分権クローズアップ[有識者へのインタビュー] 第4回 関幸子氏インタビュー(その2)

分権クローズアップコーナーでは、地方分権改革に関する様々な記事を掲載してまいります。第4回は、株式会社ローカルファースト研究所 関幸子代表取締役にお伺いした地域が主役のまちづくりについての記事を3回に分けて掲載します。今回は、その2となります。

関代表取締役は、三鷹市役所で地方自治の現場で御活躍の上、現在、株式会社ローカルファースト研究所を中心に地域活性化やまちづくりに取り組まれています。また、平成23年3月の東日本大震災後に一般社団法人震災復興ワークスを設立され、現在、南相馬市の小高地区の再生計画や石巻の津波復興拠点整備事業計画、中心市街地活性化基本計画の策定の支援をされています。

(注)なお、本記事は、平成25年10月11日に開催された第6回地方分権改革有識者会議におけるヒアリングを基に、インタビュー形式に再編集したものです。 

株式会社ローカルファースト研究所 関幸子代表取締役

 

 

せき・さちこ/1980年法政大学政治学科卒、三鷹市役所入庁。三鷹市企画部企画調整室、三鷹市生活環境部経済課を経て、1999年株式会社まちづくり三鷹に派遣。2007年三鷹市役所退職、秋葉原タウンマネージメント株式会社設立。2010年より株式会社ローカルファースト研究所代表取締役。2011年より一般社団法人震災復興ワークス代表理事。内閣府中心市街地活性化推進委員会委員。

―――先ほどのお話の中で、女性の就労支援が特に重要というお話がありましたが、就労と生活の支援については、どのように課題を解決していけばよいでしょうか。

関:就労と生活の支援は、非常に課題が多くなっています。その理由は、生活保護が都市部で非常に増えており、地方公共団体の隠れ負債となっています。例えば、去年研究した板橋区の事例では、区税404億円のうち、実質、福祉の生活保護に324億円を支出しており、1年間で約26億円ずつ増えているという統計があります。これを放置しておくと、地方公共団体がほぼ成り立たなくなっています。これをどのように解決するかが都市部の大きい問題です。
私が考えているのは、生活保護の方々に早く自立してもらうためのセーフティネットを作ることと、自立促進の事業をしっかりやるということになったときにハローワークをもう少し高度化できないかということが提案です。私は社長になって初めてハローワークに行ったときに非常に驚きました。それは、仕事を求めている求職者には優しいのですが、求人企業の社長や人事課には全く優しさがないということです。大変申し訳ないのですが、首を切られない公務員の皆様が労働政策をすることが、元々、ミスマッチであるのだと思います。例えば、企業に営業をかけて良い仕事を出してくださいということをハローワークがやっているのかといえば、やっていないのではないのでしょうか。ただ、仕事を待っているだけです。待っていても効率が悪いです。求職のときには親切ですが、求人のときには全くサービスがありません。
現状が悪いと言っているのではなく、今、改革をする必要性があると思っているのです。公設でも良いのですが、民営委託など民間にお任せするということがそろそろ時代の使命だろうと考えます。
2つ目は、生活保護と雇用を連動させる必要があるので、ハローワークが公設公営で残るようであれば、生活保護の方々に対して徹底的に仕事をお渡して頂きたいということです。ハローワークは待っているのではなくて、地方公共団体の福祉事務所とハローワークが一緒になって、仕事を紹介することを実践するということです。今は、給付だけ行っていますが、例えば試験的に企業に対してインターンシップを行うということもあります。ハローワークはそうしたところまで、踏み込めていないわけです。ですから、せっかくある雇用制度を活用するため、福祉事務所と雇用の窓口とが、生活保護の給付をした方々がきちんと自立できるようなプログラムを一体開発していただけないのかということです。
あわせて、生活保護世帯がさらにまた次の生活保護世帯を生むので、例えば普通の子は塾に行くのですが、生活保護の場合塾に行けないので教育支援をしっかり行うなど、生活保護と教育を連動させていただきたい。生活保護は母子家庭の方が非常に多いです。子供を預け入れることができれば、仕事に行くことができるのですが、それができないため生活保護に陥るというパターンが多いので、生活保護、雇用、教育及び子育てを連動させた形のセーフティネットをぜひ進めていただきたい。これは先ほど申し上げたように、都市での隠れ負債になっています。
もう一つは、民生委員について、今限界に来ていると考えております。DVや虐待、高齢者の見守りということでも民生委員のようなボランティアでは難しいので、地域に対して専門職制度を導入したらどうかという御提案を申し上げます。
他には、保育制度の拡大などもあります。武蔵野で行っている例では、テンミリオンハウスというものがあり、1,000万円までは民間のボランティア団体に補助し、足りないところは自分で出すような公民連携の事業もあります。福祉の施設や子育て施設の拡充には、公設型だけでなく、民間に一定の金額を渡すことにより、福祉のサービスを拡充するという手法もあります。

―――自治体のエリアマネージメントの観点からは、どのように分権を進めていけばよいでしょうか。

関:1つ目は、地域での徴税権の導入促進です。私は内閣府の中心市街地活性化委員会の委員でもあるところ、実際の分権を進めるために、地域での財源の確保が非常に重要になってきていると感じています。特に、中心市街地活性化が動かないということに関しては、やはりそれを支える財源を地域が持つ必要があると考えておりまして、全国で今ある約700のまちづくり会社に対して財源が渡せるように、BIDBusiness Improvement District)という手法があり、地域で不動産や土地を所有している皆様から徴税をし、まちづくり会社にまちづくりへの資源を渡すという手法を是非取り入れていただきたい。
2つ目は、非営利型株式会社(Non-Profit Company)設立法の制定です。非営利型法人、非営利型の株式会社、NPCNon-Profit Company)と言われていますが、地域で資本金を集めるのに非常に使い勝手の良い株式会社の手法です。現在では非営利法人としてはNPOがありますが、カンパニーができないので、非営利型株式会社の設立もお願いをしたい。
3つ目が、契約手法の柔軟化です。どうしても地方自治体が前例主義などのため、新しい技術や実績がない企業や技術が取り入れられないことがあります。もしくは安くないとできないということですが、契約を入札の最低価格だけではなく、いわゆる『ベストバリュー』、あるいは『バリュー・フォー・マネー』と言われている地域で最も経済的な効率が高い企業と随契ができる手法を、最低価格とともにダブルスタンダードの契約手法をぜひ取り入れていただきたい。
4つ目は、道路、歩道、公共空間の有効利用の拡大です。つまり、公共空間をどのように地域が使うことができるのかということです。例えば、駅前広場や歩道をオープンカフェにしたり、民間企業がPRの活動に使えるようにするということが考えられます。公共空間の利用には、警察との協議が必要であることや、保健所が昭和30年代に作成した多数の規制細目をもっており、なかなか、実際には、使い勝手が悪くなっています。現在は、警察主導型になるのですが、地方公共団体主導型で、警察、保健所との連携をもって公共施設、公共空間を使えるようにしていただきたい。
5つ目は、中心市街地活性化に取り組んでいて一番不思議に思うことは、本来開発すべきでないところに大型店等が建てられるという日本の土地制度です。本来、市街地再生法もしくは農地法等も含めて開発すべきところと開発すべきでないところが明確に分かれているにもかかわらず、土地の棲み分けがうまくできていません。もう一回土地の全体の土地法を総合化する必要があるのではないかと考えております。土地についてはもう一度大きく制度設計をしていただきたいと考えています。

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