分権クローズアップ[地方分権改革の旗手] 第15回 相模原市

分権クローズアップ[地方分権改革の旗手コーナー]では、各地方の「地方分権改革の旗手」の方から、それぞれの地域における地方分権改革の取組や成果について紹介をしていただきます。第15回は、相模原市企画財政局企画部広域行政課の五郡太主任から寄稿いただいた記事を掲載します。


1.はじめに

相模原市は、平成22年4月に政令指定都市に移行し、より主体的で自立的な行財政運営に取り組んでおり、首都圏南西部をリードする広域交流拠点都市として「人や企業に選ばれる都市づくり」を推進しています。

こうした中、福祉、医療、教育の充実など市民サービスの向上を図るとともに、産業集積や雇用創出など、幅広い分野において先進的な事業を進めていますが、地域の実情に応じた取組を推進するためには、地域が自らの責任と自らの財源で、主体的に施策を展開できる真の分権型社会の実現が必要です。

このため、これまでも地方分権改革の推進に精力的に取り組んでいるところですが、今回は、その中から義務付け・枠付けの見直しに伴う条例の整備による「保育所における面積基準の引き上げ」と神奈川県の事務処理特例条例を活用した「パスポートセンターの開設」の2例を紹介します。


2. 事例紹介Ⅰ 保育所における面積基準の引き上げ

保育所の乳児室の面積基準については、「児童福祉施設最低基準」(省令)により定められていましたが、第1次一括法による児童福祉法の改正により、地域の実情に応じた内容を、当該基準の範囲内において条例に規定することが可能になりました。

本市では、望ましい保育のあり方を念頭に、児童の健やかな発達に必要な環境を確保するという観点から、保育所における乳児室の面積基準について、相模原市次世代育成支援行動計画推進会議(以下「推進会議」という。)等において議論を行いました。また、行政や保育関係者だけでなく、市民・保護者を含めた公開学習会を開催するなど、広く意見を聴取し、最低基準の条例化に向けた検討を進めました。

この中で、平成24年7月、推進会議より提出された「認可保育所における最低基準の条例委任に向けての意見書」において、保育の質の向上と保育環境の充実を図る観点から、乳児室の面積基準について、ほふく室と同水準である3.3㎡/人以上を確保すべきとの意見が示されました。

本市では、推進会議の意見等を踏まえ、「相模原市児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例」(平成25年4月1日施行)を制定し、乳児室の面積基準を3.3㎡/人以上に引き上げることで、保育の質の向上と保育環境の充実を図りました。

このことにより、ほふくする、しないという個々の乳児の発達に関わらず、同じ環境の中で保育が受けられるようになり、ゆとりある環境の中での保育が実現され、児童の健やかな発達に寄与することとなりました。



3.事例紹介Ⅱ パスポートセンターの開設

本市では、市民のパスポート申請等の利便性を高めるため、昭和60年から市内へのパスポートセンターの設置について神奈川県と調整を行ってきました。これにより、平成10年に神奈川県が運営するパスポートセンターの出張所が市内に開設されましたが、開設日は週1回で申請を受け付けるのみであったため、パスポートの受取については、本所(横浜市)または県央支所(厚木市)まで行く必要があり、利用者の利便性が高まるものではありませんでした。

しかし、平成16年の旅券法の改正により、都道府県が国から法定受託している事務の範囲内で旅券事務を市町村へ権限移譲することが可能となりました。これを活用するため、平成22年から神奈川県と調整を行い、平成25年1月の神奈川県「事務処理の特例に関する条例」の改正を経て、翌年3月に市内の南部地域をカバーする相模大野パスポートセンター、同年6月には北部地域をカバーする橋本パスポートセンターを開設しました。

また、申請の利便性を高めるため、パスポート申請に必要な戸籍謄(抄)本を取得できる連絡所を併設し、申請に必要な書類の取得とパスポートの申請を同じフロアーで行うことができるワンストップサービスの提供(写真参照)を実現しました。

パスポートセンターの開設により、市民にとってより身近な場所でパスポートの申請・受取が可能となり、交通費や移動時間の負担軽減が図られました。現在も市民のパスポート申請の約9割が市内で行われるなど、市民の利便性の向上が図られています。


【資料②】橋本パスポートセンターにおけるワンストップサービスの提供
橋本パスポートセンターにおけるワンストップサービスの提供



【資料③】相模原市民の利用状況



                                                    ※受取は、申請日を1日目として8日目以降
                                                        (土曜日、日曜日、祝日、休日、年末年始(12月29日~1月3日)は日数に含みません。)

4. おわりに

人口急減や超高齢化という日本が直面する諸問題を見据え、地方が自らの判断と責任において、地域の実情に沿った行政サービスをより効果的・効率的に提供していくため、今後も真の分権型社会の実現に向け、更なる地方分権改革の推進に取り組んでいきたいと考えています。

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