第6回 原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会 議事録

最新情報

日時

2011年7月6日(水)14:00~15:40

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 田島座長、阿久澤委員、阿南委員、迫委員、立石委員、日和佐委員、山浦委員、山本委員
【説明者】
 消費者庁 相本食品表示課長、平中課長補佐、中村課長補佐
【消費者委員会事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.報告書のとりまとめについて
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:50KB)
【資料1】 原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会報告書(案)(PDF形式:350KB)
【参考資料1】 原料原産地表示拡大の進め方に関する意見書(立石委員提出資料)(PDF形式:170KB)
【参考資料2】 「原料原産地の拡大の進め方に関する調査会」意見書(山浦委員提出資料)(PDF形式:16KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、始めさせていただきたいと思います。
 本日は、お暑いところお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会」の第6回会合を開催いたします。部会に引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、すべての委員に御出席をいただいております。
 議事に入る前に、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の下の段に「配布資料」と書いております。
 本日は、資料1に基づきまして、調査会の報告書をとりまとめる作業をお願いしたいと思っております。
 参考資料といたしまして、委員から提出された御意見をお付けしておりますので、御参考にしていただければと思います。
 それでは、田島座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○田島座長 本日は、消費者委員会事務局から、原事務局長のほか、齋藤審議官、消費者庁からも御出席をいただいております。
 なお、本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても、後日公開することにしております。
 それでは、議事に入ります。
 本日は、当調査会の「報告書のとりまとめについて」を議題としたいと思います。前回の調査会では、中間整理(案)について座長試案という形で整理したものを皆様に御議論いただきました。本日は、前回の中間整理(案)に対する皆様の御意見やこれまでの調査会での議論を踏まえまして「原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会報告書(案)」としてまとめたものを資料1としてお示ししております。この資料1の内容について、本日は御議論をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 なお、事前に各委員に送付いたしましたとりまとめ報告書(案)につきましては、各委員の御意見や消費者庁からの指摘事項を踏まえ、調整、集約させていただいたものです。
 それでは、報告書(案)の内容について、事務局から御説明をお願いいたします。

≪2.報告書のとりまとめについて≫

○原事務局長 10分程度で御説明をさせていただきたいと思います。資料1は、ちょっと厚い資料になっておりますけれども、この調査会の報告書(案)としてお示しをしております。
 ページを開けていただきますと「目次」になっております。1~6までということで、順次説明をいたします。
 参考資料は、一覧ということで、説明は割愛させていただきたいと思います。
 1ページから、報告書(案)の本文になります。
 加工食品の原料原産地表示については、消費者基本計画において「加工食品における原材料の原産地表示の義務付けを着実に拡大します」とされており、食品表示部会でもこれに基づいて、昨年の秋に「黒糖及び黒糖加工品」及び「こんぶ巻」を始め、この拡大の作業を行っているところです。
 原料原産地表示拡大を進めていくことについては、消費者庁及び消費者委員会が設置される前の平成20年7月より、農林水産省及び厚生労働省共催により「食品の表示に関する共同会議」において検討されてきた課題でもありまして、同会議では、平成15年8月に義務対象品目の選定要件を決定し、平成21年8月にとりまとめた報告書において、これを「基本的に維持すべきものと考える」とされたことを受け、本件の検討を引き継いだ消費者庁も、新たな品目の選定に当たり、当該選定要件を基本として検討を進めてまいりました。
 下に「要件 I 」と「要件 II 」を掲げておりますけれども、これは本文の中で詳しく御紹介したいと思います。
 他方、部会における審議過程で、去年の秋ですけれども、部会委員より「原料原産地表示の拡大をより進めるためには、義務対象品目を選定する際の基本的な考え方や対象品目の候補の選定方法等について改めて議論する必要があるのではないか」との多数の指摘がありましたので、食品表示部会の下に本調査会を設置し、これまで6回にわたる検討を重ねてきたものです。
 2ページに入ります。
 こちらから、1.~5.まで項目ナンバーを付けておりますけれども、これは現行のJAS法に基づいての考え方ということで検討を進めたものについて整理をしております。
 1.といたしまして「原料原産地表示に対する基本的な考え方の整理」を挙げております。加工食品の原料原産地表示は、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(以下、JAS法という。)に基づく品質表示基準を根拠として表示義務を課しております。
 「原産地の表示」の取扱いについては、当初、生鮮食品を対象とし、平成12年にすべての生鮮食品に原産地表示を義務付けることとされております。
 真ん中の段から「他方、加工食品については」ということを書いておりますけれども、原材料の原産地の差異が製品の品質の差異に与える影響は必ずしも大きくないと考えられてきたことから、それまで義務付けることとはされておりませんでした。ただ、原料調達先のグローバル化が進展する中で、産地表示を強調する加工食品も多く見られるようになってまいりまして、消費者の誤認を招くおそれのある場合も生じてきました。
 このため、その原材料の品質が製品の品質に大きく関わっているような、加工の程度が低く、生鮮食品に近い加工食品から原料原産地表示を義務付けるということとしてきた経緯がございます。
 ただ、JAS法の中での検討ですので、本調査会において義務対象品目を選定する際の基本的な考え方を議論する上でも、原材料の品質が製品の品質に影響を与える程度についての議論は、現行のJAS法の下ではどうしても必要となります。
 一方で、原材料の調達先のグローバル化に伴い、商品選択の重要な要素ともなってきておりますし、必ずしも加工の程度が低くない食品であっても、原料の原産地が最終製品の品質の差異に影響があるようなものとか、いろいろなものが出てきております。それから、品質についての考え方も変化しつつあるのではないかという指摘もございました。
 こういったことを根底に置いた上で検討を進めようということで、具体的な検討に入りました。
 「2.原料原産地表示の目的と進め方」です。
 (1)目的については、今、御説明したとおり、JAS法の下で行うということで、これについては現行法の下での原料原産地表示であればそのとおりとしております。
 (2)進め方のところで、幾つか挙げております。
 マル1 商品選択のための情報提供方法ということで、2行目のところに書いてありますが、消費者が商品選択時に役立つものとして整理をすべきではないかと考えております。
 4ページに入りまして、マル2 わかりやすい表示が求められるということです。これは基本です。
 マル3 国際規格との関連性ということで、これも食品衛生法並びにJAS法とも食品に係る法令及び通達は、国際食品規格(コーデックス規格)に準拠して制定をされておりまして、原料原産地表示についてもこれに準拠することが求められます。
 5ページに入ってまいりますが、ただ、コーデックスとの関わりというのは、勿論考えなければいけないわけですけれども、上から4行目のところに書いておりますが、必要に応じ、コーデックス委員会における規格に関する議論に、日本がリードする提案を行うなども検討すべきとの意見がございました。
 マル4 表示の実行可能性の確保です。これが実際に表示をしようとしたときに、事業者側がこれを本当に実行できるかどうかというのは、いつも大きな議論になるところですが、JAS法に基づいて原料原産地表示を義務づけると、これに違反した場合は、直罰の対象という非常に重い罰則もかけられているということもありますので、事業者にとって、義務付けられた表示が確実に実行可能なものであるということには留意すべきであるという御意見が出ております。
 「3.加工食品の原料原産地表示の義務対象品目の選定要件の考え方について」です。6ページに入りまして、ここに先ほど割愛いたしましたけれども、現行対象品目の選定要件としては、要件 I と要件 II がございます。
 要件 I は、原産地に由来する原料の品質の差異が、加工食品としての品質に大きく反映されると一般に認識されている品目のうち、
 要件 II は、製品の原材料のうち、単一の農畜水産物の重量の割合が50%以上である商品と規定を設けております。
 要件 I については「要件 I は」と書いてある5行目のところですが、今後も、JAS法の目的の範囲内で原料原産地表示を義務付ける限り「品質の差異」に着目することは必須であると考えるとしております。
 ただ、品質とは何なのかというところは、先ほども御紹介したとおり、非常に考え方も変わっているのではないかということで、消費者庁において消費者の意識の変化等を調査した上で、更に検討を進める必要があるとしております。
 要件 II の「重量の割合が50%以上である」という部分ですが、これは「品質の差異」に着目した要件であるという点では、要件 I と異なるものではありませんけれども、しかしながら、よく言われるのは、では49%であれば品質の差異がなくなってしまうのかと問われれば、必ずしもそうではなくて、何%が適当なのかというのを議論するのは大変難しいですし、例えば冠商品に着目するとか、原材料の重量に占める割合が多い順に幾つかの主要原材料を対象として表示をしていくという新たな要件とか、いろいろな御提案はございましたけれども、これもJAS法では虚偽表示には罰則が科せられることも考え併せると、どういう置き方をするのが客観的で、明確なものなのかという点については、まだ議論をしていく必要があると考えております。
 7ページに入っておりますけれども、例えば東京都では、消費生活条例の規定に基づく品質表示に関する表示事項等の指定とか、米穀等の取引に係る情報の記録、これはトレーサビリティ法ですが、こういったいろいろな動きもございますので、そういったものも含めて消費者庁は今後、原料原産地表示を拡大することについての明確な要件を設定する方法や事業者の実行可能性、行政による監視可能性について調査した上で、更に検討を進める必要があるといたしました。
 「4.新たな表示方法の実効性について」です。
 これは食品の表示に関する共同会議で新たな表示方法ということで、マル1 切り替え産地を列挙する可能性表示、マル2 「国産」・「外国産」又は「輸入」といった大括り表示、マル3 輸入中間加工品の原産地表示の方法の導入の案が挙げられておりました。これについても議論いたしましたけれども、賛否両論というより、いろいろな意見が出されたというのが調査会の実情でしたので、これについても先ほどの消費者庁の調査の中に含めて検討を進めていただきたいと思っております。
 「5.原料原産地表示義務対象品目の選定方法について」です。
 7~8ページにかけてですが、これについても共同会議の報告書でいろいろな提案が出されております。公開ヒアリングの実施とか、パブリック・コメントを活用とか、幅広い関係者の意見を聴取して検討するとか、透明性の高い検討プロセスを維持していくということで、そういう意味では、この原則というのが変わるわけではありません。
 他方、パブリック・コメントを実施しても、農林水産物の生産者の要望は収斂しやすいんですが、消費者は非常に多様な意見を持っておりまして、数としてまとめることが大変難しいという指摘もありまして、どういうふうにすればうまく消費者の意向を汲み上げられるのかということについては、さまざまな工夫がまだまだ必要ではないかとしております。これも消費者庁においてさまざまな工夫を行うことを検討すべきであるとしております。
 9ページですが、これまでの2.~5.については、現行のJAS法に基づいて考え方を整理しておりますけれども、6.では、今、消費者庁、政府において食品表示に関する一元的な法律の制定に向けた取組みが進めておられるところです。その中で更に議論を深めていただきたいといたしました。
 消費者庁では、平成24年度中の法案提出を目指して検討が進められているとお聞きしております。検討に当たっては、JAS法、食品衛生法、健康増進法等の食品表示の関係法令について現行制度の課題を把握するなどして、一元的な法体系の在り方が議論されることとなっており、その一環として、原料原産地表示についても検討される必要があると考えております。
 その際、先ほども申し上げましたように「品質の差異」に着目をする現行の仕組みの下での限界があるという意見や、「消費者の商品選択に資する」という選択権という趣旨を明確にすべきという意見、加工食品の原料原産地表示は義務化を原則とすべきという意見、品目を定めて決めていくということではなくて、全部を義務化することを原則とすべきという意見。食品のトレーサビリティ制度の検討とも連携すべきという意見、優良誤認についての考え方も整理すべきという意見、健康食品も含めて議論すべきという意見等、今後に向けてのさまざまな検討課題も調査会では御意見としていただいております。
 最後のまとめですけれども、食品表示の一元的な法体系の在り方の議論においては、このような観点も含め、食品表示が何のためにあるのかといった根本的な意義について、消費者・事業者等の意見を聞きつつ、現行のJAS法にとらわれない幅広い議論が行われ、新たに制定される法体系の下で、原料原産地表示の対象品目や選定方法等が改めて設定されることを期待するとしております。
 以上、報告書(案)としての御紹介を事務局からさせていただきました。よろしくお願いいたします。

