第1回 原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会 議事録

最新情報

日時

2011年1月24日(月)16:30~17:17

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 田島座長、阿久澤委員、阿南委員、迫委員、立石委員、日和佐委員、山浦委員、山本委員
【説明者】
 消費者庁 相本食品表示課長、平中課長補佐、中村課長補佐
【消費者委員会事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.調査会の進め方について
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:55KB)
【資料1】 原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会スケジュール(案)(PDF形式:48KB)
【資料2】 原料原産地表示の義務化に向けて(第4回食品表示部会資料より抜粋)(PDF形式:251KB)
【資料3】 原料原産地表示の拡大の進め方(第5回食品表示部会資料より抜粋)(PDF形式:115KB)
【資料4】 加工食品品質表示基準の一部改正の概要(PDF形式:206KB)
【参考資料1】 原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会の進め方について(PDF形式:67KB)
【参考資料2】 原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会名簿(PDF形式:96KB)
【参考資料3】 食品の表示に関する共同会議報告書(PDF形式:162KB)


≪1.開 会≫

○原事務局長 それでは、始めさせていただきたいと思います。本日、委員の先生方におかれましては、食品表示部会に引き続き、お疲れのところ、どうもありがとうございます。
 ただいまから「消費者委員会食品表示部会 原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会」の第1回の会合を開催いたします。
 阿南委員が少し遅れて来られるということですけれども、皆様おそろいなので始めさせていただきたいと思います。
 本日の議題に入る前に御報告がございます。部会での報告と重複いたしますけれども、前々回の12月13日開催の食品表示部会において、原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会の設置について御報告をさせていただきましたが、1月14日、消費者委員会において、田島座長の指名を行い、運営方針について議論を行っております。
 なお、消費者委員会の松本委員長より調査会委員の指名がありましたので、参考資料として付けさせていただいております。
 議事に入る前に、配付資料の確認をさせていただきたいと思いますけれども、議事次第と書かれておりますものの、裏のページに配付資料の一覧を掲載しております。
 資料1として「原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会スケジュール(案)」。
 資料2、3、4については、これまでこの課題についてどういう議論がされてきたかということの参考のための資料ということで、随時、この後、御説明をいただきたいと思ってお付けをしております。参考資料もお付けをしております。
 審議の途中で不足のものがございましたら、事務局までお申し出いただけたらと思います。
 それでは、田島座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

≪2.調査会の進め方について≫

○田島座長 かしこまりました。本日は、消費者委員会事務局から原事務局長のほか、齊藤審議官、消費者庁からも相本食品表示課長に御出席いただいております。
 なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても後日公開することといたします。
 それでは、本日の議題に入ります。
 本日は、調査会の進め方について議題として取り上げたいと思います。
 なお、第1回ということで1時間という短い時間ですが、これまでの検討経過について御紹介し、今後の進め方について御意見をいただければと思います。
 それでは、議事次第に従いまして、まず、調査会の進め方についての議論に入りたいと思います。
 消費者委員会事務局から今後のスケジュール(案)について御説明をお願いいたします。

○原事務局長 資料1をごらんください。簡単なものですけれども、座長とも御相談をしながら、今後の進め方について、ある程度示しております。
 今日は第1回ということで、1時間という少し短い時間ですけれども、これまでの経緯の御紹介ということで、開かせていただいております。
 その後、月1回くらいのペースでヒアリングを2回、それから論点整理というふうに進めてまいりたいと思います。
 ヒアリングの中では、できれば現地調査も行いたいと考えております。これまでもかなりたくさんの時間を費やして、この課題については検討を進めてまいっておりますので、やはりある程度の結論を出したいと考えておりまして、第6回報告書のとりまとめですけれども、できれば7月辺りをめどにとりまとめをお願いできたらと考えております。
 事務局からは、簡単ではございますけれども、こういうスケジュール(案)を提示させていただきました。

○田島座長 ありがとうございました。資料1に簡単なものでございますが、スケジュール(案)が御提示されました。このことにつきまして、御質問、御意見等ございますでしょうか。
 山本委員、どうぞ。

○山本委員 ヒアリングが2回ほど計画されておりますけれども、要望ですが、まだ、いつ、どのような方からヒアリングするということも決まっていないようですけれども、できるだけ広く多くの情報を集めるということで、素材メーカーとか製品のメーカーですとか、あるいは中小・零細も含めて、できるだけ広くヒアリングできるような調整をいただければと思います。

