分権クローズアップ[地方分権改革の旗手] 第19回 前橋市

分権クローズアップ[地方分権改革の旗手コーナー]では、各地方の「地方分権改革の旗手」の方から、それぞれの地域における地方分権改革の取組や成果について紹介をしていただきます。第19回は、前橋市総務部行政管理課の藤井一幸副参事から寄稿いただいた記事を掲載します。


1.はじめに

前橋市は、明治25年の市制施行以来、群馬県の県都として県内の政治・文化・産業経済を牽引する中心的な役割を担ってきました。平成21年には県内初の中核市へ移行し、平成24年には市制施行120周年の節目を迎え、更なる飛躍へ向け歩みを進めています。地方分権改革の取組もその1つです。

地方分権改革は、住民に身近な行政を地方公共団体において自主的かつ総合的に広く担うようにするとともに、地域住民自らが自らの判断と責任において地域の諸課題に取り組むことができるようにするための改革です。

これまでにも、本市では平成12年4月に事務処理特例制度を活用し、県から煙火に係る火薬類の消費許可権限の移譲を受けることにより、花火大会における火薬類の消費許可の際に、市消防局が花火の主催者等に対し事故防止の徹底を指導し、もって観客の安全確保を図る等、事務処理特例制度を活用して市民サービスの向上に努めています。

今回は、本市の地方分権改革の取組のうち、事務処理特例制度を活用した一般旅券の発給申請受理・交付に関する事務の権限移譲と平成28年提案募集への取組状況について紹介します。

2.事例紹介1 一般旅券の発給申請受理・交付に関する事務の権限移譲

権限移譲の方法としては、法定移譲と事務処理特例条例による移譲の2種類があります。このうち、事務処理特例条例による移譲は、法令上の都道府県知事の権限について、都道府県の条例で定めるところにより、市町村に移譲するもので、都道府県や市町村の意向により、都道府県の事務権限を再配分することを可能にする仕組みです。ただ、その制度運用は、各都道府県に委ねられ、都道府県における運用格差が各地域の分権の進捗に影響を与えています。

群馬県についてみると、「新ぐんま権限移譲推進プラン」(以下「プラン」という。)に基づき、県と市町村との「対話と協調」を基本に、県・市町村の役割分担や権限移譲の範囲、進め方等について、「ぐんま県・市町村パートナーシップ委員会」において十分協議が行われるなど、県・市町村間の理解と連携を図りながら権限移譲が進められております。具体的には、県が移譲可能であると考える事務が基本リストとして提示され、市町村が自ら移譲を受ける事務を選択する方式が基本となりますが、権限移譲の目的に特に資すると認められるものとして、県において重点的な移譲を進めていくとされた事務については、プランにおいて重点移譲事務として位置付けられます。また、県が移譲可能とする事務については、県と市町村の役割分担や地方分権改革の動向を踏まえ、「ぐんま県・市町村パートナーシップ委員会」などにおいて協議・調整されるなど、随時見直しが行われており、群馬県から各市町村に対する権限移譲の道は開かれたものになっています。

こうした群馬県における事務処理特例制度を活用して実現した権限移譲として、「一般旅券の発給申請受理・交付に関する事務」(平成25年10月移譲)があります。この事務は、プランにおける重点移譲事務であり、平成24年8月に県からの移譲意向調査があり、本市は平成25年10月の移譲を希望しました。移譲に向けては、市民サービスを低下させないこと、利用者の混乱を避けること等を基本方針として、県と度重なる協議を行いました。協議に当たっては、1処理期間の短縮、2適切な財源措置、3市民サービスの質の確保の3点を、移譲を受ける上で解消すべき課題であると考えました。

1については、県が定める一般旅券発給申請に係る標準処理期間(移譲後)が下表のとおり申請書の受理から6営業日目の交付であったところ、本市は使送により申請書受理の2日目朝に申請書を群馬県パスポートセンターへ直接届けることで、左記の処理期間を1日短縮し、申請書受理から5日目の交付としました。


前橋市資料1 パスポート事務

2については、県との協議により、申請者からのクレーム処理等の処理時間及び申請件数が多いことによる加算など、事務処理特例交付金の算定ルールが見直されました。3については、県パスポートセンターの嘱託職員(経験者)の継続採用等により、利用者への影響がないよう配慮しました。また、市役所内で手続を完結させるため、申請時に必要な証紙等の購入や写真撮影ができるように整備しました。

このようにして移譲を受けた「一般旅券の発給申請受理・交付に関する事務」は、年間7,667件の申請の受理、7,552件の交付(平成27年度実績ベース)が円滑に行われており、住民に一番身近な行政主体である市町村が行政サービスの主体的な運営を行うという権限移譲の目的が果たされています。


3.事例紹介2 平成28年度提案募集への取組状況

地方分権改革については、地方に対する事務・権限の移譲及び規制緩和に係る改革提案を地方公共団体等から募る「提案募集方式」が平成26年度に導入されています。

提案募集に関しては、本市では提案に向けた積極的な検討、内閣府地方分権改革推進室への職員派遣(平成27・28年度)等に加え、平成27年度においては、中核市市長会の権限移譲検討プロジェクトの幹事市として、提案募集方式を地方にとってより使いやすいものにするため、課題項目の提案や国への提言の取りまとめを行う等、制度改善に向けた活動にも取り組みました。

第3回目となる平成28年提案募集の募集期間中(平成28年3月17日~同年6月6日まで)には、本市では、平成27年度地方分権改革旗手会議における取組事例(埼玉県)を参考にして次のような要領を作成し、庁内募集を呼びかけました。



このような庁内募集の結果、本市においては、国民健康保険税の納税義務者を国民健康保険の被保険者である世帯主とする原則(地方税法第703条の4第1項)を見直し、同一世帯の他の資力を有する国民健康保険の被保険者を世帯主と併せて連帯債務者化する改革案を提案する方向で準備を進めています。今後は、具体的な支障事例を整理・展開しながら、地方六団体や関係する地方公共団体の賛同を広く得て、実現に努めてまいりたいと考えています。


4.おわりに

今後とも、自らの責任と権限で自治体を運営し、市民ニーズに応えられるよう、事務処理特例制度や国の提案募集を活用しながら、更なる地方分権を求めていきます。


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