第9回 消費者安全専門調査会 議事録

最新情報

日時

2011年6月28日(火)10:00~11:59

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
宇賀座長、中川座長代理、阿南委員、片山委員、齋藤委員、佐竹委員、
杉山委員、田澤委員、中尾委員、中嶋委員、中村(晶)委員、中村(均)委員、
橋本委員、松岡委員、横矢委員、吉岡委員
【消費者委員会委員】
中村(雅)委員長代理、佐野委員
【説明者】
消費者庁 消費者情報課 金児首席情報分析官、滝情報分析官
【事務局】
消費者委員会 齋藤審議官、原事務局長、諏訪園参事官

議事次第

1.開会
2.前回までの議論の整理
3.消費者安全専門調査会のとりまとめ報告書(素案)について
4.その他
5.閉 会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:71KB)
【資料1-1】 事故情報の収集・一元化に関する前回までの議論の整理 (PDF形式:119KB)
【資料1-2】 事故情報の分析に関する前回までの議論の整理 (PDF形式:123KB)
【資料1-3】 事故情報の公表・活用に関する前回までの議論の整理 (PDF形式:145KB)
【資料2】 消費者安全専門調査会報告書(素案) (PDF形式:381KB)
【参考資料1】 消費者庁からの主な注意喚起情報のまとめ (PDF形式:144KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。それでは、始めさせていただきたいと思います。本日は朝早くから、お忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございます。
 ただいまから「消費者委員会消費者安全専門調査会(第9回)」の会合を開催いたします。本日は専門委員の鶴岡委員が御欠席と聞いております。少し遅れておられる委員もいらっしゃいますけれども、始めさせていただきたいと思います。
 まず配布資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第の裏に配布資料の一覧を付けております。
 資料1から枝番で1、2、3と付けております。これまで議論をしてきました事故情報の収集・一元化に関するもの、分析に関するもの、公表・活用に関する前回までの議論の整理をクリップで止めてお付けしております。
 資料2といたしまして、本日、素案として提出をしておりますが「消費者安全専門調査会報告書(素案)」になります。
 参考資料1として「消費者庁からの主な注意喚起情報のまとめ」をお付けしております。
 途中、不足などがございましたらお申し出いただければと思います。
 それでは、宇賀座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○宇賀座長 おはようございます。本日は消費者委員会事務局から原事務局長のほか、齋藤審議官、諏訪園参事官においでいただいております。また、消費者庁から金児首席情報分析官、滝情報分析官に御出席いただいております。
 本日の会議につきましては、公開で行います。議事録につきましても、後日公開することとさせていただきます。
 それでは、議事に入らせていただきます。議事次第「2.前回までの議論の整理」につきまして、資料1「事故情報の公表・活用に関する前回までの議論の整理」に基づいて、事務局から御説明をお願いします。

≪2.前回までの議論の整理≫

○齋藤審議官 事務局の齋藤でございます。資料1-1をまずごらんいただきたいと思います。
 これは事故情報の収集・一元化に関する前回までの議論の整理ということで、主にこの専門調査会の初めの方の会議での議論を整理しておりますが、前回、第8回の議論の中で、この収集の中に位置づけた方がよろしいかと思うのも2つほどございましたので、この中に位置づけております。
 御紹介いたしますと、まず1ページの事業者からの収集の上から3つ目「重大事故に関しては消費生活用製品安全法できちんと法律で報告しなければならないことになっているが、食品その他もきちんと義務化して、たくさんの情報を集めた上で分析して伝えるという方法が必要ではないか。事業者の情報をいかに集めるかということも考えていかなければいけない」という御意見がございました。
 2ページ。こちらは「消費者からの収集(消費者安全法)」という項目の中で位置づけられるかと思いましたが、上から4つ目「子どもに関する情報提供をいかにするか、いかに集めてお母さんたちに知らせていくかも非常に重要。特に子どもの事故に関して力を入れて情報を集めていただきたい」という御意見がございました。
 収集関係で前回出された意見はそんなところかと思います。
 資料1-2「事故情報の分析に関する前回までの議論の整理」でございます。この中に整理される前回の御意見といたしましては、1ページの中ほどに紫色を付けておりますが、「消費者庁がヨーロッパのように、規格の作成を命令する権限を持っても、機能をきちんと果たせるようにするためには、多くの分析官が必要。原因究明は極めなくてもいい。壊れた原因などをメーカーのデータなど見せてもらって、それを防がなければいけないという命令だけを出すような、そういう分析をする人が必要」という御意見がございました。
 分析に関してはそのくらいだったかと思います。
 資料1-3「事故情報の公表・活用に関する前回までの議論の整理」でございます。
 3ページ「事故情報の公表について」ということで、前回はそういうテーマでさまざまな御議論をいただいたところでございます。
 情報をどのように届けるかというカテゴリーで整理できると思われる御意見がその下の方に並べてございます。まず書いておりますのは、「地方の消費者センターが地域の情報ネットワークの要として動けるようフォローしていく体制が必要」「PIO-NETから地方で使えるような情報がすぐに返されていくような、体制を強化してほしい」、そういう御議論がございました。
 その次は届けるという意味で、その地域のネットワークを使う。子どもの親、消費者団体、高齢者団体というそれぞれの横のつながりというものを活用して、そういう工夫をする必要があるのではないかという御議論がございました。
 一番下でございます。北海道では消費者被害ネットワークをつくりまして、福祉団体、学校の校長会が入って、そのネットワークの中で情報が提供されている。そういう地域のコミュニティを利用すると、消費者庁の消費者への注意喚起がもっと届くのではないか。そういうような御意見がございました。
 4ページ。引き続き、情報をどのように届けるかという観点での御意見でございます。
 一番上のところです。一番手近な手段はテレビではないかということで、一つのアイデアとして、ニュース番組の中での天気予報の後に事故情報を必ずスポットで入れるということをやってはどうだろうかというような御提言がございました。
 その次のポツ。嫌でも届くような仕組みを考えるという観点が大事ではないか。民間企業はポストへの投げ込みをしている。そういう観点が必要ではないかという御意見がございました。
 その次は、新聞にリコール情報を出しますと、相当のお金がかかる。中小企業・輸入業者はそういう費用に耐えられない。そういったところは消費者庁が代わりに買い取って便宜を図るということも一つの方法ではないかという御意見がございました。
 2つ飛ばしまして、下の方です。いかにGoogleで引っかかるようなホームページでの示し方ということを考えるべきではないか。見えるような形にするべきではないかという趣旨の御意見で、例えば一層目に書く。余り深いところに書かない、あるいは消費者庁のホームページの一番上に名詞で並べておくという形で、Googleに引っかかるようなやり方を考えるべきではないかという御意見がございました。
 画像やデータをもっと見せるようにすれば、使ってもらえるのではないか。学校での教育現場にも使えるのではないかといったような御意見がございました。
 5ページ「注意喚起を効果的に行う工夫」に整理しておりますけれども、消費者庁が注意喚起を行っておりますが、直接消費者庁から行う場合と団体を通じて行う場合とありますけれども、その場合はどういう考え方で分けているのか。依頼した先へのフォローを行っているのかという御指摘がございました。
 依頼した後、どのくらい効果が上がっているかということも調べる必要があるのではないかという観点の御意見もあったところでございます。最後の方にありますけれども、その効果というものを何かインディケーションになるようなもので評価できるようにすべきではないかといったような御意見もございました。
 6ページ「情報を役に立つものにする工夫」。中ほどにございますが、注意喚起すべき情報をどのように絞り込むかに関連いたしまして、例えばバスの中の転倒事故や食中毒は、件数は多いのに余り注意喚起されていないのではないか。どういう観点で注意喚起すべき事案を選んでいるのか。そういう御疑問が呈せられたところでございます。
 下の方に行きまして、ユッケの食中毒の関係で御指摘がいろいろございました。今回の事故の前から、過去にユッケ関連の食中毒が何件もあった。であれば、早めに消費者庁として事故の未然防止や予防につなげるような観点で公表するということがあってもよかったのではないかというような御指摘がございました。また、パロマの事故の教訓を是非生かしてほしいという意見もございました。
 一番下のところ。固有名詞を出せば消費者あるいは関係官庁が見る場合でも、非常に参考になるということで、スピーディーに再発防止対策につなげていくという意味で、固有名詞の公表の範囲を見直す必要があるのではないかという問題提起があったところでございます。
 7ページ「公表に際しての製品起因という要件に関して」。3つ並んでおります一番下のところですが、誤使用か製品起因かという分類だけにこだわらず、誤使用であっても続発するようであれば、対策が必要だということで、対策が必要か否かをどこまで公表するかについての重要な基準の1つとして考える必要があるという御意見がございました。
 「情報を受け取る側の課題」ということで2つ御指摘がありまして、1つは受取り側の教育や啓発をしていかないといけない。テレビでどれだけ報道しても受け取れない消費者の方もいる。そこを並行して考えていかないと、実効性に乏しい結果になるのではないか。また、全国の小学校、中学校で消費者安全に関する授業を1コマでも2コマでも持てるようにすれば、きっかけになる。興味を持てば、ほかのものも見るようになるのではないかという御指摘がございました。
 8ページ「製品安全のニューアプローチについて」の御議論がございました。これは情報の活用という観点から整理できるかと思います。
 安全基準をつくるということが大事である。日本の規格はすべての商品、サービスを網羅していない。事故を起こさないような体制をつくるということが大事。
 製品安全4法のうち、消費生活用製品安全法は包括的に決めてある。残りの3法は特別法なので、この法律はある意味、規格であってもいいのではないか。
 日本は安全をすべて法律で賄おうとしている。しかし、規格で賄える部分がないと、どんどん開発されていく商品に追随できない。経産省だけでなく、ほかの省も管轄している商品についても、消費者の視点からニューアプローチを考える必要があり、この専門調査会でも考えてほしいという御意見がございました。
 1つ飛ばしまして、どういう規格をつくるかということに関して、消費者庁はNITEのデータも包括した大きなデータを持っているので、消費者庁がこれはおかしいということで出してきたものをきっかけにして、規格をつくったらどうかという御意見がございました。
 法的な権限という意味で、今の消費者安全法の規定では、情報を得た消費者庁がこの規格をつくるべきだということを他省庁に対して言えるという権限は書いていないのではないか。これは一つの検討課題であるという御指摘がございました。
 同様の意見ですが、消費者庁はデータを持っているのであるから、その情報の活用の仕方として、他省庁に規格をつくるべきであるという権限がないのは、宝の持ちぐされである。この専門調査会でも検討すべきであるという御意見がございました。
 すべての製品は安全でなければいけないというのは消費者安全法でやっているので、ニューアプローチの中の規制対象品目の包括化は、我が国では対応していると思う。残るのは規格について抜けているところを消費者庁が、では何をするのかといった場合に、今の消費者安全法16条、17条では足りない、あるいは使いにくいというところがあれば、別の条文があった方がいいのかもしれないという御意見がございました。
 最後の2つでございますけれども、これはもう少し広く安全基本法といったような大きな政策を確立していく上で、消費者庁も参加すべきである。
 消費者庁のできたときのいきさつなどからすると、ニューアプローチの議論のところに消費者庁が積極的にコミットして、是非とも消費者庁が担うというような感じで行っていただきたいという御意見がございました。
 以上でございます。

