第146回本会議・第4回景品表示法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会 合同会議 議事録

日時

2014年3月11日(火)15:58~18:27

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【消費者委員会委員】
河上委員長、石戸谷委員長代理、岩田委員、齋藤委員、高橋委員、夏目委員、橋本委員、山本委員、唯根委員
【専門調査会委員】
小早川座長、白石座長代理、川出委員、長田委員、増田委員、宮城委員
【説明者】
消費者庁 川口審議官、菅久審議官、黒田課徴金制度検討室長
【オブザーバー】
国民生活センター 丹野理事
【事務局】
小田事務局長、稲生参事官補佐

議事次第

  1. 開会
  2. 既存の課徴金制度についてのヒアリング
    独占禁止法上の課徴金制度について
    公正取引委員会 河野 審査局第二上席審査専門官
    金融商品取引法、公認会計士法の課徴金制度について
    金融庁 山賀 総務企画局総務課審判手続室長
    金融庁 鎌田 総務企画局市場課市場取引対応室長
    金融庁 青崎 総務企画局企業開示課 課長補佐
    金融庁 佐藤 証券取引等監視委員会事務局総務課 課長補佐
    金融庁 金ヶ﨑 証券取引等監視委員会事務局取引調査課 課長補佐
    金融庁 伊佐 証券取引等監視委員会事務局開示検査課 主任証券調査官
  3. 事業者団体からのヒアリング
    一般社団法人日本フードサービス協会
    関川 和孝 常務理事
    田村 清敏 業務課長
    一般社団法人日本旅館協会
    小関 政男 常務理事
  4. 景品表示法の改正案について
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○小田事務局長 時間前ですけれども、皆さんおそろいですので、始めさせていただきます。ただいまから、「消費者委員会第146回本会議・第4回景品表示法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会 合同会議」を開催いたします。
本日は、所用により本会議の阿久澤委員、専門調査会の鹿野委員が御欠席、また本会議の岩田委員がおくれての御出席と連絡をいただいております。
配布資料ですが、お手元の議事次第の裏面に配布資料一覧を載せてございますので、もし不足がございましたら事務局のほうに申し出ていただければと思います。
それでは、小早川座長、議事進行をお願いいたします。

○小早川座長 それでは、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
議事に入ります前に、前回、委員から出された意見についての確認をお願いします。

○稲生参事官補佐 資料1を御覧いただきたいと思います。前回の経済団体からのヒアリングにおける主な意見と質疑応答について、こちらに整理しておりますので、御確認くださいますようお願いいたします。
以上でございます。

≪2.既存の課徴金制度についてのヒアリング≫

(1)独占禁止法上の課徴金制度について(公正取引委員会からのヒアリング)

○小早川座長 それでは、議事に入ります。本日の議事は、まず「既存の課徴金制度についてのヒアリング」を行います。その後、「事業者団体からのヒアリング」を行いまして、最後に、これは本日閣議決定されたということでありますが、景品表示法の改正案について消費者庁より御説明いただくことにしたいと思います。
まず最初の「既存の課徴金制度についてのヒアリング」であります。本日は、現行法として課徴金制度を導入している法律における課徴金制度の執行状況に関しまして、独占禁止法については公正取引委員会から、金融商品取引法及び公認会計士法につきましては金融庁から、それぞれ御説明いただきまして、その両方の後で質疑応答を行いたいと思っています。公正取引委員会、金融庁の皆様におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
早速ですが、独占禁止法上の課徴金制度につきまして、公正取引委員会より御説明をお願いいたします。時間が限られておりますので、御説明は10分程度でお願いしたいと存じます。どうぞよろしく。

○公正取引委員会河野第二上席審査専門官 公正取引委員会事務総局で審査官をしております河野と申します。本日はよろしくお願いいたします。それでは、早速ですけれども、資料2「独占禁止法における課徴金制度の概要」という資料に沿って御説明申し上げたいと思います。
最初のページでございますけれども、独禁法の主な禁止規定。
まず、私的独占でございますが、これは典型的には市場における有力な業者が同業者を支配下に置く、あるいは新規参入業者や競争業者を排除することで、競争を実質的に制限する。これは、課徴金の対象になっています。
2番の不当な取引制限も同じく課徴金の対象になっておりまして、カルテルが典型例です。同業者間で話し合いをして、一斉に値上げをするといった行為、入札談合も不当な取引制限の類型に当たります。
4番の不公正な取引方法には多くの行為類型を書いてございますが、いずれについても、公正な競争を阻害するおそれがある行為です。つまり、不当な取引制限、私的独占よりも、競争への影響が小さい段階で規制する必要がある行為を規制しているというものです。一番上に書いております共同の取引拒絶から優越的地位の濫用までの5類型が、平成21年の独占禁止法の改正で課徴金の対象になったところでございます。
1枚おめくりいただきますと、違反事件の処理手続のフロー図がございます。どのようなフローで納付命令がなされるのかの概要を御説明申し上げますと、まず公正取引委員会は、独禁法違反の疑いがある事実を発見するため、さまざまな情報を収集しておりまして、一番右上、独自に収集する職権探知、一般の方からの申告、課徴金減免申請などがございます。
このようにして得た情報を踏まえまして、違反行為の存在を疑うに足る事実があると判断した場合には、次のステップとして、さらに詳しく調査するための行政調査、犯則調査を開始いたします。典型的な行政調査といいますと、独禁法47条に基づく立入検査、報告命令、そして事情聴取もあわせて行うことになります。この47条に基づく調査に従わない場合には、刑事罰の対象になるという、いわゆる間接強制によって実効性の確保を図っている制度となっております。
調査の結果、排除措置命令、課徴金納付命令をしようという場合には、まず人人人名宛人人となるべき者に事前通知を行いまして、意見を述べ、証拠を提出する機会を付与する。そこで、この事前手続で出された意見、証拠を参酌しても、なお排除措置命令、課徴金納付命令を行う必要があると認めた場合には、行政処分が行われる。
ご覧いただいているフロー図に課徴金納付命令と排除措置命令が並べて描かれているように、審査実務におきましても、課徴金納付命令のための審査と違反行為の認定のための審査は基本的に並行して行われるという状況でございます。
次のページに進みまして、課徴金納付命令のための調査、それから徴収について御説明いたします。
まず、関係人から課徴金の計算のために必要なデータを報告させます。それを報告命令と申します。報告を受けた後、報告された金額が正確か否かを確認する作業である正確性検査という手続に入ります。具体的に申し上げますと、関係人の事業所に審査官が赴きまして、関係人から報告されたデータを算出する手順の説明を受けます。最近は会計処理がコンピューター化されていることも多く、計算作業を審査官の目の前でやってもらう。リベートの支払根拠となる契約書、返品があった場合の伝票をサンプリングで見せてもらうということもございます。
課徴金の納期限は、命令書の謄本を発する日から三月を経過した日となっております。期限までに納付しない場合には、まず督促状により期限を指定して、その納付を督促する。そして、その督促状記載の期限までに納付しないときには、国税滞納処分の例により徴収することができることになっております。
審判請求がなされて審判になった場合でも、課徴金の納付義務はそのまま有効であり続けますが、督促は審判が終わってから、つまり審決した後に行われる。つまり、審判中は国税滞納処分の例による徴収はなされないということになります。
納期限までに納付しない場合には、納期限の翌日から納付の日までの日数に応じまして、年14.5%の延滞金がかかります。ただし、審判中の場合には14.5%ではなくて、4.3%という低い延滞金になっています。
次に、課徴金の算定方法について御紹介いたします。
商品のカルテルを念頭に置いて話しますと、課徴金の額というのは実行期間中の売上額に一定の算定率を乗じて計算するというシンプルな構成になっていますが、売上額には最長3年間という限定がございます。それから、売上げから控除する項目がございまして、品質不良があった場合の対価の控除、返品の金額、割戻金があった場合にはそれを除くという形で売上額というのが確定されます。売上額に乗じる課徴金算定率については、カルテルの場合10%、そのカルテルが小売業として行われた場合には3%という形で、違反行為の形態等によって変わってきます。企業が大企業か中小企業かによっても変わってきます。さらに、過去10年以内に違反行為を繰り返していたかどうか、あるいは主導的役割を担っていたかということで割り増しされたり、早期に違反行為から離脱した場合に課徴金が低い率になるというバリエーションもございます。これらの算定率を用いた掛け算を行った後、課徴金減免制度によって、公正取引委員会の立入検査前、1番目の申請者の場合には全額免除、2番目の場合には半分になるという形で計算されて、課徴金の納付命令が最終的に出されるということになります。
次のページに課徴金減免制度を簡単に説明してございます。カルテルや入札談合というのは、通常は秘密で行われるものですので、違反行為者自らが自主的に公正取引委員会に報告するという制度を導入する必要があるということで、平成17年改正で導入されました。
課徴金減免制度の運用実績につきましては、平均いたしますと年間100件程度の申請が行われておりまして、端緒の発見という点では相応の効果を挙げているといえます。
次のページに進みまして、課徴金納付命令の運用実績について説明させていただきますと、過去6年間の傾向として、ある程度の増減はございますが、総額200億円以上の水準が続いていることが見てとれるかと思います。
昭和52年以降でみた、更に長いスパンの傾向を見てみますと、まず、違反行為が後を絶たないという事情から、抑止力を強化するために算定率は二度ほど引き上げられております。そして
、平成17年度には減免制度も導入されています。しかし、課徴金の額は増加傾向にあります。課徴金の減免制度が導入されて以降、特に課徴金の伸びが顕著になってございますが、これは、減免申請がなされた比較的大型のカルテル・談合事案を取り締まってきたことが現れていると考えられます。
次のページが審判手続の開始状況です。審判手続の開始件数というのは、その年の事件の件数、人人人名宛人人の数などによって変動するのですけれども、平成18年1月、減免制度が導入されて以後も審判は減少していないという事実がございます。審判の半分以上は課徴金の審判です。課徴金減免申請があった案件で課徴金の減額を受けた事業者であっても、違反行為の認定自体に不服があって審判で争う場合とか、あるいは、違反行為があったことには不満はないのですが、課徴金の額には不満があるということで、審判で争うという事例も少なからずございます。
次ページと次々ページに近年の独占禁止法の違反事例を紹介しております。例えば、平成25年の東京電力発注の架空送電工事、地中送電工事の受注調整事件では、約7億5000万円の課徴金の納付が命じられています。優越的地位の濫用について申し上げますと、平成25年度に、スーパーマーケットによる納入業者に対する優越的地位の濫用事件といたしまして、約870012億8,700万円の課徴金の納付が命じられているところです。
一番最後に過去6年間の処理件数の推移を載せておりますが、時間の関係上、説明は省略させていただきます。
以上、駆け足でしたけれども、独禁法の課徴金制度の概要の説明を終わります。ありがとうございました。

(2)金融商品取引法、公認会計士法上の課徴金制度について(金融庁からのヒアリング)

○小早川座長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまのものにつきましては、後ほどいろいろ御発言をいただきます。
続いて、金融商品取引法と公認会計士法の課徴金制度につきまして、金融庁より御説明をお願いいたします。説明の時間は、15分程度でどうぞよろしくお願いします。

