2011年10月から12月にかけて、消費者委員会として重要課題と考える以下の施策を取り上げ、2011年度の施策の実施状況等について、5回に分けて関係省庁からヒアリングを行いました。
ヒアリングにおける委員からの意見及び委員長のまとめの概要は以下のとおりです。
委員からの意見・委員長まとめ(概要)(第71回~第74回、第76 回消費者委員会)(PDF版:212KB)![]()
- 事故情報の収集・原因究明関連施策(施策番号4, 13-2, 13-2-2)
- 食品の安全(施策番号21, 22)
- 美容医療・エステ関連施策(施策番号39, 40)
- 法執行等(施策番号41・80・131・124・134)
- 法執行(施策番号43)
- 住宅関連施策(施策番号54, 149)
- 旅行業関連施策(施策番号59)
- 取引の適正化(施策番号60, 62, 48, 46, 50, 51, 52, 44-2)
- 公共料金(施策番号67)
- 食品表示一元化(施策番号69)
- 消費者教育(施策番号87・90・93・102)
- 地方自治体における後見制度等の実施による高齢者の権利擁護の推進(施策番号106)
- 地方消費者行政支援(施策番号121、122、123)
- 消費者行政に関する研修(施策番号135番)
- IT・情報通信(施策番号153-2, 84, 155, 160, 161)
事故情報の収集・原因究明関連施策(施策番号4, 13-2, 13-2-2)(消費者庁よりヒアリング)
各委員意見
○ 医療機関ネットワークについて、情報を提供する医療機関の数を拡大する予定がないということだが、できるだけ広く情報を集めるという観点から言うと、拡大する方向が望ましいと思う。
○ 消費者安全調査会に関して、運輸安全委員会は常勤の委員で、事務局も独立しているが、事故調査が専門家によって独立してなされることが、消費者からの信頼を担保するために一番必要なことである。
○ 消費者庁の中に消費者安全調査会を設けることは、外から見たときに、公立性・実効性が担保されるのかという点は、消費者として大変懸念がある。
委員長まとめ
■ 各委員は、消費者庁に対して、消費者問題に関して各省庁に横串を刺すように積極的に取り組んでいただきたいという期待があり、その裏返しで、現在の消費者事故の調査体制案についても、限られたすき間事案に対してのみ補充的に動くのではないか、さらにこぼれ落ちる部分が生ずるのではないか、中立性・公平性を保って調査ができるのか懸念がある等の意見も聞かれた。消費者委員会として、現在の案で第三者機関の設置が実現した場合においても、事故調査機関の調査結果に対して、言うべきことがあれば言わなければいけないと考えている。今後法案策定作業を進めるとのことなので、引き続き状況を見守りたい。
食品の安全(施策番号21, 22)(消費者庁、食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省よりヒアリング)
各委員意見
○ 食品添加物については、消費者とのリスクコミュニケーションが足りておらず、より一層のコミュニケーションを図っていただきたい。
委員長まとめ
■ 食の安全は消費生活の基本であり、特に放射性物質の問題については、いろんな情報が錯そうする中で、消費者は非常に不安に思っている。信頼できる情報を一元的にわかりやすく示していただきたい。内部被ばく、外部被ばくの問題もあるが、それぞれの省庁できちんとやっていただくことを含めて、消費生活全体として眺めた場合にどうなのか、落ちがないよう、関係機関と連携する中で、それぞれ情報をトータルに組み合わせる努力をしていただきたい。
美容医療・エステ関連施策(施策番号39, 40)(厚生労働省、経済産業省よりヒアリング)
各委員意見
○ エステ業界の大きな問題として、業界団体への加入率が低く、オーバートークをして消費者を引き付ける業者が儲かっているような感じがある。オーバートークの規制をするには、景品表示法を活かして、チェックするシステムが必要ではないか。