○田島座長 どうもありがとうございました。
 既に事前にお送りしておりますので、目を通していただいたと思いますが、これにつきましては、立石委員、山浦委員のお二方の意見書を参考資料として提案されてございます。この意見書も含めまして、ただいま御説明いただきました報告書(案)につきまして、御意見をよろしくお願いいたします。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 ありがとうございます。意見書の方も提出させていただきましたし、今日も配付していただきまして、ありがとうございました。
 それに基づいて、かいつまんで私の考えを述べたいと思います。
 まず、本文の「1.原料原産地表示に対する基本的な考え方の整理」のところです。真ん中辺りの「グローバル化が進展」という表現のところですが、その結果、加工地を指すのか、原料原産地を指すのかといったことがわかりにくいとか、そういう例示が示されておりますけれども、私が考えているグローバル化の問題点というのは、開発輸入の広がりによって、これまで国産であったものが、外国由来のものがどんどんと拡大してくるとか、あるいは新規食品の登場によって、例えば遺伝子組換え食品によるさまざまな問題点が指摘されるとか、あるいは外国の基準と日本の基準の違いによって食品添加物、農薬の規制は各国によって違いがあるので、こういった外国産のものが日本に入ってくる場合の問題点が出てくるとか、あるいはポストハーベスト農薬、これは日本では食品添加物扱いですけれども、外国では農薬といった形になって、特に輸出農作物について使用されている。そういう問題などが広がったということから、消費者が原料原産地表示を重視するようになったという流れの中で出てきた問題ではないかと思いますので、その辺、説明を変えていただければと思います。
 それから、JAS法の下での議論ということと、一元化に向けての議論といったところがかなり難しいところだったと思いますけれども、1.の表現については、消費者庁が食品表示の一元的な法体系の在り方を論じていることから、そういった議論に資するような課題も提起したいというところを是非強調していただきたいと思います。
 「2.原料原産地表示の目的と進め方」は、目的については、この表現で結構だと思います。
 進め方については、3ページですが、消費者が何を重視するようになったかということについて、価格ばかりではなくて、食料自給率とか環境配慮とか、あるいは農業振興につながる商品、事業者を消費者が選択できるといった環境が次第に出てきたということから、こういった情報提供の方法というものを工夫すべきではないかという辺りを書き込んでいただきたいと思いました。
 4ページの「マル2 わかりやすい表示の重要性」ですが、消費者の商品選択時に役立つ情報提供方法という一般的な言い方ではなくて、切り替え産地の問題とか、さまざまな例がありますけれども、それについて実際に実行できるようなわかりやすさをここで例示していく必要があるのではないか。例えば私が以前申しましたのは、年度初めの原料原産地表示といった形でもって、国の名前を指定しておいて、その後、変動があってもそれはよしとするといったような考え方とか、あるいは大括り表示といったことも許容できるとか、輸入中間加工品の原産地表示を行うといった案。こういったことが消費者の適切な商品選択に資するというわかりやすさではないかと思いますので、そういった中身を書き込んでいただきたいと思います。
 5ページの「マル3 国際規格との関連性」のコーデックスの引用部分ですけれども、コーデックス規格は注で書いてありますが、原産国の省略が消費者を誤認させたり、あるいは欺く恐れがある場合、当該食品の原産国を表示しなければならないというルールが基本であるわけです。そして、その原料原産地については議論が続いている。したがって、その流れの中で日本としても国際ルールをリードしていこうという文脈をここで是非表現していただきたいと思います。
 「マル4 表示の実行可能性の確保」は、事業者の遵守可能性ということがかなり強調されておりますけれども、いろいろなコンプライアンスのレベルの問題というのがあります私の提案としては、余り重要ではないミスについては、直罰主義の対象にしないような、ペナルティの在り方についても濃淡を付けるといった工夫をしながら、消費者が求める原料原産地表示を明確化するという実行可能性を考える必要があるのではないかと思います。
 「3.加工食品の原料原産地表示の義務対象品目の選定要件の考え方について」は、了解いたしました。
 「4.新たな表示方法の実効性について」も、前回の第5回の議論を反映されていると思いますので、これも了解いたしました。
 「5.原料原産地表示義務対象品目の選定方法について」は、選定方法について表現がございますが、下に書いてある共同会議の報告書の最初の部分、消費者からの要望が多い品目について、消費者の要望を第1に考えるということが私も重要ではないかと思っておりまして、こういう意見はこういった討議の中で今回あったので、これに対して、直ちに義務化を図るのではなくといった御意見もありましたので、それを両方書き込んでいただきたいと思います。
 9ページの「6.食品表示に関する一元的な法律の制定に向けた取組の中で、さらに議論を深めるべき課題」は、最後のパラグラフの辺りですけれども、私としては、消費者の選択権を確保するために食品表示があるということを念頭に置いて、食品表示が何のためにあるのかといった根本的な意義について検討されることを期待するという流れで、是非今後の一元的な法律の制定ということが非常に重要なんだということを強調していただきたいと思います。これはJAS法に基づいた討議をしましたけれども、来年度から実際に始まる一元的な法律ということを見据えた上での報告書でもあるよということを是非強調したいということで、そういうふうに修文を提案いたします。
 長くなりましたが、以上です。