○宇賀座長 それでは、ただいまの御説明につきまして、委員の皆さんの御発言の趣旨が十分に反映されていないところがありましたら、御指摘をお願いします。いかがでしょうか。

○佐野委員 内容ではないのですが、多分私が発言をしたところだと思いますが、お母さんという言葉が2回出てくるんですけれども、保護者または親という方が適切ではないかと思うので、修正していただきたいと思います。

○宇賀座長 分かりました。その点はそのように修正をお願いします。
 ほかにいかがでしょうか。もしすぐに今この場でお気づきの点がなくても、後ほどお気づきの点がございましたら、事務局の方にお伝えいただければ、適宜修正をしたいと思います。
 それでは、次に議事次第「3.消費者安全専門調査会のとりまとめ報告書(素案)について」に入らせていただきます。この報告書(素案)は事務局の方で作成したものですが、本日の皆様の御議論、御意見あるいは消費者庁からの御説明を踏まえて、所要の修正を行うためのたたき台としてお考えいただき、後ほど自由に御議論をいただきたいと思います。
 まず事務局から、報告書(素案)の御説明をお願いします。

≪3.消費者安全専門調査会のとりまとめ報告書(素案)について≫

○諏訪園参事官 消費者委員会事務局の諏訪園でございます。今回は報告書を作成するに当たりまして、各委員、消費者庁におかれましては、事前に報告書についてお目通しをいただき多数の御意見をいただきまして、改めてこの場を借りて御礼申し上げたいと思います。
 昨日の夕方まで消費者庁と事実関係のすり合わせ等をやっていたものですから、後で見直してみますと若干誤字脱字があったりしますが、その辺は平に御容赦のほどをお願い申し上げます。
 今、座長から御紹介がありましたように素案でございまして、まさに今までの皆様の御議論を踏まえて、こういったものでしょうかというイメージを出したものですので、今日の御議論を踏まえて、適宜修正を図っていって、最終的なとりまとめをしたいと考えております。
 それでは、全体の目次をざっと見ていただきますと、2~3ページでございます。
 最初に「第1 本報告書の検討の方向性」を述べて、その上で「第2 事故情報の収集・一元化」「第3 事故情報の分析及び公表・活用」という2段構えになっております。この収集・一元化と分析及び公表・活用は、御議論のときには2つに分けていたんですが、皆様の御意見を分析してみますと、どうも一体として論じられているところが多いかと思いまして、このようにまとめておりますが、これは御意見を踏まえまして、変えることも考えられると思っております。
 4ページ以降「はじめに」から簡単に御紹介をしてまいりたいと思います。
 「はじめに」のところでは、10回の審議を重ねてきたということで、これまでの御議論にありますように、消費者庁及び消費者委員会が発足したからといって、直ちに安心と安全が手に入るというわけではなく、やはり関係者の御努力が必要なんだろうということ。
 更には、事業者の方においても、そうした安心・安全文化を育てていくということで、更に創意工夫、技術開発が図られるということで、我が国が今後、安心・安全大国として飛躍することにもつながるだろうということを述べております。最終的にはこの報告書の提言が速やかに実現されることで、第二の中国産冷凍ギョーザ事件ですとか、第二のガス湯沸かし器事故といったものが決して起こることのないように、強く期待するということを述べております。
 5ページ「第1 本報告書の検討の方向性」でございます。こちらは大きな論点が3つあるかと思います。
 マル1は、重大事故については、その収集範囲が非常に限定されているということ。その公表の仕方についても回収率が上がらない等、不備と見られるようなところも目立つ。それから、前回の調査会でございましたけれども、ギョーザ事件がきっかけとなって消費者庁が発足したことを踏まえると、この間起こりました、焼肉酒家えびす食中毒事件についても、是非検証してほしいという御宿題をいただいておりますので、これについても後で更に調査した結果を述べたいと思います。
 マル2は、子どもやお年寄りに特有の事故や誤使用が相次ぐ事故。こういったものについても、十分に分析・活用すべきではないかということがありました。
 マル3は、マル1とマル2の課題を洗い出していくためには、どうしても消費者庁の人員増加がまず第一に必要なわけですが、どうしてもそれだけでは足りない面。こういった面については、関係機関との連携、委託の強化といったものを効果的にできるような体制、法制づくりというのも必要ではないかということがあったかと思います。
 こういった3つの論点を踏まえて、以下、検討していくという流れになっております。
 6ページ「第2 事故情報の収集・一元化」ということで、最初に「1 現行制度の概要」を簡単に述べています。
 6ページの中ほどに「2 現行制度に係る本専門調査会の問題意識」ということで、資料1にこれまでの詳しい議論の内容が載っておりますが、ここでは簡単に主な論点を出しております。
 1つは、現行制度の仕組みが、消費者安全法は非常によくできているんですが、実際に運用してみようとすると、どうしても目詰まりとか捕捉漏れが起こっているのではないかという御指摘が多々ございました。
 通知義務対象については、もっと広げるべきではないかという話。重大事故の定義も30日以上の治療期間と限定されていますが、もう少し広げるべきではないかというお話がございました。
 通知する側が重大事故かそうでないかを判断する上で、過剰な負担を負うような仕組みは改めるべきだということもありました。
 中国産冷凍ギョーザ中毒事件のような事故は二度と起こらないような仕組みにすべきだということでございます。
 その上で、現行制度の実効性に関する論点とその検証について整理してみました。幾つか論点を挙げております。
 マル1は消費生活用製品安全法と消費者安全法。これは別に何もどちらが先に来るべきという話ではないわけですけれども、たまたま同じ事故が起こったときに、行政機関と事業者の方が同様に把握した場合に果たして、例えば事業者の方が報告漏れがあったときに行政機関の方の通知で捕捉できるのか。あるいはその逆はあるのかといったことがきちんとできていれば、迅速な注意喚起体制が実現できるわけですが、その辺りのことを検証してみたいということでございます。
 マル2は逆に事業者の方の報告について、消費者安全法の規定で注意喚起ができないか、事業者に対する事故報告を促すといった形で利用できないかということであります。
 マル3ですが、この消費者安全法は非常に幅広い事故を対象にしておりますけれども、事故というのもまた非常に幅広い範囲で起こるわけでございまして、さまざまな事故を捕捉できるような体制になっているのかについて、検証してみたということです。
 8ページ。こういった消費者安全法に基づく体制はあるわけですけれども、事故について全部が全部捕捉し切れないという現状があるわけで、事故情報データバンク、今は消費者庁の方で参加機関を広げていただいておりますけれども、その登録情報が消費者安全法における通知漏れや遅れに対するけん制を果たしているのかどうか。全体をもって消費者行政の強化になっているかという観点から検証していきます。
 最初の論点は、消費者安全法に基づく行政機関の通知がどうかということでございますが、これは後にも述べておりますように、総務省が今年2月に勧告しておりまして、消費生活用製品安全法に基づく事故情報は来ているんだけれども、消費者安全法に基づく事故情報は来ていないというのが結構多いではないかということで、消費者庁もそれを受けて消防庁や警察庁に対して、是非きちんと通知をしてくださいというような要請をしているわけです。
 4月、5月の公表分を調べてみましたところ、8ページの下の表にございますように、この事故の発生日があって、消費生活用製品安全法に基づいて事業者が報告をしてきて、事故が公表されたと。ただ、その後に消費者安全法による通知が行われたということで、この落差が1か月ないしは数か月に及ぶものもあるということが見受けられております。
 9ページ。例えば上から5行目、平成22年9月に事故が発生しているわけですが、消費生活用製品安全法の公表は翌月の10月4日で、行政機関から通知が来たのは翌年5月9日という極端な例もあるわけでございます。
 この辺りは総務省の報告を受けて、消費者庁が主に対応しているわけですけれども、10ページにもありますように、個別の事件についてフォローアップをしておくべきだったのではないかということを述べております。
 10ページ「(2)論点マル2」。これは消費生活用製品安全法について、逆に消費者庁が消費者安全法に基づいて通知を受けて、どうも事業者の方から報告がなかったということについて調べてみましたところ、これも4月から5月について3件あったわけでございます。
 ただ、そのほか、消費生活用製品安全法の方で事業者からの報告が遅れているものについて、消費者安全法の方できちんと来ていて、それで事業者に対して督励ができたかというと、そうでない事件も3件ほどあったということでありまして、消防庁ないしは警察庁からの通知がない事例が目立っているところでございます。
 「(3)論点マル3:消費者安全法に基づく情報把握の状況」。消費生活用製品安全法は、特定の製品しか対象にしておりませんので、そのほかの製品については消費者安全法しかないわけですし、すべての役務についても消費者安全法によるしか、事故情報の把握はできないということで、消費者安全法の意義が非常に高いわけですけれども、11ページの表にありますように、どちらかというと範囲が狭いはずの消費生活用製品安全法の方の報告が多い。
 平成23年度に入ってからはそこが逆転しておりますので、消費者安全法の通知が励行されつつあるのではないかと思いますが、少なくとも平成22年度中は逆転した現象になっている。この辺りについて、消費者安全法はどのように集められているのか。どのように励行されているのかということについて調べてみました。
 通知のスピードですけれども、この間、宿題がありました焼肉酒家えびす食中毒事件について、11ページの後半から調べております。具体的には12ページの表を見ていただきますと、この事件は新聞でも御承知のとおり、最初に公的機関に届出があったのは4月26日の福井県でございまして、まず病院から福井県の保健所に届出がございまして、すぐに福井県の方にも報告があったと。厚生労働省から消費者庁に通知があったのは、翌々日の4月28日ということであります。ただ、このときは福井県の報告を私どもも拝見しましたが、事業者名が書いていないということがありました。
 他方、富山県の方の事故については、27日に届出があり、これは即日、消費者庁に来ています。直ちに報告通知ということが定められているからと思われます。ちなみに5月2日に福井県で富山県の患者と一緒のものだったということが厚生労働省に報告が上がりましたが、これも5月3日に消費者庁に来ているといった形になっています。
 13ページ。したがって、この辺りの反省でございますけれども、消費者庁がそもそも福井県から最初に報告が上がってきたときに、これが富山県の事業者と同じだということを確かめるべく、福井県の事業者名を確認していたということであれば、もう少し、これがどうも広がりがあるものだということがわかったのではないかということ。
 この直ちにというのがどうも翌々日ないしは翌日に回っているということがありまして、かねてからこういった義務履行について、遅れがないように要請していれば、もう少し被害拡大防止に資することになったのかもしれないということを述べております。
 このほか、公表の話もありましたが、それは公表のところで分析したものを報告したいと思います。
 「イ 学校、福祉・介護施設、保育施設その他公共施設」については、さまざまな条例、法令に基づいて、事故が起こったら、直ちに所用の機関に報告される制度が整っておりますけれども、14ページにございますように、物によっては少なくとも国の法令では設けられていない例として保育所や小中高校、有料老人ホーム等がございます。
 勿論、消費者庁としては、例えば14ページの一番下の段落にありますように、学校について見ますと、「消費者事故等の通知について」というのを発足当初は流しているわけでございますけれども、22年度の通知件数は全国合計で数件にとどまっているということで、なかなか徹底されていない。実際に独立行政法人日本スポーツ振興センターが登録したものが届いているかというと、文部科学省の方には届いていないといったこともございます。
 その原因を見てみますと、東京都の事故発生報告事務処理要領などを見ますと、どうも消費者安全法の規定とも違う書きぶりになっておりますので、学校の方にはどうも徹底されていない可能性があるのではないかということでございますし、老人ホームなども担当官に聞きますと、事故についての発生状況まで手が回らないといったこともございます。
 15ページの小売店舗・遊技場等の商業施設といったものでございます。こちらも消費生活センター等に届出がなければ、なかなか消費者庁に伝わる仕組みがないといった問題点がございます。
 16ページ「論点マル4:事故情報データバンクの活用状況」。この活用の仕方はいろいろな活用の仕方があるとは思うんですけれども、消費者庁の人員が足りないということもあってか、この事故情報データバンクに登録されたものに基づいて、消費者安全法の公表を拡充するといった工夫が図られているわけでもなく、この辺りが課題になっているんだろうと思います。
 17ページ。それでは、どういう評価、どういう対応策があり得るのかということでございますが、3つございます。
 マル1は消防、警察等からの通知がいまだに励行されているとは言いがたいことを踏まえると、もう少し督励を図るべきではないか。
 中毒事故情報については、各県の情報は都道府県が公表したものでありますので、そうであれば直ちに通知すべきですけれども、どうも1日2日の遅れが非常に目立つということ。
 マル3は公共施設において生じた事故も通知が義務づけられている国の法令は限られているということですし、通達は流していただいていますけれども、なかなか励行されていないという現状がございます。
 こうしたことについて、どう対応していくべきなのかということですが、マル1、マル2は消費者庁におかれても、今後、人員増、予算増を図って、是非対応をお願いしたいということでございます。
 マル3ですけれども、これは各自治体の人員状況等もございますので、そう簡単に収集範囲が拡大できるというわけでもないと思われます。
 18ページにございますように、以下の幾つかの対策が考えられるということです。
 マル1はこれも消費者庁の体制にもよりますが、事故情報データバンクや医療機関ネットワークに登録された情報について、消費者安全法との情報のすり合わせ等を行って、行政機関からの不備があれば注意をするといったことが1つ挙げられます。自治体によってはどうも非常に不備が多いというところについて、「多いことを公表しますよ」と注意するとか、そういったことも一部の委員から聞かれているところでございます。
