分権クローズアップ[地方分権改革の旗手] 第16回 岡山市

分権クローズアップ[地方分権改革の旗手コーナー]では、各地方の「地方分権改革の旗手」の方から、それぞれの地域における地方分権改革の取組や成果について紹介をしていただきます。第16回は、岡山市政策局行政改革推進室の大逸修治主任から寄稿いただいた記事を掲載します。


1.はじめに

岡山市は、吉備高原に連なる北部の丘陵地から南部の平野部に至る変化に富んだ地形の中を、旭川と吉井川の二大河川が貫流する水と緑あふれる豊かな自然環境と、「晴れの国」とも言われる温暖な気候風土や自然災害の少なさが相まって、美しさと暮らしやすさを兼ね備えた都市です。

近年では、こうした暮らしやすさを背景に、市外県外からの移住希望者が増加し、2010年以降5年連続で転入超過を記録するなど、人口も増加傾向にあります。

また、全ての新幹線が停車するJR岡山駅など、西日本の交通結節点に位置する地理的優位性をいかして中四国の拠点都市として発展を続け、平成21年には、全国18番目の政令指定都市に移行しました。そうした指定都市の持つ権限を最大限発揮するとともに、地方分権改革にも取り組み、市民協働で魅力と活力あふれるまちづくりを進めています。

今回は、岡山市が取り組んでいる地方分権の取組の中から、第1次一括法による義務付け・枠付けの見直しにより、国の基準が参酌すべき基準とされたことを踏まえ、岡山市の独自基準を定めた「特別養護老人ホームの食堂の面積・設置基準」及び、第1次一括法による道路法等の改正に基づき、独自に道路構造等条例に「自転車レーンの設置基準」を規定した事例について紹介したいと思います。


2. 事例紹介Ⅰ 特別養護老人ホームの食堂の面積・設置基準

岡山市では、特別養護老人ホームの食堂が1階に設置される例が多く、複数階に居室を持つ場合、食事の時間に居室から食堂に移動する際にエレベーターには定員があるため、移動に時間がかかり、利用者の負担はもちろんのこと、介護職員に係る負担も大きいという実態が、事業者に対する実地指導の際に多く見受けられました。

従来、国が定める基準では、特別養護老人ホームの食堂及び機能訓練室併せて1人当たり3㎡以上とされていましたが、第1次一括法により老人福祉法及び介護保険法が改正され、国が定める基準が「参酌すべき基準」とされました。そこで、食堂のみの面積基準を1人当たり2㎡以上とするとともに、居室がある階ごとに居室に近接して食堂を設置するという岡山市独自の基準を条例で定めることとし、この条例が平成25年4月から施行されました。なお、経過措置として、施行時において存する施設については適用対象から除外することとし、施行日以後、新築または改築した特別養護老人ホームを対象とすることとしました。

そして、平成27年7月に、経年劣化による耐震補強のため特別養護老人ホームを改築することとなり、はじめて岡山市独自の基準を適用した特別養護老人ホームができました。各階に食堂を設け、食事のたびに階をまたぐ移動をなくすことで、利用者、介護職員双方にとって負担軽減が図られています。




3.事例紹介Ⅱ 自転車レーンの設置基準

岡山市は温暖で晴れの気候が多く、市域南部において平坦な地形が広がっていることから、自転車利用に適した環境であり、自転車の利用率は比較的高い状況にあります。平成24年には「自転車先進都市おかやま実行戦略」を策定し、自転車走行空間や駐輪環境の整備、コミュニティサイクル(ももちゃり)の導入、ルール・マナーに関する啓発活動など、ハード面、ソフト面の多岐にわたるプログラムを総合的かつ体系的に、官民で連携し推進していくこととなりました。

そうした中、第1次一括法による道路法等の改正に伴い、道路構造等については「参酌すべき基準」とされたことから、平成24年12月に「岡山市道路構造等条例」を制定し、道路構造令に規定がない自転車レーンの設置基準を独自に規定しました(平成25年4月施行)。これにより、以下1、2のいずれかの道路に当てはまる場合は、自転車レーンを設けることとなりました。

1.自動車及び自転車の交通量が多い道路

2.自転車の交通量が多い道路又は自動車及び歩行者の交通量が多い道路で安全かつ円滑な交通を確保するため自転車の通行を分離する必要がある場合

ただし、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合においては、この限りではなく、自転車道を設ける道路を除きます。

また、自転車レーンの幅員は、1.5m以上としますが、地形の状況その他の特別の理由によりやむを得ない場合においては、1mまで縮小することができることとしています。

そして、独自の基準に基づく初の自転車レーンを、平成26年10月に岡山駅と岡山市役所を結ぶ市道に設置しました(11月末から3か月間は交通啓発指導員を配置し、自転車レーン内での逆走の注意等の現地指導を行い、ルールが守られるよう啓発を行いました。)。自動車、歩行者と自転車を分離することで、安全かつ快適に自転車走行できる環境をつくることで、まちなかの回遊性の向上や賑わいの創出につなげていきたいと思います。


【資料③】自転車レーン設置の例
自転車レーン設置の例



4. おわりに

政令指定都市が持つ権限を最大限発揮するとともに、市民ニーズと地域の実情に応じたより良い行政サービスを提供するために、市民に最も身近な基礎自治体である指定都市の権限が強化されるよう、今後も積極的に地方分権改革に取り組んでいきたいと思います。

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