○ 美容医療・エステの関連業法として、医師法・理容師法・美容師法・あん摩法の4つがあると聞いているが、整体やカイロプラクティックなども出てきている現状において、この4つの業法だけで業界を整理することについて、見直しの議論もあるべきではないか。
委員長まとめ
■ 美容医療・エステ業について、厚労省は医療の面から、経産省は美容サービスの面から、それぞれ問題に取り組んでいるということなので、両省庁の間で問題が落ちてしまうことがないよう、むしろ重なり合う形で課題に取り組んでいただきたい。美容医療・エステは、サービスとして内容があいまいな部分があるにも関わらず、顧客の主観的満足度に大きく依存し、また、人間の体に関係する問題でもあるので、説明や広告、表示等の規制の正しい在り方や、技術の資格、認証制度を含めて、消費者が安心して利用できる事業者を育てる方向で、さらに検討をいただきたい。
法執行等(施策番号41・80・131・124・134)(消費者庁、公正取引委員会よりヒアリング)
各委員意見
○ 最近、表示の関係で被害相談が多いのがフリーペーパーであり、いい加減な業者の問題のある言い過ぎの表示があって、被害のきっかけになっているようだ。
○ 医療法は消費者庁に移管されていないが、医者が広告できる範囲が決められており、消費者庁から、広告のあり方に関して、もう少しメスが入ってもいいのではと思う。
○ 公正取引協議会について、協議会に入る事業者は比較的良心的な事業者だと思うが、協議会に入らない事業者が多く、そこで問題が発生することが非常に多くて、そこの指導や網掛けはどこがするのだろうと思う。
委員長まとめ
■ 法執行の問題は、なかなか難しいと思うが、説明を聞いて非常に頑張っていると感じた。ただ、現実を見ると、不当表示による誤認トラブル等、決して減っておらず、まだまだ頑張らないといけないと感じる。いくつか対応策はあると思うが、例えば特商法による対応について、行政だけでなく、民事実体法の部分で、消費者を支援する方法についても考えていただきたい。また、広域での連携として、ブロック会議の話があったが、さらに情報交換、意見交換を進めていただき、連携を強化していただきたい。自治体ごとの法執行の判断の基準を作ることが難しいのはわかるが、ばらつきが多いのも問題なので、判断の共通の基準のようなものを作ることを心がけていただきたい。消費者トラブルについて、問題が大きくなってからではなく、芽の段階で、積極的に叩いていく姿勢で臨んでいただきたい。
法執行(施策番号43)(消費者庁よりヒアリング)
各委員意見
○ 例えば特定電子メールの送信の適正化に関する法律、電気通信事業法等の、特商法の適用除外となっている法律の関係で、多数の相談が寄せられていることを踏まえて、どのように被害を抑制すべきと考えたらいいのか等、中長期的な課題でもあり、今後考えていきたい。
委員長まとめ
■ すき間事案に対応することを考えると、相当な連携が必要となるので、関係省庁間でさらに連携を強化いただきたい。また消費者の安全、利益に資するのであれば、重複を恐れず、積極的に対応していただきたい。
住宅関連施策(施策番号54, 149)(国土交通省よりヒアリング)
各委員意見
○ 大震災以降、太陽光パネルなど、既存住宅でも省エネ設備を選択する消費者が多いが、費用と効果の関係がよくわからないということを聞いていたので、省エネ基準の表示を一次エネルギー消費量換算にして、表示も標準化する取組はぜひ進めていただきたい。
旅行業関連施策(施策番号59)(観光庁よりヒアリング)
各委員意見
○ 日本とアジアの間の観光客が増える中、互いの経済力が違う中で、被害救済の内容や消費者の権利のアンバランスが生じないように、域内である程度の調整作業が必要になるのではないか。
○ 各国の官公庁的な役所の横の連携など、東アジア諸国の市民の方が安心して旅行できるよう、意識的にシステムづくりをする努力が必要だと思う。
○ インターネットを用いたホテルの予約システムや、新幹線の予約システムを含めて、安心して予約、利用ができるように、意識的に努力するのが観光庁の仕事ではないかと思う。
委員長まとめ
■ 海外旅行者の消費者トラブルが発生した場合に備えて、海外の観光官庁とも十分連携して作業を進めていただきたい。