 マル2として、どうも火災情報が非常に多いわけですけれども、救急隊員も火災以外の事故については相当接しているわけでございまして、例えば、東京消防庁も救急隊員がどういった患者を運んだのかということについては統計を出しております。救急隊員が運び込んだところの医者の判断で入院をするかどうかということで分類して報告をしておりますが、30日以上の治療期間というのでなく、入院を要するかどうかで通知すべきかどうかというメルクマールとすれば、救急隊員はもっと事故の報告を増やすことができるのではないかということが挙げられます。
 19ページ。これもかねてからこの専門調査会で言われておりますけれども、30日間の基準をもっと短くするべきではないかも挙げております。
 行政機関からの通知だけに頼っていいのかということで、一部の委員から御指摘がございましたが、例えば被害者ないしはその家族が書き込めるようなものができないか。ただ単に書き込むと2ちゃんねる化する可能性もございますので、一定の編集を経て登録されるようなデータベースの構築は考えられないかということを挙げております。
 21ページ「第3 事故情報の分析及び公表・活用」。
 21~22ページは制度の概要について述べておりますので、割愛させていただきます。
 若干法的な論点があるところで、23ページの消費者安全法の公表の話でございますが、今は3つございまして、マル1は週1回の定期的公表。これは消費者安全法の3条と4条3項に基づいて公表して、毎週定期的に公表している。
 マル2注意喚起については15条1項ということで、逐条解説などを見ますとサンクションではないと、謙抑性の要請はないということですが、実際には非常に重い手続を課しておりまして、消費者庁長官もこれは非常に重い注意喚起なんですよということを実際に述べていらっしゃいます。その結果、消費者庁設立以来、取引関係の事案2件だけにとどまっているということでございます。そのほか、それだけではということで、最近、消費者庁の活用しているのは社会的影響等を勘案した公表を適宜行っていらっしゃいます。
 その上で、こういった制度について、どういう問題意識があるかということを25ページ以降に述べておりますが、これまでこの場で出た御議論としては、事故情報については分析を経ずに迅速に公表していく仕組みと注意喚起等の活用のための分析をしっかり行う仕組みのように分けて行う必要があるということ。
 前者については、どんどんデータベースに蓄積し、いつでも検索して見ることができる形にすべきだと。ホームページの構造を工夫して検索しやすい形にすべきということ。
 後者については、事故防止につながるような徹底した分析を基に公表する必要があるだろうということです。消費者安全法の事故情報はどうも事業者名、型式名が圧倒的に少ない。この辺も工夫すべきだろう。公表に当たっては、子ども、高齢者、子育て中の親等に的を絞ったアクティブな情報が必要ではないか。中小企業などへの支援も考える必要があるだろう。更にテレビのニュース番組の後に広くお知らせを入れてもらうなど、リコール情報の公表についても工夫すべきということ。注意喚起については、その対象を考える必要があるといった御意見。
 26ページ。各機関の有効な活用。誤使用にも原因があると見られる事故についての分析、公表を工夫すべき。EUのニューアプローチ方式を我が国でも活用していくとみられますけれども、その中で事故情報を活用して、一定の基準づくりに働きかけるべきではないかということが言われております。
 こういった問題意識を基に26ページ以降、幾つか論点を検証しております。27ページに3つ挙げております。
 論点マル1は、迅速かつ的確な公表ができているか。論点マル2は、事故が多発している製品の回収や被害拡大の防止につながるような注意喚起ができているか。論点マル3は、事故情報を分析して、新たな事故が生じないような対策づくりができないかということ。
 公表の方については27ページ以降、特に28~29ページに表を出しております。先ほどの焼肉酒家えびすの事件ですが、これも消費者庁の今の事務方針としては、基本的に毎週定例木曜日に事故を公表する。そのときは前の週の事件についてということですので、その週の月火水のものについては公表しないという取扱いをどうもされていらっしゃるようです。
 その結果、この事件では27日に富山県で事業者名を公表しているんですけれども、この公表自体、消費者庁はゴールデンウィークだったということもあると思いますが、5月12日に公表されているということでございます。そういう意味では、4月28日に富山県が生肉料理を避けるように県民に啓発していることを踏まえますと、もう少し早く、例えば28日の定例公表日に併せて公表することができたのではないかということが挙げられます。ただ、消費者庁の方は5月2日に大臣が食中毒予防に関してのお願いを公表されております。
 以上がこの事件についてのお話でございます。ただ、30ページに消費者庁からの御意見として、上から4段落目のなお書きでございますけれども、消費者庁としてはこの件について、実際には4月27日から当該焼肉チェーン店が自主的にユッケの販売を停止し、4月29日から全店舗で営業を自粛していたことから、喫食による新たな被害の拡大はないと考えられたと。なお、当該焼肉チェーン店に限定した問題ではない可能性があることが判明したことから、5月2日に大臣が広く消費者に注意を呼びかけるメッセージを出したということを述べていらっしゃいます。
 しかし、既に横浜市の店舗でも喫食し、症状が出始めていた消費者が存在していた可能性もあることを踏まえますと、もう少し早急な対応ができたのではないかということが挙げられております。
 31ページの論点マル2。これも御案内のように、代表的な話ですけれども、自転車用幼児座席の事故については、22年6月に回収を呼びかけて以来、なかなか遅々として回収が進まず、その後も事故が続発し、本年1月、3月にも注意喚起を行うということになっております。こういった事例はほかにもございまして、消費者の行動を変えるような公表ができないかという御意見がこの調査会でもいろいろとございました。その他については後で対応策を考えてみたいと思います。
 「論点マル3:誤使用による情報への対応」ということで、NITEの方は3か月以内に処理する案件の割合を75%以上とし、6か月以内にすべての案件を終了させるという目標を設定しているなど、どうもこの目標も達成されていることでございますので、消費生活用製品安全法についての事故情報分析については、ここでは新たに取り上げないとしております。
 一方で、消費者安全法に基づく事故情報分析については、事故情報分析タスクフォースが消費者庁内に設置されまして、これまでに何回か開催されております。それについて32ページ以降で整理しております。詳しくは後でごらんいただくとして、総括しますと33ページにありますように、マル1、マル2、マル3、マル6の事案についてはどうも一定の対策は実施されたということでございますが、幾つかの事案については、措置は取られたんだけれども、公表はされていないといったこと。ものによっては、事故が発生してから対策をとりまとめるまでに1年以上を要するものも見られるということでございます。
 寄せられた御意見としましては、事故情報データバンクに蓄積されている3万件のデータがどのように整理、分析されているかが明らかでないといった御指摘もあったところでございます。
 マル3は事故が相次ぎ、予見可能性が高いと見受けられる誤使用の情報等についても、もっと分析して取り上げるべきではないかといった御指摘もありました。なお、消費者庁の方も電気製品等を中心に、この誤使用関連の事故については、検討範囲を拡大したいというお話もいただいております。
 その上で、こうした現在の体制をどう評価するかについて、34ページ以降に述べております。3つございまして、1つは迅速に公表することが大事。その情報が消費者にきちんと伝わるように、消費者の意識を変えることができるような注意喚起の在り方の工夫が必要だろうと。それが誤使用であっても、きちんと分析して事故の拡大を防ぐ必要があるだろうという、この3つの点でございます。
 それについて35ページ以降、対応策について簡単にまとめております。
 1つは「ア 迅速な公表に向けた対応策」。今の公表の基本要領が定められているわけでございますが、特に迅速に対応できる社会的影響等を勘案した公表があるわけですが、この表現は「被害が重大である事案その他社会的影響が大きい事案であって、事案の性質が明らかでない事案や被害拡大防止の方策が明らかでない事案等、緊急に対応措置を講ずべき場合には」とありますように、非常に要件が抽象的であるということで、現場の担当官が判断しにくいのではないかということでございます。
 「通知機関等と調整したうえで」ということが要件になっておりますので、基本方針がはっきりしていないと通知機関との間での調整がうまくいかないのではないかということもございます。そうしたことを考えると、一つは消費者庁の方として、これまでの事件の蓄積を踏まえて、もう少し詳細な事務方針を定めておく必要があるのではないかということでございます。ちなみに消費者庁としても、更に改定を検討したいというお話も今、聞いております。
 36ページ。これはドイツの消費者情報法という情報公開請求に係る法令であって、言わば求められたら公開するというものでございまして、若干意味合いは違うんですけれども、こちらの法律では「情報提供の義務を負う機関は、個人に関わるデータが問題になっていない限り、情報の内容上の正しさを審査する義務を負わない。情報提供義務を負う機関が正しさに疑問を示唆する徴証を知る場合は、それを伝えなければならない」といった法制になっておりまして、こういったものについて何か参考にならないかということを挙げております。
 「イ 効果的な注意喚起」。消費者庁の事故分析の体制も非常に厳しいということもございますので、さまざまな関係機関を利用することはできないかというのが問題意識の第1番目でございます。
 特に37ページ以降に挙げておりますけれども、今、事故情報がどんどん流れていきますが、特定の型番の情報だけということでございますので、消費者なり報道機関の関心を呼ばないということでございますので、もう少し消費者安全法の14条及び13条といった規定を利用して、関係機関に幅広く、例えば特定の型番の事故が発生した場合には、それと同じメカニズム、型式、材質が同じような商品についてはまとめて分析して公表するということが考えられないかということでございます。
 この場合に勿論、今も事故情報分析タスクフォースもやっているわけでございますけれども、特定の条文によっているというわけではないので、消費者安全法の条文に基づき、一定のルールを設けることで関係機関との関係が非常に整理されるのではないかということを述べております。
 38ページ。先ほど申しましたように、注意喚起については消費者安全法15条1項に基づく注意喚起を行うことができると言っておりまして、逐条解説は「謙抑的になる必要はない」と述べているわけですけれども、非常に重い手続になっておりまして、これまでに2件しかないということでございます。
 ただ、これについても要件について、今、被害の重篤性、事故の発生数等々を述べておりますが、もう少し細かい公表の要件を定めておけば、ある程度機械的に公表することができるのではないか。その場合には、事業者にとっても予見可能性は高いものになるのではないかということが考えられます。
 前回御指摘がありましたけれども、これまでの注意喚起についてもルールがどうもはっきりしないのではないかということがございました。非常に細かい字で恐縮ですけれども、実際に参考資料1にこれまでの事故情報の注意喚起について調べてみますと、どの関係機関に注意喚起対応について要請したか、消費者庁のホームページ上のどこに掲載したか、更には、どの法令に基づいて注意喚起を行ったかといったことがどうもばらばらであるということでございまして、消費者庁ができて、今、手探りの状況なんだろうと思いますけれども、もう少しルール化を図ったらいいのではないか。その場合には、ホームページ上の場所がばらばらになっておりますので、ある程度統一した形で注意喚起情報を掲載することも必要であるということでございます。
 39ページの下で述べておりますことは、消費者安全法15条1項の規定に基づく公表について、もう少し基準を定めるべきであろう。特に注意喚起を何回も行わなくてはいけないというものについては、ある程度ルール化をしてはどうかということを述べております。
 40ページ。こちらの方は消費者安全法15条1項に基づく公表としない場合。こちらについても先ほど述べましたように、もう少しルール化を図ったらどうかということを述べております。
 ウのところで、誤使用に基づく事故情報等についてでございます。消費者庁に集まったものについては、概況だけ公表されているわけですけれども、これをどう扱うか。事故情報分析タスクフォースでも限界がございますので、例えば41ページにございますように、ある程度多発したら、それを企業に渡して、企業の方でもさまざまな情報を持っていると思いますので、企業の方で分析してもらって、一定の期間内に報告してもらう。現に消費者庁の方でもアップル・ジャパン社に対して同様のことを行ったということでございますので、そういったことを踏まえた対応はできないかということでございます。
 ちなみに長野県の消費生活条例の例を挙げておりますけれども、事業者に報告を出させて、出てこない場合には製品安全上問題があるとみなすような規定もございます。これは東京都にも同じような条例があるんですが、同様の法制を考えることはできないかということも述べております。
 42ページにその他関係機関との連携も必要だろうと。更には、関係機関との連携を踏まえた基準づくりということも必要だろうと述べております。
 以上、駆け足になりましたが、43ページにもありますように、さまざまな提言がこれまでの調査会でも述べられました。こういったものについて、直ちに着手できるものは消費者庁の方においても着手していただき、業界を巻き込んだものについては、今後、消費者委員会の秋以降の課題ということも含めて考えるべきだろうと整理しております。
 時間が長くなりましたが、以上でございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 それでは、今、御説明いただきました報告書(素案)につきまして、御議論をいただきたいと思います。御意見のある方は御発言をお願いします。あるいは御質問でも結構です。
 中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 食中毒事件はすごくいい分析結果だと思いますけれども、今、ドイツではO117で、もう30人くらいの方が亡くなられたと聞いたんですが、ドイツの方はこれと比べると、どういうシステムになっているかという調査はされたんですか。