○金融庁山賀審判手続室長 金融庁総務課審判手続室長の山賀と申します。よろしくお願いします。
では、金融商品取引法等におきます課徴金に係る審判制度及び審判の流れ等につきまして、当方より説明させていただきます。既に、金融商品取引法等の課徴金制度につきましては、第2回の合同会議で資料が配付されていると承知しております。
本日、同じものが資料4として配付されていることと承知しておりますが、口頭で簡単に説明させていただきますと、金融庁で所管しております課徴金制度でございますが、証券市場への信頼を害する違法行為、すなわち資料4にもございますが、インサイダー取引や相場操縦、風説の流布・偽計といった不公正取引と、それから有価証券報告書や届出書などの虚偽記載といった開示規制違反、それから公認会計士・監査法人による虚偽証明、それぞれに対しまして、行政として適切な対応を行うという観点で、規制の実効性確保のための手段としまして、金融商品取引法関連につきましては平成17年4月、公認会計士法関連につきましては20年4月から、それぞれ行政上の措置として違反者に対する金銭的負担を科す制度として導入されております。
では、配付資料3「調査から課徴金納付命令までの流れ」というものと「課徴金制度に係る手続等の流れ」というものがございますが、こちらをご覧いただければと思います。
1ページ目と2ページ目の番号、(1)、(2)というものがありますけれども、これらの番号は対応しております。以下、金融商品取引法上の課徴金を念頭に御説明させていただきます。
まず、過去の経緯もございまして、金融商品取引法上の課徴金に係る不公正取引の調査・開示検査につきましては、金融庁に設置された証券取引等監視委員会において実施されております。証券取引等監視委員会の調査の結果、課徴金賦課が必要と判断された場合に、内閣総理大臣及び金融庁長官に処分勧告がなされまして、その違反事実があると認めるとき、審判手続開始決定がなされます。これが(1)から(3)までの部分になります。
それから、開始決定と同時に、審判官と指定職員が指定されます。これは(4)の部分でございます。
審判手続につきましては、基本的に3人の審判官で構成する合議体で行われます。また、法令によりまして当該事件調査に関与したことのある者は、審判官として指定できないこととなっており、手続の公正性・中立性を確保するようにしております。また、審判官の合議は過半数で決すること、審判官には、検察官、弁護士、または弁護士となる資格を有する者を加えることとされておりまして、現在の審判官は法曹で構成されているところでございます。なお、審判官の行う審判手続を補助するために、私の所属する審判手続室というものが置かれております。
指定職員とは、当庁の職員で指定する者を審判手続に参加させることができるようにしたものでございまして、先ほど申し上げましたように、審判官は審判手続開始前には事件についての知識を持たないということで、円滑かつ迅速な審判手続の運営を可能にするために、被審人が違法事実の不存在を主張・立証するのに対しまして、手続で違法事実の存在を主張・立証する者を指定できるとしたものでございます。
そして、(5)審判手続に移るわけでございますが、審判手続開始決定書には、審判期日、場所、課徴金に係る違反事実、課徴金額及びその計算の基礎が記載されまして、被審人に送達されることで審判期日が開始されます。そして、被審人による答弁書提出が求められますが、被審人から違反事実及び課徴金の額を認める旨の答弁書、すなわち応諾の答弁書が提出された場合には、審判期日を開くことを要せず、(6)の審判官による決定案作成、内閣総理大臣への提出がなされることになります。この部分は、(5)の四角の中の右側部分、点線の矢印がある部分でございます。
他方で、被審人から違反事実及び課徴金の額を認める答弁書が提出されない場合、すなわち否認の答弁書が提出されたり、答弁書自体を提出しない場合には、審判期日の開催に向け、手続が進められます。
そして、(5)の中の四角く囲ってある部分でございますけれども、原則公開の審判期日の前に、争点及び証拠の整理を行う必要があるときは、準備手続期日を非公開で開催いたします。ここには、指定職員、被審人、代理人を選定する場合には代理人に出席してもらいまして、整理していきます。また、第1回の審判期日前に、被審人またはその代理人の申立てによりまして、資料の閲覧または謄写を行う場合もございます。そして、必要に応じまして、双方から準備書面や証拠書類を出していただきまして、争点が明確になった段階で、公開で行う審判期日を開催いたします。
証拠書類は、何が争点となるかにもよります。指定職員には、法令の当てはめに充足するものを用意してもらいますけれども、例えばインサイダー取引、すなわち会社関係者であって、上場会社の業務等に関する重要事実を職務に関して知った者は、その重要事実が公表された後でなければ株券等の売買はできないという規定でございますけれども、このインサイダー取引であれば、重要事実の決定時期や伝達の状況についての聴取結果や株式の売買状況などが考えられますし、被審人からは事実関係が相違することについて証拠が提出されることになります。なお、審判手続における主張は、書面で準備する必要がございます。
審判期日では、被審人の意見陳述、参考人・被審人の審問、被審人による証拠書類又は証拠物の提出などがなされます。最近の例では、準備手続を複数回行った上で、審判期日は1回で終結というケースが多いように思っております。なお、宣誓した参考人等が虚偽の陳述をしたときなどは罰則が設けられております。
(5)の後、(6)のとおり、審判官による決定案作成、内閣総理大臣への提出がなされ、(7)のとおり、審判官作成の決定案に基づき内閣総理大臣が課徴金納付命令等の決定を行うことになります。
決定の3類型といたしましては、ここに記載のあるとおり、課徴金納付命令決定、違反事実がない旨の決定、あるいは課徴金納付を命じない旨の決定がございます。
一番下のところでございますけれども、決定後、納付命令決定に不服がある場合、30日以内に地裁に取消訴訟を行う必要がございます。また課徴金を納付する場合、2カ月以内に国庫への納付が必要になります。なお、納付期限内に納付できない場合は督促を行いますけれども、その場合は年14.5%の延滞金がかかることになっております。
当庁における課徴金に係る審判制度は、先ほど申し上げましたとおり、平成17年に導入されましたけれども、行政処分の事前手続でございます。その性質において、当庁で行う金融商品取引業者に対する監督上の行政処分のための事前手続と変わることはございませんが、旧証券取引法、現在の金融商品取引法でございますけれども、こちらに初めて導入される制度で、運用に慎重を期する観点で審判制度を導入したものでございます。他方で、規制の実効性、市場の信頼性を確保するため、行政運営の迅速性・効率性の観点にも配意し、運営していく必要がございます。
行政処分の取消訴訟との関係では、裁判における一審級が省略されているものではございません。他の行政処分に対する訴訟と同様ですので、そういった意味でも公正取引委員会で採用されておりました審判制度とは異なるものと理解できるかと思います。
年に何件かは否認の答弁書が出されまして、審判期日に至る事件がございます。いずれにしましても、不公正取引事案や虚偽記載事案など、年々、事件もさまざまなものが発生しておりますし、対象となる被審人も国内外さまざまでございますので、審判手続を積み重ねていく中で、迅速、効率的な審判対応を心がけているところでございます。
以上で私からの説明を終わらせていただきます。

○金融庁佐藤証券取引等監視委員会事務局課長補佐 証券取引等監視委員会でございます。
課徴金納付命令を出すために、どのような証拠を収集しているのかということについて簡単に御説明させていただきたいと思います。証券取引等監視委員会の具体的な調査手法、検査手法を明らかにすることは、我々の適切な業務遂行に支障が生じかねないことから、一般的なレベルでの回答にとどめざるを得ないことについて御容赦いただきたいと思います。
証券取引等監視委員会では、金融商品取引法に基づき、インサイダー取引などの不公正取引や有価証券報告書等の虚偽記載等に関する調査・検査を実施しており、仮に問題があると認められれば金融庁に対し、課徴金納付命令勧告を行うこととしております。このうち不公正取引に係る調査の過程では、例えばインサイダー取引については、取引所や証券会社等から当該取引に係る情報の報告を求めたり、当該取引が行われた株券の発行者である会社から、インサイダー情報の決定に係る資料等を閲覧・収集するとともに、調査対象者に質問調査を行う際は、必要に応じて調書を作成しております。
また、有価証券報告書等の虚偽記載等にかかる上場企業等への検査の過程では、虚偽記載が疑われる上場会社等の検査対象先にある資料等を閲覧・収集し、検査対象先に質問調査を行う際は、必要に応じて調書を作成しております。また、必要に応じて検査対象先の監査人、公認会計士または監査法人でございますけれども、監査人の意見等を聴取するほか、虚偽記載等に関連して検査対象先が外部調査委員会を設置して調査を実施したい場合には、当該調査資料や調査結果等を検査対象先から入手しております。
簡単でございますが、以上でございます。

○金融庁鎌田市場取引対応室長 総務企画局市場課市場取引対応室長の鎌田と申します。
資料4に独禁法と金商法、公認会計士法の比較表が載っておりますけれども、このうち規模基準(裾切り)と除斥期間、裁量の点につきまして、事前に事務局から質問いただいておりますので、その点について御説明申し上げます。
まず、裾切り要件の意義について、どのように考えるかということでございますが、金商法176条は、課徴金の額の端数計算等として、その第1項に「課徴金の額が1万円未満であるときは、課徴金の納付を命ずることができない」と規定しております。この規定の立法趣旨につきましてですが、課徴金制度導入当時の立案担当者の解説によりますと、課徴金の額は、違反行為によって意図した相場の変動とは反対の相場の変動が生じた場合など、1万円未満の額やゼロとなり、あるいは負の額となる可能性がある。そこで、そのような場合には課徴金の納付を命ずることができないこととしていると、こう解説してあります。
要するに、違法行為はしたけれども、当初の思惑と違って、相場が反対の方向に動いて、結局利益を得なかった場合にまで、1万円の額未満のものについて課徴金を取る必要はないという判断であろうと考えられます。
次に、裾切り要件がある場合とない場合とで、執行実務にどのような違いが生じるかということでございます。これは、あくまで一般論でございますが、課徴金を期限までに納付しない場合は、先ほども申しましたが、年14.5%の延滞金がかかってきたり、あるいは納付を国庫に入れる収納事務などにおいても、この端数計算を行わず、もし仮に1円単位まで課徴金があった場合には、事務が煩雑になる。あるいは、硬貨と紙幣が混じったりして過誤の危険性が高まるといった可能性が考えられるかと思います。一般に端数計算というのは、こういった事務の効率性、行政の迅速性を考慮して、このような端数処理の定めが置かれているものと承知しております。
次に、除斥期間、対象期間の制限について、どのように考えるかということでございますが、金商法におきましては、違反行為をした日から5年の除斥期間を定めております。この除斥期間につきましては、法的安定性あるいは立証の難易などを踏まえると、違反行為から一定期間を経過した者については課徴金を賦課することができないこととする趣旨でございます。ちなみに、金商法で課徴金制度の導入当時は、この除斥期間は3年とされておりましたが、平成20年の改正金商法により3年が5年に改められております。
これは、証券取引等監視委員会が事件の端緒をつかむまでの期間、証拠の収集・分析に要する期間を考慮すると、3年の期間は調査期間として十分とは言いがたいこと。他方、違反に問われる者にとっても、実務上は関係帳簿の保存期間がおおむね5年とされておりまして、違反行為から5年までであれば必要な防御措置をとることができるであろう。こういったことを考慮して3年から5年に改正されたという経緯がございます。
次に、裁量制の導入の是非について、どう考えるかということでございます。課徴金制度の導入当時、行政が金銭的負担を課す場合に裁量が認められるかどうかという点につきましては、我が国の制度で課徴金の制度は前例のないものであり、有識者等との間で次のような議論があったと承知しております。
まず、憲法の二重処罰禁止との関係につきまして、行政当局に広い裁量を認め、違反行為の悪質性、違反行為後の事情など、もろもろの事情を総合勘案して違反者に対する課徴金の額を個別具体的に決めることになりますと、実質的には罰金とその機能が重なることとなり、憲法上禁止されている二重処罰の禁止との関係で問題があるのではないかといった議論が当時あったようでございます。
次に、この二重処罰禁止の問題を克服したとしても、今度は行政手続の手続論といたしまして、行政手続の不利益処分に関して課徴金額の算定に行政の裁量が広く認められるという制度を構築する場合には、相当手厚い手続保障が必要になるのではないか。そうなった場合には、迅速に行政目的を達成することが困難になるのではないかといった議論があったようでございます。金商法の課徴金制度は、これらの点を考慮し、現実的な案として、行政裁量を極力排除した方式を採用することとして、現在のような規定が設けられているということでございます。
公認会計士法の裁量制につきましては、担当者から。