○田島座長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 日本国内だけではなくて、海外の先進的な事例等もあるかと思いますので、調査の中身としては、併せて海外の事例も比較研究をするというような作業も含めたらいかがかと思います。

○田島座長 ありがとうございます。特にコーデックスを受けましてヒアリングをしたいと考えております。
 ほかにございますか。本当は現地調査で、特に輸入に食材を頼っているメーカーさん辺りを中心に調査したいと、私個人的には思っております。
 それでは、御意見がないようでございますので、続きまして、加工食品の原料原産地表示の義務づけ対象品目を設定する際の基本的な考え方及び対象品目の候補の選定方法を審議するに当たって、今日まで行われてきた議論等の経緯につきまして、これは、資料2以下でございますが、消費者庁の方から御説明をお願いいたします。

○中村課長補佐 消費者庁食品表示課課長補佐の中村でございます。私の方からお手元の資料の2、3、4と使いまして説明をしていきたいと思います。
 まず、お手元の資料2「原料原産地表示の義務化に向けて」と、それから資料4の方をながめながら御説明させていただきたいと思います。
 資料2「原料原産地表示の義務化に向けて」は、昨年の10月第4回食品表示部会で御説明した内容の抜粋になっております。主に消費者庁が発足する前の経緯や、これまで進めてきたような内容を、まず、御説明したいと思って、この資料にさせていただきました。
 まず、資料の2ページ目をごらんください。過去どのように、消費者庁が発足するまでの表示というのは、農林水産省において品質表示基準の策定という形で進んできたところです。
 まず、第1段としては、8品目の表示義務化、具体的には、平成12年から加工食品の原料原産地の対象の検討を行って、ここにあるマル1、マル2、マル3、マル4、マル5、マル6の選定基準に基づきながら、農産物漬物、ウナギの加工品などを拡大してきたというところからスタートしております。
 それから、真ん中の20食品群の表示義務化というところなんですが、その後、個別に食品表示の対象を選定するのがなかなか難しいということもあって、平成15年から当時できました食品の表示に関する共同会議というところで改めて選定方法も含めて検討を開始されております。
 この中で、加工食品の原料原産地表示に関する今後の方向を整理・公表し、今、私どもがよく言う要件、マル1、マル2というものが整理されました。
 皆さん、もう御承知だと思いますけれども、まず、マル1番目の要件としては、原産地に由来する原料の品質の差異が加工食品としての品質に大きく反映すると一般に認識されているもの。
 要件マル2として、製品の原材料に占める主原料にあたる農畜水産物の重量の割合が50%以上あると、こういうものについて、義務化の方向を考えていくということになりました。
 このような要件について、平成15年11月以降、品目リストの公表を行って、公開ヒアリング等を行い、最終的に品目リストをつくって、平成16年9月に20食品群の食品について原料原産地表示の義務を拡大したという経緯になっております。
 次に、第3段階として、この表で言うと、緑茶飲料、あげ落花生の追加を行ってきました。これは、平成18年からの新たな追加の対象になる品目の検討ということで、平成17年からスタートをしてきて、最終的にパブリックコメントで意見募集を行って、公開ヒアリング等を行って、要望の多いものの中から具体的にどういうものを選ぶかということを行った上で、最終的に緑茶飲料とあげ落花生について、平成19年10月に義務対象として追加されております。
 次の3ページの方をごらんください。
 こちらの方は、第4段階といいますか、消費者庁が発足直前の平成22年8月に報告された共同会議の報告書の概要をこれから少し説明させていただきたいと思います。
 具体的に3ページのII番の方で「原料原産地情報の表示方法」ということで、これから拡大するときには、どういう課題があるかというのが整理、提示をされて、新たな表示方法の導入の検討についての課題の整理や、その方策について検討されてきています。
 1番目の課題は頻繁な原料原産地の切り替えへの対応。
 2番目の課題として、物理的スペースの制約。
 3番目の課題として、原料原産地情報のわからない輸入中間加工品への対応。
 これらのものをどうするかということについて、対策を検討されました。
 1番目の切替えに関しては、可能性表示の問題等もあるのかもしれませんけれども、それは導入については不適切であること。
 それから、大くくり表示については、表示の意義や必要性も含めて十分な検討が必要であるということ。