○諏訪園参事官 今回はまだ調べておりませんので、また調べてみたいと思います。

○中尾委員 是非お願いします。

○宇賀座長 ほかはいかがでしょうか。阿南委員、どうぞ。

○阿南委員 今のユッケの件ですけれども、福井と富山で発生した時点で、「えびす」ということは出ていたわけです。なのに、どうして消費者庁がそれを公表することを渋ったのか。もう少し早く公表されていて、消費者に適切な注意喚起が行われていれば、何日か続けて起こっていますが、その後の拡大を防げたのかもしれないと思うのです。その辺について、消費者庁はこの分析でいいのでしょうか。

○金児首席情報分析官 消費者庁として事業者名公表を渋ったという認識は持っていないのです。この事案につきましては4月27日から、このチェーン店ではユッケの提供は自粛していたということでございまして、また、4月29日からはこのチェーン店では営業をすべて停止していたということでございまして、私どもとしましては、この事業者による被害の拡大は、これ以上はないものと判断しておりました。
 5月2日に蓮舫大臣などから、生肉による食中毒についての注意喚起を出させていただきましたけれども、これはこのチェーン店の生肉についての注意喚起ではなく、広く生肉を食べることを控えてくださいという注意喚起でございました。
 この段階で、このチェーン店は営業を止めているわけで、また、このチェーン店の名前は報道で出ておりますので、わざと事業者名を出さなかったわけではないのです。そういった趣旨の注意喚起でしたので、結果として事業者名が注意喚起の中に入っていなかったということでございます。

○阿南委員 消費者庁はあまり期待されていなかったとは思いますけれども、5月2日に行ったような注意喚起は、もっと早い段階で行われるべきではなかったでしょうか。そして、事業者名の公表についても、その事業者がもうやっていないからといって、やらなかったというのはおかしくないですか。

○金児首席情報分析官 この事案で確か死亡者が出たという情報を把握したのは、4月29日で、休日を挟んで、注意喚起が5月2日になった。その間3日あいたことが遅れているということであれば、そうかもしれません。

○宇賀座長 中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 私の少ない情報からいくと、企業の人に聞いてみると、例えば雪印さんとか日本ハムさんとか花王さんなどはこういうシステムをつくっていて、問題が起きたときに一刻を争うようなものだから、上に上げないでとにかく製品回収を決めたりとか、そういうシステムがあるんだと。消費者庁さんがやらなければいけないのは、そういうシステムがつくれないような、もっと小さな会社などは、例えばこのユッケの会社はそういうシステムが全くなかったわけだろうから、そういうのをバックアップしていくのは必要なのではないか。
 大きな企業では、1回こういうのを起こしたら会社がつぶれてしまう危機感をみんな持っていて、一刻を争うようなところで製品回収を決めるというようなシステムができ上がっているんだから、もう少し調査をしてみて、それに近づいていかないと、PL法みたいなものではないけれども、どうしてやらなかったんだという話になるわけだから、せめてそのレベルくらいまでは投資して、そういうシステムがつくれない中小企業さんの代わりに国が面倒を見てやるぐらいの気持ちでシステムをつくっていかなければいけないのではないかと思います。これはできている会社もあるわけだから、そこまではやらなければいけないと思います。

○宇賀座長 中村(雅)委員、どうぞ。

○中村(雅)委員 この報告書の中で事故情報の分析のところについて、事故情報分析タスクフォースのことは書かれているんですけれども、タスクフォースというのは1年に3回くらいしか開かないようなもので、今、話題になっているようなユッケの事件など緊急を要するようなものには、全く役に立つ制度ではないわけです。では、消費者庁では緊急対応的な事故情報の分析をどこでだれがやっているか。そこら辺も説明をされた方がいいと思います。実際には事故情報の分析官という方が数名いらっしゃるんですが、そのお仕事の実情をもう少しここに書いてもらって、それがユッケのときにどうだったのかもきちんと書いて、一緒に報告してもらった方がいいと思います。その辺をもし金児さんの方でよろしければ、説明をしていただきたいと思います。

