分権クローズアップ[有識者へのインタビュー] 第3回 谷隆徳氏インタビュー(その2)

分権クローズアップコーナーでは、地方分権改革に関する様々な記事を掲載してまいります。第3回は、日本経済新聞社 谷論説委員にお伺いした地方分権改革の総括と課題についての記事を3回に分けて掲載します。今回はその2となります。

谷論説委員は、日本経済新聞社において編集委員兼論説委員を務められており、地方行政・財政全般を専門とされています。

(注)なお、本記事は、平成25年9月30日に開催された第5回地方分権改革有識者会議におけるヒアリングを基に、インタビュー形式に再編集したものです。

 

 

たに・たかのり/東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。1986年日本経済新聞社入社。大阪経済部、岡山支局、金融部、地方部を経て、2005年から地方部編集委員、2006年から論説委員兼務。

―――次に、地方分権改革で残された課題についてお聞かせ下さい。

谷:分権改革で残された課題ということで、新地方分権構想検討委員会の最終報告を御紹介します。これは地方六団体が設置した委員会で、委員長は神野座長がしていらっしゃったのですが、2006年11月末に最終報告を出しています。ちなみに、この翌月に地方分権改革推進法ができて、第2次分権改革が始まりました。第1次分権改革と三位一体改革が終わった後、第2次分権改革が始まる前に地方六団体として何を求めるのかについてまとめようとして作ったものがこの報告です。報告の中で、地方六団体は当時、大きく7つのことを求めていました。
(1)「地方行財政会議」の設置
(2)国の地方支分部局の整理
(3)国の義務付け・枠付けの廃止・縮小
(4)国税と地方税の税源配分を5:5に
(5)地方共有税構想の実現
(6)国庫補助負担金の総件数の半減
(7)その他(規模に応じた地方議会のあり方の検討など)

(1)は、「地方行財政会議」の設置です。これはいわゆる国と地方の協議の場の法制化で実現したことになります。(2)は、国の地方支分部局の整理です。いわゆる出先機関改革であり、この報告書では地方支分部局の整理が第2次分権改革の最重点課題の1つであると書いてありました。(3)は、国の義務付け・枠付けの廃止・縮小です。この3つは、大なり小なり進んできたと考えます。(4)が国税と地方税の税源配分を5対5にするようにというものです。(5)が地方共有税構想の実現です。地方共有税は、交付税を衣替えして、一般会計を通さずに特別会計に直接入れてほしいというものです。地方交付税を間接課税形態の地方税であるということを性格として鮮明にしてほしいということで、地方共有税構想と出ていたのですが、それを実現してほしいということです。(6)は国庫補助負担金の総件数の半減です。(1)~(3)の3つはかなり進んだのですが、(4)~(6)の3つは、手つかずの部分だろうと考えます。地方分権改革推進委員会、丹羽委員長の委員会を見ても、第4次勧告はほとんど検討といいますか、進められていません。ですので、私自身は、やはり最大の課題は税財政の問題ではないかと感じております。

ここで新聞記事を簡単に紹介したいのですが、2012年6月25日付けの日本経済新聞朝刊33面では「国の基準、地域が変える」というカットで書いたのですが、要は義務付け・枠付けの緩和が進んで、公営住宅、道路や保育所など、いろいろな試みが始まっていますという内容です。
2013年9月22日付けの日本経済新聞朝刊2面社説は私自身が書いたものですが、「地方分権の成果を自治体は住民に示せ」という見出しです。本文中では、「自立した自治体をつくるためには国から地方に配る補助金を減らして、その代わりに地方に税源を移譲することが欠かせない。しかし、有識者会議は税財政の問題を検討課題にしていない。税源を移すと都市と地方の税収格差が開く懸念がある。このため地方側ですら税源移譲に消極的なことが影響しているのだろう」などと批判的な記事を書いております。
私自身どう考えているかといいますと、ある部分、社説というのは筋論やあるべき論で書くので、こういう書き方をしています。個人としては、税財政の問題は重要と考えているのですが、一方で、政治情勢とか地方自治体側の都合を考えると、今、取り組むことが可能なのかどうかということについては、なかなか厳しいだろうと認識しています。ただ、今回、こちらの有識者会議でこの20年を総括されるということですので、「残された課題」の最大の課題は税財政の問題ではないかということは、しっかりと明記すべきだと考えております。

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