分権クローズアップ[地方分権改革の旗手] 第12回 広島県 その2

分権クローズアップ[地方分権改革の旗手コーナー]では、各地方の「地方分権改革の旗手」の方から、それぞれの地域における地方分権改革の取組や成果について紹介をしていただきます。第12回は、広島県総務局地方分権推進課の胡家亮一課長から寄稿いただいた記事を2回に分けて掲載します。今回は、その2となります。

広島県 地方分権改革のページ

 

3 広島県が目指す「地方分権型道州制」

人口減少克服・地方創生の実現を図るためには,国と地方が総力をあげて取り組むことが必要であり,そのためには,更なる地方分権改革を進め,地域自らの発想による,創意工夫の下で,地域が直面している課題に応じた取組を推進できる,「新しい国のかたち」を作り上げることが不可欠であると考えています。

具体的には,国から地方への事務・権限の移譲を進め,将来的には,国の機能を10程度の広域自治体へ大幅に移譲するなど,国と地方の役割を抜本的に見直し,地方の役割に応じた権限・財源・責任を地方が有する「地方分権型道州制」への移行を目指すことが必要と考えており,その概要は以下のとおりです。

(1)現状における主な課題について

○ 「人口減少時代」の到来

○ 東京圏への人口の一極集中

○ 国と地方の役割分担の最適化

○ 国・地方における財政支出の適正化

【参考(広島県における財政上の課題)】

  • 広島県の歳出総額9,982億円(H27年度当初予算)に対し,国庫支出金や県債を充当した経費などを除く一般財源ベースでは7,501億円
  • このうち,配置基準が定められた人件費や義務付けられた経費など,国の法令等の関与が存するなどの義務的な経費が歳出総額の約9割(87%)を占めている状況
  • こうした現状にあっては,地方が自主的・主体的に取り組むことが困難であり,それぞれの地域が強みを活かす,多様な日本社会の実現のためには,創意工夫しながら自らの発想で特色のある独自の施策を講じるための権限・財源を移譲することが不可欠

(2)地方分権型道州制の基本的な考え方について

導入目的
  • 国全体の活力と競争力の創出
  • 国と地方双方の政府機能を強化し,国民の期待に対応
  • 国において,本来取り組むべき課題(外交,防衛,マクロ経済,年金,大規模災害 など)への集中的な対応
  • 地方において,地域の実情や地域住民のニーズに応える行政の実現による住民の利便性の向上
  • 国と地方の財政支出の適正化
  • 大規模災害時の国家機能不全などのリスクの分散 など
国と地方の役割分担
  • 国と地方の役割分担を抜本的に見直し,国が最低限担うべき役割以外の役割は住民に身近な地方が担うこと
  • 多様性,独自性を発揮しうる自立した行政の権限は地方が有すること など
税財源の移譲と権限強化
  • 税制を抜本的に見直し,国と地方の役割に見合った財源を確保できるよう税源を最適配分する(国から地方へ大幅に移譲する)こと
  • 地方が多様性,独自性を発揮するため,地方の自治立法権,課税自主権の拡大・強化を図ること など

 

(3)国・道州・基礎自治体の役割分担について

真の地方創生の実現に向けて,地方が自主的かつ主体的に取り組むためには,国と地方の役割分担を抜本的に見直すことが必要

区分 役割分担の基本的な考え方
国が本来的に担うべきものを基本に,国際社会における国家の存立に関することや,ナショナルミニマム等に関する事務を担う。
⇒ 具体的には,外交・防衛・司法・通貨管理等の国際社会への対応や国家の存立に関する事務のほか,年金や生活保護(財源・制度)等ナショナルミニマムに関する事務を実施
道州 基礎自治体(市町村)が対応できない広域的な施策の実施や高度専門的な分野に特化するとともに,広域エリア全体の総合的な発展戦略を担う。
⇒ 具体的には,警察,広域的な危機管理,医療政策などの広域的かつ高度専門的な事務や,地域産業政策,雇用政策,広域インフラなどの広域エリア全体の発展戦略に関する事務を実施
基礎自治体
(市町村)
住民自治による自己決定・自己責任の下で,自らのまちづくり・暮らしづくりを総合的に担う。
⇒ 具体的には,都市計画,土地利用,地域内インフラなどのまちづくりに関する計画づくりやハード・ソフト事業,保健・福祉・教育など住民生活に密接な行政サービスを実施
注)住民生活に密着した事務は,原則として,都道府県から基礎自治体に移譲し, 個々の基礎自治体単独での処理が困難なものがある場合は,基礎自治体間の広域連携,道州による補完などの仕組み(水平補完,垂直補完など)により対応

