分権クローズアップ[有識者へのインタビュー] 第4回 関幸子氏インタビュー(その1)

分権クローズアップコーナーでは、地方分権改革に関する様々な記事を掲載してまいります。第4回は、株式会社ローカルファースト研究所 関幸子代表取締役にお伺いした地域が主役のまちづくりについての記事を3回に分けて掲載します。今回は、その1となります。

関代表取締役は、三鷹市役所で地方自治の現場で御活躍の上、現在、株式会社ローカルファースト研究所を中心に地域活性化やまちづくりに取り組まれています。また、平成23年3月の東日本大震災後に一般社団法人震災復興ワークスを設立され、現在、南相馬市の小高地区の再生計画や石巻の津波復興拠点整備事業計画、中心市街地活性化基本計画の策定の支援をされています。

(注)なお、本記事は、平成25年10月11日に開催された第6回地方分権改革有識者会議におけるヒアリングを基に、インタビュー形式に再編集したものです。 

株式会社ローカルファースト研究所 関幸子代表取締役 

 

せき・さちこ/1980年法政大学政治学科卒、三鷹市役所入庁。三鷹市企画部企画調整室、三鷹市生活環境部経済課を経て、1999年株式会社まちづくり三鷹に派遣。2007年三鷹市役所退職、秋葉原タウンマネージメント株式会社設立。2010年より株式会社ローカルファースト研究所代表取締役。2011年より一般社団法人震災復興ワークス代表理事。内閣府中心市街地活性化推進委員会委員。

―――まず、地方自治体の置かれている状況についてお聞かせください。

関:地方行政に長く携わっておりますところ、地方公共団体の置かれている現実を肌で非常に感じております。その中で、地方公共団体の現実ということで、8点ほど挙げさせていただきます。
まず一つ目は、現存する地方公共団体の28%が1万人未満、42%が5万人未満の地方公共団体であるということです(図1参照)。合併は進んではいますが、実質上5万人未満の地方公共団体がまだ約1,200残っており、1万人未満の地方公共団体でも約480ありますので、数で言えば7割が5万人未満の地方公共団体という前提に立って、制度を作る必要があると考えています。
一方で、残りの3割の自治体の中に人口の7割が住んでいます。つまり、地方公共団体の数の7割が5万人未満の小規模自治体であり、三大都市圏の自治体に人口の7割が集中しています。今日の分権の問題で言うと、人口が集中するその3割のところに様々な課題が出てきています。従って、規模の差が大きいこともあり、全国同一の基準で地域が経営できるわけがないという前提に立つ必要があるということが私の考え方です。
2つ目は、高齢化と人口減少が進んでいるということです。私は全国でいろいろな職員の研修にも呼ばれています。その時にいつも言っていることは、地方は高齢化がほぼピークで、高齢化率は上がるのですが、高齢者数は増えない状況にあるということです。

総務省2009年12月統計資料 自治体数と人口分布、人口規模別自治体数のグラフ 【説明文】自治体の7割は、5万人以下である。 

図1 (こちらをクリックすると拡大表示します。)

 

3つ目は、首都圏は、高齢化がこれからピークとなり、1都3県で3,300万人のうち2030年には1,000万人が65歳を迎えるということです(図2参照)。このため、高齢者施設、福祉・医療分野の施設及び人材が圧倒的に足りなくなるということです。

首都圏の将来人口予想図 【説明文】首都圏は、高齢化がこれからピークとなり、1都3県で3,300万人のうち2030年には1,000万人が65歳を迎える。

図2 (こちらをクリックすると拡大表示します。)

 

4つ目は、学校教育施設が過剰となるということです。学校施設は子供が少なくなってきますので、学校施設は全国一律に減少していくということになります。
5つ目が特に重要です。生産年齢人口の減少により、女性の就業を増大させる必要があるということです。これは後ほど生活保護のところと一緒にお話をさせていただきます。
6つ目は、技術革新が非常に早く進んでいるので、法制度が追いついていない点、どのようにして追いつき、取り込むのかということです。これは契約の問題が大きいと思っております。どのようにして最新技術を地域が取り込むことができるのかについては、正に分権中の要です。入札制度だけでは新しい技術を取り込むことができないということが現状だと考えます。
7つ目は、地方は人口が少ないが土地が広く、それをどう生かすのかということです。土地資源を生かす農業法についても御提案したいと考えます。
8つ目は、東北復興への早期の取り組みです。この2年半、復興に駆けずり回っていましたので、復興の現場からも御提案したいと考えています。

―――先ほどのお話の中で、全国の地方自治体の7割が5万人以下という前提に立って制度をつくる必要があるというお話がありましたが、具体的にどのようなことをお考えでしょうか。

関:一つ目は、先ほど言いましたように、人口と地方公共団体の数のミスマッチがあり、全国一律では地域経営ができないので、基準について見直す必要があるということです。特に、地方公共団体の予算上の7割が福祉と教育にあてられています。例えば、板橋区は1,800億円の予算がありますが、その内の7割は福祉と教育で使っていますが、全国の自治体でも同様と思われます。施設建設では義務的に作らざるを得ない施設の7割が、福祉施設と教育施設となっています。ですから、地方公共団体は、橋梁や道路をたくさん持っていますが、実質上は福祉施設と教育施設が資産的に非常に重く、しっかりと運営するために、施設面積の規模、収容人員、職員及びサービスの量と質について、全国一律ではなくて、その自治体の体力、対象人数にあわせて地方公共団体で決めていかないといけません。先ほども申し上げたとおり、地方公共団体は実質上財政の7割を教育と福祉に使いますので、この分野に関して地方公共団体の裁量権限を預けていただきたいと考えます。
また、教育委員会、農業委員会のように、法律上、様々な委員会や審議会の設置が義務付けられていますが、これも小さい地方公共団体の場合、委員会を運営することも大変です。人材の候補が少ないということもあり、こうした法律上の様々な委員会についても、かなり簡素化していただきたい。
2つ目は、小さい地方公共団体が多いので、複合化と融合化が必要になるということです。まず、ハードの部分で施設の複合化です。こども園が出てきておりますが、例えば、幼稚園・保育園の統合、学校において学童保育を内在させて、教室の中に子供たちが最後までいられる形にしたり、図書館で学童保育をしてもいいのではないでしょうか。最後まで人がいるところで、どのように子供たちの面倒をみるのかということです。病院と福祉施設については、特に地域包括ケアセンターという形で、最後は在宅で高齢者の皆様を看ていく必要がありますので、病院と福祉施設を合体複合化し、サービスも融合化していくということが必要と考えます。
後は、施設の転用です。学校施設も含めて、使命を終えた施設の転用を非常に効率的に図る必要があります。
サービスの複合化については、例えば過疎地域で言えばタクシーを呼んだときに、自分は乗らないが買い物を代行してもらう、病院に行ったついでに、自分が病院に行っている間に買い物を代行してもらうというサービスの複合化と融合化について、法律上できない部分を緩和しつつ、現実に合わせたサービスを地域が確立できるようにしていただきたいと考えます。

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