それについてはかなりの強制力のある制裁を加えていただきたいと思います。

○小早川座長 加算事由について、いろいろ、あれはどうだ、これはどうだという御発言ですが、ちょっと観点は変わりますけれども、参考資料3があります。これは、既にあるほかの課徴金制度についてまとめた資料で、この資料そのものは出来合いのものなのですが、これを見ると、加算に関して、行為の悪質性に着目した規定がほかのそれぞれの制度でどうなっているかというのを、差し当たりのデータとして掲げてあります。

こういったものもごらんいただいて、例えば独禁法が御専門の白石座長代理とか、刑事法の関係では川出委員とか、そもそも課徴金に制裁的要素を入れるということについてどのように考えたらいいのか、何かございましたら。

○白石座長代理 では、便宜上、私から最初にお答えさせていただきます。

制裁なのか、不当利得の剥奪なのか、どちらなのかというのは、別にどちらでなければならないということではなくて、実際の課徴金には両面があるということなのだろうと思っています。憲法の二重処罰の禁止との関係で課徴金は制裁でないから合憲だと言われた時代もあったのですけれども、今では、独禁法の課徴金は制裁でもあり、それで憲法上それ自体では何の問題もないということで、そのような説明で固まっていると理解しています。抑止のための制裁ということであれば差し支えないという基本的な考え方でよいのではないかと思います。

今、小早川座長から参考資料3が言及され、そこに独禁法の規定も掲げられていまして、加算事由についても若干のことが書かれています。それについて若干私の理解を説明させていただきます。

まず、独禁法の加算事由として1つ目に、10年以内に命令を受けていた場合、これはつまり10年以内に2度当局に捕まったということですけれども、これについて加算をするというのは、つまり、そのような者に対して加算をすることによって抑止の効果を大きくすると説明することができますので、かりに今回の景表法の課徴金について導入するとしても別に違和感はありませんし、また、技術的にも難しいわけではないだろうと理解しています。あるとすれば、先ほど出ておりました立法事実があるかという関係――立法事実というのは私はよくわかりませんが、多分これまでに10年以内に2度捕まる者が現に多くいたかどうかということだと理解しておりますけれども――、その点が一つのハードルになり得るということにとどまるのではないかと理解しています。

もう一つの加算事由が主導的な役割の違反者に対する加算であり、これは先ほど宮城委員からも言及があった点だと思います。一つの考え方としては宮城委員の御提案のような考え方もあり得ると思うのですけれども、一つ注意しなければならないのは、独禁法で主導的役割の者に対して1.5倍にするというのは、独禁法の中の不当な取引制限と呼ばれるカルテルや談合に関する違反行為について、主導的役割の1.5倍の加算が認められているということです。つまり、カルテルや談合は違反者が複数おりまして、よほど例外的な事案は別にすれば複数いなければ違反行為はできないという違反行為なのです。その中でほかの違反者に対して主導的な役割を果たしたということを前提として1.5倍となっております。

景表法の違反行為の場合は、たまたま複数が違反するということはあり得ると思いますけれども、法律上当然に複数の者が違反者になるという規定ではありませんので、そのような場合に主導的な者というものを盛り込む必要があるのか、あるいはそのようなものを盛り込むのであれば、最初からそのようなことも踏まえたうえで課徴金の計算式を作ればよいのではないかということもあり得るかと思いますので、その点も念頭に入れて議論する必要があるだろうと思っています。

ありがとうございます。

○小早川座長 ありがとうございました。

では、川出委員。

○川出委員 まず、再度の違反行為の場合に加算するという点は、白石委員がおっしゃったとおり、課徴金に制裁的要素を持たせるかどうかという点に踏み込まなくても、抑止力を高めるという点から説明がつくと思いますので、理論的な問題はないと思います。他方、立法事実に関しては、以前の消費者庁による御説明によれば、措置命令が出された場合に再度違反を繰り返す例は少ないというお話だったと記憶していますので、そうだとしますと、この段階で再度の違反行為を加算事由として規定する必要があるのかという問題が出てくるように思います。参考資料に挙げられている独禁法上の加算規定も、もともとなかったものが、違反を繰り返す事業者がいるということを前提に導入されたという経緯がありますので、景表法については、それとは異なり、理屈の上で説明ができるということで導入することが果たして妥当なのかという点を考える必要があると思います。