 それから、輸入中間加工品の原産国表示の方法の導入については、導入は適切、原料の原産地が不明な場合でも対応ができるからということで、導入が適切だと、そのような整理になっています。
 次の4ページをごらんください。
 次に「III.義務対象品目を選定する際の基本的な考え方」として、消費者の品質に関する情報を適切に提供し、加工食品の原産地に関する誤認防止をするという位置づけに従って、要件I、IIについては、引き続き基本的に維持するものと考えるという結論になっております。
 更にIVとして、今後、具体的な義務対象品目の選定に当たってはとのことで、過去に検討した際に対象にならなかった品目について、先ほどの3つの課題、それから原産地の切替えの問題とか、また、対象品目に追加に当たっては、消費者等からの提案があった品目について検証を行い、更に公開ヒアリングとかパブコメを活用することによって、幅広く調整して検討したらどうかが提言されています。
 ここまでが消費者庁発足までの経緯になっておりまして、21年9月以降、消費者庁が発足してからどのようにするかというのが、次の資料3の「原料原産地表示の拡大の進め方」ということで、これから御説明をしたいと思いますので、御用意をお願いします。
 この資料は、ここにもあるように、平成22年11月16日に消費者庁が第5回食品表示部会で説明した資料そのものですので、皆さん、よく御承知かと思います。まず、2ページ目ですが、(1)として検討についてということで、これまで消費者庁が検討したことを記載しております。21年9月以降は、消費者庁において検討を継続して、消費者庁としては本年2月から3月に意見募集を行って、要望の多かった品目を中心に流通実態調査を行い、その結果、黒糖及び黒糖加工品やこんぶ巻きについて、要件I・IIに該当するので、その旨、先般諮問をして、今、作業をしているところです。
 (2)として、要件I・IIの判断基準を基本として進めてきたのですが、食品表示部会の中でいろんな御意見があったということで、この資料を整理しましたとのことで、先にも御説明したとおりとなっております。
 次のページをお願いします。
 まず、1点目として、基本的な考え方、要件I、IIについてどう考えるかという中で、これから原料原産地表示の着実な拡大を図るため、これらの要件を見直し、または新たな要件を設定すべきかどうか議論が必要ではないかということを、提案をさせていただいています。
 それで、下に想定される課題の例として、何点か挙げておりますけれども、その中で、まず、要件Iとして、原産地についての情報が消費者の選択に混乱を来しているかどうか等の要素をより重視し、要件を見直すべきかどうか。
 それから、要件Iに該当するかどうか定かではない商品についても、消費者の要望の高いものや、産地偽装表示の横行しているようなものについては義務対象品目に追加できるように、新たな要件を設定すべきかどうか。
 要件IIについても、必ずしも原材料の重量が50%以上なくても商品を特色付ける場合があること等を踏まえると、50%という要件の見直しも考えるべきかどうかと、想定される課題の例を御紹介したところです。
 下に、参考として、これまでの要素、要件I・IIの判断の材料として、加工の程度の問題とか、それから、原料の品質の差があるかどうかとか、調達がどうかと、こういうことが、これまで要件Iの中で判断基準になってきたということも御紹介をしてきたところです。
 次のページに、対象品目の選定等ということで、前回御紹介したところであります。次に候補としてどういうものにしていくかということで、今まで3ページに御説明したような要件の検討を踏まえて、幅広く対象品目の候補をリストアップしていこうと。
 それから、切替えの問題とか、中間加工品の問題の中で実行可能性の観点からの課題も新たな表示方法の導入を含めて検討したらどうかということを、こちらの方で提案をさせていただいてきたところです。
 それで、新たなリストというのでは、5ページ目にあるように、これまで農林水産省の方で御検討されてきた品目を列記しまして、これまで検討された中に、これからも要件I・IIあるいは実行可能性の面から表示を義務づけることが適当かどうかというものも含めて、列記してこういう中からリストアップも含めて、候補として具体的に検討したらどうかということを22年11月に提案をさせていただいてきたということです。
 具体的には、参考として記載しているリストを含めて、3点の課題と、その対応策について、原料原産地表示の実効性の観点からの検討を含めて、今後、どういうふうに進めていくかと提案したところで、消費者庁のこれまでの経緯ということになっております。
 以上、過去の経緯等を含めて説明させていただきました。

