第2回 原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会 議事録

最新情報

日時

2011年3月10日(木)10:00~12:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
田島座長、阿久澤委員、阿南委員、迫委員、立石委員、日和佐委員、山浦委員、山本委員
【説明者】
社団法人日本冷凍食品協会 山本常務
社団法人全国清涼飲料工業 公文専務、雛本部長
藤田技術士事務所 藤田技術士
【消費者委員会事務局】
齋藤審議官、原事務局長

議事次第

  1. 開会
  2. 原料原産地表示に関するヒアリング
    • 社団法人日本冷凍食品協会
    • 社団法人全国清涼飲料工業会
    • 藤田技術士事務所
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。おそろいになりましたので、始めさせていただきたいと思います。
 皆様、朝早く、お忙しいところお集まりいただきありがとうございます。ただいまから消費者委員会食品表示部会「原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会(第2回)」の会合を開催いたします。
 議事に入る前に配付資料の確認をさせていただきたいと思いますが、第2回の議事次第と書かれたものの裏面に配付資料の一覧を掲げております。
 資料の1といたしまして、「原料原産地表示の拡大の進め方についての調査会のヒアリング項目について」。
 資料2といたしまして、枝番が入っておりますけれども、後ほどヒアリングをお願いしております社団法人日本冷凍食品協会から御提出いただいた資料。
 資料3といたしまして、同じく社団法人全国清涼飲料工業会から御提出いただいた資料。
 資料4といたしまして、藤田技術士事務所から御提出をいただいた資料となっております。
 席上でも参考になる資料を配付させていただいております。審議の途中で不足の資料がございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。
 それでは、田島座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○田島座長 おはようございます。
 本日は、消費者委員会事務局から原事務局長のほか、齋藤審議官、消費者庁からも御出席いただいております。
 本日は、原料原産地表示拡大の進め方に関して2回予定しておりますヒアリングの第1回目ということで、原料原産地表示の義務づけ対象品目を選定する際の基本的な考え方や対象品目の候補の選定方法などについて検討を行う上で、原料原産地表示についての現場の実態、海外の状況把握により、問題点の抽出及び課題の整理を行ってまいりたいと存じます。
 なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても、後日、公開することにしております。
 それでは、本日の議題に入ります。

≪2.原料原産地表示に関するヒアリング≫

○田島座長 今回は、まず、原料原産地表示についての現場の実態等について日本冷凍食品協会、全国清涼飲料工業会から、その後、原料原産地表示の海外の状況について藤田技術士事務所から、それぞれ各15分以内で御説明をいただきたいと思っております。今後の進め方について、各委員より御質問、御意見等をいただければと思っております。
 それでは、まず、ヒアリングに入る前に、消費者委員会事務局から、加工食品の原料原産地表示の義務づけ対象品目を選定する際の基本的な考え方、及び対象品目候補の選定方法を審議するに当たってのヒアリング項目についての御説明をお願いいたします。
 それでは、よろしくお願いいたします。

○原事務局長 事務局です。すみません、ちょっと事務局に手違いがございまして、担当の日和佐委員は御出席ですので、ちょっと今、席の準備をさせていただいておりますけれども、どうも申し訳ありません。
 それでは、進めさせていただきたいと思います。
 先ほど資料1としてお示ししたものですけれども、「原料原産地表示の拡大の進め方についての調査会のヒアリング項目について」ということです。
 1から6まで掲げておりますけれども、この項目については、座長とも御相談の上、今日お願いしておりますそれぞれの方々にも、こういう論点でお話をいただければということで提示させていただいたものです。
 1といたしまして、使用する原料が頻繁に変わる商品の表示のあり方ということで、原料の輸入元が頻繁に変わる商品ではどう対応したらよいか、いわゆる大くくり表示の可能性はあるかと。これは、食品表示部会でも御意見が出たところでございますので、その可能性はあるかということをお聴きしたいと思います。
 それから、2.といたしまして、中間加工品を原料とする加工食品の原産地表示はいかにあるべきかということですが、こういったタイプの食品群も大変多いところですけれども、中間加工品を原料として製品化する商品について、元の原料の原産地表示を義務づけるかどうか。中間加工品の製造地を原料原産地とすべきかという、これはずっと以前からの課題ではありますけれども、この項目についてのお考えをお聴きしたいと思います。
 3.ですけれども、中小のメーカーが大変たくさん存在しておりますので、中小のメーカーにおける実行可能性をどう考えるかと。多くが中小企業で生産されている商品について、実行可能性はあるのかということです。
 4番目の論点といたしまして、現行2つの要件がございますけれども、その1つの要件であります50%ルールの見直しですが、これはどう考えるべきかということで、いずれの原料も50%に満たない場合、こういった場合、表示されていない商品について、何らかの方法で見直す必要があるだろうかということです。
 5番目といたしまして、容器包装のスペースは非常に限られておりますので、表示を容器包装以外で対応する考え方はあるかと。例えば、お客様相談室の活用ですとか、その企業のホームページの活用等というようなことも考えられるかと思います。
 6番目ですけれども、原料原産地表示が拡大した場合、どのような影響が考えられるかということで、1つとしては経費の増大。販売価格への転嫁も含めて、この経費の増大についてどう考えるか。それから、先ほどの5.とも関連いたしますけれども、2つ目として、容器包装の問題として、表示可能な面積、それから頻繁な変更に対応できるかということ。それから、マル3といたしまして、原料供給元からの情報伝達が十分になされるか、これも実際に進めていく場合には、大変大きな課題だと思っております。
 7としてその他としておりますけれども、それぞれの業態ごと、それから事業所の規模ごとにそれぞれ課題があるように考えておりますが、全体的に大きな課題としてお聴きしたいヒアリング項目として御提示したいと考えております。
 事務局からは以上です。

○田島座長 ありがとうございました。事務局からヒアリングの項目で御提案がございましたけれども、これにかかわらず、各業界の御主張したいことは勿論ヒアリングしたいと思っておりますので、この資料1は別に議論する必要はないと思いますが、よろしゅうございますね。
 山浦委員どうぞ。

○山浦委員 拡大の進め方についてのヒアリングの項目のお話でしたけれども、ヒアリングそのものについての意見を少し述べさせていただきたいと思います。
 机上配付資料3の方でも意見を少し述べさせていただいておりますけれども、今日拝見しますと、このヒアリング項目は、今回の、今日来ていらっしゃる方を念頭に置かれているのかもしれませんが、事業者の立場といったことがかなり注視されていて、消費者から見て、この原料原産地表示の拡大はどうあるべきかということについてのヒアリングの内容が、やや薄いのではないかと考えます。今後の検討になるのかもしれませんが、ヒアリングの対象として消費者団体、市民団体の意見も是非聴いていただきたいと思います。
 例えば今日、後でもし時間があればそのときなのかもしれませんが、消費者にとりましては、やはり拡大ということが非常に重要だと考えておりまして、例えば、考え方として、全商品を対象に置くと。むしろ対象としない場合には、事業者の方で、なぜ対象にできないのかということをしっかり説明してもらうといったような、そういった発想の転換も必要ではないかと思います。
 それから、今日も藤田さんから御意見があるかと思いますけれども、海外における加工食品などにおける重要な要素といったものがどういうふうに表示の義務対象となっているかといった問題、それから、今後の対象として食用の植物油とか、しょうゆとか、米菓とか、原料の価格差が大きいと思われる畜肉製品とか、果汁加工品とか、そういったものについても、しっかりと今後拡大するような、そういう方向性というものを是非検討していただきたいと思いますので、その意味でも、消費者団体、市民団体の関心項目がどこにあるのかということを是非聴取していただきたいと思います。
 以上です。

○田島座長 ありがとうございました。ヒアリングはまだ続きますので、事務局とよく相談して進めたいと思っております。
 ほかによろしゅうございますか。
 それでは、1番目のヒアリングを日本冷凍食品協会の山本常務から御説明をお願いいたします。