○田島座長 ありがとうございました。いろいろな御提案をいただきました。
 この報告書(案)というのは、あくまでも(案)でございますので、事務局でまた整理して、最終報告書といたしますので、その際の参考とさせていただきたいと思います。
 山本委員、どうぞ。

○山本委員 今日は、調査会としては最後の会合で、この報告書のまとめということですので、全体がどうのこうのという前に、できたら1つずつ区切ってお話しさせていただいた方がいいと思います。パラグラフごとでなくても、1.とか、2.とか、3.とか別に話を進めさせていただければと思います。
 今、山浦委員からは全部お話しいただきましたけれども、区切って進めていただけないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

○田島座長 ほかの委員の方がそれでもよろしければ、そのようにさせていただきたいと思いますが。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 本調査会にずっと出席をさせていただきまして、随分意見を述べさせていただきましたけれども、今回の調査報告書に対して、私は非常に残念に思っております。多くの私の意見が反映されていないということもあって、意見書を出させていただきました。
 まずは、この調査会は何だったんだというところで、幾つかございます。これまで拡大ということを念頭に置きながら、この原産地表示について議論しつつ、進まなかった。その根本的な理由はどこにあるのかというところを、議論もしないうちにおさらいばかりして、前の議論の延長線上を走っていたということに対して、非常に残念に思っております。
 私が意見書に書かせていただいたのは、総花的な議題定義ばかりになっており、これは単なる先送りなのですね。今回できちっと問題点、課題をクリアーして、その上でつくるならいいですよ。ただ、これまでの共同会議の延長線上で、同じことを延々と繰り返しているだけで、何も変わっていないわけです。そういったところの問題というのはどこにあるのかというと、ここは入り口のところで失敗しているわけですね。そこを私はまず指摘したいと思っております。
 入り口というのは、JAS法で、なぜ原産地を品質として位置づけたのかということです。ここからスタートしているわけです。ここを間違うと、ずっとその延長線上で走っているわけです。だから堂々巡りで、袋小路に陥って、何も進まないわけです。ここのところを私の意見書の中で見ていただきたいと思います。
 今回の原産地表示の中で、まず基本的な考え方のところでいきますと、最初に平成15年8月6日に目的についてということで「消費者の適切な選択に資する観点から、商品の品質に関する情報を適切に提供し、加工食品の原産地に関する誤認を防止する」という「誤認を防止する」というところをスタートにして、この共同会議の中で位置づけられたというところです。その後は、品質でもって要件を選定したり、先ほどの要件 I 、 II ですね。そこがまずスタートとして間違っているわけです。
 この品質の定義というのは、先ほどから品質がわかりにくくなっているとか、品質が変わってきているとか、そういうあいまいなことをおっしゃっていますが、基準があって初めて品質というのに対してクリアーするということがあるのではないかと思います。だから、原産地というものを一定の基準とか境界線の範囲とかが客観的に決められて、それで明確に区分できるものであればいいのです。ところが、原産地という非常に大括りなもので、それを品質とした場合に、では同じ原産地のものは同じ品質なのかという、この品質という議論が抜け落ちた中でJAS法でやったところから、そもそもスタートから間違っていたわけです。
 それでは、なぜJAS法でやらなければいけなかったかというところは、私は前回のときにも申し上げましたけれども、それが2ページ目に書いてあります。生鮮食品はどんどんと外国産の輸入が増えていったわけです。そのときに需給のバランスが崩れて、国内農業者に非常に深刻な影響があったわけですが、その中で特に影響の大きかったブロッコリー、サトイモ、ニンニク、根ショウガ、生シイタケからまず原産地表示の義務化が始まったのです。続いて、ゴボウ、アスパラ、サヤエンドウ、タマネギという4品目が追加されたわけです。
 そこで平成12年にJAS法改正が行われて、そのときにすべての生鮮品に組み込まれたわけです。このとき、なぜ義務化がなされたかというと、まさに産地誤認が起こったわけです。輸入農産物を国産と見せかけて売られていたわけです。それで国内生産者は非常に苦しんだ、価格も低迷した中で、緊急的に取締まる必要があったということで、JAS法にのっかかったわけです。このことがスタートです。なぜ原産地が品質なのかというところからスタートして、JAS法の中で義務化をやったということの問題点をもう一度きちんと明らかにするべきです。
 それから、最初は外国産と日本産の品質の格差は、明らかに外観上の差はあったわけです。ところが、外国にどんどん日本の品種が持ち込まれたり、鮮度保持技術が改良されたりして、今はもう品質の差はないわけです。今となっては、生鮮品の中で外国産と日本産を比べて言い当てる人はどれだけいると思いますか。ほとんどいませんよ。そのようなものが原材料として使ったときに、品質の差異が品質に大きく影響されるというところの要件につながってきたときに、本当にそのようなことがあるのかということです。
 平成12年に義務化されたときに、表示の義務が都道府県表示と市町村表示に義務化されました。このときに、もう既に原産地と品質というのは、全く説明がつかない状態なのです。畜産物もそうです。長いとこルールとなって出荷した場所と産地が異なることがあります。それから、水産物もそうです。この前も言いました。気仙沼と焼津の話をしました。太平洋を泳ぐ同じ魚がどちらに揚るかで、その港がある都道府県名を間違うとJAS法違反なのです。
 こんなことからみても、そもそもJAS法でやることが、このことの問題の最初の原因なのです。そこのところを抑えない限り、この議論を何度やっても同じことなのです。
 この間、ずっとこの共同会議や食品表示部会の中でいろいろな品目が拡大に向けて挙がりました。そのたびに、この要件 I 、 II が立ちふさがるわけです。当然、そんなものは該当するわけはないのです。生鮮物ですら区別がつかない中で、この要件 I 、 II をクリアーする品目がどこにあるのですかと、私は何度も言ってきたわけです。そこからスタートしているということをそもそも忘れているわけです。
 原材料の50%以上のルールも、まさにおかしな話です。加工品というのは、そもそも副産物だとか、そういった組合せによって品質に影響を与えているわけです。ここのところにノウハウがあるのにもかかわらず、原産地が影響を与えるということを条件にしているということは、そもそもおかしい。
 実際に、これまでも、何回も申し上げましたけれども、49%以内には相当外国産が入ってきている。こういった問題についても、何らメスが入らないわけですよ。誤認を与えているということについて、全く方向性を見出し得ていないのです。50%ルールという中で、49%以下の中に外国産が入って、消費者に誤認を与えているという、そもそもこのJAS法の最初のところで誤認を与えるということに対して是正をしていくという考え方が全く反映されていない。
 こういったところをもう一度やるべきです。ここを抑えない限り、この話を幾らやっても同じです。何回やっても、また同じように振り返ってずっとやり続けるだけなのです。こういうことを私はずっと申し上げているのですけれども、このことが一向にこの報告書の中には入っていない。
 私が提案したいのは、目的は、まさに何回も申し上げますが、消費者の価値観が変わってきているのです。価値観というのか、消費者個人個人が求めているものは、それぞれの価値観によって決まっていくわけです。膨大な情報の中から、自分の選択のために有益なものを手早く取捨選択することが必要とされる。そのための表示なのです。そのために、自分の持つ価値観と判断の拠り所とする情報との関連性をどう見つけるかということであって、これは表示の中で手早く判断していくしかないのです。それが表示の在り方だと思いますし、安全性だとか、食品の栄養価、地産池消といったものは、個人の消費者の方がそれぞれ持っておられる感性と表示とを結び付け合わせて選んでいく。これが表示の在り方だと思っています。そこのところを私は主張したいと思います。
 もう一つ、外国産原料については、勿論、国単位で食品安全行政が行われているということは何回も申し上げました。今回の原発事故のこともあったということで、商品選択に際して原産地表示は大変重要だということで、このことをもう一度ここで言いたいということです。
 それと、望ましい表示の在り方ということで、JAS法であるということがそもそも無理があるのです。無理があるということで、幾ら基準をつくろうとしてもできないわけです。原産地が品質であるということを位置づけている以上、こんなことは幾ら議論しても、次の基準をどうやってつくるのかということは、できっこないわけです。従いまして、あるべき姿としては、韓国みたいに別の法律でやることが望ましいと思います。
 ただし、もし、どうしてしてもJAS法でやるということであれば、すべての加工品を対象として、重量順に2番目までという韓国と同じルールであればいいのではないですかというのが私の提案です。このときに、今、さまざまなこれまで議論で出てきている拡大にむけ障害となっている問題点は、全部クリアーできるわけです。韓国はやっているわけですから。それから、漬物もやっているわけです。漬物業界の方はやっておられるわけです。ほかの業界がやれないわけがないのです。
 それでここに改定案を載せたわけです。対象品目のところを全部にして、最も多いというところを2番目までにする。50%を取る。最後は冠商品ですね。ただしと挿入部分以降に書いてありますように、商品名に強調表示を使用した原材料原産地は重量順に関わらず省略することはできないとか、主な原材料の原産地が一定期間に頻繁に変更される場合、これはよくできないとおっしゃるのですが、このような場合は輸入産として表示して、大括り表示でやればいいのです。これは韓国と同じルールです。こういうことをやればできるはずです。
 最後のところに書いてあるのが、なぜこれが進まないかということです。これを反対されるのは、食品事業者の方です。私、実は食品製造メーカーの役員をやっているのですが、その立場で言いますと、絶対にやりたくありません。食品事業者としては、やりたくないのです。
 ただ、できるということはわかっているのです。というのは、ほかの今の表示のレベルがものすごく厳しいのです。だから、今、原産地の2番目までなら出すことはできますよということです。コストもそれほど上がりませんということを私は申し上げたい。
 もう一つの反対理由は、今回の米トレーサビリティ法があれだけ世間を騒がしているのは、皆さんここなのです。表示をすることは、消費が減ることを恐れていることなのです。今まで外国産を使っていた人たちが、あわてているわけです。要は、外国産を使っていて、国産と見せかけて売っていた方があわてている。ここなのです。
 ただ、同じように公平公正、平等に競争すれば、別に問題ないわけです。ここのところをもう一回考えていただきたいと思います。このことは、長い目で見たら、消費者の利益につながるということです。
 ただ、これは実効性の関係で言いますと、JAS法の罰則はやはり非常に厳しいと思っています。厳し過ぎるので、もう少し人為ミスについては緩和してもらいたいというのが本音のところです。これは食品メーカーの立場としてです。ただし、どうやって取締るかというのは、内部告発しかないのです。内部告発をいかに報奨制度を設けるとか、こういった中で従業員のモラル喚起を期待するためには、新たな仕組みをつくっていくとか、そういったところでクリアーできるのではないかと思います。
 最後に申し上げたいのは、私も生産者の立場、食品メーカーの立場、消費者の立場と3つの立場を持っています。やはり、今、考えていかなければいけないのは、消費者の立場なのです。これ以上消費者の皆さんを欺けないというのが私の本音です。こんなことをしていいのか。それから、原料の一次生産者が一番困っているわけです。報告書にも書いてあるように、生産者が声を上げるというのは、当たり前です。皆さん生活がかかっているわけですから。最も生活が厳しいから手を挙げて表示の義務化をすすめるべきと声をあげておられるわけです。優良誤認で苦しんでいるわけです。単価が下がって苦しいから何とかしてくれという声を上げているにもかかわらず、要件 I が今まで立ちふさがってきたわけです。こんなことを続けていいのかということです。日本で本当に農産物をつくる人がいなくなってしまうということです。
 それから、農業生産者が日本からいなくなるということで、消費者はそのことについて最も被害を受けるということです。そこをもう一度考えていただきたいと思います。
 以上です。