※詳細は,平成26年度調査研究内容(平成27年5月)参照

 

(4)地方分権型道州制導入の効果について

区分 導入効果(イメージ)
国から道州への事務・権限移譲による効果
  • 道州が,地域の『発展戦略』との連動を図りつつ,地域の実情や課題を総合的に勘案した「地域経済雇用戦略の企画・実施体制の整備」を一元的に実施
  • 道州が,国際社会と直結する中から,欧州の中小国に相当する経済規模を背景に「地域における国際競争力の強化」の取組を実施
  • 道州が,地域の実情や課題を踏まえて,「地方都市における経済・生活圏の形成」のための基盤整備や「大都市圏等における安心な暮らしの確保」のための基盤整備を優先順位付けを行いながら実施 など
都道府県から基礎自治体への事務・権限移譲による効果
  • 市町の固有の事務と都道府県からの移譲事務を合わせて実施することによる利便性の向上
  • 市町の関係部署の円滑,緊密な情報共有や連携による総合的で一貫したサービスの実施
  • 市町の実情に応じた判断・ルール作りによる地域全体の暮らしやすさ・満足度の向上 など

4 地方分権型道州制実現に向けた情報発信の取組

平成26年度,国において「地方創生」が我が国の最重要課題に位置付けられたことを踏まえ,地方創生に係る国と地方の動向や,地方創生実現のための地方分権改革の必要性について県民の皆様の理解を深め,将来的な地方分権型道州制の実現に向けた機運を醸成するため,平成27年3月,「地方分権・道州制シンポジウム」を開催しました。

増田寛也氏による基調講演では,地方創生に向けて,人口減少問題の克服・東京一極集中の是正の必要性や,地方における広域連携の取組の必要性等について,大変分かりやすく講演いただき,また,パネルディスカッションでは,人口減少下で地方創生を実現するための課題や,将来求められる新しい国のかたちなどについて,質疑を含め活発な討論が行われました。

詳しくは、シンポジウム報告書を参考にしてください。⇒リンク (広島県のホームページへ)別ウインドウで開きます

 

シンポジウム概要
  • 地方分権・道州制シンポジウム~まちをつくり,ひとをつくり,しごとをつくる 地方の力で未来をきり拓く~
  • 日時:平成27年3月18日(水)13:30~16:20
  • 主催:広島県,中国経済連合会/後援:広島県商工会議所連合会,広島経済同友会
基調講演
  • 演題:人口減少社会と東京一極集中にどう立ち向かうか~地方創生の行方~
  • 講師:増田寛也氏(東京大学公共政策大学院客員教授,元総務大臣・前岩手県知事)
パネルディスカッション
  • テーマ:地方から提言する真の地方創生~「地方分権型道州制」の実現に向けて~
  • パネリスト:増田寛也氏,湯崎英彦氏(広島県知事),山下隆氏(中国経済連合会会長)
  • コーディネーター:山本一隆氏(株式会社中国新聞社特別顧問)

広島県資料2 地方分権・道州制シンポジウムの様子 広島県資料3 地方分権・道州制シンポジウムの様子

5 おわりに

真の地方創生の実現には,地方自らが,魅力ある地域づくりを目指して,自らの地域が直面している課題を明らかにし,自らがその対策を考え,自らが取組を進めていくことが不可欠であることから,更なる地方分権改革に取り組み,国から地方へ権限と財源の移譲を進め,また,将来的には,地方分権改革の究極の姿として,「地方分権型道州制」を目指していくことが必要であると考えています。

このため,今後とも,

  • 地方分権改革に関する提案募集制度などを活用しながら,国からの事務・権限の移譲などを求めること
  • 「地方分権型道州制」の実現に向けた機運を醸成するため,県民・国民の皆様の理解を深めること
  • 今後の道州制の議論に備え,本県の目指す地方分権型道州制の制度設計などの精度を高めること
などに取り組んでいきたいと考えています。

 

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