(1)社団法人日本冷凍食品協会

○山本常務 日本冷凍食品協会の山本でございます。
 冷凍食品は、御存じのとおり、一番直近で、そもそも原料原産地表示が必要であるというようなきっかけをつくった食品だろうと思うのですけれども、大分状況が変わってきていることもありまして、今回の加工食品の原料原産地表示の拡大ということについて、協会として、あるいは冷凍食品業界としてどう考えているかということを中心に、意見を述べさせていただきたいと思います。
 いただいたヒアリングの項目については事前に十分了解していたのですけれども、必ずしもこれにこだわらずに、ちょっと順不同になっているかもしれませんが、簡単に意見を述べさせていただきたいと思います。
 私どもの冷凍食品というのは、そもそも、これはいろいろな加工食品がそうなのかもしれませんけれども、原料が非常に複雑多岐にわたっているということは事実でございます。先ほどちょっとどなたかからお話がありましたけれども、調味・香辛料を仮に除いたとしても、かなりの数の原材料を組み合わせて、いわゆるお惣菜型の食品をアッセンブルしてつくっているという状況なんですね。そういうことからしますと、原料がもともと複雑多岐にわたっていることに加えて、原材料を非常に安定的に、かつリスク分散という観点からも考慮しながら、勿論、国内、海外含めていろいろなところから原料を調達して安全性、安全性というのはセーフティという意味ではなくて、リスク回避という観点から原料を調達しているということもございまして、それはそれなりに管理していくことそのものが非常に複雑であるという状況がございます。
 原材料の種類も多いものですし、それから、調達先も比較的頻繁に変わるということもありまして、きちんと管理しないと、逆に原料原産地を書いたはいいけれども、表示のミスがあって生活者、消費者の方に御迷惑をかけることもあり得るということは、是非、御承知おきをいただきたいと思います。
 先ほどちょっとありました、ヒアリングの項目がありましたけれども、冷凍食品協会も、総じて非常に中小零細企業が多い。10人、20人という小規模の従業員を抱えて多品種の冷凍食品をつくっているという状況もございまして、そういう意味では、原料原産地表示をするということは、原材料の管理から始まって、それを表示するためのさまざまな仕組みづくりということを考えますと、中小にとっては大変厳しい状況にあるという実態がございます。
 もう一つは、今、2つ申し上げた中で、原材料が多岐にわたる、多様である、複雑である、それから中小が多いということも含めまして、仮に原材料表示をどこまでやるかということにもよりますし、どこまで精度が求められるかということにもかかわってきますけれども、かなり大変な作業だというのは、今までやってみてもかなり明確になっております。
 そういう中で、昨今の社会情勢からしますと、食品表示に関するミスが時々発生するわけですけれども、これは、あくまできちんと管理をした上でのミスでございまして、意図的に偽装ということは勿論論外でございます。そういう中で、やはりどうしても商品回収というところまで行動せざるを得ないという状況が出てくると思います。現在起こっている表示関係以外のいろいろな事象でも、食品安全には直接関係ないにもかかわらず、やはり生活者、消費者の要望という観点から、どうしても回収するということが起こっているわけですね。これは、原料原産地表示をやりますと、そういう意味での、今まで申し上げたような非常に難しい環境を抱えていますので、どうしても原料表示のミスが起こりかねない。それは決して意図的ではないのですけれども、ミスが起こったときにどうするか、それがやはり回収ということが求められれば求められるほど、当該企業にとっても非常に厳しい状況になりますし、ある意味では、食品の無駄とか、その他いろいろな社会情勢を見ても、これがかなり大きな損失になるのではないかということは十分懸念されますし、そのことを考慮していただかなければいけないのだと思います。
 冒頭にも申し上げましたけれども、そもそも原料原産地表示がどういう目的なのかということにもよりますが、私どもとして一番懸念するのは、安全性に問題があったと誤解されるために回収せざるを得ないということになりますと、それはそれでかなり手厳しい社会的な反応だと思います。
 これはもういろいろなところで専門家の方もおっしゃっていますけれども、もともと原料原産地を表示すること自体は、直接食品の安全性とかかわりないということだと私どもも理解しておりまして、にもかかわらず、そういった表示のミスが起こったときに、また安全性にかかわる食品上の問題が起こりましたということで回収といったような幾つかの措置が求められるとすると、これはかなり厳しいですね。
 やはり原料原産地表示の目的を明確にしていただくということ、これは是非必要だと思うんですね。後ほどどなたかからお話があると思いますけれども、国際的に原料原産地表示というものが必ずしも議論されていないという最大の理由は、恐らく安全性には関係ないのだということではないかと私どもは理解しているのですが、その辺のことを明確にしていただきたいと思います。
 それから、50%ルール、これは多分、現行の20食品群の経路の加工品の原料原産地表示が既に法律上、きちんとしてありまして、それが表示されているのですけれども、この制度を拡大することによって、原料原産地表示をあらゆる食品にということだとしますと、ちょっと目的が違うのではないかと思うんですね。
 今、JAS法で規定されている20食品群に対する原料原産地表示というのは、あくまで50%を超えるある特定の原料の品質が、それを経路に加工して最終製品をつくったときに、それに品質的に影響がある場合ということと、それから、その配合率が50%を超えているという2つぐらいの条件のもとに原料原産地表示を義務づけられているということだと思います。これは、そういう意味で、この法律を拡大するという解釈なのか、ちょっと私どもその辺が毎度よくわかりませんで、いろいろお尋ねするのですけれども、法律の趣旨、目的が若干違うのではないかと思うのですが、その辺はちょっと明確にしていただかないと、これはまた、事業者にとってもそうですし、消費者にとっても若干誤解の種になりかねないということは、御理解いただければありがたいと思います。
 それから、次は、原料原産地表示は、表示ですからパッケージ上に書くというのが当然なのかもしれませんけれども、そうなってまいりますと、現状では、パッケージだけでは膨大な数の原材料の原産地を書くのは非常に難しいということがあります。それから、冒頭に申し上げましたように、もともと複雑多岐にわたる原材料が、どうしても生産技術上、それから製品の安定性、コストの平準化、そういったことから必要だということでやっていますので、なかなかパッケージ上だけではこなし切れないということが現実にございまして、インターネットを使ってホームページ上に掲載している、原料原産地表示をしている、あるいは、なかなかそれでも全部やり切れない場合は、特定の産地とか、特定の農場を使っていますとか、いろいろな形でホームページ上でやっている企業もございます。
 それから、あとは、二次元バーコードを使って、携帯電話を含めてアクセスしてもらえれば、そこから原材料の原産地表示がわかるという仕組みも既に使われております。多分そういうことをしないと、現状の、これから拡大されれば、ますますパッケージ上だけで原料原産地表示を的確にわかりやすくやっていくというのはかなり難しいかなと思います。そのためのコストもかなり大きくなると思いますし、その仕組みをつくっていくことが、まずいろいろな意味で時間もかかりますし、技術的な問題もクリアしなければいけないし、当然、設備投資が要るということになるだろうと考えております。
 最後になりますけれども、原料原産地表示というのは、御承知のとおり、後ほど出てきますが、一部の国以外はほとんど議論されていないわけですね。コーデックスでもそういう議論はされていませんし。そういう意味で、現状のWTO体制の中では、下手すると関税障壁とみなされかねない。そういう中で輸入品、ましてや中間加工品の原材料表示ということになりますと、物理的に相当難しい、場合によっては、国際的にも相当議論の的になりかねないことかなと思っておりまして、この辺も十分御配慮いただきたいと思います。
 これは、今さら申し上げることではないと思うのですけれども、私どももずっと原料原産地表示に関して、事業者と、どうしようか、どう考えるべきかという議論をしてまいりましたが、これは、多分、農水と厚生労働省の表示共同会議の中で議論されていたことを我々なりに勝手につくった図かと思いますが、当時議論されていたことは、先ほど申し上げましたように、たまたま中国産の冷凍ギョーザでああいう事象が起こったと。その他いろいろ問題があったわけですね。どうも中国産が忌避されているということから、皆さん、中国産とわかるようにしてほしいということだったのではないかと思います。