○田島座長 ありがとうございました。
 山本委員から、段落ごとにというお話がございましたけれども、今の立石委員も全体についての御意見の発表ですので、必然的に段落ごとにという議論はもうできませんので、よろしゅうございますか。

○山本委員 そうであっても、あっちに飛んだり、こっちに飛んだりすると分かりにくいので、今日配られた資料を文章編として報告書にまとめるに当たって、ちょっと気になるところを幾つか述べます。まず1ページからです。
 真ん中よりやや上の辺りに「本検討課題は」と始まるパラの下から3行目のところです。「これを『基本的に維持するものと考える』とされたことを受け、本件の検討を引き継いだ消費者庁も、新たな品目の選定に当たり、当該選定要件を基本として検討を進める旨の説明を受けてきたものである」とありますが、これではだれが説明を受けて、だれがやるのかが非常にわかりにくい文章になっているので、ここについては「これを『基本的に維持するものと考える』とされた」で1回切ってしまう。しかも消費者庁が説明を受けてきたというのは、原料原産地表示の拡大が云々という話は、こんぶ巻きも含めて、消費者庁が進めていたわけですね。そうすると、このパラの最後のところは「基本として検討を進めてきたものである」とする。「説明を受けてきたものである」というよりも、消費者庁がやってきたということではないのかと思います。
 ですから、先ほども言いましたように、下から3行目は「された。」で、その最後のところは「検討を進めてきたものである」と直してはいかがかと思います。
 それと、このページの下から4行目の左側に「指摘があったことから」とありますね。全体を読んでみたらわかりますけれども「指摘」だったり「意見」だったり、いろいろ出てくるんです。うまく使い分けておられるのかどうかわかりませんが、「指摘」が例えば2ページ目以降、3ページ目以降もあちこち出てくるんですが、これはすべて「意見」としてはどうかと思います。「指摘」というと、何か間違ったものを指摘するみたいなイメージなんですけれども、こういう意見が各委員から出てきたということだと思うのです。あちこちあるので、1つしか言いませんけれども「指摘」となっているところは「意見」としてはどうかと思います。
 1ページ目については、以上です。

○田島座長 ありがとうございました。
 ただいまの御意見については、字句修正等の意見でございますので、余り議論はしないと思いますので、続いてよろしくお願いします。

○山本委員 2ページ目からの1.となっているところです。
 真ん中辺りの「しかしながら」のパラです。「しかしながら、原料調達先のグローバル化が進展する中で、産地表示を強調する」は、強調するのは産地ですので「表示」は要らないかなと思います。「産地を強調する加工食品が多く見られる」ということだと思います。
 その下の「このため」のパラですけれども、ここのページも、その次のページの1行目もそうなんですが「原材料の品質が製品の品質に」というフレーズで、やはりここは原料原産地の話ですので、従来から言われるように、原産地に由来する原材料の品質が製品の品質に影響を与えるのですから、必ず「このため、その原産地に由来する原材料の品質が製品の品質に影響を与える」と言わないと、正しくないと思います。
 脚注の4行目に「日本農林規格制度(JASマーク)として発足し」とあって、その後にずっと経緯が書いてあって、その3行下に「品質表示が義務づけられた」とあります。ここまではいいのですが、それで「JAS法制定当時に比べると」云々があって、有機JASや特定JAS等が出てきます。この流れでは、義務付けられた話と任意として今、存在しているものが混在しているので、例えば最初に言いました脚注4行目の「日本農林規格制度(JASマーク)」の頭のところは、「任意の日本農林規格制度(JASマーク)」とし、その最後の方にある「JAS規格についても有機JAS、特定JAS」は、これも届出すれば付けてもいいという、いわゆる任意表示ですので、「任意表示としての有機JAS、特定JAS」と説明する方が、混在しないでわかりやすくなるのではないかと思います。
 3ページ目は、3行目の段変えした後に「食品選択の重要な要素となっている」とありますけれども、原料原産地に関する情報が商品選択の重要な要素となっているかについては、例えば中毒事件とかが起きたときは、確かに選択するときに「どこどこ産だ」という表示を見ようとしますので、商品選択に当たっては非常に重要な情報だったのかもしれませんが、平時のときは余り気にもしないというのが本当のところだと思います。
 そういう意味では、最後のところで「食品選択の重要な要素となる場合もある」とする方が現実は正しいのではないかと思いました。
 1.については最後ですけれども、その下のパラ「また、必ずしも」から始まる最後の方に「品質についての考え方も変化しつつ」とあります。そこで消費者庁の方にお伺いしますが「品質についての考え方が変化しつつある」と認識されているのかということです。
 品質とは何かと言われたときに、いろいろ調べてみますと『食品工業総合辞典』というものがあります。その中で、品質の要素を決めています。辞書に載せてあるのです。それが変わりつつあるのかということをお聞きしたいと思います。
 多分、共同会議のときにも、この原料原産地の話のときは『食品工業総合辞典』、これは日本食品工業学会が編集したものですが、そこで定義している「品質とは何か」という考え方に沿って、栄養とか、安全とか、嗜好性といったものについて、品質の要素というものを決めていて、その考え方でもって以前の共同会議の議論があったはずだと理解しています。栄養だったら、当然健康増進法ですし、安全なら食品衛生法ですし、ですからJAS法は嗜好性ということになって、その嗜好性がどんどん変わっているという表現を認めてしまうのかというのが、どうなのかなという気がしまして、消費者庁はどう認識されているのか。文章としては、どうこう変えるということはないんですが、ここに載せていることをどう解釈するかということなんです。
 1.については、以上です。