○金融庁青崎企業開示課課長補佐 企業開示課の青崎と申します。よろしくお願いいたします。
公認会計士法の課徴金制度について、簡単に申し上げます。基本的には、金商法の制度枠組みと類するものでございますが、違う点が幾つかございますので、その点を中心に御説明いたします。
資料の3ページ目の右側に公認会計士法の比較がございます。課徴金の対象行為というのは、公認会計士は監査を行っておりますので、監査というものは企業の有価証券報告書等が適正であるかどうかを意見表明するというものですけれども、故意に虚偽証明を行った、実際には適正でないのに適正だと証明を行った場合とか、監査人として求められるだけの相当の注意を怠ったことによって重大な虚偽証明を行った場合には、課徴金の対象となる形になっております。課徴金の算定というのは、虚偽証明を行ったことによって得られた利得を吐き出させるという趣旨でございますので、受け取った監査報酬を基準にした課徴金額になっております。
それから、除斥期間、金商法は5年となっておりますけれども、会計士法は7年となっております。ただし、これは金商法上5年となっているところから来ているのですけれども、会計士法の場合には有価証券報告書等の虚偽記載の事実が固まってから調査を行うという手続になりますので、金商法は5年ということですけれども、5年ぎりぎりで虚偽記載が見つかった場合にあっても、少なくとも2年間は調査を続けることが必要だという観点から7年。長過ぎてはいけないけれども、短過ぎてもいけないという意味から7年という形になったと聞いております。
もう一点、大きな点として、その他の欄に免除という言葉が記載されています。会計士法においては、一定の場合には課徴金を納付させることを命じないことができるという規定があることを免除と、ここでは書いておりますけれども、実際には、相当程度具体的に法律、それから内閣府令、公表されている金融庁の処分基準というものがございまして、そういった基準の中で、裁量制というか、免除制というのはある程度制約した中で運用する枠組みになっております。
例えば、この資料の11ページの下のところには、内閣府令の抜粋がございます。これらに該当する場合には、課徴金納付命令を行わないことができるとなっております。簡単に申し上げれば、故意の虚偽証明であった場合には、一定の行政処分を行ったときであって虚偽証明の影響が比較的軽微である場合は課徴金納付命令を行わないことができる。
2番目として、相当の注意を怠り虚偽証明を行ったことについて、一定の行政処分を行った場合で著しく不十分で注意が足りなかった場合ではない場合。
3番目として、行政処分として、課徴金ではなくて、監査証明業務の停止を命じる場合。
4番目として、監査法人に対して解散命令を出す場合。こういった場合には、課徴金納付命令を出さないことができるという形で基準がございます。
さらに詳細な基準は、処分基準として別途公表しておりますけれども、こういった中で運用しております。

(3)質疑応答

○小早川座長  それでは、今お話を伺いました公正取引委員会、金融庁の関係につきまして質疑応答をお願いしたいと思います。17時前までを目途にお願いいたします。今お話のありました内容ももちろんですが、その他の御意見でも結構ですので、委員の皆様からどうぞ御発言をお願いします。
では、宮城委員。

○宮城委員 幾つかあるのですが、一緒にお尋ねしてしまったら混乱すると思うので、一つ一つ行きたいと思います。
まず、裾切りというか足切り、規模基準の問題ですが、資料4の2ページで、規模基準について、独禁法では100万円未満となっている。金商法では1万円未満。それから、公認会計士法でも3ページだと1万円未満となっておる。このあたりは、どのような判断で100万円とされ、また金商法と公認会計士法は1万円となっているか。そのあたり、もし御説明いただけるのだったら御説明いただきたいと思います。

○小早川座長 それでは、今の点で。

○公正取引委員会河野第二上席審査専門官 裾切りが存在する理由ですが、抑止効果という点点で、あまりにも少額の課徴金を徴収する必要性は高くないということが挙げられます。また、公正取引委員会の事務負担を軽減することも挙げられます。例えば、入札談合事件ですと、30社、50社を超える関係人がいる事件もございまして、そのような場合に、数十万円とか数万円といった少額の課徴金の計算を行い、きちんと徴収までしなければならないとすると、かなりの事務負担となります。
独禁法の裾切り額は、当初の20万円から現在の100万円まで引き上げられていますが、これは、算定率の引上げに伴い妥当な金額を検討した結果であると承知しています。

○小早川座長 御質問は、金額の差がかなり大きいという点についてでしたが。

○宮城委員 それはどういう違いなのかなと思って。

○小早川座長 これはどちらから伺ったほうがいいですか。

○宮城委員 金融庁さんのほうから伺ったほうがいいのかなと。その違いというのはどういうところから来ているのか。

○金融庁鎌田市場取引対応室長 基本的な考え方としては、行政の事務の効率性・迅速性をどう考えるか。それから、課徴金をどこまで取る必要性があるか。その比較衡量で決まってくる話だと思いますが、恐らく独禁法の場合は、課徴金の金額が企業を相手にしていますので、何億円、何十億円という額になってくると思います。一方、金商法の不公正取引やその他の課徴金、特に不公正取引の関係では、大半が多くても何百万円。何千万円を超えるとものすごい額となって、億単位の課徴金というのは殆ど見られないですし、そういった実態としての課徴金の額の規模でこのような違いが政策として出てきているのではないかと考えられます。

○小早川座長 次に、どうぞ。

○宮城委員 もう一つの違いが、同じく資料4の2ページと3ページですが、対象期間が独禁法だと3年間となっていて、金商法、公認会計士法では対象期間の制限はないと。これは、どっちかというと公正取引委員会のほうから、なぜ3年間に限定しているのかというところを御説明いただいたほうがいいかなと思います。

○公正取引委員会河野第二上席審査専門官 一般的な企業の計算書類の保存期間を考え、余りにも古い売上データを追いかけていくのは証拠収集の点で難しいというのが課徴金の対象期間に上限を設けた理由であると考えられます。

○小早川座長 宮城委員、よろしいですか。

○宮城委員 はい。

○小早川座長 では、さらにございますか。

○宮城委員 あるのですが、私ばかりになりますので、ほかの方も。

○小早川座長 ほかの方。齋藤委員。

○齋藤委員 独禁法関係と金融証券取引法関係に、それぞれに同じ質問をしたいのですが、簡単に答えていただければ結構です。
この課徴金制度を運用するために調査・審判を両方とも設けておりますけれども、それにかかわる職員が何人ぐらいいるかということ。もう一つは、調査・審判の過程で適正手続、法の手続は、ある程度保障されていると思うのですが、どのような仕組みがあるかというのを簡単に御説明ください。

○公正取引委員会河野第二上席審査専門官 審判官として、現在、6名ほど在籍しており、基本的に1つの案件に3名の審判官が指定されています。審判業務の事務処理のために10名弱の職員が在籍しております。これに対し、公正取引委員会の職員は800人程度いるうち、その多くの職員が事件の審査業務に携わっております。
適正手続につきましては、納付命令あるいは排除措置命令を出す前に、事前手続としまして、命令を受ける予定の関係人に対し、意見、証拠の提出の機会を付与する。そして、公正取引委員会の認定事実を基礎付けるために必要な証拠について説明していく。また自社が提出した資料等の閲覧・謄写を認めるという形で、処分前の適正手続を充実させているところでございます。

○小早川座長 金融庁のほうは。

○金融庁山賀審判手続室長 審判官につきましては、金融庁設置法によりまして、金融庁に審判官5人以内を置くことになっております。この中から事件ごとに3人指定しておりまして、合議体で審判手続が行われます。
それから、先ほど申し上げました審判手続室ということで、審判官の事務の補助的対応をしているのは10名程度になります。

○金融庁佐藤証券取引等監視委員会事務局課長補佐 課徴金事件の調査・検査を行う監視委員会の人数ですけれども、まず証券取引等監視委員会事務局全体で定員が400人となっております。このうちの約100人が取引調査・開示検査といった課徴金事件を行うこととなっております。

○小早川座長 適正手続はどうなっているかという御質問については、先ほどの御説明の中にもあったのですけれども、何かつけ加えることは。

○齋藤委員 資料3の裏のほうということですか。

○金融庁山賀審判手続室長 適正手続でございますけれども、先ほども若干触れさせていただきましたが、審判官の指定におきまして、その事件調査自体にかかわっていない者を指定しているという状況でございます。

○小早川座長 それでは、ほかにいかがですか。

○白石座長代理 公認会計士法のことで伺えればと思います。白石と申します。
公認会計士法では、故意の場合と相当の注意を怠った場合で率が違う。それから、相当の注意を怠ってもいない場合にはゼロということになるのだろうと思いますけれども、その3つの区別をどういうふうにされているか、あるいはそれに関する証拠を集めるのに、どのような苦心等があるかということを伺えればと思います。それが1つ。
もう一つは、先ほど御説明のあった公認会計士法の免除ですけれども、これについても判断の際に難しい点がないかどうか、御苦心があるかどうかを伺えればと思います。

○金融庁青崎企業開示課課長補佐 初めに申し上げておきたいのですが、課徴金制度は平成19年に公認会計士法の改正でできたのですけれども、それ以降、そもそも処分を行った事例が余りないこともございまして、課徴金を実際に課したことはございません。そのため、実務において、どのような難しい点があるというのは、なかなか申し上げにくい点ではございます。
故意と相当な注意の区別についてですが、故意というのは会計士みずからが虚偽記載のある有価証券報告書等の作成にかかわって虚偽証明を行うような事例が考えられますし、相当の注意というのは、監査基準がございますけれども、監査基準に則って会計士としての職業上求められるだけの注意をもってしても、会社側が行っている虚偽記載を見つけられなかったのかどうかという観点から認定されるものでございます。

○小早川座長 では、川出委員。

○川出委員 白石委員が最後におっしゃった課徴金の免除についてですが、確かに,規定上、免除ができる場合が限定されているわけですが、その上で、その限定された場合にあたった時に免除するかどうかは、まさに行政庁の裁量であるわけですね。
課徴金について裁量性を認めるかどうかに関しては、先ほど、二重処罰の問題とか手続をどうするのかという問題があるというお話がありましたけれども、それとならんで、裁量を認めると、課徴金を課すかどうか、課すとしていくらにするかという決定の際に、様々なことを考えなくてはならなくなるので、執行のの機動性が害されるということも、他の法律における課徴金について裁量性を認めなかった理由として挙げられていたと思います。公認会計士法の課徴金については、法律の規定以外に、さらに詳しい処分基準を定められているということのようですが、それは、法律上,免除ができる場合の中で、どのような場合に免除し、どのような場合に免除しないということが、内部的にある程度決まっているということなのか、そうではなく、最後は、やはり裁量ということなのか、どちらなのでしょうか。