 そのときにできた、赤い四角で囲んでありますけれども、消費者の商品選択に資するという目的で、原料原産地表示をしていただければ不安の解消になります、是非お願いしますということからスタートしたんだと思うんですね。
 なかなか一気に表示というわけにはいかないということもありまして、とりあえず情報開示をしてくださいということで動いて、それが更に、やはり情報開示だけではどうしても事業者の任意になってしまうので、内容そのものに不安がある、それから、全事業者が必ずしもやるとは限らないといったようなことから、やはり法律で決めてほしいと。それで、JAS法による義務づけということが、先ほどから、これからも拡大の中で議論されるのだろうと思うのですけれども、それが多分、最終の行き着く先なのではないかと思います。
 ただ、これは、今申し上げたようにいろいろな意味で、下に下りてくるのですけれども、実行困難性が極めて高いと。これは、特に中小企業とか、それから的確にどこまでやるか、どこまで正確性を求められるか、それから、パッケージに全部やるということになると、パッケージだけではこなし切れないといったようなこともあって、かなり難しいのではないかと思います。
 右に行きまして、では、そのときに出てきたのが、輸入品については輸入品、あとは国産は国産だと思うのですけれども、大くくり表示ではどうかと。そうなってくると、大くくり表示というのは、私ども事業者の立場からすると、大くくり表示して「輸入品」と書いておけば、多分「輸入品って、これどこですか?」という問い合わせがもう一回来るのだと思うんですよね。それはそれで結構厄介なことなものですから、大くくり表示だけで、今、生活者、消費者の方がお求めになっている原料原産地表示という意味合いを満足していただけるのかどうか、そこら辺をよく検討いただかないと、一たん大くくり表示をやったはいいけれども、それでは不十分なんだということで、また元に戻って原料原産地を書くということになると、それはそれで大変なことになりますので、そこら辺は十分御検討いただきたいのですけれども。
 いずれにしても、一番右の上に書いてありますけれども、原料原産地表示が本当に安全性と直接関係があるんですかと。ここは相当きちんと議論をしていただいて、是非、生活者、消費者の方も勿論ですけれども、事業者にも十分納得のいく制度にしていただくということは、是非御検討をお願いしたいと思います。
 これは、ちょうど2009年1月に冷凍ギョーザの事件、事案が警察から公開されまして、そこから原料原産地表示というようなことが話題に上り、当時、農林水産省から情報開示してくださいということでスイショが出ました。併せて、東京都は、どうも国の動きが遅い、東京都としては、やはり消費者の方が不安を持っている以上、原料原産地を是非表示させたいということから、ここはもうもろに、市販用の冷凍食品に対して原料原産地表示を条例で義務づけるという制度の検討に入りまして、翌年ですけれども表示が始まりました。
 そういう中で、これはいつも問題になるのですけれども、どのくらい消費者の方がこの原料原産地表示に対して各社に直接問い合わせその他行っているかということを、これは、ある会社の顧客対応窓口のデータでございます。少し長目に取りまして、2年間取りまして、先ほどの2009年1月に公開されたのですが、そこから次の年の2月まで、ちょっとまだ3月のデータがまとまっておりませんのでこういうグラフ。
 もう一つは、こういったお客様への対応の中でいつも起こることは、その事象が起こって直近の状態、直近は物すごくお客様からの問い合わせなり何なりが増えるのですけれども、比較的短時間にしぼんでしまうんですね。そのことがこれではちょっと見えませんので、ちょっと2年間の長期的な内容と見ていただければありがたいのですけれども、こんな形で、この会社の場合は年間十数万件のお客様からの問い合わせをいただいている会社でございます。そういう会社で、ギョーザ事件が起こって、原料原産地表示が問題になったときに、原料原産地に関するさまざまなお問い合わせ、この原料の原産地はどこの国ですか、それから、そもそも表示されていない食品の原料について、これはどこですかとか、あとは、原料原産地表示についてのさまざまな御意見ですとかいろいろなお問い合わせ、こういったものを含めまして、2009年4月には50件を超える数があった。1月から3月まで載せていませんけれども、恐らく瞬間的にはもっと高くて何百件という問い合わせがあって、それが、大体数週間でほとんどしぼむというのが実態でございまして、実態はもうちょっとしぼんでいるのだと思います。それで、4月、5月でこのレベルということで、相変わらず2010年3月まで、多いときは月に11件ぐらいのお問い合わせが来ているようです。
 もう少し短いスパンのデータが要るのですけれども、ちょっと時間的に余裕がありませんでしたので、今回はこういうデータを出させていただきました。
 これは、1つは中間加工品の原料原産地というところと若干関係があるのかもしれませんけれども、たまたまこれは生パン粉の事例でございまして、生パン粉というは、パン粉屋さんがつくってくるわけですね。勿論、冷凍食品工場で自営でやっているところがなきにしもあらずですけれども、ほとんどが今、外注というか、もう専門業者でつくられたものを使っていることがほとんどでございます。
 生パン粉、カラーというのは別にして、これはカロチンで色をつけているだけですから余り大きな意味はありませんけれども、パン粉をつくるにしても、小麦粉、グルテン、酵母、ショートニング、食塩、ブドウ糖以下、これだけの原材料が使われているわけですね。こういったものを全部きちんと管理していかなければいけないんですね。多分これは、そういう意味では、どこまで精度を求められるか、どこまで原料原産地表示が拡大されるか、それから、中間加工品で何をやればいいのかといったことにもよると思いますが、これを見ていただいて、結構大変なんですね。
 これは何でこんなことを今までずっとやっているかといいますと、これは、実はアレルゲンの表示のためにこれをやっているんですね。これをやっていかないと、最終的に適切なアレルゲン表示ができなくなりますので、そのことは食の安全に直接関係がありますので、各社とも非常に神経を使ってやっている。
 たまたま、これが真ん中のあたりに「原産国、産地、種別等」という欄があると思いますけれども、ここに、ごらんいただければ、アメリカ、アメリカ、日本、日本、マレーシア、アメリカと書いてありますが、こういったことをたまたま原料原産地表示の管理のためにこういうデータ、原材料規格証明書を使って管理をしていくことが必要だということでございます。
 これは、今はほとんどコンピューター化されていますので、この中から拾っていけばいいのですけれども、それにしても、これをきちんと管理していかなければいけない。これは、パン粉の場合は国産ですから問題ないと思いますけれども、原材料になりますと、よくあるのは、冷凍食品の場合、小麦粉をたくさん使うんですね。お客様から問い合わせがあるのは、この小麦粉の原料である小麦はどこ産ですかというお問い合わせがかなりあります。現状では、ほとんど小麦粉の原料となる小麦は、カナダかオーストラリアかアメリカか、あと一部アルゼンチンがあったりしますけれども、だから、それほど問題になることはないのですけれども、やはり中間加工品をその辺までやり出すと、中間加工品の原料そのものが、また、どこでどうされているのかよくわからないというようなこともあるし、先ほどのWTO体制の中で、日本という国はどうするのですかということにもなりかねないので、これはこれでいろいろ議論して、考えていかなければいけないのかなと思います。
 これは、もう大分前、10年近く前ですけれども、当時一度、加工食品の原料原産地表示をどう考えればいいかということで、これは表示共同会議の中で議論されたときに、たまたま私、ヒアリングを受けまして、こういうことがありますよというお話をした古い資料を持ってきたのですが、実は、やはり加工食品の特性としてこれだけのことがあると。やはり原料ごとにいろいろ状況が違うので、原料の安定性ということから考えると、リスク管理という点で、こういったことを全部考慮しながら原料を調達し、それを組み合わせて加工しているのだという状況が、なかなか皆さんおわかりいただけない部分もありまして、原料原産地なんて表示するのは簡単じゃないですかという声もいただくことはいただくのですが、必ずしもそうではないという意味で、ちょっと書かせていただきました。
 これで、ちょっと余計なことかもしれませんけれども、安全・安心な品質と経済性に優れた食品は、本当にささいな表示をすることとイコールなのでしょうかというところが、ちょっと気になっているところでございます。
 以上でございます。