○金児首席情報分析官 このユッケ事案については、基本的に厚生労働省から情報が来ておりますので、それを分析というほどのものではないのですけれども、重大事故等を受け付ける担当者がそれを読んで厚生労働省に問い合わせたりして、処理していくという対応を取っております。

○中村(雅)委員 そこで前にも聞いたんですけれども、今、消費者庁の中にいる分析官の中に食品のことで、例えばユッケ事件などにきちんと対応できる人。事故情報データバンクの中にもユッケで検索すると、既に20件くらい出てくるんです。そういう情報が消費者庁として収集していながら、それをどう扱っていたのか、扱っていなかったのか。分析していたのか、していなかったのか。そういうことをできる人がいたのか、いないのか。そのことを明らかにしておいてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○金児首席情報分析官 このユッケ事案だけではなく、事故情報データバンクにはさまざまな情報がありますので、それらについて確かに、委員が御期待されるような分析はできていないのが実情だろうと思います。

○中村(雅)委員 消費者庁をつくって、事故情報を一元化しましょうというのは、まさにそういうところを消費者目線で集まった情報を分析して、事故の再発防止等につなげましょうということだったので、そこの部分が今、集めるところまでは何とかやってきて、食品についても消費者庁に事故情報が集まってくるようにはなりましたけれども、毎週毎週張り付けるように公表はされていますが、せっかく集まったものを分析するというところが消費者庁には不足しているのではないかという問題意識を持っているもので指摘をさせてもらったんですが、そこの体制を整えないと、消費者庁をつくって一元化した本当の意味はないと思うんです。
 今回、ユッケの事件でそれが図らずも露呈したのではないかと思っているので、ここを契機に消費者庁の体制の在り方も検討してもらわなければいけないし、せっかく我々が専門調査会で意見を言うときに、そういう問題意識も是非しておいてもらいたいと思います。

○宇賀座長 貴重な御指摘をありがとうございました。片山委員、どうぞ。

○片山委員 今の点とも関連するんですが、先ほどの事故情報データバンクの活用のところで、その分析の方法として、そこに挙げてきた行政機関に対しての問い合わせをして分析すべきと指摘されているんですけれども、今、なぜできていないのかという現状をもう少し知りたい。
 1つは行政機関に問い合わせをしても、例えば地方自治体自体がその情報を把握していないケースとか、トレースの仕様がないという事態があるのではないかと思っています。そうだとすると、消費者庁側の体制だけの問題ではなくて、全国的な体制整備とか、あるいは権限を付与するとか、情報収集を各行政機関の方でも、もっときっちりするような、そういう体制も必要なわけで、その辺の現状分析がこの報告書はまだ足りないと感じます。その辺は消費者庁の方でもし現状がわかれば。

○金児首席情報分析官 「行政機関」とは何を想定されているのかということもありますが、例えばPIO-NETに入る相談情報のようなものがたくさんございます。これについては一件一件問い合わせると、数が膨大ですし、また、消費生活センターの相談員に問い合わせるということで相談員の仕事の邪魔になるかもしれないということもあります。勿論、私どものマンパワーの問題もありますので、なかなか難しい問題ではないかと思っております。

○片山委員 今ここで問題になっている16ページに書かれている事故情報データバンクに登録されている情報について、基の行政機関に確認をしたら、分析情報はある程度上がってくる体制といいますか、それは可能ですか。数だけの問題ですか。

○金児首席情報分析官 勿論、行政機関の体制にもよると思いますけれども、そもそもそういったことについて、消費者庁にお願いする権限がどこまであるのかということもあろうかと思います。

○宇賀座長 松岡委員、どうぞ。

○松岡委員 ユッケの事件について、机上配付資料に関して事実確認とシステムの確認をしたいです。福井県から連絡があった、あるいは死亡事故が発生したのが26日、27日ですね。今回、食中毒になったのは、それ以前に食事をした方が全員だということで、20日に最初の方が発症しているという情報はここに書いてありますが、この時点で把握して、何か対策を取らない限り、今回の事件は全部防げなかったということになってしまうので、20日の時点では行政機関はどこも把握していなかったということで、事業者のみが知っていたということになるのでしょうか。
 その場合には、先ほど中尾委員がおっしゃったように、大手の企業でしたら対策が即座に取れるけれども、中小の場合には取れないということで、この辺をどうしたらいいかということが問題ではないかと思います。

○宇賀座長 金児首席情報分析官、お答えできることはございますか。

○金児首席情報分析官 これについては、厚生労働省、あるいは保健所に。これを見る限りでは、4月26日に福井の健康福祉センターに医療機関から届出があったということですね。そこまで時間がかかったことについて、私どもは答えを持ち合わせておりません。

○宇賀座長 諏訪園参事官は、その辺の情報をお持ちでしょうか。

○諏訪園参事官 発症してから病院が届ける要件が抽象的になっておりまして、病院から福井健康保険センターに届けられたのは4月26日で、その辺りはもう少し早くできる工夫はあったのではないかというのはあるかもしれませんが、そこまでは私も調べておりません。

○金児首席情報分析官 1点だけ、御参考となるかどうか、報道などの情報もあるのですけれども、福井の件は最初、食中毒かどうかわからなかった、感染症ではないかという疑いがあって、私どもへ最初に通知があったときは食中毒の疑いという情報で通知をいただいておりました。

○宇賀座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 私の報告書の読みが足りないのかもしれないんですけれども、正直に言って散漫になっているかもしれないと思います。目次を見ますと「第1 本報告書の検討の方向性」となって、「第2 事故情報収集・一元化」「第3 事故情報の分析及び公表・活用」。これはこれでいいと思いますけれども、実は5ページに第1と挙げて、マル1、マル2、マル3と非常に大くくりにくくられました。ところが、このマル1、マル2、マル3が第2、第3に関連づけているというか、反映されていない部分が多い。
 難しいかもしれないんですけれども、もし可能であれば、第2の中のマル1に当たるのはどれで、マル2はどれでというくくり方をすれば、もう少しわかりやすい報告書になる。私もやってみないとわからないので、ひょっとしてです。このままだと、ああ言った、こう言った、こういう事実があったということで流れてしまって、読み手が受け止めてくれないような感じがしているので、もう少しそこを工夫したいなと思います。いかがでございますか。

○諏訪園参事官 大変重要な御指摘でございまして、実はこの報告書自体のつくり方として、最初は2枚紙くらいの論点整理。今おっしゃった3つの論点に従って表を整理して、その表からこの報告書をつくっておりました。ただ、これを読んでいただいて、各委員からの御意見で変わり得ると思っていましたので、今日はその表はお示ししていなかったんですけれども、そういうまとめた表を次回出して、これでまとまってくれば、わかりやすい形でお示ししたいと考えております。

○中嶋委員 ありがとうございます。

○宇賀座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 幾つかありますので、まとめて述べさせていただきます。
 25ページ。これは細かいことですが、下から3つ目の段落です。「資金面で不安がある中小企業への支援も考える必要がある」。なぜ中小企業に特定するのかがわかりません。資金面で不安がある状況の企業は全部対象ではないかと思います。JALも一時相当苦しかったわけですし、あのときに安全がかなり話題になりました。
 28ページの表です。先ほどから皆さんがおっしゃっていますが、多分事実関係はわかっていると思います。いつ食べたかということは極めて重要だと思います。早い時期の事故が中毒だと認識された後、食べるまでに注意喚起していたら救えたのではないかということがはっきりすると思いますが、書かれていません。それを書くべきだと思います。
 33ページのマル3、「消費者庁は、誤使用関連の事故については、電気製品等を中心に検討範囲を拡大する予定であるとしている」ということです。これは消費者庁の思いを書いているわけですけれども、なぜ電気製品ということになったのか、唐突に出てきた感じで、「こういう観点から電気製品等にした」とはっきり示すべきだと思います。そうでないと、消費者庁が優先順位をどう付けているかわからない。それが根底にずっと流れているような気がしますので、はっきりするべきだと思います。
 36ページ。ドイツの情報があります。ドイツの仕組みは割といろいろな方面から検討されて、よくできている仕組みが多いと私は思っています。かなりいろいろな方面で配慮がされていて、実際の運用がどうなっているかということが極めて大事だと思います。この点、制度をこの記述の観点から紹介するだけでなく、これがどう運用されているかを読み込まないと、ドイツの仕組みは理解しにくい。それをお願いしたい。
 37ページ。一番上のところで「たまたま特定の型番が生産過程で問題があっただけなのか」ということで、もう少し範囲を広げてはどうだという書きぶりですけれども、1~2年前のトヨタの一連のアメリカでの大騒ぎ、世界でも大騒ぎになったわけですが、あれを見ていますと、何でも広げればいいというものでもないだろうと思います。アメリカの方も電子系統については問題なかったと1年半後に報告していますが、そのときにはトヨタは既に大きなダメージを受けていた、ということがあったわけです。そこまで検証した上でとは言いませんけれども、どのような配慮が要るのかという観点からも記述すべきだろうと思います。
 倒産した事業者に係る事故情報の取扱いが見かけられなかったのですけれども、私は、これは極めて将来に禍根を残すのではないかと思います。今、電力削減ということで扇風機を買う方が多いですけれども、2,000~3,000円の扇風機がたくさん出回っていますね。あれが10年後にどうなるか。問題になりそうな気がするのですが、そういうときに消費者庁が世間に訴えるべきで、音頭取りをすべきではないかと思っております。これは業界に依存しようとしても、業界にとっては、例えば倒産した会社などであればライバルだったところです。また、アウトサイダーが、特に輸入品の場合は結構多いのではないかと思います。その辺の整理をして、フォローできる仕組みにしておかないといけないのではないかと思います。
 公表の過程ですけれども、大きく公表というところでくくっていますが、これは、消費者庁から発信して注意喚起するという積極的な行動をするものと、データをのぞきに来た者に見せるというのを使い分けて、この場で議論されたと思います。そこがもう少し色濃く出ると、先ほど中嶋委員が言われたような、すとんと頭に入りにくいというところが整理されるのではないかと私は思いました。
 言葉遣いですけれども、「一定の」や「しっかり」という言葉は排除すべきだと思います。最近、子どもでさえジョークで使っているくらい、わけがわからない、言い逃れの言葉遣いです。あいまいな言葉は省いた方がいい。その代わりにきちんと何を言いたいかを書くべきだと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。諏訪園参事官、どうぞ。