○金融庁青崎企業開示課課長補佐 前提として申し上げますと、公認会計士法の処分というのは幾つか類型がございまして、課徴金というのは一つの処分の類型でございます。それ以外にも、戒告とか業務停止とか幾つかあるオプションのうちの課徴金という類型です。
それから、課徴金というのは法律上、どういうものについて行えるかというのは、虚偽証明を行った場合と書かれています。公認会計士法の中では、虚偽証明以外にも信用失墜とか管理体制がなっていないといった処分の要因がございますので、幾つかマトリックスができるわけですけれども、そういった1類型でございます。そういった類型に当てはまるものが、そもそも数少なかった。具体的な個別名は申し上げられませんけれども、数が少ない中なので、実際の適用に当たって、どういう難しい点があったのか、免除を考えるに当たってどういう点があったのかというのは、なかなかお答えするのが難しい点です。
ただし、法律上、明確にされていますように、一定の処分を行う場合がございます。解散を行うとか業務停止を行うといった処分を行う場合には外れるわけです。そのほか、法令違反が非常に悪質なものであったかどうかというのは検討の材料にはなると思いますけれども、実際にそういう事件が今まであったということはございません。

○川出委員 そうすると、ここに書かれていること以上に、内部的に、こういう場合については課徴金を免除する、こういう場合には免除しないといった明文化されたガイドラインがあるわけではなく、個々の事例に応じた裁量判断が行われるということになっているというと理解してよろしいのでしょうか。

○金融庁青崎企業開示課課長補佐 公表されている規定に書かれている以外の基準はございません。行政の実務においては個別の判断というのが求められますので、調査を行っていく中で発見された事実に基づいて、課徴金を最後課すかどうかという意味での判断はあると思います。

○橋本委員 公認会計士法については、今、免除のところをお聞きしたのですけれども、金商法のほうでも課徴金の加減算に関する規定がありとあるのですが、これはQ&Aのようなものなのでしょうか。
それから、公正取引委員会のほうも、課徴金の算定方法以外にも注意事項がいろいろあるのですけれども、これも何かQ&Aみたいなものでこういうガイドラインがあるのですよということを、ほかに通達とか、そういうことで決めているのでしょうか。これが1点と。
それから、先ほど準備手続のときには非公開ということでしたが、公正取引委員会の事前手続のところも非公開ということでいいのでしょうか。これは確認です。
以上です。

○小早川座長 どうぞ。

○公正取引委員会河野第二上席審査専門官 公開か非公開かという御質問ですが、行政処分前の手続は非公開です。なお、処分後の審判手続は公開です。
Q&Aとかガイドラインの話ですが、独禁法上の加減算というのは法律上の要件がかなり明確なものとなっております。例えば、過去10年以内に納付命令を受けていたかどうかとか、違反行為期間が2年未満で立入検査の1カ月前にやめていたかどうかといったことが条文上明確に規定されておりますので、ガイドラインというものは設けていないと存じております。

○橋本委員 条文上で書いているということですね。

○小早川座長 よろしいですか。

○橋本委員 金商法の。

○金融庁鎌田市場取引対応室長 金商法につきましても同様でして、課徴金の加算につきましては、違反行為者が過去5年以内に課徴金納付命令等を受けたことがあるときは、課徴金額は1.5倍に加算される。減算のほうにつきましては、一定の違反行為を行った者が当局の調査前に内閣総理大臣、証券取引等監視委員会に対して報告を行った場合は、課徴金額が半額に減算される。ここは、法律の条文で決まっておりますので、それ以上に何か内規として加算・減算の基準みたいなものはございません。

○橋本委員 裁量的なものはないということですか。

○金融庁鎌田市場取引対応室長 はい。

○橋本委員 ありがとうございます。

○小早川座長 ほかにいかがでしょうか。山本委員。

○山本委員 金融庁さんにお伺いしたいのですが、金商法は審判を事前に行う仕組みをとっていて、それについて、先ほどコストはかかるけれどもということをおっしゃったのですけれども、その評価をお伺いしたいと思います。つまり、一方では確かにコストがかかるということがある。しかし、他方では、それによって手続の相手方に対する信頼性が高まるというプラスの効果もあるだろうと思うのですけれども、その辺の兼ね合いと申しますか、バランスが現状、うまくいっているのか。つまり、メリットのほうが大きい制度であると評価されるのか、あるいはコストが少しかかり過ぎると評価されるのか、そこをお伺いしたいです。

○小早川座長 どうぞ。

○金融庁山賀審判手続室長 私個人の考えということを前提にお答えさせていただきますが、迅速かつ効率的に処理するという意味合い、それから先ほども申し上げましたけれども、これは決して4審制を採用しているわけではございませんので、あくまで行政手続という中でやっております。そうした意味で、事前手続を重厚にやるという流れの中で進めておりますので、それはある程度うまく行っているのだろうとは思っております。

○小早川座長 それでは、宮城委員、さらに。

○宮城委員 済みません、公正取引委員会と金融庁、両方にお尋ねしたいのですが、もし差し支えなければという限度で結構なのですが、生の運用実態的なところをお聞かせいただけるとありがたいなと思います。
課徴金の具体的算定において、一般的な御説明は先ほどいただいたのですが、要するに課徴金を認定する、金額を認定するに際して、どのような情報が必要で、どのような資料を入手する必要があって、またどのような報告を聞くことがあって、そのあたりはどういう運用になっているかということと。
あと、その場合、スムーズにそれが遂行されていますかと、被審人事業者が抵抗したり、資料を隠したり、あるいは報告を素直にしないとか。先ほどは罰則みたいなお話、御紹介もありましたけれども、そのあたりの現場の苦労話的な、どういうところが苦労しているとか、どういう工夫をしているとか、こういうところが問題みたいなところがあれば教えていただきたいのですが。

○小早川座長 どちらからでも。

○金融庁金ヶ﨑証券取引等監視委員会事務局課長補佐 証券取引等監視委員会事務局取引調査課と申しまして、インサイダー取引などの調査をしている部門を担当しております金ヶ﨑と申します。よろしくお願いします。
生の声というところでございますが、そもそもどのような調査をしているかということにつきましては、先ほど説明がありましたように、一般的な答えになってしまいます。例えば、金商法で禁止されているインサイダー取引とはどういうものなのかということですけれども、インサイダー取引といいますのは、法律の要件といたしましては、会社関係者が、業務等に関する重要事実を職務に関して知った上で、それが公表される前に株式等の売買をすることです。そういった際に重要となってくるのは、調査の対象者がいまして、それについて調査していくのですけれども、その人が重要事実を知っているのかということが、まず調査の対象となっていきます。それを重要事実の公表前に知って、売買したかどうかでございます。
例えば、有価証券報告書等の虚偽記載などの上場企業が相手のものでございますと、ある程度法定帳簿があったりするところでございますけれども、我々の場合、個人の方にお話を伺ったりしていくということでございますので、定型的な資料がない中で対象者の方に御理解いただいた上で調査に協力いただいてお話を聞いていくところでございまして、相手からどのような話を受けられるかが大きなところでございまして、それに裏づけとなるような証拠を調べていくことが苦労しているところでございます。
重要事実、例えば業績予想の上方修正でございましたら、発表される情報が会社の担当者などに限られる場合が多いことから、そういった方にお話を伺ったり、関係資料などを見たりするのですけれども、そういった中で調査対象者がかかわっている可能性はないかを調べる。そういった中で違法行為が問えるかを調べています。ただし、もちろんいろいろな事例もございますので、一般的には言えないのですけれども、そうしたことをしていって、違法行為の事実が認められれば課徴金納付命令勧告をさせていただくこととなります。

○小早川座長 公正取引委員会はいかがですか。質問は、特に課徴金に関してどうなっているかということだと思います。

○公正取引委員会河野第二上席審査専門官 報告命令を活用しておりは、個々の取引先ごとに、どのような商品で、いつからいつまでの期間、どれだけ売り上げたのかということを報告させます。通常、表形式の様式をこちらで作成し、それを先方に送り、その様式に沿って報告させます。それから、報告された数字を鵜のみにするわけにはいきませんので、正確性検査として、通常、複数の審査官が報告者の現場に行って、会計の担当者から話をきちんと聞く。ほぼ丸1日かけてきちんと見ていく。そこで事実誤認が発見されれば、後日、訂正後のデータで報告をやり直させるという形で、1件1件不明な点を潰していくというやり方です。非常に労力がかかると承知しております。

○小早川座長 今のような話、突っ込んでいくといろいろあるかと思いますけれども、時間の制約もございますので。

○石戸谷委員長代理 要件的な問題で、公認会計士法と金融商品取引法で主観的要件のところでかなり違いがあるように思うのですけれども、金融商品取引法の考え方は行政処分なので、特にそういうものは不要であるということでよろしいですか。

○金融庁鎌田市場取引対応室長 そういう理解です。

○小早川座長 どうぞ。

○河上委員長 済みません、時間のないところ。
一、二点伺いたいことがあったのですけれども、課徴金制度を導入する前と導入した後での行政処分の対応について伺いたいのですけれども、同じ事実を前提として課徴金に行ったり、あるいは行政処分ということになるのですけれども、課徴金制度が導入されたことによって、従来の行政措置が遅延するというか、おくれてしまうことはないのかどうか、その辺の話と。実際に、今後、課徴金制度を導入するようなことがあった場合、ここは気をつけたほうがいいですよという何かアドバイスのようなものがあれば、伺わせていただければありがたいですが。

○小早川座長 時間がないから公取だけで。

○河上委員長 公取で結構です。

○公正取引委員会河野第二上席審査専門官 比較的最近課徴金が導入された優越的地位の濫用について御紹介しますと、平成22年1月以降、課徴金の納付を命じた四件全てにおいて審判が請求され、現在いずれも係属中という状況です。課徴金納付命令を出す前には、報告命令や正確性検査といった業務に労力が必要となりますが、このように審判が請求されますと、審判に審査官が立ち会って、そこで主張・立証を行う必要がございますので、それ相応の行政コストが必要になってきます。要するに、排除措置命令だけのときと比べると非常に労力がかかっているというのが実態です。

○河上委員長 それで、もしこれから景表法にこういうものが入る可能性があるとした場合には、ここだけは気をつけておいたほうがいいですよということがあれば教えていただければと思うのですが。

○小早川座長 何かありますか。よろしいですか。今の関係で時々耳にするのが、課徴金を入れたことで、それ以前の排除措置命令のほうにマイナスの影響が、実務上、力がそっちにとられるとか、あるいは一つの事件について両方の処分・措置が必要になるので、かえって処理が大変であるとか、本当かどうかわからないのですが、そういう話を聞いたことがありますけれどもね。

○宮城委員 今の質問の前提を追加させていただいていいですか。

○小早川座長 手短に。

○宮城委員 つまり、審判手続の廃止の話がありますね。それで、現在の制度でどうかということと、審判制度が廃止になって、今度取消訴訟になると思うのですけれども、それぞれの前提で今の御質問に答えていただくことはできますか。