○田島座長 御説明ありがとうございました。御質問、御意見交換は、お3人の方が済んでからにさせていただきます。
 それでは、続けて、全国清涼飲料工業会の公文専務より御説明をお願いいたします。

(2)社団法人全国清涼飲料工業会

○公文専務 本日、私ども清涼飲料業界の状況につきまして御説明させていただく時間をちょうだいしましたこと、御礼を申し上げます。
 それでは、御説明させていただきます。基本的には、今お話しいただいた冷凍食品協会さんと、主張すべきことは同じだと思っておりますが、若干の清涼飲料業界の特殊性もありますのでそういったポイントを中心に御説明させていただきます。
 まず、私ども清涼飲料市場の製品構成ということで資料をごらんいただきたいのですが、今回テーマになっております果実飲料は、全体の中で8%ぐらいの構成比となっております。現在、2009年10月から追加されました緑茶飲料の原料原産地表示とそれ以前から採水地表示をおこなっていたミネラルウォーターを合わせ、全体の4分の1程度の表示可能なカテゴリーにつきましては、既に原料原産地の表示を行っているというところをまず御理解いただきたいと思います。
 私どもの業界の事業者の構成につきましては、社数のおよそ7割が中小企業となっています。中小企業は、過去3,000社以上あったものが、非常に厳しい環境の中で1割ぐらいに減ってきており、しかも今、非常に厳しいビジネス環境にありまして、どこで存続を図っているかというと、従業員数の削減によっているという状況で、これ以上の負荷は、これら中小の会員にはかけられないというのが現状でございます。
 中小の事業者はどういうものをつくっていますかといいますと、地サイダーとか、地ラムネとかと言われる炭酸飲料や、業務用もかなりありますけれども、果汁を使った飲料、他品種の果実飲料の製造を行っております。
 中小事業者の製造商品の特徴はこういったものですが、次に、一般的な私ども清涼飲料の製品特性、お客様が買われるときにどういう判断・行動でお買いになるかというところを御説明いたします。まず、何と申しましても商品名、ブランド名ということになります。ブランド名でお客様は商品選択を始めます。決して、生鮮食品のように産地名で選ばれるわけではないということ。それから、商品名と並行して、どのメーカーがつくっているのか、こういったところも非常に注視するポイントになっております。それ以降は、容器容量、価格、これはもう勿論のことでございますが、こういった選択の中でお客様は購買行動をとられていることになります。
 我々はこのブランドを育てるために大変苦労しているわけで、そのブランドをどう維持するかというところ、「年間を通じて均質な『味わい、風味、色、香り』を維持する」ということに努力しています。一つのブランドの味が途中で変わってしまったら、それはもう同一ブランドとは言えない、他のものに変わってしまうということであり、これを一定化させるための高度な加工技術をもって実現しています。
 これを実現する方法にはいろいろございますが、まず味、例えばリンゴでありますと、国産のリンゴは糖度が非常に高い、海外産は酸味が強いため、糖度と酸味のバランスということで輸入原料を配合するとか、それ以外にも多くのブレンドを行う為の加工技術を持っております。このような加工を行わなければならない理由は、単純に同じ調達先からのものを、風味を一定化させるために加工するだけでなくて、収穫量の変動、気候変動、それから当然、冬、夏、で北半球、南半球の調達先が変わるといった理由、勿論、コスト、相場、こういった変動にたえることに加え、お客様からの需要の急変化、こういったものすべてに対応していくということで、調達先という要素が大きくかかわってくることになります。
 調達先の頻繁な変更が求められる中で、原料原産地の表示が義務化され、全調達先を表示するということになりますと、その都度、ラベルを変更することになり、非現実的な実行困難なものになってまいります。
 加えて、包材のロス、ラベルを変えなければいけない、変更前ラベルの廃棄をしなければいけない。当然コストアップもありますし、包材廃棄により、環境負荷も増大してまいります。
 特にコストアップについて、価格に転嫁できないのかというお話もあるでしょうけれども、現在の飲料市場環境は、店頭価格、自動販売機の価格を見ていただいても、何とかならないのかというようなデフレ状態であります。このような状況下にあって価格転嫁は極めて難しいと判断しております。
 一方、一般のブランドで売っている商品以外のものの中には、むしろそれを原産地マーケティング上の有利な材料として利用する、原産地を最重要と考えた差別化された商品があり、それらの商品には、信州ですとか、青森ですとか、長野県産といった強調表示が行なわれております。
 一般的なブランド重視の商品では、いろいろな調達先から原料を持ってきております。資料にありますように、オレンジであっても、グレープフルーツであっても、それぞれ6カ国ぐらいはすぐにあげられます。中で、生果で輸入するもののトレーサビリティは基本的に確保可能でございます。ただし、中間加工品、果汁、混合果汁となって入ってくるものについては、少し中途半端な言い方ですけれども、ごく一部、トレーサビリティを確保できないもの、イタリアから来るものとかに不安定なものがございます。
 これは、搾汁されたものが、濃縮還元されて日本へ入ってくるフローを示した資料です。例えば、ポーランド、ドイツ、イタリアでつくられたもの、オーストラリア、チェコ、ルーマニアでつくられたもの、特にイタリア以下の4カ国のものは、いろいろと各国のものがブレンドされてまいります。図の下に中国がございますが、リンゴであっても、中国から直接日本に輸入されず、ドイツへ行って、ほかの国のものとミックスされるようなことも行われております。それから、搾汁の段階でいろいろな国から持ってきた生果を、プールのような搾汁設備に次々と入れて生産している場合には、その調達先を明確にするのは難しく、明確にするということになりますと、特定の国からのものだけをピックアップして使うしかありません。これは一方で大きなコストアップにつながることになります。
 いろいろ検討項目が過去からございましたけれども、業界の考え方をまとめてご説明いたします。
 複数の原産国を混合、切り替えて使用する場合の義務表示、要は大くくり表示ですが、大くくり表示としても、結局、国産と輸入の表記順を使用量で変えなければいけないケースは十分考えられるため、難しいです。それ以前に申し上げたいのは、先ほど来出ておりますけれども、本当に消費者の方がこの大くくり表示、「外国産」でいいのですかということです。それこそニーズに全然合致していないのではないかというのが我々の考え方であります。当然、「外国産」と書けば、どこの国かというお問い合わせは更に来るわけで、結局、全調達先を記載すべきという動きになると思っております。
 全調達先を記載することは、表示面積上からも極めて困難です。例えば、今お手元に出ているこのエビアンのラベル、水ですので調達先がシンプルなためこの程度のラベル面積に記載できていますが、このラベル面積の中に更に多くの情報量を入れていくことは極めて困難です。また、今現在も、この委員会以外にも、環境側面を含めて、いろいろとラベル上に記載せよという案件が動いております。本当に安全を確保するために必要、消費者の皆様が知りたい情報というものが今後更に出てくるのであれば、安易にラベルへの記載情報量を増やしていくことには問題があると思います。現在のこの表示でも、ユニバーサルデザイン上これでいいのか、もっと大きくしなさいという声、これは多々出ております。加えて、環境省の方からは、ラベルはできるだけ小さくしなさい、資源を少なくしなさいとも指摘を受けております。そのようなはざまにあって、我々は、ラベルに記載する情報というのは本当に必要なものに絞り込む必要があると考えております。
 一方で、ホームページ等での情報開示、公開に関しては、勿論、今以上に強力に推進していく予定でございます。
 それから、ここに記載いたしましたとおりですが、使用量の多い国順に記載するということになりますと、組み合わせがどんどん変わっていきます。例えば単一素材のリンゴジュースでもいろいろ調達先変動が起きるのですが、これがもしミックスジュースということになったときに何が起こるか、是非御想像いただきたいと思います。
 原産地が特定できない旨の表示は、消費者の皆様にいろいろな不安を与えるおそれがあるということで、行うべきではないと考えております。
 ちなみに、お客様からのお問い合わせで原料原産地に関するものがどれくらいあるのかを直近の1年というところで各社から情報提供してもらっております。果実飲料にかかわらず、すべての原料原産地にかかわる項目で、大体0.1%、0.2%、多いところで1.8%、2.5%でございます。この差は、各社の商品構成によるものと思います。コメントにございますけれども、2008年の中国ギョーザの際、確かに原料原産地へのお問い合わせ構成比は高くなりましたが、以降ずっと減ってきているという状況です。
 また、何か原料原産地に関するトラブルがあって、お客様からのお問い合わせがありましても、大体3日間でピークは過ぎていくという状況です。
 お問い合わせ内容もいろいろございますけれども、「おいしかった、産地はどこ?」といったもの。例えばこのお茶、「国産茶葉」と書いてあっても、静岡なのか、静岡のどこなのか、そういうお問い合わせが多くをしめています。
 一番気になりますのは、下から2番目にあります「原料に中国産のものはありますか」というところで、かなり深刻なお問い合わせとして出てまいります。ただし、最近では、中国産はどうなのかというお問い合わせも、極めて少なくなっております。
 中間加工品の義務表示のあり方については、中間加工品の製造国、これを代表して「○○国製造」と表示することについては、やはり消費者にとっての知りたい情報と合致しているのかということが問題です。さらには、これは虚偽の表示ではないのかと言われることにもなりかねないということで、以上から賛成できないということであります。
 次に、50%ルールの見直しについてですが、これは、50%の枠をたとえ40%に下げたところで、やはり同じことが起きてくると思います。49%が39%になり、さらに見直しをということになれば、結局、全調達先の表示を行う以外に手はないということになりますし、全調達先を表示することが困難であるということは、先ほど来申し上げているとおりでございます。
 続きまして、中小メーカーの実行可能性。冒頭にも申し上げましたが、中小企業の方は、今の厳しいビジネス環境をしのぐために人を減らして対応しているのが実情です。勿論それ以外の努力もされていますが、新たにこのような取組みを進めていくことは、人的にもかなり負荷がかかるわけで難しいと考えております。さらに、包材ロスを出してラベルを変更するということも、中小事業者にとっては耐えがたいところです。
 私どもが一番心配しておりますのは、故意ではなく、本当にミスで犯してしまった誤表示です。表示が義務づけられておりましたら、こういったケースでも社告を出し、回収をするということが当然セットで求められてくるわけですが、中小事業者において新聞に社告を出すということ、それから回収も、流通に存在しているものだけであればいいですが、消費者まで行ったものを小売価格で回収する、買い上げるということになりますと、費用的にも莫大な影響が出てきます。また、それ以降、故意ではない、単なるミスであったにもかかわらず、いろいろ風評被害が出る。こうなりますと、中小事業者にとって事業継続は極めて困難になることが予想され、今回の表示義務化が、大きなリスク領域であると我々の業界としては考えております。
 これも冷凍食品業界と同じなのですが、食の安全と原料原産国の表示というものは、全く関連するものではないと思っております。私ども、製品の安全については、製造者自身が確認して、責任を持ってお客様にお届けしているということで、これが、お客様が商品を選択する際のブランド、製造者名であり、それを見て商品を買ってくださるということに対する我々の答えでございます。
 業界として、策定しております、原料原産地情報の開示に関する自主ガイドラインにのっとりまして、ホームページ、お客様相談室等でお答えできる体制を整えております。中小については、ホームページがない、お客様相談室がないところもございますが、事務担当者が答えられるようなマニュアルを大手企業のノウハウを活用してつくりあげ、徹底して指導していく、このように考えております。
 以上でございます。

