分権クローズアップ[地方分権改革の旗手] 第2回 福岡県 その2

分権クローズアップ[地方分権改革の旗手コーナー]では、各地方の「地方分権改革の旗手」の方から、それぞれの地域における地方分権改革の取組や成果について紹介をしていただきます。第2回は、福岡県総務部財政課分権改革推進室の野上明倫室長から寄稿いただいた記事を2回に分けて掲載します。今回は、その2となります。

福岡県 地方分権・道州制のページ

3.事例紹介II 産業廃棄物税等の導入

近年、本県では、循環型社会を実現していくために、「産業廃棄物の排出量の抑制」と「再生利用」が行政課題となっており、産業廃棄物が県境を越えて移動する実態を踏まえて、広域的な対応が迫られていました。

このような中、国の制度改革として、法定外普通税を設けるに当たっての総務大臣の許可が、同意を要する協議に改められるとともに、法定外目的税が創設され、制限税率の緩和・廃止を含む税制改正が行われました。

このことを踏まえ、行政課題を解決する政策税制として、産業廃棄物に着目した税を法定外目的税として創設することとし、平成17年4月から、九州各県とともに、一斉に導入を行いました。

そして、この取組の成果として、九州全体でみても、産業廃棄物税の導入後、焼却施設や最終処分場への搬入量が減少しており、産業廃棄物の排出抑制や、リサイクル促進の政策に貢献しているところです。

ここで、類似の取組として、法定外税ではありませんが、「森林環境税」の導入についても、併せて紹介します。この税は、森林の荒廃により、森林の持つ多面的機能が低下するという問題が九州各県共通の課題となっていたことから、「地域社会の一員としての会費」という性格を有する「県民税の均等割」に、森林を守り育てるための費用を上乗せする「超過課税方式」を採用することとして、平成20年4月から導入しました。

なお、検討の過程では、森林の有する「水源かん養機能」に着目して、水道利用者に負担を求める「水道料金上乗せ方式(法定外目的税)」とする考え方もありましたが、県民に広く公平に負担を求めることができることや、徴税コストを低く抑えられることから、「超過課税方式」を採用したところです。

この結果、税収使途事業(税収を活用した事業)によって、「森林の有する公益的機能の回復」をするための間伐面積の拡大や、「県民参加の森林づくり」への活動参加者数の増加など、顕著な効果が表われています。

これらの事例を踏まえると、独自課税※2は、「政策税制」と「税収使途事業」という二つの面から、地域固有の課題を解決する有効な手段であり、今後とも課税自主権の活用を図るべく、国の関与の更なる簡素化・透明化※3や、地方の課税自主権の拡大を制度的に保障すること※4が必要であるといえます。

また、参考までに、上記で説明した2つの税の仕組みや、「政策税制」や「税収使途事業」の効果を示すと、次のとおりです。

5.おわりに

以上、1次・2次にわたる地方分権改革を通じて福岡県が取り組んできた、2つの特徴的な事例を紹介しました。このような分権改革の成果を活かし、その果実を住民に還元し「我々が地域をつくっているんだ」と実感していただく社会づくりを地道に重ねていくことが我々自治体職員に課せられた今後の課題です。このため、これまで制定してきた条例の不断の見直しを行うことや、移譲された事務権限を適切かつ効果的に行使することが求められます。一方で、引き続き、団体自治の拡充による住民自治の実現を図っていくため、地方自治体の役割と責任を高めていく制度改正を地方の視点から国に求めていくことが必要であると考えます。

 

脚注

※2 独自課税
 法定外税(法定外普通税と法定外目的税)のほか、法定税の制限税率を適用した超過課税などを含めた概念として「独自課税」という言葉を用いたもの。

※3 国の関与の更なる簡素化・透明化
 総務省「地域の自主性・自立性を高める地方税制度研究会「報告書」」(H24.11)で今後の検討の方向性として示しているように、さらに制限税率や一定税率の緩和など税率の自由度を高めていくことを指す。

※4 地方の課税自主権の拡大を制度的に保障すること
 全国知事会 (地方税財政常任委員会)の「地方税財源の確保・充実等に関する提言」(H25.7.9)の「IV課税自主権の活用」で示している以下の内容を指す。
「2 課税自主権の拡大をはじめとする地方の自由度の拡大に向けた検討
神奈川県臨時特例企業税条例を違法・無効とした平成25年3月の最高裁判決は、地方の課税自主権があまりに狭い範囲に止まっていることを示したものである。現在の法律では、地方分権の推進や課税自主権の積極的な活用を図ることが困難と言わざるを得ない。この判決の補足意見では、地方団体が法定外税を創設することの困難性が示され、「国政レベルにおける立法推進に努めるほかない」と指摘されたことを踏まえ、地方の課税自主権の拡大を制度的に保障するため、関係法令の見直しの検討を進めるべきである。その観点からも、平成24年度税制改正において導入された「地域決定型地方税制特例措置」については、地方の自主性を尊重するため、地域の実情に応じて適用の拡大を図る方向で検討することが適当である。」

 

 

<< 地方分権改革の旗手コーナー 第2回 福岡県(その1)へ

内閣府 Cabinet Office, Governmentof Japan〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)