○公正取引委員会河野第二上席審査専門官 審判が廃止されて第一審が地裁審理になったときのことは、想像となってしまうのでお答えできないのですけれども。

○宮城委員 わかりました。

○小早川座長 最後になってからいろいろあって済みません、もし、お手数にならなければ、後ほどお寄せいただくということも。

○公正取引委員会河野第二上席審査専門官 執行力への影響としては、課徴金が入ると全体として処理件数が減るのではないかという見方があると思います。しかし、単に件数だけで評価することはできないと考えております。例えば、平成17年改正で課徴金対象行為が拡大したときは、同時に、課徴金の算定率が引き上げられ、課徴金減免制度も導入されました。その結果、市場規模が非常に大きな案件、国際カルテルのような立証に手間のかかる案件の情報が入ってきます。最近ですと、自動車部品、これもかなり大きな事件でして、自動車メーカーごとに違反行為の立証をしなければならないですし、海外の当局とのやりとりが必要となる場面もございます。このように全体の処理件数を減らす要因が出てきて、結果として件数が少々減ったとしても、非常にインパクトのある事件を処理しているというプラスの面もあります。
それから、排除措置命令と課徴金納付命令の両方を出すようになって審査官の作業量はかなり増え、それが事件処理の回転数へのブレーキ要因とはなりますが、審査官のスキルアップのための研修制度の充実、効率の良い処理方法に関する知見の共有といったことで乗り越えていくため、日々努力しているところでございます。

○小早川座長 どうもありがとうございました。まだ伺いたいことはおありかと思いますが、予定の時間を大分オーバーしており、次の議事もございますので、ここらで切り上げたいと思います。
本日出されましたいろいろな御議論、御意見につきましては、今後の検討の参考にさせていただきます。
公正取引委員会、金融庁の皆様におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。

(公正取引委員会、金融庁退席、日本フードサービス協会、日本旅館協会着席)

≪3.事業者団体からのヒアリング≫

(1)一般社団法人日本フードサービス協会からのヒアリング

○小早川座長 続きまして、事業者団体からのヒアリングを行います。
本日は、日本フードサービス協会関川和孝常務理事、同じく田村清敏業務課長、それから日本旅館協会から小関政男常務理事のお三方にお越しいただいております。本日、皆様におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
以下、まず各団体から景品表示法における課徴金制度の導入についての御意見、それから検討を行う際の留意事項等について御発言をいただきまして、その後質疑応答を若干行いたいと思っております。
それでは、まず日本フードサービス協会から御発言をお願いいたします。恐縮ですが、時間の制約がございますので、まずは10分程度でお願いできればと存じます。

○日本フードサービス協会関川常務理事 ただいま御紹介いただきました日本フードサービス協会の常務の関川でございます。
きょうは、専門調査会のこうした場にお声をかけていただき、また意見を述べさせていただく機会をいただきましたこと、大変ありがたく存じております。ただ、この専門調査会で検討されていることは、不当表示に係る課徴金制度ということで、かなり専門的な話なものですから、私ども、そういったところにはとても頭が回っておりませんが、現在のメニュー表示問題について、私どもの考え方を若干お話させていただく中で、感想といいますか、お話をつなげさせていただければと思っております。
お手元に資料をお届けさせていただいておりますけれども、昨年秋以来のホテル、百貨店等におけるメニュー表示問題、まさしく社会問題化いたしたわけですけれども、私ども、外食という形で食を扱う事業者といたしまして、このたびの件につきまして消費者の信頼回復に向けて真摯に取り組む必要があると痛感いたしております。
その前に、私ども日本フードサービス協会というのは、外食事業を営む、主としてチェーン展開している事業者・企業が中心になりますけれども、会員数が830、そのうち正会員、これは外食事業者で450、それに賛助会員、これは外食関連産業を営む事業者で380をもって構成する一般社団法人でございます。
メニュー表示問題でございますけれども、当然のことながら、事実と異なる表示というものは許されるものではないわけで、後でお話申し上げますけれども、以前からこういった問題について、主体的・精力的に取り組んでおりますし、またそういった努力を今後とも続けてまいりたいと思っております。
まず第1点でございます。今回、ガイドライン(案)が消費者庁のほうから提示されております。景表法は表示に関する一般法でありますので、その適用いかんについてなかなかわかりにくい面があります。今回の事件を踏まえて、このガイドライン(案)が作成・公表されたわけですけれども、昨年末公表されるまでに、現場の実態把握といった面で、残念ながら必ずしも十分でなかったのではなかろうか。まして、私ども関係事業者からのヒアリングもありませんで、これが出たことによって、私ども食の現場において戸惑いといいますか、混乱がさらに広まった面がございます。
例えば、ガイドライン(案)では最初に景表法の一般的な考え方というのが示されているのですけれども、その後に、メニュー表示に関して景表法の適用の考え方なり、その判断基準が示されずに、いきなり具体的なQ&Aで、合鴨がどうとか、サーモンがどうとか、そんなお話が出ています。私ども事業者の現場ではいろいろな反応がありまして、ある意味では過剰反応もございまして、Q&Aからするとこれもだめだろうとか推測で拡大解釈するなどかなり混乱しました。一方で、そういったことがお客様、消費者の皆さんにもわかりづらい面もあった等々で、事業者、消費者の皆さん、両方に混乱が生じたということであります。
したがいまして、今後、このガイドラインの成案を得る過程におきましては、現場の実態も十分把握いただき、また私どもを含む関係事業者の意見もお聞きいただく中で、スケジュールありきの対応ではなくて、十分現場を踏まえた心のこもった行政をぜひお願いしたいというのが第1点でございます。
第2点でございますけれども、メニュー表示における基本的な考え方を書かせていただいております。メニュー表示といいますか、私どもからするとメニューに関する情報提供といった位置づけになるわけです。
1点目ですけれども、メニュー表示は食文化に基づく料理の名称であります。つまり、外食店ですので、お店が農産物なりお魚等、食材を調達して、それを加工して調理して、お皿に盛りつけてお客様にお出しするという、それがお料理であり商品なのです。したがって、メニューブックに書くものは、そのお料理の名前なのです。とかく誤解されがちなのは、食材の名前を書くのだろうという雰囲気があるわけですね。確かにお料理にとって食材というのは、極めて重要な要素であります。ですから、それを間違いないように書くというのは当然ですけれども、必ずしも食材の名前を正確に書けばそれでいいというものではないと考えております。
もう一つは、外食店ですので、メニューに関する情報において原点と考えているのは、お客様と店員との双方向の情報のやりとりなのです。お店でのコミュニケーションが原点だと考えております。例えば、お店に「本日の焼き魚」と書かれています。お客さんは「おやじさん、きょうの焼き魚は何」と聞くわけです。そうすると、おやじさんは「秋の新サンマが入っているよ」「じゃ、それ」。そこが我々外食店の原点かなと思っております。もちろんメニューブックというのは、私どもからすると重要な情報提供の手段でありますし、また大手の事業者であればホームページ等も含めまして、総合的にお客様に情報を提供するという体制をとっているわけでございます。
メニューに関する情報の本質というものは、お客様においしさとか楽しさを伝えることが基本でありまして、そういった現場を踏まえた自主的な対応というものに努めております。したがって、行政による画一的な規制ではなく、私どもの努力をむしろサポートしていただけるような消費者行政をお願いしたいと考えております。
2点目は、過剰な規制は消費者・事業者双方の利益にならないということであります。もちろん事業者ですから、信頼できる食品情報を消費者の皆さんに伝えるということは、お料理を選択する上で重要な手段となるわけでして、情報提供というのは、事業者としての責務と考えております。ただ、消費者に伝えたい情報と消費者が知りたい情報の全てを表示することは不可能であり、特にメニューブックにおいては、現実的な議論とは言えないと考えております。
チェーン展開している多くの企業においては、ホームページ等で詳細な情報を提供していますけれども、同じことを中小零細事業者に求めることは現実的ではない。しかも実効性の確保が難しい状況にあります。
3点目になりますけれども、私どもは平成17年に「外食産業における原産地表示に関するガイドライン」、平成20年には「外食産業の信頼性向上のための自主行動計画」を業界として策定いたしておりまして、これを踏まえながら各会員企業・事業者にあっては、それぞれガイドラインとか自主行動計画とか倫理規範といったものを各社でつくり、それを実行してきている。9年前、10年前と比べますと、私どものお店における原産地の表示などはかなり広がっているのではないか。調査しますと、9割以上の店舗で原産地表示が行われておりますし、対象とするメニューや食材の種類も一番お勧めのものから始めていこうじゃないかということで、それを次第にいろいろなメニュー、食材に広げていく、現在、そういう努力の過程にございます。今回の問題を機に、さらにこういった努力を深化させてまいりたいと考えております。
第3点ですが、先ほど申し上げましたように、消費者行政にお願いしたいのは、「ガイドライン」につきましては、Q&Aでいきなり食材にかかわる個々の事例を列挙するのではなくて、メニュー表示に関しては、何をもって景品表示法上の「著しい優良誤認」に当たるのか、その考え方をお示しいただく。あるいは、私ども事業者が自主的に原産地表示とか、いろいろな努力を進めている過程にございますけれども、そういったものを進める上での判断基準を示していただければありがたいと考えております。
第4点は、景品表示法の改正全般についてです。今回の一連のメニュー表示問題を見ますと、1つは、産地が違うとか品種が違うとか、明らかに事実と異なる表示が行われていたグループ。もう一つは、成形肉とか牛脂注入肉ですけれども、行政による周知が必ずしも徹底していないグループ。正直言って、そういう行政の考え方だったのかというのに今回初めて気がつくような状況もありました。この2つのグループがほとんどであります。
そういったことからしますと、これらの改善には優良誤認を防止する現行の景品表示法を活用していくということで十分対応可能じゃなかろうか。現行法の適切な運用によって再発防止に十分対応できると考えております。したがいまして、まとめになりますけれども、私ども事業者が進める自主的な取り組みを、ぜひ行政として御支援いただくように、また現場における混乱が生じることのないよう、関係者の理解のもとに実態を踏まえた慎重な検討を進めていただければ幸いでございます。
特に、法改正に当たっては、中小零細事業者、私どもはかなり大きな企業が多いのですけれども、外食全般となりますと、お父さん、お母さんだけがやっているお店がほとんどでございます。そういう面からすると、法の運用に当たっては、中小零細事業者への配慮をぜひお願いしたいのが1点。
もう一つは、お伺いするところによると、都道府県への権限委任とか他省庁への一部委任ということもお考えのようでございますけれども、判断基準を標準化していただきたい。具体的な例で言いますと、私どもチェーン展開しておりますから、食品衛生法に基づく対応が各保健所によって随分違うのです。その辺を踏まえますと、そういった事態にもなりかねないということにもなります。ぜひ、整合性のとれた対応をお願いしたいと思います。
最後になりますけれども、課徴金問題についてです。これまでの措置命令を見ますと、食品についてはそれほど多くなくて、しかも食品の中では健康食品でして、メニューについては極めて少ない。そのメニューにしても、例えば加工肉とか産地が違うとかでありまして、これについては、先ほど申し上げましたように、業界の主体的な努力、それから行政の周知の御指導を含めまして、そういったことで十分対応できるのではなかろうかと考えております。
もう一つは、課徴金制度の目的が「違反行為の抑止」という点にあると思いますけれども、私ども事業者にとって一番大きな抑止力というのは、「企業名の公表」です。現行制度では調査に基づいて公表ということもありますし、措置命令と同時に公表ということは、我々事業者にとっては極めて重いものであります。そういった面からしますと、今後、行政指導を含む適切な法運営によりまして、違反行為の抑止というものは十分可能じゃなかろうかと考えております。要は、悪質な事業者を念頭に置いた過度な法規制は、真面目な事業者の事業活動を多分に萎縮させかねないわけでございます。
そういったことも含めまして、先生方におかれましては慎重な御検討をぜひお願いいしたいと思います。失礼いたしました。