それから、先ほど、宮城委員から公益通報のもみ消し等の違反行為の隠秘行為がなされた場合に、それを加算事由とすべきだというご意見がありました。そのような行為を抑止する必要があるというのはわかるのですが、それは、不当表示という違反行為とは別の行為ですので,それがなされたことをのために、不当表示についての課徴金の加算事由とすることができるのか、実質的には、隠蔽行為自体に課徴金を課すことになってしまうのではないかという疑問があります。

○小早川座長 特定の具体的なもみ消し行為に着目するのではなく、コンプライアンス体制とか内部統制が全然なっていないというのをどう考えるかも、問題ですね。

はい、菅久審議官。

○消費者庁菅久審議官 1つだけコメントですけれども、加算の要件にしろ減算の要件にしろ、裁量性の有無の話と関係あるかもしれませんが、いずれにせよ明確な基準でないと多分入れにくいのだと思います。したがいまして、極めて判断を要する、悪質性の判断を要するようなものをここに加算の要因とか減算の要因で入れるのはなかなか難しいということだと思います。そういうことで、独禁法でもはっきり明確化した上で加算要因、減算要因としているのではないかと思います。

○小早川座長 では、ほかに。高橋委員、お手が挙がっていましたか。

○高橋委員 挙げていなかったのですけれども、御指名いただきましたので、重ねての発言になりますが、加算というのは私は抑止に極めて有効だと考えております。単に違反行為があって課徴金を課されただけではなくて、加算という形で報道され、そしてまた、上場企業の場合は、特別損失の計上、業績予想の修正とか、必ず公表なければいけないわけなので、企業としては市場からの制裁を受けるわけです。そうならないようにコンプライアンス、内部統制、ガバナンス体制をきちんと構築していこうということで、消費者に向き合う態度が強化されると思います。そういう意味で、ぜひ今回の課徴金制度には、この3つの要件の加算を入れていただきたい。公益通報のもみ消し等も、当然コンプライアンス、ガバナンス体制の問題だと捉えます。

○小早川座長 ほかに。

宮城委員。

○宮城委員 基本的なこの制度の実効性をどのように、制度のつくりとして不当表示抑止のために最も効果的に機能する制度にできるかというところから考えているのですけれども、表示広告内容について最も知識、情報を持っていて、最もよく確認できて、一番それを事前にストップできる可能性のある業者は、やはり一番上流の製造販売元が最も多くの商品情報を持っているであろうし、確実に確認ができる、そこは言い逃れができない部分です。

それに対して、それより下流のとりわけ中小事業者、ましてや末端の事業者のあたりにいくと、それは上流から言われたままの情報を基本的には信じるだろうと。ただ、そこは過失の要件で手当てができるのかもしれないのですけれども、今までヒアリングでも中小事業者の団体からいろいろ意見が出てきて、知らないうちにやらされてしまったらどうなるのだというところはあって、それは私も裾切りの要件や過失要件である程度絞ることができる、そういう不測の事態は避けることができるとは思っておるのですが、他方においてもう一つ、そういった正しい情報が与えられるかどうかというところと、あとは強制されるという類型が出てきはしないかというところなのです。

加算措置にも関係するし、減免措置にも関係するし、いろいろなところにかかわってくるのですけれども、やはりこの課徴金制度については、消費者的な地位に近いような中小事業者に対する配慮というのは、ある程度それを考えておりますというところの姿勢を示さないと、なかなか社会的な支持も得られないし反対論も強くなってしまう。そこはきっちり考えていますよというところの考え方を示さなければいけないと思っております。

それからすると、主導的な地位というのは、そういうところも、ただ悪いから単純にやるという話ではないのです。どこを手当てすれば一番効果的かというところがありまして、要するに上流で規模が大きくて情報も独占していてそれを下流に流すというパターンで、それが間違っていたら後で求償請求すればいいではないかという議論はよくあるのですけれども、現実的に考えると、それができるのかというところが類型によっては、取引形態によっては疑問があって、社会的な力関係がありますね。一度偽物をつかまされたからといって、そこに全面的に頼っているような下流事業者が、その後も継続的取引をしていかなければいけないのに求償請求できるのかというところは、場合によってはそういったケースも、まさに今日の優越的地位の濫用的なところで、場合によっては課徴金を課されたところ、上流、下流に全部課徴金を課されたとしても、優越的地位の濫用のような力関係がある場合に、それを下流の事業者に押しつけるみたいなパターンも出てくるかもしれない。やはりそこは考えたほうがよくて、主導的な地位というのは、要するに情報を持っていて、それを知らせなかったというだけではなくて、その力関係から、それを半ば強制して、それに逆らえなかったというときに、主導的な地位の業者については重いペナルティーを科さないととまらないのではないかという考えがあります。