取引の適正化(施策番号60, 62, 48, 46, 50, 51, 52, 44-2)(消費者庁、警察庁、金融庁よりヒアリング)
各委員意見
○ クレジットカードの現金化について、全体の趣旨から見ると明らかに出資法違反というところで、場合によっては事業者に対して行政的な勧告をした上で、あるいは少なくとも消費者安全法に基づいて調査をして、その上でしかるべき措置をとることができないかと思う。
○ 犯罪関与の口座凍結において、消費生活センターと警察との連携、特に各県警本部の関係部局との連携を強める努力を今後もお願いしたい。
○ 貴金属買取りの関係で、現行法の対応で無理ならば、法律をきちっと改正して対処していくしかないと思う。
○ ファンドによる被害が増えている事実も踏まえて、開示内容も、事業者名だけでなく、連絡がとれているかどうかや、事業内容等についても開示できないのかと思う。また、1万人近い相談があるのに、処分例は4件しかなく、被害抑止の観点から、処分の機能的なことを考えて迅速・的確に処理するべきではないか。
委員長まとめ
■ 利殖商法に関する被害は現在でも増えているという報告もあり、委員会として、関心を持って見ている。利殖商法事案について、規制のすき間に陥ることがないよう、各省庁で連携に努めていただきたい。これらの事案については、民事、行政、刑事の全体で悪質事業者を追い込んでいただきたいと思う。
公共料金(施策番号67)(消費者庁よりヒアリング)
各委員意見
○ 公共料金は、料金が適切なのかどうか、決定プロセスが透明かどうかといった視点で検討するべきだと思う。物価が下がって値下げが必要な時に、現状では行政はそこに関与できない。
○ 公共料金の現状の認可は、上限料金・運賃の認可だけで、値下げは届出でいいとなっており、値下げについては事業者の裁量で決めることになり、物価が下がって値下げが必要な時に、現状では行政はそこに関与できていない。公共料金のあり方について、消費者の権利に根ざした政策が必要ではないかと思う。
○ 公共料金の改定にあたり、審議会のメンバーに、消費者代表の方が制度上必ず入って、その声がどういう形で反映されているか、法制度上そういうシステムになっているのかどうか、わかるものがあればいただきたい。
委員長まとめ
■ 公共料金の決定の仕組みは、あまり透明度が高くないと感じられており、その決定にあたって、消費者目線での検討が十分に行われてきたかについて、委員会として大きな関心を持っている。消費者庁としても、そうした視点からさらに検討をお願いしたい。
食品表示一元化(施策番号69)(消費者庁よりヒアリング)
各委員意見
○ 食品表示一元化の検討において、立場によって平行線の議論となってしまっているので、一定の理念で立ち位置を決めて、直接は食品衛生法、JAS法、健康増進法の3つの法律と、さらに景表法と不正競争防止法の枠組みを考えていくような、そういう検討をしないと、いつまでも平行線の議論で終わってしまうと思う。
○ どういう表示が消費者にとって望ましいかということを、例えば消費者団体に委託調査をして、モデル表示案みたいなものを出してもらう、といった活動をすべきではないか。
委員長まとめ
■ 食品表示一元化の各論になってくると、いろんな問題が出てきて、検討すべき点はたくさんあると思われる。各法律に基づく表示で、せめて共通したものについて横断的に一元化するなどして、結果的にわかりやすい表示とすることが重要だと認識している。さらに検討を重ねて、少しでもよい制度にしていただきたい。
消費者教育(施策番号87・90・93・102)(消費者庁、文部科学省、総務省よりヒアリング)
各委員意見
○ e-ネットキャラバンのような試みは素晴らしいと思うので、もっと民間団体の協力要請なども行って、PRもして、ぜひ広げていただきたい。
○ 市町村の教育委員会と消費生活センターの連携について、連携せずにお互い任せている自治体も多いとのことだが、やはりどこかで連携をとった方がうまくいくと思う。
○ 消費者市民社会の実現のために、消費者教育は肝になる施策だと思う。これまで日の当たらないところで細々とやっていたが、現在推進されているのは非常にうれしく思う。
