分権クローズアップ[地方分権改革の旗手] 第17回 北九州市

分権クローズアップ[地方分権改革の旗手コーナー]では、各地方の「地方分権改革の旗手」の方から、それぞれの地域における地方分権改革の取組や成果について紹介をしていただきます。第17回は、北九州市総務企画局政策部企画課の菅恒弘地方分権担当係長から寄稿いただいた記事を掲載します。


1.はじめに

北九州市は現在、2020年を目標年次とした北九州市基本構想・基本計画「元気発進!北九州」プランに基づき、「人と文化を育み、世界につながる、環境と技術のまち」を目標としたまちづくりを進めています。

 「元気発進!北九州」プランでは、まちづくりを進めるための取組として「地方分権改革の実現に向けた連携の強化」を掲げ、地方分権型社会の実現を目指して、大都市制度や地域の自立的な発展のための仕組みなどについて検討を進めています。

 今回は、本市の「強みを生かしたまちづくり」、「近隣自治体との連携」を中心に、地方分権改革の推進に向けた取組についてご紹介いたします。


2.事例Ⅰ 北九州市の強みを生かしたまちづくり

本市は、市民運動を機に、市民や企業、行政が一体となり公害を克服した歴史を持っています。その過程で培われた環境に関する技術や人材を生かした取組により、平成23年に「環境未来都市」に選定されました。長年蓄積された技術や人材を本市の強みとし、「地域や都市(まち)の中で人が輝く、賑わい・安らぎ・活力のあるまち~公害を乗り越えた経験と持続的に創造するイノベーションを活かして~」をコンセプトに取組を推進しています。

具体的な事業として、どんぐり拾いから苗木作り、植樹活動をさまざまな主体が取り組む「まちの森プロジェクト~環境首都100万本植樹」を推進しています。

このプロジェクトの中でも特徴的な取組が「ふれあい花壇・菜園」事業です。この事業は、環境未来都市推進のため、未利用市有地や公園の一部を無償で地域の自治組織に貸し出し、どんぐり苗の育成や花壇・菜園に活用していただくものです。これまでの未利用市有地の有効活用という行政課題に対して、本市のまちづくりのコンセプトである「環境」の観点からアプローチすることにより、街なかの緑の増加に加え、草刈り等の管理費の削減、地域住民の活動・多世代交流の場の創出という一石三鳥の事業を生み出すことができました。

平成24年度より事業がスタートし、平成27年12月時点で23箇所の未利用市有地等が花壇・菜園として活用されています。




また、環境未来都市の取組を持続的なものとするため、環境施策の安定的な財源確保を目的とする法定外目的税として、産業廃棄物の最終処分である埋立てに課税する「環境未来税」を創設し、平成15年10月に施行しました。この「環境未来税」は、産業廃棄物の中間処理(破砕、脱水、焼却、中和等)は課税対象としていないため、安定的な財源確保のほか、企業の経済活動をリサイクルや減量化に誘導することも期待できます。



このように、本市の強みを生かしながら、独自のまちづくり・施策を実施するとともに、必要となる財源を確保することで、持続的な取組を実現しています。


3.事例Ⅱ 近隣自治体との連携

本市を含む北九州都市圏は、200万人の都市圏人口を有しています。

本市はこれまでも、圏域の西部6市町による北九州都市圏広域行政推進協議会や、本市を含む近隣の17市町が参加する福岡県北東部地方拠点都市地域整備推進協議会において、近隣自治体との連携を進めてきました。

また、豊かな自然と歴史の舞台である関門海峡を共有する下関市とは、同じ生活圏・文化圏・経済圏を形成しており、県境を越えて古くから交流・連携を行っています。

平成27年度は、近隣16市町(直方市、行橋市、豊前市、中間市、宮若市、芦屋町、水巻町、岡垣町、遠賀町、小竹町、鞍手町、香春町、苅田町、みやこ町、上毛町、築上町)と「連携中枢都市圏」の形成に向けた取組を進めています。



具体的には、平成27年10月5日、本市と近隣16市町の首長で構成する「北九州都市圏域トップ会議」を開催し、圏域形成に向けた認識の共有を図ったほか、圏域の将来像や具体的な連携事業等について意見をもらうため、産・学・金・官・民の実務者で構成する「北九州地域連携懇談会」を開催しています。

さらに、平成27年12月24日には、北九州市長が「連携中枢都市宣言」を行い、中枢都市としての役割を担うことを表明しました。



今後は、各市町との「連携協約」の締結に向け、引き続き協議を進めてまいります。


4.事例Ⅲ 九州3政令指定都市による大都市制度研究会

平成24年4月、本市と福岡市、熊本市の九州内の3政令指定都市では、共通する大都市特有の行政課題に的確に対応し、九州全体の成長を牽引する大都市の検討及び情報発信を目的として「九州3政令指定都市による大都市制度研究会」を設立しました。研究会では、地方分権改革や大都市制度、近隣市町村との連携等をテーマに1年間にわたる研究を行い、その成果として平成25年4月に報告書をまとめました。

 報告書では、九州における望ましい大都市のあり方についてとりまとめを行い、その取組の方向性を基礎自治体中心の地方分権改革の推進として、「1県から大都市への権限・税財源のさらなる移譲」、「2大都市を核とした広域連携の推進」、「3大都市における住民自治の充実」の3つの取組を進めていくこととしました。



1県から大都市への権限・税財源のさらなる移譲」では、研究成果を基に、福岡県、福岡市、本市の3者による具体的な事務・権限の移譲に向けた協議を開始し、平成27年4月より幼保連携型認定こども園以外の3類型の認定こども園の認定等について、条例による事務処理特例制度により移譲が実現しました。現在もその他の事務・権限について継続的に検討を行っています。

 また、研究成果に基づく行政課題の共有や3つの取組の九州全域での推進を目的に、3政令指定都市と九州内の中核市等との勉強会・意見交換会を実施しています。

5.おわりに

本市では、地域の歴史や文化を大切にしながら、地域の中枢都市として、独自の事業や近隣自治体との連携を進めてきました。

少子・超高齢社会に突入し、これまで以上に地方自治体の役割が増す中、その役割を全うするためにも、基礎自治体への事務・権限及び税財源の移譲が必要であり、またこれまで以上に近隣自治体との連携を進める必要があります。

本市では、今後も基礎自治体中心の地方分権型社会の構築を目指すとともに、地域全体の発展を目指し、近隣自治体との連携を進めてまいります。

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