○田島座長 今、品質というものの概念についての御質問がありました。JAS法は品質表示の適正化に関する法律というのは、JAS法自身の表題にもなっているもので、品質ということをどうとらえているかということを消費者庁の方から一度御説明願いますでしょうか。

○平中課長補佐 山本委員が御指摘のとおり、品質についての法令上の定義というのは、法律制定以来、変わるものではないと考えております。
 一方で、過去の経緯なども書いていただいていますように、品質というものに対する消費者の認識、意識というものは、変化しつつあるのではないかということも、そのとおりではないかと考えております。

○田島座長 阿南委員、どうぞ。

○阿南委員 今、1.のところで議論したのですけれども、立石さんからは、品質についてこれまで共同会議がどう位置づけてきたのか。もともとは誤認を防止するということだったのではなかったか。ここからその問題が起こっているという、非常に的を得た指摘があったと思いますので、それをどのようにここに盛り込んでいくかという議論をちゃんとすべきだと思います。
 1.の山浦さんの意見においても、基本的な考え方のことについては、グローバル化をどうとらえるのかとか、情勢についてどう表現するのかということについても問題提起があるわけですから、それについてもどう取り組んで、どう整理していくのかという議論をすべきだと思います。

○田島座長 今、阿南委員から、品質をどうとらえるのか。もともと原料原産地表示というのは、品質の差があるからこそ原産地表示の義務化というのがあるというので、品質についてもう少し議論をするべきではないかといった御意見がございました。
 ほかの委員の方からの発言ございますでしょうか。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 そのとおりだと思います。そこを抜きに議論があったとしても同じことの繰り返しです。だから、JAS法で位置づけることが適切だったのかというところをまず抑えなければいけないと思うのです。生鮮品でさえ我々が見ただけで、外観上の品質の差異がない中で、なぜ加工品で品質の差異が出るのか、ここのところをまず考えなければなりあません。生鮮品ですらないのに、何で加工品がこういう要件 I ということになるのか。それぞれの条件はどうするのかということも含めて、ここで答えを出していかなければいけないと思います。そうしないと、また次に同じことを違うテーブルが用意され、人が変わって、同じ議論をしたときに、またこの要件 I 、 II から始まって、同じようにまた食品メーカーさんを呼んで、ヒアリングから始まってと、同じことをやるだけです。最初の入り口を間違うと、どうしても日本の制度というのは、間違うとそこからずっと抜けられないのです。同じ延長線上で走っていくわけです。それを上塗りしているだけなのです。
 だから、このときに、もともと原産地を品質に位置づけたところに誤りがあったということをここで素直に認めて、ではどうするのかと切り替えていかなければ、この議論は進まないのです。もう一度これに対して異議を唱える方がいらっしゃるなら、おっしゃっていただきたいです。原産地は品質なのかということを本当に言い切れるのですか。私は、そこはまったく自信がありません。。私も30年間ずっと生鮮物の世界でやってきた人間ですけれども、わからないです。そこは全く理解できないのです。

○田島座長 阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 本検討会は、1.のところで記してあるように、品質についての議論もあり、原料原産地表示の目的など、原点に戻った議論がなされ非常に意義があったことだと思います。
 そんな中、品質について山浦委員からも先ほどのグローバル化、そして立石委員からは価値観の変化というところが今までとは合わないというか、ちょっと違うのではないか、あるいはこれらの内容を盛り込むべきではないかという意見です。このことについては、要件 I の箇所で、品質についての考え方も変化しつつあるのではないかという指摘もあったという記述がそれらを包含していると思うんです。
 しかし、この記述も非常にあいまいな表現だと思いますので、もっと明確にすべきだと感じております。
 以上です。

○田島座長 ほかの委員の方からございますか。
 迫委員、どうぞ。

○迫委員 生鮮食品の品質の問題、加工食品の品質の問題について、原産地に由来するというところは、今はほとんどないだろうというところは、立石委員のおっしゃるとおりだと思います。
 そういう意味で、この原料原産地表示の位置づけるべき法というのが、JAS法で真にいいのか、悪いのか。ここの問題というのは、多分一元化の議論の中できちんと精査されるべきことだろうと思っております。
 実際に、加工食品に関しましては、品質に差異が見られるかどうかという要件があるわけですけれども、実際には、加工食品を製造されている事業者の方々の御意見を聞いた中でも、品質に差異がないように調整をされて、製造している。それについて品質の差異というところで規定していく。しかも、それに原産地を要求するということ自体が、品質の差異を原産地が表すわけではないという論理からすれば、これ自体は問題だろうと思っています。
 ただ、そうは言っても、現在はJAS法の中での規定でございますので、これは前回もそういうお話を申し上げたかと思うんですけれども、JAS法の中で検討していくべきときと、今後の一元化の議論の中で検討していくべきこととでは、明らかに立ち位置が違ってくるだろうと思っております。
 以上です。

○田島座長 ありがとうございました。よろしゅうございますでしょうか。
 そうしますと、阿久澤委員が御指摘していただいたとおり、この報告書(案)の品質についての考え方も変化しつつあるのではないかという表現では不足であるので、少し補足をする必要があるというのが多くの委員の御意見だと思いますので、この点につきましては、具体的な文案は今、お示しできませんが、修文をしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 そこのところは一番大きなところでありまして、もし原産地と品質は違うのだということをここで確認できれば、JAS法でやることは意味がないのではないかということで、あとの議論なんかする必要は全くないのです。JAS法でやることがそもそも間違いだったんだから、ここで修正すべきだと整理すればいいのです。だから、次の新しい一元化のときには、新たな法律の枠組みでやるとか、違う方向でやるべきだとここで最終とりまとめをすればいいんのです。そうではないですか。だって、皆さん間違っているということを思っているわけでしょう。そうであれば、この調査委員会でそう結論すればいいのです。JAS法でやるのはそもそも違っていたと。少なくとも、今は違うと。過去のずっと昔はそうかもしれない。今は、この時点では、大きく時代と合っていないということを確認した上で次のステップに行くとすればいいのです。

○田島座長 日和佐委員、どうぞ。

○日和佐委員 ですから、この報告書のところでどうやって整理をして記述をするかということにつながってきていると思います。
 今までの議論の中でも、JAS法がそもそも問題なのだという意見もあり、だけれども、現在はJAS法にのっとってやらざるを得ないから、当面はそこの立場に立って議論をし、本来、食品表示の統一ということがなければ、JAS法の改正ということで議論を進めることもできたわけですけれども、今、JAS法の改正を言っても、食品の統一が24年ということで決められているわけですので、むしろそこできちんとやってくださいとした方がいいのではないかという形で、それで整理をして、前段は現在のJAS法にのっとってやっていくことでの問題点や課題を述べ、最後の6ページのところで、JAS法でやるには限界があるということも書いてありますし、最後のJAS法にとらわれない幅広い議論が行われという文章になっているんですが、これで不十分であるということであるならば、ここにもう少し書き加えるということで解決はできないですか。

○田島座長 この原料原産地表示の拡大の進め方に関する調査会というのは、あくまでも現行のJAS法の範囲内での原料原産地表示の拡大を目指すものであって、JAS法では解決できないんだから、この調査会は全く意味がないと断定されてしまうと、何のためにこの調査会を開いたのかという議論になってしまいますので、ただいまの日和佐座長代理の御発言のとおりのことで何とか治めていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 それであれば、私が先ほど提案したように、具体的な方向性として重量順で2番目までをすべて義務化するという方向づけを明確にすればいいのです。多分、これしかないです。事業者の立場、メーカーの立場から言っても、これがぎりぎりのところであると思います。これは恐らく、韓国も相当もんで議論されて、食品メーカーさんとも相当やりとりした上で決まったことなのです。恐らく日本でも、実効性という面では、感度としてこれがぎりぎりのところだなと思っております。だから、このことを最後に明確に打ち出せばいいんのです。いわゆる重量順で2番目までを必須とすると。冠はきちんと書いてくださいと。それから、ころころ原産地が変わるものについては、大括り表示でいいですよということにしてしまえば、少なくとも、今のJAS法の延長線上の中で、これで事足りるわけです。それを具体的にここの中で確認したいと思っているのです。できませんか。