○田島座長 ありがとうございました。
 それでは、引き続き、藤田技術士事務所の藤田様より御説明をお願いいたします。

(3)藤田技術士事務所

○藤田技術士 御紹介いただきました藤田でございます。
 私は、個人でございますので、ちょっと自己紹介いたしますと、1929年生まれで、多分、ここでは最年長だろうと思います。2つの食品会社に勤務しました後に、21年間、食品の研究開発コンサルタントをやっています。この間、趣味で15年ぐらい食品のうそに興味を持って調べまして、本を2冊ほど出しました。また、最近5年間ぐらい世界の食品表示に興味を持ちまして、情報提供を行っております。
 今日の話は、本来の原料原産地とはちょっと外れた面が多いのでございますけれども、我が国の食品制度と管理体制が非常に立ち遅れておりますので、それにつきまして述べます。御興味のある方は、お手元に配りました資料4を御一読いただければ幸いでございます。
 国連の食料農業機構(FAO)は、昨年に「食品表示の改革」という本を出しました。この本の第1章で、「食品表示の目的は、消費者の保護と公正な取引である」、そう言っております。
 今、日本で食品表示の国際整合性を論ずる場合に、1985年に改定されました食品法典、コーデックスがよく論じられます。しかし、コーデックスは183カ国が参加しておりまして、開発途上国が100以上ございます。この国際基準は発展段階が非常に異なるいろいろな国に共通する基準でございまして、多くの国々では、独自のそれを大きく上回る表示を行っております。
 それで、この十数年間でございますけれども、世界では、食品制度の改革は大きく進みました。最大の改革は、消費者の健康維持のための親切な栄養表示でございます。2つ目は、消費者の商品選択を容易にするための主要あるいは特徴的原料の%表示と言えます。前者は1994年にアメリカで施行され、これは、一番最後から3枚目の図1に示してございます。今日はスライドがなくて恐縮でございますが、こういったような精密な栄養表示が行われております。それから、2つ目の食品原材料の%表示は、2000年にEUで施行されまして、主要及び特徴的原料の%表示ということで行われております。
 2項に述べました加工食品の栄養表示につきましては、現在、別の調査会で審議されております。2項の表1に示しましたように、昨年の4月時点で栄養表示をやっております国は、義務化しております国は15カ国で、現在は、台湾、フィリピン、メキシコ、チュニジアが加わりまして、今年中には27カ国のEUが加わりますので、全部で46カ国になる予定です。しかも、図2とか図3に示しますように、最近は企業がいろいろ努力をいたしまして、一見して内容がわかるような図形による表示が増えてまいりました。
 次に、2ページ目の3項に述べています加工食品の原材料表示についてちょっと説明いたしますと、欧州委員会は、原材料の量的表示制度という、QUIDと言いますけれども、これでは5%以上の加水、製品内の5%を超える水分、食肉、牛肉、果物、野菜、ナッツ、カカオ、チョコレート、バター、チーズなどの乳製品、これらの%表示が求められます。特にソーセージなどの肉製品では、水と肉量及び、そのほかの原料全部ひっくるめて表示が必要です。
 図4に出しました絵は、日本のかなり安物のハムをQUIDの表示で%表示した場合でございますが、この場合には、もうハムという表示は行われませんで、ハム類似品になります。そして、肉量が41%、水が40%などと書かれますと、多分こういう商品は買い手が少なくなるのではないかと思っております。
 このような各国の表示制度の差異を表2に示しました。一覧表でございます。
 次に、調査の本題でございます原料原産地は、2ページ目の下から書いてございます。食品原料の原産地への消費者の関心は、日本と韓国が突出しております。特に中国からの輸入食品が非常に警戒されております。しかし、厚生労働省の輸入食品監視統計でごらんになるとよくわかるのですけれども、検査をされました件数に対する違反の率が、中国はここのところ非常に進歩しましてわずか0.29%です。アメリカは0.90%、そして韓国は0.46%と、これもかなりよくなってきております。しかし、中国からの輸入食品は件数で3割を超えていますので、いつもやり玉に上がるのは中国品ということになるわけでございます。
 実際に私は、日本の企業が管理しております中国の農場をいろいろ見てまいりましたけれども、そこで行われていますことは、日本よりもよほどすぐれた管理がなされているという印象を深く受けました。先ほどから、山本さんあるいは公文さんがおっしゃっておられますように、適切な管理下で生産されて、流通された食料は、その品質と安全性に原産地による差はないのであります。これは科学的な事実でございます。
 以降、主要国の食品の原産地表示について簡単に説明いたします。
 コーデックスによりますと、食品製品の原産地と由来、これは、最終的な変更が加えられた、例えば加工でございますけれども、ノルウェー産のアジを沼津で加工しますと、これが沼津産になるわけでございます。
 EUの場合を説明いたしますと、加盟国の原産地表示が、その情報が誤解を生むときだけは必要であると。例えば、A国から輸入したハムをB国でスライスしてB国で売った場合には、「A国」という原産地表示が必要でございます。それからまた、EUでの個別の原産地表示の義務対象は、食肉、魚類、貝類、ワイン、オリーブ油、蜂蜜、野菜、果物、EU以外からの鳥肉と卵でございます。牛肉につきましては、出生地と屠殺までが1国であればそこを、あるいは途中で国が変わりました場合には2カ国を表示することになっております。
 ただし、大切なことは、加盟国が原産国、原産地の表示を義務化できるのは、それが食品の品質と関連するという証明が要るそうでございます。
 次に、アメリカでございますが、原産地表示は、加工食品の原材料には適用されません。生鮮食品だけでございます。しかも、エビを冷凍で輸入しまして、皮をむいたり、あるいは茹でたりしますと、もうその原産地表示は必要がなくなります。原産地表示の対象になるものは生鮮食品でございまして、冷凍品を含みますが、肉類、天然及び養殖の魚介類、その他農産物、それから、特殊でございますが、オタネニンジン、これは朝鮮人参ですね。マカダミアナッツ、ペカンナッツ、落花生でございます。
 次に、カナダでございますが、輸入した食肉製品と水産食品、特に、特定のアルコール飲料には原産地表示を要します。
 オーストラリア、ニュージーランドでございますが、包装された食品については、生産、加工また包装された国の名前が必要です。また、未包装の生鮮食品の場合には、店頭での表示で原産国表示を要します。しかし、原料がたとえ輸入であっても、加工のコストが50%以上オーストラリアで発生しました場合は「メイド・イン・オーストラリア」あるいは「オーストラリアメイド」になります。すべて国産の場合だけが「プロダクト・オブ・オーストラリア」になるわけでございます。そして、輸入した原料品をオーストラリアで加工しました場合は、「メイド・イン・オーストラリア・フロム・インポーテッド○○」ということになります。
 次に、韓国でございますが、食品農水部、これは日本の農林水産省に相当しますが、ここが531品目の原産地表示を必要と定めております。それから、レストランでは、米の飯、肉類、キムチは原産地表示が必要ですが、あとは必要ありません。それから、輸入されました動物でございますが、牛が6カ月、豚で2カ月、鶏で1カ月以上たちますと国産扱いになります。それから、成分の強調表示がある場合、例えば飲料がザクロ果汁であれば、ザクロが1%であっても、ザクロの輸入元と含有%を書かなくてはなりません。それから、先ほどからいろいろ問題になっております輸入の国名でございますけれども、1年に3回輸入国が変更された場合、または3年間の平均で3カ国から輸入する場合は、単に「輸入品」で処理されます。
 それから、強調表示でございますが、日本では「天然」とか「無添加」の表示が非常によく見かけられます。優良誤認になりますが、こういうことに関しましては、文明国では用語にガイドラインがございます。例えば韓国では、天然、ナチュラル、ピュア、伝統的、ベスト、新鮮、トップの記載は許されません。
 話題はちょっと変わりますけれども、実のところ、日本では、産地偽装を初め食品詐欺がかなり多いのですが、摘発や処罰は僅かでした。この背景には緩いJAS法の規定と運用がございます。したがいまして、こういった詐欺の防止策、あるいは早急に着手すべき問題、先ほどの原料原産地ではなくて、親切な栄養表示とか、あるいは食品の重要原料、主要原料の%表示、こういったものの表示が必要でございます。
 最後の図になりますが、これは、韓国に日本の企業が輸出しましたチョコレートの韓国内の表示でございます。これをごらんいただきますと、韓国では、表示項目が多く、現在、主要原料の%表示が義務づけられておりますけれども、例えば「アーモンド26%」などと書かれております。それで、私の考えでは、原料原産地は、いかに消費者の要望があるとはいえ、表示問題にとっては小さな問題だと思います。韓国を除きまして、日本のように徹底した原産地表示がある国は、世界にはございません。多分15年から20年後の日本には、どの国からであれ、食料が輸入できれば幸いだという時代がやってくると私は思っております。
 結論として申し上げたいことは、欧米先進国では、消費者保護、食品の不正排除のために150年の歴史がございます。日本で過去の食品制度の改革論議では、原料原産地を初め、製造日、消費期限、賞味期限など、私の考えではさして重要でない論議に終始していると思われます。したがいまして、それよりも食品詐欺の防止、重要な原料の%表示、親切な栄養表示、こういったものを行いまして、世界の消費者保護政策に遅れないような努力を政治と行政に期待してやみません。
 以上でございます。

○田島座長 ありがとうございました。以上でお3方からのヒアリングは終了でございます。
 それでは、ただいま御発表になりましたお3人につきまして、委員の皆様から御質問がございましたらよろしくお願いいたします。山浦委員どうぞ。

○山浦委員 藤田さんにお伺いします。今の御説明で、資料4の1ページのところで、最近の傾向として、コーデックスなどでも食品表示の改革ということが意識され、また、EUにおきましてもさまざまな、例えば特徴的原材料の%表示に対する考え方とか、かなり原産国、原産地といったことを意識するような流れというものが一方にあるという御説明を最初にいただいたと私は理解しました。、しかしそれと最後の原料原産地の問題ではなく、やはりコンプライアンスの問題とかそういったようなことが重要だというようなお話の間に、少し考え方がよくわからないところがございます。日本としても、こういったコーデックス以上に厳しい表示といったことを考えるような、そういった傾向は重要だとお考えにはならないのでしょうか。そこら辺はどうでしょうか。

○藤田技術士 私は、コーデックスのようないろいろなガイドラインはかなり検討いたしておりますが、コーデックスには、原産地表示に関しまして、そう詳しいことは述べられておりませんですね。むしろ、各国がそれを考えているわけです。特に韓国と日本は輸入大国ですから、大変異常な国でございますね。EUの中では、さっき説明しましたように、違った国から輸入しましたものをもし原産国表示するのであれば、その原料は品質と安全性に差異があるということをその国が証明しなければいけない、こういう事情がございます。また、アメリカの場合、そういったところを見ましても、原産地表示に関しては、中国のメラミン事件があった以降でございますけれども、要望が高まってはおりますが、日本のような例というのは、本当にございませんね。韓国だけです。
 韓国は、加工食品につきまして、主要な2品目までは原産地表示をすることになっていますけれども、輸入が3カ国以上からなる場合、先ほどの例にありますように「輸入品」と書けばいいということでございますね。そういうふうに、原産地表示は、本当に私の信念として申し上げますが、きちんと管理された食品であれば、安全性と品質の差異というものはございません。それは科学的な事実でございます。

○山浦委員 ちょっと補足させていただきますけれども、例えばEUにおけるアメリカの牛肉のホルモン剤を使用している問題とか、あるいは遺伝子組み換え食品とか、こういったことに対する厳しい規制があって、実際、WTOの紛争にもなっているわけですけれども、一方では、そういった原産国における食品の管理、生産のあり方といったものが問題である場合には、やはり厳しい措置を取っていると思うんですね。
 ですから、これはやはり表示の問題ではなく、ストレートに生産国、輸出国のあり方を正面から問題にするという手法でいくのか、あるいは、その中でやはりアメリカ製品であるということがわかるようなことが一方で必要だから、そういった形での規制も行うという形なのか、その辺はどうなんでしょうか。

○藤田技術士 先ほどもちょっと説明いたしましたけれども、3ページ目の真ん中辺でございますが、EUでも、原産国表示は生鮮食品、特に肉類、そういったものに関しては必要でございます。これは、BSE事件の後にこういうことが盛んになったと思うのでございますけれども、食肉類については、加工されていない、要するに生肉、これは原産地表示が必要でございます。そのほかも、ワインとかオリーブ油とか蜂蜜とかが必要でございます。

○田島座長 ほかにございますか。どうぞ立石委員。

○立石委員 適切な管理下に置かれている食料が安全性に差異がないというのはわかります。しかし、特に中間加工品を使う場合、やはり、そこの原材料が適切に管理されているかどうかという担保は取れないわけですね。
 例えば、私が一番懸念するのは、ポストハーベスト、食品添加物で使用が認められていないものが添加されているかどうか。我が国の場合は、非常に長い輸送距離を要するわけです。欧米、それからアジアのように陸続きではないわけですね。極めて長期間の輸送でこちらに来るという中で、さまざまな保存処置の中で、そういったものが使われる可能性があるという点、その点について、冷凍食品協会と清涼飲料業界さんにお聴きしたいのですけれども、恐らく加工食品の場合、相当厳しいスペックが事前に決められているわけですね。その場合に、原材料を事前に相当綿密に決めておかないと、原材料がもし変わった場合、特に今言ったような、A国では食品添加物を使っている、B国では使っていない食品添加物のような場合があります。食品添加物の表示は義務化されているわけですね。それから、栄養成分表示もされていますよね。その場合に、原産地が違った場合に、そのことが正しく反映されるのかどうか。
 それから、その都度、当然、原材料を使用される場合に残留農薬検査をきちんとやっておられるのかどうか。そういうことで、そのことが担保されているのであれば私は非常に安心するのですけれども、原材料を変える、産地をころころ変える、ころころ変えることによってわけのわからない原産地が明確でない産地から来る、その原材料の安全性がきちんと担保されているかどうかというのは、是非教えていただきたいと思います。

○公文専務 私どもの場合、きちんと担保いたしております。

○立石委員 どのように担保されているんですか。

○公文専務 証明書をすべて取っております。

○立石委員 証明書。そうすると、食品添加物を使用されている場合、その場合、もし使っている国と使っていない国があり、事情によって、使う場合については、表示上変えられるのですか。