○小早川座長 ありがとうございました。
全般的に、表示に関する行政のかかわり方についての御意見をいただきました。課徴金制度の導入については、過剰な規制にならないように対応してほしいという御趣旨と思います。

(2)一般社団法人日本旅館協会からのヒアリング

○小早川座長 続きまして、日本旅館協会から御発言をお願いいたします。恐縮ですが、10分程度でお願いいたします。

○日本旅館協会小関常務理事 日本旅館協会の常務をしております小関でございます。今回、このような場をいただきまして、本当にありがとうございます。今のフードサービス協会様、表示問題に係る問題点を提示されておりますけれども、私どもの団体に加盟されている旅館、果たすべき使命から、課徴金問題につきまして、ちょっと御意見といいますか、お話をさせていただければと思っているところでございます。
日本旅館協会、全国で3,200の会員を有しておりまして、私どもの団体そのものは、地域の観光振興とか地域の雇用の確保とか、そういう目的に従って、今、努力させていただいているところでありまして、地域の活性化のために地域の観光資源をどのようにアピールして誘客に結びつけるか。これが私どもの団体あるいは会員の大きな課題となっております。地方はまだまだいろいろな魅力があって、全国各地からお客様に来ていただくことで、着地型の観光を含めて、魅力ある地域の情報発信をしていくというところで、私ども地域の旅館が中心になって、今、そういう役割を果たして進めていくということでございます。
地元の観光魅力を発掘した着地型の観光ということで、さらに地元の食材を利用して、いらっしゃったお客様にお料理を提供するということで地産地消を促進して、和食が今回、世界無形文化遺産になりましたので、それを契機にいたしまして、私どもといたしましても、これは特に景品表示法の不当表示ということではないのですけれども、日本料理指南役みたいなものをつくりました。これは、道場六三郎さんに顧問になっていただいて、今、進めておるところでございますけれども、日本の料理を継承・発展させるための施策の展開も会員一同、全国的にさせていただいているところでございます。
表示につきましては、現在、各地でセミナーを開催させていただいて、この前いただきましたガイドライン等の趣旨の説明を消費者庁のほうからもしていただいて、皆さんにかなり認識を持っていただきながら、そういうものに対応していただくということで、今それぞれのところで頑張っているところでございますけれども、何に増しても消費者の信頼回復が一番重要な課題であると思っているところであります。地産地消を中心として、地元の食材を利用して安全で安心に料理を楽しんでいただく、料理を提供するということが一番重要だと思っておりますので、これの信頼を確保する、あるいはこういう目的のために我々会員の中で意識づけ、あるいは実際の表示等についても取り組ませていただいているところであります。
この課徴金問題、制度の導入ということについてでございますけれども、先ほどフードサービス協会様がおっしゃいましたように、私どもで一番問題なのは、課徴金ということではなくて、個別の旅館の公表が一番こたえることになろうかと思っております。お客様に来ていただいて御提供した料理が、表示と違うものを御提供することになりますと、また使っていただくためにはかなりの努力をして信頼回復を図った上でないと、お客様は帰ってきていただけないという現状もございますので、この回復のためにかける努力、エネルギーというのはすごいものでございまして、ややもすると経営破綻ということで、旅館をやめざるを得ないところも出てくるところでございます。
私どもといたしましては、公表自体、制度的にどうなのかという話もございますけれども、課徴金自体については、そういうことからすれば反対の立場をとらせていただきたいと思っているところでございます。ただ、課徴金制度を導入するに当たりましても、今、申し上げましたように、旅館はお客様の信頼をもとに、いろいろ商売をさせていただいているということでございますので、万が一導入されるということであれば、その基準を明確にしていただきつつ、運用についても厳格な運用が図れるような手続といいますか、そういうものをお考えいただければと思っているところでございます。
私ども、課徴金問題につきまして、かなり議論しているかというと、そういうことではないのですけれども、サービスを提供する立場からいたしますと、課徴金というよりも、抑止力になるのは個別の名称の公表ということでございますので、いろいろなところで個別の名称の公表がされる事態に今、なりつつあるのですけれども、そこが一番問題なのかなと思っておりますので、何分御理解をいただきまして、よろしくお願いしたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。

(3)質疑応答

○小早川座長 ありがとうございました。
それでは、今、2つの団体からお話を伺いましたが、18時前ぐらいをめどに御質問等をさせていただきたいと思います。今のお話の内容でも結構ですし、どんなものでも結構ですので、よろしくお願いします。
では、宮城委員。

○宮城委員 今のお話を伺って、非常にわかるところもあります。また、現在の状況として、食品業界ばかりにスポットライトが当たってしまっていて、本来は景表法の課徴金の問題というのは、全業種、全役務、全ての商品についての問題であって、商品についてだけ悪者にして判断するような筋合いのものではない。また、食品業界だけが悪いのだとか。今回、大きな問題になってしまったので、ガイドラインをつくってしまったのは拙速ではないかといったお話もわかるのですが、伺っていて思ったのは、先ほど現場というお話がありました。確かに業界では普通、こう言われているのだということもあるでしょう。
ただ、景表法で問題にしている表示・広告というのは、これは消費者がどう理解するかという問題なのですね。だから、業界ではこの言い方でまかり通っているという業界慣行の問題と、そのお店に食べに来た、あるいは旅館に泊まった消費者がどう理解するだろうか。現場ということを言うならば、消費者の現場の話も御理解いただきたいと、これはちょっと意見めいたことになっておりますけれどもね。
だから、今回問題になったことであれば、普通の消費者、おじちゃん、おばちゃんであれば、ステーキと言われれば、それは牛肉の切り身と思うわけです。シャケ弁当と言われたら、シャケの切り身なのだと思うわけですよ。そのあたり、業界で普通そういう言い方をしているから消費者はわかって当然みたいに思われたら、それは違うかなという感じがいたしております。
ただ、確かに私も食品のさまざまな分野について、どういう問題があるのかということはそんなに事細かにわかってはおりませんので、できれば、先ほど過去の措置命令とか、ガイドラインの内容について違和感があるみたいなことをおっしゃったと思いますけれども、そういうものについては、できれば具体例で、こういったものは問題ではないか。我々も具体例を見ないとわからないものですから、そのあたり、後からでもよろしいので、こういうケースが問題ではないかというものが具体的にあるのならば、勝手ながらちょっと教えていただきたいなと感じました。
今回、過去の公取時代からの排除措置や措置命令を私も見てきたのですけれども、例えば成形肉の話は今回初めて出てきたようなお話だったと思いますけれども、それは聞いていてちょっと違うのではないかと思いました。私が見てきたところでは、成形肉をビーフステーキと表示するのは、平成17年11月に措置命令が出ています。さらに、平成23年にも重ねて牛脂注入加工肉についてサーロインステーキということで、過去に2回も問題になっております。それから、ロコ貝についてのアワビも今回、やり玉に上がっていたと思いますが、これも18年に既に排除措置が出ています。カニなども幾つも出ています。
そういうことからすると、今回、過去の排除措置や措置命令で、まさに典型的に挙がってきたものが、再度問題になっているというものがかなりあるのではないかといったことを感じております。そうすると、果たして単純に現場に情報が行っていなかったということであるのか、そのあたりはちょっと疑問に思うところなのですが、それに答えろと迫るつもりはないのですけれども、そういうことをちょっと感じました。もし、それに対しておっしゃっていただけることがあればおっしゃっていただきたいのです。
ごめんなさい、質問じゃなくて意見めいたことになってしまいました。

○小早川座長 いかがですか。ここはやり合いの場ではございませんが、今の御発言に関連して何か有益な情報を提供していただければ。

○日本フードサービス協会関川常務理事 宮城先生のおっしゃるとおりでございまして、私の言い方が悪かったのかと思いますけれども、何も事業者だけの立場から現場の実態を踏まえてやってほしいということを申し上げたのではなくて、先ほど原点のお話も申し上げましたが、双方向のやりとりの中からお客様の好むお料理を御注文いただいて、お作りしてお出しする。それによって楽しい食事の空間と楽しい時間を過ごしていただければ、そんな趣旨でございます。
したがって、最後に措置命令のところでお話をしました。私ども、この事例も十分承知してございまして、そういう意味で一部再発しているとすれば、それは徹底が足りないのでして、さらに今後、こういったものに対して、事例も踏まえながら努力してまいりたいと思います。

○小早川座長 何かあれば。

○日本旅館協会小関常務理事 特に。

○小早川座長 ほかにいかがでしょうか。はい。

○増田委員 食品業界の方からすると、メニューをイメージする言葉とか、社会一般的に共通認識のある、でも正しい食品の名称ではない表示、そういうことがあるのだろうと思うのですけれども、先ほど宮城先生がおっしゃったように、そういうものを列挙していただくことは可能なのでしょうか。

○日本フードサービス協会関川常務理事 それは、ガイドラインの案についてですか。

○増田委員 そうです。

○日本フードサービス協会関川常務理事 それについては、消費者庁からその後お話を伺わせていただき、私どもの話もしている途中ですけれども、その中で、これはちょっとどうかということもございますし、それは当然だろうというのもございます。

○小早川座長 ほかにいかがですか。

○岩田委員 2つの団体とも、抑止力という観点からは、課徴金よりはむしろ企業名公表のほうがきくのだという御主張をなさったと思うのですが、そういう御主張であること自体はよく理解した上で、そのことと課徴金に反対だということはちょっとつながらない。企業名公表は抑止力があるということについては、それなりに理解しますけれども、課徴金に反対だと言われたところをもうちょっと踏み込んで、そのお考えをお聞きしたいと思うのです。
日本フードサービス協会のほうは、なぜ反対なさるのかということをお尋ねしたいと思います。
日本旅館協会様のほうには、万が一導入する場合には、基準の明確化ということと厳格な運用ということを言われたのですけれども、基準の明確化と厳格な運用について、具体的にどういうことを御心配なさっているのか、少し具体的なレベルで補足していただければと思います。

○日本フードサービス協会関川常務理事 お答えになるかわかりませんが、私ども、反対という言葉は必ずしも申し上げておりません。大賛成か、もろ手を挙げて賛成かと言われると必ずしもそうじゃないですけれども、問題点が多々あるものですから、極めて狭い世界からしか見ていませんし、ましてやメニュー表示の視点からどうかということですので、その点からすると、課徴金制度の導入について検討されるとすれば、こういった問題があるのではなかろうか。したがって、私どもの意見を十分慎重に御検討いただきたい、という趣旨で申し上げたところでございます。

○岩田委員 こういう問題があるのではないかということを、きょうここで具体的にお話いただくことはできないのでしょうか。

○日本フードサービス協会関川常務理事 この委員会は、極めて専門的・具体的な検討をなさるところでして、私どもそこまで詰めているわけじゃございませんけれども、先ほど3点ほど申し上げました。ここに書いておりませんけれども、口頭でお話しした点が、私どもとして大変気になる点でございますので、その辺はぜひお願いしたい。