○田島座長 御説明ありがとうございました。この食品表示部会ができる前には、農林水産省と厚生労働省の共管の食品の表示に関する共同会議というものが、御承知のとおりございまして、平成15年に現在の要件Iと要件IIが定められまして、その見直しを平成20年から21年にかけてやりまして、それで、お手元にございます参考資料の3にあります報告書としてとりまとめられております。
 ところが、参考資料の3にもありますが、要件Iと要件IIというものはいじらなかったんです。ですが、食品表示部会が始まってから、どうも要件I、要件IIというものが、ちょっと制度疲労を起こしているのではないかという御議論があったように記憶しております。
 ということで、この調査会が、要件I、要件IIの見直しも含めて御議論をしていただきたいということでございます。
 御報告に対する質問でも結構ですし、今後の進め方についての御意見でも構いませんので、御意見がありましたら、お出しいただければと思います。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 この調査会の進め方についての、私の考えを申し上げたいと思うんですけれども、原料原産地表示拡大の必要性ということは、各政党も2009年のころからマニフェストに掲げたりして、今、社会の趨勢になっていると思うんです。現在の政権もこれを目指すという状況になっていますから、やはり消費者庁、そして消費者委員会ができたのは、消費者重視という基本的な視点でできたわけですから、消費者の選択権を確保するために、原料原産地表示の拡大をしていくと、そういう基本的なところは、出発点として、私は押さえたいと思っております。
 現在、非常に経済がグローバル化して、TPP問題も懸念されるような状況の中で、やはりさまざまな環境も変わってきておりますので、この共同会議の状況よりも、更に消費者が求める要望は高いんではないかと。そういう意味で、それに応えるべく拡大をしていく必要があるんではないかと考えます。
 消費者の選択権の確保といった場合に、これまで品質の問題とか、重量の問題ということも議論されましたけれども、やはり問題は食品ですから、食品に対する消費者の思い、あるいは選択するときの判断基準、こういった要素も十分に考慮すべきではないかと考えておりまして、現在、トレーサビリティもだんだん充実してくるということでありますから、どういうふうなものを消費者が望むかと、そういった判断というものは、今後は非常に重視されなければいけないんではないかと思います。
 それから、安全性の問題も消費者は非常に重視しますので、科学的に危険かどうかということがわからないグレーゾーンのものも多くあると思うんですけれども、そういうことにつきましても、消費者の選択権を確保するためには、やはりそういった部分がちゃんとわかるような、そういう表示の仕方ということが必要ではないかと思います。
 それから、これまで技術的なところで品質の問題とか、重量の問題というところがかなり議論されてきた嫌いがありますけれども、あるいは事業者にとっての有効性あるいは実現可能性といった、そういうことも議論されたのかもしれませんが、これからは消費者の選択権というところを重視して、コストの問題等がありましても、それを何とかカバーするような仕組みを事業者にも考えていただくと、そういう視点こそが重要ではないかと考えております。
 ちょっと長くなりまして済みません。

○田島座長 ありがとうございました。もともとJAS法による表示というのは、商品選択なんですね。ですから、生鮮食品の原産地表示というのは、品質とか安全性とかというのは、余り関係はしていなくて表示がなされているんです。
 ところが、加工食品の原料原産地表示になってくると要件Iにあるとおり、いつの間にか品質の問題にすり替わっているんです。そこのところを少し議論したいというふうな御議論だと思います。
 ほかの委員の先生から、どうぞ、立石委員。

○立石委員 これまでの間、共同会議等で要件I・IIについては、かなりご議論されてきた上で決定されたということで、今、それを基準として、品目選定を行っているわけですけれども、過去に選定された品目の中の課題が出てきています。例えばコンニャクは、非常に問題になりつつあると思います。コンニャクの場合は、芋が51%で、49%を外国産の粉を使った場合でも、これは国内産の芋の表示で、外国産の粉の表示はしなくていいとか、そういった問題が出ています。
 実際そういったものが出回り、特にコンニャク業界は、今、ミャンマー産のものが相当入ってきています。それが水面下の中で使用されているということについて、非常に問題視して、自主基準を制定しようとしている動きもあります。
 そういったところに、50%という基準を逆手に取る動きが出ているわけです。そういった動きを、特にコンニャクの例なんかを取り上げてみながら、どこに問題点があったのかというところを掘り下げて、課題をきちんと認識した上で、次の議論に進めていくと、要件I・IIという問題は、そこのところに大きく関わっているわけですから、そういったところから、まず、やるべきではないかと思っております。