○雛本部長 食品添加物に関してですけれども、飲料に関しての食品添加物というのは、製品の安定性を図る面での考え方です。それからあと、強化剤として使用している場合ですので、果実自身の輸入場所が変わったからといって添加物が変わることはないです。果実飲料の場合とか、飲料の場合に関してはございません。

○立石委員 冷凍食品業界はどうですか。

○山本常務 基本的には、原料の産地、それから納入業者を変えるということは、まず、我々加工業者が求める規格に合致しているかどうかを事前に書類で出してもらうと。それが例えば添加物が、日本で許可されていない添加物が使われていれば、それについては、それはだめですよという判断をします。それから、添加物がそれぞれの国によって法律が違いますので、事前にどんな添加物が使われている可能性があるかということを含めて、まず、原料調達の段階で、その原料が安全なものであるかどうかということを調べた上で原料を変えていく、これは大前提です。ですから、それをやらずに、単純に製造の都合で変えているということは、一切やっていないということだと思っていただいて結構だと思います。
 ですからそこは、我々が申し上げたいのは、原産地表示が中国と書いてある、タイと書いてある、インドネシアと書いてあるということだけで、我々は、原材料が日本国内における規格を満足しているかどうかとか、安全であるかどうかということを評価するのではなくて、私どもがそういうことを担保できるような仕組みの中で、いろいろな原材料の調達先を変えているということであって、そこを、じゃ、国を書いたら、それが安全であるのか、安全でないのかという判断はできないのではないですかということを申し上げているということでございます。

○藤田技術士 私もちょっと申し上げたいと思います。例えば地中海でとれたマグロを日本に輸入してくる場合、マイナス60度でやってきます。これはもう瞬時に凍るような温度でございますね。したがって、輸送距離は長いけれども、品質の低下はありません。そして、貯蔵する場合も、1年間でも2年間でもマイナス60度で貯蔵されております。
 それともう一つ、輸入をしてきます、特に中国からの野菜の輸入でございますけれども、これが、いつぞやのホウレン草問題のようなことが起こりますと大変な損害につながりますので、輸入する商社、あるいは現地で生産してもらって輸入する企業、小企業は難しいのですけれども、大企業であれば、現地で厳重な検査をしてから送ってきます。国内でも、厚生労働省の検疫がございます。ここで危なそうなものはかなりの頻度で、例えばアメリカのコーンですと、100%アフラトキシンの検出をやっていますね。こういうふうなことをやっておりますので、私は、余り御心配になる必要はないのではないかと思います。

○立石委員 中国が安全だということについては、私は非常に疑問に思っています。というのは、かつて生シイタケで、中国産の生シイタケ、菌床ですけれども、国産と比較して形状劣化が遅いことが不思議でありました。何かおかしいと、幾ら調べても出てこない、その原因がわからない。その使っているものがわからないというのがずっと続いたわけですね。
 実は、生シイタケの例を申し上げますと、生シイタケの場合は、平成12年に生鮮食品が実は義務化になっております。ちょうど平成4年ぐらいから中国産は増え始めまして、8,000トンから始まって、5年が1万5,000トン、6年が2万4,000トン、平成12年は4万2,000トンです。日本のシイタケの半分ぐらいまでを占めたわけです。そのおかげで日本の国産品はどんどん減っていきました。
 平成12年に原産地表示が義務化されてからは、中国産は減り続けました。消費者の選択に資するために、中国産が義務化になったから、消費者が知ったわけですね。それまでは、当然、義務化対象でない以上は、表示されないわけです。表示しないということは、これは違法ではないですから、国内産と誤解されて買われた。この結果、4万2,000トンまで増えた。
 ところがそれ以降、平成20年はもう5,000トンを切ってしまっています。品質は、おっしゃるとおりどんどん上がってきています。安全性も担保されているかもわかりません。けれども、消費者の皆さんは、「中国産」という表示に対して、だれも見向きもしない。そのおかげで、結局、売れないものは輸入できない、こういう結果なんですね。だから、安全性ではないですよ。消費者が求められているのは、やはり国産なのか、外国産なのかと。それが特に中国産なのか、この点が一番大事なんですね。そのことが、加工食品の場合、実際、原材料の中に輸入がどのぐらい入っているかがわからないといった実態に対して、我が国の場合は、これだけの輸入大国であって、そこはきちんと表示の中で反映すべきだと思います。
 それと、1つ疑問に思っていることは、7月から施行される米のトレーサビリティ法、このことで、清酒だとか、みりんだとかは義務化されます。表示の義務化は、あと米の菓子、団子、もち。もちもそうですね。こういったところと極めてバランスが悪いわけです。なぜ清酒がね対象で、、なぜジュースが対象でないのか、この違いはどこにあるのかと。ここは、やはりなぜ米のところがトレーサビリティ法で義務化されたかという点は、パブコメのQ&Aの回答の中でも示されていますが、ここはやはり消費者の不信感です。まず1番に今回挙げられたのは、勿論、我国の食にとって大切な食料であるという点が示されています。日本にとって重要な位置づけであるということが理由に挙げられています。3番目に挙げられているのは、この消費者の不信感ですね。何か使われているかわからないと。ここのところが払拭されない。だから、やはり安全性ではないのですどこの産地のものかということを知りたいという、私は、これは消費者からの意見だと思うし、生産者側からもそのことを強く望むわけです。

○田島座長 ありがとうございました。
 山本委員。

○山本委員 原料原産地表示の演題は「拡大の進め方」なのですけれども、拡大するかどうかは今後しっかり議論されなければいけませんが、少なくとも店頭でいろいろな商品を消費者の方が見るときに、少なくともですよ、中小零細の商品がいっぱい並んでいるという情景はめったに見ないわけです。だから、皆さんの頭の中に、多分、消費者の方が頭の中で原料原産地表示がある、ない、とか、そういうことを考えるときには、どうしてもイメージとして店頭に並んでいる、比較的目にしやすい商品をイメージするかもしれませんが、実際、食品企業、食品業界というのは、先ほど説明がありましたけれども、中小零細が9割以上とか、そういう実態があるわけであります。そうすると、その中小零細を、言葉は悪いですけれども、無視してというか、大手だけにそういうことを要求するのではなく、やはり食品業界全体に対して、原料原産地表示をするのが、実際、食品業界として効果があるのかということを考えなければいけないと思います。
 その意味では、中小零細の多い食品業界、今日は、清涼飲料工業会様と冷凍食品協会様ですけれども、そういうところで具体的に強調表示をするところまでは頑張っているけれども、義務表示としての原料原産地表示は非常に厳しいというその実態を、もし具体的な例が、例えばA社、B社、C社でも何でもいいですが、具体的な例があれば御披露いただきたいと思いますのと、やはり強調表示をすることで商品特性はしっかり出せている、しかもどこでとれたものかもはっきり明示しているといったことと、義務表示でなくてはいけないとの意見があることの業界の受け取り方、そこをもう一度説明いただければと思います。

○田島座長 よろしくお願いします。

○公文専務 それでは、清涼飲料から申し上げます。
 まず、強調表示については、強調表示することによってメリットがある。安全・安心から来るものではなくて、産地・品種等が特徴づけられた商品だとお客様に説明しやすい商品として強調表示をしているということが1点です。
 また、その産地を売り出したいものとブランドを売り出したいものは、おのずとアプローチが違います。先ほどの強調表示の商品は、場合によっては期間限定、数量限定といった販売方法になってくるわけですが、ブランド商品というのは、そうではなく、通年一定の品質をキープして販売していく商品ということで、その為、自ずと調達先が変わってきます。強調表示をする商品は、当然原料原産地が表示されており、ブランド商品として育てるものについては、複数の調達先を持って、高度な加工技術でブレンドをしながら、一定の品質、風味、色合いも含めて担保していくわけで、そこには大きな差があると思います。また、複数の原料でいろいろ組み合わせてつくる商品について商品、義務表示というのは困難かつ現実性に乏しいものであるということを先ほど来、主張させていただきました。
 さらに、中小企業の厳しさというのは、既に申し上げたとおりで、新たな追加的な負荷に耐えられる人的余裕はもうほとんどない。そのように思っていただければ良いかと思います。負荷こういった実情は現場を見に行っていただくのが一番良いと思いますし、前回の合同委員会のときにも、現場を見にいっていただいておりますので、おわかりいただけているのではないかと思っています。

○山本常務 米トレーサビリティ法による原産地の記載については、これは、私ども冷凍食品業界でも米飯類がたくさん出ていまして、それはもう当然、原産地表示をするのだということで、既に事業者は動いております。ここは、そういう意味での差別は多分ないのだろうと思うんですね。法的に決まってしまえば、恐らく冷凍食品業界はやらなくていい、どこはやらなければいけない、やるということは多分ないのであろうと思うんですよ。
 それはそれで動きますけれども、ただ、そのときに、やはりいろいろな要素を加味してきちんと考えていかないと、先ほどのシイタケみたいな話が出てくるのかなと。それがいいか悪いか、ちょっと私も判断つきかねるのですけれども、そこは、やはり日本の全産業の中、全産業というのは食品の意味ですけれども、それから日本における食料の調達、供給という視点を入れていかないと、単純に一事業者、一食品産業だけというわけには多分いかないのだろうと思うんですね。
 先ほどちらっと出ました、では、海外でやっている野菜類の農薬の問題はどうなのかと。これは、実は多分見ていただいた方がいらっしゃるかもしれませんけれども、実態は、今、中国から来る野菜は、恐らく5~6回いろいろなステップで検査されていると思うんですね。ただ、検査をすることで安全性が全部担保できるのかというと、そうではありませんから、多くの事業者、私ども冷凍食品の事業者は、基本的に、まず現場を確認すると。現場が日本に供給するに足るような管理がなされているかと。これは畑から始まって、フィールドから始まって、加工の工場、それから輸送も含めて全部確認して、それで物を輸入しているわけですね。ですから、それで輸入されたものであれば、おっしゃるような、何かわけのわからないことが起こるのではないかということはないという前提で、チェックなり何なりの管理の仕組みをつくっていくわけですね。
 ですから、そこは、では、それは原産地が書いてあれば、それで大丈夫なのかと言われると、必ずしもそうではないんだと思うんですよ。そこの背景には、かなりきちんとした仕組みをつくって、管理体制をチェックしながら運営しているということですから、そんなに原産地が書いてあれば大丈夫、原産地が書いていなければ不安だということではないと思うんです。
 現実に、中国から輸入したある野菜で、輸入段階で合格するのですけれども、アメリカから来たら不合格ということが同じ野菜であるんですよ。それは、あくまでそういうことをきちんと見きわめる仕組みを、輸入して、それを加工している事業者が体制として持っているかどうかという話であって、そこに、では、原産地を書いて、消費者の方が選ぶから、それですべて任せていればいいよということではないのではないかと思います。
 ですから、そこら辺は、やはり全体を考えて議論していかないと、ある部分の例外的に、例外というのは変ですけれども、そこだけ考えていると全貌を見失う、全体を見失う。我々はあくまで、当然ビジネスとして仕事をしていますけれども、我々自身も、ある意味では日本の国内への食料供給の一翼を担っているというつもりで動いていますので、そこは是非、御理解いただきたいと思います。
 それから、もう一つ、山本さんが言われていた中で。

