分権クローズアップ[地方分権改革の旗手] 第18回 静岡県

分権クローズアップ[地方分権改革の旗手コーナー]では、各地方の「地方分権改革の旗手」の方から、それぞれの地域における地方分権改革の取組や成果について紹介をしていただきます。第18回は、静岡県経営管理部自治行政課の山梨正人課長、企画広報部地域政策課の広岡健一課長から寄稿いただいた記事を掲載します。


1.はじめに

静岡県は現在、平成29年度までを計画期間とした総合計画「富国有徳の理想郷“ふじのくに”のグランドデザイン」(後期アクションプラン)に基づき、「ポスト東京時代の日本の理想郷を創る」ことを目指した地域づくりを進めています。

この総合計画の戦略体系の1つとして、「地域主権を拓く『行政経営』」を掲げ、義務付け・枠付けの見直しにおける独自基準の策定や、県から市町への権限移譲の推進などに取り組んでいるところです。

今回は、静岡県における地方分権改革の取組として、3つの事例を紹介します。


2.事例紹介I 義務付け・枠付けの見直しにおける独自基準の策定1(道路案内標識)

本県は、世界文化遺産に登録された富士山や韮山反射炉など、世界レベルの地域資源を数多く有しており、外国人観光客が年々増加していることから、外国人にも分かりやすい道路案内標識の設置が望まれていました。

従来、道路法に基づく国の基準(標識令)では、道路案内標識のローマ字の大きさは、文字(漢字、かな)の「50%」が全国一律の基準とされてきましたが、第1次地方分権一括法により道路法が改正され、国の基準が「参酌すべき基準」とされたことを受け、本県では、平成24 年3月に「静岡県が管理する県道の構造の技術的基準等を定める条例」を受けた規則において、ローマ字の大きさを文字の「65%」に拡大した独自の基準を定めました。

平成24 年4月の施行以降、新基準の大きさにおいて道路案内標識の改修を進めており、漢字ではなくローマ字で標識を理解する外国人にとって視認性が向上し、道路交通の安全や観光地等への円滑な交通誘導が期待されているところです。



3.事例紹介II 義務付け・枠付けの見直しにおける独自基準の策定2(公営住宅)

本県は、南海トラフ巨大地震が発生するおそれがある地域とされており、県営住宅の整備に当たっては、想定される地震や津波に耐えられる構造にするとともに、住民が安全に避難できる場所を確保するなどの対策を図る必要がありました。

また、県内に豊富に存在する人工林の多くが、木材資源として利用可能な樹齢40年を超えており、地域材の有効活用と森林の育成・伐採のサイクルを通じた多面的機能の維持の観点から、公共部門において県産木材の積極的な活用が求められていました。

従来、公営住宅の整備については、公営住宅法に基づく国の基準(公営住宅等整備基準)により、全国一律の基準が適用されてきましたが、第1次地方分権一括法により公営住宅法が改正され、国の基準が「参酌すべき基準」とされたことを受け、本県では、平成25年3月に「静岡県県営住宅条例」を受けた規則において、本県独自の基準を定めました。

本規則において、県営住宅の敷地が津波などのおそれがある土地である場合には、避難施設の設置などの安全上必要な措置を講ずることを規定し、入居者等の安全・安心の確保を図ることとしています。

また、県営住宅の整備においては、県産木材の使用に努めなければならないとする基準を策定し、林業の再生と森林の適正な整備・保全、山村などの地域経済の活性化も促進しているところです。



4.事例紹介III 県から市町への権限移譲の推進

住民に身近な行政は、より身近な地方公共団体である市町が担うことが望ましく、今後見込まれる地方分権改革の進展を踏まえると、基礎自治体たる市町は、これまで以上に自主性・自立性を高め、住民サービスの向上や地域課題の解決に主体的に取り組んでいくことが求められています。

本県では、他県と比べて比較的早い段階から地方分権改革の推進に取り組んでおり、平成9年度の第1次権限移譲推進計画の策定以降、これまで6次にわたる計画に基づき、市町への権限移譲を推進してきました。

平成26年3月策定の現行計画である「権限移譲推進計画(第2期)」では、1権限・財源・人材の三位一体の権限移譲の推進、2市町の意向に積極的に対応した権限移譲の推進、3大都市制度改革に対応した権限移譲の推進、4市町における権限受入体制の確保 を基本方針に掲げ、更なる権限移譲の推進に取り組んでいます。

こうした取組の結果、平成27年4月1日現在、本県は、都道府県が事務処理特例条例を活用して移譲している法律数256本のうち126本を市町に移譲しており、一般社団法人地方行財政調査会による「市町村への事務移譲の実施状況調べ」において、11年連続で日本一となっています。

今後も、市町の自己決定権限を拡充するための権限移譲を積極的に推進することで、市町の自立に向けた取組を支援していきます。



5.おわりに

地域がそれぞれの実情に応じて発展していくためには、県や市町が、義務付け・枠付けの見直しや権限移譲を通じて自己決定権を拡充し、住民に身近な行政を自立的かつ総合的に担っていく必要があります。

このため本県では、平成5年度の衆参両院による「地方分権の推進に関する決議」を受け、平成6年度に全国で初めて庁内に「地方分権研究会」を設置するなど、他の自治体に先駆けて地方分権改革に取り組んできたところであり、今後もこれまでの成果を活かし、地域の課題に自主的、自律的に対応する行政運営を行っていきたいと考えています。

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