○田島座長 ありがとうございました。まさに、そこが議論の一番のところだと、私も認識しております。
 迫委員、どうぞ。

○迫委員 先生方のおっしゃることはもっともだと思っております。消費者の選択権の確保というのは、非常に重要な観点だと思います。
 その選択権を確保していくための1つの要件として、適正表示が確保できるのかどうかという、これは最大の要件になるのではないかと思っております。表示の制度をスタートするだけで選択権が確保できるかと言えば、そうではなくて、その適正表示がされていて、初めてそこが確保できるということでございますので、その辺の手法の問題も、例えば先ほどトレーサビリティ法の問題が出ていましたけれども、そういうふうな制度が同時進行で進んでいて、初めて確保できる部分というのもあろうかと思います。
 そういう意味で、適正表示が確保されるという要件は無視できない要件ではないかと思います。
 更に、要件の見直しに関しては、先ほど、立石委員がおっしゃいましたけれども、現在、20品目、それに付け加わって、二十何品目かに増えているわけですけれども、そういう中で、客観的事実として、その要件を見直さなければいけないという条件が出てきているのかどうかというところを明確にするべきで、感覚で要件の見直しをするべきではない。つまり、品目横断的な基準として定められた要件でございますので、これの見直しをするという結論を出すには、それ相当の明確な具体的な事実、客観的な事実があって初めてその議論が成り立つのだろうと思います。
 そういう意味で、問題点を明確に把握した上で議論に入っていくというのは賛成でございます。

○田島座長 ありがとうございました。適正な表示を守らせる、実行可能性ということも重要ではないかという御意見だと思います。
 山本委員、どうぞ。

○山本委員 加工食品の原料原産地ですから、生鮮品はちょっと違って、加工食品となりますと、よく言われていますように、もともとの原料は何かとか、どこで取れたものかということがわからなくなるという大前提があって、ですから加工食品の品質表示基準がある。つまり、先ほど田島座長の方がすり替わるという表現をされていましたけれども、すり替わるというよりかは、もともと必要性があって、それがJAS法に反映されていると私は理解しているんですけれども、それで合っているのかというのを確認したいと思います。
 もう一つは、山浦委員もおっしゃいました消費者目線は当然との考えは、それはそれで非常に重要なことだと思います。けれども、安全というのは消費者も気になるでしょうが、メーカーの方も第一に考えていることでありまして、メーカーも、生産者も、消費者も、安全というのは当然第一番に置いているわけでありますから、そこを外すことはないわけで、これを議論すること自体議論にならないといいますか、当たり前という位置づけになると思っています。
 それと、要件Iあるいは要件IIが今の時代に合っているかということは、検討する事項としては必要だと思うんですけれども、例えば原料原産地として義務化しなければならないのか、強調表示のような現行のルールでもって対応できるものなのかということも含めて、原料原産地の義務化しかないということではなくて、なぜ強調表示ではだめなのかと、あるいは強調表示でできるものなのかということも含めて、この場で検討していく必要があると、原料原産地の義務化ありきという方向だけではなくて、そういうことも含めて検討が必要だと、私は思っております。

○田島座長 ありがとうございました。迫委員、どうぞ。

○迫委員 私は、先ほど論点の部分に関係する部分だけお話し申し上げまして、もう一点、任意表示の部分がございます。任意表示に対して、任意表示をするからにはどういう義務が付いてくるんだと、そこの基準は、今まで示されていないんではないか。それで、任意表示における義務的な遵守事項、そういうところを整理していくというのも、今後の方向性としては非常に重要なのではないか。
 そういう任意表示の実施率が上がってくれば、それがまた将来的には義務表示につながっていくということでもあろうかと思いますので、具体的な手法として考えていただければと思います。