○田島座長 ただいま立石委員から提案がございましたけれども、それを議論するには時間が足りないと私は思います。この調査会は、本日で終了ですので、第7回、第8回辺りまで設定して議論していただかないと議論は取り上げられないということを含めて、できないと思います。
 ですので、やはりそういった御提案があったということにとどめざるを得ないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
 山本委員、どうぞ。

○山本委員 私は日和佐委員の提案がいいと思っています。
 今日配付された資料の12、13ページの調査会の設置とか、進め方についてという第1回目の調査会で配られた資料の、例えば12ページでいいますと「3.調査会の所掌」とか、13ページの進め方については最初の「1 趣旨」のところに、要は「JAS法に基づく原料原産地の拡大に基づいて」明記してあります。それにのっとって今回の報告書も1.~5.までは、JAS法にのっとった内容でどのような議論がされたか。どのような意見が出たかとか、そういったことをJAS法の範囲で問題提起されている内容についてまとめ、6.で、それ以外のものについて、いわゆるJAS法にとらわれない話について書かれていると、私は理解をして進めてきました。ですので、日和佐さんの提案とおりで私は本調査会のまとめは十分であると理解しております。

○田島座長 ありがとうございました。13ページにある調査会の進め方についてということで、これは消費者委員会でもっておまとめ願ったので、その趣旨の最初のところに、本調査会は、具体的には「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律に基づく」と書かれておりますので、JAS法の範囲内で議論するというのが自明だと思っております。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 ありがとうございます。私も立石委員の提案というのは、非常に貴重な提案だと思います。それを書き込むかどうかというのは、いろいろ問題があるかもしれませんので留保いたしますが、今のお話を聞いていまして、2ページの書きぶりなんですけれども、やはりこれまではJAS法の範囲内で何とか工夫して品質でないようなものも対象にするような動きがあったわけです。ですから、ここで強調すべきは、JAS法の土俵の中では限界があるということをもっと強調し、そこをもう少し表現して、最後の6.のところで統一的な表示法の在り方が重要だとつなげていくことが重要ではないかと思うんです。
 グローバル化については、ここに書いてある書きぶりではなくて、私が先ほど申しましたように、消費者のさまざまな認識が拡大してきたという辺りをもう少し書き込んで、だからJAS法の限界内ではもうだめなんだということが。わかるように工夫した方がいいと思いますので、是非具体例として、原料の原産地か加工地かといった例ではなくて、私が述べたような問題を是非取り上げていただきたいと思います。

○田島座長 ありがとうございました。
 それでは、阿南委員からの御指摘もございましたし、山本委員、立石委員の話もありましたので、3ページの最後のところは、少し修正をしたいと思います。それで6.につなげていくということで、日和佐座長代理の御提案のとおりとさせていただきたいと思います。
 それでは、2.につきましては、山本委員お願いいたします。

○山本委員 2.は、4ページの国際規格との関連性のところで、2番目のパラの最後「原料原産地表示についても過去に議論されたが、結論は出ていない。」となっていますけれども、コーデックスにおける原料原産地の議論というのは、議論したけれども、加盟国の同意を得られないので議論をやめたのであって、継続しているような書き方になっているんですが、やめたんだと思います。どこかでそれを聞いたなと思って、いろいろ調べてみたんですけれども、昔、SPS小委員会、業者間取引の問題の際、当時、農水省が出した資料の中に、当件は2000~2005年までに議論したものの加盟国の合意が得られず、作業が中止とありました。中止ですから、継続とは違うので、書くのでしたら、「議論はされたけれども、合意が得られず中止となった」とか、その事実を書いた方がいいのかなと思います。
 2.については、その点だけです。

○田島座長 ただいまの話は、私もコーデックスは余り詳しくないのでわかりませんので、消費者庁の方で精査していただけますかね。議論を中止したのか、あるいは継続なのか。消費者庁の方で、多分コーデックスの情報というのは入っていると思いますので、その方は精査していただきたいと思います。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 その箇所については、原料原産地という部分も重要ですけれども、コーデックスの方で原産国の優良誤認のようなことが起きないようにしなさいというルールがあるわけです。そこを強調されて、それで日本としても、その線に沿って今後もしできれば、原料原産地といったことも考えて、国際的な議論を喚起するということが重要ではないかと思いますので、コーデックスは非常に消極的だと表すのではなくて、既にコーデックスの規格において原産国の省略が消費者を誤認させるということがある場合には、ちゃんと表示しなさいというルールがあるんだということをむしろ前面に出す必要があると思います。

○田島座長 ありがとうございました。
 それでは、2.については、立石委員お願いします。

○立石委員 この書き方でいくと、国際規格の関連性の中でさらっと書いてありますけれども、5ページ目の脚注の2.4のところにかいてある「加盟国は、強制規格を必要とする場合において」の後の3行目の「ただし」のところです。「ただし、気候上の又は地理的な基本的要因、基本的な技術上の問題等の理由により、当該国際規格又はその関連部分が、追及される正当な目的を達成する方法として効果的でなく又は適当でない場合は、この限りでない」というところをどう解釈するかなんです。
 要するに、できないことを国際規格が言っているかということではなしに、こういう条項のところをどう読むかというところでいくと「この限りではない」ということは、地理的な基本的な要因だとか、技術上の問題だとかがあった場合は、この限りではないという条項があるということをもう少しきちんと織り込むべきなんです。できない、できないということを国際ルールがどうだと言う人がいらっしゃるのですけれども、国際ルールもここのところを見る限りは、そうではないのです。そのところをもう少し強調すべきだと思います。

○田島座長 ありがとうございました。
 物の見方ですから、なかなか難しい話でございますね。そういう御意見というのも承りました。
 迫委員、どうぞ。

○迫委員 2.の「マル4 表示の実行可能性の確保」の書きぶりなんですけれども、表示の実効可能性というところについては、公的な措置、罰則、その他というマイナスの要素だけではなくて、任意表示等々で表示そのものが推進されてきているという実態もあるわけで、その辺も実行可能性というところの中には前段に書き込んでいくべきことではないかと思っております。
 できない理由という事業者側の理由だけでこれが行くわけではないということで、きちっと入れておいた方がいいと思います。

○田島座長 そのとおりですね。ありがとうございました。
 それでは、2番目の話は以上で「3.加工食品の原料原産地表示の義務対象品目の選定要件の考え方について」につきまして、山本委員、お願いいたします。

○山本委員 3.のところです。ちょうど真ん中辺り、段が開いているところからの4行目で「必ずしもそうではなく、加工技術の向上とともに50%以下の品質の差異が認められる場合もあり」とありますけれども、一般的には、加工技術の向上というのは、品質の差異をなくす方法を一生懸命技術開発したりしていますので、ここで50%以下の品質の差異が認められる場合もあり得るというのとちょっと意味が違ってくるようにとらえられてしまうのではないかと思います。
 ですので「加工技術の向上とともに」という文言は要らないと思います。「50%以下でも品質の差異が認められる場合もあり得る」というのは、事実として認めるとして、その前のフレーズは要らないので取る方が妥当かなと思います。
 それから、これは私の個人的なこだわりなのかもしれませんが、その上の「要件 I は」から始まるパラの最後に「『品質の差異』に着目することは必須であると考える」とありますね。ぱっと読んでわかると言えばわかるんですけれども、ここで「品質の差異」に着目する」と単独に「品質の差異」だけを取り出すのではなくて、やはり要件 I とされている「原産地に由来する原料の品質の差異が加工食品として品質に大きく反映される」ことに着目することとか、そういうふうにしないと「品質の差異」だけよりも、きちんと説明ができるのではないかと思います。

○田島座長 要件 I について、すべて文章どおり記載する方がいいということですね。

○山本委員 「一般に認識されている品目」までは、要るか要らないかは考えなくてはいけないけれども、少なくともその前まで「反映されること」に着目するということが必要だと、この文章としては思いました。
 あと、このページは結構「指摘」とかいっぱい出てくるのですけれども、それも全部「意見」だと思います。
 もう一つ、7ページの4.の前です。下2行目から「行政による監視可能性等について調査した上で」とありますね。例えば、事後検証として科学的に分析するというのと、監視というとどうしても組織とか、人とかの体制のイメージがあるんで別の意味があると思います。なので、書くのであれば「実行可能性、行政による事後検証・監視の可能性等について調査」だと思います。技術と人みたいに。私はそう思って読みましたが、いかがですか。
 以上です。