○諏訪園参事官 資金面で不安のある企業は中小企業に限らないというのは、また考えてみます。
 28ページの焼肉酒家えびす店で食べた日の情報は、ここに足しておきたいと考えております。
 消費者庁はどうして電気製品をリコールの対象として分析に考えるかというのは、後で消費者庁からお答えをもらいたいと思います。
 倒産品については42ページで「中小企業や倒産企業の商品・役務に係る事故への対応について」で述べておりまして、これも是非今後の対象として考えるべきであろうと述べているところでございます。
 しっかりという言葉は使ってはいないのですが、「一定のというの」は消費者庁に今後投げかけることもありますので、どこまで言うのかというところは大体「一定の」ということを述べております。ただ、言葉づかいについてはまた考えてみたいと思います。
 以上でございます。

○宇賀座長 それでは、電気製品等を中心に検討範囲を拡大する予定であるという理由について、金児分析官からご説明をお願いします。

○金児首席情報分析官 ここについては、持ち帰って検討させていただきたいと思います。

○宇賀座長 片山委員、どうぞ。

○片山委員 31ページで、論点マル3のテーマが「誤使用に係る情報への対応」とされていて、実際にそこで書かれていることは必ずしも誤使用情報への対応にはなっていないような気がするんです。そこのところの整理がどのような観点でなさっているのかを質問したいのと、31ページで消費生活用製品安全法に基づく事故情報分析は取り上げないと。要するにNITEの分析はここでは論点にしないということなんですが、誤使用に係る情報への対応として論点を挙げておきながら、NITEの事故情報の分析の課題を取り上げないというのは、少しおかしいのではないかと思っています。
 こういう取り上げ方をすると、消費生活用製品安全法に基づく今の情報分析は今のままでいいという意見になってしまうかと思いますが、たしかこの調査会の中でも資料2の1ページで、他の省庁で調査しているものについても消費者目線で消費者庁がチェックすべき、あるいは他の省庁の事故分析でOKとはならないという意見が挙がっていたと思います。ですから、NITEの分析は分析なんだと思いますが、そこで誤使用とされたものについて、やはり消費者庁が再分析の必要性がないかということをチェックするのは、論点として挙げていただきたいと思います。

○諏訪園参事官 今のNITEの話は、31ページの(3)の上から2行目にもありますように、NITEが分析して経済産業省と消費者庁に通知して、実は三者で集まって定期的に分析しているということでございまして、消費者庁もこれに関わってやっているそうでございます。
 このNITE自体、前回、総務省の報告でもありましたけれども、こういった目標を定めて迅速に行うということの目標はほぼ達成されているということもございますので、報告書のこちらのかける人員等もございますので、こういうふうにしていますが、勿論、今後、NITEの話で何か具体的にこういったものが問題あるという御指摘等を賜れば、そこはまた検討に加えたいと思っております。
 論点マル3についてはおっしゃるとおり、誤使用の話に限りませんので、表題をもう少し工夫してみたいと思います。

○片山委員 今のNITEのところですけれども、31ページに書かれているのは、確かに分析の期間については目標を掲げて、それを達成しているということだと思うんですが、NITEで問題になっているのは、その分析の中身あるいは分析の手法の問題なんですね。NITEの報告書で結構誤使用が多いんですが、それはNITEの分析調査の仕方は事業者からの報告書提出が多くて、誤使用について何が問題かをきちんと分析しようと思うと、やはり被害者からの事情聴取がとても大事だと思います。その辺の分析の手法の違いを意識した消費者庁としての分析が必要だということくらいは入れていただきたいと思います。

○宇賀座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 今の片山委員の御発言に関してですが、この報告書自体は基本的には現行法に基づいて、その範囲内で書かれていると理解しているんですけれども、そうすると今のような書き方になってしまう。誤使用というのは法律の中で考えると、それを突き詰めなければいけないとは読めないわけです。これは企業の責任かそうでないかだけを判断して、それで終わりでいいわけですね。そうすると誤使用について、ずっとここで議論をしてきたことは法律からはみ出しているため取り上げられないと言うことになります。さらに言えば、事故情報だけを幾ら扱っていても安全にならないんです。やはり未然防止をちゃんとやらなければなりません。でも、法律の中には未然防止は一つも出てこないわけですね。今の消費者安全法にしてもそうですね。
 そうすると、そこを踏み込めないのかなと思って、じっと見ていましたら、41ページに長野県の消費生活条例がボンと出てきたわけです。これは極端に言いますと、今の法律の枠からはみ出ているのではないかと思うんです。そういうことをもしここでお書きになるんだったら、同じような書き方ができないかなと。この条例を使ってでも、ここの31ページの書き方は変えられますねと。
 私はずっとこの調査会ができて、今の法律で安全にするには限界がありますと。やはり未然防止、誤使用対策を何とかしないといけないですねという話をしたら、できたばかりの法律をもう改定するのかという話をされていたんですけれども、誤使用の取り扱い、未然防止についての法律がなければ消費者庁も何もできないわけで、このために専門調査会で議論していると思っていますので、そこを書いて頂くのがいいのではないかと個人的には思います。

○諏訪園参事官 そこは表現ぶりを工夫して、もう少し読めるような形にしてみたいと思います。

○宇賀座長 中村(均)委員、どうぞ。

○中村(均)委員 今まで8回議論をしてきて、我々がやっていかなければならないことが出てきていると思いますけれども、こういう報告書は、先ほど諏訪園参事官も言われましたけれども、これからやっていかなければいけないこと、あるいは我々がやることを優先順位化すべきだろうと思うんです。今いろいろと御意見が出ていますけれども、こういうことでは法律が不備ではないかと。あるいは法律はあるけれども、運用上こういう問題が出ているというのは、こういう問題があるよと。何もないものについては、我々としてはこういうアイデアがあるよとか、そういうものをそれぞれきちんと今まで我々が議論したことをまとめていって、それで同時並行でやれることもありましょうし、あるいはヒト、モノ、カネから考えたら、当面は実行性を考えた場合、現行制度を補完するという位置づけで進めたい方がいいものもある。そういうものを優先順位づけをして、我々としてはこれはもう第一に是非トライしてもらいたいとか、やりましょう、やっていただきたいという御提案の仕方でやったら、いかがなものかと思っております。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 今、中村(均)委員からも御意見をいただきましたように、この報告書について御議論をいただく機会は、今回と次回の2回になってしまうのですけれども、今後の消費者委員会における議論に進め方につきましても御意見がありましたら、併せて御発言をお願いしたいと思います。
 横矢委員、どうぞ。

○横矢委員 今後のという話と違うんですけれども、17ページの4のマル1のところが気になってしまうんですが、優先順位ということについて言えば、かなり上の方に来るのが「消防・警察等からの通知が未だ励行されているとは言い難い」。これを改善することは大事だと思います。公表の方の委員会に入って見ていると、消防との連絡がうまく取れていないなと思うようなことが多々出てくるんですけれども、それはなぜなのかと聞いても、理由がはっきりしない。
 こういうふうに見てしまうと、あちらから連絡がうまく来ないので、では、うまく来るようにしてね、以上、みたいなことだけになっているんですが、どういう理由があるのか。多分、消防とか警察の今やっていることで感じるのは、命をまず救いに行くのがこの人たちの役目なので、そこであれこれ何が関わったとか、どういう状況だったかというところまでデータを取っていないとか、期間を区切らないと難しいとか、そういうお話が以前あったんです。何かそういうものがうまく調整できるような会議をちゃんと持って、今のやり方では向こうが無理なのであれば、どういうふうにしていけばいいのかまで、もうちょっと掘り下げていただかないと、何か不手際なままみたいな形になってしまう。それが一番最初にぼんと出ているのは、報告書としてどうなのかと思いました。

○宇賀座長 諏訪園参事官、どうぞ。

○諏訪園参事官 実は消防庁も警察庁も各消防署に対して励行するようにと流しておりまして、その結果、消防署によっては第一報から最終報までありまして、第一報ではどうも火元がはっきりしているんだけれども、その製品が本当に原因かどうかよくわからない。最終報ではそれがどうも怪しいということがわかってくるということで、これまでは第一報ではなくて最終報を消費者庁に送っていたようです。そこで第一報を送ってもらうように、消防署によっては大分改めてきたということがございます。
 今この報告書で提案しているのは、事業者からも報告書が上がってきているわけですから、それだったら消防署にどうして上がってこないんですかということを個別に聞いていくと、消防署の方も早くやらなくてはいけないんだということがわかるようになりますので、個別の目詰まりをなくすような御努力を消費者庁にお願いしたいなと。そうすると全国の各消防署も警察庁も、やはり早く届けなくてはいけないんだという認識になるでしょうしということを提案しておりまして、これは非常に手間がかかるんですけれども、それくらいやらないと、全国の消防署、警察庁もしっかりと励行するようにはならないのではないかということを言っております。

○宇賀座長 橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 中村(均)委員がおっしゃったとおり、今の法律が安全の公表にいろいろな面で無理があるということであれば、消費者庁さんは勿論、立法府ではないのでできないんですが、どこかできちんとそういったところをまとめて提言することが非常に必要なのではないかと感じています。
 もう一点ですが、議論の整理の中に出ていないので付け足していただきたいんですけれども、公表の在り方について、例えばここにありました冷凍ギョーザ事件などでは、販売業者が店頭で注意喚起をしたというのが非常に大きかったと思います。ここではどちらかというと製造業者、輸入業者に対してのいろいろなことが書かれているんですが、製品というのは必ず販売されるわけですから、販売店における注意喚起を販売店に行うのも必要かと思います。
 先ほどの注意喚起のどういうところにしたという中に、明らかに会社名がわかっていて、例えばベビー用品であるのであれば、そういった販売業者にこういうのを店頭に掲げてくださいと言うと、消費者はそういうところに行っていつも買っているわけですから、2回目、3回目に行ったときに、この間買った製品が安全性に問題があるんだなというのを店頭で知ることも結構多いと思いますので、その論点を付け加えていただければと思います。以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。吉岡委員、どうぞ。