○山本委員 中小零細の具体的な苦労点とかですね。

○山本常務 本当に、清涼飲料工業会さんと同じで、冷凍食品業界も、今、私どもの会員だけで650社近くありますけれども、その中で大手と称するもの、これは私ども、売上高とか、自社ブランドで物を販売しているとかいろいろな要素を入れているのですが、恐らく30~40しかないと思います。残りはほとんどが中小零細です。ここは、本当にこれ、現状でも相当情報開示には苦労しておりますけれども、義務化されてしまうと、それが相当痛手になると思います。場合によっては、それが、その事業者の死命を制することになりかねないというところも我々は危惧しております。
 そういう意味では、やはり私は義務化というのはちょっと行き過ぎかなと。本当に義務化することが消費者の皆様にとって必要なことなのか、大事なことなのか。現状は法律では決まっていませんから、先ほど20食品群の50%云々という話を除けば、生鮮食品は原産地表示が義務づけられていますから、これはおっしゃったように、シイタケの事例、その他いろいろありますが、それ以外で義務化されていませんから、恐らく各事業者は、やはり原料原産地を表示すること、それから、もう一つは、生産地を表示しているんですよ。これは法律にはないのですけれども、日本の場合で言えば、この食品は日本の例えば千葉県でつくっています、鹿児島県でつくっています、そういうこともやっているんですね。そういうことは一つ差別化としてありますけれども、本当に原料原産地を強調表示として使うことが適切かどうかというのは、ちょっと私どもではもう少し議論をしたいなと思っております。

○田島座長 ありがとうございました。
 立石委員どうぞ。

○立石委員 よくわかるのですけれども、まず中小の事業者を、私どもも傘下に抱えているのですが、そういうところでは、原産地をそんなに変えるということができないのですね。要するに、事前にスペックを決めて、そのスペックどおりに原材料を確保する。原材料については、比較的もちます。海外から来るわけですから、当然長くもつということは、ストックが可能だということです。そういった中で、きちんと原材料を確保します。
 ところが、そこに今、表示がものすごく難しくなっていますね。先ほどのように、さまざまな表示の義務化が今なされている。そういったことに対応するために、やはり中小ほど、守るために、原材料に対してぼかさない、そういう守るすべを取っておられると私は理解しているのですけれども。基本的に原材料をころころ変えるということが、そもそもできないのが中小ではないですか。

○公文専務 できないということは全くないと思います。間に商社が入ったりしますが、輸入につきましては、その一定のスペックの中で、これをどこで探してきてくれという選択肢は、幾つか持っていると思います。

○田島座長 ほかの委員の方から。どうぞ、山浦委員。

○山浦委員 山本常務理事にお伺いしたいのですけれども、資料2-1で先ほど御説明いただきました幾つかの点ですが、食品の安全の強化と表示の拡大を同一視する議論には賛成できないというお話でして、国際的に原料原産地表示が論議されていないという御認識ですけれども、先ほどの主張にもありましたように、コーデックスにおけるいろいろな動きとか、あるいはEU加盟国における動きとか、逆に、アメリカでは原産地表示が加工食品の原材料に適用されていないとか、あるいはオーストラリア、ニュージーランドではこれが規定されているとか、韓国では厳しいルールがある、そういう世界的な流れもありますので、やはりそれぞれの国では気にしている流れというのが現実にはあると思うんですね。
 そのときの問題点として私が考えますのは、これは、安全の問題はもう科学的に証明されているから、あるいは検査、あるいは証明書によって証明されていると通常言われるわけですけれども、いろいろなグレーゾーンの問題というものが、今、食品にはまだまだあると思うんですね。
 例えばアメリカからの牛肉を使ったものについても、BSEの疑いについては、やはり日本でのアメリカとの輸出プログラム、輸入プログラムのルールというものが議論されている背景には、アメリカ国内におけるBSE対策がまだまだ不十分であるといったような問題もありまして、これが、やはりどこの国の牛肉製品なのかといったことが問題になる事例だと思います。
 それから、ミルクの製品でメラミンの問題がありましたけれども、中国のメラミン問題については、例えばコーデックスの議論の今の状況は、意図しない混入であっても、一定の基準をつくって、これを貿易できるように認めようではないかといった議論も始まったりしておりますね。しかし、これは、やはりこういった意図しないものであっても厳しい規制をするということが非常に重要なのであって、そういったメラミン入りのものが輸出される懸念がある中国製品はどうなんだということが、やはり消費者としては知りたい、そういう関心もあるわけです。
 ですから、こういった問題は、やはり安全性の証明と併せて、どういう素性の食品であるかということが消費者にわかって、消費者がやはり選択権をしっかり確保していく、そういう中で実際に市場でみんなが承認して購入するといった市場のルールが出てくるのだろうと思いますので、前提としての消費者の選択権の確保のためには、やはり基本的には原産国の状況がわかるようなルールづくりが今でも必要ではないかと私は考えております。

○田島座長 御意見の表明だと受け止めておきます。
 それでは、阿南委員よろしく。

○阿南委員 冷凍食品協会さんと清涼飲料工業会さんにお聴きしたいと思います。確認させていただきたいのですが、容器包装への表示には限度があるということはわかりますが、基本的に、商品情報というものは、すべて把握されていると考えていいのかどうか。産地が変わるにしても何にしても、その情報についてはしっかり把握していて、求められたとき、あるいは問題が起こったときには、それに基づいてきちんと説明ができるという体制が確保されているのかどうかということについて確認したいと思います。
 清涼飲料工業会さんは、原産地が特定できない旨の表示については、中間加工品についても、「要らざる不安を与える」と書かれています。また、「原材料をトレースすることが困難なものがある」と書かれています。この「要らざる不安」というのは、私はちょっと言い過ぎではないかと思っておりまして、特定できないとすれば、消費者とすれば当然の不安だと思います。果たしてこれが品質管理などの点で十分に行われているのかどうかという不安は持つと思います。ですので、そうした情報についてはきちんとキャッチしているということなのかどうか。そして、それを求められれば出すことができるということであるのかどうかを確認させていただきたいと思います。

○公文専務 確かに「要らざる不安」というのは、余分な言葉であり申しわけありませんでした。トレーサビリティの確保につきましては、生果については、まず確実でございます。それから、一部トレース困難と申しておりますのは、中間加工品、混ざった果汁として入ってくるもの。先ほどお話ししたのは、イタリアの例等でお話ししましたけれども、生の果物が各国から運ばれて、集積されて、一つのプールのようなところに入れられて、それが搾汁されて入ってきたという場合になりますと、どこどこから入ってきているというのはわかりますが、どこからどれくらいの量でとかという話になりますと、かなり難しくなるということです。そこまでもたどり着けないものがあるかどうかは、私のほうでは、把握していません。複数国の生果がそのプールに入れられるというケースで、どこどこが入らなかったというようなこともあるということで理解しております。

○山本常務 私どもの場合は、原材料をパッケージ上で表示しようが、それからホームページ上で公開しようが、どういう公開をしようが、その原料について必要な情報はすべて把握しているというのが前提でございます。それをせずに開示するとかえって問題になることが多いので、そこは開示している企業はほとんど、そこに一番注意をし、そのことのための仕組みをつくることが非常に難しいねということは、痛切に感じています。
 多分、中小零細さんが非常に難しいというのは、そこではないかと思うんですね。要するに、絶えず原産地表示をした原材料の表示情報が正しいかどうかということをどうやって管理できるか、管理のための仕組みをつくっているかということが担保できないと、これはとんでもないことになりかねませんから、そこが難しいということが一番多いのだと思うんですね。中小零細が悩むのは、まさにそこなんですね。
 勿論それが、いろいろなことをやることがコストアップにもなりますし、人的な資源も比較的手薄い企業であれば、そういう管理をきちんとすることが難しいなということは、みんな自分で感じるわけですね。ですからそこが、どうもこれが本当に義務化されてしまうと、そういう仕組みをつくることに膨大なコストがかかる。それから、万が一それで失敗したときに何が起こるかといったいろいろな要素を考えますから、そこが中小零細にとっては非常に厳しい話だろうと思います。

○阿南委員 ありがとうございました。清涼飲料工業会さんは、やはりわからないところがあるということですが、例えば、安全上のいろいろな問題が起こったときには、それはできるのですよね。

○公文専務 それはたどっていけます。先ほどお話しましたように、これだけの国の産物を使っているというところまでは把握していますから、その中でどこかの国のものこのときは使われなかったということが、その商品を輸入するときにトレースできないということだけですから、問題のあった調達国グループとしてはすべてたどり着けるということになります。