○小早川座長 3点おっしゃったというのは、措置命令とか。

○日本フードサービス協会関川常務理事 そうです。措置命令の話と、それから、特に抑止力という意味では、企業名の公表というものは一番効き目がある、効果があるということです。最後に、悪質な事業者。これは必ずしも課徴金制度だけの話ではありませんけれども、大部分の事業者が業界としての自主的な取り組みの中で努力しているわけでして、そういったものを萎縮させることのないよう、法制度について御検討いただきたい。その3点です。

○小早川座長 旅館協会さんは反対と。

○日本旅館協会小関常務理事 反対と先ほど申し上げたのですけれども、名前の公表自体がかなりの抑止力になるというお話をさしあげました。旅館協会、フード協会の皆様方もそうだと思うのですけれども、名前を公表されて、それでお客様がもう利用されないということになりますと、経済的な問題からすると、もう既にかなりの社会的な制裁を受けているのではないかと思っているわけです。社会的制裁を受けているにもかかわらず、さらに課徴金というのはないのではないですかということで、言葉はあれなのですけれども、反対という意見を申し上げさせていただきました。
それから、具体的にということになりますと、厳格な運用ということでございますけれども、恐らくこの表示につきましては、故意に悪質に表示を変えてしている場合、あるいは今回あったかどうかは微妙なのですけれども、うっかりミスで表示してしまったというところがあろうかと思います。
その辺をかなり厳密に捉えていただいて、故意にこういうふうにすると課徴金の制度を適用しますよというところで、かなり悪質性の高いものについて御適用いただければと考えています。具体的にこれが悪質だ、みんな談合してやっているみたいなところもあるかもしれませんけれども、そこまで考えが及んでいないのですけれども、一応そんな基準で、規定もそうですし、運用もしていただけるといいなということで先ほど申し上げました。
以上でございます。

○小早川座長 橋本委員。

○橋本委員 例えばもし課徴金が導入されたとして、消費者がどのぐらいの被害をこうむったとか、そういう具体的な金額というのは算定できるのでしょうか。今回は、過去にそれを食べた方に対しては返金しますよみたいなことがあったのですけれども、具体的にもし課徴金を課すときに、それぞれの業界でそれを具体的に算定するというのは可能かどうか、ちょっとお聞きしたいのですけれどもね。

○日本フードサービス協会関川常務理事 私、制度がよくわからないのですけれども、課徴金の金額は業界で算定するのですか。

○橋本委員 例えば今回のメニュー表示で言うと、メニュー表示によって通常の金額よりも高い金額を支払っていただいたとか、私もその辺は逆にお聞きしたいと思ったのですけれども、課徴金の算定の基準になるものというのは、どういうふうに考えるのかというところをちょっとお聞きしたいのです。例えば、今言ったように、優良なもので、実は1,000円だったものを2,000円にしたので、その分の差額のことを考えられるのか、具体的に課徴金の算定基準になるものをどういうふうに考えたらいいのかというのは、私も具体的にはわからないのですけれども、そういうものは出ますかというところです。不当に利益を取った部分の算定というのは、可能ですか。

○小早川座長 ちょっと済みません。そういう点について合理的な制度ができるということは、制度をつくる側が論証しなければいけないことで、適用される側にそれを質問する意味があるのか。適用される側の、今日の出席者の方々は、反対とは言わないにしても消極的で、できればそういう制度はできないほうがいいと思っておられるのではないか、少なくとも、この制度を実際つくるのは難しいということをおっしゃりたい立場だと思うのですが。

○橋本委員 難しいということであれば難しいでいいのですけれどもね。

○日本フードサービス協会関川常務理事 先ほどの話になりますけれども、私ども、確かに経済的な不利がないほうがいいのですけれども、経済的な多寡よりも、社会的な責任とか社会的な非難を浴びせられる。そこが経営からすると一番大きな話です。過去においても、必ずしもメニュー表示問題ではありませんけれども、事件は事件として、その後の記者発表の仕方とか処理の仕方によっても、経営に大きな影響がある、場合によっては倒産することにもなりかねないわけです。
したがって、根本は経済的に罰を与えることによる抑止よりも、そういったことを起こせば、こういうことになるという社会的な責任といいますか、社会的に問題にされる、そこを業界としても会員に十分認知させる必要がありますし、また行政としても御指導いただければと思います。

○小早川座長 旅館協会さんは、何か。

○日本旅館協会小関常務理事 特に、そこは何とも言えません。

○小早川座長 では、齋藤委員。

○齋藤委員 これは御両者に質問ですけれども、同じものでも地方によって呼び方が違うというのがあると思うのですが、それぞれの協会においてビジネスでどのように対処しているのかということをお伺いしたいです。

○小早川座長 食品とか魚とか。

○日本フードサービス協会関川常務理事 特にお魚は、全国的に見てもいろいろな呼び方がある。東京と関西、関西と九州では違いますし、出世魚のように大きさによっても名前がどんどん変わるようなことになっております。学名というのはあるでしょうけれども、先ほど申し上げましたように、お客様に調理してお出しする、そのおいしさを含む料理の名前なのです。かといって、うそをついてはいけませんから、いろいろな工夫をしながらおいしく召し上がっていただく努力を事業者としてはやるのが基本です。

○日本旅館協会小関常務理事 済みません、同じでございます。

○小早川座長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○岩田委員 お二人にお尋ねしたいのですけれども、今回発覚したさまざまな事件の中で、先ほどうっかりミスということを言われましたけれども、うっかりミスではなくて、原材料の供給業者が悪質で、その悪質さを、例えばレストランのほうが全くわからなかった。虚偽の表示をするという意図もなければ、うっかりミスも、社内の手続も完璧で、ただ納入業者にだまされて、結果として消費者に迷惑をかける表示になってしまったということはあったのでしょうか。

○日本フードサービス協会関川常務理事 昨年来、ホテルとか百貨店で社会的に問題になりましたけれども、私ども、システムが違います。社内の体制など業界で違うので何とも言えません。
もう一つ、川上のほうから情報が入っているのかどうかというお話がありましたが、極めて重要なポイントだと思っております。私ども外食事業者は、お客様に接する末端の事業者ですから、お料理に使う食材の情報というのは、川上のほうから送っていただかないと、お客様に正確なお話ができないことになります。その辺の情報の伝達は事業者間になりますけれども、お客様に情報提供する上で重要なものとして取り組んでいるところであります。

○日本旅館協会小関常務理事 日本旅館協会でございますけれども、私ども旅館自体は、地域での食材業者とのつながりが大きいものですから、どこまでチェックしたかというのはありますけれども、なかったという理解でおります。

○小早川座長 フードサービスさんは、川下の外食チェーン店ということで、先ほどの御質問にかかわるような場面は相当あるだろうと思いますが、そういうケースは実際にない、川上もそういう悪いことはしない業界であるという御趣旨ですか。

○日本フードサービス協会関川常務理事 川上から正確な情報を送っていただかないと、私どもは正確な情報を出せないことになります。情報の伝え方としてはいろいろなシステムがあるわけですけれども、なるべく正確に丁寧に伝えていただくように要請しております。また、そういうシステムを我々も検討しております。

○小早川座長 仮に、川上で何があるかが隠されていて川下ではわからなかったというケースがかなりあるとして、課徴金制度を導入することを前提にした場合に、その辺、川下の業界がひどい目に遭わないように、何かこういう形で考慮してほしいというように具体的にアドバイスをしていただければ。

○日本フードサービス協会関川常務理事 小早川座長さんがおっしゃられたことは、むしろ私どもからお願いするようなお話かと思います。私ども、川上からの情報入手の努力をしますし、またその正確さを期するという意味で、チェックポイントごとに、川上の事業者、川中の事業者を含め、「フードシステム」として情報の正確性が確保できるかどうか、その辺も検討し、実行に入っております。
それから、私ども、川中の事業者が提供するものを右から左にいただいて調理してお出しするのではなくて、私ども自身が一番川上の農村なり漁村の現場に入りまして食材を調達する努力をする。食材そのもの、あるいは食材にかかわる情報の正確性を期するよう取り組んでおります。したがいまして、仮にそういう制度ができる場合には、私どもの努力もありますけれども、川上から送ってくる情報の正確性ということも十分御配慮いただきたいと思います。

○小早川座長 夏目委員。

○夏目委員 2つの事業者団体から御意見をいただきまして、現行の景品表示法で対応は十分可能だという御意見だということはよくわかりました。特に、フード協会のほうで景品表示法の改正について、2ページで、今回の問題はマル1、マル2が原因だと書かれておりますね。ただ、最初にほかの委員から御発言がありましたように、景品表示法で今回、課徴金導入を議論しているのは、全ての業種にかかわる問題ということで、消費者に対して不当表示だったり、優良誤認を招いたりということを防止する、さらなる抑止という意味で検討しているわけです。
そうしますと、今までフード協会さんがさまざまなガイドラインなり、自主行動計画を策定されて、業界として指導的な立場でずっと御指導されてきたにもかかわらず、今回のような食品業界でのメニュー表示の問題が起きてきた。そうしますと、現行表示法では対応が難しいのではないかと消費者としては受けとめざるを得ませんし、とりわけ協会さんが加盟団体に対しまして、その役割として果たされている、一番最初に基本5原則の浸透というのを挙げていらっしゃいますし、その基本5原則の浸透の中の1番目には、さらに消費者基点の明確化ということを挙げていらっしゃる。
そうしますと、今回の問題、これからの問題を考えますときに、食品業界、旅館協会様もそうですけれども、消費者の目線というのがどこにあるのかということをもう一度考えていただく必要があるのではないかということを、きょうのお話を聞いていて、ちょっと感じました。
とりわけ、フードサービス協会さんがおっしゃっていた、外食におけるメニューに関する情報は、料理の名称であって食材の名称ではないと、最初にはっきりとおっしゃっていますけれども、これは消費者と非常に受けとめ方が違う点だろうと思います。仮に業界として、メニュー表示はこういう定義なのだということであるならば、これをきちんと消費者に伝えていかなければならないだろうと思います。現状、消費者はこんなふうに受け取っていないだろうと思います。
そんな関係で、業界と消費者の受けとめるところに距離があるということが随分感じられましたので、現行法だけで対応可能とおっしゃられますけれども、さらなる検討も必要ではないかと私自身は感じました。今、ここでは課徴金制度ですけれども、例えば外食産業さんは食品表示を免除されておりますけれども、表示の義務化ということも一つの選択肢だろうし、さまざまな新たな方法はございますので、仮に今のままで消費者に対してのさまざまな問題を生じさせるような、現行からは一歩進んだ措置が必要かなと感じております。
以上でございます。

○小早川座長 御意見を述べられたわけですが、何かこれに関して。

○日本フードサービス協会関川常務理事 どうもありがとうございます。
確かに私ども、お客様の支持がなければそのメニューはお店から消えてしまうのです。したがいまして、食材の使い方、お料理の仕方、味のつけ方、お皿の盛り方、お店の雰囲気も含めて、総合的にお客様の御納得いただけるように提供させていただくことよって、楽しい食事の時間を過ごしていただければと思っております。そういった視点も踏まえて考えさせていただきたいと思います。

○小早川座長 それでは、まだあるかと思いますが、予定の時間を大分オーバーしておりますので。本日御出席いただきました皆様には、貴重な御意見を賜りましてまことにありがとうございました。いただいた御意見につきましては、今後の検討の参考とさせていただきます。
本日は、お忙しいところ、まことにありがとうございました。

(日本フードサービス協会、日本旅館協会退席)