○吉岡委員 1つ前の質問との関連です。総務省消防庁、警察等の中で、消防の側は火災に関するものは恐らく原因究明まで行って結構な報告がなされている。ところが消防の活動の今の事故の大半は、いわゆる白い車、救急車、救命士が対応するのが大半です。これについての報告義務を課さないと、全く一方的な片手落ちというよりも、70%落ちくらいの事故情報しか収集できないと思います。

○宇賀座長 中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 この報告書についてですけれども、私も学生の論文とかをみているんですが、この目的が5ページのマル1、マル2、マル3の方向性を見ていこうと思ったけれども、結論がそれに対応しているものがないんです。目的と結論は対応させてほしい。まるで不定愁訴の患者の繰り言みたいな感じになって、いっぱい書いてあるんだけれども、一体結論は何なのかよくわからない。
 このマル1の重大事故情報がどれだけ早くなったんですかといったときの食中毒の事例では、これを見ると1日遅れたとかになるけれども、毒入りギョーザのときは生協さんは6回も報告されたが、2~3か月の間は結局わからなかった。それから比べれば、ものすごい速さになったなということを言っておかないと、遅いではないかという話もあるけれども、これは改善されたと。けれども、亡くなった人もいるし、まだ遅いのではないか。
 パロマさんのところのものは、データがあったのにどうしてそれを言わなかったのと。さっき中村(雅)先生が言っていたけれども、ユッケの食中毒がたくさんあって、昔からおかしいのではないかと。NHKがそういうのを報道する前に、消費者庁が昔からこういうのがあった、組織体制自体が少しおかしいのではないかというようなことを、消費者のために言わなければいけないのではないかと思います。
 これは風評被害が怖いからと言うが、今回の福島の放射能ではないけれども、SPEEDIというものが風評被害とか、みんなパニックになるとか言って、私は松戸に住んでいるんですが、終わってみたら結局ホットスポットだったと後からわかりましたと言われたら、腹が立ちますね。別に今から降ってくるんだと思っても逃げようがないけれども、風評被害を恐れて何かをしないというのは、社会が余り許さなくなってきたのではないか。そうかもしれないとか、さっきのドイツの話でも、完全に100%確度があってということでなくてもいいから、本当に確実ではないけれども、途中の情報を出しなさいよと、みんなそう思っているのではないかと思います。
 マル2の誤使用は、何度も何度も言っているけれども、誤使用などなくて、製品の起因の問題だというのがマル2のところで言いたいと思うし、マル3は何度も何度も言っているけれども、体制にもっと金を出せ、分析官を増やせと。そういう処理ができるようなコンピュータのソフトを入れろということをはっきり結論として行ってほしいなと。これが委員会の最終報告書になるんだとしたら、是非それをやって、お金を取ってきてください。以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。杉山委員、どうぞ。

○杉山委員 今の発言とも絡むんですけれども、5ページのマル3です。この体制のところを正直に書き過ぎている感があるんです。多分こういうことなんだろうとは思うんですけれども、消費者庁をつくってきた経緯、目的、今後を見据えた中で、余りここまでへりくだることはない。逆に、消費者庁の機能を強化して、消費者の権益を守るということがもっとしっかりあって、ただ、現実的に今、何ができるのかというような書き方をしておかないと、これは最初から一歩引いてしまっていますね。そうすると今後、体制強化のために人材を補強しようとしていくとき、もしくは人材育成につなげていくようにしたときに、財源的裏づけに全然つながっていかないおそれがあるので、ここは書き方を少し工夫された方がいいのではないか。
 最初に出てくるマル1、マル2、マル3は一番重要な論点になるので、特にここの部分については配慮した書き方がいいのではないか。それと先ほど先生がおっしゃられていたように、結論のところとしっかりリンケージをとって、まとめていただくといいのではないか。専門調査会の報告書として、やはり体制のところはかなり力を入れて書くべきだろうと思います。以上です。

○宇賀座長 ありがとうございました。田澤委員、どうぞ。

○田澤委員 11ページなどに「加水分解コムギ末を含有する石鹸によるアレルギーが発症する」事例が、注として書いてあります。「30日以上の重大事故情報には該当せず」とありますが、私が知る限りでは、30日以上の治療を要するものであるけれども、これはアレルギーというなかなか難しい問題であるので、重大事故にはならない、参考情報扱いとするといった対応をされたといったことが聞こえてきたのですが。このように書くのであれば、少しその辺を押さえていて、どんな情報として消費者庁に入っているのかを確認していただいた方がよろしいかと思いましたので、お願いします。

○宇賀座長 ありがとうございました。横矢委員、どうぞ。

○横矢委員 同じようなことですけれども、18ページの一番下、救急車の搬送した場合の情報も通知に入るはずであるという話があったんですが、ここの下で消防の方のとらえ方ですが、入院の必要のない軽易なものは軽傷になるんですね。実例を見ているんですが、指の切断は、入院はしなかったので、軽傷扱いになっているのを見ました。
 15ページを見てみると、指の切断などの明らかな重大事故についても公表されていなかったというのが上から6行目にあるんですが、事故のとらえ方がいろいろな場所で随分違ってしまっているとなると、指の切断ぐらいでは消防は言ってこないでしょうし、とても重要な事故だと思うんですけれども、その扱いをもう少しはっきり決めていくことが必要なのかなと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。佐竹委員、どうぞ。

○佐竹委員 先ほど田澤委員から言われました加水分解コムギ末のアレルギーについてなんですが、これは私が意見書として出させていただいたものですが、相談現場におりますと重大事故の定義に非常に縛られまして、これを重大事故として挙げられるのかどうかということに悩むことが多いのです。今回のこの加水分解コムギ末のお茶石鹸ですが、私が直接受けた相談もそうですが、アレルギー発症時は非常に重い症状が出るんです。入院なさったり呼吸困難を起こしたりという重篤な症状が出るのですが、入院は1日か2日で終わり、長期に治療を要するというよりも、症状は治まるんですが、その後ずっとコムギアレルギーに悩まされながら人生を生きていかないといけない。そういうような事故情報でしたので、これを重大事故として挙げられるのかどうかというのは、非常に現場で悩んだところです。
 この論点の中で、消費生活用製品安全法に基づく対象にならないような製品サービスも、きちんと収集できるようなシステムが必要であるとか、30日の定義を見直すべきということがありますが、法律そのものを変えるのは直ぐには難しいと思います。しかし、今、中村(均)委員もおっしゃったように、手を付けられるところからやるということが大事だと思います。19ページでは、「消費者庁は、本専門調査会におけるこうした指摘を踏まえて、判断に迷うものについては『参考情報』として消費者庁に通知するよう求めることとした」となっていますので、今後このことを行政機関にも言っていただくのかなと思うのですが、「判断に迷うものについても参考情報」と言う余りにも抽象的な表現ですので、もう少し具体的に、例えば「1日、2日であったとしても被害が拡大すると予測できるものとか、具体的な事例を示していただければ、行政の方でも使いやすいかと思います。これがまさしくできるところから手を付けるという意味ではないかと思いますので、このことも、報告書に具体的に入れていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○宇賀座長 ありがとうございました。その点もよろしくお願いします。
 ほかにいかがでしょうか。中村(均)委員、どうぞ。

○中村(均)委員 先ほど杉山委員の方からお話がありましたけれども、私も同感でして、何かやるにはきちんとした体制が必要だと思います。そうするときに、今、消費者庁が動くに当たって問題があるならば、消費者庁というのは私の理解するところによれば、ほかの省庁が縦に対して、消費者という目線で横に切っているんだと思うんです。そうすると、消費者という目線に関して、他省庁に対しての監督権限まで明確になっていると思いますが、それが本当に実行できるような形を提言すべきだと思うんです。
 最初に諏訪園参事官から御説明がありましたけれども、4ページの上から2段目「本専門調査会では」が本線だと思うんです。要は我々が安心・安全を手に入れるためには、今あるものをどう有効的に機能していくかをちゃんと提言していかないといけないと思います。今、佐竹委員がおっしゃったように、我々が関係している団体などでも、今うまく機能しているものを生かしながら動かすときに、この部分は違和感がある、あるいはそごを生じるのであれば、そこをどう直してほしいという提言の仕方にまとめたいなというのが私の意見です。

○宇賀座長 ありがとうございました。阿南委員、どうぞ。

○阿南委員 今と同様の意見です。5ページのマル3で体制整備が必要だとして書かれています。勿論、体制整備は必要ですけれども、この間のユッケの消費者庁の対応を見ていますと、えびすはもう営業していないのだから大丈夫と思う、そのマインドが私は許せない。何とかしよう、消費者庁にできることは何かを考えること、いち早く消費者の皆さんに気を付けようと言うのが消費者庁の役割だと思います。
 この専門的人材が不足しているのは勿論ですけれども、問題は専門性の中身ですよ。消費者の利益や安全を守るというマインドが欠けているところを何とかしたいと思いますので、そこも盛り込んでいただきたいと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 今の阿南委員のお話を受けて、この報告書を読んでみますと、違和感がある言葉が4ページにあります。それは安全と安心を並べて書いてあることです。これは意識してこう書かれているのか、無意識で書かれているのかは厳しく問われないといけないと思います。理由は、消費者庁や消費者委員会であれば、安全とは何か、安心とは何かという定義について、ものすごく考えてほしいからです。はっきり言いまして、安全と安心の定義には段差があります。阿南さんが先ほど言われたように、許せないと言われている理由は、信頼できないということです。安全かどうかではなくて、安全をまず守ってほしいと思っているのに、信頼ができないから安心ができないんです。安心はリスク認知の問題であって、安全は安全技術の問題です。
 安全と安心を並べて書いている企業も団体もいっぱいあるんですが、どうしてそんなふうに安易に、安全と安心という言葉を並べて書くのかが、私には理解できませんし、許せないんです。この消費者委員会や消費者庁は、国民の信頼を一番最初に得なければいけない省庁です。それが国民の安心につながっていくんです。仮に事故が起きたとしても、信頼されていれば、安心につながっていくんです。ですから、そういう意味では、是非とも信頼される消費者庁、信頼される消費者委員会になっていただきたいと私は思いますし、是非とも安心と安全という言葉を安易に並べて書かないでいただきたいと思います。これは個人的なお願いです。