減免措置との関係でも、確かに先ほど白石先生から御指摘のありましたカルテル、談合は複数の事業者の関与が最初から予定されているというのはそうなのですけれども、縦と横の違いはあるのですが、流通経路で商品が世間に広く売られていくためには中間業者があり、仕入れ先があって、そしてその下に流れていくということですから、上下の関係で考えると、ほとんどの商品・役務の流通に関しては、上下ではあるけれども、複数の事業者の関与というのは予定されているとは思うのです。そういった中で、上流事業者の力が強くて不当表示がずっと広く行われたというところについては、そこが確実に不当表示を回避できる立場にあるのだから、そこの責任が大きい。

だから、単に上流だということだけではなくて、それを下流事業者に押しつけた、強制したというような関係がもし立証できるならということですけれども、消費者庁がおっしゃる要件の明確さをはかりたいというのはよくわかるのです。だけれども、よほどの露骨な話については、そこは認定できるのではないかという気がしていて、現に独禁法でも主導的な役割というのは要件で設けて、それを認定しようとしているのですから、こちらでもそれができない理由はないのではないかという気がしております。

○小早川座長 はい、川出委員。時間が押していますので手短にお願いします。

○川出委員 先ほど座長がおっしゃったコンプライアンス体制が整っていないことを加算事由として考慮するのはどうかという点ですが、そのような捉え方をするのであれば、違反行為自体と関連性を持つものですから、抑止という観点から加算事由とすることも、理屈の上では可能だと思います。ただ、こうした事情は、不当表示に至る経緯の一部をなす事情ということになると思いますし、先ほど宮城委員が指摘された点は、事業者が不当表示についてはたした役割という位置づけになるのだと思います。それを加算事由とするということになるわけですが,こうした事情は,個々の事案ごとに千差万別ですので、先ほど菅久審議官からご指摘にあったように、それを一律の加算事由として規定することがはたしてできるのかという疑問があります。これらの事情は、刑事でいえば、犯行に至る経緯とか、犯行における役割といったものにあたりまして、それは量刑事情の1つとして考慮されています。つまり、それらは、本来的には裁量性を認める制度のもとで、個々の事案に応じて考慮されるべき要素であって、一定の加算事由として規定することは難しいように思います。

○小早川座長 これについて、何か特に。

○消費者庁菅久審議官 実際の不当表示の事案がどういうものかということを少しだけお話しさせていただきますと、今、多分前提にされているのは、メーカーがつくった商品が流れていって、売られているという状況を想定されているのだと思いますが、メーカーがみずから消費者に対して自己の商品を宣伝して、それが不当表示であれば、そもそもメーカーが違反行為者になります。それから、商品に表示をしたものがそのまま流れていって売られれば、それはメーカーの表示ですから、メーカーが不当表示の対象になります。ですので、情報だけ知っていて、それを小売業者に伝えて、こう書けと指示し、書かせるという行為がないと、多分先ほどおっしゃっていたような話は出てこないと思いますので、実際上、不当表示事件でそのようなものは多分ほとんどない。

つまり、小売業者は小売業者でわかっていて違反したというのが多いですし、そもそも製品の質や内容と関係のない不当表示、例えばちょっと前に出てきました不当な二重価格表示などというのは小売業者しかわからないことを小売業者がうそをついてやっているということですから、そういうこともありますので、実際上のケースとして、誰かに言われてやってしまいましたみたいな話は余り現実的ではないのではないかなと思っております。

○小早川座長 委員長、どうぞ。

○河上委員長 これは確認ですけれども、先ほどの控除の話をした部分と、今回の減算という話をする部分の関係をもう一度確認しておきたいのです。消費者庁からいただいている説明では、これは別のもの、一旦決まったもの、控除してでき上がったものにさらに減算をしたり加算措置をするという話になるのか、それとも同じことをやろうとしているのか、どうなのですか。

