分権クローズアップ[地方分権改革の旗手] 第7回 藤枝市 その1

分権クローズアップ[地方分権改革の旗手コーナー]では、各地方の「地方分権改革の旗手」の方から、それぞれの地域における地方分権改革の取組や成果について紹介をしていただきます。第7回は、静岡県藤枝市 市長公室行政経営課の秋田弘武 課長から寄稿いただいた記事を3回に分けて掲載します。今回は、その1となります。

藤枝市 藤枝型新公共経営のページ

【要約】

従来からの自治事務において、その権限と裁量のもと、地域に根差した課題認識を持つ職員の創意工夫によって立案・実践を積み重ね、成果を上げてきました(藤枝市の健康・予防の取組を例に)。また、地方分権改革に伴う新たな事務においても、同様の視点から、独自の制度設計・改革を図りつつあります(権限移譲等に伴う本市のいくつかの取組を例に)。これらの取組や改革は、現場を踏まえつつ政策立案ができる基礎自治体職員ならではの発見・発企・発動によるものと言えます。本市では、こうした自発し、創造する職員こそが分権改革の礎となると考え、「藤枝型新公共経営」のもと職員の育成・活用を進めています。

1 はじめに

藤枝市は、静岡県のほぼ中央に位置し、人口約14万7千人の都市です。県全体では人口減少が続く中、本市は人口が増加し続けており、直近3ヶ年で連続して県内1位の増加数となっています。「選ばれるまち藤枝」に向けて、市民の暮らしの基本政策となる「健康・予防」「教育」「環境」「危機管理」の頭文字をとった「4K施策」の日本一を目指す取組などによる成果であると私たちは考えています。この4K施策の一例や分権改革に伴ういくつかの取組事例を報告します。そして、それを担う職員を育て、活用する行政経営について紹介します。

2 「健康・予防日本一」に向けた取組

藤枝市の4K施策のなかで健康・予防日本一に向けて次のような取組を行っています。こうした取組により、本市は、特定健康診査の受診率が静岡県内の人口10万人以上の都市で第1位であり、メタボ率が全国最少の静岡県にあって、メタボ率をはじめ特定健診項目全てにおいて有意に少ない結果となっています。また、がん検診受診率も高く、本市は、がん標準化死亡比で男性が全国第3位、女性が全国第2位と低い結果が出ています。

(1)「創る健康」“めざそう!健康・予防日本一”ふじえだプロジェクト

1バーチャル東海道の旅

これは、携帯・スマホで日本橋から京都三条大橋までの東海道495.5kmを歩く(走る)旅を疑似体験しながら記録できるツールです。日常の運動習慣を推進する一助となるもので、平成24年1月から開始し、完歩報告者は2年間で延べ550人に上っています。完歩者にはさらに「奥の細道コース」や「四国お遍路コース」などの継続記録ツールを提供し、運動習慣の継続を応援しています。

2ふじえだ健康スポット20選

健康スポットとは、楽・癒・美・食・鍛をキーワードに、市内で「疲れやストレスから解放されるなど楽しんで健康になれる場所」や「行くだけで癒されたり、元気になったりする場所」を公募し選定したものです。観光と健康のマッチングで市の名所を内外にアピールし、点と線で結んだ賑わいづくりとして、複数のスポットを結んだウォーキングイベントやフォトラリーを展開しています。あわせてJR東海主催の「さわやかウォーキング」を活用し、延べ1万人を誘客するなど、健康を切り口にした来訪者の増加と賑わいづくりを進めています。

3ふじえだ健康マイレージ

平成24年10月、健康無関心層にも「楽しい」「お得」など健康以外の動機づけで働きかけ、運動・食事・社会参加・健(検)診等の各自のライフスタイルにあった健康行動を応援し、定着させる新戦略としてスタートしました。4週間以上の実践で100ポイント貯めると1年間有効の「ふじのくに健康いきいきカード」が貰えます。このカードを協力店に呈示すると「お買い物5%オフ」「ドリンク1杯サービス」「カラオケ1時間無料」など各店で様々な特典が受けられる仕組みで、ウェブ版も提供しています。取組達成者からは「毎日食事と運動が意識できるようになった」などの感想が寄せられています。

(2)特定健診受診率の向上

本市では、集団健診方式を取り入れており、受診率向上のため地元医師会と協力して様々な工夫をしています。仕事で都合がつかない人のための「土曜日や午後の健診」、「年間日程表から都合のよい日を選べる」という選択方式を取り入れています。また、交通の便が悪く健診会場へ行きにくい人には無料送迎バスを利用できるようにしています。

加えて、健診の魅力アップのために詳細な健診項目を全員が受診できるようにし、がん検診やピロリ菌胃がんリスク判定も同時に受けられるようにしています。受診券は町内会ごとに送付されるために、隣近所で誘い合うなど受診率向上に結び付いているほか、未受診者に再通知を送るなどの工夫も重ねています。

(3)市民による強力な保健委員体制

保健活動を支える市民組織として保健委員制度を設け、市民が自ら健康に導く地域活動を展開しています。自治会組織を基盤に60~80世帯に1人の割合で女性保健委員も委嘱し、各地で保健講座開催などの活動を行っています。30年以上の歴史があり、保健委員経験者は延べ2万人を超えていて、「自分の健康は自分で守る」「健康づくりを地域ぐるみですすめよう」をスローガンに市民の健康意識の醸成に貢献しています。

さらに、本市は、「都市の健康づくりは人の健康づくり」という考え方のもと、地方都市にあって車に頼らない“歩いて暮らせるまちづくり”を目指し、集約型都市構造(コンパクトシティ)へ転換を推進しています。具体的には、中心市街地への公共施設・商業施設・マンションなどの都市機能の集積による徒歩生活圏の形成を進めて、定住人口の増加を図っています。さらには、県武道館や市民体育館等の立地特性を活かし、スポーツ教室の充実や街なかでの“スポーツ&健康フェスタ”といったイベント開催、さらにはフィットネスクラブの誘致なども行い、市民の健康ライフを促進しています。

地域保健法では、「市町村は保健センターを設置でき、そこは、住民に対し健康相談、保健指導及び健康診査その他地域保健に関して必要な事業を行うことを目的とする」といったことは規定されていますが、地域保健の事務は、従来から自治事務です。基礎自治体としての責務と権限のもと、地域の実情を把握した独自の施策を企画し、紹介した拠点集約型まちづくりや観光交流など他分野とも関連づけや連携を図っています。このように着実に実践を積み重ねてきた結果として成果が上がっているものと考えています。

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