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分権クローズアップ[有識者へのインタビュー] 第7回 藤沢久美氏インタビュー(その2)

分権クローズアップコーナーでは、地方分権改革に関する様々な記事を掲載してまいります。第7回は、シンクタンク・ソフィアバンク 藤沢久美代表にお伺いした地方分権改革進めるために必要となるエンパワーメントについての記事を2回に分けて掲載します。今回はその2となります。

藤沢代表は、2013年からシンクタンク・ソフィアバンクの代表を務められています。この他にも、法政大学ビジネススクール客員教授、総務省ICT成長戦略会議構成員なども務められています。

(注)なお、本記事は、平成25年10月11日に開催された第6回地方分権改革有識者会議におけるヒアリングを基に、インタビュー形式に再編集したものです。

シンクタンク・ソフィアバンク 藤沢久美代表 

ふじさわ・くみ/1989年大阪市立大学卒業後、国内外の投資運用会社に勤務。1996年に日本初の投資信託評価会社を起業。1999年同社を世界的格付け会社スタンダード&プアーズ社に売却。2000年にシンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画。2013年、代表に就任。2003年社会起業家フォーラム設立、副代表。2005年より、法政大学ビジネススクール客員教授も兼務。

(住民のエンパワーメント)
藤沢:2つ目の住民のエンパワーメントに関しては、住民がうまく役割を担うことができるとかなり地方公共団体の負担を減らせるのではないかと考えています。住民がエンパワーメントするための協働と書きましたが、3つの協働があると考えています。それは、「1.市民との協働」、「2.企業との協働」、「3.教育機関との協働」です。
そのために必要な要素は以下の4つです。「1.女性・シニアによる小規模起業を促すということ」、「2.企業のインフラや知財を活用するということ」、「3.大学等のフレキシビリティをもっと高めるということ」、「4.ICT環境の整備、データの規格やWiFi」です。
例えば女性・シニアの小規模起業は非常に重要で、こうした女性やシニアは大きな企業を生み出すのはなかなか難しいのですが、行政を補完するような事業を生み出す可能性が十分にあり、今も行っています。介護の会社は大半が女性やシニアが担っています。育児などに関してもそうです。また、よく話題になる徳島県の「いろどり」などはシニアの方々が中心になっているところに、今、若者がどんどん働き始めています。長野県の小川村も75歳以上の女性ばかりが働いているおやきの会社があり、年収12億円ほど上げていますが、こちらもシニアが働きやすい就労環境を作っていくことによって、長野の松本市の都市部の若者たちがその働きやすい環境で働きたいと就職してくるということがあります。シニアが新しい雇用環境を生み、若者の雇用の場所を創出しているということもあります。また、そうしたシニアの方が生き生きと働かれることにより、医療費が削減され、これから問題が起きてくる年金に関しても自立したシニアを育てていくことになります。地域における社会保障の費用、コストを下げていくためにも、社会的起業と言われるこうした小さな起業をどうやって後押しして、創出していくのかということは非常に重要かと考えます。
また、企業のインフラや知財の活用の観点からは、例えば地方の地域金融機関というインフラをどのようにうまく使っていくのかということはもっと積極的に考えて良いのかと思います。例えば、地域人材は正にその地域に足繁く通っているはずの人たちであり、そうした人たちからいかに情報を上げてきてもらうのか考えて良いのかと思います。例えば、川崎市などではそうした地域金融機関の方々と市職員が、毎日、中小企業を回って、そこで中小企業のニーズを拾ってきて、大企業と連携させたり、ありとあらゆる補助金をうまく使っていただく仕組みを作っています。正に、御用聞きを市が行っています。
横浜市は、そうした中小企業の人に話を聞くとあまり足繁く通ってくれないと言われますが、一方で、この間の保育所の問題など、市民に対しては非常に耳を傾けてらっしゃいます。そうした意味では、どこに対して御用聞きをするのかは別であり、そうして市民の声を拾い上げていく御用聞きの仕組みを市職員に持っていただくことが重要です。また金融機関との連携も有効で、それは御用聞きのパートナーとしてだけではなく、金融機関が持っているATMを市町村の住民票を受け取る端末としても利用するなど、そうしたものに横展開できないのかと思います。各地、市町村別に帳票がばらばらのようですので、まず市町村の中でそうしたいろいろな住民票などの形式をそろえるところからスタートしなければいけません。やはり、ゆうちょ銀行や地方銀行は各地の誰でも来やすい良い場所にあるので、そうしたところを対象に、いろいろな市町村の書類やドキュメントのやりとりをする場所で、住民票をとるなど、金融機関を地域のコミュニティの中核におく工夫も考えられます。
また、店頭にあるデジタルサイネージも、いざ震災が起きたときに避難場所の指示などに使えるのではないかと考えます。実は、ほとんどの地方銀行、信用金庫の店の中にあるデジタルサイネージ及びATMは、先ほどの日本ATMのような会社が東京や大阪の中央で全部コントロールして瞬時に情報を変えられるという仕組みとなっています。こうしたところと地方公共団体がもっと連携を組むことによって、住民の日頃の安全・安心にもつながっていくのではないかと考えます。こうしたところと連携をするために、何を変えていかなければいけないかということも検討しなくてはいけません。
小学校、中学校、高校や大学を、もっと市民が先生として参加していくなど、いろいろな形で市民が持っている知恵や知識などが集まる場所、シンクタンクに変えていくことも考えられます。山形県などは正にそのようになっており、地域の人たちが参加することによって、大学が市民たちの知恵の集約場になっています。現場の持つ知恵が集まる場として、教育機関がどうあるべきなのか考えなければいけません。
そして、最後にICT環境については、言葉が適切でないかもしれませんが、これから稼ぐという観点から、各市町村が持っているデータを民間企業等に使ってもらって、使用料を市の収入とすることが考えられます。これは、市民の財産を経済価値に変えていくということになります。もちろん、個人情報保護法などに注意は必要ですが、データを様々な民間企業等に活用してもらうことによって、より市民が暮らしやすいまちづくりにつながり、かつ収入も上がっていく仕組みづくりをするためにも、国でこうしたデータの標準規格をできるだけ早く用意しなくてはいけません。千葉市のようにアプリを使って住民参加のいろんなインフラの整備をしていくとなると、WiFiの環境を隅々まで引いていくことは非常に重要です。また、観光の観点からは、オリンピックの際、東京だけではなく、地方にもどうぞお越しくださいということですが、そもそも地方にWiFiが飛んでいない状態で、外国人が来てどれくらい楽しめるのだろうかということもあります。そうしたものに関しての検討もあわせてしていただければと考えます。
今、総務省でいろいろと議論している地域での実証実験はもっと加速化していくと考えられますので、自動運転やシニアの安否をITを使って確認することなど、公共的なWiFiの施設によってより進んでいくのではないかと考えております。
以上、長くなりましたが、特に経済的な観点から、2つのエンパワーメントを通じて自立をしていくためには何をしたらよいのかということで私の意見を話させていただきました。