○田島座長 最後の御指摘は、言葉の問題ですかね。確かに「監視可能性」というとあいまいな表現ではありますけれどもね。「事後検証」というのも適当ですかね。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 これはコンプライアンスに対してちゃんとチェックしているかどうかという流れの話なので、私は「監視可能性」がいいのではないかと思います。それに含めて、体制についての事後的な在り方を事後検証するということもあるかもしれませんが、やはり重要なのは、事業者の実効性について、行政がちゃんとチェックできるかというところの話だと思いますので、私はこのままでいいと思います。

○山本委員 ですから、行政がチェックするに当たっても、技術的な、科学的なテクニックというのと、要はそれができる人がいるということで比べた方が丁寧かなということで言っているんです。

○田島座長 少し文章を考えさせていただきます。意味としては、山浦委員がおっしゃるように、確かに「監視」ですね。
 迫委員、どうぞ。

○迫委員 少し違うところになりますけれども、6ページの下の方に「冠商品」という記載がございます。冠商品というのは、原材料の名称が付された製品という形なんですが、ここの部分に強調表示の部分、原産地の強調表示。冠商品以上に表示するべき項目としては、原産地の強調表示だと思うんです。原産地を強調表示しているものについては、少なくとも義務的に表示をしていくべきではないか。義務的に表示をする表示義務に関しての規定は整えていくべきではないかと思っておりまして、その辺を追加していただければありがたいと思います。

○田島座長 わかりました。
 阿南委員、どうぞ。

○阿南委員 細かいところで申し訳ありませんが、要件 I の6行目のところですが、先ほどの「原産地に由来する原料の品質の差異が」という「『品質の差異』に着目することは必須であると考える」のではなくて「注目することは必須となる」とした方がいいのではないかと思います。今後、JAS法の目的に基づいてそれを使う限り、そうせざるを得ないという意味です。そういうふうにしないといけないですね。

○田島座長 日本語的にそうだと思いますね。
 そのほかございますか。
 それでは、山本委員、4.のところではいかがでしょうか。

○山本委員 4.は、ありません。

○田島座長 5.に移って「原料原産地表示義務対象品目の選定方法について」についての御意見はございますでしょうか。

○山本委員 5.の内容も非常に難しいことを書いているので、幾つかあるのですけれども、8ページのちょうど真ん中辺りです。「他方」から始まるパラの3行目。「国民の意見を十分に汲み上げるためには」とありますが、その前が「消費者の多様な意見をまとめることは難しいとする意見もあり」となっていますので、「国民の意見を十分に汲み上げるためには」というのは、汲み上げてまとめるということなので「汲み上げて、意見をまとめていくためには」だと思います。汲み上げるだけというよりも、その方が正しい表現として書けるのかなと思います。「汲み上げて、意見をまとめていくためには」だと思います。
 その下の「また、消費者からの要望の」の2行目に「事業者団体等を中心に任意表示や強調表示によって消費者へ原料原産地」とあります。確かに迫委員がおっしゃったように、強調表示もそうですけれども「取組を促進し」となるんでしたら、今、自主的情報開示というのもありますので「任意表示や自主的な情報提供等によって消費者へ原料原産地に関する情報を伝達する取組を促進し」とする方が、今の全体の動きとしては合うのかなと思います。
 そのパラの最後のフレーズですけれども「取組状況や負担の程度を調査・分析して、義務化に向けた」とありますが、意味としては「無理のない」ということですね。無理のある義務化を強いても、絶対に守れませんので、意味としてはそういうことだと読んでいます。
 それと1段開いて「消費者庁においては、これらの意見を踏まえ、消費者の要望がより反映される」とあるんですが、要は事業者の声も聞く、消費者の新しい声も聞きなさいと言っていますので「消費者・事業者双方が納得のいく」と両方書いておかないと、ここだけ「消費者の」というのは、これまでの流れからしておかしいかなと思いました。だから「消費者・事業者双方が納得のいく対象品目の選定方法について」という方がいいと思います。
 長いですけれども、あと1点。真ん中辺りの「他方」のパラの3行目に「このような消費者意識にも留意して」とありますね。「このような消費者意識」というのはその前の文が「消費者の多様な意見をまとめることは難しいとする意見もあり、国民の意見を十分に汲み上げて、意見をまとめていくためには、このような消費者意識」とつながりますが、「多様な意見」とはどのようなものかと言われたときに、もうちょっと説明が要るのかなと思います。
 例えば「てにをは」を無視して、内容だけですが、消費者にアンケートをして回答してもらうときに必要な判断材料となるもの、例えば原料原産地は安全性には関係ないよとか、原料原産地表示を実行した場合の消費者のメリットとデメリットをはっきり示した上でアンケートをとるとか、こういった何か具体的な例があった方がわかりやすいのかなと思いました。
 以上が私の意見です。

○田島座長 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 今の山本委員の御提案なんですけれども、全体的に消費者、事業者というところのバランスをとるような方向性が出されていると思いますが、私としては、今の8ページの第2パラグラフの最後「考えられる」の後に、先ほど私が申しましたように、この共同会議の報告書の最初にある「消費者の要望を第一に考えることが重要だ」と思っておりますので、そういった方向性で議論をすべきだという意見があったということを是非加えていただいて、それに対して、事業者のことも考えてくれといったニュアンスのものもあったという両論併記にしていただきたいと思います。

○田島座長 山浦委員の御提案の消費者の主張、山本委員が御主張している消費者と事業者とのバランスをとったということを並列して書くようにしたらというので、そのようにしたいと思います。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 「他方」以下のところで「パブリック・コメントを実施しても、農林水産物の生産者の要望は収斂しやすいが」とあるのですが、これは「農林水産物の生産者・食品事業者」だと思うのです。農林水産物の事業者ばかり声を出してということではなしに、当然利害関係の方も反対の意見をどんどん出されているわけですから、そういうことをきちんと書くべきだと思います。

○田島座長 生産者と狭く限定しないで、事業者と広くすべしという要望ですね。

○立石委員 ここは原料生産者のことを言われているのですか。原料生産者と食品事業者というか、両方含まれているという意味合いだったら、そういうふうにわかるように明確にしておいた方がいいと思います。

○田島座長 迫委員、どうぞ。

○迫委員 先ほど山本委員から御指摘のあった任意表示や強調表示という部分でございますけれども、強調表示そのものは、事業者にとって商品の差別化という意味で表示されているものであろうと思います。情報提供の意図もあるかもしれませんが、そこはかなり違いがあるのではないかと思いました。ここには、やはり先ほどおっしゃられたように「自主的な情報提供」という言葉の方がそぐうのではないかと思います。
 強調表示については、その前に申し上げたような、そこできちんと書き込んでいただく方がいいのではないかと思っております。
 以上です。

○田島座長 ありがとうございました。そのようにしたいと思います。
 ほかにございますか。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 意見もあったということであれば「すべてを表示すべきだという意見もあった」と書いていただきたいと思います。要は選定ですから、すべてを表示すべきであるという意見もあったと、ここにも書いていただきたいと思います。

○田島座長 承りました。
 阿南委員、どうぞ。

○阿南委員 それと関連するのですけれども、どうやって表現したらいいのか提案がないので言わなかったのですが、今、立石さんがおっしゃったように、消費者の選択や、知る権利を考えたときには、その大前提は、全部情報提供するということだと思います。そうすると、今は要件を設定して、それに基づいて表示したいものを意見募集して、要件でもって選定していくわけですけれども、原則全部表示とするとそんなことをする必要がなくなるわけですね。つまり、わざわざこういう手間をかける必要がなくなっていくということです。それは大事なことですので、そうした大前提をちゃんとここに確立してやっていくべきだということをここにも書いた方がいいのではないかと私も思いました。

○田島座長 そういう意見もあったと表現させていただきたいと思います。

○日和佐委員 6.で入れるということもありますね。

○田島座長 一元化に向けて議論するときに。

○立石委員 JAS法の加工食品品質表示基準の見直しについても提案しておりますけれども、この場合は、JAS法の中だから、5.の中でもできます。JAS法の加工食品品質表示基準を少し変更するだけでできるわけですから、そういうことも十分視野に入れて検討すべきだと思います。

○田島座長 現行のJAS法の範囲内でも、すべての表示をすることはできない話ではないので、書き加えるべきだという御意見ですね。
 ほかにございますか。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 今の5.のところに、先ほどの立石委員の改定(案)の重量順にという提案もあったということを具体的に書いていただいて、6.で今後の一元化に向けてJAS法以外のルール、すべてを表示するとか、そういうことも提案があったと具体的に書いていくこともいいのではないかと思います。