≪4.景品表示法の改正案について≫

○小早川座長 続きまして、景品表示法の改正案が本日閣議決定されたということで、この内容につきまして消費者庁より御説明をいただきたいと思います。時間は余りございませんが、よろしくお願いします。

○消費者庁菅久審議官 消費者庁の菅久と申します。よろしくお願いいたします。
お手元の資料の6-1、6-2、6-3でございます。基本的には、6-1とありますカラーの資料に基づきまして御説明いたします。
不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案ということでございまして、これはここにありますとおり、基本的には地方消費者行政の基盤強化などのために、消費者庁が所管している法律であります景品表示法と消費者安全法、その他の法律も一部ありますが、それらを一括して改正する法律案でございます。これは、真ん中の基本的な考え方というところの左側にありますとおり、消費者庁設立時に設置法の附則4項に盛り込まれました宿題に答えるものでもありますし、また右側のほうにあります食品表示法等問題関係府省庁等会議での政策パッケージ、また本通常国会におけます施政方針演説において総理が示された方針、これらのものを実現するものでございます。
以下、景品表示法の一部改正について、その概要を御説明いたします。
1枚おめくりいただきまして、2枚目でございます。
左の上のほうから、I 事業者のコンプライアンス体制の確立でございます。
今般のメニュー表示問題の原因の一つといたしまして、事業者のコンプライアンスの欠如、またはガバナンスの問題という言い方をされている方もございますが、こういうことが挙げられたわけでございます。そこで、この改正法案では事業者が構ずべき表示等の管理上の措置について、規定を置くことにいたしました。これが第7条でございます。広告・表示によりまして、お客様、消費者に誤解を与えることのないよう、事業者自身の内部で必要なチェックをするための措置をとっていただきたいということであります。
このために、表示等の適正な管理のため、必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならないことといたしまして、具体的に事業者が講ずべき措置につきましては、必要な指針を定めるということにしております。この指針を定めるに当たりましては、事前に関係する事業所管大臣などと協議しますとともに、消費者委員会の意見も聞くこととしております。
この指針の策定に当たりましては、これまで関係者の方々からいろいろ御意見をいただいておりまして、これらを踏まえて行いたいと思っております。既に実施しております事業者の自主的取り組みをサポートできるような形としたいと思っておりますし、また必要な措置というのは、事業者の業種や規模によっても異なると考えられますので、中小事業者の実行可能性にも配慮していくことになろうかと考えております。
景品表示法というのは、実際よりもよく見える、安く見える表示によって消費者に誤認を与えることを禁止しておりますけれども、今回の法案はこの不当表示のルール自体を変更するものでも、厳格化するものでもございません。また、事業者の方がお客様に向けて広告や表示をする際に、違法な行為であります不当な表示をしないようにするというのは、今でも必要なことであります。したがいまして、既に必要な措置をとって実施している多くの事業者の方にとりましては、追加的に過大な負担となるものではないと考えておりますけれども、実際に指針を策定するに当たりましては、事業を所管する省庁の御意見、知恵もかりながら、事業者の業種・規模等に考慮して策定していくことにしたいと考えております。
また、第8条におきまして指導・助言の規定を設けまして、管理のための必要な措置が十分にとられていない事業者には、消費者に信頼される企業づくりにつなげていただくよう指導・助言ということで運用していくことを考えておりますし、仮に講ずべき措置をとっていない、かつそれが非常に著しい、問題発生につながりかねない場合には、第8条の2におきまして勧告ができるという規定も置いております。
それから、II 情報提供・連携の確保でございますが、これは民間レベルでの問題事案への対応を支援するために、消費生活協力団体、消費生活協力員は、もう一つの消費者安全法の今回の改正によって規定されるものでございますけれども、こうした団体・協力員が不当な表示に接した場合には、その情報を適格消費者団体に提供することができるという規定を第10条に置いております。また、不当な表示を防止して消費者の利益を保護するために、国や地方公共団体、国民生活センターなど関係者間で情報交換を行うなど、相互の密接な連携を確保することも明確に第15条で規定しております。
III 監視指導体制の強化でございますけれども、今般の表示問題の原因の一つといたしまして、行政の監視指導体制面での限界という指摘もございました。そこで、改正法案の第12条で、不当な表示全般に対しまして迅速かつ的確に対処していけるように、行政による監視指導体制の強化も図ることとしております。
1つ目といたしましては、都道府県の執行体制の強化でありまして、今般の問題のように、不当な表示というのは全国各地の消費者の身近な場所で発生するということでございますので、都道府県での法執行が重要でございます。昨年12月に全国知事会から、景品表示法に基づく権限等の付与につきまして要望書が提出されたこともございまして、現在では消費者庁長官のみが持っております権限、つまり措置命令権限と合理的根拠の提出要求権限を都道府県知事に付与することができるようにすることにしております。
また、国の執行体制の強化につきましては、国としましては現在は公正取引委員会の地方事務所等に調査権限を委任しつつ、消費者庁において景品表示法の執行を担っているということでございますが、今般のような多数の事業者を対象とする監視・指導ということになりますと、体制面での限界があるのではないかという御指摘もございました。
そこで、今回の場合ですと、例えば農林水産大臣など関係する事業所管大臣にも、必要な場合には景品表示法違反に関する調査の権限を委任することができることにいたしまして、それらの地方支分部局なども活用しまして、事業者に対します通常の監督・指導に加えまして、不当な表示の問題にも目を配ることができるようにして、事業の実情を踏まえました迅速かつ的確な法執行ができるようにすることにしたいというものでございます。
最後、IV 課徴金制度の検討等でございます。措置命令というのが現在の措置でございます。御承知のとおりでございますが、違反を将来に向けてやめるよう命じることはできるわけですけれども、それまでに不当な表示を行ったことによりまして得た利益が、そのまま事業者のもとに残る、いわゆるやり得の問題と言われております。これにつきまして、こうしたことに対応するために課徴金制度の導入を検討すべきという御意見も出されておりまして、まさにこの場でございますが、昨年12月、消費者委員会にその点を諮問いたしまして、既にこのように検討を進めていただいているということでございます。
今回の法案では、政府が課徴金制度導入の検討に取り組むことを明確に示すために、改正法案第4条に政府の措置といたしまして、この法律の施行後1年以内に課徴金に係る制度の整備について検討を加え、必要な措置を講ずるものとするという規定を置いております。
その他、改正法の施行期日につきましては、公布から6カ月以内で政令で定める日に施行するということに附則第1条でしているところでございます。
以上でございます。

○消費者庁黒田課徴金制度検討室長 すみません、最後の部分について簡単に補足説明させていただきます。資料6-2をごらんください。これは、実際の条文でございます。今回の法案というのは、幾つかの法律の一部をそれぞれ改正する法律になっていますので、今まで消費者庁が出したのは新法が多かったのですけれども、若干見なれない感じになっております。
題名が「不当景品類及び不当表示防止等」の改正する「等」について、それぞれ説明しますと、この法律は全部で4条からなっておりまして、第1条は1ページのいわゆる景表法を改正、以下のように改めるという条文になっています。
次に、第2条は7ページに飛びますが、これは別途説明があるかもしれませんけれども、消費者安全法の一部を次のように改正するというものであります。題名の最初の防止等の「等」の1つ目が、この消費者安全法、第2条のことを意味しております。
30ページまで消費者安全法の改正文が飛ぶのですけれども、30ページの左側に第3条がございます。これは、独立行政法人国民生活センター法の一部改正ということで、この法律の第3条がここまで飛んでおりまして、安全法の改正とあわせるような形で国セン法も改正する。つまり、最初の「等」の中身の2つ目はこちらになります。
最後、第4条、菅久審議官が説明しました検討条項はここに書いてあるとおりでございまして、それが31ページ、政府の措置という形で、本則としては4条、あとは附則からなる法律になっております。この4条が「一部を改正する等」の「等」に当たる部分でございます。
先ほど最後に申しました施行期日については、附則の第1条に書いてある「六月を超えない」という部分が該当することでございます。
簡単でございますが、以上でございます。

○小早川座長 「改正する等の法律」という名前は初めてですね。
今の御説明について、何か御質問あるいはコメントはありますか。どうぞ。

○宮城委員 まず2つありまして、時期ですが、6カ月以内に施行で、課徴金に関しては1年という話でしたか、ありましたね。それはどこから数えるのですか。

○消費者庁菅久審議官 今の改正法案の31ページをごらんいただければと思いますが、施行期日の6カ月というのは、附則第1条にありますとおり、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲というのは、公布の日からということでございます。政府の措置のほうにつきましては、第4条の規定で書いてあるのは、この法律の施行後1年以内となっております。

○宮城委員 となると、施行が半年で、そこから数えてということになると、1年半ということになってしまうわけですか。限度ということになりますが。

○消費者庁菅久審議官 以内でございますから、早いときには問題ないと思います。

○宮城委員 そういう御趣旨ですね。その確認が1つと。
あと、7条がこういう条文になるのだというのは、今までのことからして、個人的には余り想定していなかったのですけれども、御趣旨は、事業者さんを適正に管理するための必要な体制の整備ということだから、内部の管理体制、つまりいわゆるコンプライアンス体制を事業者さんにちゃんとつくらせて、それがちゃんとつくっているかどうか監督するということですね。これは指針ということだから、コンプライアンスシステムについても指針を消費者庁がつくられることを想定されているわけでしょうか。

○消費者庁菅久審議官 そうです。まさに、必要な措置として、例えば表示をチェックするための責任者を指定してくださいとか、根拠についてはっきり確認してくださいということです。

○宮城委員 それは、これからお考えになるところでしょうが、具体的にはどんなシステムを考えられていますか。

○消費者庁菅久審議官 それは多様だと思います。つまり、不当表示を行わないために必要な措置をとっていただければいいですので、基本的には既に事業者の多くの方々がやっていると思いますので、そうしたものにのっとって必要なものということで定めていきたいと考えております。

○小早川座長 ほかによろしいでしょうか。では、齋藤委員。

○齋藤委員 今のところですが、食品関係の事業者は3人未満でしたか、社員が少ない、会社組織ではない事業者が大変多いと説明を受けた記憶が、別の場だったかもしれませんが、あります。そういうところにもこういうルールを何らかの方法で定着していくということですか。

○消費者庁菅久審議官 もちろん規模が小さければ小さいほど、必要な措置というのは非常に少なくて済むと考えておりまして、そういうことに誤解のないように明示して推進していきたいと考えております。不当な表示をしてはいけないのは、どのような方もしてはいけませんので、小さい事業者なので不当な表示をしてもいいということはないですから、それは既にやられていることだと思います。ですので、小規模な事業者の方であれば、体制という言葉から印象を受けるような仰々しいことは要らないと当然思っておりますので、そういう規模に応じた必要なものをということで、誤解のないよう、わかりやすいものをということで考えていきたいと思っております。

○小早川座長 それでは、本日の議事は以上といたします。

≪5.閉会≫

○小早川座長  事務局から連絡事項がありましたらお願いします。

○小田事務局長 次回は、3月18日12時からを予定しております。時間は変わるかもしれませんので、決まり次第、御案内いたします。18日の開催は確定です。
本会議の委員の皆様は、今、25分ですので、18時35分をめどに本会議を行いますので、時間になりましたら再度お集まりいただければと思います。
以上でございます。

○小早川座長 本日はこれにて閉会といたします。お忙しいところを、皆さん、どうもありがとうございました。

(以上)