条例による事務処理特例制度

条例による事務処理の特例(地方自治法第252条の17の2)とは、都道府県知事の権限に属する事務の一部を、都道府県の条例で定めるところにより、市町村が処理することとすることができる制度です。

この特例制度により、市町村の意見も反映しつつ、都道府県が主導し、市町村に対する多くの事務・権限の移譲が進められています。

移譲されている事務・権限の内容は、まちづくり(土地利用を含む。)、産業、福祉・保健、教育、環境・衛生、生活・安全等の幅広い行政分野にわたっています。こうした取り組みが法令改正による移譲につながった例や、法令改正と一体的に類似の分野での移譲を推進する例も見られます。

条例による事務処理特例制度を通じた事務・権限の移譲により、住民サービスの向上、市町村の自主的・総合的な施策の展開、都道府県・市町村を通じた効果・効率の向上等が実現しています。

移譲の方式としては、希望する市町村に希望する権限を移譲する「手挙げ方式」を採っている都道府県が多いですが、行政の効率化を図るため、市町村に一律に移譲する例や、市町村の人口規模に応じて移譲する例もあります。

都道府県が移譲方針を定め、市町村がそれに基づき移譲計画を策定するなど、計画的な移譲が進められている例が多く、移譲に当たっては、都道府県と市町村が移譲について個別に調整を行うことに加え、以下のような工夫を凝らした多様な取組が行われています。

  • 行政分野ごとに一定の事務・権限をパッケージ化して移譲(パッケージ方式)
  • 移譲を進めるべき事務を重点移譲事項として指定し、市町村へ働きかけ
  • 移譲対象事務の事務フロー、必要な体制、移譲のメリット、課題等を事前に市町村に提示

また、市町村が移譲された事務を行うに当たっては、都道府県による支援として、説明会・研修の実施、条例等の整備に対する助言、マニュアルの提供、研修員の受入れ、都道府県職員の派遣、財政支援等が行われています。