―――住民の協働に必要な要素として「ICT環境の整備、データ規格とWiFi」を挙げられていますが、データ規格とはどういうものでしょうか。

藤沢:これからデータを分析したり、世の中に広げていくときに、データをどうやって個人を識別できないようにした形で、かつ、自由に使えるようにするかというデータの規格です。どのような形で公表してよいかというところがすごく重要です。ばらばらであると結局使えないので、統一するということが何より重要で、これは総務省でも議論しているところですが、地方分権改革有識者会議からでも意見をどんどん挙げていっていただきたい。

―――地方公共団体の働きかけが重要な一方、住民の参加意識を上げていくための取組も必要と思いますが、どのようにお考えでしょうか。また、学校を知恵の集まる場として利用するというお話がありましたが、これを進める方策についてお聞かせください。

藤沢:情報公開と言われながら、どんどん情報は公開されていますが、情報を見に行く住民が少ないため、非常に空回りしているということもありますし、参加という意味では権利は主張しますが、義務は果たしていないところもあるのではないかと感じています。その中で、今、ご質問の学校の現場なのですが、これからだと考えます。文部科学省が土曜日の授業に関してのみ、報酬は数千円ぐらいだと聞いていますが、民間の方々に先生をして頂き、土曜日は学校の先生方はそこでは一切働かないという新しい施策を実施することになっています。この施策を行う場合は、民間の方が先生をするに当たって国がきちんと報酬を支払いますということで、自治体に任せているのです。先生方は組合もあるので、その日は働かなくて良いという制度にしています。こうした制度をもっと活用していくべきと思います。
ただ、文部科学省も学校をオープンにしていくという動きをしてきていますので、そこで何ができるのかということです。先ほどの山形県のように、大学が病院のコントロールをする役割を担うことによって、そこにまた患者という形で市民が入ってきたときに、どのようにして理想的な医療を行うのか、IT化する際にどうすれば患者が医療に対して安心感が持てるのかという知見、アイデアも出てくると考えられますので、そうした形でプロジェクトを大学や学校が出していくことも、一つ考えられるのではないでしょうか。
後は、最初に御紹介したように、起業していただく仕組みを作っていくことによって、自然と参加につながっていくと考えられます。そうしたものを特に女性やシニアの方々が自分たちの生きがいという意味も含めて起業していける仕組みの一つのヒントではないかと考えております。

―――本日は、大変御示唆に富む御意見を頂戴いたしまして、重く受けとめ、咀嚼しながら今後の議論を進めてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。

藤沢:どうもありがとうございました。

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