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分権クローズアップ[有識者へのインタビュー] 第9回 田中里沙氏インタビュー(その1)

分権クローズアップコーナーでは、地方分権改革に関する様々な記事を掲載してまいります。第9回は、株式会社宣伝会議 田中里沙取締役編集室長にお伺いした地方分権改革の総括と展望についての記事を2回に分けて掲載します。今回はその1となります。

田中取締役編集室長は、企業の広報宣伝戦略やマーケティング、トレンド分析などを専門にされ、第30次の地方制度調査会委員などを務めるなどの、御活躍をされています。

(注)なお、本記事は、平成25年11月1日に開催された第8回地方分権改革有識者会議におけるヒアリングを基に、インタビュー形式に再編集したものです。

株式会社宣伝会議 田中里沙取締役編集室長

  

たなか・りさ/宣伝会議取締役編集室長。広告会社勤務を経て、宣伝会議入社。広告、マーケティングの専門誌『宣伝会議』をはじめ、『環境会議』、『人間会議』編集長を歴任。これまでに、内閣府政府広報評価委員会委員、「クールビズ」を名づけ定着させた環境省チームマイナス6%国民運動広報委員、総務省第30次地方制度調査会委員のほか、厚生省、国土交通省などの委員を歴任。また、民放連賞、全国広報コンクール、NHKミニ映像大賞、交通広告賞、モバイル広告大賞、ふるさと大賞などの審査員を務める。NHK「日曜討論」、TBS「Nスタ」などテレビでもコメンテーターとして活躍。学習院大学文学部卒。

―――地方分権改革の総括と展望について、広報の観点からお話をお聞かせください。

田中:私は普段、主要業務において宣伝広報の専門誌を編集していますが、殊に最近は地域の活性化や地域の活力にはコミュニケーションが欠かせないという視点から、地域の活性化の情報発信に関するテーマも多く手がけています。最近は民間企業同様か、それ以上に自治体や地域、NPOの方々が宣伝広報に高い関心をお持ちであると感じています。
第30次地方制度調査会をはじめ総務省の委員会等にも出席させていただく中で、地方分権改革の議論については御専門の先生方からいろいろな御提案をいただいているところと感じますので、そこへの言及は一部とさせていただいて、主に広報の宣伝の視点から重点的に話ができればと考えております。
地方分権改革の成果は幾つかの成功事例として出ています。地域の元気が日本全体の活力、活性化につながるということ、その流れは多くの人の願いですし、そこに反対する人はいないと考えます。また、少子高齢社会において安心で安全で、また効率よく楽しく暮らすということを目的に、地域を基点とした日本の未来構想を推進したいということも皆様の共通の願いかと考えます。
ただ、その中で、この重要な改革が国民全体の議論になってはいないということと、改革への理解と共感が今一つかもしれないという問題意識を持っています。
国民全体の議論にするためには、地域とか地方公共団体という視点ではなくて、住民にとって具体的にどのようなことが起きているのかを明確にするべきではないかと考えています。

株式会社宣伝会議 田中里沙取締役編集室長

改革は着実な歩みを遂げていますし、志と理念が実行されていると思います。優良事例も創出され、課題もある一定の方向で出ていて、改善の方向も見えています。しかしながら、これら方針の背景と今後の姿というのが、住民視点、国民視点、ひいては社会一般の考えの中においては、少し見えづらいと考えています。流れは何となく良いように感じられても、その良さのポイントや具体的なところが実感できないところがあるかと思います。
政策も事例も、いろいろな情報発信がすでに行われていますが、点在化しているために全体像が少し見えづらいとも思います。
後は、第1次、第2次分権改革と続いてきた時間軸と意味合いも専門の方以外には余り明らかになっていないと考えます。よって、具体的な活動のつながりが示された方がいいと考えます。後は見えない部分を「見える化」していく。つまり、志と理念は実行されていますが、その理念の部分、何のための権限移譲なのかという辺りが丁寧に説明されないと、情報としての価値が示されないと感じています。
課題や問題も出ていますので、これを共に考える姿勢、同じ未来を共に目指すという流れを作っていくことが今、非常に重要かと考えます。
地方自治に関する専門家ではないので理想論的になるかもしれませんが、共通の法律や事務・権限を変える改革というよりも、地域の実情や実態に即した改革であるということで捉え直すことが大事だろうと考えています。
そのためには、各地域が主体性を持って発言してもらい、どんな地域にしたいのか、あるいは、地域の未来構想を描いて、それを実現するために必要な要件を出していただくことが大事だと考えます。私も各地域の情報を集めるときに問合せをすると、いろいろ事例をいただくのですが、それ自体が地域からの発信に非常に根を張ったものと、そうでないものがあることを少し感じるところがあります。
森市長の富山市の成功例は以前取材通して知りましたが、コンパクトシティが成立した物語があります。街中の乗り物が、観光客の方だけでなく地域の方々の暮らしを変えていて、そこに外から来た人が参加をすることでまたその地域の良さを感じて、外からも中からもその良さを実感するというような設計ができているのはすばらしいと思います。新しい街をつくる、地域を便利にするといった理念は見えないものなので、積極的に語ってもらい、同時に見えるハード等があれば、他地域への影響も出ます。
少子高齢社会ですが、同時にグローバル社会でもあり、情報ネットワーク社会であるというのが現在の環境です。国民の意識や住民の意識、ニーズも随分変わってきていると思われます。
情報があり、自分の地域と他の地域を比較するということができますので、セーフティーネットというベーシックな部分は地域の格差が余り出るのは望ましくないと感じています。
私は現在子育てをしているのですが、子育て支援の状況をよく調べて住む地域を選ぶということを行っている人も中にはいますが、たまたま住んだ地域がよかった、悪かったということで、どうしようもないということがあります。子どもの成長と共に、学校をはじめ関わる公共は広くなっていきますが、どこに何を言えばいいかわからないというような意見を、住民の生活レベルですが、よく交わすことがあります。
テーマによっては、地域よりももっと広域で、あるいは国で対応してもらいたいと願う住民の気持ちもありますので、地方分権改革で国から地方への権限移譲ということだけではなくて、住民の視点で、あえて広域や国レベルでと対応してもらう案件もあると思います。権限の移譲なのか、協働なのか、その際の対応をどうするのかも検討していただく必要があると考えています。
国と地域が役割分担をして、それぞれの得意分野で住民と向き合って、また住民もそこに参加をして、市民が社会の一翼を担うというような流れを作っていけることが理想です。

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