○田島座長 ありがとうございました。続いて阿南委員、どうぞ。

○阿南委員 ありがとうございます。私は、一昨年の8月に出された共同会議の表示方法についての問題意識と言いますか、これから十分検討していきましょうというところを踏まえて議論する必要があると思います。共同会議では、大くくり表示の方向ですとか、そういうことがさんざん検討された末、このように出されたわけですから、これを踏まえながら検討していく、更に詰めていくということを基本にしたいと思います。
 確かに表示は、消費者がそれを見て選択をする重要な要素になりますけれども、しかしそれによって、余りにも事業者のコスト負担が膨大になり過ぎるのは、逆に消費者利益にも反しますし、余りにも細々と記入されていても、かえって選択しにくくなるという点もあると思いますので、考える必要があると思います。
 また、今、お話がありましたけれども、私も農水省で情報開示の在り方検討会というのに参加をしておりまして、そこでは義務表示ではなくて、任意表示の適切なありかたについてのガイドライン的なものを考えていくという検討会でした。
 そうした情報なども得ながらやっていく方がいいかと思いますし、事業者によっては、すでに自主的にそうしたガイドライン的なものを決めているところもありますので、そういう情報も踏まえながら考えていく必要があると思います。
 以上でございます。

○田島座長 ありがとうございました。検討会、情報開示については、事務局の方で少し資料を用意させたいと思っております。
 阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 今、他の委員もおっしゃられましたけれども、今までの共同会議等関連の会議での議論を基に、まず、その中で課題になっているものが、何なのかを確認し、進めていく必要があるかと思います。
 今回のこの表示拡大の問題も、消費者が何のために求める原料原産地表示なのかということを曖昧にせず、その辺をまず明確にすべきかと思います。
 例えば、今までですと、加工食品原料原産地表示の義務対象品目選定の基本的な要件として、要件I、要件IIがありますけれども、これは原料の品質あるいはその原料を使っての製品の品質を示唆あるいは明示するための表示であり、その品質は嗜好性を中心にしたものと思います。そこで、今回、嗜好性を示唆する表示のほかにも何か示唆するものが必要なのかということが、恐らく問題になってくるのかと思います。例えば、消費者が求める安心を表示でいかに提供できるのかというと、これは非常に難しい問題かと思いますが、多分、消費者はその辺を求めての表示拡大であるかと思います。その辺をどう担保できるのか、できないのか、なかなか難しい問題かとは思いますけれども、このことも含め、まず、何のための原料原産地表示なのかということを、課題として明らかにすべきかと思います。

○田島座長 ありがとうございました。表示の共同会議に平成21年8月28日付の報告書、これをまとめるのは1年くらいかけたんですね。それで、アンケート調査をやったし、ヒアリングもやったし、現地調査もやったり、かなりの御手数をかけてやったもので、これが、共同会議がなくなってしまったので、報告書が宙に浮いているということで、やはりせっかく1年間かけてやったものですので、この報告書を尊重したいという気持ちもやはりあって当然だと思います。
 ほかによろしゅうございますか。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 品質の格差というものが、例えば加工品に反映されるかどうかというのが問題になっているわけですけれども、生鮮品においても、過去は、例えば生シイタケでは、中国産と国産では圧倒的に品質に差があったわけです。ところが、今はもうわからないですね。だれが見てもわからないです。中国産はどんどん品質が上がってきていますから、原料の品質では、外国産ということでの品質面での区別は難しくなってきていると思います。
 そういった点で、原料には、どこどこ産のものを使っているのかということを知りたいというのが、恐らく消費者の方の一番の要望だと思います。その点については、人によって思いは違うと思います。安心なのか、中国産が嫌いなのか、そういう方もいらっしゃるでしょうし、ちょっと適切ではない表現ですけれども、そういった方もいらっしゃる方もしれませんし、さまざまな理由で国内産を志向されている方がいらっしゃいます。
 そういった理由に対して、やはりきちんと表示の中で応えるということが大事だろうと思います。品質の差異と50%というルールが、まさに今の現行の課題をすごく歪曲し、消費者の方を逆に裏切っているような例が相当出てきていることは、先ほど申し上げたとおりです。一度、これまでの20品目を洗い直してみて、どんな問題があるのか、当初考えていたとおりにいっているのかどうか、そういったところを検証していく必要があるだろうと思います。その上で、次の組立てをするということを考えていかないと、なかなか前に進まないだろうと思います。