○宇賀座長 諏訪園参事官、どうぞ。

○諏訪園参事官 今の安心と安全を並べるという話は意見をいただいておりまして、私どもも随分検討したんですけれども、今の消費者庁等の設置法でも、この安心と安全を両方実現するということが消費者庁の理念として、任務として書いているものですから、それであえて並べることにしています。
 ただ、おっしゃるとおり安全だからといって安心というわけではないというのは、まさに御指摘のとおりでございまして、この報告書を通じて、安全を何とか最低限確保しようと。それでもって安心を実現しようという形で、もう少しその辺の記述ぶりを充実させたいと思います。

○中嶋委員 同志社大学の中谷内先生が、『安全。でも、安心できない…』という本を出されていますけれども、安心はリスク認知の話であると言われています。そうしたら、ここの書き方は、安全に括弧を振って、安心にも括弧を振って、中ポツではなくて、全く違うものだという表示にされる方が、よくわかると思います。また、私たちは分かって書いているんだと言われるのであれば、わかるように表現をしていただいた方がいいと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。中川座長代理、どうぞ。

○中川座長代理 今、阿南委員と中嶋委員の御発言に関わると思うんですけれども、報告書の全体の方向性ですね。何のために情報を一元化するのかが本当は一番最初に来なければいけない。ユッケの事件について、何でそこで止まるのかというのは、結局何のために情報を持っているのかというのがはっきりしていないような気がするんです。
 その意味では、情報をもう少し広く、あるいは目詰まりがないようにするべきだという情報の収集・一元化も確かに重要ですが、それは改善すればいい話で、その後に何をするためにその情報を持っているのかが、この調査会で一番重要な話ではないかと。
 例えばユッケの事件であれば、福井県、富山県が公表した後に同じことを消費者庁が言うことが重要なのか。それとも消費者庁としては、ほかの県に問題がないかを厚労省が指示しているかを厚労省に対して言うのが重要なのか。あるいは卸売の問題かもしれない。そういう問題の広がり、過去の情報に照らして、こういうところまで調べないといけないと言うのが目的ではないかという気もするんですけれども、それが中村(均)委員のおっしゃった横ぐしといいますか、消費者の方から見たら、お店だけ止めたってだめなんじゃないのという発想はあり得ると思うんですが、ただ公表することに意味があるのではなくて、どのように使うのか。それが消費者安全法16条、17条、他省庁に対する求めをする。そこら辺を消費者庁ならではの立ち位置が何かとはっきりしないまま、とにかく情報だけを集めましょうというのは、手段を一生懸命に議論するんだけれども、目的がはっきりしない。ということは、結局その手段、出てきた情報も、事業者名にどこまで気を付けて公表しなければいけないかがよくわからないということにもつながってくると思うんです。
 情報の収集ばかり時間をかけて議論をしてきたところもあるんですけれども、最後のところは法律でもはっきりしていなくて、消費者安全法16条、17条は何をするのか、それを我々が本当は議論をしなければいけないのではないかと思います。今まで出てきた議論のうち、活用のところをうまく整理ができていないと思いますけれども、そこを全面に出すような報告書にしないと、何を議論しているのかよくわからないということになると思います。
 その意味で5ページには、そこがほとんど書かれていない。活用するとは書いてあるんですけれども、どう活用するのかというポリシーですね。消費者庁が何のために情報を一元化しているのかの具体的な今後のシナリオであるとか、あるいは意見であるとか、そういったところの方がむしろ重要ではないかと思いました。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 今すごくいい意見だと思いますけれども、消費者庁はデータを持っているというのが一番の強みです。有珠山の噴火が2000年にあったときに、何で地震の後は逃げなければいけないんですかと言ったら、今まで8回中7回、1日後に大爆発をしていますからと。要するにデータがあるから逃げた方がいいですよと言ったら、みんな信用したんです。ユッケの場合、この場合は感染症もあるかもしれないけれども、O111とかがある可能性がありますよというのを見せれば、みんな逃げるということになると思います。
 そのときに消費者庁は消費者のために出すんだから、データはこう言っているという言い方でいいと思います。その後にどうするかはあなたが考えるんですけれども、私たちが持っているデータはこういうふうに言っていて、後は過去のデータをあなたが判断してくださいと。私なら逃げますよと言ってもいいと思うんです。そういうのをちゃんと出してほしい。一元化をしたから大成功ではないでしょうか。これだけデータがあるんです。何かあったときに、過去はこうだったんだということがちゃんと言えると思います。それが証拠になると思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 質問です。ユッケのところです。皆さんはユッケ、ユッケと言い、私もユッケと言っていたのですが、5ページの定義のところを見ますと、本件は本年4月に発生した焼肉酒家えびす食中毒事件となっています。仕入れ先も捜査の対象範囲に広がって調べたというニュースが記憶にあるのですけれども、この店に特定したのは何か理由があるのでしょうか。それとも、仕入先の方は原因ではなかったということがはっきりしたのでしょうか。

○諏訪園参事官 事件の名前については、一般の報道でこういった名前になっているようでございますので、これを使っているだけであって、卸先の名前について、報道等で事件名では見受けられないので、たまたまこういうふうにしているということでございます。

○齋藤委員 では、データは全部広い範囲について書いているわけですか。

○諏訪園参事官 データは消費者庁に集まってきた情報に基づいて書いております。卸先がどうだったかというのは、情報としては消費者庁に集まってきません。それはまた警察の方で捜査している情報だと思いますので、ここでは各都道府県に集まった情報が厚生労働省、更に消費者庁に報告され、消費者庁がどううまく突合して、いち早く公表できるかということについての分析を行ったということでございます。

○齋藤委員 恐らく、いつ食べたかという情報が上がってきていないから書かないということになる気がします。新聞などでは随分書いていました。私がこれは大変な病気だと思ったのは、食べてから発病するまで結構時間がかかっていることを知ったときです。

○諏訪園参事官 2日か3日。

○齋藤委員 ロスを大分するのに、情報の提供がどうだったかという観点が大きな問題になるような気がしているので、先ほど申し上げたわけです。

○諏訪園参事官 それもあって、机上配付資料でその辺も含めて情報を御参考までに提供しましたけれども、報告書の方に、それはまた入れておきたいと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。片山委員、どうぞ。

○片山委員 皆さんから出ている意見ですが、先ほどの関係行政機関、消防あるいは自治体、いろいろな行政機関の情報が消費者庁にうまく上がってこない。そこのところについて、どうもこの報告書を見ると、消費者庁から催促しないから来ないんだよというニュアンスがすごく強く感じられて、先ほどの御発言でも個々の消防署の方に言っていけば、だんだん上がってくるようになるという話ですけれども、それはまるでもぐらたたきのような話であって、督促されたところは次から早く上げようとなるかもしれませんが、一般的に全消防署がそういう体制になるということではないと思うんです。
 さっき横矢委員が言われたように、何が問題でなぜ目詰まりが起こるのか、きちんとした関係行政機関との検討をするべきであると思うので、できればそれを報告書の中にも指摘していただけたらと思います。

○諏訪園参事官 既に消費者庁から消防庁に対しては要請しておりますし、今後、消費者庁が個別に要請するときも、各都道府県に直接言うのではなくて、消防庁を通じてやるんだと思いますので、要請を続けていくことで消防庁と消防署との間の目詰まりがだんだん解消していくのではないかというのがこの発想ですが、御指摘を踏まえて、消防庁から先のところについても言及していくようにいたしたいと思います。

○宇賀座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 26ページの真ん中の段にEUのニューアプローチ方式について書いていただいたんですけれども、この本文はこれくらいしか書けないとすれば、これでいいんですけれども、注のところで細かく書いていただいた内容の「EUは指令として技術的要求は規定せず、一般的に必須要求事項をやや抽象的に規定する」について述べますと、この「指令」が法律に当たります。
 今の日本の状況は、安全を法律でもって実現しようとしていますけれども、ヨーロッパの場合には法律で包括的に安全を規定して、規格で具体的に安全の要求事項と要件を定めて、法律と規格で安全を実現しようとしています。すなわち、EN規格で具体的に要求事項や要件を決めて、そのEN規格を各国が採用することを条約で決めていて、各国がEN規格を自分の国の規格として、例えばENBS規格と採用して、それを強制化しているんです。
 そういう意味では、指令がEUの法律ですが、指令を各国が受け入れて法律にして、その上で今度はEN規格をまた自分たちの規格に受入れて、それを強制化している。ということは、言ってみたら、どちらも強制化されているわけですね。法律で強制化して、規格で強制化して、それで安全を実現しようとしている。そういうことがこの注意書きでは読み切れないと思います。
 指令は法律ですということがまず必要です。詳細については規格で決めるんですけれども、その規格がヨーロッパでは強制化されていますという書き方がないと、ちゃんと伝わらないのではないかと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。その点もお願いします。ほかにいかがでしょうか。
 中村(晶)委員、どうぞ。

○中村(晶)委員 資料のやり取りについてお願いがございます。20日に事務局に対して、締め切りで意見をお出ししているのですけれども、各委員がどんな意見を出されたのかを私たちは事前に知りませんでしたし、ここにもないです。これがどう反映されているのかもわからないまま、今朝いただいて見ています。
 ぎりぎりのところで作業をなさっているとは思うんですけれども、前日でもいいのでいただけたらと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。消費者庁でも事故調査機関の在り方に関する検討会のときに委員の方からどういう意見が出たかという情報をメールで全員が共有できるような形でやりましたので、そういう方向でお願いできればと思います。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 今日はいろいろと貴重な意見をいただきまして、どうもありがとうございました。本日の議論は以上といたします。本日は貴重な御指摘をいただきましたので、それを踏まえて、この報告書(素案)を修正していただいて、次回にまた御議論をいただきたいと思います。その間に修正が終わりました段階で、修正案を皆さんにメールで送付していただいて、それについての御意見を全員が共有できるような形で出していただくという手続を踏んでいただければと思います。
 それでは、事務局から連絡事項などはございますでしょうか。

≪4.その他≫

○齋藤審議官 本日は大変御熱心に御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。事務局といたしましては、本日の御議論でいろいろと御意見、御指摘をいただきましたので、それを踏まえまして、座長とも御相談をしながら、報告書の案として、とりまとめる作業を行いたいと思います。その過程で皆様に御意見を伺う機会もあろうかと思いますし、修正案をお示しして御意見をいただくということもいたしたいと思いますので、是非この後、またよろしくお願いしたいと思います。
 次回の日程につきましては、7月12日火曜日の午後2時から行う予定にしております。
 事務局からは以上です。

≪5.閉会≫

○宇賀座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきたいと思います。お忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

(以上)