○阿南委員 ありがとうございました。

○田島座長 迫委員どうぞ。

○迫委員 1つ、2つお伺いしたいことがございます。まず、食品に関しては、当然ながら飲食物、体に入るものなので、基本的に健康増進に寄与して安全であるというのは、これは大前提だと思っております。今日の御説明の中で、原料原産地表示が安全性に直接結びつくものではないということも、よくわかりました。ただ、間接的には結びつく部分もあるだろうというところは、了解できる部分だと思っております。
 そういう中で、今回のこの調査会の目的というところが、前回の議論の中で、消費者の選択権の確保であるとか、それから安心の担保という部分がございました。安全性についてということよりも、安心をどのように担保していくのか、この辺の部分の御説明をもう一度お願いしたいというのが1点目でございます。
 それから、もう1点が、強調表示についての御説明を清涼飲料工業会の方からしていただきました。この強調表示をされるに当たって要件が定められているのかどうか。これについては、差別化を図るものという意味で、安全とは関係ない、安心とは関係ない形でというか、その商品のクオリティを高めるためのものという意味合いでの表示だと思います。ただ、そういうものであっても、例えば産地偽装であるとか、何らかの不備があった場合には、安心というところについてはかなり脅かすものになろうかと思いますので、この辺の表示に関する要件、基準のようなものが、内部でつくられているのか、また、そのような強調表示、任意の表示に関しましても、何らかの基準がそれぞれの事業者の方にあるのかどうかというところ。
 最後に、消費者の不信感を払拭するための方法というのは、これは、この原料原産地表示の部分も含めてどのようなことが考えられるのか。ちょっと抽象的な質問で申し訳ないのですが、その辺を教えていただければと思います。
 以上です。

○雛本部長 強調表示に関しまして私から回答させていただきたいのですが、強調表示にしましては、やはり先ほどの説明にありましたように、立石委員もおっしゃっていましたように、ある量を確保するということで、夏だけするとか、春だけとか、旬の季節だけにその製品を確保しましてするということがあります。そのほかに強調表示を単にしてしまいますと、途中で製品がなくなってしまう。ショーテージして売れなくなる、継続ができなくなるという問題がよく起きてしまいますので、大体強調表示をするときには、数量を確保して、変動が起きないものに関してだけやるということが、ほとんどの企業のやり方だと思っております。
 あと、そのものがいいものかどうかということではなく、マーケティングベースの中で、日本で言えば青森産を強調するとか、お茶で言えば宇治産を強調するとか、そういう形でイメージづくりというところで強調しますけれども、それは確保できる範疇で限ってやっております。

○迫委員 そうしますと、強調表示については、特に基準というものはないと考えてよろしいでしょうか。原産地がこういうふうに信州であるとか、それぞれの都道府県名とか、ほとんど国産のものにそういう表示がされていると思うのですが、そういうものについては、単一の製品であって、そしてそれが、例えば果汁100%ということであれば、それは確実に担保されているということと考えてよろしいでしょうか。

○雛本部長 国産のものであっても、外国産、イタリアのレモンとか、特別にイメージ的にいいと言われるものは、そのものが100%を確保できるというところでやっているということです。

○迫委員 細かい文言にこだわって申し訳ないですが、100%確保ということは、原材料としての100%の確保という意味合いでしょうか、そうでなくて、その表示されている質を100%担保できるという意味合いか。

○雛本部長 その産地のものを強調している間は100%使えるということと、また、先ほどから、製品というのは品質が一定でなければ、売っている間一定でなければ、買われる消費者の方は、今回飲んだものと同じ名前なのに味が違う、そういうことが起きないように、一定のものを保証できるという範疇でやるということです。

○山本常務 この場合の原料強調表示というのは、あくまで産地の強調ということでございまして、私ども冷凍食品の場合は、特定の原料について、これは、例えば鹿児島産ですよとか、北海道産ですよというような形の強調表示を使ったいわゆるマーケティングというものがいろいろなところで行われていまして、それはそれで、各社自分できちんと管理をしながら、例えば証明書で取るのか、それとも、最悪の場合はDNA鑑別せざるを得ませんよというところまで覚悟してやっているのか、その辺はいろいろなケースがありますが、そこにかなり神経を使っているということは事実だと思います。
 ですから、そこの強調表示と、それから、逆に産地表示による消費者の方の安心を求めるということとのどっちのバランスなのかと。特定の産地であることによる安心感を得ていただくということは、逆に強調表示が出てしまう。そこは、やはりうまくバランスを取っていかないと、本当に自由に、どっちを使おうがいいんだよということではないんだと思うんですね。ですから、当然、産地表示を義務づけるというときには、逆に強調表示が出てくるであろうということは前提の上で、それが行政的なサイドから管理できる、それから事業者に対してどういうふうにそいつを牽制するのかといったようなことまでお考えいただかないとただ、ひょっとしたら難しいのかもしれません。それは我々事業者としては、別に考えなくてもいいことなのかもしれませんけれどもね。そんな問題が、多分横たわっているのではないかと思うんですよ。
 いろいろなところでこういった形の議論を私は聴かせていただいているのですけれども、大きく分けて、産地表示、義務表示は非常に厳しいという、先ほどから私がずっと申し上げている管理体制の問題とか、中小企業の問題とかいろいろありますけれども、逆に、中小企業の多くのところからは、強調表示をしたいんだけれどもという話も出てくるんですよね。ですから、そこら辺が非常に悩ましい、難しい問題かなと感じているということが実態でございます。

○公文専務 御質問がありました消費者の皆さんからの安心を獲得するためにどうしていくのかというお話ですが、今、我々ができることといえば、ラベルへの表示は極めて困難ですので、ホームページとか、お客様対応窓口部署でのお問い合わせ対応で確実にお答えできるような体制を構築していくということでございます。業界として、この方向に沿い、ガイドラインをつくって進めていくということになります。
 ただ、表示を義務化したら安心が確保できるかといいますと、過去の例で、義務化された商品の中で偽装が起きているということを考えますと、それは安心・安全ともにですが、表示の義務を化したら確保できるというものではなく、それぞれの企業、業界が、どれだけ真摯にこの改題に取り組むかという一点にかかっていると思っております。
 お客様にも、各社のホームページから原料調達での安全・安心への取組み等を是非ご覧いただきたいし、我々としては、そのブランドであり、製造業者の名を絶対汚すことのないように努力をしてまいります、正直申し上げて、こういうお約束レベルでしか物が言えないのがつらいですけれども、是非、御理解いただきたいと思います。

○田島座長 ありがとうございました。
 それでは、阿久澤委員どうぞ。

○阿久澤委員 今日は、それぞれのお立場で、また、藤田さんにおかれましては、多くの経験をもとに諸外国での内容を短時間で御発表いただきましてありがとうございます。それぞれとても参考になる内容でした。
 その中でやはり1番は、原料原産地表示の目的を明確にということで、この辺につきまして、今日伺った内容ですと、その食品の特徴、そして品質との関連性を持った原料原産地表示だというところでは、私も同感でございます。
 その中で1点、藤田さんの御発言の中の3ページに、オーストラリア、ニュージーランドの例で、これは原料原産地に対する考え方だと思いますが、加工コストの50%以上、そういったものを基準に表示しているという内容がございますが、これは、このコストというのは、技術とか、あるいは労力とか、そういった意味、それにつながる内容なのでしょうか。

○藤田技術士 全体のコストの中で、食品にかかった売るまでの、原料を買いまして、加工して、売るまで、小売り先までのコストではないですよ、売る前までの製造コストの50%以上がオーストラリア内で発生していれば、オーストラリアメイドになるわけでございます。

○阿久澤委員 では、50%以下でしたら。

○藤田技術士 以下だったら、ここにございます一番最後に書きましたインポート○○のものからオーストラリアでつくった、こういうことになるわけです。

○阿久澤委員 わかりました。どうもありがとうございました。

○田島座長 立石委員。

○立石委員 冷凍食品協会の山本常務にお聴きしたいのですけれども、今回、7月1日から改正されます米トレーサビリティ法、これでは原産地表示が上位の重量の多い順に2つ、それ以下のものはその他という記載ということで義務づけられるわけですが、これについては、相当小さいメーカーさんもいらっしゃいますね。そういったところの対応策というのはどのようにされているのでしょうか。今回のトレーサビリティ法への対応について、義務化されるということで、お聴きしたいと思います。

○山本常務 対応というのは、協会としてどうしているかということですか。

○立石委員 個別のメーカーさんも含めてです。

○山本常務 個別のメーカー自体は、きちんと納入先と提携して、お米の場合は、大体、各地の農協との提携が多いですから。あとは、国が供給している加工用の原料米、そんなものを使ったりしていますので、そこら辺はきちんと管理しなければだめですよということで、管理体制を鋭意築きつつあるということだと私どもは認識しております。ただ、実際にやり始めたときにどうなるかというのは、若干心配がないわけではありません。

○立石委員 これまで輸入ものとかを使われているところというのは、どのようになさりますか。

○山本常務 輸入の米を使っているところというのはまずありません。すべて国産です。長粒種では、今、我々、冷凍食品業界がつくっているようなおにぎりですとか、ピラフですとか、チャーハンとか、そういったものは、やはり相当味も問題がありますし、多分無理だと思うんですね。ですから、あくまで現在の状況でマーケットに出ているお米を使った冷凍食品の場合は、国産米がほとんどです。

○田島座長 ほかの委員からの御発言はございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、本日は2つの業界からお話をお伺いいたしました。それぞれの業界で抱えている問題点なんかが明らかになったと思っております。お2人の強調されていることは、原産地表示というものが必ずしも安全の確保にはつながらないということを強調されたと理解いたしました。
 ヒアリングに御協力いただきました全国冷凍食品協会、それから全国清涼飲料工業会、それから藤田技術士事務所の皆様には感謝申し上げます。
 それでは、連絡事項等を事務局からお願いいたします。

○原事務局長 御協力いただきましてどうもありがとうございました。
 次回、第3回になりますけれども、4月7日木曜日の午後3時半、15時30分から予定しております。今日に引き続きヒアリングの第2回目を行いたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

○田島座長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。
 お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございました。

≪3.閉会≫

(以上)