○田島座長 わかりました。
 山本委員、どうぞ。

○山本委員 それらの提案について、6.で触れるということもあるでしょうけれども、実際には6ページの下から2つ目のパラの「他方、それでは何%とすることが適当か」云々の話の中に「例えば、冠商品」の後「原材料の重量に占める割合が多い順にいくつかの主要原材料を対象とすること、重量に占める主要原材料の割合が一定以上の商品を対象とする」と一応出てきてはいるんです。
 ですから、ここに載せるか、6.に載せるかというのはいろいろあるのでしょうけど、報告書の構成とおり理解すれば、ここは要件 II の話なので、そういう話を載せざるを得ないだろうと理解して読んでいました。
 JAS法から飛び出さないながらも内容を大きく変えるとなると、6.の方かなと思います。載せるなとは言いませんけれども、載せるのであれば6.の方がいいのかなと思います。

○田島座長 そうですね。難しいですね。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 6ページのところですが、要件 I 、 II を前提としたというイメージなのです。だから、ここには具体的な提案としてはふさわしくないと思っています。ここはあくまでも、要件 I 、 II のところなので、だから、ここに記載するのは適切ではないと思います。

○田島座長 やはり6.のところに記載するというのが妥当なところだと思いますがね。6ページのところは、少なくとも要件 I 、 II についての記述ですからね。

○日和佐委員 要件 I 、 II だから、ここは品質と関連付けざるを得ないですね。

○阿南委員 具体的な提案については、5.のところに持ってきますか。要件 I 、 II についてまとめて。

○田島座長 5.の8ページのところに触れて、それからまた6.でも触れる。

○阿南委員 そうですね。

○田島座長 要件 I 、 II の6ページのところではなくて、8ページのところに記述して、なお6.でも触れるというふうに2段構えでもって記述したいと思います。
 山本委員、どうぞ。

○山本委員 ちょっとした心配なんですけれども、そうすると6ページの、特に要件 II の部分に何を書くかというのが非常に難しいので、どうしますかね。7ページにつなげるようにストーリーを組み立てるのが、ここから外してしまうと難しいのかなと思っていますが、どうなんでしょうか。

○日和佐委員 これはこのままで残しておいていいですよ。

○田島座長 6ページの記述はそのまま残しておいて、かつ8ページに加えて、更に9ページの6.にも加えるといった整理をさせていただきます。
 では、6.の段落について。

○齋藤審議官 済みません、ちょっとだけ確認したいんですが、今のお話ですと、重量順に2番目まで記載できるようにするという御提案を8ページのところに書き込むということでしょうか。

○田島座長 重量順といいますか「すべての原則として、すべての原料原産地の表示を行う」という表現でしょうね。「重量順に2番目」という表現ではなくて「すべての原料原産地表示を行う」といった表現だと思います。

○齋藤審議官 後で聞くまでもないと思うんですけれども、この。

○立石委員 具体的な点としては、重量順で2番目までというのは、私が意見書の中で書いてある提案をここに書き込んでいただくのが一番理想です。

○阿南委員 実際のやり方として、このようなことがあるだろうということですね。

○齋藤審議官 7、8ページに書いてあるのは、最終品目の選定方法について、まずどういうものを選び出すかというところの議論かと思いましたので、選び出すということではなくて、もうすべてを対象とすべきだという御意見があったということを書くということで、選定対象を選び出した後に、では何を今度表示するかというのは、また次の議論かと思いましたので、重量順に2つのあれとか、その辺の議論はまた次の段階の議論としてあり得るかなと思いました。

○立石委員 私の思いとしては、JAS法ということで言えば、ここに書いてあるすべての加工品を対象として主な原材料の重量が上位2番目までの原料原産地表示を義務化の対象としという部分にしてもらい、その後の付帯条件を外すということの方が明確です。JAS法という中で言えば、これが一番具体的な中身として残しておいていただきたいと思います。

○原事務局長 たびたび事務局で申し訳ありません。
 7~8ページに書いているのが5.から始まる対象品目の選定方法についてということで、選び方についての議論をしていますので、一方で、全く選ばずに、今、おっしゃられたように、上から2つというのはあり得る話なので、ただ、それは5.の整理というよりは、そこに加えて、今の御提案を書くということもありますが、ただそれは9ページにあります6.の話の中で、今、おっしゃられた話を具体的に書いた方が、今後の議論には生きるのではないかとい思います。

○田島座長 よろしゅうございますか。
 それでは、5.に立石委員からの御提案を書き込むことにしたいと思います。
 6.に入りましたけれども、6.について、御議論いただきたいと思います。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 最後のパラグラフの中に挿入を提案したいんですけれども「食品表示の一元的な法体系のあり方の議論においては」の次に、先ほど私が提案しました「消費者の選択権を確保するために食品表示があるということを念頭に置き」という文言を是非挿入していただきたいと思います。それが今後の一元的な法律の設定に向けての1つの方向性を示すという意味があるからです。

○田島座長 承知いたしました。
 ほかにございますか。山本委員、どうぞ。

○山本委員 そんなに強いこだわりではないのですけれども、例えばこの報告書は、原料原産地表示についてずっと書いているわけでありますので、下から2つ目のパラのところの、例えば「食品のトレーサビリティ制度の検討とも連携すべきという意見、優良誤認についての考え方を整理すべきという意見」がありますが、要はトレーサビリティとか優良誤認は公正取引委員会辺りの話と原料原産地の話とは、直接関係ないのかなという気もしています。こういう意見が出たということであれば、それはそれでいいのかもしれませんが、原料原産地表示の拡大という意味では、余りここは直接関係ないかなという気はします。いかがなものでしょうか。

○田島座長 確かにそのとおりですね。ここのところは、もう一度、事務局で再考としたいと思います。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 むしろ関連があると思いまして、その一元化を考える際に、既存の米トレーサビリティとか、今後実現するであろう全食品のトレーサビリティとか、こういったルールの下で一元化ということが始まると考えておりますので、やはり関連事項としてこれは外せない。そういう意見も実際出ましたし、それは是非盛り込んでいただきたいと思います。

○田島座長 山本委員、どうぞ。

○山本委員 6.の題名が「一元化法律の検討を進める」ということで、その中で原料原産地の議論を更に深めるにはどうしたらいいかということだと思って読んでいるのですけれども、一元化法案は一元化法案で別の方で動きますね。だから、その中で原料原産地として更に議論を深める問題はどうかという課題を上げるときに、トレーサビリティとか優良誤認というのは、直接的には関係ないのかなという気がしているということです。一元化法案検討がどうのこうのと言っているわけではありません。

○田島座長 「整理すべきという意見」という書きぶりですので、やはり残したいですね。
 1.~6.までずっと来ましたけれども、全体を通じて、御意見ございますでしょうか。できるだけ各委員からの御発言は、報告書に盛り込みたいと思っております。よろしゅうございますか。
 それでは、今後の取扱いでございますけれども、ただいまいただいた御意見について、修文いたしまして、これは事務局からメールで配信いたします。それで御確認いただきたいと思っております。
 ただし、最終案といいますか、最終のものについては、恐縮ですが、座長に一任をさせていただきたいと思います。担当委員の日和佐委員ともよく相談して、とりまとめを行いますので、その前に一度メールでもって御意見を伺いますが、最終案につきましては、座長に御一任いただきたいということでよろしゅうございますでしょうか。

(「はい」と声あり)

○田島座長 ありがとうございました。
 それでは、本日いただきました御意見を踏まえて、報告書を修正しまして、今後の食品表示部会、消費者委員会に報告を行いたいと思います。
 本年1月から本日まで6回にわたる調査会の審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。短い期間でございましたが、皆様の御尽力の下、調査会としての報告書をとりまとめることができました。審議への御協力を重ねて御礼申し上げます。
 事務局から、今後の予定等について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 どうもありがとうございました。短期間で大変難しい議論をお願いしたと思っておりまして、今後、食品表示の一元化の中でも、その検討は生かしていただけたらと思います。どうもありがとうございました。
 最終的な報告に向けて、今日も幾つも御意見をいただいておりますので、また修文をいたしまして、皆様に御案内をしたいと思っております。最終は、また田島座長に御足労、御尽力をいただくことになるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 食品表示部会への報告につきましては、7月27日の食品表示部会、8月12日の消費者委員会に田島座長から、報告書に基づいて報告をいただくことを予定しております。
 委員の皆様には、お忙しいところ、最後まで御審議に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。
 以上です。

○田島座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ御協力いただきまして、ありがとうございました。

≪3.閉 会≫

(以上)