分権クローズアップ[地方分権改革の旗手] 第2回 福岡県 その1

分権クローズアップ[地方分権改革の旗手コーナー]では、各地方の「地方分権改革の旗手」の方から、それぞれの地域における地方分権改革の取組や成果について紹介をしていただきます。第2回は、福岡県総務部財政課分権改革推進室の野上明倫室長から寄稿いただいた記事を2回に分けて掲載します。今回は、その1となります。

福岡県 地方分権・道州制のページ

1.はじめに

福岡県では、我が国の中枢機能の一端を担い、アジア展開のフロンティアの重要な拠点としての役割を着実に果たすと同時に、県民一人ひとりが内面的にも充実し幸福を実感できるよう、県民生活の「安定」「安全」「安心」を向上させ、昨日より今日、今日より明日は良くなると将来に夢や希望が持てる社会の実現を目指しています。こうした取組みを支える基盤づくりの一つが地方分権の推進であり、本県では、その歩みを止めることなく確実に一歩一歩進めています。今回は、これまでの地方分権改革によりまして、本県が取り組んできた2つの特徴的な事例について、説明します。
(なお、事例の内容は、地方懇談会の開催時点のものです。)

2.事例紹介I 暴力団関係者の排除を図るための関係条例の整備

これまで、県内において暴力団が様々な形で県民の社会経済活動に巧妙に介入し、色々な法律に基づいて実施する事業の健全な発達に対して脅威を与えていました。そこで、本県では、平成22年4月、全国初となる暴力団排除条例を施行し、公共事業などによって暴力団を利することとならないよう、入札から排除するといった措置を講じましたが、例えば、「介護保険法に基づく事業者の指定」など、法令で「許認可等の基準」が限定的に定められているものについては、暴力団関係者が関与している事実があっても、直ちには排除することができない状況にありました。

この状況に対して、当時、本県では、「許認可等の基準」の中に「暴力団排除条項」を付け加える条例を制定することが適当かどうかについて、「憲法適合性※1」の観点から、慎重に検討を進めていました。

 

一方、国の制度改革において、まず、第一次地方分権改革で機関委任事務が廃止され、自治体の事務を法定受託事務と自治事務に区分し、改正地方自治法2条13項により「法定の自治事務については地域特性に適合するよう配慮することが国に求められる」こととなりました。しかし、当時「地方分権推進委員会最終報告」(H13.6)でも示されたように、「国の法令による規律密度の緩和」については、手付かずのままでした。

そこで、第二次地方分権改革の重点課題として、「義務付け・枠付けの見直し」が取り組まれることとなり、地方分権改革推進委員会の第2次勧告で検討対象の範囲が定まり、第3次勧告では、それを施設、公物設置管理の基準などに絞り込んで、「従うべき基準」「標準」「参酌すべき基準」という3つの条例制定基準に類型化され、個別条項の具体的な措置が提示されました。

これら地方分権改革推進委員会の累次の勧告を踏まえ、「地方分権改革推進計画」(H21.12)の閣議決定を経て、「義務付け・枠付けの見直し」などを盛り込んだ、三次にわたる一括法が制定されました。一括法の成立に伴い、施設やサービスの設備及び運営に関する基準については、3類型の中の「参酌すべき基準」とされまして、自治体が国の基準を参酌して、独自に条例で定めることができるようになりました。

また、「義務付け・枠付けの第4次見直し」(H25.3閣議決定)の中では、許認可等の基準について、介護保険法、老人福祉法等の施設・サービスの許可、認可、指定及び取消しについては、条例で暴力団排除規定を設けることができることが確認され、また、建設業法、宅地建物取引業法等については、「法改正の機会をとらえて、法律で欠格要件等に暴力団員を加える方向で検討すること」が明示されています。

 

こういった国における制度改革を踏まえ、本県の取組としまして、一括法で改正された施設・サービスの基準について、「施設の運営について暴力団関係者の支配を受けてはならない」といった規定を盛り込んだ関係条例を平成24年12月に制定し、平成25年4月から施行しました。なお、本県と同様の許認可の事務・権限を持つ北九州市、福岡市、久留米市においても、同様の趣旨の条例を制定していただき、県内で一体的な取組を展開しているところです。

この取組の成果として、条例を制定した許認可等について、新規・更新に当たり、警察とも連携して、施設等への暴力団関係者の介入の有無を確認するとともに、事業者等への周知を行うなどにより、事業の健全な発達を促進しています。

 

以上の事例を踏まえると、条例によって法定の自治事務の許認可等の基準を付加することは、地域固有の課題を解決する有効な手段であり、今後は、法律で委任される条例制定基準は原則「参酌すべき基準」とすることなどにより、条例制定権の実質的な拡大を図っていくことが必要であるといえます。

 

脚注

※1 憲法適合性
 地方公共団体が制定した条例が、日本国憲法94条の「法律の範囲内で条例を制定することができる」という規定に違反しないかという観点。

 

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