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分権クローズアップ[有識者へのインタビュー] 第2回 増田寛也氏インタビュー(その4)

分権クローズアップコーナーでは、地方分権改革に関する様々な記事を掲載してまいります。第2回は、野村総合研究所 増田寛也顧問にお伺いした地方分権改革の総括と展望についての記事を4回に分けて掲載します。今回はその4となります。

増田顧問は、地方分権改革推進委員会委員長代理、総務大臣、地方分権改革担当大臣などをお務めになられました。

(注)なお、本記事は、平成25年9月30日に開催された第5回地方分権改革有識者会議におけるヒアリングを基に、インタビュー形式に再編集したものです。

 

 

 

 ますだ・ひろや/東京都生まれ。1970年東京都立戸山高等学校卒業。1977年東京大学法学部卒業。1977年建設省入省。千葉県警察本部交通部交通指導課長、茨城県企画部鉄道交通課長を経て、1994年建設省建設経済局建設業課紛争調整官。退官後、1995年4月岩手県知事(~2007年4月、3期)、2007年8月総務大臣(~2008年9月)を経て、現在、野村総合研究所顧問。東京大学公共政策大学院客員教授。

―――今後の展望に関するお話の中で、地方分権改革の課題についてお話がありましたが、国側にも地方公共団体側にも諸事情があることが、地方分権が進まない1つの原因になっていると考えられます。これまでのご経験から、地方分権を進めるにあたって、具体的な方策がございましたらお聞かせ下さい。

増田:まず、地方公共団体側ですが、これから地方公共団体という形で一括りするというのは当然なかなか難しいので、それについては広域自治体と基礎自治体と当然別に分けて考えなければいけないと考えます。基礎自治体たる市町村の中でも、かなり人口規模の大きいところがあり、政令市でも大分老舗というと怒られるかもしれませんが、政令市制度が導入されてもう20市にもなりましたので、政令市でもいわば老舗のようなところもあれば、最近政令市に昇格したところもあります。それぞれ置かれているその状況が地方公共団体の中でも相当違います。ですから、いろんな制度を多様に用意すると同時に、地方公共団体がその中でこれを使いたいなど手を挙げることや、地方公共団体が選択できる制度をいろいろと用意するという考え方、すなわち一律ではなく多様な制度がこの分野でも大事ではないかと考えます。
もう1つ、国の方ですが、今、手法としてのインセンティブは考えにくいと考えます。財政的なインセンティブはどこも貧乏で難しいし、そうしたインセンティブによって何かするには非常に制約があります。岩盤規制などとよく言われますが、国が最後まで手元に置いている権限は、それを地方公共団体が望んでもたやすく移るものではなく、また、災害時などいわゆる国家の緊急時を考えると、むしろその場合には国の役割は大変大事でありますので、そうした部分に対して、これからどうしていくのかということは、少し回りくどいですが、国がやるのか地方公共団体がやるのかどちらに信頼感を持てるのか、国民から支持されるのか、国民からすると良い成果が見えやすいか、ということであり、それを国民にどれだけ訴えかける力を国や地方が持っているのかによるのではないかと考えます。随分昔になりますが、私がまだ知事になる少し前ぐらいに、熊本県知事の細川氏が、バス停の少しの移動にも大変な許認可があるなど、非常に分かりやすい例を提示し、このようながんじがらめの規制が国民の声で解きほぐされていくことがありました。私も知事の立場を離れて最近の動きを少し見ていますと、あまり地方公共団体が先を急いで、次にこの権限、次にこの権限と言っても、今まで随分地方公共団体に移った権限を十二分に行使し、それにより住民に成果を示すことが追いついていない気がします。公共施設の設置基準なども、道路構造令などいろいろなものが条例で決められるようになり、また公営住宅の設置基準も自治体が条例で決められるようになったのですが、1年ぐらい前に調査してみると、それまでのものをなぞるなど、以前とほとんど変わらない形で条例をずっと作っているので、こういう場合あまり住民にとっても、国より地方公共団体の方が良いという声がなかなか湧きにくいと考えます。ですから、地方公共団体の方でも成果が出るように、工夫することが必要であり、今はそうした期間にちょうど差し掛かっているのではないかと考えます。これは見方がいろいろあるのですが、どうでしょうか。私もしばらく見ていて、分権はある種、山や谷があり、ぐっと盛り上がったときに一斉に行わないとなかなか大変です。だから、山をどう起こしていくかという問題があるのですが、今は地方公共団体の方で良い成果を作り出す時期ではないかという気がします。


―――同じく、人口減少を見据えた国と地方の役割分担についてお話がありましたが、住民に対して、権限を移譲する方が住民の利益になるということを示す際、品質の確保や移譲の効果をどのように評価すればよいのでしょうか。

増田:そうしたことを評価したり、あるいはスタンダードと言いますかメルクマールをきちんと提示して住民の皆様方に説得して歩いたりすることなどは、本当は議会などが先頭に立って行うことが良いと考えます。多様な立場の人たちもそうしたことがいろいろ見られるわけですから、住民視点に立って、自分たちの地方公共団体としてこういう品質が確保されないと困るなどと議会が主張してほしい。惜しむらくは、今の議会は、なかなかそういう機能を果たしていない。むしろ、首長をやった立場からの手前勝手な言い方かもしれないが、アメリカやヨーロッパのように議会がもっといろいろな意味で議会活動を行っていると、品質確保や住民に対する分権の効果がもっと伝わっていたのではないかという気がします。ですから、もっと議会人にも自分たちの役割を自覚してほしいし、そうした意味で、○○自治体スタンダードのようなものをいろいろ作って広げていくよう活動してほしいという気がします。
もう1つは、それはそれとしても、地方公共団体の方で今まで権限をとにかく自分達に移すということに大変こだわっていた気がするのですが、どうでしょうか。地方公共団体の首長の方々もどのようなものが自分たちでやれるようになったのかということをきちんと住民などに伝えて活動していないのではないかという気がしています。あまりにもこの間、制度が変わり、第1次、第2次、第3次の一括法で、こういうものができるようになるということがきちんと伝わっていません。職員も担当する職員でなければ分かりません。自分の県がどれだけ今の条例で決められるようになっているのか全体像を知っているのは、本当は知事であるべきです。やはりここは変わったときに立ち止まって、一度いろいろな分権活動の20年の成果を住民にきちんと知らせることが逆に品質を高めることにつながるのではないかという気がいたします。

 

―――本日は、大変御示唆に富む御意見を頂戴いたしまして、重く受けとめ、咀嚼しながら今後の議論を進めてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。

増田:どうもありがとうございました。 

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