○ 稼働年齢層に対する消費者教育啓発は難しいと感じていたこともあり、課題だと思うので工夫していただきたい。
委員長まとめ
■ 市町村の教育委員会と消費生活センターが、消費者教育においてあまり連携していないとの話があったが、教育現場の人が、子供たちへの消費者教育の重要性、生きる力の一つに消費者力があるのだということを理解してくれていないのではと思う。消費者教育は今後の消費者の権利擁護の中核となる施策と認識しており、今後も、消費者庁、文部科学省をはじめ、連携して頑張っていただきたい。
地方自治体における後見制度等の実施による高齢者の権利擁護の推進(施策番号106)(厚生労働省よりヒアリング)
委員長まとめ
■ コスト面で、後見制度を利用できない高齢者も増えてくると思う。成年後見制度利用支援事業等だけでは、多数の高齢者をカバーできないと思うので、必要に応じて、後見以外の制度で高齢者を見守れるようなことも考えていただきたい。
地方消費者行政支援(施策番号121、122、123)(消費者庁よりヒアリング)
各委員意見
○ PIO-NETについては、情報入力の手間が大きい一方、市町村では入力したデータをあまり活用することがないため、国の方から情報提供の対価をもらえないかと常々感じていた。
○ 相談員の処遇について抜本的に変えるためには、地方の現場が、非正規雇用の相談員と、数年ごとに入れ替わる正規職員とで構成されている現状を変えることが必要だと思う。国家資格があっても、非正規雇用である限り、処遇は改善されないのではないか。
○ 基金は期限付きなので、地方自治体において恒常的な支出増になるところに回せず、相談員の処遇改善につながっていない現状が如実に表れており、25年度以降について、支援の充実を図ると決意を示していただきたい。
委員長まとめ
■ 地方消費者行政については、第1次の委員会以来、重要な課題と考え、第2次の委員会においても非常に重要な問題と受け止めている。地方消費者行政に関するこれまでの施策が十分な効果を上げているのか、検証をしっかりやっていただき、問題があれば大胆に見直しいただくことも必要だと思う。財政面での支援についても、必要なところにきちんと安定的に出せるよう、頑張っていただきたい。
消費者行政に関する研修(施策番号135番)(消費者庁・人事院よりヒアリング)
各委員意見
○ 昇任した審議官に対する窓口研修のような、公務員が消費者・生活者の声に触れる制度は素晴らしいことであり、このようなことを行っていることを、積極的に広報していただきたい。
○ 公務員の人事評価について、消費者目線・国民目線で仕事をした人が昇任するような制度になってほしい。
○ 消費者のためになる公務員の在り方を示していただくといいと思う。
委員長まとめ
■ 公務員の消費者目線の意識を高めていただく機会をどんどん作っていただけるよう、消費者庁からも働きかけていただきたい。
IT・情報通信(施策番号153-2, 84, 155, 160, 161)(消費者庁、総務省、経済産業省よりヒアリング)
各委員意見
○ プロバイダ責任制限法について、詐欺事犯のツールに電子メールなどが使われていても、誰が発信しているかわからないという現状があるのに、表現の自由等を理由に、発信者がわからないままでいいというのはどうしても納得いかない。
委員長まとめ
■ インターネットの利用については問題が多様であり、トラブルも増えている現状がある。今や、インターネットは国民にとって大事な情報インフラであり、その適正化のために今後一層の検討をお願いしたい。越境トラブルについても、今後海外諸国と新たに連携していくとのことであり、その成果についても機を改めて報告いただきたい。
5回のヒアリングの最後に、河上委員長より、「今回で5回にわたって行った消費者基本計画の検証・評価・監視のヒアリングを終えたが、各省庁がそれぞれ消費者の利益擁護のために尽力していることがわかると共に、さらに努力いただきたい点も見えてきた。今後も引き続き、基本計画の検証・評価・監視に際して、委員会の監視機能を最大限に発揮して関与していきたい」との発言があった。