○田島座長 ありがとうございました。どうぞ。

○迫委員 私は、逆の論点からきちんと精査をするべきだと考えております。基本的な基準として、先ほども申し上げましたけれども、品目横断的な基準としてつくってある、しかも、今、伺いましたように、1年半かけて十分検討されて、その中身につきましては、ずっと読ませていただいていましたけれども、非常に議論をされた結果でつくられているものだと思っております。
 ということは、逆にこの基準でいけない理由、変えなければいけない理由が、具体的、客観的事象として出てきているのかというところをきちんと検証した上で、変えるべきなのか、変えないのか、または何らかの要件を新たに1つ追加するべきなのか、客観的条件というものを明確にして議論していければと思います。変えるという前提ではなく、今ある品目横断型の基準というのは必ず必要なものだと思いますので、そういう意味で大事にしていくべき基準だと思っております。
 以上です。

○田島座長 ありがとうございます。山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 私も共同会議の報告書は尊重すべきだとは思いますが、やはりこれ以降、さまざまな偽装がまだ続いていますね。そういったコンプライアンスの問題に対して、ちゃんと回答ができるか、あるいは新規食品等も拡大しており、日本に置きましても、例えば体細胞クローンの家畜が開発されたとか、あるいは遺伝子組換え食品の広がりも見られるということがありますので、これまでの要件に加えて、消費者として懸念しているような問題ということも共通の基準としては必要となってきているんではないかと思うんです。
 そして、消費者が考える、こういった表示への希望というのは、例えば国産の問題についてアンケートを取ると、支持が高いですね。そういったトレーサビリティが実現できるための表示のあり方を考えることも重要ですし、単なる食品だけではなくて、日本の農業と結びつく食べ物に対する思い入れということが重要だと思います。消費者にとってそうしたことがらが選択できるような制度を考えることも重要かと思います。
 ですから、安全の問題もあるかと思いますけれども、新規食品に対する懸念をいかに払拭するかという点での基準ということも今後考えなければいけないということで、さまざまな論点がこれから付け加わっていくんではないかと思いますので、その点、しっかり議論したいと思っております。

○田島座長 ありがとうございました。ほかにございますか。
 それでは、御意見が出尽くしたようでございますので、今後の議論の材料とさせていただきたいと思います。さまざまな御意見がでましたが、要件I・IIを見直すべきだというお話もありましたし、見直さなくてもよろしいという意見もございました。見直すんだったら、その根拠というものも必要ではないかといった御意見もございました。
 それから、共同会議の報告書を、論点の最初にしたらどうかというような御意見もございましたし、その後の状況というものもかなり変わってきているので、その点も重要視しなければいけないというような御意見もございました。
 今後、ヒアリングあるいは現地調査の中で、そういった問題点も更に詰めていきたいと思っております。よろしゅうございますか。
 予定した時間は、まだ若干ございますが、どうぞ。

○山浦委員 この調査会で報告書をまとめていった、その報告書の扱いなんですけれども、部会との関係で、あるいは本委員会との関係で、どういうような位置づけがあって、その効果というのは、どのようにどんなふうになっていくのかを伺いたいんですけれども。

○田島座長 これは調査会ですので、調査会がそのまま消費者委員会の結論にはなりません。部会に報告するという手続が必要でございます。部会で承認されますと、消費者委員会に報告ということで進みますので、あくまでも部会の下につくられている単なる検討会ということで、最終的な御判断は部会の御判断という手続になります。

○山浦委員 そうすると、一種のたたき台的な参考資料というような扱いになるわけですね。

○田島座長 はい。ただ、この委員のメンバーは全員部会のメンバーでございますので、この結論が部会で否定されるということは考えたくはないですね。
 ほかにございますでしょうか。
 山本委員、どうぞ。

○山本委員 原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会と、ある意味テーマが絞られている調査会で、期限も決められているという、短い期間の中でまとめていくわけですね。この際ということで、あれもこれもと持ち込んでくると、まとめにくくなるということも考えられますので、できるだけ原料原産地表示と、ごく近いところの関連テーマということに集中して進めたいと、思っております。

○田島座長 ありがとうございます。まさにそのとおりでございます。今年の8月までに消費者委員会でもってまとめなければいけませんので、タイトなスケジュールでございますけれども、よろしく御協力のほどお願いいたしたいと思っております。
 それでは、なければ、議事は以上でございますので、事務局から今後の予定など、連絡事項をお願いいたします。

○原事務局長 どうもありがとうございました。次回の日程につきましては、改めて日程調整させていただきたいと思います。その上で御案内をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

○田島座長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

≪3.閉 会≫

(以上)