○小早川座長 いかがですか。

黒田参事官。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 控除と減算というのは別物だと考えております。減算として考えているのは、例えば自主的な申告があったような場合には、そもそも課徴金全体の金額自体を減らすというような考え方があるのではないかという意味での減算なのですけれども、控除は、それが対象となった上で自主的な返金があったりとかというのを後から考えるということなので、控除と減算は別で考えています。

○消費者庁菅久審議官 補足させていただきますと、加算・減算要件というのは、本来課すべき課徴金額を計算するときの要素ということだと思います。そこで課徴金額が幾ら、本来こうだと。控除というのは、それに対して、自主的返金とかがあれば、そこから引いていくということになるのだと思います。

○河上委員長 今さっき高橋委員がおっしゃったことと同じことになるのですけれども、加算措置をとる、減算措置をとるというのは、インセンティブを強化するといいますか、そういう方向での作業になるのではないかと思います。ですから、今回の課徴金制度について、減算をするということが何かこういう不当表示に対するマイナスの方向でというか、いい方向で作用するような場面でなければ基本的には出てこないのではないかということです。

もう一点は、通常のパーセンテージで得られたもので出てくるものが余りにも低ければ、悪いやつほどたくさんもうけているはずなので、これは加算でもしてちゃんと吐き出してやらないと公平感がないという話にもなりかねない。通常の課徴金がそれなりにきちんと不当利得を吐き出せるようなレベルまでいっているかどうかということとも関係してくるような気はいたします。

○小早川座長 おっしゃるとおりだと思うのですが、不当な利得をどう見定めるかということと、それと別に、別の何かの理由で加算し、減算するということとがあるわけです。今おっしゃられた最後のところ、本当はもっと利得があるのではないかという話を加算の議論に持ち込むと、ちょっと論理が混乱しませんかね。

○河上委員長 私もそう思います。ですから、それだけに、余り甘いところで利得のレベルを置くとそういう話になりがちになるので気をつけていただきたいということでした。

○小早川座長 さて、今後の進行についてですが。

○河上委員長 今日、もう少し加算、減算のところについて議論をしていただこうかということで、まだ自主申告など若干論点が残っておりますが、これは次回回しということにさせていただきます。現時点で出ている文章については、委員の方から事務局のほうにぜひいろいろな形で御意見を頂戴できればと思います。

もう一点、親委員会の委員の方にも申し上げたいのですけれども、専門調査会から報告書が出るということと、諮問に対する答申の書面をつくるという作業を、この全体会で同時に進行させていると認識しておりますので、文書の形としては、この取りまとめによってまとまったものが親委員会における諮問に対する答申の内容も構成するという理解で、ぜひ必要な意見を出しておいていただければありがたいと思います。

○小早川座長 今、委員長もおっしゃいましたが、本来の予定では、今回で、議論すべきところは大体こなして、それも含めて全体の取りまとめについてできれば次回で決着していただくということだったのですが、今日、取りまとめとして一応出されている部分について、御意見を伺う時間がありませんでした。

もう一つは、個別の点ですけれども、さっきちょっと申しました、自主申告を促すための減算措置の問題です。これは独禁法のリニエンシーの仕組みとかかわるかと思いますけれども、その辺についても御意見を伺いたかったのですが、それも時間がありませんでした。そこで、申しわけありませんが、その2点につきまして、御意見があれば文書で、メールなり何なりで事務局にお寄せいただく、そういうことでよろしいですか。

○河上委員長 はい。

○小早川座長 それを踏まえて、時間がありませんけれども、取りまとめの確定的な原案をつくっていただく、そして、もし必要があり、かつ時間的余裕があれば、皆様にそれを見ていただくことになるかと思いますが、それで次回につなげたいと考える次第です。事務局は、それでよろしいでしょうか。

○稲生参事官補佐 進行としてはそれで結構かと思います。意見をお出しいただく期限につきましては、案文作成の都合上、後ほど御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○小早川座長 それでは、そのような方針で、以後、取りまとめを進めたいと思います。

本日の議事は以上といたします。


≪4.閉会≫

○小早川座長 何か連絡事項がありましたら。

○金児企画官 ありがとうございました。

次回の日程については追って御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。

以上です。

○小早川座長 本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、皆様どうもありがとうございました。

(以上)